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発達障害ある方はストレスを感じやすい?~原因と対策を解説~

健康で長く働いていくためには、ストレスをうまくコントロールすることが欠かせません。今回は発達障害のある方がなぜストレスを感じやすいのか、その原因と対策を解説します。

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「この仕事、ちゃんと締め切りまでに終わらせられるかな…」「あの人ちょっと苦手だけど、仕事ではうまく付き合っていかなきゃ…」「また失敗して、上司から怒られたら嫌だな…」 社会に出ると誰しも何らかのストレスを抱えながら生きているものですが、特に発達障害のある方は、その特性からストレスを感じやすい傾向があると言われています。 健康で長く働いていくためには、ストレスをうまくコントロールすることが欠かせません。今回は発達障害のある方がなぜストレスを感じやすいのか、その原因と対策を解説します。 [toc] 1. 発達障害のある方がストレスを感じやすい原因 発達障害とは、先天的な脳機能の障害によって生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。 社会人として働き始めると、責任が増え人間関係も広くなるため、例えば以下のような場面で発達障害の特性による困難さがミスマッチを起こしてストレスを感じやすくなります。 人とのコミュニケーションが苦手 → 職場での人間関係づくりがストレスに 忘れものなど不注意によるケアレスミスが多い → 上司から注意される回数が増えてストレスに 感覚過敏によって目や耳からの刺激を苦痛に感じる → 通勤中やオフィスの環境は簡単に変えることができないためストレスに また発達障害のある方は、脳の中で抑うつや不安に関連する部分に特徴があり、生物学的にストレスへの耐性が弱いという研究結果*もあります。 *参考:就業経験のある発達障害者の 職業上のストレスに関する研究(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター、2018年4月) 発達障害は「社会性の障害」と言われており、周囲の環境によって困難が生じることがあります。発達障害の特性によって周囲とうまくいかず、ネガティブな経験が積み重なり日常的にストレスにさらされることで「二次障害*」を引き起こすこともあるので、注意が必要です。 *参考:【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は   2. 発達障害がある方のためのストレス対策 大人になり社会に出た後は、ストレスを感じやすい場面も多くなります。ストレスをうまくコントロールしながら長く働くためには、どのような対策を取れば良いのでしょうか。 2-1. 自分の特性を理解する 「発達障害」と一口に言っても、障害の特性や今おかれている環境は人それぞれです。発達障害にはどのような特性があるのか。今の環境の中でどのようなところに困難さがありストレスを感じやすいのか。まずは自分の障害について理解することが、ストレス対策の第一歩です。 自分の障害の特性を理解すれば、おこなうべきセルフケアや、周囲に求めるべき支援の内容も分かりやすくなります。以下のページで発達障害の特性について解説していますのでご参照ください。 大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア また国の運営する各種サイトでも、発達障害の特性理解に役立つ資料が公開されていますので併せてご参照ください。 発達障害の特性(代表例)|厚生労働省 発達障害って、なんだろう? | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン 特性の理解 - 発達障害情報のポータルサイト 「一生懸命がんばれば何とかできる」にも要注意 特性に対するセルフケア(自分で自分の面倒を見たりいたわったりして、自己管理すること)ができている方や、発達障害の診断を受けるまでには至っていない「グレーゾーン」の方であっても、ストレスのケアには注意が必要です。なぜなら周りの環境に合わせるために対策したり我慢したりすること自体が、ストレスの原因となっている場合があるからです。 筆者の事例をご紹介しましょう。 筆者はASDの診断を受けており、人とのコミュニケーションが苦手でいわゆる“空気が読めない”タイプです。しかし実際の仕事では「私は空気が読めませんので、みなさんヨロシク!」と宣言するわけにはいきません。空気が読めない分を他の情報で補うよう努めています。 周りの人の表情・声のトーン・ちょっとしたしぐさなどを注意深く観察する コミュニケーションがスムーズになるよう、誰かと話をするときは相手の目を見る、相づちを打つなどを意識する 直接の会話が苦手な分、メールやチャットでのテキスト・コミュニケーションでは気を配る 言ってみれば「空気を読む」というセンサーが働かない分、他のセンサーを代わりに使って何とかやりくりしている、という感じです。 自分の特性を理解し上記のような対策をするようになってから、人とのコミュニケーションで大きなトラブルはなくなりました。しかし人と長時間接すると、とても大きな疲れを感じます。特にミーティングや商談が連続してあった後などは、しばらく放心状態で動けなくなってしまうこともあります。 がんばって対策をしよう・周囲に合わせようとしている方の場合、「苦手や困難さはあるが、一生懸命がんばれば何とかできる」という状態がずっと続くことになります。 このような状態は周りから見ると大きな問題がないように見えても、当の本人は「周囲に合わせるために、実は他の人の何倍もエネルギーを使っている」ことになるため、ストレスをためすぎないよう注意が必要です。 筆者の場合は人と接するときの疲労対策として、「ミーティングの後は休憩時間もあらかじめ予定に入れておく」「社外の人との打ち合わせはより大きなストレスがかかるので、1日2回以上おこなわない」ようにしています。 2-2. 生活習慣を整える 基本的なストレス対策として「適度な運動をする」「三食しっかりとご飯を食べる」「十分な睡眠時間を取る」など、生活習慣を整えることはとても大切です。特に「睡眠」については、若くて健康な人であっても、睡眠不足がたった二日続いただけで体内のホルモン分泌や自律神経機能に大きな影響が出ると言われています*。 * 参考:睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット(厚生労働省) 「生活習慣を整えましょう」という話を見聞きしたことがある方は多いと思いますし、そんなことはよく分かっていると思われる方もいらっしゃるでしょう。 しかし発達障害のある方の場合、生活習慣の乱れが原因で仕事の勤怠が安定せず、結果として仕事が長続きしないというケースもあります。この後にもいくつか対策をご紹介しますが、すべての対策の基礎として、まずは「今の生活習慣が乱れていないか」「生活習慣を整えるためにできることはないか」を考えてみることが大切です。 参考例:睡眠時間を先に確保する 一例として、筆者が実際に生活習慣を整えるためにおこなっている対策をご紹介します。 筆者は1日の予定を立てる際、最初に睡眠時間から予定を確保してスケジュールを組み立てるようにしています。睡眠時間の目標は1日7時間なので、まずは夜23:00〜6:00までを睡眠時間としてGoogleカレンダーに入れ、そこから逆算して他の予定を入れていきます。 【ある日の予定の例】 23:00 就寝 22:30 ベッドに入る 22:00〜21:00 洗濯、明日の準備など 21:00〜20:00 子どもの宿題を見る 20:00〜19:00 夕食、食事の後片付け 19:00〜18:30 子どもを風呂に入れる 18:30〜18:00 仕事の片付け(※リモートワークのため通勤時間はなし) このように「23:00に寝る」ところから逆算していくと、18:00には仕事を終えなければならないことが分かります。 仕事が忙しかったりプライベートの時間が取れなかったりすると、つい睡眠時間を削ってしまいがちです。しかし寝る時間が短いと翌日の日中に眠くなってしまい、昼間に予定していた作業が遅れる → また睡眠時間を削る…という悪循環になりがちです。 もちろんいつもすべてが予定どおりに進むわけではありません。仕事が忙しく残業しなければならなかったり、突発的なトラブルで予定が狂ったりすることもあります。その場合でも睡眠時間を削るのは最終手段にして、他の部分でできる限り調整するようにしています。 2-3. 特性に対するアプローチをトレーニングする 発達障害の特性に対してアプローチする方法を学ぶことで、ストレスを軽減できる場合があります。 例えばASDのある方は、「シングルレイヤー特性」によってものごとの裏側の想像がしづらく、見たままに受け取ってしまうことがあります。これに対してリフレーミングというアプローチ法では、自分に起きた出来事を別の視点から捉え直すことで、出来事から受ける感じ方が変わり、前向きに考えることができるという効果があります。 別の例としてADHDのある方は、「衝動性(行動のブレーキの利かなさ)の特性」によって何か怒りを感じるような場面に遭遇した際、自分の怒りをそのまま相手にぶつけてしまうことがあります。これに対してアンガーマネジメントというアプローチ法では、「自分は今、怒りを感じている」という状態に気付くことからスタートし、怒りをコントロールしたり、怒りを増幅させるストレスをためこまないようにしたりする方法を学ぶことができます。 特性に対するアプローチ法があることを知っているのといないのとでは、大きな差が生まれます。トレーニングして少しずつ身に付けていくものもありますので、長期的に取り組んでいくことが大切です。 公的な障害福祉サービスである就労移行支援事業所では、特性に対するアプローチ法のトレーニングを受けられるところもありますので、利用を検討してみるのも良いでしょう。就労移行支援事業所について、詳しくは以下の記事もご参照ください。 就労移行支援事業所とは?対象者・料金・サービス内容をまとめました。 就労移行支援事業所のよくある質問集 2-4. 環境を調整する/合理的配慮を求める 発達障害は脳の特性と、生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。そもそもミスマッチの原因となっている環境を調整することも、健康的に長く働いていく上ではとても重要です。 例えば感覚過敏への対策として、席の場所や照明などを変えたりするのも環境の調整だと言えます。 ただこうした調整には周囲の理解が必要な場合も多いので、セルフケアだけでは限界もあります。周りからの支援が必要な場合には、会社に対して合理的配慮の相談をすることも検討しましょう。合理的配慮について、詳しくは以下の記事もご参照ください。 合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。 発達障害のある方の「合理的配慮」事例集 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介 合理的配慮のよくある質問集 より長期的には、自分の適性にあった仕事環境になるよう、社内での異動や別の会社へ転職することを検討する必要もあるかもしれません。 ただしやみくもに異動や転職すればいいというものではなく「自分にはどのような特性があり、どのような環境であれば生きづらさ・働きづらさが改善されるのか」「どのような目的を持って仕事をし、どんな将来像を描きたいのか」をしっかりと見定めてからおこなう必要があります。 自己分析や業界研究の方法など、就職・転職活動の始め方については以下の記事で解説していますので、併せてご参照ください。 大人の発達障害がある方の就職活動は「ウォーミングアップ」で成否が決まる! 【大人の発達障害の就活HACK】志望企業の探し方 〜①基本編〜 【大人の発達障害の就活HACK】志望企業の探し方 〜②障害者雇用編〜   3. 一人で解決することが難しいときには 「2-1. 自分の特性を理解する」でもご紹介したように、発達障害の特性による苦手や困りごとは十人十色ですので、まずは自分の障害のことを正しく理解することが重要です。 しかし客観的に自分を見ることは障害の有無にかかわらず難しいものですし、障害に対する深い知識も必要です。自分一人で悩むよりも専門家の手を借りた方が良いでしょう。 そんな方々のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業)「2-3. 特性に対するアプローチをトレーニングする」で解説したように、特性に対するアプローチ法を学ぶこともできます。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
ADHDの「集中できない・続かない」〜その原因と対策〜

ADHDの特性の代表例「集中できない・続かない」の原因や場面を解説しながら、ADHD当事者である筆者が実際に試して効果があった「集中力を高めるための方法」をご紹介します。

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  • #注意欠如・多動症(ADHD)
「仕事や勉強をやろうと思っても、なかなかやる気が起きない…」「集中力が少ししか続かず、気が付いたらいつの間にか別のことをやっていた…」 発達障害、特に注意欠如・多動性障害(ADHD)のある方の中には、このようなお悩みを抱えていらっしゃる方も多いかもしれません。ADHDはその脳の特性から集中をすることに苦手があり、仕事や勉強において困りごとを感じやすくなります。 いったいどうすれば集中力を高めることができるのでしょうか。今回は集中できない・続かないことの原因や場面を解説しながら、ADHD当事者である筆者が実際に試して効果があった「集中力を高めるための方法」をご紹介します。 [toc] ADHDのある方が「集中ができない・続かない」理由 対策を立てるために、まずは「なぜ集中ができない・続かないのかという原因」を知っておきましょう。 ADHDは、脳の中で判断や抑制をつかさどる部位の機能が低下することで、行動や思考のブレーキが効きにくくなるという特性があります。このブレーキの効きにくさ=衝動性により、思いついたことをすぐ行動に移してしまったり、他のものに注意が向いてしまうとそちらに意識を持っていかれたりしてしまうことで、集中しづらくなってしまうのです。 またもう一つの脳の特性であるワーキングメモリーの弱みも、集中しづらい原因となります。 「ワーキングメモリー」とは以下の二つの機能を持った脳の仕組みです。 ① 情報(聞いたことや考えたこと)を一時的にとどめておく、記憶の“置き場”としての機能 ② 情報を整理して実行に移す“作業場”としての機能 これらの機能に弱みがあるために、作業中に別の情報が入ってくると最初の作業のことを忘れてしまう、複数のことに同時に注意を払えず混乱してしまうといったことが起こり、一つの作業に集中しづらくなってしまうのです。 次ページ:そもそも私たちの「現代の生活環境」に問題がある?
当事者が5年間やってみた!〜リモートワークの理想と現実〜

ADHD/ASD当事者が試行錯誤した実体験をもとに「リモートワーク」のリアルなメリット/デメリットをご紹介します。発達障害がある方の場合、その特性によって向き不向きがあります。

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  • #はたラクHACK
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
テレワーク、リモートワーク、在宅勤務——呼び方はさまざまですが、働く場所を会社に限定しない柔軟な働き方が、この数年で身近な存在になってきました。(以下、本記事では「リモートワーク」で統一します。)障害者雇用においてもリモートワークが活用される事例が増えています。 参考:都市部と地方をつなぐ 障害者テレワーク事例集(厚生労働省) 「対面でのコミュニケーションをせずに済む」「気を散らさずに自分の仕事に集中できる」などのメリットがあることから、発達障害のある方にも向いていると言われることもあるリモートワーク。しかし実際には個々の特性や仕事内容、自宅環境などによって向き・不向きが極端に別れるため、本当に自分に合っているかどうかをしっかりと見極める必要があります。 今回は注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)と自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の両方の診断を受け障害者手帳も取得している筆者が、当事者として実際にリモートワークをしてみた体験レポートをお届けします。 今回のレポートでお伝えするのは、以下の2点です。 ・5年間の長期に渡ってリモートワークしてきた経験 ・「出社がメインでたまにリモート」「リモートがメインでたまに出社」「完全(フル)リモート」とさまざまなパターンを試してみた経験 「レポートを作るためにちょっとやってみた」というわけではなく、長期に渡って筆者が試行錯誤した実体験をもとに、リアルなメリット/デメリットをご紹介します。読者の皆さまが「自分にはリモートワークが合っているかどうか」を考える際の参考となれれば幸いです。 [toc] リモートワークって意外と難しい いきなり否定的なことを書いてしまいますが、リモートワークには難しい部分があるということが、さまざまな調査から明らかになってきています。 大手不動産情報メディアが2020年におこなった調査 [*1] によれば、「オン・オフの切り替えがしづらい」「作業に適した設備が自宅に足りない」「集中できる環境の確保が難しい」など、リモートワークを経験した人の多くが何かしらの課題を感じています。 また総務省の2022年度の統計調査 [*2] によれば、以下のように、リモートワークをおこなえているかどうかは地域や業種による差が大きいことが報告されています。 ・リモートワークを実施している企業の割合は、もっとも高い関東では30%を越えるものの、それ以外の地域では10〜20%程度にとどまってる。 ・リモートワークを実施している企業の業種は、「情報通信業」がもっとも高く55.7%である一方で、もっとも低い「医療、介護、福祉」では4.3%、次いで低い「宿泊業、飲食サービス業」では11.1%しかない。 コロナ禍の影響もあり、以前と比べるとリモートワークは日本中で大きく広がりました。「リモートワークで働きたい」「リモートワークができない会社は遅れている」といった言葉もよく耳にします。 たしかに筆者も、リモートワークのおかげで助かっていることがたくさんあります。しかしリモートだから何でもかんでもすばらしい!ということではありません。「障害の有無に関係なく難しい面があること」や「住んでいる地域や働いている業界・業種によってできる/できないが大きく異なること」は、前提として押さえておいた方が良いでしょう。 参考文献 [*1] 「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査|リクルート住まいカンパニー [*2] 総務省|令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況 これらを踏まえたうえで、次のページからは筆者が実体験から感じたメリット・デメリットを、以下の3つのパターンでご紹介します。 パターン1. 出社がメインでたまにリモートワーク パターン2. リモートワークがメインでたまに出社 パターン3. 完全(フル)リモートワーク   パターン1. 出社がメインでたまにリモートワーク 出社することが原則だが、必要な場合(例えば、天候や交通事情により出社が難しい場合や、外出先が遠方で会社に立ち寄っている時間がない場合など)には上司の許可を得てリモートワークをしてもOK、という条件でした。 実際にリモートワークした頻度は「月に数回」程度。上司の許可がいるため、本当に必要なときのみおこなっていました。 1-1. メリット 「リモート」という選択肢があるだけでも楽になる 「必要な場合に許可を得ればリモートワークが可能」というだけでは、一見するとあまり意味がないように感じます。しかし完全なリモートワークでなくても「選択肢がある」というだけで、とても効率的になりました。 例えば「天候の影響で交通機関が大きく乱れている」という場合、出社が前提だとどんなに混雑していても、遠回りをしてでも会社に行かねばならず、それだけで時間も体力も浪費してしまいます。このようなときに「リモートワークしても良い」という選択肢があれば効率的に時間を使えます。 また「体調がすぐれず出社するのはしんどいが、仕事はなんとかできる」という場合にもリモートワークができれば柔軟に対応でき、休んでしまう罪悪感を軽減できます。「休む以外の選択肢が取れる」ということは効率的であるだけでなく、気持ちの面でも、とても楽になりました。 会社の体制にもよりますが、「リモートワークができる」ことは単に仕事の効率性の観点だけではなく、発達障害による「二次障害」などの理由で体調がすぐれないときや、定期的に通院しなければならないときに「柔軟な対応ができる」という観点でも、メリットだと言えるでしょう。 出社することでオン/オフの切り替えがしやすい 後にリモートワークがメインになってから気が付いたのですが、出社する方がメリットになることもありました。 リモートワークの場合、仕事とプライベートのオン/オフを自分で切り替える必要があります。しかし出社をすれば自動的に仕事モードになりますし、「勤務時間内に終わらせなければ」という気持ちも働きます。作業の内容によっては、会社で仕事をした方が集中しやすいものも数多くありました。 1-2. デメリット 出社時/リモート時の「作業の切り分け」が難しい 「たまに」リモートワークを行う場合は、作業の切り分けを事前にしておかないと、結局たいした仕事ができませんでした。 私は会社から支給されたノートPCを持ち運んで作業していましたが、社内からでないとアクセスできないデータや社外に持ち出せない資料などがあり、当然それらが必要な作業はリモートワークでは行えません。 また会社であれば外付けのディスプレイやキーボード、マウスなどが使えましたが、リモートワークではノートPCだけで作業せねばならず、複雑な作業をするには不向きだったので、結局「メールのチェックや簡単な作業しかできない」ということも多々ありました。 どの場所でどんな作業ができるかをあらかじめ想定して切り分けておかないと、せっかくのリモートワークをうまく活用できないと感じました。 事前の仕事の段取りや計画を立てなければならないという点では、ADHDの特性として「見通しを立てるのが苦手(計画を立てるのが苦手)」な方の場合、特に注意が必要です。   パターン2. リモートワークがメインでたまに出社 コロナ禍の影響で、会社が「出社せずとも済む場合には、なるべく出社しないように」という方針を打ち出し、リモートワークをメインとする体制になりました。出社の頻度は週1〜2日で、それ以外は基本的に自宅で作業するようになりました。 2-1. メリット 通勤の負荷が大幅に軽減された リモートワークのメリットを一番大きく感じたのは、通勤の負荷が軽減されたことです。 私はASDの特性として「感覚過敏」と「人の目を気にしすぎて疲れてしまう」というものがあり、人混みがとても苦手で、会社に辿り着くだけでも大きな疲労感がありました。出社が当たり前だったときには「まぁこんなもんか」と思っていたのですが、リモートワークがメインになったことで体力的にとても楽になり、気付かないうちに通勤が大きな負担になっていたことに気が付きました。 自分の仕事に集中しやすくなった 私はADHDの特性である「気が散りやすい」やASDの特性である「感覚過敏」によって、自分に話しかけられているわけではないのに誰かの話し声に気を取られてしまい、作業に集中できないことがよくありました。自宅であればこうした聴覚的な刺激を少なくできますし、集中したいときだけメールやチャットの通知を切っておくこともできます。入ってくる情報を少なくできることで、目の前の作業に集中しやすくなりました。 またリモートワークではチャットやメールなど「テキスト」でのコミュニケーションがメインになりますので、ADHDの特性として「口頭で指示を受けるのが苦手(耳から入る情報が記憶することが難しい)」という方の場合、仕事がしやすくなるメリットもあるでしょう。 2-2. デメリット 自分で自分をコントロールするのは難しい 「自分の仕事に集中しやすくなった」という一方で、自宅で作業することがメインになったことで「仕事以外にあれこれやりたくなってしまう衝動を抑えなければならない」というマイナス面も浮き彫りになりました。 例えばちょっと休憩しようと部屋に目をやったら、ホコリが気になって掃除を始めてしまったり、天気がいいから布団を干したくなってしまったりというように、自宅にいるせいで「出社していれば気にならなかったことが気になる」ようになったのです。 「衝動性の高さ」や「気が散りやすい」などのADHDの特性がある方は、仕事に集中ができる環境を整えるために、余計なものが視界に入らないよう机や部屋を片付けたりパーテーションを設置したりなどの工夫が必要でしょう。 逆に「仕事をし過ぎてしまう」という点でも苦労しました。会社でしか仕事ができなければプライベートの時間は仕事を忘れられます。しかしリモートワークでは意識的にオフにしないと四六時中仕事のことが気になってしまい、家族との時間をないがしろにしてしまうようなこともありました。 ADHD/ASDの特性である「過集中」によって、休憩や食事を忘れて作業を続けてしまったり仕事のことを考え続けてしまったりすることがあるので、注意が必要です。   パターン3. 完全(フル)リモートワーク 以前から副業でライターの仕事をしていたのですが、そちらが徐々に拡大していたことから、より柔軟に働けるよう本業も雇用契約から業務委託契約へと切り替えてもらうことになりました。ライターの仕事も本業でおこなっていたWebマーケティングの仕事もリモートワークと相性が良かったことから、フリーランスとなったことをきっかけに、完全(フル)リモートワークに移行しました。 3-1. メリット 自分のやりやすいように仕事環境を作れる 「出社しない」ことが前提になったため本格的に自宅の仕事環境を整えはじめたのですが、自分のやりやすいように環境を作れるというのは、とても大きなメリットでした。 私はASDの「感覚過敏」の特性があったため、目や耳からの刺激をなるべく少なくしたかったのですが、さすがに会社で他の社員がいる中では「自分の席だけ照明を調節」したり「自分だけイヤホンをして雑音を防ぐ」ようなことはできません。 その点、自宅であればどんな調節も自分の思い通りにできます。もちろんお金がかかってしまうこともありますが、お金をかけただけの効果は十分得られたのではないかと思っています。 3-2. デメリット 生活スタイルそのものをアップデートしなければならない 私はASDの特性上、人とコミュニケーションを取ることがあまり得意ではないので、リモートワークで対面のコミュニケーションを少なくできるのは大きなメリットでした。ところが完全リモートワークで仕事をするようになって、今度は家族とのコミュニケーションや距離感の取り方に難しさを感じるようになったのです。 もちろん家で仕事をすることに家族も納得してくれています。それでも人の感情としては「家にいるんだから、これくらいのことはやってよ」と思うのは当然のこと。私自身も、かつてフルタイムで出社して働いたころは、家族に対してまったく同じことを思っていました。 家族との距離感をすり合わせ、自分の中で納得できる形に落とし込むまでには2〜3年かかりました。 仕事の時間や場所が自由になるということは、プライベートの時間の使い方にも当然影響します。つまり、単に「今までより効率的に働ける」というだけではなく、「これまでの生活スタイルそのものが変わる」ということなのです。どのように働いて、どのようにプライベートを過ごすのか——時間のデザインを自分でしなければならないところに、難しさを感じました。 特にADHDの「見通しを立てるのが苦手(計画を立てるのが苦手)」という特性がある場合は、仕事とプライベートの両方の計画を立てなければならない完全リモートワークではより困難さを感じてしまうかもしれません。   リモートワークに欠かせないのは「セルフケア」 今回ご紹介したのはあくまで筆者個人の事例ですので、発達障害の特性や仕事の内容、自宅環境などによって、リモートワークに向いている/向いていないは大きく異なります。 リモートワークの場合、同僚や上司の目が届かないところで仕事をすることになりますので、特に障害者雇用では出社している場合と比べ、どうしても合理的配慮が受けづらくなります。 例えば「過集中によって長時間作業をし続けてしまう」という特性に対して、出社していれば「周りから声をかけてもらう」という合理的配慮が受けられますが、リモートワークでは自分自身で管理しなければなりません。また「計画を立てて進めるのが苦手」という特性に対しても、リモートワークでは周囲からの進捗確認や声がけがしづらくなるので、自分でスケジュールやタスクを管理する必要があります。 このように、自分で自分を管理する「セルフケア」がちゃんとできていることが、リモートワークには欠かせないのです。 もし一人ではセルフケアを身に付けることがたいへんだと感じたら、支援機関を利用することも一つの手です。セルフケアを始め、働く上で困りごとを感じている方のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
ASDのある方に向いている仕事〜やりがいある仕事の探し方〜

ASD特性のある方に向けて「特性が活かせる職種」を「やりがいを持って、長く働ける仕事とは何か?」という観点で紹介します。向いている仕事選びのポイントを分かりやすく図解しました。

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「仕事がうまくいかなくて転職したいんだけど、良さそうな仕事が見つからなくて…」 自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受けた方や「自分はASDかもしれない」と感じている方の中には、そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。 書籍やインターネットの情報では「ASDのある方に向いている仕事」が紹介されていることがあります。しかし紹介されている仕事がいまいち魅力的に見えなかったり、「本当にできるかどうか心配だ」と感じたりしたことはないでしょうか。 今回は「ASDのある方が、充実した仕事人生を歩むためには、どんな仕事を選べばいいのか」について解説します。これから就職や転職を考えている方の参考としてご覧ください。 なお「ADHDのある方に向いている仕事」の解説は、以下の記事をご参照ください。 ADHDのある方に向いている仕事〜実践的な仕事の選び方〜 [toc] ASDの特性とは 向いている仕事を分析するために、まずはASDの特性が、実際の生活にどのように影響するのかを確認しておきましょう。 ASDとは、対人関係やコミュニケーションの難しさ、強いこだわりや興味の偏りなどを特徴とする障害であり、脳の特性として次の3つがあると言われています。 シングルフォーカス特性 : 一度に注意を向けられる範囲が狭くなる。興味関心の幅が狭くなりがち。 ハイコントラスト知覚 : 物事を「白か黒か」「全か無か」など極端な捉え方をしがち。曖昧な捉え方や、さまざまな物事を「微調整」することが難しくなる。 シングルレイヤー思考 : 一度に一つの情報しか処理しにくい。複雑な状況の理解が難しく、明記されていないルールを自然と読み取ったり、物事の「裏」を察したり、といったことが苦手になる。優先順位がつけにくくなる。 (引用元:自閉症スペクトラム障害(ASD)|大人の発達障害とは) ASDの特性による苦手 このようなASDの特性により、仕事をする上では以下のような「苦手」が見られることがあります。 場の雰囲気を読むことが苦手 あいまいな表現を理解できない こだわりが強く、融通がきかない 想定外のことに対処することが苦手 フローやルールが変更されると混乱する 複数の作業を同時並行でおこなうことが難しい これらの苦手があることから、ASDのある方は「人とのコミュニケーションに困難さを感じる」というケースが多くなります。 私たちの仕事や日常生活において、人とのコミュニケーションをなくすことは現実的にはなかなかできません。「特性による苦手なことが分かっているのに、生活する上で避けて通ることが難しい」というところに、ASDの特性による困難さの特徴が表れています。 ASDの特性による強み 一方で、ASDの脳の特性が仕事における強みとなって発揮されることもあります。 例えばイタリアの芸術家であるレオナルド・ダ・ヴィンチ。一説によると彼もまたASDだったそうですが、特定のものごとに異常に執着したり、没頭したりするような人物だったと言われています。彼が興味を抱き没頭する領域は芸術にとどまらず、医学・建築・天文などさまざまな分野へと向けられました。それが芸術にも生かされ、後世に残るさまざまな作品を生み出すことへとつながりました。 このように、ASDの脳の特性が長所となって、 正しい手順やルールを守ることができる 細かな違いやミスに気づくことができる 興味関心のあることに没頭できる 論理的な思考を持っている 独創性や発想力がある …といった強みへとつながるケースもあるのです。では、このような強みを活かせる職種とは、いったいどういうものなのでしょうか。     ASDの特性が活かせる職種 「ASDに向いている職種」を探す難しさ 書籍やインターネット上の情報で「ASDに向いている」と紹介されている職種を見て、皆さんはこんなイメージを持たれることはないでしょうか。 ・マニュアルがあり、正しい手順やルールに従って作業する事務系や作業系の職種は、ASDに向いている ・お客様に合わせて臨機応変にコミュニケーションをし、その場で柔軟な対応が求められる営業系や販売系の職種は、ASDに向いていない これらのイメージを図にしてみると、このようになります。 しかし実際にその職種について調べてみると、会社の状況によって中身はかなり違います。例えば、ASDに向いている職種として挙げられることの多い事務職であっても、「業務がキッチリ分業されており、マニュアルも整備されている会社の事務職」と「一人で何役もこなさねばならず、マニュアルも整備されていない会社の事務職」では、まったく違うものになります。 自分が担当する業務の種類によっても状況は変わります。こちらも、ASDに向いている職種として挙げられることの多い財務・経理職を例に見てみましょう。 自分の担当が「会計ソフトへの記帳業務」だけであれば、マニュアルに従い周囲とあまりコミュニケーションを取らずとも行えるかもしれません。 しかし担当が「請求書の処理業務」や「経費の精算業務」などに広がっていった場合、書類の内容について社内外とやり取りしながら、状況に応じて処理を進めなければならないものも出てきます。 具体的に「経費の精算業務」について見てみましょう。この業務は社員から提出された書類(領収書、請求書など)を処理するものです。 一見すると「提出された書類を処理する」のであれば、問題なくマニュアル通りに進めることができそうに思えます。しかし現実には、期日が決まっているのになかなか書類を出してくれなかったり、期日を過ぎてから頼み込んで提出してきたりするようなケースもあります。 たとえ自分はルールを守っていたとしても、人が集まって仕事をする中では、ときに相手に合わせてつじつまを合わせなければならない—こうしたこともコミュニケーションの一種ではあり、ストレスだと感じてしまう場合があるのです。 長く仕事を続けていくなかでは、マニュアルがあったとしても必ずしもその通りには進まず、周囲とコミュニケーションを取りながら業務を進めねばならないケースも出てくるのです。 つまり同じ職種であっても、会社の状況や担当業務によって、業務の定型・非定型や、必要なコミュニケーションの量が変化してしまうということです。これがASDの特性を活かせる職種を探すときの難しさへとつながっています。 最初は定型的で自分一人で完結できる仕事の担当だったとしても、慣れてくれば少しずつ担当範囲が増えますし、誰かとコミュニケーションを取りながら状況に応じて対応しなければならない仕事も任されるようになります。 先ほども書いたように、私たちの仕事や日常生活において、人とのコミュニケーションをなくすことは現実的にはなかなかできません。「長く働く」「やりがいをもって働く」ためには、人とのコミュニケーションに対する困難さに、なにか対策をする必要があるのです。 「才能で突き抜ける」ことは現実的に可能? もしかしたら、先ほどご紹介したレオナルド・ダ・ヴィンチのように、ASDの特性を活かして「興味関心があり自分が没頭できる分野で圧倒的に突き抜ける」というのも、一つの方法かもしれません。 スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんの事例を見てみましょう。グレタさんは自身がASDであることを公表して活動していますが、当時16歳だった彼女がはじめた活動は、世界的なムーブメントを巻き起こし、最終的にノーベル平和賞にノミネートされるまでに至りました。(参照元:「アスペルガーは才能」ノーベル平和賞にノミネートされた発達障害の少女が投げかける。障がいとは何かを | ハフポスト WORLD) 彼女やレオナルド・ダ・ヴィンチのように、ASDの特性を活かし圧倒的に突き抜けた「何か」をもった人であれば、周囲から一目置かれる存在になれるのかもしれません。 しかし私たちの日常生活においては、それはなかなか難しいのではないでしょうか。 すでに自分の才能や技能がはっきり分かっていればいいのですが、現実には「それが見つかっていない」という方も多いのではないかと思います。仮に見つかっていたとしても、安定的にお金を稼いで生計を立てられるかどうか(=持っている才能や技能がお金を稼ぎやすいものかどうか)という課題もあります。 実際、グレタさんが行っている活動がどれだけ社会的意義のあるものだったとしても、それがお金を稼げる「仕事」になるかどうかは別問題です。彼女は「ASDであることは才能であり、スーパーパワーを与えてくれる」と述べており、それはとてもすばらしい考え方です。しかし現実的には、私たちはまず目の前の日々の生活を営んでいかねばなりません。 現代の日本において、現実的に生計を立てつつASDの才能を活かすためには、どのような仕事を探せばいいのでしょうか。 ASDのある方が長く、やりがいをもって働ける可能性がある職種3選 まだ見つからない何らかの才能が隠れているのだとしても、現実にはまず安定的に働いてお金を稼ぐことからはじめる必要があります。 そこで、定型的・コミュニケーションが少ない仕事から始められて、徐々に専門性で突き抜けられそうな職種を3つピックアップしました。もちろん、「今回ピックアップした3つの職種以外は、ASDのある方には向いていない」というわけではありません。あくまで就職や転職活動をおこなう際の、一つの参考例として、ご覧ください。 1. 財務・経理 企業活動におけるお金の流れを、正確かつ厳密に管理しなければならない財務・経理の仕事は、ASDの「正しい手順やルールを守ることができる」「細かな違いやミスに気づくことができる」という特性を活かして活躍できる可能性があります。 仕訳業務のように「細かな明細や数字を黙々と処理する」ような業務もあれば、会計データをもとに企業の経営分析をおこなうような業務もあり、自分に合わせてチャレンジの幅を広げていきやすい職種です。 また会計と合わせてITの知識を身に付けることで、より高度な分析をしたり、バックオフィス業務の全体を効率化したりするような業務の広げ方も考えられます。 資格も難易度が低いものから高いものまで幅広くチャレンジできます。例えば「簿記」であれば、3級は自学でも比較的取得がしやすい一方で、2級・1級は専門性が高く、ステップアップしてチャレンジするのにやりがいがある資格です。 他にも「給与計算検定」「ビジネス会計検定」といった民間資格もあります。そして、取得は困難ではありますが、会計系の最上位の資格として「税理士」や「会計士」などの国家資格もあります。 日々の業務ではExcelやWordなどのオフィス系ソフトを使う機会も多いため、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)のようなIT系の資格も相性が良いでしょう。Excelのスキルを高めていけば関数やマクロを使って業務を効率化できますし、汎用性が高いので幅広い仕事で応用できるスキルにもなります。 財務・経理の仕事はどの企業にも必要なものですので、大企業から中小企業、税理士事務所まで、幅広く求人があります。ただし中小企業や税理士事務所の場合、会計業務以外にもさまざまな事務作業を担当しているケースが多く、臨機応変な対応が求められる傾向があるため注意が必要です。 「マニュアルがしっかり整備されている」「分業がはっきりしていて担当が明確である」という点で、大企業や特例子会社への就職を目指す方が良いでしょう。 2. Webデザイナー 「細かな違いやミスに気づくことができる」「興味関心のあることに没頭できる」「独創性や発想力がある」というASDの特性を活かして活躍できる可能性があるのが、Webデザイナーです。 「Webデザイナー」と一口に言っても、以下のようにさまざまな業務があります。 ・お客様との調整や全体の進行管理をおこなう「ディレクション」 ・導線やコンテンツの配置など、サイト全体のデザインを設計する「UI/UXデザイン」 ・サイトに掲載する文章を制作する「ライティング」 ・画像やイラストを制作する「デザイン」 ・HTMLやCSSなどの言語を使い設計図に従って実際にサイトを組んでいく「コーディング」 上記のうち「コーディング」の業務は、細かな部分までミスなく処理することが必要なためASDの特性を活かせる可能性があり、また、専門学校などでHTMLやCSSといった言語を学べば未経験者でも比較的チャレンジがしやすい業務です。またデザインが得意な方であれば、「独創性や発想力がある」という特性を活かして、クリエイティブに特化した道という選択肢もあるでしょう。 コーディングを専門に担当する職種として「コーダー」を募集している求人もありますので、コーダーからはじめ、自分に合わせて徐々にチャレンジする領域を広げていくこともできるでしょう。 Webデザイナーの求人は、大きく分けて「事業会社」のものと「制作会社」のものとがあります。 ・事業会社のWebデザイナー:自分の会社のWebサイトを制作・保守する ・Web制作会社のWebデザイナー:お客様の会社のWebサイトを制作・保守する 「Webサイトを制作・保守する」という点はどちらも同じですが、Web制作会社の場合は社外のお客様あっての仕事ですので、仕様やスケジュールなどがお客様都合で変更になることもあります。その点は注意して選びましょう。 「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はWebデザインを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付けたり、就職先を探したりする方法もあります。 就労移行支援事業所については、以下の記事もご参照ください。 ・就労移行支援事業所とは?対象者・料金・サービス内容をまとめました。 ・就労移行支援事業所のよくある質問集 3. ITエンジニア Webデザイナーと同じく「細かな違いやミスに気づくことができる」「興味関心のあることに没頭できる」「論理的な思考を持っている」というASDの特性を活かして活躍できる可能性があるのが、ITエンジニアです。 基本的にはプログラミング言語の専門的な知識が必要であり、未経験からチャレンジすることは難しいですが、近年はITエンジニア人材の需要は非常に高まっており、基礎的なスキルが習得できていれば実務経験が少なくてもOKという求人もあります。 先ほどご紹介した「2. Webデザイナー」と同じく、「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はプログラミングを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付ける方法もあります。 ITエンジニアのなかには、ソフトウェアの動作テストを専門におこなう「テスター」や、プログラムの不具合を発見・修正を専門におこなう「デバッガー」という職種もあります。これらの職種では、ASDの「細かな違いやミスに気づくことができる」という特性が活かせる可能性も高まります。 またITエンジニアの中でも「(SE寄りの)要件定義など仕様を考える仕事」では、「何を・どうすれば・どのようなことができ・解決に至れるのか」をロジカルに考えることが求められるため、「論理的な思考を持っている」という特性を活かすことができるでしょう。 特定の分野で高度専門的な知識を身に付ければ、高い収入が期待できるのもエンジニアの特徴です。専門学校などで基礎知識を身に付けた上で、まずは「テスター」「デバッガー」からはじめ、徐々に専門領域へとチャレンジを広げていく、というキャリアステップが考えられるでしょう。 就職先としては、大企業の特例子会社など障害者雇用でテスター/デバッガーを積極的に募集している企業もあります。特例子会社については、以下の記事もご参照ください。 ・特例子会社とは?就職先としてのメリット・デメリットを紹介!   ASDのある方が「働きやすい」条件とは ここまで解説した内容を整理すると、ASDのある方が働きやすい条件は下記のとおりです。 コミュニケーション力が求められない仕事(一人でできる仕事) 業務の手順やルールが明確な仕事 タスクが決まっており、臨機応変さや柔軟さを求められない仕事 自分が得意とすることができる仕事 これらをすべて満たすことができれば理想ですが、ここまでで述べたとおり、私たちの仕事や日常生活において人とのコミュニケーションをなくすことはなかなかできません。また長く仕事を続けていく間には「コミュニケーションを取りながら、状況に応じ対応しなければならない仕事」にもチャレンジする必要があるかもしれません。 定型的でコミュニケーションが少なくても済むような仕事からはじめ、生活を安定させつつスキルを積んでいき、自分の興味関心や仕事環境に応じてチャレンジの幅を広げていくのが良いのではないでしょうか。 セルフケアも大切に どんな仕事でも、自分に合った職種や仕事環境を探すのと併せて特性に対するセルフケアをおこなうことが欠かせません。ASDの特性に対するセルフケアのヒントを過去の記事でご紹介していますので、こちらもぜひご参考ください。 「通勤疲れ」は感覚過敏に工夫を!ASD の脳の特性による困りごと:疲れやすい コミュニケーションが苦手だとSNS依存になりやすい!?上手く付き合うためのHACK! 「自分らしく働く」を実現しませんか? 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
ADHDのある方に向いている仕事〜実践的な仕事の選び方〜

ADHD特性のある方に向けて「特性が活かせる職種」を難易度ごとに紹介します。向いているポイントだけでなく、実際に目指せるのか?どうすればなれるのか?を分かりやすくまとめました。

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  • #特例子会社
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  • #注意欠如・多動症(ADHD)
「仕事がうまくいかなくて辞めたい…」「他にもっと、向いている仕事があるんじゃないか…」 注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)の診断を受けた方や「自分はADHDかもしれない」と感じている方の中には、もっと働きやすい仕事への転職を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。 デザイナーやエンジニア、ジャーナリストなど、書籍やインターネットの情報では「ADHDのある方に向いている仕事」が紹介されていることがあります。しかし気をつけねばならないのは、これらの職業はあくまで「ADHDの特性が活かせる可能性がある」というだけで、「ADHDの特性があれば必ずこれらの職業になれる、というわけではない」という点です。 そこで今回は、ADHDのある方に向いている職業をご紹介したうえで、「それらの職業に就くには、実際にどのようにすれば良いのか」「現実的になれる可能性がどれくらいあるのか」を解説します。これから就職や転職を考えている方の参考としてご覧ください。 [toc] ADHDの特性とは 向いている仕事を分析するために、まずはADHDの特性が、実際の生活にどのように影響するのかを確認しておきましょう。 ADHDとは、不注意や多動、衝動性などを主な特徴とする障害であり、脳の特性として大きく2つに分けられます。 一つ目は「行動や思考を制御する機能の低下」です。行動や思考のブレーキが効きにくくなっている状態とも言えます。この特性と、その人が持つ本来の個性が掛け合わさることで、個々の症状が表れます。例えば「活発な人」の場合は衝動性が表れ、「好奇心が強い人」の場合は過集中が表れる、といった具合です。 二つ目は「ワーキングメモリーの弱み」です。脳の一時的な記憶の置き場であり、作業場でもあるワーキングメモリーの機能低下により、臨機応変な対応が難しくなったり、不注意が起こりやすくなったりします。 一つ目の「行動や思考を制御する機能の低下」の特性は、場合によっては長所にもなり得ます。例えば、衝動性がプラスに働きスピーディーな判断や行動につながる、過集中がプラスに働き興味関心があることに没頭できる、といった仕事における強みが生まれるケースも少なくありません。 一方で、二つ目の「ワーキングメモリーの弱み」の特性は、残念ながら実生活において長所になることがほとんどなく、大半が困りごととして表れてきます。 「ADHDの特性を活かした職業がある」とは言っても、大前提として特性に対する対策(セルフケア)をセットでおこなうことが必要不可欠であることに注意が必要です。 ADHDの特性による苦手 では、ADHDの特性によって苦手なこと(困りごと)に対して、具体的にどのような対策(セルフケア)をおこなえば良いのかを見ていきましょう。代表的な困りごととして以下のようなものが挙げられます。 ケアレスミスが多い 忘れ物、失くし物が多い マルチタスク(複数の作業を同時進行すること)ができない 集中力が続かない 物事を先延ばしにしてしまいがちで、納期を守れない 物事の優先順位をつけられない 思いついたことをすぐに発言したり行動したりする 例えば「ケアレスミスが多い」という困りごとの場合、原因はワーキングメモリーの弱みにより、「一つのことを忘れないようにしながら他の作業をすることが難しい」という部分にあります。対策としては、 覚えていなければいけないことを頭の中だけで頑張って覚えておくのではなく、メモ帳やスマホのスケジュール機能、アラーム機能などを活用して、頭の外に記録しておく 周囲の同僚や上司に、何かの作業中に指示を追加しないよう配慮をお願いする …といったことが有効です。上記以外の困りごとについても、以下のページで原因と対策をまとめていますのでご参照ください。 注意欠如・多動性障害(ADHD)|大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア ADHDの特性による強み 先ほどもご紹介したとおり、ADHDの「行動や思考を制御する機能の低下」という脳の特性が、以下のような強みとして表れるケースもあります。 フットワークが軽く、行動力がある スピーディーな判断ができる 自分の意志を貫くことができる 好奇心の幅が広い 興味関心があることに没頭できる 例えば、「フットワークが軽く、行動力がある」のであれば、その強みを活かして営業職などのフィールドワーク(社外に出て現場で働くこと)が向いていそうです。「スピーディーな判断ができる」「自分の意志を貫くことができる」ことは、会社や事業を運営する上で重要なスキルですので、経営者に向いていると言えるかもしれません。 しかし「特性が営業職や経営者として向いている」ということと、「実際に営業職や経営者になれるかどうか」は別の問題です。特性が活かせる職業に実際に就くためには、どのようにすれば良いのでしょうか。   ADHDの特性が活かせる職種 書籍やインターネット上の情報で「ADHDに向いている」と紹介されていることが多い職種を、難易度別に整理しました。「その職種を目指すためにどうすれば良いのか」も併せて解説します。 ※ここで言う「難易度」は、「ADHDに向いている」と言われる職業のなかでの、未経験からの転職のしやすさ」を表しています。「難易度が低いから仕事内容も簡単」というわけではありませんので、ご注意ください。 1. 難易度:低 (未経験からでもなれる可能性がある職業) 1-1. 営業職 ADHDの「フットワークが軽く、行動力がある」という特性を活かして活躍できる可能性があるのが営業職です。 営業の仕事には行動力が欠かせません。1件でも、1人でも多くのお客様と商談し、お客様のご要望を聞き商品の良さを知っていただくことが成果へとつながります。もちろん、ただ闇雲に行動するのでなく考えることも必要ですが、多くの場合営業の成果は行動した量と比例しますので、積極的に行動すればするほど成果が出しやすい職種だと言えるでしょう。 また、ADHDの「好奇心の幅が広い」という特性を活かしてお客様のニーズや最新の情報をリサーチすることで、営業の仕事に活かすこともできます。 営業職では「計画を立て、スケジュール通りに行動する」「約束を守る」「電話や対面でコミュニケーションをとる」ことが求められることが多いため、これらに問題がない、または、対策がしっかりできているのであれば、職業として向いている可能性が高まると言えるでしょう。 営業職を目指すのであれば、未経験可の求人も比較的多いので、実際に求人を検索しどのような経験やスキルが求められているのかを調べてみるのが近道です。 同じ営業職であっても、保険会社やカーディーラーのように「個人にモノ・サービスを売る場合」と、メーカーや商社のように「企業(法人)にモノ・サービスを売る場合」とでは、仕事内容や必要なスキルはかなり異なります。 また、扱っているモノ・サービスによっても、「日用品や食品のように価格が安いものを売る場合」と、「医療機器や大型の産業機械のように価格が高いものを売る場合」とでは、やはり大きな違いがあります。 例えば「より多くの人とコミュニケーションを取りたい」という方は個人向け営業を選ぶ、「より深い関係性を築きたい」という方は法人向け営業を選ぶ、というように性格や適性に応じた選び方もあります。 求人に書かれている具体的な仕事内容を見て、自分にはどのような営業の仕事をしたいのか、どのようなタイプなら自分に向いていそうかを検討しましょう。求人の研究や志望企業の探し方については、以下の記事もご参照ください。 【大人の発達障害の就活HACK】志望企業の探し方 〜①基本編〜|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 1-2. Webデザイナー ADHDの「興味関心があることに没頭できる」「好奇心の幅が広い」という特性を活かして、活躍できる可能性があるのがWebデザイナーです。 Webデザイナーの仕事とは、簡単に言うと「Webサイトの制作」です。Webの技術は日々進化していくので、興味関心や好奇心を持って新しい技術や知識を広く身につけることが欠かせません。また、Webサイトを作るときには「細かく正確な作業をする」「集中力を持続させる」ことが求められます。これらの要素と自分の特性がマッチすれば、活躍がしやすい職種だと言えるでしょう。 Webデザイナーを目指す際に注意したいのが、その役割です。Webサイトの制作では、以下のような役割があります。 お客様との調整や全体の進行管理をおこなう「ディレクション」 導線やコンテンツの配置など、サイト全体のデザインを設計する「UI/UXデザイン」 サイトに掲載する文章を制作する「ライティング」 画像やイラストを制作する「デザイン」 HTMLやCSSなどの言語を使い設計図に従って実際にサイトを組んでいく「コーディング」 Webデザイナーはその名前から「デザイン関係の仕事をしている」と思われがちですが、実際には上記のうち「コーディング」の担当を指している求人が多いです。 ただ、実際の現場ではWebデザイナーが複数の役割を兼任していることも多く、「コーディングから始めて他の役割へ仕事を拡げていく」ということはやりやすい職業です。多様な業務にチャレンジする機会が多いため、「飽きっぽい」特性がある方には向いている職種と言えるのではないでしょうか。将来的に自分がどんなWebデザイナーを目指したいのか、考えておくと良いでしょう。 Webデザイナーは、プログラミングスキル、もしくはIllustrator・Photoshopなどを用いたデザインスキルが必要となるため、実務は未経験可だったとしても基礎的な知識やスキルは求められることが多く、、事前に知識やスキルを身に付けた上での就職・転職活動が基本となります。 ただ、Webデザインを学べる専門学校は数多くあり、自宅からオンラインで学べるものもありますので、他の「専門スキルが必要な職種」と比べると比較的、未経験からでもチャレンジしやすいと言えるでしょう。 また「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はWebデザインを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付ける方法もあります。 就労移行支援事業所については、以下の記事もご参照ください。 就労移行支援事業所とは?対象者・料金・サービス内容をまとめました。 就労移行支援事業所のよくある質問集 2. 難易度:中 (未経験からの転職には長期的な取り組みが必要な職業) 2-1. デザイナー、イラストレーター Webデザイナーと同様、ADHDの「興味関心があることに没頭できる」「好奇心の幅が広い」という特性を活かして、活躍できる可能性があるのがデザイナーやイラストレーターです。 デザイナーやイラストレーターは「自分の美的センスをもとに、独自の世界を創作する仕事」と思われがちです。たしかに、制作物には作者の個性が表れますが、実際のビジネスの現場では自分の感性だけで好き勝手に創作しているわけではなく、「自分の持っている技術を使って、お客様のご要望に沿ったデザインやイラストを制作する仕事」であることがほとんどです。 つまり、実際の仕事の場面では「自分のやりたいものではないデザインをする」「締め切りを守る」などのADHD特性に向かないことも生じるため、自分の特性とマッチするか注意が必要です。著名なアーティストともなれば、独自の世界観を創作することで生計を立てることができますが、そのような例は特別だと考えた方が良いでしょう。 転職の際には、「デザインの技法や、デザインツール(Illustrator・Photoshopなど)の操作方法をどれだけ習得しているか」「過去にどんな仕事に携わってきたのか」が重要な判断ポイントになるため、未経験でいきなり転職することは難しく、デザインの専門学校などで学んだ上で、何らかの実務経験を積む必要があります。 実務経験の積み方として、卒業時に専門学校側から紹介してもらう、クラウドソーシング(雇用契約を結ばずに、Web上などで案件の受発注をする仕組み)等で経験を積むなどのほか、「趣味でデザインを学んでいた方が、社内でデザイン作業を頼まれたところ評判になり、少しずつ任せてもらえるデザインの仕事が増えていった」といったようなケースもあります。 いずれにせよ簡単にチャンスをつかめるものではありませんが、デザインやイラスト制作へのニーズは幅広くあり、ビジネスのなかで重宝される役割であることは間違いありません。 2-2. ITエンジニア ITエンジニアも「ADHDの方が向いている」として挙げられることが多い職業です。難易度は「2-1. デザイナー、イラストレーター」とほぼ同じです。 エンジニアというと「PCの黒い画面に向かって黙々とコードを打っている仕事」と思われがちです。しかし実際のビジネスの現場では「自分の持っている技術を使って、お客様のご要望をどう解決するか」が重要であり、一説には「コードを打っているよりも、解決策を探すために調べ物やミーティングをしていることの方が多い」と言われることもあります。「お客様の要望に応える」「コミュニケーションが頻発する」「納期や約束を守る必要がある」などの場面が多くなる可能性があるため、ご自身に合うかどうかを見極める必要があります。 転職の際には、「プログラミング言語をどれだけ習得しているか」「過去にどんな仕事に携わってきたのか」が重要な判断ポイントとなるため、経験やスキルなしでいきなり転職することは難しく、プログラミングの専門学校などで学んだ上で、実務に活かせる経験経験を積む必要があります。 近年はエンジニア人材の需要は非常に高まっており、基礎的なスキルが習得できていれば実務経験が少なくてもOKという求人もあるため、未経験から転職するチャンスは「2-1. デザイナー、イラストレーター」よりは比較的多くあるでしょう。 また、先ほどご紹介した「1-2. Webデザイナー」と同じく、「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はプログラミングを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付ける方法もあります。 3. 難易度:高 (未経験からなる/生計を立てることが難しい職業) 3-1. ユーチューバー、ゲーマー 「小学生がなりたい職業」でいつも上位にランクインするユーチューバーやゲーマー。動画などのコンテンツは更新頻度が重要となるので「フットワークが軽く、行動力がある」という特性を活かしたり、自分が発信する分野の深い知識が求められるので「興味関心があることに没頭できる」「好奇心の幅が広い」という特性を活かしたりして、活躍できる可能性がある職業です。 実力があれば、組織に属さずに個人で働くこともできるため、「自由な働き方ができること」がメリットになる方もいらっしゃるでしょう。 しかし「なる」ことはできても「生計を立てる」ことがなかなか難しいのが、この職業の特徴でもあります。 例えばユーチューバーの場合、マーケティング会社がおこなったアンケート調査によれば、平均月収で10万円以上稼いでいる人は全体の1割程度しかおらず、もっとも割合が大きかったのは「平均月収5,000円〜1万円未満」との結果が出ています。 最近は「発達障害系ユーチューバー」として発信している方も多く、自分の意見や情報を世の中に届けるツールとしてYouTubeはとても便利ですが、それだけで生計を立てて行くことはなかなか難しいと言えるでしょう。 ゲーマーの場合、専業でプロとして活動している人は「有名大会で好成績を収め、プロチームからスカウトされたり、スポンサーが付いたりする」ことでお金を稼いでいます。近年「eスポーツ」という言葉が広がっていますが、その名の通り、プロスポーツの世界とほぼ同じ、完全なる実力社会です。 ユーチューバー、ゲーマーのいずれもなかなか厳しい世界ですが、自分自身が主役になるのではなく「動画を制作する側として携わる」という方法もあります。 プロのユーチューバーは動画の制作作業を外注したり、所属する事務所に任せたりするケースが多くあります。またユーチューバーに限らず、近年動画はビジネスの幅広いシーンでニーズが高まっています。(プロゲーマーの場合も、併せてユーチューバーとして活動していることが多いので、やはり動画制作の需要はあります。) 動画制作者を目指す場合、専門学校などでスキルを身に付けた後に転職するのが一般的です。エンジニアと同じく需要が大きいことから、基礎的なスキルが習得できていれば実務経験が少なくてもOKという求人もあるため、転職できるチャンスは比較的あるでしょう。 動画制作からスタートし、アニメーションやCG制作などのスキルを伸ばしていけば、クリエイターとして将来的なキャリアアップが目指せる職業です。 3-2. 研究職 ADHDの「自分の意志を貫くことができる」「好奇心の幅が広い」「興味関心があることに没頭できる」などの特性が活かせる可能性があるのが研究職です。 仕事の幅が限定されていることが多くマルチタスクを避けることができる可能性があることや、研究対象をとことん追求する必要があるため「行動力がある」「興味関心があることに没頭できる」ことが、ADHDの特性にマッチするケースがあります。 求められる行動力について、例えば「ジャングルの奥地に新薬になり得る薬草がある」という研究があったときに、翌日にでも現地に飛ぶ、といった具合です。他にも求められる要素として「細かく正確な作業」や「高い集中力を持続させること」などがあり、これらの適性があるかも、研究職の大事なポイントです。 研究職になるためには、一般的に大学や専門学校等で専門分野の知識を身に付けた後に就職し、研究開発や製造部門に配属される、というルートを通ります。学生時代に学んでいない場合は、専門的な資格が取れる大学や専門学校に通うなど学び直しが必要となるため、未経験からの転職の難易度は高いと言えるでしょう。 「学生時代に専門的な学習を積んだり、資格を取ったりしたが、今はまったく別の仕事に就いていて働きづらさを感じている」という場合には、転職先の一つとして検討の余地があるかもしれません。 3-3. 経営者 マイクロソフト社の創業者であるビル・ゲイツ氏や、アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズ氏など、有名な企業の経営者にはADHDであると言われる人が数多くいます。このような事例をもとに、ADHDの特性を活かせる職業として紹介されることがある経営者ですが、それ自体は「職業」と言うよりも、会社事業を運営する上での「役割」と言った方が正確です。 「自分の意志を貫くことができる」「好奇心の幅が広い」「スピーディーな判断ができる」というADHDの特性は、いずれも経営者としての強みになります。 しかし、この特性だけで経営者になれるわけではありません。事業を運営する上では、さまざまな情報を総合して戦略を練り、誰よりも多く試行錯誤を繰り返し、厳しい状況にも耐えて打ち勝つ精神力が必要です。「ADHDだから経営者になれる」ということではなく、「経営者となった人の中には、ADHDの特性が活かせているケースがある」と考えた方が良いでしょう。 ただ、経営者の仕事のやり方から学べることもあります。 経営者の場合、自分の苦手な業務を部下に任せたり、勤務時間や場所を自由に働いたりできるので、特性による困りごとが起こりづらい環境を整えやすいということが言えます。 つまり、職場の環境や周囲からのサポートの有無によって、働きやすさは大きく変わるということです。転職の際には「ADHDの特性を活かした職業を探す」だけではなく、働きやすい環境を見つけるということも併せて考えるようにしましょう。   ADHDのある方が「働きやすい」条件とは では、ADHDのある方が働きやすい条件とは何なのでしょうか。 1. 自分が苦手とする作業を他の誰かに頼れる環境 人は誰しも得意・不得意があるものですが、発達障害の場合はその凸凹が大きいことが特徴です。苦手なことを自分でやらずに済むようになれば、困りごとが起こる機会を減らせることにつながります。 例えば「先延ばしにしやすい傾向があり、納期を守れない」のであれば、別の人にスケジュール管理をやってもらう、「集中力が続かない」のであれば、細かく集中力を要する作業は別の人に担当してもらう、などです。 小さな規模の会社の場合、分業が明確にされておらず「全員がお互いに察しながら、何でもやらねばならない」という状況が多くなります。タスクやスケジュールの管理も個々人に委ねられていることがほとんどのため、よっぽど専門性が高い職業でない場合は、ADHDのある方には向いていない可能性があります。 その点、規模の大きな企業は業務の担当がきっちり別れており、障害者雇用専門の部署があるなど、社内理解やサポート体制が充実している傾向があります。 「苦手なことを誰かに都度お願いする」というよりも「自分が得意なこと以外はやらなくて良い」という環境に移ることができないか、転職の際には考えてみると良いでしょう。 2. 比較的自由な環境 「フレックス」や「裁量労働制」を取り入れている会社は勤務時間の自由度が高いので、自分の体調に合わせて仕事をしやすくなります。また正社員ではなくフリーランスとして業務委託で仕事をすれば、委託された業務以外のこと=苦手な業務はやらなくても済みます。 ADHDの特性として「先延ばしにしやすい傾向があり、納期を守れない」「物事の優先順位をつけられない」といったものがあるため、基本的には会社組織に属して、それらの苦手なことを誰かに管理してもらう方が良いケースが多いです。 一方でADHD特性を無理にコントロールされることにより、逆にストレスがかかってしまうというケースもあります。管理されすぎることが負担になる、困りごとへのセルフケアがしっかりとできている、という場合には、「比較的自由な環境」で働くことで、働きやすさを高めることができるかもしれません。 セルフケアで対処ができることも! 企業で働くにせよ、独立してフリーランスなどで働くにせよ、自分に合った職業を探すだけでなく特性に対するセルフケアをおこなうことが欠かせません。ADHDの特性に対するセルフケアを過去の記事でご紹介していますので、こちらもぜひご参考ください。 アプリ活用で物忘れを防止 アプリ活用で遅刻対策 スムーズな朝の準備で遅刻対策 メモ活用で記憶力対策 「自分らしく働く」を実現しませんか? 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【大人のASD特性対策】コミュニケーションが苦手だとSNS依存になりやすい!?上手く付き合うためのHACK!

「SNSをやっていると、つい没頭して何時間も見続けてしまう」「もしかして、SNS依存では…?」発達障害のある方は、その特性からSNSや動画などのインターネットのコンテンツに没頭してしまいやすいと言われています。ASD 当事者である筆者が試行錯誤してきた中から、効果があった 2 つの HACKS をご紹介します。

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  • #はたラクHACK
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
「SNS をやっていると、つい没頭して何時間も見続けてしまう」「もしかして、SNS 依存では…?」—— こんなお悩みをお持ちではありませんか? Twitter や Facebook、Instagram など、 SNS アプリは私たちにとても身近で便利な存在です。友だちとのコミュニケーションや情報収集など、普段から活用されている方も多いことでしょう。 しかし SNS との付き合い方を間違ってしまうと、便利などころか逆に「日常生活に悪影響を与えてしまう」ことにもなりかねません。 発達障害のある方は、その特性から SNS や動画などのインターネットのコンテンツに没頭してしまいやすいと言われており、特に自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)では以下のような傾向があるとされています。[*] ・現実世界で対人関係やコミュニケーションが苦手なことから、ネット上での交流を求めやすい ・興味関心が高いことに時間を忘れて没頭してしまうことから、ネット上での情報収集に多大な時間を費やしてしまいやすい ASD 当事者である筆者も、実際に長年 SNS との付き合い方に苦労してきました。そこで今回は、筆者が試行錯誤してきた中から、効果があった 2 つの HACKS をご紹介します。 [*参考文献:発達障害とインターネット依存の現状と対策|一般社団法人日本児童青年精神医学会 機関誌「児童青年精神医学とその近接領域」第60巻 第1号 2019年2月1日発行] [toc] ①アプリの通知を切る 「SNS をあまり見ないようにしよう」と思っていても、スマートフォンの通知が鳴ればついつい見てしまいますよね。これはガマンする/しないの問題ではなく、もはや人としてどうしようもないことではないでしょうか。 どうしようもないのであれば、そもそも通知が届かないように仕組みを作りましょう。 SNS の通知設定は、実はかなり細かく設定することができます。例えば Twitter の場合だと、リツイートやリプライ、DM などの機能ごとに通知のオン/オフを選べたり、特定のアカウントからの通知だけをオン/オフしたりすることも可能です。 筆者は SNS の通知をすべて「オフ」に設定しています。 実は、最初は「自分の投稿に返信(リプライ)してもらったときに、気が付かなかったらどうしよう…」と思って通知をオフにすることをためらっていました。でもよく考えてみれば、SNS の通知は「仕事の連絡」のようにすぐに返事をする必要はないわけです。後でまとめて確認・返信するのでも、まったく問題はありませんでした。 各 SNS の通知の設定方法は、以下の記事(外部サイト)をご参照ください。 ・twitter通知の設定方法!便利な通知はこの8つ! ・Facebookで受け取るお知らせを選択するにはどうすればよいですか。 | Facebookヘルプセンター ・【かんたん図解】インスタの通知ON/OFF設定マニュアル ・LINEの通知設定 完全ガイド──通知の種類や意味、その効果を詳しく解説 | アプリオ ②SNS を見る時間を決める 子どもの頃に「テレビやゲームの時間を親から決められていた」という方も多いのではないでしょうか?これと同じように、SNS も時間を決めて利用するのが効果的です。 任天堂の Switch には「みまもり Switch」というアプリがあり、親がゲーム時間を管理することができますが、これと同じような機能が実はスマートフォンには最初から搭載されています。これをうまく活用しましょう。 iPhone では「スクリーンタイム」、Android では「Digital Wellbeing」という機能を使って、アプリ毎に見られる時間帯や、1日あたりの上限時間を設定できます。PC のブラウザから SNS を利用している場合は「BlockSite」などの拡張アプリをインストールすることで、似たような機能を使うことができます。 これらを設定しておけば、SNS を見ようとついスマホに手が伸びてしまったときに、踏みとどまることを助けてくれます。 ただし一つ問題があります。大人が自分で自分のスマートフォンを設定する場合、解除しようと思えばできてしまうので、完全にブロックすることができないのです。何を隠そう、筆者も「SNS を見たい」という欲望に負けて設定を自分で解除してしまうことがたびたびありました。 どうしてもガマンできない場合はどうすれば良いのか —— いろいろと試行錯誤した結果、筆者の場合は「スマートフォンから SNS アプリを消して、PC からのみ見るようにする」ことにしました。たしかに、スマートフォンでスキマ時間の暇つぶしに SNS を見られないのはちょっと不便に感じることもありますが、没頭し過ぎるよりはマシだろうと諦めることにしました。 スクリーンタイムなどの詳しい設定方法は、以下の記事(外部サイト)をご参照ください。 ・iPhone:人生は短い。SNS制限し余計な時間を見直して、集中する時間を作ろう | トリニティ ・Android:スクリーンタイム機能の使い方 - 見方・アプリごとの視聴制限方法を解説 - OTONA LIFE | オトナライフ - OTONA LIFE | オトナライフ ・PCのブラウザ:目的別:見たくないサイトをブロックできるChrome拡張機能5選:3分LifeHacking(1/3 ページ) - ITmedia エンタープライズ ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、大人の発達障害がある方からのご相談を承っております。(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援を行っている方からのご相談も受け付けております。) 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。