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【大人の発達障害の就活HACK】面接の準備をしよう|対策と流れ

大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。

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書類選考を通過すると、いよいよ次は面接です。初めて会う人と話すのは誰でも緊張するもの。ましてや、それで就職できるかどうか決まると思うと、いっそう緊張感は高まります。 大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。 スケジュールを立てることや見通しを立てることが苦手で、面接準備が間に合わない 遅刻をしてしまうことが多く、面接時間に間に合わない 考えを頭の中でまとめるのが苦手で、質問にうまく答えられない 面接官からの質問を忘れてしまったり理解ができなかったりすることで、かみ合わないことがある そもそもコミュニケーションが不得意で、話すことが苦手 など、特性による苦手によって “つまずき” を感じることがあります。 この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。 面接は職場の実際の様子を見たり、担当者と直接話をしたりできる貴重な機会でもあります。しっかりと準備をしていきましょう。 [toc] 1. 事前の準備が何よりも大切 発達障害のある方に特に多いのが、人前で話すのが苦手という悩みです。「人前で話すことが得意な人でないと、面接はうまく行かないんじゃないか…?」と心配に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、決してそんなことはありません。たとえ人前で話すことが苦手でも、事前の準備をしっかりすることで面接を乗り越えることができます。 マイクロソフト社で 10 年以上にわたりトップ・プレゼンターとして表彰され続けた澤 円(さわ・まどか)さん。人前で話すプロフェッショナルであり「プレゼンの神様」とまで呼ばれた澤さんは “プレゼンが成功するかどうかは、8 割が準備で決まる” と語っています。(澤さんご自身、発達障害の当事者でもいらっしゃいます。) 「私は人前で話すことが苦手だから、面接は自信がない…」という方ほど、準備にしっかりと時間をかけましょう。 1-1. しゃべる内容の台本を作る どんなに話し方がキレイなアナウンサーでも、名演技をする俳優でも、しゃべっていることには必ず台本があります。まずは、面接でしゃべる内容を紙に書き出して、台本を作りましょう。 「面接では何を聞かれるか分からないのに、台本が作れるの?」と思われるかも知れませんが、ほとんどの面接では、聞かれることは共通しています。たとえば以下のようなものです。 この会社へ応募しようと思ったのはなぜですか?(志望動機) あなたがこの会社へ入ったら、どのようなことで活躍できますか?(自己 PR) あなたの長所や短所を教えてください。(自己分析) あなたが、これまでの人生で体験した成功/失敗について教えてください。(自己分析) 特に “志望動機” や “自己 PR” は、応募書類(履歴書・職務経歴書)にも書いていますので、書類に書いたことと面接でしゃべることが食い違ってしまわないよう注意しましょう。食い違ってしまうと話がウソっぽくなり、マイナスの評価になってしまいますので、書類に書いた内容をもとに台本を作りましょう。 障害者雇用枠での採用面接の場合、以下のような “障害に関する質問” もされますので、こちらも台本を作っておきましょう。 あなたの障害特性について教えてください 必要な合理的配慮は何ですか? あなたが行っている「障害へのセルフケア」について教えてください なお、合理的配慮の考え方については以下の記事もぜひ参考にしてみてください。 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 手書きの書類を郵送で送る場合は、台本を作るために、発送前にコピーを取って手元に残しておくことをオススメします。もし、コピーを取らずすでに書類を送ってしまっている場合は、できる限り思い出して書いてください。 1-2. 実際に声に出して練習する 台本ができたら、実際にしゃべる練習をしましょう。声に出してみて、しゃべりづらい部分があれば台本を手直しします。台本を丸暗記する必要はありません。自分の言葉で、自然に話せることが大切です。 しゃべっている内容を誰かに聞いてもらっても良いでしょう。第三者の視点から、自分では気が付かないこともアドバイスしてもらえることがあります。「誰かに聞かれるのは恥ずかしい」「聞いてもらえる相手が近くにいない」という場合は、スマートフォンの “ボイスメモ” のアプリを使って自分の声を録音し、自分で聞いてみるだけでも新たな発見があります。 練習では、話すスピードや量を意識することが大切です。①早口になりすぎない ②話が長すぎない…の 2 つを意識して台本を作りましょう。例えば、自己紹介の場合は「文字数は300~500字」で台本を作り、ストップウォッチで時間を測りながら「2分以内」で話せるように練習をしてみましょう。 このあと「2. 面接当日の流れを知っておこう」で、実際の面接の流れについて解説しますが、それに沿って練習するのもオススメです。例えば、家族や友人に面接官役をやってもらい、自分は実際にスーツを着て、部屋に入るところから実際に受け答えするところまでを一通りシミュレーションしてみるのです。心の準備にもなり、当日の緊張を和らげることができます。 1-3. 当日の準備をする 面接の当日、実際に出かけるときの準備も、事前にしっかりと済ませておきましょう。準備のポイントは、以下の 2 点です。 ポイント 1. 身だしなみを整える 身だしなみはとても大切です。「人は外見よりも中身の方が大事だ」とよく言われますが、身だしなみは社会人としてのマナーの基本です。面接官からも見られるポイントになりますので、しっかりと準備をしておきましょう。 服装は基本的に、上下セットのスーツです。ワイシャツは体に合ったサイズを選び、シワがないようアイロンをかけます。革靴も磨いておきましょう。 「面接に着ていけるようなスーツをまだ持っていない」という方は、スーツ専門店で購入しましょう。店員さんに「就職活動の面接で着ていけるスーツが欲しいんですが……」と尋ねれば、最適なモノを見繕ってもらえます。自分の体型に合ったワイシャツや、ネクタイ・靴下・革靴までセットで揃えることができます。 身だしなみや面接に着ていく服に悩んでいる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】朝の準備をテンプレ化!ワーキングメモリーの弱み&衝動性対策で遅刻を防止 ポイント 2. 遅刻をしないようにする 面接でもっともやってはいけないことは、約束の時間に遅刻することです。身だしなみと同じく、「約束や時間を守ること」は社会人としての基本的なマナーです。履歴書がどんなに立派でも、面接でどんなに上手く自己 PR できたとしても、遅刻をしたらすべてが台無しになってしまうので、じゅうぶん注意しましょう。 「途中で交通機関が遅れたり、体調が悪くなったりしたら仕方がないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、「そうなったとしても、できるかぎり遅刻をしない」ように事前に準備しておくことが大切です。 交通機関が遅れるかも知れない → 約束の時間より1時間ほど早く到着できるよう、余裕を持って出発し、早めに着いたら、目的地周辺のレストランやカフェなどで時間まで待機する。 途中で体調が悪くなるかも知れない → 前日は早く寝て体調を整える。「緊張するとお腹が痛くなりやすい」など、特定の症状が出やすいことが分かっている場合は、胃腸薬などの薬を事前に用意して持って行く。 当日「やむを得ない事情」や「急用」で遅刻やキャンセルをする際には、必ず先方に電話で連絡を入れます。(メールだと、相手が気が付くまで時間がかかるため。)先方の連絡先をあらかじめ携帯電話やスマートフォンに登録しておき、すぐに連絡ができるよう準備しておきましょう。 「やむを得ない事情」や「急用」とは、以下のようなものです。 体調を整えることにじゅうぶん注意していたが、それでも体調を崩してしまった場合(例:持病が急に悪化してしまった、新型コロナやインフルエンザなどの感染症にかかってしまった、等) 地震などの突然の災害や大規模な事故などで、交通機関が2時間以上遅れたり、運休したりしているような場合 自分の親や子ども、一緒に住んでいる家族など「近しい親族」に、命に関わるようなことが起こった場合(例:交通事故に遭って病院に運ばれた、病気で入院していたが危篤状態になった、等) 自分自身が、何かの事件や事故に巻き込まれた場合 なお、遅刻をしないためのテクニックについて、以下の記事でスマートフォンアプリを活用した方法を解説しています。こちらもぜひご参考ください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】アプリ活用で予定通りに行動!原因を理解して、遅刻対策をしよう。   2. 面接当日の流れを知っておこう 「これまで面接を受けたことがない」という方でも、面接の当日どのような流れで何をするのか知っておくことで、緊張感をやわらげることができます。面接当日の流れは、どの会社でも概ね以下のように進みます。 2-1. 受付 面接先の会社に到着したら、まずは受付です。多くの場合、面接の連絡メールに受付方法も記載されているので、事前に確認しておきましょう。 相手から受付方法が特に指示されていない場合は、会社の受付で以下の項目を伝えましょう。(会社によっては受付がなく、入口に設置された内線電話で担当者を呼び出す場合もあります。) 自分の名前 来社の目的 相手の担当者の部署と名前 面接の約束時間 実際の言葉にすると、以下のようになります。 「お世話になっております。私、ヤマダタロウと申します。本日は採用面接のために参りました。人事部のスズキハナコ様と、14:00にお約束を頂戴しておりますが、おつなぎいただけますでしょうか。」 受付が済むと案内係の方が、待合室か面接を行う部屋まで案内してくれます。 2-2. 入室 面接を行う部屋に入るパターンは、以下の 2 つがあります。 パターン 1. 自分でドアを開けて入る場合 新卒採用など、同じ日に何人も面接試験を受けるような場合に多いパターンです。イメージとしては「病院の待合室で待っていて、名前を呼ばれたら診察室に入る」というような感じです。 自分の順番が回ってきて名前を呼ばれたら、まずはドアをノックします。中から「どうぞ」と返事があったら「失礼します」と言ってからドアを静かに開け、部屋に入ります。ドアの方を向いて静かにドアを閉めてから、面接官の方に向き直り、「ヤマダタロウです。よろしくお願いいたします」と大きな声で言いましょう。 面接官から「どうぞ、おかけください」と促されたら、「失礼いたします」と言ってから、イスに座ります。 パターン 2. 面接を行う部屋まで、直接案内される場合 中小企業の新卒採用や、中途採用など、自分一人だけが面接を受けるような場合は、案内係の方が面接を行う部屋まで直接連れて行ってくれるパターンもあります。 その場合、ドアは案内係の方が開けてくれます。「どうぞ」と促されたら、「失礼します」と言ってから部屋に入ります。 面接官がすでに部屋にいる場合は、パターン1と同じようにします。 面接官がまだ部屋に来ていない場合、案内係の方が「こちらにおかけになってお待ちください」と促してくれるので、「ありがとうございます」とお礼を言ってから座りましょう。しばらくして、面接官が部屋に入ってきたら、自分も一度、席を立って挨拶をします。面接官から「どうぞ、おかけください」とうながされるまで、座らないよう注意しましょう。 2-3. 面接〜退室 面接は誰でも緊張します。言葉につかえてしまったり、スムーズに話せなかったりしても慌てることはありません。面接官の質問をよく聞き、ゆっくりと・正確に答えることを意識しましょう。 先ほど「1-2. 実際に声に出して練習する」で解説したとおり、家族や友人に協力してもらい、質問に受け答えする練習をしておくと、緊張感をやわらげる効果があります。 面接が終わって退室する際にも、2 つのパターンがあります。 パターン 1. 自分でドアを開けて退室する場合 入室の際に自分でドアを開けて入った場合は、退室の際も自分でドアを開けて退室します。 面接が終わったら、まずは座ったまま「ありがとうございました」とお礼を述べ、席を立ちます。起立した状態でもう一度、一礼しながらお礼を述べたあと、ドアの前に向かいます。 面接官の方に向き直り、「失礼します」と述べながら一礼したあと、ドアを開けて退室し、静かにドアを閉めます。部屋を出たら、案内係の方の指示に従って帰りましょう。 パターン 2. 面接官と一緒に退室する場合 受付のあと、面接を行う部屋まで直接案内された場合は、面接官と一緒に退室する場合がほとんどです。 面接が終わり、まず座ったままお礼を述べる → 起立してもう一度お礼を述べるところまではパターン 1 と同じです。その後は、面接官の方が促してくれるのに従って退室します。 ほとんどの場合、退室したあとそのまま建物の入口やエレベーターまで面接官が案内してくれるので、付き従って帰りましょう。一緒に歩いているときに面接官の方から雑談など話しかけてくる場合もありますので、心の準備をしておきましょう。(相手が話しかけてこないときは、こちらから無理に話しかける必要はありません。)   3. 大人の発達障害がある方が面接でつまずきやすいポイントと対策 発達障害の特性によって、面接でつまずきやすいポイントについて、それぞれ解説します。 3-1. 「服装自由」の場合はスーツで行く たまに、面接の案内で「自由な服装でお越しください」と書かれていることがありますが、これは「本当に自由な格好(私服)で来てください」という意味ではありません。「スーツか、ビジネスカジュアル(オフィスカジュアル)で来てください」という意味なので、注意しましょう。 自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性として、「はっきりと文章で示されていないことを理解するのが苦手」「書いてある文字どおりに指示を受け取ってしまう」というものがあります。 この特性によって、どんな服装で参加するべきか分からず悩んでしまうことや、文字どおりに「自由な服装(カジュアルな服装や、面接にふさわしくない服装)でもいい」と受け取ってしまい、「面接の当日、会場に行ってみたら一人だけ場違いな服装で浮いてしまった」という失敗をしてしまう方は少なくありません。 ビジネスカジュアル(オフィスカジュアル)は、慣れていないと何を着たら問題ないのか判断するのが難しいため、あまりオススメしません。従い、「服装自由」の場合はスーツで行くのが無難です。 3-2. 一気に何社も応募しない 「早く就職先を決めたい」と焦ってしまう気持ちもあるかと思いますが、何社も一気に応募しないようにしましょう。 注意欠如・多動性障害(ADHD)の特性として、マルチタスクや計画的に物事を進めることが苦手なため、いくつもの会社を同時並行で進めると、準備時間が足りなくなってしまうことがあります。 できれば 1 社ずつか、多くても 2 社に留めておきましょう。また、面接日の当日だけでなく、「応募書類の作成」や「面接の練習」といった予定もカレンダーに書き込んで “見える化” し、計画的に進めることをオススメします。 3-3. 困難な点は、あらかじめ履歴書で相手に伝えておく 障害者雇用枠への応募の場合は、面接でも障害の特性へ配慮をしてくれます。面接にあたり、なにか特別に困難さを感じることがある場合には、あらかじめ履歴書に書き添えて相手に伝えておきましょう。 例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性として、面接官から複数の質問を一気にされた場合に、混乱して質問への回答がいくつか抜け落ちる・質問の意図と異なる回答をしてしまう、ということがあります。 その場合には「障害の特性により、口頭で複数の指示を一気にされると理解することに困難さがあるため、質問は一つずつしていただけますと幸いです」というように、履歴書に書き添えておくと良いでしょう。 例えば、発達障害の特性による苦手で、質疑応答の際に以下のような “つまずき” をしてしまうことがあります。 口頭での指示を聞き漏らすことがある 一度にたくさんの質問をされると混乱してしまう 言葉が出るのに時間がかかる 質問の意図を汲み取ることが苦手 このような “つまずき” への対策として、「面接官に留意してもらいたいポイント」を履歴書に書き、事前に伝えておくようにしましょう。書き方の例は、以下のとおりです。 「障害特性により、聴覚情報(口頭での質問)の処理に時間がかかることがあり、質問を聞き直すことがありますが、ご了承ください。」 「障害特性により、一度に複数の質問をされることと混乱してしまうため、ひとつずつ回答をさせていただけますと幸いです。」 4. もし、なかなか面接がうまく行かなかったら 発達障害のある方は、特性により「人とのコミュニケーション」に対して困難さを感じることが多いため、企業側の担当者と直接コミュニケーションしなければならない面接は、採用試験における大きな壁です。 障害の有無に関わらず、不採用となってしまったときのショックは大きいもの。面接でうまく自分をアピールすることができず、「どんどん自信がなくなってしまう」とお悩みの方は少なくありません。 そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 先ほどもご紹介したとおり、就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、 障害者雇用枠ならではの「障害特性の説明」に難しさを感じるので、もっと自分の障害について理解したい コミュニケーションスキルを身につけて、面接でスムーズに話せるようになりたい 自己 PR に書ける、自分の “強み” や “長所” を探したい これからどんな仕事をしていきたいか、ゼロから考え直したい …など、「就職活動に挑む前に準備をしたい」という発達障害のある方をサポートいたします。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 記事監修:清野 玲子(キャリアコンサルタント/社会福祉士) 人材会社でのキャリアアドバイザー等経験したのち、就労移行支援事業所ディーキャリアの立ち上げに参画。発達障害の特性による苦手や困りごとを抱える方の就労支援に携わる。 現在は、発達障害のある方の特性に応じた就労プログラム開発、支援スタッフ向け研修講師・スーパーバイザーなど幅広い業務を担当。
【当事者が解説】大人の発達障害の診断は受けるべき?メリットや注意点を紹介

発達障害当事者が、診断を受けるか悩んだ実体験をもとに「診断を受けるメリットやデメリット」「診断を受けるために必要な手順」「診断を受ける場合の注意点」「実際に診断を受けて何が変わったのか」を解説します。

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「発達障害のことを調べていたら、思い当たることが多かった」「発達障害の診断チェックリストをやってみたら、多くの項目に当てはまった」 働きづらさや生きづらさを感じている方のなかには、こうしたきっかけで発達障害について知った、という方も多いのではないでしょうか。何を隠そう、筆者もその中の一人です。 私は「自分は発達障害なのかもしれない」と思ってから医師の診断を受けるまでに、さまざまな悩みごとを経験しました。今回の記事では、実際に当事者として悩んだ経験をもとに 診断を受けるメリットやデメリットはあるのか 診断を受けるためには、どういう手順が必要なのか 診断を受ける場合、何か注意すべきことはあるのか実際に、筆者が診断を受けてみて何が変わったのか …について解説します。 [toc] 1. 発達障害について最初に押さえておきたい 2 つのキーワード〜①生まれつき ②ミスマッチ〜 すでにインターネットなどで情報をご覧になり、発達障害が「先天的な脳機能の障害」であることや、いくつかの種類があることをご存知の方も多いかと思います。(自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)、等) 発達障害について理解するために、もう少し表現をかみ砕いてみましょう。 発達障害とは、生まれつきの “脳の発達の偏り” がきっかけとなり、生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。押さえておきたいキーワードは ①生まれつき ②ミスマッチ…の 2 つです。それぞれについて解説します。 なお、大人の発達障害について基礎知識について知りたい方は、以下のページもご参照ください。 大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア キーワード 1「生まれつき」〜発達障害とは、本人の努力不足や親の育て方の問題ではない〜 「生まれつき」ということは、つまり、自分が大人になるまでの間に努力をしてこなかったとか、親の育て方が悪かったとか、そのような問題ではないということです。 過去の自分を責める必要はありません。「発達障害というものの存在を知った、今、このときから何ができるのか」を考えることが大切です。 キーワード 2「ミスマッチ」〜発達障害の方の “生きづらさ” は、周囲の環境によって起こっている場合がある〜 「ミスマッチが起こることで生きづらさが生じる」ということは、逆に「ミスマッチがなければ、生きづらさは生じない」とも言えそうです。これは一体、どういうことなのでしょうか。 社会学では、障害とは「個人の特性」によって起こるのではなく「社会との関係」によって起こるのだという、障害社会学 [*3]という考え方があります。 例えば、近視で遠くがよく見えない人がいるとしましょう。 現代は、メガネやコンタクトレンズがあります。パイロットなどの特別な職業でない限り、多くの人はそれほど遠くまで見えなくても仕事や日常生活に困りません。必要なら双眼鏡などの道具を使うこともできます。近視だったとしても、「社会的な不利益」を受けることは少ないと言えるでしょう。 しかし、これが原始時代だったらどうでしょうか。 遠くがよく見えなければ、狩りで獲物を探したり、迫ってくる危険をいち早く見つけたりすることができません。そのため、同じ集落の仲間に迷惑を掛けてしまい、「お前は役立たずだ」と言われて集落から追い出されてしまうかも知れません。近視であることで、「社会的な不利益」を受けてしまうおそれがあるのです。 周りの環境や社会との関係によって不利益を受けることが障害なのであり、個人の特性(近視であること)が障害なのではないというのが、障害社会学の考え方です。 実際に筆者も、職業や働き方を変えたことで “働きづらさ” は大きく改善されました。今は、一緒に仕事をしていても、私に発達障害があることにまったく気が付かない人もたくさんいます。 発達障害そのものに対してなにか対策を行うだけではなく、自分の特性とミスマッチを起こしている環境もあわせて見直すことが、とても重要なのです。 [*3] 参考文献:テーマ別研究動向(障害の社会学)|J-STAGE   2. 発達障害の診断を受けるべきか〜3 つのパターン別に考える〜 では、「自分は発達障害なのかもしれない」と気が付いたあと、次のステップとして「医師による診断」を受けるべきなのでしょうか。3 つのパターンに分けて考えてみましょう。 パターン 1:「診断を受けた方が良い」と思われるケース 発達障害の特性(障害による特徴)による困りごとが原因で「学校や職場で人間関係がうまく行かない」「仕事が長続きせず転職を繰り返してしまっている」など、今、実際に働きづらさ・生きづらさを感じている方は、診断を受けた方が良いと考えられます。 診断を受ける最大のメリットは、公的な福祉の支援を受けられるということです。 例えば、障害に配慮した職場で働くことができる「障害者雇用枠」に応募するためには障害者手帳が必要ですが、診断を受ければ申請することができます。障害により生活に支障が出た場合に支給される障害年金なども、診断を受けることで申請が可能となります。 また、働く意欲を持った障害がある方の、職業訓練や就職活動を支援する就労移行支援のサービスを受けることもできます。 今、実際に働きづらさ・生きづらさを感じている方は、診断を受け専門家の支援を利用することで、改善に向けた第一歩が踏み出せるのではないかと思います。 パターン2:「必ずしも診断を受けなくても良い」と思われるケース 「自分は発達障害かも知れない」と思っても、もし現在の仕事や生活環境に大きな問題がなく過ごせているなら、診断を受ける必要はないと考えられます。 先ほど “ミスマッチ” のキーワードでご紹介したように、たとえ発達障害があったとしても、本人が周りの環境=社会との関係のなかで「不利益を受けている」と感じなければ、それは障害ではないと言えるからです。 また、現時点で大きな問題がなくても、将来的に環境が変わって生きづらさを感じてしまったときに診断を受け福祉の支援を活用する、ということももちろんできます。 気をつけたいポイント:本人ではなく、周囲の人が困りごとを感じている場合 当事者の身近な方(ご家族や、職場の同僚の方など)から「本人はあまり気にしていないが、周囲は本人の言動によって負担を感じている。発達障害だと思うがどうすれば良いか」というご相談を受けることがあります。 この場合、本人に「あなたは発達障害ではないか」と告げたり、いきなり診断してもらうことを促したりすのではなく、一度、本人ぬきで専門の窓口にご相談することをおすすめします。 発達障害と似た困りごとが別の原因で起こることもありますので、素人が判断して原因を特定することは困難です。仮に、本当に発達障害があったとしても、本人に直接告げることで人間関係が悪化してしまうおそれもあります。 もちろん、周囲が一方的に負担を感じている状態は健全ではありません。相談窓口には、以下のようなものがあります。第三者の力を借りて解決に取り組んでいくことが大切です。 自治体の障害福祉担当の窓口(障害福祉課、障害支援課など) ハローワークの障害者雇用担当窓口 就労移行支援事業所の無料相談窓口 パターン 3:「診断を受けるかどうか、状況に応じて検討した方が良い」と思われるケース 判断に迷うのは、「多少の働きづらさ・生きづらさを感じてはいるが、頑張れば何とかできなくもない」という場合です。 周りから見れば「少し要領が悪いだけ」のように見えても、ご本人は「人の何倍も努力を重ねて苦手なことをカバーしている」というケースも少なくありません。このような状態も “ミスマッチ” であると言えるでしょう。 「頑張ればできなくもないが、つらい」という場合には、診断を受けて公的な福祉の支援を活用することを検討してみても良いかも知れません。 仮に発達障害だと診断を受けたとしても、それを家族や会社に伝えるかどうか、実際に公的な福祉の支援を申請するかどうかは、自分で決めることができます。病院には守秘義務がありますので、自分から伝えない限り、診断を受けたことを誰かに知られてしまうことはありません。 それでも「いきなり病院へ行くのはちょっと…」という場合は、まず “相談窓口” を利用してみても良いでしょう。 相談窓口には公的なものから民間のものまで、さまざまな種類があります。インターネットで検索すると、無料のセミナーや当事者会なども見つかります。診断を受けなかったとしても、同じ悩みを持つ人たちと話をしたり、特性への対策法を学んだりすることで、つらさが改善できる場合があります。 以下の記事で相談先の一例をご紹介していますので、ご参照ください。 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集「Q12. 一般雇用で働いているけど、働きづらさ・生きづらさを感じている。会社には知られないようにどこかに相談したいが、どこか相談先はあるか?」   3. 診断を受けたい場合はどうすれば良い?〜病院の選び方や手順、診断までにかかる時間〜 「発達障害の特性による困りごとを解決するために、診断を受けたい」と思った場合、実際にどうすれば良いのかについて解説します。 3-1. どの診療科を受診する?〜大人の発達障害は “精神科” や “心療内科”〜 大人の発達障害に対応している診療科は、“精神科” や “心療内科” です。 ただ、発達障害の専門医は日本ではまだ多くないため、すべての精神科や心療内科が対応しているとは限りません。まずは病院・クリニックのホームページを見て、発達障害に対応しているかどうかを確認しましょう。 3-2. 病院を選ぶ際の 4 つのポイント〜①場所 ②予約方法 ③治療方針 ④支援機関とのつながり 「インターネットで検索したら、“発達障害対応” と書いてある病院の情報がいくつも出てきて、どこを選んだら良いのかよく分からない」という場合は、次のポイントをチェックしましょう。 ①通いやすい場所にあるか 病院を初めて受診してから診断を受けるまでには数ヶ月かかります。問診や検査などで何回か通院することになりますし、診断後もかかりつけ医として長くお付き合いすることになりますので、通いやすさは大切なポイントです。 人によっては「発達障害で通院していることを周囲に知られたくない」という方もいらっしゃるかと思います。その場合、自宅から少し離れた駅の病院や、職場への通勤途中にある病院を検討してみると良いでしょう。 ②予約が取りやすいか 予約が取りやすいかどうかも大切なポイントです。先ほどご紹介したように、日本ではまだ発達障害の専門医が少ないため、混雑している病院の場合「初診を受けるのに数ヶ月待ち」というケースもあります。 また、長く通院することを考えると “事前予約できない” “予約の変更が柔軟にできない” というような病院では、だんだんと通いづらくなってしまいます。病院のホームページを見て、“予約のしやすさ”  もチェックしておくと良いでしょう。 ③治療方針がホームページにしっかり書かれているか 発達障害の治療方針について、ホームページ上にどのような情報を載せているかチェックしましょう。 その先生が発達障害についてどのように考えているか、どれだけ診療の実績があるのか、どういう方針で治療を行っているのかを確認しておくことで、“先生とのミスマッチ” を防ぐことにもつながります。 ④地域の支援機関とのつながりがあるか もし、ご自分で調べてもどこが良いのか分からず悩んでしまうという場合には、先ほどもご紹介した以下の相談窓口に聞いてみる、という方法もあります。 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集「Q12. 一般雇用で働いているけど、働きづらさ・生きづらさを感じている。会社には知られないようにどこかに相談したいが、どこか相談先はあるか?」 こうした相談窓口は近隣の病院と連携して支援活動を行っていることが多いため、つながりのある病院を紹介してくれる場合があります。相談窓口とつながっている病院は、それだけ発達障害のある方の支援に積極的だとも言えますので、病院選びのポイントとしてチェックしてみてください。 3-3. 初診から診断までの手順と期間〜診断までには数ヶ月かかる〜 では、実際に初診を申し込んでから診断が出るまでのステップについて、具体的に見ていきましょう。病院によって細かな部分は異なりますので、ここでご紹介するステップは一例としてご参考ください。 ステップ 1. 問診 まずは医師による問診が行われます。皆さんも病院を受診する際に “問診票” を記入したご経験があるかと思いますが、発達障害の場合の問診票は項目がかなり多く「いつ頃からどんな困りごとが出ているのか」「どのような環境で育ってきたか」「勉強や学校生活での様子はどうだったか」など、さまざまな質問に答えます。 また、初診時に簡易的な心理テストを行う場合もあります。 ステップ 2. 観察 発達障害の診断は、医師により現在の状態・成育歴・行動観察・認知や知能等の心理検査の結果などを総合して行われますので「診察を受けたらすぐに診断が確定する」というものではありません。 発達障害であるかどうかを調べるため、何回か診察を行って症状を観察します。また、診断に必要な情報を知るための調査を行う場合もあります。 例えば ADHD の場合、「症状のいくつかが 12 歳までに存在していたかどうか」が診断基準の一つであるため、子どものころの状況をさらに詳しく知るために「学生時代の通知表で先生や親のコメントを確認する」「(可能な場合は)家族に当時の様子を聞いてそのメモを先生に提出する」といった調査を行うこともあります。 ステップ 3. 検査 診断基準の一つとして「WAIS-Ⅳ(ウェイス・フォー)」などの心理検査を実施します。 この検査では、思考力や作業力といった認知能力を測るテストを行い、“脳の発達の偏り” の程度を調べることで、発達障害の特性や傾向を読み取ります。 検査は臨床心理士により行われ、数時間かかります。担当できる臨床心理士の数が限られるため、検査の順番を数週間待たねばならないケースもあります。 ステップ 4. 診断 ここまでの問診・観察・検査を総合して、医師により診断が行われます。初診から診断が出るまでには数ヶ月かかります。 総合的な判断の結果「発達障害ではない」「発達障害の基準は満たさないが、傾向はある」といった診断がくだされる場合もあります。 その場合、発達障害の診断書が必要な公的な福祉サービスを受けることはできませんが、引き続き通院を続けることで、心を落ち着かせるための薬を処方してもらったり、カウンセリングや心理療法による治療を受けたりすることは可能です。   4. しくじり先生〜実際に診断を受けた当事者の失敗談〜 筆者も発達障害の当事者として診断を受け、「障害者手帳の取得」や「税金の障害者控除」などの支援を利用しています。しかし、実際に通院を始めてから診断を受け、現在に至るまでには、いくつもの失敗がありました。そんな筆者の経験を、しくじり先生形式で 2 つご紹介します。 しくじり①:病院の先生は「支援」もしてくれると思っていた 発達障害の診断を受けようと、メンタルクリニックの初診を申し込んだとき、私は「自分の悩みや、これからどうしたら良いのか相談に乗ってもらえる!」と、とても期待していました。 しかし、先生の診察を何回か受けるにつれて、違和感を覚えるようになりました。たしかに、毎回の診察で先生は「最近はいかがですか。困りごとに変化はありませんか。」と優しく聞いてくださいます。しかし、私が何をお話ししてもカルテに書き留めるだけで、何もアドバイスをくださらないのです。 私は、医師の診察とカウンセリングを同じものだと勘違いしていました。さらに、病院と障害者支援機関を同じものだと勘違いしていたのです。 先生がお話を聞いてくださるのは、症状の診断や薬の処方のための「診察」です。悩みごとを聞いて相談に乗ってくれるのは「カウンセリング」であり、まったく別でした。(同じ病院内でカウンセリングを行っている場合でも、料金や予約は診察とは別です。) また、お仕事や生活について支援してもらうためには、病院ではなく、障害者支援機関に相談することが必要だったのです。 先ほど相談窓口についてご紹介しましたが、私はそうした窓口に一度も相談することなく、インターネットで調べた知識だけでいきなり病院を受診してしまったため、仕組みがどうなっているのかまったく知りませんでした。 現代は、インターネットがあれば何でも調べられる「ような」気持ちになってしまいがちです。しかし、一度で良いから専門の窓口に相談していれば、こんなに一人で苦労せず何か支援してもらえたのではないかと、後悔してしまいました。 しくじり②:診断を受ければ「仕事ができなくても許される」と思っていた 発達障害の診断を受けた当時、私は社員が10名ほどの小さな会社で営業職として働いていました。営業ですので、アポイントを取るために電話をかけたり、商談で交渉したりもします。当然ノルマがあって、達成できるよう自分で計画を立てて営業活動をしていかねばなりません。 しかし、私は電話や交渉ごとがとても苦手で、さらに段取りよく仕事を進めることも不得意だったため、営業成績が悪く、上司からたびたび注意を受けていました。「なぜ、何度注意されても直すことができないのだろう」と落ち込み、自分の努力不足を責めていました。 “電話が苦手“ “段取りが悪い” というのは、発達障害の特性による困難さの例として、見たことがある方も多いことでしょう。私はインターネットで自分の困りごとの原因が発達障害だと分かったときに、「自分の努力が足りないせいではないのだ」と、とても気持ちがラクになったように感じました。 では、発達障害の診断を受けたことで「電話ができず、段取りが悪くて、営業成績が上がらないけど OK」と許してもらえるのでしょうか。 皆さんもお分かりになるかと思いますが、答えは「No」です。 企業には、障害がある方に対して配慮をする義務があります。しかし、それは「障害があれば、どんなことでも許してあげる」という意味ではなく、「障害者のある方が、自分の能力を活かして働けるように配慮する」という意味です。 私は、診断を受けたことで “仕事ができない自分” を許してもらえるような気になっていました。しかし、発達障害の特性で営業職が向いていないのであれば「営業の仕事以外で、自分が持っている能力で会社に対して貢献できること」をこちらも見つけなければなりません。 社会のなかで生きていくためには、障害の有無にかかわらず「自分は何ができるのか」を考えることがとても大切です。それになかなか気が付けず、結局、当時勤めていた会社とは折り合いが悪くなって、退職することになってしまいました。   5. 診断を受けるメリットやデメリットは何があるのか 状況にもよりますが、質問をいただくことが多いので、それぞれ整理してご紹介いたします。 5-1. 診断を受けるメリット 自分の障害について理解をすることができ、対策を講じることができる 職場に必要な配慮(合理的配慮)を申し立てることができる 公的な福祉サービスや支援(例えば、障害者手帳取得による税金の控除、障害年金の受給等)を受けることができる 障害者雇用枠求人の対象となることができ、障害に配慮を受けながら働くことができる。 5-2. 診断を受けるデメリット 障害があることを自己受容しなければならない 医療保険などの民間保険に加入できない場合がある(保険の種類による) 6. 診断を受けて良かったのか〜当事者としての体験談〜 筆者としては、診断を受けて良かったと思っています。 「子どもの頃から悩んできたことは自分の性格や努力不足のせいではなく、生まれ持っての障害が原因だった」と分かったときに、私は生まれて初めて、自分で自分を許せた気がしました。それほど、私の人生にとって診断を受けたことには大きな意味がありました。 先ほど “しくじり先生” として紹介したように、診断を受けた当時の私はまだ、障害を持ちながら社会のなかで生きていくためにどうすれば良いかが理解できず、勤めていた会社を退職することになってしまいました。 しかし、その後アルバイトの期間を経て障害者雇用枠で再就職することができ、配慮を受けながら働いて、生活の基盤を立て直すことができました。また、発達障害について勉強したことで、自分の特性や、それによる困りごとを防ぐための対処法も理解を深めることができました。 何よりも大きかったのは、「障害がある方を支援するための仕組み」が、実は身近にはいろいろ用意されていると知ったことです。自分一人で悩まなくても相談できる場所があると知ったことは、大きな心の支えになりました。 診断を受けるか受けないかは、人それぞれです。診断を受けなかったとしても、もしお一人で悩んでいてつらいことがあれば、ぜひ色々な相談窓口を利用してみてください。力になってくれる人が必ずいるはずです。 今回の記事が、働きづらさ・生きづらさを感じている方、そして、当事者のご家族や周りで支援されている方の「次の一歩を踏み出すためのきっかけ」となれれば幸いです。 お一人で悩んでしまったら、まずは相談を 診断を受ける・受けないに関わらず、自分が発達障害であることを受け止め、新しい一歩を踏み出すためには、大きなエネルギーが必要です。 「障害と向き合いながら、生計を立てて行くためにはどうしたら良いのか」 「家族や職場に、うまく相談するためには、どうすれば良いのか」 「自分にあった仕事に転職した方が良いのではないか」 ……と悩んでしまう方も少なくありません。そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職活動はものごとを段取りよく・計画的に進めて行く必要がありますが、発達障害の特性による「苦手」で上手く進まないという方もいらっしゃいます。 ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、就職活動の軸探しだけではなく、スケジュールを立てること、自己 PR(自分の強み・長所の発見)をすること、予定通りに行動をすることをサポートしています。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください。ご本人からだけではなく、「発達障害の疑いがある方が身近にいて、どのような対応をすればよいか分からない」と悩まれている方からのご相談も受け付けております。ご家族の方はもちろん、「職場に発達障害の疑いがある従業員がいる」という方も、ぜひ一度ご相談ください。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害のある方が障害年金を受け取るための条件や申請方法

「発達障害があり、障害年金を受け取りたい」と考えている方に向けて、障害年金の概要や対象となる条件、もらえる金額、申請方法など、知っておきたい基本情報をご紹介します。「発達障害で申請する際のポイント」もまとめました。

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このコラムでは「発達障害があり、障害年金を受け取りたい」と考えている方に向けて、障害年金の概要や対象となる条件、もらえる金額、申請方法など、知っておきたい基本情報をご紹介します。「発達障害で申請する際のポイント」もまとめました。 障害年金について、「発達障害だと、障害の程度が軽いとされて受給できない」「仕事をしている人は、受給の対象とならない」という誤解をお持ちの方は少なくありません。しかし、発達障害の特性により日常生活や働くことに支障がある場合には、障害年金を受給できる可能性があります。また、就業中の方であっても、障害により仕事に困難さが出ている場合には、対象となることがあります。 また、障害年金の対象とならない方であっても、障害手当金を受給できる可能性があります。 障害年金について正しい知識を持ち、本記事を参考にご自身が対象となり得るどうかをご確認ください。[toc] 1. 障害年金の種類 障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2つの種類があります。また、対象基準より障害の程度が軽いと判定され、障害年金の対象とならない場合でも、「障害手当金」を申請できることがあります。どの年金を受給できるかは、厚生労働省が障害の程度によって定めている障害等級を元に判断されます。それぞれについて、以下に詳しくご説明します。 (1)障害基礎年金 障害基礎年金とは、障害等級の1級・2級に該当する障害がある場合に受け取れる年金です。 前提条件が「国民年金に加入していること」であるため、20歳以上60歳未満の日本に住んでいる人であれば全員が対象です。20歳未満(年金制度に加入していない期間)、もしくは60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)も同様に対象となります。 また、子供の頃のけがや病気、先天性の病気や障害によって日常生活に支障がある場合でも、障害等級の1級・2級に該当すれば対象となります。 (2)障害厚生年金 「障害厚生年金」は、障害基礎年金に上乗せされる障害年金です。 厚生年金に加入している間に障害が生じた場合、障害等級の1級・2級に該当する場合は金額が加算されて支給され、3級に該当する場合は障害厚生年金のみ受け取ることができます。 厚生年金に加入していることが条件であり、国民年金のみに加入している人は対象となりません。 (3)障害手当金 「障害手当金」とは、障害年金の対象となる等級に該当しない、軽度の障害がある方に支給される一時金のことです。 障害等級の3級よりも軽度の障害がある方で、障害が生じた原因となる病気やけがが初診日から5年以内に完治したときに受け取ることができます。 つまり、障害年金の対象とならない障害がある方でも、障害手当金は受け取れる場合があります。 発達障害のある方も、障害年金を受け取れる可能性があります。 発達障害は先天性の脳機能の障害ですが、先ほど解説したように障害年金はケガや病気だけではなく、生まれ持っての病気などによる障害がある方にも支給されます。つまり、発達障害による生活や仕事上の困りごとが支給の要件を満たすと判定されれば、発達障害でも障害年金や障害手当金を受け取ることができます。 では、発達障害による困りごとが要件を満たすかどうか、どのような基準で判定されるのでしょうか。基準となる障害等級について、次に解説します。 2. 発達障害の障害等級 「障害等級」とは、厚生労働省が定めた障害の程度を認定するための基準です。等級は医師の診断書に記載されている症状や、日常生活の能力・労働の能力などにより総合的に判断されます。 なお、障害者手帳にも障害の程度に応じて等級がありますが、障害者手帳と障害年金とは別の制度であり、等級の判定方法も異なるため、混同しないよう注意しましょう。制度が異なりますので、障害者手帳の等級と、障害年金の等級とは必ずしも一致しません。また、障害者手帳を取得していない方でも、条件を満たせたせば障害年金を受給することができます。 発達障害のある方の、障害等級の認定基準例は下記です。 障害の程度:1級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの 障害の程度:2級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの 障害の程度:3級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの *** 障害の特性により日常生活や労働に大きな支障が出ている場合は、その度合いにより等級が定められます。例えば、「感覚過敏(匂いや音、光などに対する敏感さ)による制限がある」「臨機応変な対応が苦手で常時管理や指導が必要」「コミュニケーションが難しく他従業員とのやりとりができない」など、働くうえでの困難さが認められた場合などです。 等級の判定は、医師の診断書に基づいて行われるため、診断書に「障害の特性によって生活や就労に制限がされていること」についてしっかりと記載されていることが重要です。 二次障害として精神疾患(ただし、障害等級の認定対象となる精神疾患に限る)が併発している場合には、発達障害と精神疾患の両方の症状を総合的に判断して、障害等級が認定されます。 一度等級が認定されても、認定時よりも症状が悪化したり、逆に軽減したりした場合には、等級が変わる可能性もあります。悪化した場合には、現在よりも上位の障害等級の認定を請求する「額改定請求」という手続きをすることができます。軽減した場合、障害年金・障害給付金の対象外となることがあります。    3. 障害年金をもらうための条件 次に、障害年金を実際に受給するための条件について見ていきましょう。発達障害のある方が注意すべきポイントは、後ほど解説いたします。 (1)障害等級の条件 障害等級が1級・2級・3級のいずれかに該当することが基本条件です。障害等級が1級・2級の場合は、それぞれの等級に応じた障害基礎年金と障害厚生年金が支給されます。3級の場合は、障害厚生年金のみが支給されます。 (2)初診日の条件 障害の原因となった病気やけがの初診日について、一定の条件を満たしていることが必要です。例えば、障害基礎年金の場合は、次の条件のどちらかを満たしている必要があります。 1.国民年金に加入している間、または60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で日本国内に住んでいる間に、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(これを「初診日」といいます。)がある病気やけががもとで一定以上の障害が残り、障害の年金を受けられる保険料の納付要件を満たしているとき。 2.20歳前(年金制度に加入していない期間)に初診日がある病気やけががもとで一定以上の障害が残ったとき。(2.に該当する方は、保険料の納付要件はありません。) 出典:日本年金機構:障害基礎年金はどのようなときに受けられますか。 (3)保険料の納付の条件 国民年金の保険料を一定期間以上、ちゃんと納付していることも条件となります。初診日の前日までに、次の条件のどちらかを満たしている必要があります。 (1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること (2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと 出典:日本年金機構:障害年金 (4)成人する前に障害が認められている場合の条件 成人する前に障害があることを認められた場合は、保険料の納付の条件は対象外となります。成人する前までの年数は、国民年金制度の加入対象ではないためです。 1.症状が出現し、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にある場合。 ※出生直後に、あるいは乳幼児期の健康診断(6ヶ月~3歳時健診)、または養護学校、更生相談所等の各種検査のいずれかにおいて、医師または歯科医師の診断により、20歳までに障害が確認されている場合や、療育手帳等が交付されている場合を含みます。 症状が出現し、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日が、国民年金に加入している間または60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で日本国内に住んでいる間にあり、かつ保険料の納付要件を満たしている場合。 出典:日本年金機構:先天性の病気などにより20歳前から障害がありますが、障害基礎年金を受けることができますか。 4. 発達障害のある方が障害年金を受給するためのポイント 発達障害のある方が障害年金を受給しようとする場合に、気を付けるべきポイントを2つ紹介します。 ポイント1:発達障害のある方の場合の、障害等級の判定基準 障害の程度と等級を規定する「障害認定基準・認定要領」では、『発達障害とは、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害(限局性学習障害/SLD)、注意欠陥多動性障害(注意欠如・多動性障害/ADHD)、その他これに類する脳機能の障害であり、その症状が通常低年齢において発現するもの』とされています。 障害の特性によって社会生活やコミュニケーションに困難さが生じており、日常生活や仕事をする中で制限が出ている場合に、その度合いによって障害等級が判定されます。 精神疾患が併存している場合には、発達障害と精神疾患の総合的な判断によって認定されます。 等級の判断は医師による「診断書」に基づいておこなわれます。そのため、担当医の方に、障害特性による生きづらさや働きづらさについて適切に伝える必要があります。日常生活や働く中での困難さについて、具体的な場面やその状況を説明できるようにしておきましょう。 詳しくは前項「発達障害の障害年金の等級」をご確認ください。 ポイント2:初診日の定義 発達障害のある方で、知的障害を伴う方や、精神疾患での通院歴がある方の場合には注意が必要です。大人の発達障害がある方の場合、メンタルクリニックなどでうつ病など精神疾患で通院をした際に、発達障害の可能性が指摘され、検査を受ける方が少なくありません。「初診日」とひと言で言っても、様々な種類があるので注意しましょう。 ①知的障害を伴わない発達障害の場合 初診日は「発達障害を診断された初めての日」です。 ②知的障害を伴う発達障害の場合 知的障害の診断がある方は、初診日が「生まれた日」です。 ③精神疾患での診断が発達障害の診断の前に出ている場合 精神疾患の初診日が、発達障害の診断前であった場合、「精神疾患の診断がされた初めての日」が初診日となることがあります。発達障害の診断が出た医療機関と初めて精神疾患を受診した医療機関が異なる場合には、初めて精神疾患を受診した医療機関に問い合わせをする必要があります。  5. 障害年金でもらえる金額 障害年金制度で受け取れる金額について、障害基礎年金・障害厚生年金・障害手当金のそれぞれを解説します。 (1)障害基礎年金で受け取れる金額 障害基礎年金で受け取れる金額は、障害等級が1級の場合は年間976,125円、2級の場合は年間780,900円です。 出典:NPO法人障害年金支援ネットワーク:令和3年度(2021年度)の障害年金の金額 ※支給額は毎年改定されますので、上記の金額は令和3年時点の金額となります。 さらに、障害者の方に「高校を卒業する以前の子どもがいる」という場合は、1~2人目の子供なら1人につき年額224,700円が、3人目以降の子供なら1人につき年額74,900円が加算されます。 出典:NPO法人障害年金支援ネットワーク:令和3年度(2021年度)の障害年金の金額 (2)障害厚生年金で受け取れる金額 障害厚生年金で受け取れる金額は、平均標準報酬額や、厚生年金に加入していた期間の長さにより変わります。収入(給与や賞与)が多く、厚生年金に入っていた期間が長い人ほど受け取れる金額も多くなることになるため、収入が低い、または、厚生年金の加入期間が短い方の場合、障害の状態に対して受け取れる金額が少なくなってしまう恐れもあります。 この問題を防ぐため、収入や加入期間に関係なく一定の金額を受け取れるよう、最低保証金額が設けられています。 ※3 障害厚生年金3級の最低保障額は586,300円 出典:日本年金機構:(PDF)障害年金ガイド また、障害厚生年金では、障害等級が1級または2級で65歳未満の配偶者がいる場合は、年額224,700円の配偶者加給年金が加算されます。 出典:NPO法人障害年金支援ネットワーク:令和3年度(2021年度)の障害年金の金額 (3)障害手当金として受け取れる金額 障害手当金は厚生年金による補助金のため、障害厚生年金と同じく、平均標準報酬額や厚生年金に加入していた期間の長さにより、金額が変わります。 ただし、障害厚生年金と同じく最低保証額が設けられているので、発達障害のある方にとって心強い支援となるはずです。 ※4 (報酬比例額の年金額×2)を一時金として支給します。最低保証額は1,172,600円。 出典:日本年金機構:(PDF)障害年金ガイド   6. 障害年金の手続き方法 障害年金を受け取るには、本人またはそのご家族が手続きを行う必要があります。申請方法や必要書類について、以下に解説します。 (1)障害年金の手続き方法 障害年金の申請は、必要書類を以下の窓口に提出して行います。 第1号被保険者の方は、お住まいの市区町村役場が窓口です。第2号被保険者・第3号被保険者の方は、年金事務所か年金相談センターが窓口です。 手続き自体は、書類を揃えて提出するだけですのでシンプルです。 (2)障害基礎年金の手続きに必要な書類 一方、手続きに必要な書類は複数あるため、何が必要なのかあらかじめ確認しておくことが大切です。必要な書類は次のとおりです。 障害年金の手続きに必要な書類 ・年金請求書 ・戸籍謄本・戸籍抄本・戸籍の記載事項証明・住民票・住民票の記載事項証明書のうち1点 ・障害認定日から3ヶ月以内に発行された診断書(所定の様式あり) ・受診状況等証明書 ・病歴・就労状況等申立書 ・通帳やキャッシュカードなど年金受取先がわかるもの(本人名義のもの) 受け取る方の状況により、上記以外の書類が必要となることもあります。 まとめ:発達障害のある方が障害年金を受け取るためには 今回の記事で解説した、発達障害のある方が知っておくべき障害年金のポイントについて、改めてまとめてみましょう。 ・発達障害のある人も、条件を満たせば障害年金を受け取ることができる ・障害年金の対象に該当しない場合でも、「障害手当金」をもらえる可能性がある ・障害年金の等級は「診断書」によって総合的に判断される ・対象条件を満たすうえで「初診日」がいつになるかが重要となる ・就職をしても、就労状況や提供されている合理的配慮の内容によって、対象となることがある 「一人では手続きが難しそう」「担当の医師にどのような診断書を書いてもらうように依頼すればよいか分からない」「過去に請求が通らなかったことがある」…という不安のある方は、社会保険労務士がサポートの窓口となっています。申請のサポートは基本的に有料ですが、最初の相談は無料でできる事務所も多くあります。まずは無料相談を利用してみて、その後のサポートを受けるか検討するのも良いでしょう。 *** 就労移行支援事業所ディーキャリアは、障害のある方の「働く」をサポートしています。就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこなっており、障害年金や障害手当金を受給しながら通っている利用者の方も多くいらっしゃいます。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
【大人の発達障害の就活HACK】応募の準備をしよう〜職歴がない場合の書き方編〜

社員としての職歴がない方の場合の「履歴書の職歴欄や職務経歴書の書き方」について解説します。

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前回の記事「応募の準備をしよう〜職務経歴書〜」と、前々回記事「応募の準備をしよう〜履歴書編〜」では、それぞれの書類の書き方の基礎をご紹介しましたが、社員としての職歴がない場合には、どのように書けば良いのでしょうか。 企業の求人には、さまざまな人たちが応募してきます。確かに、多くの応募者のなかで“職歴の有り・無し”だけで比較された場合、職歴がないと不利になってしまうことはあるかも知れません。しかし、職歴がないからと言って就職活動ができないわけでは決してありません。 前回の記事でも解説したように、大切なのは企業の求める人材と自分が持っているものがどのようにマッチするかを伝えることです。そこで今回の記事では、職歴がない方の場合の「履歴書の職歴欄や職務経歴書の書き方」について解説します。 「はじめて本格的な就職活動をしようしていて、職歴に書けるものがない…」 「日雇い派遣や短期のアルバイトは職歴になる…?」 「職業訓練校や、就労移行支援事業所に通っていた期間は、どう書けば良い…?」 というお悩みをお持ちの方は、ぜひご参考ください。 [toc] ケース1. 社員としての職歴はないが、アルバイトなどの勤務経験がある場合 これまで正社員や契約社員、派遣社員などで働いた経験がなくても、アルバイト・パートや、日雇い派遣などで勤務した経験がある場合は、その経験を職歴として記載できます。 書き方は、社員としての職歴を書く場合と同じですので、具体例は前回・前々回の記事をご参照ください。 ・応募の準備をしよう〜職務経歴書〜 ・応募の準備をしよう〜履歴書編〜 待遇や任せられる仕事の裁量で比べると、「正社員の方がアルバイトなどよりも立場が上」というイメージを抱いてしまうことがあります。親や学校の先生と話したり、ニュースなどを見聞きしていても、そのような語り口で言われることも多くあります。 しかし本来、就業形態によって身分やその人の価値に差があるわけではなく、単に仕事上の役割や、働き方のスタイルが違うだけのはずです。自分の能力や家庭の事情、健康状態などに応じて、さまざまな働き方の選択肢があるというのがあるべき姿ではないでしょうか。 特に職務経歴書において、相手に伝えるべきは過去の就業形態ではなく、その仕事でどのような業務を担当したか、そこからどのような経験やスキルを得たか、自分はどのような心構えで取り組んできたかということなのです。 次ページ:アルバイトなども含めて働いた経験がない場合は、どう書けば良い?
【大人の発達障害の就活HACK】応募の準備をしよう〜職務経歴書編〜

職務経歴書をはじめて書く方や、久しぶり書くという方に向けて、書き方の基礎を解説します。

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前回の就活 HACK では履歴書の書き方の基礎をご紹介しましたが、履歴書とともに就職・転職活動の基本となる書類が職務経歴書です。 職務経歴書は、履歴書の“職歴”の部分について「いつ・どんな仕事をして・どのような経験や実績を積んだか」という詳細を説明し、自分のことをアピールするための書類です。 今回の記事では、はじめて書く方や、久しぶり書くという方に向けて、職務経歴書の書き方の基礎を解説します。基本的な書類だからこそ、正しい書き方を身に付け、就職・転職活動にのぞみましょう。 履歴書の書き方については、前回の記事をご参照ください。 応募の準備をしよう〜履歴書編〜 [toc] 1. そもそも職務経歴書とは?履歴書の「職歴」欄と何が違う? 履歴書が「応募者の基本的な情報を確認するための書類」であるのに対し、職務経歴書は「応募者がこれまで携わってきた仕事の内容や実績の詳細な情報を確認するための書類」です。 仕事に直結する内容を書く書類ですので、就職・転職活動においては履歴書以上に重要な役割を持つ書類と言えるでしょう。 採用する企業側は、職務経歴書で以下のようなポイントをチェックします。 採用したいポジションに必要なスキルや経験を、応募者が持っているか 採用したいポジションで活かせる強みを、応募者が持っているか 採用したいポジション(あるいは、自社の企業文化)と、応募者の仕事に対する姿勢や心構えが合っているか つまり、重要なのは「企業が求める人材と応募者がどれだけマッチしているか」ということです。 よく、求人情報で「優秀な人材を求む!」というようなキャッチコピーを見かけますが、“優秀な”というのは、高学歴だったり難関資格を持っていたり、有名企業の職歴があることを指しているのではありません。 例えば、建築会社の大工職人の求人に「有名大学を卒業し、弁護士資格を持っていて、誰もが知っている大手企業で働いていた」という人が応募してきたとしたら、どうでしょうか。 たしかに、書類上の経歴はとても目立つものがあるかも知れません。しかし、これまでまったく大工職人としての経験がないとしたら、建築会社にとっては“採用してもまったく戦力にならない人材”ということになってしまいます。 自分の持っている経験やスキル、仕事に対する姿勢・心構えが、企業の求める人材とどのようにマッチしているかを伝えることが、職務経歴書を作るうえでもっとも大切なポイントなのです。 次ページ:職務経歴書は「手書きで書く」のと「PCで作る」のと、どちらがオススメ?
【大人の発達障害の就活HACK】応募の準備をしよう〜履歴書編〜

履歴書をはじめて書く方や、久しぶり書くという方に向けて、履歴書の書き方の基礎を解説します。基本的な書類だからこそ、正しい書き方を身に付け、就職・転職活動にのぞみましょう。

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就職・転職活動で、基本中の基本と言える書類が、履歴書です。 最近は、求人サイトや求人アプリの機能が進化しており、書類を作らなくても応募できるケースも出てきましたが、まだまだ多くの場合は、選考のいずれかのタイミングで履歴書を求められます。 本記事では、履歴書をはじめて書く方や、久しぶり書くという方に向けて、履歴書の書き方の基礎を解説します。基本的な書類だからこそ、正しい書き方を身に付け、就職・転職活動にのぞみましょう。 [toc] 1. そもそも履歴書とは?職務経歴書とは何が違う? 履歴書は、あなたという人物の“プロフィール”を応募先に伝えるための書類です。名前はもちろん、住んでいる場所や連絡先、学歴・職歴、趣味や特技など、自分に関する基本的な情報を記載します。 応募書類としては、“職務経歴書”とセットで扱われることが多いですが、職務経歴書は、履歴書の“職歴”の部分について「いつ・どんな仕事をして・どのような経験や実績を積んだか」という詳細を説明するためのものです。 転職活動では、ほとんどの場合、履歴書と職務経歴書の両方が必要です。 新卒での就職活動の場合は、そもそも職歴がないため職務経歴書は求められません。また、社会人の転職であっても、短期的なパート/アルバイトの場合は職務経歴書の提出が省略され、面接にて口頭で確認されるような場合もあります。 履歴書は、書かれている中身と同じくらい、その書き方も企業側からチェックされます。 例えば、書き方のルールが守られていなかったら、企業側からは「社会人として、基本的なルールを守ることができない」と見られてしまう可能性があります。書いた内容が誤っている、雑に書いてしまっている場合には「仕事にも丁寧に取り組めないのではないか」と思われてしまうかも知れません。 履歴書は、単に自分の情報を伝える書類というだけでなく、自分という人間のあり方を表現する書類だとも言えるでしょう。 2. 履歴書の書き方の基本的なルール 本当に大切なのは、あなたという人物の“中身”ですが、中身を見てもらうためにはまず“外見”をしっかりと整えねばなりません。基本的なルールを押さえた上で、履歴書を作っていきましょう。 2-1. 履歴書の書式〜手書きの場合と PC で作る場合〜 かつて、履歴書は紙・手書きで作成・郵送することが一般的でした。しかし、最近は PC で作成したデータをメール等で提出するケースも増えています。企業により提出方法が指定されている場合もあるので、まずは応募先の企業がどのような形式で提出を求めているのかを確認しましょう。 PC で作成する場合、MS Word や Excel で自作するよりも、履歴書作成サービスを使った方がキレイな書類を簡単に作成できます。履歴書作成サービスには以下のようなものがあります。 ・ブラウザでつくれる履歴書「yagish(ヤギッシュ)」 ・できる履歴書 - Wantedly Word や Excel で自作したい場合には、大手求人サイトが配布しているテンプレートを使うと、ゼロから作る必要がなく便利です。 なお、履歴書をデータで提出する場合は、必ず PDF に変換してから送るようにしましょう。Word や Excel のものをそのまま送ってしまうと、後から書き換えができてしまうため NG です。 また、受け取った相手が紙に印刷する場合があることを考え、A4 サイズで印刷されるように印刷サイズを調整しておく方がベターです。 さらに、誰の履歴書なのか受け取った相手が分かりやすいよう、ファイルの名前は「山田太郎_履歴書_2021年9月1日応募.pdf」などのように工夫して付けるようにしましょう。 現代は、ほとんどの職業で PC を使った作業が行われていますので、このようなデータの取り扱い方も企業がチェックするポイントになっています。丁寧に履歴書のデータを作りましょう。 手書きの場合、文具店や書店、コンビニなどで売っている履歴書を購入します。大きさは A4 のものと B5 のものがありますが、応募先の企業から指定がない限り、どちらを選んでも問題ありません。履歴書と封筒がセットになっているものもありますが、封筒を別に買う場合は、履歴書の用紙サイズと合ったものを選びましょう。サイズが合わない封筒に、書類を無理やり折り曲げて入れるのは NG です。 鉛筆/シャープペンは消して書き換えることができてしまうため、必ず黒のボールペンを使用します。ペンや紙の種類によっては、文字がにじんでしまう場合があるので注意しましょう。 もし、ボールペンで書いていて間違えてしまったら、修正液などで直さず、新しい用紙に最初から書き直した方がベターです。履歴書を買ったら何枚かコピーしておき、まずはコピーした紙で下書きを作ってから清書するのがおすすめです。 2-2. 日付 書類の一番最初に日付を書く欄がありますが、ここには“履歴書を発送する日”(郵送で送る場合)、または、“面接の日”(面接で直接手渡す場合)のどちらかを書きます。書類を書き始めた時点ではまだ日付は入れず、実際に提出する際に書いた方が良いでしょう。 日付を書く際の注意点は、書類の全体で和暦か西暦かのどちらかに統一して書くことです。 履歴書には、いくつか日付を書く場所があります。例えば、誕生日を「昭和●年…」と書いた場合は、学歴・職歴の欄も、資格を取得した日もすべて「昭和/平成/令和」の和暦で統一します。 誕生日は和暦で書いてあるのに学歴・職歴は西暦で書いてある…のように、1 枚の書類のなかで和暦と西暦が混ざらないように注意しましょう。 2-3. 写真 写真は、応募する日から 3 か月以内に撮影したものを使います。 履歴書の書式によって、貼り付ける写真のサイズが若干異なる場合がありますが、ほとんどの場合は、縦 4 cm×横 3 cm です。履歴書の枠にピッタリおさまるサイズを用意します。 背景はなしで、正面を向き、頭の上から胸までが移るように撮影します。服装は基本的にスーツです。 人物写真は光の当て具合などが難しく、スクリーンがないと背景もキレイにならないので、スマートフォンやデジタルカメラを使って自分で撮影する(あるいは、家族や友人に撮ってもらう)のはオススメしません。 駅などにある“証明写真機”は、画面に表示される案内に従ってその場で手軽に履歴書用の写真を撮影することができます。ただ、プリントされた写真を見たら思いがけず髪型や服装が乱れていたり、顔色が悪く映ってしまったりと、慣れていないとうまく撮れないこともあります。 証明写真機よりも多少、時間とお金はかかりますが、七五三などの記念写真を撮ってもらうような“カメラスタジオ”や“写真館”では、光の当たり具合や姿勢・髪型・服装をチェックしてくれた上でキレイに撮影してもらえます。最近では、撮影した写真をデータでもらえるような撮影プランもありますので、PC で履歴書を作るときにも便利です。インターネットで「●●(住んでいる場所)+証明写真」などと検索してみると良いでしょう。 履歴書のなかで、写真は唯一「自分を絵で見せることができる部分」になりますので、できる限りキレイなものを用意しましょう。 次ページ:履歴書の最重要部分〜職歴の書き方〜