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【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は

二次障害が起こらないよう、予防するためにはどうすれば良いのか。もし起こってしまったら、どう対処すれば良いのか。今回の記事では、発達障害による二次障害の原因と、その対処法や予防法について解説します。

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  • #自閉スペクトラム症(ASD)
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「がんばらなきゃいけないのに、どうしてもやる気が起きない」「突然、悲しくなったり不安な気持ちになったりする」「自分の感情が抑えられず、周囲とうまくコミュニケーションできない」 もしこうした症状にお悩みの場合、それは発達障害による二次障害かも知れません。 二次障害とは、発達障害の特性より困難やストレスが生じることが原因となって、心や身体に下記のような不調・問題が起こり、日常生活に支障をきたしてしまうことです。 ・心(精神)の不調…うつ病などのストレスによる精神疾患など ・身体の不調…頭痛、めまい、不眠、食欲不振など ・行動面の問題…反抗、暴言・暴力、引きこもりなど 二次障害が起こらないよう、予防するためにはどうすれば良いのか。もし起こってしまったら、どう対処すれば良いのか。今回の記事では、発達障害による二次障害の原因と、その対処法や予防法について解説します。 [toc] 二次障害の原因とは? 二次障害への対処法や予防法を学ぶために、まずは「二次障害がなぜ起こってしまうのか」という原因を知っておきましょう。注意欠如・多動性障害(ADHD)である A さんと、自閉症スペクトラム障害(ASD)である B さんの、二人の事例をご紹介します。 ADHD の特性により「無くし物が多い」A さんの場合 営業事務として働く A さんは、ADHD(一次障害) の特性である「ワーキングメモリーの弱み」によって無くし物が多いという困りごとを抱えていました。 ある日、仕事の大切な書類をどこかに置き忘れてしまい、上司から注意を受けた A さん。「次からは気をつけよう」と思っていたのですが 1 週間後、今度は会社の倉庫の鍵をどこかに置き忘れて無くしてしまいました。 「A さん、こないだ無くし物の注意したばかりなのに、なんで同じ失敗をしてしまったの?」 上司から再び注意を受けたことによって、「また同じような失敗をして、上司を怒らせてしまったらどうしよう…」と、A さんのなかで不安な気持ちが生まれました。その後も、仕事で無くし物をするたびに上司から注意を受け続けた A さんは、次第に「自分は何をやってもうまくいかないんだ…」「また叱られる…」と常に不安な気持ちを感じるようになりました。 数ヶ月後、A さんは気分がひどく落ち込んだり、夜も眠れなくなったりするようになってしまいました。その結果、うつ病(二次障害)の診断を受けました。 ASD の特性により「光や音で強いストレスを感じる」B さんの場合 Web デザイナーとして働く B さんは、ASD(一次障害)の特性によって感覚が非常に過敏になり、強い光や周囲の音にストレスを感じやすいという困りごとを抱えていました。 ある日、職場で席がえがあり、B さんは窓際の席に移動することになりました。勤務先のオフィスは日当たりが良く、B さんの新しい席は、とくに日差しが強く差し込む場所でした。またちょうど隣のビルが工事を行っており、勤務中は工事の騒音が常に聞こえてくるような環境でした。 B さんはブラインドや窓を閉めて光と音を和らげようとしましたが、上司から「オフィスの雰囲気が暗くなってしまうから、ブラインドはなるべく開けておくように」「換気のために、常に窓は開けておくように」と言われてしまいました。 上司の指示に従い、ブラインドや窓を開けておかざるを得なかった B さん。これまでも「職場ではどうも集中しづらいな…」と感じていましたが、席がえの後は目や耳に極度の疲れや、ときに痛みを感じるようになってしまい、ストレスから夜、眠れない状態(二次障害)になってしまいました。 *** 発達障害は「社会性の障害」と言われており、周囲の環境によって困難が生じることがあります。上記の A さん・B さんの例のように、発達障害の特性によって周囲とうまくいかず、ネガティブな経験が積み重なってしまったり、日常的にストレスにさらされてしまったりすることが、二次障害の大きな原因となるのです。   二次障害にはどんな種類があるのか? 二次障害と一口に言っても、その症状や原因にはさまざまな種類があります。予防のためにも「どのような症状が、どのような原因で起こるのか」を知っておきましょう。ここでは、代表的なものを三つご紹介します。 ① 不安障害 たとえば「見通しがつかないことが苦手」「こだわりが強く、過去の失敗を引きずってしまう」という特性や、考えを切り替える難しさなどが原因となり、不安を過剰に感じたり、不安が続いたりする。ときには「このまま死んでしまったらどうしよう」というように、切迫した恐怖感を感じることもある。 思わぬ状況で不安が発作のように生じ、めまいや吐き気、過呼吸などの症状が出てしまう「パニック障害」や、人前で注目をあびることに恐怖感を覚え、震えたり逃げ出そうとしてしまう「社会不安(社交不安)障害」なども、不安障害の一種。 ②抑うつ/うつ病 発達障害の特性により、コミュニケーションや対人関係に難しさを感じることや、学校や職場などでの失敗経験から、「がんばっているのに、なぜうまくできないのか」「また失敗したらどうしよう」とネガティブな感情が積み重なってしまう。 その結果、「自分はダメな人間だ」「自分が悪いんだ」などと自分を責めるようになり、自己肯定感が下がったり、さらに自分を責めるようになってしまうことで、心や体に不調が表れてしまう。 「うつ」に関連する言葉には、うつ病・抑うつ・うつ状態などさまざまな言い方があるが、明確な基準は決まっていない。一般的には、現れている症状の数が少ない状態を「抑うつ」、症状の数が多くなった状態を「うつ病」と呼ぶことが多い。 心の不調の例 何をするにもおっくう・勉強や仕事に集中できない・人に会いたくない・自分を責めたくなる・同じことをグルグルと頭の中で考えてしまう、等 体の不調の例 眠れない・眠りすぎてしまう・食欲がない・頭痛・めまい・息苦しさ・月経不順(女性の場合)、等 ③反抗挑戦性障害/行為障害 発達障害の特性による失敗が続き、失敗に対する周囲からの理解も得られない状況が続くと、自己肯定感が下がり、「誰も自分のことを理解してくれない」という気持ちから周囲の人たちを信じられなくなってしまう。 その結果「怒りっぽくイライラしたり、かんしゃくを起こす」「挑発的な態度を取ったり、わざと口論を吹っかけたりする」「意地悪で執念深い」などの行動を周囲に対して取ってしまう。 *** 上記以外の二次障害については、以下のページもご参照ください。 二次障害|大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア   二次障害が起こってしまったら、どう対処すれば良いか? 二次障害が起こってしまった場合、対処法としては病院の心療内科・精神科や、メンタルクリニックなどの医療機関で治療を行うことが一般的です。治療では薬を服用したり、臨床心理士によるカウンセリングを受けたりします。 薬の服用に対しては「飲むのをやめられなくなってしまったらどうしよう…」という抵抗感を感じる方もいらっしゃいますが、飲んですぐに劇的な効果があったり、強い依存状態を引き起こすような薬が処方されることは、通常はありません。 薬を増やす場合、症状を確認しながら徐々に量を調節していくことになります。そして依存性や副反応が強い薬を処方できる医師・薬剤師は登録制になっており、適正な処方が行われるよう国により管理されています。 また薬を服用する以外にも、「認知行動療法」などの心理療法・精神療法により治療する方法もあります。 いずれにせよ、市販の薬や医療機関以外での何らかの施術で治るようなものではなく、医師による専門的な診断に基づいて治療を行うことが必要です。   二次障害を予防するために必要なことは? では二次障害が起こってしまう前に、予防する方法はなにかあるのでしょうか。 二次障害の大きな原因は、発達障害の特性によって周囲から怒られたり、人間関係がうまくいかなかったり、日常生活に支障をきたすほどのストレスを感じてしまったりすることです。「ストレスをうまく解消しよう」という話も間違いではありませんが、それだけでは根本的な予防にはなりません。 そもそものストレスの原因が発達障害の特性にあるのであれば、特性とのうまい付き合い方を習得する必要があります。そのためのトレーニングやサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害当事者がオープン就労/クローズ就労の両方で働いてみて分かったこと

発達障害当事者がオープン就労とクローズ就労のそれぞれで実際に働いてみて、どのようなことを感じたのか、実体験から得た学びをご紹介します。「障害をオープンにするかクローズにするか」で迷っている方のお悩みが解決するためのヒントとしてご覧ください。

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「仕事や人間関係がうまくいかず、悩んでいろいろと調べてみたら、どうやら原因は発達障害にあるらしい。病院を受診して発達障害の診断も受けた。では、その診断結果を会社に伝えるべきか——」 発達障害の診断を受けたことを会社に伝えるかどうかは、とても大きな問題です。 発達障害の特性が原因で、仕事や人間関係などに困りごとが現れている以上、何らかの形で支援してもらいたい・助けてもらいたいという気持ちは当然あります。 その一方で、「上司や同僚に理解されなかったらどうしよう」「待遇が下がったり辞めさせられたりすることはないだろうか」など、さまざまな不安も湧いてきます。筆者もまさに、発達障害の当事者としてこのような悩みを抱えていました。 30 代で自閉症スペクトラム障害(ASD)と注意欠如・多動性障害(ADHD)の診断を受けてから 5 年。その間に私はオープン(障害開示)就労とクローズ(障害非開示)就労の両方を経験しました。 今回の記事では、筆者がオープン就労とクローズ就労のそれぞれで実際に働いてみて、どのようなことを感じたのか、実体験から得た学びをご紹介します。「障害をオープンにするかクローズにするか」で迷っている方のお悩みが解決できるよう、何かのヒントとなれれば幸いです。 [toc] 1. オープン就労/クローズ就労の 3 つのパターン まず、オープン就労とクローズ就労のパターンを整理しておきましょう。「オープン就労=障害者雇用」「クローズ就労=一般雇用」と考えてしまいがちですが、実際には以下の 3 つのパターンがあります。 1-1. 障害者雇用枠で働く(オープン就労) 一般的にオープン就労としてイメージされることが多いのがこちらです。障害者雇用枠で働くためには当然ながら障害のことを会社に伝える必要があります。 ただし、会社側と相談のうえで「人事部門と直属の上司だけに伝える」というように、会社のなかで障害を開示する範囲を「業務の遂行や支援のために必要な範囲に限る」ことは可能です。 1-2. 一般雇用枠で障害を非開示にして働く(クローズ就労) 一般的にクローズ就労としてイメージされることが多いのがこちらです。発達障害があったとしても、「障害特性をセルフケア(自己対処)でカバーできている場合」や「障害特性による苦手や困難が、仕事をするうえで影響を及ぼさない、もしくは許容できる場合」には、障害を開示せず一般雇用で働いている方も数多くいらっしゃいます。 1-3. 一般雇用枠で障害を開示して働く(オープン就労) 一般雇用枠で障害を開示して働くことも可能です。障害者手帳の有無や雇用の形態を問わず、障害によって社会のなかで困難さを抱えている人であれば誰でも、会社に合理的配慮の提供を相談することができます。 「もともと一般雇用枠で働いていた人が、在職中に発達障害の診断を受け、障害者雇用枠に切り替えず一般雇用枠のまま合理的配慮を受けて働く」といったケースも多くあります。 *** 筆者は 3 つのパターンをすべて経験しましたので、この後の章ではそれぞれについて詳しく体験談をご紹介します。 なお、「障害者雇用/一般雇用」や「合理的配慮」については、過去のコラム記事で解説しています。この記事の最後にリンク集をまとめておりますので、詳しく知りたい方はそちらもぜひご参照ください。 2. オープン就労(一般雇用枠)で働いてみた 私が発達障害を疑って病院を受診し、診断を受けたのは、転職して 4 か月目のことでした。転職前の会社はマニュアルが整備されており、スケジュールや手順がキッチリと決まっている仕事が多かったため、苦手を感じつつもどうにか仕事になっていました。 ところが転職後の会社では、段取りをすべて自分で考えて仕事を進めなければならず、仕事がまったく回らなくなってしまったのです。仕事の優先順位やスケジュール、タスクの管理ができていないと上司からたびたび注意され、私は深く落ち込んでいました。 そんなとき、たまたまインターネットで見かけた記事に、発達障害のことが書かれていました。特性による困りごとが自分の状況にピタリと重なり、「もしかしたら……」と思って病院を受診したのです。 2-1. 良かった点 ①会社が相談に乗ってくれて、仕事を続けることができた 仕事で成果が出せていなかったこともあり、診断を受けたことを会社に伝え、そのまま退職するしかないと思っていました。しかし社長や当時の上司が親身に相談に乗ってくださり、「とりあえず働き続けながら、仕事内容を調整してみよう」ということになりました。 私は家族を養う立場でしたので、これは本当に幸運でした。もしそのまま退職していたら、きっと転職もままならず、家族の生活がどうなっていたか分かりません。 ②同じ会社のなかで新しい職種にチャレンジできた もし転職によって職種を変えようとしたら、30 代半ばという年齢的にも、未経験では到底再就職はできなかったでしょう。同じ会社で働き続けながら新しい職種にチャレンジできたのは、とてもありがたいことでした。 2-2. 反省点 ①職種を変えただけでは、うまくいくとは限らない 営業から Web 担当に職種を変えてもらったものの、未経験だったこともあり失敗続きで、なかなか成果を出すことができませんでした。 「こんなに配慮を受けているのに、それを裏切るようなことをしている」という後ろめたさがつのり、徐々に上司にも相談しづらくなって、結局 4 か月後に自分から退職を願い出ることになってしまいました。 「発達障害者は IT や Web 系の仕事が向いている」という話を見聞きしていたため、職種さえ変えれば何とかなるだろうと、私は心のどこかで淡い期待を抱いていました。 しかしどんな仕事でも、未経験であれば最初からうまく行くはずはありません。後から考えれば「そこで焦らずに会社ともじっくり相談して、長期的に取り組むべきだった」と思いました。 ②すべての会社が障害のある方のサポートに慣れているとは限らない よほどの大企業でもない限り、社内に障害者雇用の担当者や専門部署のある企業はほとんどありません。 今にして思えば、専門の部署や担当者がいない会社で配慮が受けられただけでもとても幸運だったのですが、当時の私はそれを理解できていませんでしたし、会社や上司と根気よくすり合わせを行うだけの知識も気力もありませんでした。 3. オープン就労(障害者雇用枠)で働いてみた 前職を退職して 1 か月後、「発達障害の診断を受けていることをオープンにする」ことを決めて転職活動に臨みました。その理由は、前職で仕事がうまく行かなかった経験からすっかり自信を失っており、「これまでと同じように(クローズ就労で)働くなどとてもできない」と思っていたからです。 ご縁があり、社会福祉事業を行っている企業に事務職のアルバイトとして採用いただき、障害者手帳が取得できた時点で障害者雇用枠へと切り替えました。 3-1. 良かった点 仕事でのストレスが大幅に軽減された 働く自信を無くしていた私にとって「障害があるのに雇っていただけた」ということ自体がとても大きな心の支えになりました。 会社自体が福祉事業をやっているため障害者に対する周囲の理解もあり、本当の自分を包み隠さなくても良いという安心感を得ることができて、仕事のストレスが大きく軽減されました。 3-2. 反省点 ①障害者雇用枠であっても、無条件に配慮を受けられるわけではない 企業が障害のある方に提供する「合理的配慮」とは、障害が原因となる困難さのうち、セルフケアをしても対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲のものとされています。 また法律では「障害者から何らかの助けを求める意思が伝えられた場合に、合理的配慮を提供する」と定められており、障害者の方から会社に対して申請が必要です。いくら障害者雇用されていると言っても、自動的にあれこれ配慮をしてもらえるわけではありません。 当時の私はこのこと理解できておらず、転職した当初は「障害者なんだから、配慮してもらって当然だろう」というような不遜な態度を取ってしまい、上司から注意を受けてしまったこともありました。(注意されたことがきっかけで気が付くことができたので、注意してくださった上司の方には今でもとても感謝しています。) ②障害を「自分の個性」と捉えることは、障害受容とは違った ある日、上司と面談をしていたときに、私はなんの悪気もなく「障害者ですが、一生懸命がんばります!」という言い方をしました。しかしそれを聞いた上司は私が思いもよらない言葉を返してきたのです。『厳しいことを言うが、キミは障害があることを「仕事ができない言い訳」にしているんじゃないか』と。 そんなつもりじゃないのに——最初はそう思いました。しかし後からじっくり振り返ってみると、確かに言い訳をしていたことに気が付きました。 私は発達障害だから、人より仕事ができなくても仕方がないんです。 発達障害だから、人より給料が稼げなくても仕方がないんです。 発達障害だから。発達障害だから…… 私はいつの間にか、何をするにも「発達障害だから」という言葉をくっつけ、そうではない人と比べてものごとを考えるようになっていたのです。 インターネットではよく「発達障害があるということも含めて、自分の個性だ」というように語られていることがあります。それはとても前向きな考え方ですし、私もそう考えることで新たな一歩を踏み出すことができました。「発達障害も自分の一部であり個性だ」と思うことが、障害受容なんだと思っていました。 しかしそれは、一歩間違えば「私は発達障害である」という枠に、自分を押し込めてしまうことになりかねません。 発達障害だから、仕事ができない人間でいなければならないのでしょうか? 発達障害だから、人並みの給料を稼いではいけないのでしょうか? 決して、そんなことはないはずです。 発達障害が「現代の日本社会」という環境において、多くの場合ハンディキャップとなることは残念ながら事実です。映画やドラマのように、発達障害と引き換えに何か特別な才能を得られるわけでもありません。 それでも生きていくしかないのであれば、自分で自分を不幸の枠に押し込めず、少しでも楽しく、充実した人生を歩む方法を探す方が、よっぽど大切ではないか ——「君は障害を言い訳にしているのではないか」という上司の言葉によって、私はそう思うようになったのです。 4. クローズ就労(一般雇用枠)で働いてみた 「君は障害を言い訳にしているのではないか」という上司の言葉がきっかけとなって、私は障害の有無にかかわらず、自分が価値を提供できる=お金を稼げる仕事とはなにかということを模索するようになりました。 このころから『私は性格上、発達障害のことをオープンにし過ぎると、また何でも「私は発達障害だから」という言い訳に使ってしまうかもしれない』と思うようになり、会社以外では発達障害のことを自分からオープンにしなくなっていました。 その後、ご縁があって再び転職することになりました。オープン就労かクローズ就労かで迷いましたが、前職で社会福祉事業に携わりながら障害特性の理解や対策について学んでいたこともあり、「自分でセルフケアしながら、一度クローズ就労にチャレンジしてみよう」と思い立ったのです。 4-1. 良かった点 価値が提供できれば、発達障害の有無は関係なく仕事をすることができる 私は前職で事務職のアルバイトとして働きながら、会社から副業の許可を得て、個人でライターとしても活動していました。そのご縁もあり、転職後はライター職で働いています。 職業柄、仕事の成果は「記事」という成果物で測られることになります。お客様にご満足いただける記事を書けていれば、書いているのが障害者かどうかはまったく関係がありません。人よりも人付き合いが苦手だったり忘れ物が多かったりしても、それで成果に悪影響がなければ問題にならないのです。 また、「記事」という成果物は比較的短い期間で作られますし形もハッキリとしているので、長期の見通しを立てて段取りよく取り組むことが苦手な私にとって、過去に経験した営業職や Web 担当職と比べると目標が立てやすく、自分の特性に合っていると感じました。 自分が価値を提供でき、自分の特性に合った環境の仕事を見つけることができれば、クローズ就労でもやっていけるのではないかと感じました。 4-2. 反省点 クローズ就労がうまくいくかどうかは、業界や職種、働き方など周囲の環境に大きな影響を受ける 発達障害の特性やそれによる困りごとは、人によってまったく違います。私のように「在宅勤務の方が向いている」という方もいれば、「毎日規則正しく通勤して、誰かと一緒に仕事をする方が向いている」という方もいらっしゃるでしょう。クローズ就労をする前に、どういう環境であれば自分の力が発揮できるのか特性をしっかり理解しておく必要があります。 また、自分の特性を理解できていたとしても、それに適した働き方が実現可能かどうかは、業界や職種に大きく影響されます。 「在宅勤務をしたい」と思っても、接客業で直接お客様の応対をする職種では、在宅勤務はどうしても難しくなります。また、在宅勤務が可能な業界・職種だったとしても、すべての会社が在宅勤務を許可しているわけではありません。 自分の特性と、自分が提供できる価値をふまえた上で、自分に合った働き方ができる環境を見つけ出さなければならないところに、クローズ就労の難しさを感じました。   5. 自分に合う仕事環境を、どのように見つければ良いのか? オープン就労で会社に合理的配慮を求めるにも、クローズ就労で自分に合った働き方や仕事環境を見つけるにも、自分の障害特性をよく理解し対処法を学んでおく必要があります。 そのうえで、自分が提供できる価値は何なのか、仕事を通じて自分は将来どうなりたいのかを考え、就職先を探さねばなりません。これを自分一人だけで行うのはとてもたいへんです。 そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職活動はものごとを段取りよく・計画的に進めて行く必要がありますが、発達障害の特性による「苦手」で上手く進まないという方もいらっしゃいます。 ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、就職活動の軸探しだけではなく、スケジュールを立てること、自己 PR(自分の強み・長所の発見)をすること、予定通りに行動をすることをサポートしています。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください。ご本人からだけではなく、「発達障害の疑いがある方が身近にいて、どのような対応をすればよいか分からない」と悩まれている方からのご相談も受け付けております。ご家族の方はもちろん、「職場に発達障害の疑いがある従業員がいる」という方も、ぜひ一度ご相談ください。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 6. 関連記事 本記事の「1. オープン就労/クローズ就労の 3 つのパターン」の章で触れた「障害者雇用/一般雇用」や「合理的配慮」については、過去のコラム記事で解説しています。詳しく知りたい方はぜひご参照ください。 6-1. 障害者雇用/一般雇用に関するコラム記事 障害者雇用と一般雇用とは?基本情報をまとめました。 支援の現場から見る 障害者雇用・一般雇用のメリットとデメリット 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集 【企業人事に聞いた】変わりつつある「障害者雇用」への考え方 障害者雇用とは?オープン就労を目指す方に向け、基礎情報をまとめました。|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 6-2. 合理的配慮に関するコラム記事 合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介 発達障害のある方の「合理的配慮」事例集 合理的配慮のよくある質問集 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【大人の発達障害の就活HACK】「求める人物像」をチェックしよう

「求める人物像」をチェックすることで、就職後のミスマッチを防ぎ、長く働くことができる可能性が高まります。 今回の記事では、「求める人物像」に書かれている内容の読み解き方について解説します。

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求人に応募しようとするとき、「この会社は本当に自分に合っているのか?」「長く働き続けられる環境なのか?」と不安に感じたことはありませんか? 求人情報にはさまざまな応募条件が書かれていますが、自分に合った会社かどうかを見定めるために、ぜひチェックしておきたいのが「求める人物像」という項目です。 私たちが「自分に合う会社で働きたい」と思うのと同じで、企業側も「この会社に合う人に働いて欲しい」と思っています。「求める人物像」をチェックすることで、就職後のミスマッチを防ぎ、長く働くことができる可能性が高まります。 今回の記事では、「求める人物像」に書かれている内容の読み解き方について解説します。 特に、障害者雇用枠求人の場合、企業が重視するポイントが決まっており、事前に知っておくことで就職活動への準備にもなります。自分に合った長く働ける会社を見つけるために、ぜひこの記事をご参考ください。 [toc] 求める人物像には「この会社に合う人」の条件が書いてある 企業が「求める人物像」を設定する理由は、入社後のミスマッチを防ぐためです。 皆さんは、企業の採用活動に「どれくらいのお金が掛かっているか」をご存知でしょうか。大手人材会社が行った調査 [*注] によると、新しい人材を採用するためには一人あたり平均で 100 万円前後のコストが掛かると言われています。これだけのお金を掛けるのですから、「良い人に就職してもらい、長く働いて欲しい」と企業が考えるのは当然だと言えるでしょう。 応募条件のうち「業務経験」や「資格」「学歴」といったものは、応募書類を見ればすぐに判断ができます。一方で、 ・応募者が、仕事に対しどれくらいの意欲を持っているか ・応募者の興味・志向と、会社の社風・方針がどれだけマッチするか ・応募者の行動タイプや適性(例:慎重派か行動派か、話し好きか物静かか、等)と、募集している仕事がどれだけマッチするか …という「長く働いてもらうために、確認しておきたいこと」は、書類だけではなかなか判断ができません。そこで、「求める人物像」を設定し、応募者に対して「私たちの会社には、こういう人が合いますよ」という条件を知らせようとしているのです。 [*注] 出典:株式会社リクルート 就職みらい研究所「就職白書2020」 求める人物像を見れば「その会社で長く働けているのはどんな人か」が分かる 「求める人物像」は、求人を出している部署や職種で「実際に活躍している人」「実際に長く働いている人」を元に作られています。よって「求める人物像」を見れば、どんな人ならその会社で活躍したり長く働いたりできるのかが分かります。 特に「その業界や職種が未経験でも OK」の求人では、資格や学歴よりも人物像を重視する傾向があります。もし、今まで経験がない仕事の求人に応募したい場合は、自分が持っている仕事への想いや、行動タイプや適性、価値観などが「求める人物像」とどれくらいマッチするのか、しっかりとチェックしておきましょう。 ただし、求める人物像に無理に自分を合わせてはいけない ここまでを読んで「働きたい会社に合わせて、自分の人物像を変えなければいけないの?」と思った方もいらっしゃるかも知れませんが、「求める人物像」に無理に自分を合わせてはいけません。 就職活動は、よくお見合いに例えられます。 「お見合いの席だけ」なら、相手の好みに合わせて演技したり、ごまかしたりすることができるかも知れません。しかし、それで結婚ができたとしても、パートナーと長く一緒に暮らすうちに自然と内面が見えて、ごまかしもいつかはバレてしまいます。 就職活動も同じです。面接でうまく演じて就職ができたとしても、長く働くうちにいつかは無理が生じます。何よりも「本来の自分を偽る」「ずっと相手の理想を演じ続ける」というのは、自分にとっても、とても辛いのではないでしょうか。 雇用条件が良い求人や、自分がやりたいと思っている仕事の求人を見つけたときには、「ぜひ、その会社で働きたい!」という想いがとても強くなります。その会社に就職するために、「少し無理をしてでも、相手の望みに合わせた自分を演じた方が良いのではないか」と考えるのは、ごく自然なことです。 しかし、就職活動とは、「お見合い」のようにお互いの相性を確かめるためのものです。長く働くためには「この会社は自分に合うのだろうか?」という視点を忘れずに「求める人物像」を見るようにしましょう。 でも、気をつけなければならないポイントが 2 つある 「求める人物像に、無理に自分を合わせてはいけない」と言われると、「そうか、現在のありのままの自分を、そのまま出せば良いんだ!」と思ってしまいがちですが、気をつけなければならないポイントが 2 つあります。 ポイント 1. 「相手を尊重する気持ち」を忘れないこと 障害の有無にかかわらず、私たちは誰もが「社会の一員」として生きています。社会の中で生きていく以上は、相手のことを尊重する気持ちが必要不可欠です。 先ほどと同じく「お見合い」を例に考えてみましょう。 お見合いの席なのに、例えば相手が「遅刻してくる」「服が汚れている」「態度が失礼」というようなことがあったら、どう思うでしょう。「せっかくのお見合いで、コチラはそれなりに準備をしてきたのに、相手は自分のことを何も考えてくれていないんだ」と、ガッカリするのではないでしょうか。 「約束の時間を守る」「身だしなみを整える」「礼儀をわきまえた態度を取る」というようなことは、社会人としての基本的なマナーです。そして、マナーを守ることは「相手を尊重する気持ち」を表すための、もっとも簡単な方法です。 「相手に自分を尊重してもらいたいなら、自分も相手を尊重する」という気持ちを、いつでも忘れないようにしましょう。 ポイント 2. 「自分を高めようとする努力」を怠らないこと 人間は誰しも得意なこと・苦手なことがありますが、自分を高めようとする努力を忘れてはいけません。とくに、職務経験を問わない「未経験者 OK」の求人では、多くの場合、「前向きに業務に取り組む姿勢」「積極的に学ぶ姿勢」が重視されます。 例えば、あなたが少年サッカー教室の先生だとしましょう。 試合に出るメンバーを選んでいて、最後の一人を決めようとしています。候補は A 君と B 君。二人とも実力は同じくらいです。 A 君は普段、練習にあまり熱心ではありません。「親から言われて、仕方がなくサッカー教室に通っている」ようです。一方、B 君は普段からがんばって練習に取り組み、みんなが帰った後も残って特訓している姿を、あなたはいつも見ています。 さて、A 君と B 君、どちらを試合に出したいと思うでしょう。二人の実力が同じくらいなら「応援の意味も込めて、がんばっている B 君を出場させたい」と思うのではないでしょうか。 「どうせなら、がんばっている人を応援したい」と思うのが、人の自然な感情です。これは、採用する企業も同じです。たとえ「苦手なこと」があったとしても、「何とかしようと努力している人を採用したい」と企業は思うはずです。 発達障害の特性による苦手を「なくす」ことは難しいかも知れません。しかし、がんばって対策を行うことはできます。次のページでは、障害者雇用枠における「求める人物像」から、どんな対策を行っておけば良いのかを解説します。 準備しよう!障害者雇用枠の「求める人物像」5 つのポイント 障害者雇用枠では、「業務経験」や「資格」「学歴」といった一般的な応募条件の他に、「障害がある方ならでは」の企業の判断ポイントがあります。 厚生労働省が所管する「高齢・障害・求職者雇用支援機構」という組織では、障害者を雇用しようとする企業に向けて、障害者の採用を判断する際のポイントを公開しています。 参考: Q 障害者の採用にあたり、何をポイントに採否を決めたらよいでしょうか?|独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 公開されている情報をもとに、障害者雇用で重視される 5 つのポイントと、それぞれの準備方法をまとめました。 ポイント 1. 勤怠の安定 「短い期間で仕事を辞めてしまう」人の傾向として、仕事にたびたび遅刻したり、突然休んでしまったりする人が多いことが分かっています。 どんなに仕事の能力が高くても、「通院・服薬の管理ができず、健康管理ができていない」「普段の生活リズムが乱れている」という人だと、少しずつ勤怠が乱れ、最後は離職につながってしまうのです。これを防ぐためには、 ・毎日、同じ時間に寝起きし、生活リズムを整える ・食事は三食をしっかり取る ・カレンダーで通院日を管理する ・リマインダーアプリで服薬を忘れないよう管理する …など、まずは自分の健康や生活リズムを、しっかりと管理できるようにしましょう。 ポイント 2. 障害の自己受容 「自己受容」とは、「自分には障害があることを、ちゃんと自分自身で受け入れることができているかどうか」という意味です。もう少し具体的に見てみましょう。 病院で発達障害の診断を受けたり、障害者手帳を取得したりするだけでは「自己受容できている」とは言えません。自己受容できている状態になるためには、以下の準備が必要です。 ・「自分の障害にはどんな特性があるのか」を他人に説明できる ・「障害の特性により、どんなことが苦手か」を他人に説明できる ・「苦手なことをどのように管理し、対策を行えば良いか」を、自分で考え・実践している ・「ストレスをどのように管理し、対策を行えば良いか」を、自分で考え・実践している ・「障害の特性による困難さ」について、周囲とコミュニケーションを取り、助けを求められる(合理的配慮の申出ができる) 他人に説明したり、自分で対策したりするためには、上記の要素を自分で整理・まとめてナビゲーションブック(自分の取扱説明書)を作っておくことがおすすめです。 なお「合理的配慮」の考え方については、以下のコラム記事もご参照ください。 参考① 「合理的配慮」申請マニュアル 4つのステップと知っておくべきポイントをまとめました。 参考② 自分にとって必要な配慮は?を学ぶための、合理的配慮の事例集 ポイント 3. 就労意欲・仕事への熱意 「勤怠の安定」や「障害の自己受容」はとても重要なポイントですが、就職活動前に完璧に準備するのは難しいもの。そこで、足りない部分をカバーするために必要なのが「就労意欲・仕事への熱意」です。 「がんばって働きたい!」「この仕事をしたい!」という意欲や熱意があれば、完璧にできていない部分があっても後から身に付けていくことができますし、周囲からも「がんばっているから、サポートしてあげよう!」と思ってもらいやすくなります。 意欲や熱意を持つために、まずは自分が「何のために働くのか」「どんな仕事をしたいのか」という就職の軸を立てましょう。以下のコラム記事で、就職の軸の立て方を解説していますので、ご参照ください。 参考:大人の発達障害がある方の就職活動は「ウォーミングアップ」で成否が決まる!|発達障害のある方のためのお役立ちコラム ポイント 4. コミュニケーション力 障害の有無に関わらず、生きていくなかで起こるすべての課題を自分一人で解決することは困難です。「障害の自己受容」の項目でも書いたとおり、周囲に助けを求められる(合理的配慮の申出ができる)ことは大切なポイント。そのためには、コミュニケーション力を高めましょう。 コミュニケーション力とは、「話がうまい」とか「社交的である」ということではありません。 まずは「あいさつや、返事をちゃんとする」「仕事の報告・連絡・相談ができる」というところから始めましょう。「身だしなみを整える」「ルールやマナーを守る」ことも、周囲の人たちに良い印象を与えるという意味で大事なコミュニケーションの一つです。 会社に限ったことではありませんが、生きていれば必ず「あれ、ちょっとこの人は苦手だな」という人とも出会います。そのようなときにも、自分の感情をコントロールできるようにしましょう。苦手な人でもちゃんと挨拶する、注意されたときは素直に謝る、という気持ちも大切です。 自分にできることから、少しずつ始めていきましょう。 ポイント 5. 主体性・積極性・自発性 「主体性を持って、自分からも積極的・自発的に仕事に取り組んで欲しい」というのは、障害者雇用に限らず、よく言われることです。ただ、これはある程度仕事に慣れ、会社や業務の仕組みが分かってこないと難しいものですので、最初から「主体性や積極性、自発性を身に付けなければ…」と気負う必要はありません。 まず大切なのは、仕事への意欲や熱意を持つことです。そして、規則正しい生活をし、周囲の人のことも考えたコミュニケーションを心がけます。コミュニケーションを取る中では、自分が得意なこと・苦手なことを伝えることも大切ですので、自分の障害をちゃんと自己受容できるよう、自分を見つめ直しましょう。 そうして、仕事を続けていくうちに段々と業務にも慣れていき、 ・次の作業の準備を、言われる前に先にしておこう! ・少し余裕があるから、何か手伝えることがないか聞いてみよう! ・もっとこうすれば効率が良くなるかも。提案してみよう! …というように、主体的に仕事に取り組めるようになります。つまり、これまでに書いてきたポイント 1〜4 をしっかりと準備することが大切なのです。 もし、一人ではうまく考えられず悩んでしまったら 今回ご紹介した「求める人物像」は、さまざまな企業・さまざまな「求める人物像」がある中での一例です。もしも「今の自分には当てはまらないな…」と感じても、落ち込む必要はまったくありません。 一方で、「障害の自己受容」や「コミュニケーション力を高める」ことは、障害と向き合いながら働いていく上では必要不可欠ですが、これらは発達障害の特性による苦手と重なる部分でもあり、できるようになるには、ある程度の訓練が必要です。 そんなときのサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。今回「障害の自己受容」の見出しでご紹介した “ナビゲーションブック” も、ディーキャリアで行っている支援プログラムのなかで、実際に作成を行っています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【大人の発達障害の就活HACK】面接の準備をしよう|対策と流れ

大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。

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書類選考を通過すると、いよいよ次は面接です。初めて会う人と話すのは誰でも緊張するもの。ましてや、それで就職できるかどうか決まると思うと、いっそう緊張感は高まります。 大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。 スケジュールを立てることや見通しを立てることが苦手で、面接準備が間に合わない 遅刻をしてしまうことが多く、面接時間に間に合わない 考えを頭の中でまとめるのが苦手で、質問にうまく答えられない 面接官からの質問を忘れてしまったり理解ができなかったりすることで、かみ合わないことがある そもそもコミュニケーションが不得意で、話すことが苦手 など、特性による苦手によって “つまずき” を感じることがあります。 この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。 面接は職場の実際の様子を見たり、担当者と直接話をしたりできる貴重な機会でもあります。しっかりと準備をしていきましょう。 [toc] 1. 事前の準備が何よりも大切 発達障害のある方に特に多いのが、人前で話すのが苦手という悩みです。「人前で話すことが得意な人でないと、面接はうまく行かないんじゃないか…?」と心配に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、決してそんなことはありません。たとえ人前で話すことが苦手でも、事前の準備をしっかりすることで面接を乗り越えることができます。 マイクロソフト社で 10 年以上にわたりトップ・プレゼンターとして表彰され続けた澤 円(さわ・まどか)さん。人前で話すプロフェッショナルであり「プレゼンの神様」とまで呼ばれた澤さんは “プレゼンが成功するかどうかは、8 割が準備で決まる” と語っています。(澤さんご自身、発達障害の当事者でもいらっしゃいます。) 「私は人前で話すことが苦手だから、面接は自信がない…」という方ほど、準備にしっかりと時間をかけましょう。 1-1. しゃべる内容の台本を作る どんなに話し方がキレイなアナウンサーでも、名演技をする俳優でも、しゃべっていることには必ず台本があります。まずは、面接でしゃべる内容を紙に書き出して、台本を作りましょう。 「面接では何を聞かれるか分からないのに、台本が作れるの?」と思われるかも知れませんが、ほとんどの面接では、聞かれることは共通しています。たとえば以下のようなものです。 この会社へ応募しようと思ったのはなぜですか?(志望動機) あなたがこの会社へ入ったら、どのようなことで活躍できますか?(自己 PR) あなたの長所や短所を教えてください。(自己分析) あなたが、これまでの人生で体験した成功/失敗について教えてください。(自己分析) 特に “志望動機” や “自己 PR” は、応募書類(履歴書・職務経歴書)にも書いていますので、書類に書いたことと面接でしゃべることが食い違ってしまわないよう注意しましょう。食い違ってしまうと話がウソっぽくなり、マイナスの評価になってしまいますので、書類に書いた内容をもとに台本を作りましょう。 障害者雇用枠での採用面接の場合、以下のような “障害に関する質問” もされますので、こちらも台本を作っておきましょう。 あなたの障害特性について教えてください 必要な合理的配慮は何ですか? あなたが行っている「障害へのセルフケア」について教えてください なお、合理的配慮の考え方については以下の記事もぜひ参考にしてみてください。 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 手書きの書類を郵送で送る場合は、台本を作るために、発送前にコピーを取って手元に残しておくことをオススメします。もし、コピーを取らずすでに書類を送ってしまっている場合は、できる限り思い出して書いてください。 1-2. 実際に声に出して練習する 台本ができたら、実際にしゃべる練習をしましょう。声に出してみて、しゃべりづらい部分があれば台本を手直しします。台本を丸暗記する必要はありません。自分の言葉で、自然に話せることが大切です。 しゃべっている内容を誰かに聞いてもらっても良いでしょう。第三者の視点から、自分では気が付かないこともアドバイスしてもらえることがあります。「誰かに聞かれるのは恥ずかしい」「聞いてもらえる相手が近くにいない」という場合は、スマートフォンの “ボイスメモ” のアプリを使って自分の声を録音し、自分で聞いてみるだけでも新たな発見があります。 練習では、話すスピードや量を意識することが大切です。①早口になりすぎない ②話が長すぎない…の 2 つを意識して台本を作りましょう。例えば、自己紹介の場合は「文字数は300~500字」で台本を作り、ストップウォッチで時間を測りながら「2分以内」で話せるように練習をしてみましょう。 このあと「2. 面接当日の流れを知っておこう」で、実際の面接の流れについて解説しますが、それに沿って練習するのもオススメです。例えば、家族や友人に面接官役をやってもらい、自分は実際にスーツを着て、部屋に入るところから実際に受け答えするところまでを一通りシミュレーションしてみるのです。心の準備にもなり、当日の緊張を和らげることができます。 1-3. 当日の準備をする 面接の当日、実際に出かけるときの準備も、事前にしっかりと済ませておきましょう。準備のポイントは、以下の 2 点です。 ポイント 1. 身だしなみを整える 身だしなみはとても大切です。「人は外見よりも中身の方が大事だ」とよく言われますが、身だしなみは社会人としてのマナーの基本です。面接官からも見られるポイントになりますので、しっかりと準備をしておきましょう。 服装は基本的に、上下セットのスーツです。ワイシャツは体に合ったサイズを選び、シワがないようアイロンをかけます。革靴も磨いておきましょう。 「面接に着ていけるようなスーツをまだ持っていない」という方は、スーツ専門店で購入しましょう。店員さんに「就職活動の面接で着ていけるスーツが欲しいんですが……」と尋ねれば、最適なモノを見繕ってもらえます。自分の体型に合ったワイシャツや、ネクタイ・靴下・革靴までセットで揃えることができます。 身だしなみや面接に着ていく服に悩んでいる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】朝の準備をテンプレ化!ワーキングメモリーの弱み&衝動性対策で遅刻を防止 ポイント 2. 遅刻をしないようにする 面接でもっともやってはいけないことは、約束の時間に遅刻することです。身だしなみと同じく、「約束や時間を守ること」は社会人としての基本的なマナーです。履歴書がどんなに立派でも、面接でどんなに上手く自己 PR できたとしても、遅刻をしたらすべてが台無しになってしまうので、じゅうぶん注意しましょう。 「途中で交通機関が遅れたり、体調が悪くなったりしたら仕方がないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、「そうなったとしても、できるかぎり遅刻をしない」ように事前に準備しておくことが大切です。 交通機関が遅れるかも知れない → 約束の時間より1時間ほど早く到着できるよう、余裕を持って出発し、早めに着いたら、目的地周辺のレストランやカフェなどで時間まで待機する。 途中で体調が悪くなるかも知れない → 前日は早く寝て体調を整える。「緊張するとお腹が痛くなりやすい」など、特定の症状が出やすいことが分かっている場合は、胃腸薬などの薬を事前に用意して持って行く。 当日「やむを得ない事情」や「急用」で遅刻やキャンセルをする際には、必ず先方に電話で連絡を入れます。(メールだと、相手が気が付くまで時間がかかるため。)先方の連絡先をあらかじめ携帯電話やスマートフォンに登録しておき、すぐに連絡ができるよう準備しておきましょう。 「やむを得ない事情」や「急用」とは、以下のようなものです。 体調を整えることにじゅうぶん注意していたが、それでも体調を崩してしまった場合(例:持病が急に悪化してしまった、新型コロナやインフルエンザなどの感染症にかかってしまった、等) 地震などの突然の災害や大規模な事故などで、交通機関が2時間以上遅れたり、運休したりしているような場合 自分の親や子ども、一緒に住んでいる家族など「近しい親族」に、命に関わるようなことが起こった場合(例:交通事故に遭って病院に運ばれた、病気で入院していたが危篤状態になった、等) 自分自身が、何かの事件や事故に巻き込まれた場合 なお、遅刻をしないためのテクニックについて、以下の記事でスマートフォンアプリを活用した方法を解説しています。こちらもぜひご参考ください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】アプリ活用で予定通りに行動!原因を理解して、遅刻対策をしよう。   2. 面接当日の流れを知っておこう 「これまで面接を受けたことがない」という方でも、面接の当日どのような流れで何をするのか知っておくことで、緊張感をやわらげることができます。面接当日の流れは、どの会社でも概ね以下のように進みます。 2-1. 受付 面接先の会社に到着したら、まずは受付です。多くの場合、面接の連絡メールに受付方法も記載されているので、事前に確認しておきましょう。 相手から受付方法が特に指示されていない場合は、会社の受付で以下の項目を伝えましょう。(会社によっては受付がなく、入口に設置された内線電話で担当者を呼び出す場合もあります。) 自分の名前 来社の目的 相手の担当者の部署と名前 面接の約束時間 実際の言葉にすると、以下のようになります。 「お世話になっております。私、ヤマダタロウと申します。本日は採用面接のために参りました。人事部のスズキハナコ様と、14:00にお約束を頂戴しておりますが、おつなぎいただけますでしょうか。」 受付が済むと案内係の方が、待合室か面接を行う部屋まで案内してくれます。 2-2. 入室 面接を行う部屋に入るパターンは、以下の 2 つがあります。 パターン 1. 自分でドアを開けて入る場合 新卒採用など、同じ日に何人も面接試験を受けるような場合に多いパターンです。イメージとしては「病院の待合室で待っていて、名前を呼ばれたら診察室に入る」というような感じです。 自分の順番が回ってきて名前を呼ばれたら、まずはドアをノックします。中から「どうぞ」と返事があったら「失礼します」と言ってからドアを静かに開け、部屋に入ります。ドアの方を向いて静かにドアを閉めてから、面接官の方に向き直り、「ヤマダタロウです。よろしくお願いいたします」と大きな声で言いましょう。 面接官から「どうぞ、おかけください」と促されたら、「失礼いたします」と言ってから、イスに座ります。 パターン 2. 面接を行う部屋まで、直接案内される場合 中小企業の新卒採用や、中途採用など、自分一人だけが面接を受けるような場合は、案内係の方が面接を行う部屋まで直接連れて行ってくれるパターンもあります。 その場合、ドアは案内係の方が開けてくれます。「どうぞ」と促されたら、「失礼します」と言ってから部屋に入ります。 面接官がすでに部屋にいる場合は、パターン1と同じようにします。 面接官がまだ部屋に来ていない場合、案内係の方が「こちらにおかけになってお待ちください」と促してくれるので、「ありがとうございます」とお礼を言ってから座りましょう。しばらくして、面接官が部屋に入ってきたら、自分も一度、席を立って挨拶をします。面接官から「どうぞ、おかけください」とうながされるまで、座らないよう注意しましょう。 2-3. 面接〜退室 面接は誰でも緊張します。言葉につかえてしまったり、スムーズに話せなかったりしても慌てることはありません。面接官の質問をよく聞き、ゆっくりと・正確に答えることを意識しましょう。 先ほど「1-2. 実際に声に出して練習する」で解説したとおり、家族や友人に協力してもらい、質問に受け答えする練習をしておくと、緊張感をやわらげる効果があります。 面接が終わって退室する際にも、2 つのパターンがあります。 パターン 1. 自分でドアを開けて退室する場合 入室の際に自分でドアを開けて入った場合は、退室の際も自分でドアを開けて退室します。 面接が終わったら、まずは座ったまま「ありがとうございました」とお礼を述べ、席を立ちます。起立した状態でもう一度、一礼しながらお礼を述べたあと、ドアの前に向かいます。 面接官の方に向き直り、「失礼します」と述べながら一礼したあと、ドアを開けて退室し、静かにドアを閉めます。部屋を出たら、案内係の方の指示に従って帰りましょう。 パターン 2. 面接官と一緒に退室する場合 受付のあと、面接を行う部屋まで直接案内された場合は、面接官と一緒に退室する場合がほとんどです。 面接が終わり、まず座ったままお礼を述べる → 起立してもう一度お礼を述べるところまではパターン 1 と同じです。その後は、面接官の方が促してくれるのに従って退室します。 ほとんどの場合、退室したあとそのまま建物の入口やエレベーターまで面接官が案内してくれるので、付き従って帰りましょう。一緒に歩いているときに面接官の方から雑談など話しかけてくる場合もありますので、心の準備をしておきましょう。(相手が話しかけてこないときは、こちらから無理に話しかける必要はありません。)   3. 大人の発達障害がある方が面接でつまずきやすいポイントと対策 発達障害の特性によって、面接でつまずきやすいポイントについて、それぞれ解説します。 3-1. 「服装自由」の場合はスーツで行く たまに、面接の案内で「自由な服装でお越しください」と書かれていることがありますが、これは「本当に自由な格好(私服)で来てください」という意味ではありません。「スーツか、ビジネスカジュアル(オフィスカジュアル)で来てください」という意味なので、注意しましょう。 自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性として、「はっきりと文章で示されていないことを理解するのが苦手」「書いてある文字どおりに指示を受け取ってしまう」というものがあります。 この特性によって、どんな服装で参加するべきか分からず悩んでしまうことや、文字どおりに「自由な服装(カジュアルな服装や、面接にふさわしくない服装)でもいい」と受け取ってしまい、「面接の当日、会場に行ってみたら一人だけ場違いな服装で浮いてしまった」という失敗をしてしまう方は少なくありません。 ビジネスカジュアル(オフィスカジュアル)は、慣れていないと何を着たら問題ないのか判断するのが難しいため、あまりオススメしません。従い、「服装自由」の場合はスーツで行くのが無難です。 3-2. 一気に何社も応募しない 「早く就職先を決めたい」と焦ってしまう気持ちもあるかと思いますが、何社も一気に応募しないようにしましょう。 注意欠如・多動性障害(ADHD)の特性として、マルチタスクや計画的に物事を進めることが苦手なため、いくつもの会社を同時並行で進めると、準備時間が足りなくなってしまうことがあります。 できれば 1 社ずつか、多くても 2 社に留めておきましょう。また、面接日の当日だけでなく、「応募書類の作成」や「面接の練習」といった予定もカレンダーに書き込んで “見える化” し、計画的に進めることをオススメします。 3-3. 困難な点は、あらかじめ履歴書で相手に伝えておく 障害者雇用枠への応募の場合は、面接でも障害の特性へ配慮をしてくれます。面接にあたり、なにか特別に困難さを感じることがある場合には、あらかじめ履歴書に書き添えて相手に伝えておきましょう。 例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性として、面接官から複数の質問を一気にされた場合に、混乱して質問への回答がいくつか抜け落ちる・質問の意図と異なる回答をしてしまう、ということがあります。 その場合には「障害の特性により、口頭で複数の指示を一気にされると理解することに困難さがあるため、質問は一つずつしていただけますと幸いです」というように、履歴書に書き添えておくと良いでしょう。 例えば、発達障害の特性による苦手で、質疑応答の際に以下のような “つまずき” をしてしまうことがあります。 口頭での指示を聞き漏らすことがある 一度にたくさんの質問をされると混乱してしまう 言葉が出るのに時間がかかる 質問の意図を汲み取ることが苦手 このような “つまずき” への対策として、「面接官に留意してもらいたいポイント」を履歴書に書き、事前に伝えておくようにしましょう。書き方の例は、以下のとおりです。 「障害特性により、聴覚情報(口頭での質問)の処理に時間がかかることがあり、質問を聞き直すことがありますが、ご了承ください。」 「障害特性により、一度に複数の質問をされることと混乱してしまうため、ひとつずつ回答をさせていただけますと幸いです。」 4. もし、なかなか面接がうまく行かなかったら 発達障害のある方は、特性により「人とのコミュニケーション」に対して困難さを感じることが多いため、企業側の担当者と直接コミュニケーションしなければならない面接は、採用試験における大きな壁です。 障害の有無に関わらず、不採用となってしまったときのショックは大きいもの。面接でうまく自分をアピールすることができず、「どんどん自信がなくなってしまう」とお悩みの方は少なくありません。 そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 先ほどもご紹介したとおり、就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、 障害者雇用枠ならではの「障害特性の説明」に難しさを感じるので、もっと自分の障害について理解したい コミュニケーションスキルを身につけて、面接でスムーズに話せるようになりたい 自己 PR に書ける、自分の “強み” や “長所” を探したい これからどんな仕事をしていきたいか、ゼロから考え直したい …など、「就職活動に挑む前に準備をしたい」という発達障害のある方をサポートいたします。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 記事監修:清野 玲子(キャリアコンサルタント/社会福祉士) 人材会社でのキャリアアドバイザー等経験したのち、就労移行支援事業所ディーキャリアの立ち上げに参画。発達障害の特性による苦手や困りごとを抱える方の就労支援に携わる。 現在は、発達障害のある方の特性に応じた就労プログラム開発、支援スタッフ向け研修講師・スーパーバイザーなど幅広い業務を担当。
【当事者が解説】大人の発達障害の診断は受けるべき?メリットや注意点を紹介

発達障害当事者が、診断を受けるか悩んだ実体験をもとに「診断を受けるメリットやデメリット」「診断を受けるために必要な手順」「診断を受ける場合の注意点」「実際に診断を受けて何が変わったのか」を解説します。

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「発達障害のことを調べていたら、思い当たることが多かった」「発達障害の診断チェックリストをやってみたら、多くの項目に当てはまった」 働きづらさや生きづらさを感じている方のなかには、こうしたきっかけで発達障害について知った、という方も多いのではないでしょうか。何を隠そう、筆者もその中の一人です。 私は「自分は発達障害なのかもしれない」と思ってから医師の診断を受けるまでに、さまざまな悩みごとを経験しました。今回の記事では、実際に当事者として悩んだ経験をもとに 診断を受けるメリットやデメリットはあるのか 診断を受けるためには、どういう手順が必要なのか 診断を受ける場合、何か注意すべきことはあるのか実際に、筆者が診断を受けてみて何が変わったのか …について解説します。 [toc] 1. 発達障害について最初に押さえておきたい 2 つのキーワード〜①生まれつき ②ミスマッチ〜 すでにインターネットなどで情報をご覧になり、発達障害が「先天的な脳機能の障害」であることや、いくつかの種類があることをご存知の方も多いかと思います。(自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)、等) 発達障害について理解するために、もう少し表現をかみ砕いてみましょう。 発達障害とは、生まれつきの “脳の発達の偏り” がきっかけとなり、生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。押さえておきたいキーワードは ①生まれつき ②ミスマッチ…の 2 つです。それぞれについて解説します。 なお、大人の発達障害について基礎知識について知りたい方は、以下のページもご参照ください。 大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア キーワード 1「生まれつき」〜発達障害とは、本人の努力不足や親の育て方の問題ではない〜 「生まれつき」ということは、つまり、自分が大人になるまでの間に努力をしてこなかったとか、親の育て方が悪かったとか、そのような問題ではないということです。 過去の自分を責める必要はありません。「発達障害というものの存在を知った、今、このときから何ができるのか」を考えることが大切です。 キーワード 2「ミスマッチ」〜発達障害の方の “生きづらさ” は、周囲の環境によって起こっている場合がある〜 「ミスマッチが起こることで生きづらさが生じる」ということは、逆に「ミスマッチがなければ、生きづらさは生じない」とも言えそうです。これは一体、どういうことなのでしょうか。 社会学では、障害とは「個人の特性」によって起こるのではなく「社会との関係」によって起こるのだという、障害社会学 [*3]という考え方があります。 例えば、近視で遠くがよく見えない人がいるとしましょう。 現代は、メガネやコンタクトレンズがあります。パイロットなどの特別な職業でない限り、多くの人はそれほど遠くまで見えなくても仕事や日常生活に困りません。必要なら双眼鏡などの道具を使うこともできます。近視だったとしても、「社会的な不利益」を受けることは少ないと言えるでしょう。 しかし、これが原始時代だったらどうでしょうか。 遠くがよく見えなければ、狩りで獲物を探したり、迫ってくる危険をいち早く見つけたりすることができません。そのため、同じ集落の仲間に迷惑を掛けてしまい、「お前は役立たずだ」と言われて集落から追い出されてしまうかも知れません。近視であることで、「社会的な不利益」を受けてしまうおそれがあるのです。 周りの環境や社会との関係によって不利益を受けることが障害なのであり、個人の特性(近視であること)が障害なのではないというのが、障害社会学の考え方です。 実際に筆者も、職業や働き方を変えたことで “働きづらさ” は大きく改善されました。今は、一緒に仕事をしていても、私に発達障害があることにまったく気が付かない人もたくさんいます。 発達障害そのものに対してなにか対策を行うだけではなく、自分の特性とミスマッチを起こしている環境もあわせて見直すことが、とても重要なのです。 [*3] 参考文献:テーマ別研究動向(障害の社会学)|J-STAGE   2. 発達障害の診断を受けるべきか〜3 つのパターン別に考える〜 では、「自分は発達障害なのかもしれない」と気が付いたあと、次のステップとして「医師による診断」を受けるべきなのでしょうか。3 つのパターンに分けて考えてみましょう。 パターン 1:「診断を受けた方が良い」と思われるケース 発達障害の特性(障害による特徴)による困りごとが原因で「学校や職場で人間関係がうまく行かない」「仕事が長続きせず転職を繰り返してしまっている」など、今、実際に働きづらさ・生きづらさを感じている方は、診断を受けた方が良いと考えられます。 診断を受ける最大のメリットは、公的な福祉の支援を受けられるということです。 例えば、障害に配慮した職場で働くことができる「障害者雇用枠」に応募するためには障害者手帳が必要ですが、診断を受ければ申請することができます。障害により生活に支障が出た場合に支給される障害年金なども、診断を受けることで申請が可能となります。 また、働く意欲を持った障害がある方の、職業訓練や就職活動を支援する就労移行支援のサービスを受けることもできます。 今、実際に働きづらさ・生きづらさを感じている方は、診断を受け専門家の支援を利用することで、改善に向けた第一歩が踏み出せるのではないかと思います。 パターン2:「必ずしも診断を受けなくても良い」と思われるケース 「自分は発達障害かも知れない」と思っても、もし現在の仕事や生活環境に大きな問題がなく過ごせているなら、診断を受ける必要はないと考えられます。 先ほど “ミスマッチ” のキーワードでご紹介したように、たとえ発達障害があったとしても、本人が周りの環境=社会との関係のなかで「不利益を受けている」と感じなければ、それは障害ではないと言えるからです。 また、現時点で大きな問題がなくても、将来的に環境が変わって生きづらさを感じてしまったときに診断を受け福祉の支援を活用する、ということももちろんできます。 気をつけたいポイント:本人ではなく、周囲の人が困りごとを感じている場合 当事者の身近な方(ご家族や、職場の同僚の方など)から「本人はあまり気にしていないが、周囲は本人の言動によって負担を感じている。発達障害だと思うがどうすれば良いか」というご相談を受けることがあります。 この場合、本人に「あなたは発達障害ではないか」と告げたり、いきなり診断してもらうことを促したりすのではなく、一度、本人ぬきで専門の窓口にご相談することをおすすめします。 発達障害と似た困りごとが別の原因で起こることもありますので、素人が判断して原因を特定することは困難です。仮に、本当に発達障害があったとしても、本人に直接告げることで人間関係が悪化してしまうおそれもあります。 もちろん、周囲が一方的に負担を感じている状態は健全ではありません。相談窓口には、以下のようなものがあります。第三者の力を借りて解決に取り組んでいくことが大切です。 自治体の障害福祉担当の窓口(障害福祉課、障害支援課など) ハローワークの障害者雇用担当窓口 就労移行支援事業所の無料相談窓口 パターン 3:「診断を受けるかどうか、状況に応じて検討した方が良い」と思われるケース 判断に迷うのは、「多少の働きづらさ・生きづらさを感じてはいるが、頑張れば何とかできなくもない」という場合です。 周りから見れば「少し要領が悪いだけ」のように見えても、ご本人は「人の何倍も努力を重ねて苦手なことをカバーしている」というケースも少なくありません。このような状態も “ミスマッチ” であると言えるでしょう。 「頑張ればできなくもないが、つらい」という場合には、診断を受けて公的な福祉の支援を活用することを検討してみても良いかも知れません。 仮に発達障害だと診断を受けたとしても、それを家族や会社に伝えるかどうか、実際に公的な福祉の支援を申請するかどうかは、自分で決めることができます。病院には守秘義務がありますので、自分から伝えない限り、診断を受けたことを誰かに知られてしまうことはありません。 それでも「いきなり病院へ行くのはちょっと…」という場合は、まず “相談窓口” を利用してみても良いでしょう。 相談窓口には公的なものから民間のものまで、さまざまな種類があります。インターネットで検索すると、無料のセミナーや当事者会なども見つかります。診断を受けなかったとしても、同じ悩みを持つ人たちと話をしたり、特性への対策法を学んだりすることで、つらさが改善できる場合があります。 以下の記事で相談先の一例をご紹介していますので、ご参照ください。 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集「Q12. 一般雇用で働いているけど、働きづらさ・生きづらさを感じている。会社には知られないようにどこかに相談したいが、どこか相談先はあるか?」   3. 診断を受けたい場合はどうすれば良い?〜病院の選び方や手順、診断までにかかる時間〜 「発達障害の特性による困りごとを解決するために、診断を受けたい」と思った場合、実際にどうすれば良いのかについて解説します。 3-1. どの診療科を受診する?〜大人の発達障害は “精神科” や “心療内科”〜 大人の発達障害に対応している診療科は、“精神科” や “心療内科” です。 ただ、発達障害の専門医は日本ではまだ多くないため、すべての精神科や心療内科が対応しているとは限りません。まずは病院・クリニックのホームページを見て、発達障害に対応しているかどうかを確認しましょう。 3-2. 病院を選ぶ際の 4 つのポイント〜①場所 ②予約方法 ③治療方針 ④支援機関とのつながり 「インターネットで検索したら、“発達障害対応” と書いてある病院の情報がいくつも出てきて、どこを選んだら良いのかよく分からない」という場合は、次のポイントをチェックしましょう。 ①通いやすい場所にあるか 病院を初めて受診してから診断を受けるまでには数ヶ月かかります。問診や検査などで何回か通院することになりますし、診断後もかかりつけ医として長くお付き合いすることになりますので、通いやすさは大切なポイントです。 人によっては「発達障害で通院していることを周囲に知られたくない」という方もいらっしゃるかと思います。その場合、自宅から少し離れた駅の病院や、職場への通勤途中にある病院を検討してみると良いでしょう。 ②予約が取りやすいか 予約が取りやすいかどうかも大切なポイントです。先ほどご紹介したように、日本ではまだ発達障害の専門医が少ないため、混雑している病院の場合「初診を受けるのに数ヶ月待ち」というケースもあります。 また、長く通院することを考えると “事前予約できない” “予約の変更が柔軟にできない” というような病院では、だんだんと通いづらくなってしまいます。病院のホームページを見て、“予約のしやすさ”  もチェックしておくと良いでしょう。 ③治療方針がホームページにしっかり書かれているか 発達障害の治療方針について、ホームページ上にどのような情報を載せているかチェックしましょう。 その先生が発達障害についてどのように考えているか、どれだけ診療の実績があるのか、どういう方針で治療を行っているのかを確認しておくことで、“先生とのミスマッチ” を防ぐことにもつながります。 ④地域の支援機関とのつながりがあるか もし、ご自分で調べてもどこが良いのか分からず悩んでしまうという場合には、先ほどもご紹介した以下の相談窓口に聞いてみる、という方法もあります。 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集「Q12. 一般雇用で働いているけど、働きづらさ・生きづらさを感じている。会社には知られないようにどこかに相談したいが、どこか相談先はあるか?」 こうした相談窓口は近隣の病院と連携して支援活動を行っていることが多いため、つながりのある病院を紹介してくれる場合があります。相談窓口とつながっている病院は、それだけ発達障害のある方の支援に積極的だとも言えますので、病院選びのポイントとしてチェックしてみてください。 3-3. 初診から診断までの手順と期間〜診断までには数ヶ月かかる〜 では、実際に初診を申し込んでから診断が出るまでのステップについて、具体的に見ていきましょう。病院によって細かな部分は異なりますので、ここでご紹介するステップは一例としてご参考ください。 ステップ 1. 問診 まずは医師による問診が行われます。皆さんも病院を受診する際に “問診票” を記入したご経験があるかと思いますが、発達障害の場合の問診票は項目がかなり多く「いつ頃からどんな困りごとが出ているのか」「どのような環境で育ってきたか」「勉強や学校生活での様子はどうだったか」など、さまざまな質問に答えます。 また、初診時に簡易的な心理テストを行う場合もあります。 ステップ 2. 観察 発達障害の診断は、医師により現在の状態・成育歴・行動観察・認知や知能等の心理検査の結果などを総合して行われますので「診察を受けたらすぐに診断が確定する」というものではありません。 発達障害であるかどうかを調べるため、何回か診察を行って症状を観察します。また、診断に必要な情報を知るための調査を行う場合もあります。 例えば ADHD の場合、「症状のいくつかが 12 歳までに存在していたかどうか」が診断基準の一つであるため、子どものころの状況をさらに詳しく知るために「学生時代の通知表で先生や親のコメントを確認する」「(可能な場合は)家族に当時の様子を聞いてそのメモを先生に提出する」といった調査を行うこともあります。 ステップ 3. 検査 診断基準の一つとして「WAIS-Ⅳ(ウェイス・フォー)」などの心理検査を実施します。 この検査では、思考力や作業力といった認知能力を測るテストを行い、“脳の発達の偏り” の程度を調べることで、発達障害の特性や傾向を読み取ります。 検査は臨床心理士により行われ、数時間かかります。担当できる臨床心理士の数が限られるため、検査の順番を数週間待たねばならないケースもあります。 ステップ 4. 診断 ここまでの問診・観察・検査を総合して、医師により診断が行われます。初診から診断が出るまでには数ヶ月かかります。 総合的な判断の結果「発達障害ではない」「発達障害の基準は満たさないが、傾向はある」といった診断がくだされる場合もあります。 その場合、発達障害の診断書が必要な公的な福祉サービスを受けることはできませんが、引き続き通院を続けることで、心を落ち着かせるための薬を処方してもらったり、カウンセリングや心理療法による治療を受けたりすることは可能です。   4. しくじり先生〜実際に診断を受けた当事者の失敗談〜 筆者も発達障害の当事者として診断を受け、「障害者手帳の取得」や「税金の障害者控除」などの支援を利用しています。しかし、実際に通院を始めてから診断を受け、現在に至るまでには、いくつもの失敗がありました。そんな筆者の経験を、しくじり先生形式で 2 つご紹介します。 しくじり①:病院の先生は「支援」もしてくれると思っていた 発達障害の診断を受けようと、メンタルクリニックの初診を申し込んだとき、私は「自分の悩みや、これからどうしたら良いのか相談に乗ってもらえる!」と、とても期待していました。 しかし、先生の診察を何回か受けるにつれて、違和感を覚えるようになりました。たしかに、毎回の診察で先生は「最近はいかがですか。困りごとに変化はありませんか。」と優しく聞いてくださいます。しかし、私が何をお話ししてもカルテに書き留めるだけで、何もアドバイスをくださらないのです。 私は、医師の診察とカウンセリングを同じものだと勘違いしていました。さらに、病院と障害者支援機関を同じものだと勘違いしていたのです。 先生がお話を聞いてくださるのは、症状の診断や薬の処方のための「診察」です。悩みごとを聞いて相談に乗ってくれるのは「カウンセリング」であり、まったく別でした。(同じ病院内でカウンセリングを行っている場合でも、料金や予約は診察とは別です。) また、お仕事や生活について支援してもらうためには、病院ではなく、障害者支援機関に相談することが必要だったのです。 先ほど相談窓口についてご紹介しましたが、私はそうした窓口に一度も相談することなく、インターネットで調べた知識だけでいきなり病院を受診してしまったため、仕組みがどうなっているのかまったく知りませんでした。 現代は、インターネットがあれば何でも調べられる「ような」気持ちになってしまいがちです。しかし、一度で良いから専門の窓口に相談していれば、こんなに一人で苦労せず何か支援してもらえたのではないかと、後悔してしまいました。 しくじり②:診断を受ければ「仕事ができなくても許される」と思っていた 発達障害の診断を受けた当時、私は社員が10名ほどの小さな会社で営業職として働いていました。営業ですので、アポイントを取るために電話をかけたり、商談で交渉したりもします。当然ノルマがあって、達成できるよう自分で計画を立てて営業活動をしていかねばなりません。 しかし、私は電話や交渉ごとがとても苦手で、さらに段取りよく仕事を進めることも不得意だったため、営業成績が悪く、上司からたびたび注意を受けていました。「なぜ、何度注意されても直すことができないのだろう」と落ち込み、自分の努力不足を責めていました。 “電話が苦手“ “段取りが悪い” というのは、発達障害の特性による困難さの例として、見たことがある方も多いことでしょう。私はインターネットで自分の困りごとの原因が発達障害だと分かったときに、「自分の努力が足りないせいではないのだ」と、とても気持ちがラクになったように感じました。 では、発達障害の診断を受けたことで「電話ができず、段取りが悪くて、営業成績が上がらないけど OK」と許してもらえるのでしょうか。 皆さんもお分かりになるかと思いますが、答えは「No」です。 企業には、障害がある方に対して配慮をする義務があります。しかし、それは「障害があれば、どんなことでも許してあげる」という意味ではなく、「障害者のある方が、自分の能力を活かして働けるように配慮する」という意味です。 私は、診断を受けたことで “仕事ができない自分” を許してもらえるような気になっていました。しかし、発達障害の特性で営業職が向いていないのであれば「営業の仕事以外で、自分が持っている能力で会社に対して貢献できること」をこちらも見つけなければなりません。 社会のなかで生きていくためには、障害の有無にかかわらず「自分は何ができるのか」を考えることがとても大切です。それになかなか気が付けず、結局、当時勤めていた会社とは折り合いが悪くなって、退職することになってしまいました。   5. 診断を受けるメリットやデメリットは何があるのか 状況にもよりますが、質問をいただくことが多いので、それぞれ整理してご紹介いたします。 5-1. 診断を受けるメリット 自分の障害について理解をすることができ、対策を講じることができる 職場に必要な配慮(合理的配慮)を申し立てることができる 公的な福祉サービスや支援(例えば、障害者手帳取得による税金の控除、障害年金の受給等)を受けることができる 障害者雇用枠求人の対象となることができ、障害に配慮を受けながら働くことができる。 5-2. 診断を受けるデメリット 障害があることを自己受容しなければならない 医療保険などの民間保険に加入できない場合がある(保険の種類による) 6. 診断を受けて良かったのか〜当事者としての体験談〜 筆者としては、診断を受けて良かったと思っています。 「子どもの頃から悩んできたことは自分の性格や努力不足のせいではなく、生まれ持っての障害が原因だった」と分かったときに、私は生まれて初めて、自分で自分を許せた気がしました。それほど、私の人生にとって診断を受けたことには大きな意味がありました。 先ほど “しくじり先生” として紹介したように、診断を受けた当時の私はまだ、障害を持ちながら社会のなかで生きていくためにどうすれば良いかが理解できず、勤めていた会社を退職することになってしまいました。 しかし、その後アルバイトの期間を経て障害者雇用枠で再就職することができ、配慮を受けながら働いて、生活の基盤を立て直すことができました。また、発達障害について勉強したことで、自分の特性や、それによる困りごとを防ぐための対処法も理解を深めることができました。 何よりも大きかったのは、「障害がある方を支援するための仕組み」が、実は身近にはいろいろ用意されていると知ったことです。自分一人で悩まなくても相談できる場所があると知ったことは、大きな心の支えになりました。 診断を受けるか受けないかは、人それぞれです。診断を受けなかったとしても、もしお一人で悩んでいてつらいことがあれば、ぜひ色々な相談窓口を利用してみてください。力になってくれる人が必ずいるはずです。 今回の記事が、働きづらさ・生きづらさを感じている方、そして、当事者のご家族や周りで支援されている方の「次の一歩を踏み出すためのきっかけ」となれれば幸いです。 お一人で悩んでしまったら、まずは相談を 診断を受ける・受けないに関わらず、自分が発達障害であることを受け止め、新しい一歩を踏み出すためには、大きなエネルギーが必要です。 「障害と向き合いながら、生計を立てて行くためにはどうしたら良いのか」 「家族や職場に、うまく相談するためには、どうすれば良いのか」 「自分にあった仕事に転職した方が良いのではないか」 ……と悩んでしまう方も少なくありません。そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職活動はものごとを段取りよく・計画的に進めて行く必要がありますが、発達障害の特性による「苦手」で上手く進まないという方もいらっしゃいます。 ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、就職活動の軸探しだけではなく、スケジュールを立てること、自己 PR(自分の強み・長所の発見)をすること、予定通りに行動をすることをサポートしています。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください。ご本人からだけではなく、「発達障害の疑いがある方が身近にいて、どのような対応をすればよいか分からない」と悩まれている方からのご相談も受け付けております。ご家族の方はもちろん、「職場に発達障害の疑いがある従業員がいる」という方も、ぜひ一度ご相談ください。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害のある方が障害年金を受け取るための条件や申請方法

「発達障害があり、障害年金を受け取りたい」と考えている方に向けて、障害年金の概要や対象となる条件、もらえる金額、申請方法など、知っておきたい基本情報をご紹介します。「発達障害で申請する際のポイント」もまとめました。

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このコラムでは「発達障害があり、障害年金を受け取りたい」と考えている方に向けて、障害年金の概要や対象となる条件、もらえる金額、申請方法など、知っておきたい基本情報をご紹介します。「発達障害で申請する際のポイント」もまとめました。 障害年金について、「発達障害だと、障害の程度が軽いとされて受給できない」「仕事をしている人は、受給の対象とならない」という誤解をお持ちの方は少なくありません。しかし、発達障害の特性により日常生活や働くことに支障がある場合には、障害年金を受給できる可能性があります。また、就業中の方であっても、障害により仕事に困難さが出ている場合には、対象となることがあります。 また、障害年金の対象とならない方であっても、障害手当金を受給できる可能性があります。 障害年金について正しい知識を持ち、本記事を参考にご自身が対象となり得るどうかをご確認ください。[toc] 1. 障害年金の種類 障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2つの種類があります。また、対象基準より障害の程度が軽いと判定され、障害年金の対象とならない場合でも、「障害手当金」を申請できることがあります。どの年金を受給できるかは、厚生労働省が障害の程度によって定めている障害等級を元に判断されます。それぞれについて、以下に詳しくご説明します。 (1)障害基礎年金 障害基礎年金とは、障害等級の1級・2級に該当する障害がある場合に受け取れる年金です。 前提条件が「国民年金に加入していること」であるため、20歳以上60歳未満の日本に住んでいる人であれば全員が対象です。20歳未満(年金制度に加入していない期間)、もしくは60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)も同様に対象となります。 また、子供の頃のけがや病気、先天性の病気や障害によって日常生活に支障がある場合でも、障害等級の1級・2級に該当すれば対象となります。 (2)障害厚生年金 「障害厚生年金」は、障害基礎年金に上乗せされる障害年金です。 厚生年金に加入している間に障害が生じた場合、障害等級の1級・2級に該当する場合は金額が加算されて支給され、3級に該当する場合は障害厚生年金のみ受け取ることができます。 厚生年金に加入していることが条件であり、国民年金のみに加入している人は対象となりません。 (3)障害手当金 「障害手当金」とは、障害年金の対象となる等級に該当しない、軽度の障害がある方に支給される一時金のことです。 障害等級の3級よりも軽度の障害がある方で、障害が生じた原因となる病気やけがが初診日から5年以内に完治したときに受け取ることができます。 つまり、障害年金の対象とならない障害がある方でも、障害手当金は受け取れる場合があります。 発達障害のある方も、障害年金を受け取れる可能性があります。 発達障害は先天性の脳機能の障害ですが、先ほど解説したように障害年金はケガや病気だけではなく、生まれ持っての病気などによる障害がある方にも支給されます。つまり、発達障害による生活や仕事上の困りごとが支給の要件を満たすと判定されれば、発達障害でも障害年金や障害手当金を受け取ることができます。 では、発達障害による困りごとが要件を満たすかどうか、どのような基準で判定されるのでしょうか。基準となる障害等級について、次に解説します。 2. 発達障害の障害等級 「障害等級」とは、厚生労働省が定めた障害の程度を認定するための基準です。等級は医師の診断書に記載されている症状や、日常生活の能力・労働の能力などにより総合的に判断されます。 なお、障害者手帳にも障害の程度に応じて等級がありますが、障害者手帳と障害年金とは別の制度であり、等級の判定方法も異なるため、混同しないよう注意しましょう。制度が異なりますので、障害者手帳の等級と、障害年金の等級とは必ずしも一致しません。また、障害者手帳を取得していない方でも、条件を満たせたせば障害年金を受給することができます。 発達障害のある方の、障害等級の認定基準例は下記です。 障害の程度:1級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの 障害の程度:2級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの 障害の程度:3級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの *** 障害の特性により日常生活や労働に大きな支障が出ている場合は、その度合いにより等級が定められます。例えば、「感覚過敏(匂いや音、光などに対する敏感さ)による制限がある」「臨機応変な対応が苦手で常時管理や指導が必要」「コミュニケーションが難しく他従業員とのやりとりができない」など、働くうえでの困難さが認められた場合などです。 等級の判定は、医師の診断書に基づいて行われるため、診断書に「障害の特性によって生活や就労に制限がされていること」についてしっかりと記載されていることが重要です。 二次障害として精神疾患(ただし、障害等級の認定対象となる精神疾患に限る)が併発している場合には、発達障害と精神疾患の両方の症状を総合的に判断して、障害等級が認定されます。 一度等級が認定されても、認定時よりも症状が悪化したり、逆に軽減したりした場合には、等級が変わる可能性もあります。悪化した場合には、現在よりも上位の障害等級の認定を請求する「額改定請求」という手続きをすることができます。軽減した場合、障害年金・障害給付金の対象外となることがあります。    3. 障害年金をもらうための条件 次に、障害年金を実際に受給するための条件について見ていきましょう。発達障害のある方が注意すべきポイントは、後ほど解説いたします。 (1)障害等級の条件 障害等級が1級・2級・3級のいずれかに該当することが基本条件です。障害等級が1級・2級の場合は、それぞれの等級に応じた障害基礎年金と障害厚生年金が支給されます。3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。 (2)初診日の条件 障害の原因となった病気やけがの初診日について、一定の条件を満たしていることが必要です。例えば、障害基礎年金の場合は、次の条件のどちらかを満たしている必要があります。 1.国民年金に加入している間、または60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で日本国内に住んでいる間に、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(これを「初診日」といいます。)がある病気やけががもとで一定以上の障害が残り、障害の年金を受けられる保険料の納付要件を満たしているとき。 2.20歳前(年金制度に加入していない期間)に初診日がある病気やけががもとで一定以上の障害が残ったとき。(2.に該当する方は、保険料の納付要件はありません。) 出典:日本年金機構:障害基礎年金はどのようなときに受けられますか。 (3)保険料の納付の条件 国民年金の保険料を一定期間以上、ちゃんと納付していることも条件となります。初診日の前日までに、次の条件のどちらかを満たしている必要があります。 (1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること (2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと 出典:日本年金機構:障害年金 (4)成人する前に障害が認められている場合の条件 成人する前に障害があることを認められた場合は、保険料の納付の条件は対象外となります。成人する前までの年数は、国民年金制度の加入対象ではないためです。 1.症状が出現し、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にある場合。 ※出生直後に、あるいは乳幼児期の健康診断(6ヶ月~3歳時健診)、または養護学校、更生相談所等の各種検査のいずれかにおいて、医師または歯科医師の診断により、20歳までに障害が確認されている場合や、療育手帳等が交付されている場合を含みます。 症状が出現し、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日が、国民年金に加入している間または60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で日本国内に住んでいる間にあり、かつ保険料の納付要件を満たしている場合。 出典:日本年金機構:先天性の病気などにより20歳前から障害がありますが、障害基礎年金を受けることができますか。 4. 発達障害のある方が障害年金を受給するためのポイント 発達障害のある方が障害年金を受給しようとする場合に、気を付けるべきポイントを2つ紹介します。 ポイント1:発達障害のある方の場合の、障害等級の判定基準 障害の程度と等級を規定する「障害認定基準・認定要領」では、『発達障害とは、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害(限局性学習障害/SLD)、注意欠陥多動性障害(注意欠如・多動性障害/ADHD)、その他これに類する脳機能の障害であり、その症状が通常低年齢において発現するもの』とされています。 障害の特性によって社会生活やコミュニケーションに困難さが生じており、日常生活や仕事をする中で制限が出ている場合に、その度合いによって障害等級が判定されます。 精神疾患が併存している場合には、発達障害と精神疾患の総合的な判断によって認定されます。 等級の判断は医師による「診断書」に基づいておこなわれます。そのため、担当医の方に、障害特性による生きづらさや働きづらさについて適切に伝える必要があります。日常生活や働く中での困難さについて、具体的な場面やその状況を説明できるようにしておきましょう。 詳しくは前項「発達障害の障害年金の等級」をご確認ください。 ポイント2:初診日の定義 発達障害のある方で、知的障害を伴う方や、精神疾患での通院歴がある方の場合には注意が必要です。大人の発達障害がある方の場合、メンタルクリニックなどでうつ病など精神疾患で通院をした際に、発達障害の可能性が指摘され、検査を受ける方が少なくありません。「初診日」とひと言で言っても、様々な種類があるので注意しましょう。 ①知的障害を伴わない発達障害の場合 初診日は「発達障害を診断された初めての日」です。 ②知的障害を伴う発達障害の場合 知的障害の診断がある方は、初診日が「生まれた日」です。 ③精神疾患での診断が発達障害の診断の前に出ている場合 精神疾患の初診日が、発達障害の診断前であった場合、「精神疾患の診断がされた初めての日」が初診日となることがあります。発達障害の診断が出た医療機関と初めて精神疾患を受診した医療機関が異なる場合には、初めて精神疾患を受診した医療機関に問い合わせをする必要があります。  5. 障害年金でもらえる金額 障害年金制度で受け取れる金額について、障害基礎年金・障害厚生年金・障害手当金のそれぞれを解説します。 (1)障害基礎年金で受け取れる金額 障害基礎年金で受け取れる金額は、障害等級が1級の場合は年間976,125円、2級の場合は年間780,900円です。 出典:NPO法人障害年金支援ネットワーク:令和3年度(2021年度)の障害年金の金額 ※支給額は毎年改定されますので、上記の金額は令和3年時点の金額となります。 さらに、障害者の方に「高校を卒業する以前の子どもがいる」という場合は、1~2人目の子供なら1人につき年額224,700円が、3人目以降の子供なら1人につき年額74,900円が加算されます。 出典:NPO法人障害年金支援ネットワーク:令和3年度(2021年度)の障害年金の金額 (2)障害厚生年金で受け取れる金額 障害厚生年金で受け取れる金額は、平均標準報酬額や、厚生年金に加入していた期間の長さにより変わります。収入(給与や賞与)が多く、厚生年金に入っていた期間が長い人ほど受け取れる金額も多くなることになるため、収入が低い、または、厚生年金の加入期間が短い方の場合、障害の状態に対して受け取れる金額が少なくなってしまう恐れもあります。 この問題を防ぐため、収入や加入期間に関係なく一定の金額を受け取れるよう、最低保証金額が設けられています。 ※3 障害厚生年金3級の最低保障額は586,300円 出典:日本年金機構:(PDF)障害年金ガイド また、障害厚生年金では、障害等級が1級または2級で65歳未満の配偶者がいる場合は、年額224,700円の配偶者加給年金が加算されます。 出典:NPO法人障害年金支援ネットワーク:令和3年度(2021年度)の障害年金の金額 (3)障害手当金として受け取れる金額 障害手当金は厚生年金による補助金のため、障害厚生年金と同じく、平均標準報酬額や厚生年金に加入していた期間の長さにより、金額が変わります。 ただし、障害厚生年金と同じく最低保証額が設けられているので、発達障害のある方にとって心強い支援となるはずです。 ※4 (報酬比例額の年金額×2)を一時金として支給します。最低保証額は1,172,600円。 出典:日本年金機構:(PDF)障害年金ガイド   6. 障害年金の手続き方法 障害年金を受け取るには、本人またはそのご家族が手続きを行う必要があります。申請方法や必要書類について、以下に解説します。 (1)障害年金の手続き方法 障害年金の申請は、必要書類を以下の窓口に提出して行います。 第1号被保険者の方は、お住まいの市区町村役場が窓口です。第2号被保険者・第3号被保険者の方は、年金事務所か年金相談センターが窓口です。 手続き自体は、書類を揃えて提出するだけですのでシンプルです。 (2)障害基礎年金の手続きに必要な書類 一方、手続きに必要な書類は複数あるため、何が必要なのかあらかじめ確認しておくことが大切です。必要な書類は次のとおりです。 障害年金の手続きに必要な書類 ・年金請求書 ・戸籍謄本・戸籍抄本・戸籍の記載事項証明・住民票・住民票の記載事項証明書のうち1点 ・障害認定日から3ヶ月以内に発行された診断書(所定の様式あり) ・受診状況等証明書 ・病歴・就労状況等申立書 ・通帳やキャッシュカードなど年金受取先がわかるもの(本人名義のもの) 受け取る方の状況により、上記以外の書類が必要となることもあります。 まとめ:発達障害のある方が障害年金を受け取るためには 今回の記事で解説した、発達障害のある方が知っておくべき障害年金のポイントについて、改めてまとめてみましょう。 ・発達障害のある人も、条件を満たせば障害年金を受け取ることができる ・障害年金の対象に該当しない場合でも、「障害手当金」をもらえる可能性がある ・障害年金の等級は「診断書」によって総合的に判断される ・対象条件を満たすうえで「初診日」がいつになるかが重要となる ・就職をしても、就労状況や提供されている合理的配慮の内容によって、対象となることがある 「一人では手続きが難しそう」「担当の医師にどのような診断書を書いてもらうように依頼すればよいか分からない」「過去に請求が通らなかったことがある」…という不安のある方は、社会保険労務士がサポートの窓口となっています。申請のサポートは基本的に有料ですが、最初の相談は無料でできる事務所も多くあります。まずは無料相談を利用してみて、その後のサポートを受けるか検討するのも良いでしょう。 *** 就労移行支援事業所ディーキャリアは、障害のある方の「働く」をサポートしています。就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこなっており、障害年金や障害手当金を受給しながら通っている利用者の方も多くいらっしゃいます。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。