記事一覧

【発達障害の治療と薬】実際に服薬してみてどうだった?

発達障害の治療法には服薬と心理療法があります。服薬の体験談と効果についてインタビューしました。薬に頼らず自己対処をすることも大切です。

記事を読む
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
  • #限局性学習症(SLD)
「発達障害の特性を治療でどうにかしたい」 「服薬をすることでもっとスムーズに毎日を送りたい」 発達障害と診断を受けた場合、服薬や心理療法を勧められることがあると思います。そこで、発達障害の治療法にはどんなものがあるのか、そして治療薬はどのようなものがあり、どんな効果があるのかをお伝えします。特に治療薬については、体験談を織り交ぜながらご説明していきたいと思います。 皆さんが少しでも過ごしやすい社会生活を送れるよう、この記事がお役に立つことを願っています。 皆さんが少しでも安心した社会生活を送れるよう、この記事がお役に立つことを願っています。 [toc] 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 発達障害とは まず最初に、発達障害とはどういう障害なのかを簡単にご説明します。 「先天的」なもの 発達障害は、先天的な脳機能の障害です。「大人の発達障害」という言葉が有名になりつつあるので誤解されがちですが、親のしつけや本人の努力不足などで後天的に発達障害になる、ということはありません。 大きく分けて3つの要素がある 発達障害には、大きく分けて、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)の3つの要素があります。 自閉症スペクトラム障害(ASD) 対人関係やコミュニケーションの難しさ、強いこだわりや興味の偏りなどを特徴とする障害 注意欠如・多動性障害(ADHD) 不注意や多動、衝動性などを主な特徴とする障害 限局性学習障害(SLD) 全体的な知的発達に大きな遅れはないが、読み・書き・計算などの特定の課題の習得が、他に比べて不自然に遅れる状態 発達障害と診断される人のほとんどは、ADHD傾向が強いがASDの特性もいくぶんか見られるといった、3つの要素の濃淡の組み合わせであることが多いのです。このように、3つそれぞれの間は独立・分断されていないことから、発達障害はスペクトラム(連続性がある)と言われています。 発達障害の定義や、3つの障害の詳細については、下記記事を合わせてお読みください。 発達障害の治療について 一般に、医師から病気であると診断された場合、治療を受けたり薬を処方されたりします。発達障害も同じです。成育歴や日々の行動の聞き取りや、考え方や知能等の心理検査の結果をもとに診断され、治療を受けます。発達障害の治療には、大きく分けて「心理社会的治療」と「薬物療法」の2つがあります。 心理社会的治療 心理社会的治療は、「発達障害は先天的なものであり、障害そのものを『治癒』することは困難である」という見地に立ちます。そのため、本人が自らの特性と向き合い、社会に適応していくためのスキルを身に付けることが目的となります。 心理社会的治療の代表格といえば「認知行動療法」です。自身の「認知(ものごとのとらえ方)」を観察することで、そこから生まれる「感情」「行動」を変化させて生きづらさやストレスを軽くしていく治療法です。 認知行動療法については、下記記事を合わせてお読みください。 その他にも報告・連絡・相談のロールプレイなどをする「ソーシャルスキルトレーニング」、特性による困りごとが発生している状況において、そもそも本人の周囲を調整して困りごとが発生しないようにする「環境調整」というものが挙げられます。 薬物療法 心理社会的治療に対して、直接身体に作用する薬物を用いて困りごとに対処していくのが「薬物療法」です。ただし、現在はADHDの治療薬はあるものの、ASDやSLDへの治療薬はありません。また、症状を根治するものではなく、一時的に症状を抑えるものとなります。 とはいえ、服用した経験のある人からは、「頭の中がスッキリ静まり返ってびっくりした」「集中力が劇的に上がった」といった感想があがることがあり、一定の効果が得られるところは見逃せません。ADHDの治療薬として承認を受けている薬は以下の4つです。 名称内容コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩徐放錠)・即効性あり・約12時間程度で効果が消失・ADHDの子どもの7割に効果・2013年に18歳以上の成人投与承認ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)・効果が現れるまで約8週間ほど・1日2回服用で24時間効果が継続・2012年に18歳以上の成人投与承認インチュニブ(グアンファシン塩酸塩徐放性製剤)・2017年3月に承認・特に多動性・衝動性について新たな治療の選択肢となることが期待されるビバンセ(リスデキサンフェタミンメシル塩酸)・2019年3月に「小児期におけるADHD」の適応において承認・ADHDの診断治療に精通した医師に限り、薬物依存にも対応できる医療機関薬局においてのみ取り扱い可・他のADHD治療薬が効果不十分のときのみに使用 なお、ASDやSLDの特性を持つ人に対しては何も薬物療法をおこなわないかというとそうではありません。例えば二次障害として不安や不眠などの症状が出ている場合には精神安定剤などの治療薬を用いたりしています。 二次障害については、下記記事を合わせてお読みください。 薬物療法の事例 ここでは、実際にお二人の方の薬物療法の経験談をご紹介します。 ストラテラを服用しているAさん ●診断名:ADHD ①ご自身が感じる服薬のメリットデメリットについて教えてください。 メリットは「衝動性が抑えられること」です。服薬前は「これをやりたい」「これを言いたい」「これを食べたい」という思いつきを即行動に移してしまっていました。特に過食に関しては深刻で、成人してから食欲が抑えられず、食費と体重が上がり続け、自己効力感を著しく下げてしまっていました。 しかし、服薬をしたところ、食欲を感じても、実際に食べ物を購入して口に入れるかどうかをいったん待って考えられるようになりました。すると、食費も下がり適正体重をキープすることもでき、自己効力感も上がりました。そんな自分を好きになることができました。 デメリットは、「自分の持つ特性を『障害』と深刻に捉えてしまうこと」です。服薬をしているということは、「服薬をして抑えなければいけない障害がある」ということだと考えるようになりました。 ②服薬だけでは特性対策は難しいと感じたことはありますか。 服薬し始めた当時は「これで忘れ物もミスも全部なくなるかもしれない」と期待しましたが、なくなりませんでした。服薬は「忘れ物やミスの軽減」をもたらすものではなく、忘れ物やミスをしたときでも落ち着いて「次はこうしたらいいかもしれない」と考えられるきっかけに過ぎませんでした。 ただ、そのきっかけをもとに、対策を考えたりこれからの働き方や生き方を考えたりすることができるようになりました。最初は落ち込んだこともありましたが、結果的に医師に診断書を書いてもらって支援機関に頼ることもでき、そうして成し遂げてきた自分の足跡を振り返ると、前向きに考えるきっかけになったことは大事だったような気がします。 ③「服薬し忘れ」や「飲み忘れ対策」のエピソードがあれば教えてください。 ストラテラは服薬をしていないとき、私は「服薬していない」という感じがあり、自宅での飲み忘れに対しては気付いて服薬することができていました。しかし、外出先で飲み忘れに気付いたときは、手元に薬がないため困ることがありました。 対策としては、絶対にカバンに入れるポーチに1回分のストラテラを入れておいて、外出先でも服薬できるようにしています。ポーチは目立つように金色のものを使用しています。 過去にストラテラ、現在はコンサータを服用しているBさん ●診断名:ADHD、ASD ①ご自身が感じる服薬のメリットデメリットについて教えてください。 個人的には、服薬の効果があまり感じられていません。飲み忘れたとしてもほとんど何も変わらない、というのが正直な感想です。強いてメリットを言えば「お守り的に気休めになる」という程度です。ただ、飲み忘れたことで「薬を飲んでいないから、なんとなくいつもより仕事がはかどらないかもしれない...」と不安になることはあります。 デメリットとしては、「自分に合う薬を見つけるのに時間がかかる」ということです。ストラテラは低用量と高用量の2つを試したのですが、低用量の時は効果が感じられず、逆に高用量になってからは「眠気」「だるさ」という副作用がひどく、仕事に支障が出てしまいました。このことがはっきり分かってコンサータに切り替えるまで1年ほどかかってしまいました。 また、転院したいと思った際に障害になるかもしれない点もデメリットだと感じました。コンサータは登録を受けた患者が、登録を受けた医師や薬剤師から処方してもらわなければいけません。そのため、転院したいと思っても、その手続きが煩雑になるのではないかと思い、転院の足かせになるように思います。 ②服薬だけでは特性対策は難しいと感じたことはありますか。 ①で挙げたとおり、私にはほとんど効果が感じられないので「大いにYES」です。自立支援医療費制度のおかげで金銭的負担を抑えられるため、お守りとして飲み続けていますが、薬以外でなんとか対処するしかないと感じています。 対処法としては、以下2点を実行しています。 【自分の特性を理解する】 インターネットや発達障害関連の書籍、それと私がアルバイトさせてもらっていた就労移行支援事業所で自分の特性への理解を深めることができました。インターネットは玉石混交なので注意が必要ですが、およそ公的機関や大手就労移行支援事業所の発信する情報であれば信頼できると考えています。個人的には、就労移行支援事業所でのアルバイトがとても学びが大きかったです。 【自分に合った自己対処を見つける】 仕事の抜け漏れ防止のためのタスク管理/メモアプリや、スケジュール管理ができるリマインダー/カレンダーアプリなどを使ってきました。ただし、管理の時間がうまくとれず、忙しくなると面倒になって崩壊してしまいがちでした。でも、管理しなければ確実に崩壊してしまうのです。「どちらにせよ崩壊するなら、管理の時間を捻出する方向で頑張ろう」と考えると、ちょっと気持ちが楽になります。 また、自分で管理をしていくのと同時に、環境を調整することも大事だと考えています。ただ、これは本当に難しくて、「もっと努力すればできるのではないか」「対処法を駆使すればできるようになるのではないか」「今の業務に慣れたら、より上位の業務や役割に挑戦すべきではないか」など、ともすれば「自分を変える」方向にいきがちになってしまいます。挑戦と失敗を繰り返しながら少しずつ調整をしていくようなイメージが自分には合っているかなと思います。 また、眠気や集中力低下の予防としてカフェインサプリ「カフェロップ」をたまに飲んでいます。 ③「服薬し忘れ」や「飲み忘れ対策」のエピソードがあれば教えてください。 スマホのリマインダーアプリを使って飲み忘れ防止アラートを鳴らすようにしています。ただ、アラートが鳴っても「どうせ飲んでも変わらないしな…」と思ってスルーしてしまうことも多いです。 薬物療法と心理社会的治療の両軸が鍵! このように、薬物療法による効果には個人差があります。ただし、服薬によって状態が少しでも改善できるのであれば、やらない手はありません。医師の処方にしたがって服薬し、さらに心理社会的治療もやってみるというのがベストなのではないでしょうか。 特に、心理社会的治療の代表格である「認知行動療法」は、自己理解のための王道であると言っても過言ではありません。薬物療法とあわせてやってみることを推奨します。就労移行支援事業所ディーキャリアは、この「認知行動療法」に基づいたプログラムを提供しています。自分一人でやろうとしたり、余計に手間をかけてしまうよりも、専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 もちろん、今の時点でサービスを利用する目的を決めていなくても大丈夫です。 「まだやりたいことが決まっていない、将来のビジョンが見えていない」「何を目的にサービス利用をすべきかイメージが湧かない」「自分に合っているか分からない」 …と悩んでいる方も安心してお問い合わせください。一人ひとりのご状況や困りごとをヒアリングしながら、ご提案をさせていてだきます。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
【発達障害当事者が解説】職場に発達障害を隠すとどうなる?

障害者雇用と一般雇用の両方で就労経験がある筆者が、自身の体験談を交えながら、障害開示をするメリットとデメリットをお伝えします。

記事を読む
  • #合理的配慮
  • #障害者雇用
  • #クローズ就労
  • #オープン就労
「発達障害を隠して働いているが、問題ないのか」「診断がある場合は、障害者雇用枠で働かないといけないのか」「発達障害があることが、会社にバレてしまうことはあるのか」 発達障害があることを職場に言わずに働いている(以下表②)場合、「自分の障害のことが知られてしまうのではないか」「知られたら辞めさせられるのではないか」という不安がつきまとうのではないでしょうか。 <発達障害のある人の働き方> No雇用枠障害のオープン/クローズ①障害者雇用枠オープン(障害を開示)②一般雇用枠クローズ(障害を非開示)③一般雇用枠オープン(障害を開示) 発達障害のある人の働き方に関する基礎情報と体験談は以下のコラムでもお伝えしています。あわせてお読みください。 発達障害の1つであるADHDの特性のある筆者は、上記①②③いずれも経験があり、一般雇用枠でのクローズ就労のときは、自分の障害がバレてしまうのではないかと考えてヒヤッとしたことがあります。そんな経験談も交えながら、「発達障害の診断が出ているが、会社に言わないとどうなる?」と気になっている方々へ、一般雇用枠でのクローズ就労のメリットとデメリット・発達障害当事者としての働き方についての考えをお伝えします。 皆さんが少しでも安心した社会生活を送れるよう、この記事がお役に立つことを願っています。 [toc] 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 障害を伝えずに働くことは可能です! まず第一にお伝えしたいのは、「障害を伝えずに働くことは可能」だということです。障害があったら、それを必ず伝えなければいけないと考える必要はありません。また、こちらから言わなければ、原則的に会社は知ることはありません。 また、仮に自分の障害が会社に知られたとしても、「障害がある」という理由だけで解雇する権利は会社にはありません。障害者雇用促進法第35条では、障害者であることを理由に不当な差別的取り扱いをしてはならないと定められています。 障害者雇用促進法 第35条事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。 したがって、まずは「障害が知られても不当な扱いは受けないと制度的に保障されている」と安心していただければと思います。 障害を開示せず一般雇用枠で働くメリット そもそも、なぜ「一般雇用枠で」「障害を開示しない」クローズ就労で働くという選択肢があるのか考えてみたいと思います。 なお、冒頭でご案内したとおり、一般雇用枠でオープン就労をするという選択肢もあります。ただし、多くの場合は「一般雇用枠でクローズ就労」か「障害者雇用枠でオープン就労」のどちらかを選ぶことになるため、今回はこの2つを対比させながら考えていきたいと思います。 給料が高い 障害者雇用枠で障害を開示して働くオープン就労に比べて、一般雇用枠で障害を開示せず働くクローズ就労の方が、給料が高い傾向があります。 オープン/クローズの就労タイプ別に特徴などを図にまとめてみました。会社によって雇用条件や業務内容はさまざまですが、一般的にこのような傾向があると理解して良いと思います。 就労タイプ特徴筆者の経験事例給料障害者雇用枠オープン就労障害特性への配慮の面から、比較的負荷の低い業務が中心書類のPDF化郵便物の集配など低め一般雇用枠クローズ就労負荷が高く責任が重い業務も担う全国の社用車の配置案株主総会準備など高め キャリアパスが豊富 また、一般雇用枠のクローズ就労は、負荷の低い業務から負荷の高い業務まで幅広くこなすのが想定されるため、「将来どんな仕事をしたいか」について、より多くの選択肢があることが多いです。 それに対して、負荷の低い業務のみを担当することが多い障害者雇用枠のオープン就労では、より負荷の高い業務を行なうポジションにステップアップすることは難しいのではないでしょうか。 より多くの業務をこなせるようになるのは、将来的に自分の価値を高めることにつながります。その点で、一般雇用枠のクローズ就労にはメリットがあると考えられます。 このように、一般雇用枠でクローズ就労をするメリットとして、「給料が比較的高いこと」「キャリアパスが豊富であること」があると言えそうです。 障害者雇用枠では高い給与や豊富なキャリアパスは不可能? なお、近年では、これまでの実務スキルや知識を活かし、一般雇用枠と同様の業務を担当し同等の給与をもらえる障害者枠求人も増えてきました。また、スキルや知識がなくても、積極的に多くの仕事をしたいと伝えれば色々やらせてもらえる職場も、まれにですがあります。 筆者も、1社目の会社で、障害者雇用枠で採用されたものの、当初求人票に書かれていた業務以外の仕事を多くするようになった経験があります。しかし、その結果「あの人は普通に仕事を振っても大丈夫」と思われて、どんどん仕事が増えていつしかコントロールが効かなくなってしまい、負荷に耐えきれず筆者は休職することになってしまいました。 障害者雇用枠で働きながらも、一般雇用枠と同様の業務を担当し同等の給与をもらえるようになるためには、体調管理や業務量の管理、きちんと障害特性への配慮が受けられるような環境でいられるかなどについて相当気を付けなければならず、まだまだ課題があると言えます。 障害を開示せず一般雇用枠で働くデメリット それでは、障害を開示しないクローズ就労で働くデメリットについて考えてみたいと思います。 障害が知られないか不安になる 障害があることを言わずに働いていると、常に「知られてしまうのではないか」と不安に駆られながら働くことになります。このプレッシャーは無視できません。「こちらから言わなければ、会社側は障害の事実を知ることはない」と前述しましたが、意図せず知られてしまう例外があります。3つほど具体的な事例を挙げてみます。 障害者控除の申請会社で毎年配られる年末調整の書類に障害者控除記入欄がある。会社の労務などの担当者がチェックするので、その際に知られる場合がある。障害年金・傷病手当金の申請障害年金が支給されているときに、重ねて傷病手当金の申請をする場合、障害年金の受給の事実を記載する必要がある。傷病手当金は会社を通して申請するので、その際に知られてしまうことがある。健康診断問診で精神科で処方された薬を服用していると回答した場合、それが会社側に伝わることがあります。その薬がどんな病状のときに処方されるかを調べられたら、それによって障害が知られる可能性がある。 障害がバレるかもしれなかった筆者の事例 障害があることが知られる場面は他にもあります。1社目に障害者雇用枠でオープン就労をし、2社目に一般雇用枠でクローズ就労に転職をした筆者がヒヤッとした事例をご紹介します。 1社目の休職中、給与が出ない代わりに傷病手当金の支給を受けていた筆者は、休職してそのまま退職となったため、1社目の最後の数か月は「給与ゼロ」でした。そのため、1社目の源泉徴収票の年収や所得の欄には、ありえないくらい低い額が記載されていました。 2社目の年末調整には1社目の源泉徴収票を提出しなければいけないことが分かり、筆者は気が気ではありませんでした。源泉徴収票を確認され、「どうして年収がこんなに低いのですか?」と訊かれたら、障害があること、その影響から仕事がうまくいかなくなって休職したことを話さないといけないと考えたからです。 2社目の入社面接の最後に「心身ともに健康ですか?」と面接官に質問されたときのことが思い出されました。その際、「発達障害が影響して二次障害を起こして休職したのだけど、それは健康と言えるのだろうか?」と一瞬疑問がよぎったものの、ここで言いよどんでしまうと入社に支障が出るのではないかと思い、「はい」とだけ返答しました。 面接で「心身ともに健康」と伝えておきながら、実はその数か月前まで休職していましただなんて言えない。そう思うと、隠していたことがバレてしまってとがめられるのではないかと内心不安でいっぱいでした。 しかし、話さずに済みました。2社目の入社が12月半ばだったので、すでに社内の年末調整の手続きは終わっており、「年末調整の手続きはもう終わってしまったので、自分で確定申告をしてください」と言われたのです。その結果、源泉徴収票を見られることはなかったのでした。 結果的に何もなかったものの、「障害が知られてしまうかもしれない」という不安を抱きつつ仕事をするのは、精神的に結構プレッシャーがかかるものです。無いに越したことはありません。 配慮が受けられない 障害を開示しないので、合理的配慮も受けられないということになります。発達障害のある人が配慮なしに仕事をするのは、相当負荷のかかることです。 厚生労働省が令和2年に発表した|障害者雇用の促進について 関係資料」によると「一般求人障害非開示=一般雇用枠でクローズ就労」で就職した場合の職場定着率は1年で30.8%とかなり低いというのが現状です。一方で「障害者求人」の場合には70.4%と比較的高い定着率となっています。 障害を開示して配慮を受けられる方が、障害を開示せず配慮を受けられない方よりも、圧倒的に定着率が高いのです。 配慮が受けられない環境に耐えきれなかった筆者の事例 筆者は、前述した通り2社目は一般雇用枠でクローズ就労、つまり配慮なしに仕事をする状況でした。結果、1年強で仕事が続けられなくなり休職を余儀なくされました。 締切は守れない、チェックミスを連発する、やるべきことが溜まりすぎてどれから手をつければ良いか分からない。そういったことが日常茶飯事になると、次第に頭が働かなくなってきます。 「頭が働かなくなる」→「仕事上でミスをする、仕事が溜まる」→「より頭が働かなくなる」という悪循環に陥り、「自分は職場にいていいのか」と自己嫌悪にさいなまれるようになっていきました。職場のデスクで昼食を取るのもできなくなり、昼休みになると逃げるように職場近くのレストランやカフェに行くようになりました。 発達障害は外から見て分かる障害ではありません。したがって、より働きやすくなるためには、自分の障害のことを説明して、配慮を求める必要があります。しかし、一般雇用枠でのクローズ就労は、それができません。 そういったこともあり、自己嫌悪がさらに悪化して、「どうせ自分は仕事がちゃんとできない」と思い込むようになってしまい、出社するのが怖くなり、仕事をするどころの精神状態ではなくなって休職をすることになってしまいました。 解雇につながることも また、配慮が受けられない環境は、思った以上に簡単に自分を追い詰めてしまいます。単に「仕事がつらい」だけではなく、解雇されてもしかたがない・解雇理由ありとされるような状況に陥ることもあるのです。 解雇理由は、会社が自由に従業員を解雇できないよう就業規則に定めておかねばならないとされています。厚生労働省が公開している就業規則のひな形では、解雇理由として、次のような事項などが列挙されています。 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき 正当な理由なく無断欠勤が●日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき  正当な理由なく無断でしばしば遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、 ●回にわたって注意を受けても改めなかったとき 就業規則に明記された解雇理由に該当しなければ、解雇されることはありません。しかし逆にいえば、該当したら解雇される可能性があるという点、注意が必要です。 筆者は解雇された経験はありませんが、そうなってしまう一歩手前までいったと感じています。前述の通り、出社するのが怖くなると、「休みます」の連絡さえ難しくなります。その状態がエスカレートすれば、「無断で長期にわたり欠勤をする」ことにつながりかねませんでした。 「自分に合った働き方」を 以上、障害を開示せず一般雇用枠で働くメリットとデメリットを見てきました。それを踏まえて、「発達障害の診断が出ているが、会社に言わないとどうなる?」と気になっている方々へお伝えしたいことをまとめました。 今、一般雇用枠でクローズ就労をしている方へ 今現在、障害を開示せずクローズ就労をしている方、繰り返しになりますが、「障害を伝えずに働くことは可能」です。障害特性による苦手があったとしても、働くにあたって支障がないのであれば、会社・チームにとって頼りになる存在になっているはずです。自信を持って仕事を続けてください。 もし、仕事をやるにあたって困りごとがあり、しんどさを感じているのであれば、それは自分からの大事なシグナルです。無理せず、仕事の負荷を減らしたり、ちょっとお休みをしたりといったアクションをするのをお勧めします。 そんなとき、「本当なら毎日きちんと仕事ができて当たり前なのに、なんて私はダメなんだ」と思ってしまうかもしれません。その必要はありません。自分に合った「仕事のやり方」「対処法」に工夫の余地があるだけだ、と考えてみてください。 ただ、自己対処を尽くしても、どうしても仕事が続けられないということもあるかもしれません。その場合は、休職するなり退職するなりいったん職場から離れて自分に合った働き方を考え直してみるのも、長い目で見ればありです。 一般雇用枠でクローズ就労したいが迷っている方へ 迷っているということは、障害特性が仕事上に影響が出てしまうことを危惧されているのだと思います。そんな方は、いったん特性に配慮してもらいやすい障害者雇用枠でのオープン就労も選択肢の一つです。もちろん、障害者雇用枠は給料などの条件が低めに設定されていることが多いですが、それを差し引いても、「働きやすい職場」「長く働ける職場」での就労をまずは優先しても良いのではないでしょうか。 筆者は、待遇や条件面を理由に一般雇用枠のクローズ就労を選んだところ、前述したとおり1年ちょっとで就労を継続するのが難しくなってしまいました。そういった経験からも、事情が許す限り、まずは障害者雇用枠のオープン就労の検討から始めるのが現実的だと考えます。 とはいえ、給与の高低は見逃せない問題です。そこで、人によってはオープン就労で「働くこと」自体に慣れてきたらクローズ就労への転職を考えてみるといった計画性を持ってキャリアプランを立てるのもありです。 同じ会社で障害者雇用枠から一般雇用枠へ移行することも 冒頭で簡単に触れさせていただきましたが、「障害を開示しつつ一般雇用枠で働く」という選択肢もあります。 筆者は、同じ会社で「障害を開示して、障害者雇用枠のオープン就労で働き始める」→「一般雇用枠のオープン就労へ移行して継続して働く」という経験をしています。もちろん、スムーズに話は進むとは限りませんが、そんな例もあると知っておいても損はないと思います。 その会社は、障害があったとしても働きぶりが一般雇用の方と同等であれば、差は設けていませんでした。また、その会社で働いているあいだ、役職も付いて手当もつき、昇給もありました。 筆者にとってよかったのは、障害者雇用枠で働き始めた際に申し出た配慮事項が、一般雇用枠へ移行した後でもそのまま継続されたことです。筆者の配慮事項は、強い調子で叱責をされると必要以上に自分を責めてしまい頭の中が真っ白になって仕事にならないことから「怒らないで欲しい。改善すべきところがあれば、冷静に『提案』して欲しい」というものでした。 もちろん、どんな配慮事項も一般雇用枠でも受け入れられるとは言えませんが、「怒らない」というのは実行しやすい配慮であることもあり、職場で受け入れられる「円滑に仕事を進めるために業務上必要なこと」と認められたのだと筆者は推測しています。ちなみに、一般雇用枠であったとしても合理的配慮を依頼することができます。ただし、会社との話し合いのうえで「合理的」だと判断されるかどうかによります。詳しく「合理的配慮」について知りたい方は以下のコラムもあわせてお読みください。 余談になりますが、そもそもなぜ障害者雇用枠から一般雇用枠になったのかご説明をしたいと思います。それは筆者の「忘れっぽい」というADHD特性がいかんなく発揮されてしまい、障害者手帳の更新を忘れてしまったからです。意図せず移行してしまいましたが、それでも就労を継続させてくれた会社には感謝しかありません。 自己理解にもとづいた「配慮事項の明確化」「自己対処」が大切 障害者雇用枠/一般雇用枠、オープン/クローズ就労のどの働き方をするにしても、自分に合った働き方を探す上で、自分の特性をしっかり理解し、必要であれば配慮事項を明確に伝えられ、特性に対して自己対処ができて求められる成果をあげられることは、その選択肢を広げるという意味でプラスになります。 筆者は、仕事が膨大であっても精神的に落ち着いて取り組める「タスク管理」というスキルで自己対処ができ、それでも配慮して欲しい点として「怒らないで(強い調子で叱責しないで)欲しい。改善すべきところがあれば、提案という形でお願いしたい」と明確に打ち出すことができました。 しかし、配慮事項を明確にし、自分なりの自己対処法を身に付け、長期的に継続できる自分なりの働き方を探すのは、自分一人でおこなうには難しく、膨大な手間がかかってしまうでしょう。 そんなときは、自分一人で悩んだり、余計に手間をかけたりしてしまうよりも専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 もちろん、今の時点でサービスを利用する目的を決めていなくても大丈夫です。 「まだやりたいことが決まっていない、将来のビジョンが見えていない」「何を目的にサービス利用をすべきかイメージが湧かない」「自分に合っているか分からない」 …と悩んでいる方も安心してお問い合わせください。一人ひとりのご状況や困りごとをヒアリングしながら、ご提案をさせていてだきます。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
【発達障害当事者が解説】発達障害者のためのマルチタスク対処法

マルチタスクに苦手意識のあった発達障害当事者が、特性をカバーするために編み出した「タスク管理」テクニックを紹介します。

記事を読む
  • #合理的配慮
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
「仕事が溜まってしまって、どれからやればいいか分からない」「複数の仕事を同時進行するのが難しい」 発達障害、特にASDやADHDのある人は、複数の仕事が目の前にある状態、いわゆる「マルチタスク」に苦手意識を持ちがちではないでしょうか。一方で、現代では、たくさんの仕事を効率よくこなすことが要求されがちです。 発達障害のADHDのある筆者は、自らの特性をカバーする目的で編み出した「タスク管理」をメインに、マルチタスクへの苦手感を大幅に払拭できました。その経験から「発達障害者はいかにマルチタスクに対処すべきか」についてお伝えしたいと思います。この記事が、特性による困りごとのある皆さまにとって「働きやすくなるためのヒント」になることを願っています。 [toc] 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 なぜ発達障害者はマルチタスクが苦手なのか まずは、発達障害者、特にASD/ADHDのある人がマルチタスクへ苦手感を持つ理由をご説明したいと思います。 ASDのある人がマルチタスクが苦手な理由 ASDのある人がマルチタスクに対して苦手感を持つのは、次の2つの傾向が大きく関わっています。 シングルフォーカス特性一度に注意を向けられる範囲が狭くなる。興味関心の幅が狭くなりがち。シングルレイヤー思考一度に一つの情報しか処理しにくい。複雑な状況の理解が難しく、明記されていないルールを自然と読み取ったり、物事の「裏」を察したり、といったことが苦手になる。優先順位がつけにくくなる。 マルチタスクな職場では、この2つの傾向があるとなかなか難しいです。 ADHDのある人がマルチタスクが苦手な理由 ADHDのある人がマルチタスクに対して苦手感を持つのは、次の傾向が大きく関わっています。 ワーキングメモリーの弱み脳の一時的な記憶の置き場であり、作業場でもあるワーキングメモリーの機能低下により、臨機応変な対応が難しくなったり、不注意が起こりやすくなったりする。聞いたことや考えたことを一時的に頭にとどめたままで整理することが難しい。複数の作業を同時に進めることが難しい。集中し続けることや、注意し続けることが苦手。複数のことに目を配れない。など。 特に「聞いたことや考えたことを一時的に頭にとどめたままで整理することが難しい」「複数の作業を同時に進めることが難しい」「複数のことに目を配れない」といった傾向は、常に複数の仕事を抱える状況だと、困りごとを生みやすくなります。 ※上に挙げた話の詳細は、大人の発達障害とはでご説明しています。ぜひ参考になさってください。 そんなASD/ADHDのある人は、「マルチタスクな職場」にどう対応していけば良いのでしょうか。 マルチタスクへの対処法 そもそも、マルチタスクを避けられればそれに越したことはありません。ASDやADHDの人によくみられがちな「反復作業が得意」「興味のあるものへの高い集中力」といった傾向を生かせる、単純作業のみ求められる仕事に就くことができれば、しっかりと自分のパフォーマンスが発揮できることでしょう。 ただ、仕事が複雑化している現代、マルチタスク対応が必須となる職場は少なくありません。マルチタスクが避けられない場合、どのように対処していくかが必要になります。 対処法の鉄則は、「諦める」「自分ができるような状況に持っていく」の2点です。 「マルチにこなそうとする」のを諦める まず、「パソコンが複数のアプリケーションを同時に処理するように複数の仕事を同時並行でこなす」のは、諦めましょう。目の前に複数のやるべき仕事が並んでいるマルチタスク状態において「マルチにタスクをこなす=同時並行に処理する」ことは原則的に無理なのです。 「自転車を運転しながら、今日の夕飯を考える」「請求書の束に印鑑を押し続けながら、上司と話す」といったことは同時並行でできるじゃないかとお思いかもしれません。それは自転車の運転や請求書への押印のどちらも、「何も考えずにできるようになった行動」だからできるのです。 職場でやる仕事は、ほとんどが「考えることが必要」な仕事ですので、やはりマルチタスクは諦めた方が良い、というのが筆者の考えです。 ところで、まるで一度に3つ4つの仕事を同時にこなしているような印象を受けるような、とんでもなく速いスピードで仕事をこなす人がいます。そういう人は、マルチタスクを可能とする特殊技能の持ち主なのでしょうか。実は違うのです。 ASD/ADHDでも対処可能なシングルタスクへ落とし込む 一度に3つ4つを同時にこなしているようなスピード感で仕事をしている人は、実は小さなシングルタスクへ分解して、そのシングルタスクを完了させてはまた別のシングルタスクへ、という風にタスク管理をして仕事を進めているのです。その結果、他の人からみると「ほぼ同時に複数の仕事タスクを終わらせている」ように見えるのです。 例えば、「カレー」「サラダ」「スープ」の3品の料理を作るとします。もちろん3品同時進行で作ることはできません。カレーの具材を切り、水と共に鍋にいれ煮ます。この時点でサラダ作りもスープ作りも着手していません。その後に初めてサラダ作りに着手し、キャベツを千切りにします。千切りが終わったら、鍋にカレールウを入れます。次に、スープの素をカップにあけます。 このように、3品の作成は同時に進行していないことがお分かりだと思います。最終的には「ほぼ」同時に食卓にカレーとサラダとスープが並びますが、その過程はそれぞれの料理を完成させる細かい手順を1つずつ終わらせていった結果にすぎないのです。 仕事も同じです。仕事タスクがA、B、Cと3つあり、それぞれに3つの手順に分解できるとします。最初にA-1を終わらせ、次にB-1をやり、それが終わったらA-2を完了させ、次にC-1とC-2を一気にやり、B-2を終わらせて、A-3、B-3、C-3と順々に完了させていく。そんな風に「あたかもマルチタスク風に」対処するのです。 複数ある仕事を目の前にすると、つい全部いっぺんに終わらせたくなりがちです。しかし、本当にマルチタスクでもスピーディーにこなせる人は、マルチタスク全部を同時に終わらせるという幻想を捨て、シングルタスクへ分解して1つ1つやるしかないと思えた人です。 前述したASDの傾向の「シングルフォーカス」「シングルレイヤー」は、まさにこの進め方にピッタリだと言えるでしょう。また、ADHDの「複数の作業を同時に進めることが難しい」という傾向も、まさにこの進め方で対処できるものです。 マルチタスクをする上で気を付けること ご説明したマルチタスク対処法をやっていくに際して、以下2点はぜひ気を付けたいところです。 スケジュールを意識する そもそも「時間通りに物事を進める」のは、ASD/ADHD共に苦手です。スケジュールを意識して業務タスクを進めるよう気を付けておくに越したことはありません。マルチタスク環境であればなおさら、それぞれのタスクについてスケジュールを意識しなければなりません。 ASDのある人にとっては、先に挙げた「シングルフォーカス」がネックになりがちです。シングルタスクへ分解した結果、いわゆる「過集中」状態になってしまい、今自分が取り組んでいるタスク以外のことに気がいかなくなり1つのことに時間をかけがちです。そんなときは「これから30分やろう」と決めてタイマーをかけておくなどの対策があります。 また、ADHDの「ワーキングメモリ―の弱み」により、せっかく小分けにしたシングルタスクを実行するのを忘れてしまうことがあります。「いつやるか」をリマインダーを設定して確実にしておくことも大事になってきます。筆者は、ADHD傾向が強いため、将来の予定はリマインダーアプリを活用しています。「忘れない」のではなく、「忘れても支障ない」ようにしておくことが大切です。 適宜休憩を取る 当然ながら、集中してタスクを実行すると疲れます。疲労していると、より特性が強く出る場合があります。そうならないように、タイミングを見ては休憩を取ることもまた大事です。 しかし、自分自身は疲れを認識していなくても、実は心身が疲れていることがあります。筆者も、疲れを感じずにずっとタスクに没頭してしまい、終わって2~3時間後にドーンと大きな疲労感に襲われてしまうことがよくあります。そんなときは、特性がいつもより強く出て自分が使いものにならなくなったり、ひどい時にはタスクを実行するだけの元気がなくなってしまったりします。 特にマルチタスク状態で仕事をこなすような環境では、ただでさえ苦手な状況なうえに、次から次へとやることがあるため、休憩を取ることがおざなりになりがちです。就労は50メートルを全力で走ったら終わりなのではなく、長く続くマラソンのようなものです。継続して安定的に働けるように、体力にまだ余裕があるうちに適宜休憩を取るべき、と自戒を込めて筆者は常に意識しています。 前述したASDの傾向の「シングルフォーカス」「シングルレイヤー」は、まさにこの進め方にピッタリだと言えるでしょう。また、ADHDの「複数の作業を同時に進めることが難しい」という傾向も、まさにこの進め方で対処できるものです。 それでも困難を感じるときは ご紹介した「マルチタスクへの対処法」が難しいときは、合理的配慮を求めることになります。 合理的配慮とは 合理的配慮とは、障害のある人もない人も平等に社会生活を送れるように、障害特性や困りごとに応じておこなわれる対応のことです。 合理的配慮については、合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。で詳細にご説明しています。よろしければご覧ください。 合理的配慮を受けるためには、下記①~③の要件が揃っている必要があります。 ① 障害が原因となる困難さ(障壁)であること② 障害者本人が、自己対処(セルフケア)を行おこなっても、対処しきれないものであること③ 企業等の側にとっても、重すぎる負担でなく、提供可能な範囲のものであること 要件それぞれの詳しい解説については、「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介にあります。また、合理的配慮の具体的な事例に関しては、発達障害のある方の合理的配慮事例を見ていただきたいと思います。 要件②の「自己対処」が、これまでお伝えした「マルチタスクへの対処法」です。それが難しいときは、要件①と③が揃っていれば「合理的配慮」として企業等の側に対応を求めることが可能になります。 国もマルチタスク対応への配慮を念頭に置いている 合理的配慮として企業側が「マルチタスクへの対処法」をおこなうのであれば、上司がマルチタスクをシングルタスク(手順)へ分かりやすく分解し1つずつ指示出しする、といった形になります。 実は、国もそういった形での合理的配慮を想定しているのです。厚生労働省が公開している「合理的配慮指針」の末尾別表にある合理的配慮事例にこのような内容があります。 「業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順について図等を活用したマニュアルを作成する等の対応を行うこと」(厚生労働省|「合理的配慮指針」別表より。太字は筆者による) それほど、マルチタスクへの対処は、取り組むべき課題だと広く認識されているのでしょう。「そのくらい自分でどうにかしなければいけない」と思う必要はありません。 自己対処や合理的配慮申請を専門家に頼ろう これまで、自己対処としての「マルチタスクへの対処法」を中心に、それが難しいときの合理的配慮申請についても書きました。これらのことは、自分一人でおこなうことも可能ですが、自分に合った自己対処の方法を見つけたり適切な合理的配慮の申請は、自分一人でおこなうことはおそらく難しい、あるいは膨大な時間や手間がかかってしまうでしょう。 そんなときは、自分一人で悩んだり、余計に手間をかけてしまうよりも専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 もちろん、今の時点でサービスを利用する目的を決めていなくても大丈夫です。 「まだやりたいことが決まっていない、将来のビジョンが見えていない」「何を目的にサービス利用をすべきかイメージが湧かない」「自分に合っているか分からない」 …と悩んでいる方も安心してお問い合わせください。一人ひとりのご状況や困りごとをヒアリングしながら、ご提案をさせていてだきます。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
【発達障害当事者の経験談】「転院」するときに考えておくべきこと

発達障害のある方が心身健康に働くためには「自分に合う医師の選択」が重要です。実体験をもとに医師選びのポイントを紹介します。

記事を読む
  • #はたラクHACK
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
  • #限局性学習症(SLD)
「発達障害で通院しているが、医師と相性が合わない」「転院したいが、どのように考えればいいのか分からない」 発達障害のある方にとって、医師の存在はとても大きいと言えます。そもそも、発達障害の診断書を出せるのは医師だけです。しかも、診断書の記載内容は病名のみならず、病歴や治療の経過、生活能力の状態などにまで及びます。自然と医師の関わりは大きくなるのです。 また、診断書を出してもらって終わりというわけにはいかず、その後も心身の変化によって服薬を調整したり、日々の生活についてアドバイスを受けたりします。したがって、医師の選択は今後の生活を大きく左右すると言っても過言ではありません。 一方で、「医師をどう選んだら良いか」の大きな指標が示されているわけではありません。医師の「食べログ」のようなものはないのです。口コミがネット上にある場合もありますが、それがどの程度信頼できるかは分かりません。 発達障害当事者であり転院の経験がある筆者として、その経緯をお伝えしつつ、医師を選ぶ基準となる考え方などをご説明します。皆さんが少しでも社会生活を安心して送れるよう、この記事がお役に立つことを願っています。 [toc] 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 筆者の体験談 筆者は、最初の病院を含めて合計3院、2回の転院をしています。それぞれ経緯と所感を書いてみます。 1カ所目:都内某診療所 【経緯】 仕事がうまくいかなかった筆者は、ネットで調べてみて「自分は発達障害ではないか」と考えるようになり、「東京都多摩総合精神保健福祉センター」に相談しました。面談の後、より詳しく調べてみようということになり「東京都発達障害者支援センター(TOSCA)」を紹介され再度面談をしたところ、都内の某診療所を紹介されました。 【所感】 筆者は、自分の「忘れっぽさ」「段取りの悪さ」といった特徴を自覚しており、心の底では「自分は発達障害であろう」と考えていました。結果、その通りの診断をしてもらうことができ、その意味では自分の意図に沿う対応をしてくれたと言えます。 また、当時は障害者が社会生活を送るのに必要なサポートを提供してくれる、いわゆる「社会資源」についての知識が筆者にはなかったのですが、診療所に常駐していたソーシャルワーカーさんに「障害者雇用」という働き方を教えてもらうことができ、その後の就職への足がかりを得ることができました。この点においても、筆者にとって良い選択だったと言えます。 ただ、当時東京都の多摩地方に住んでいた筆者は、23区内にあるこの診療所は自宅から往復3時間近くかかり、通院に苦痛を感じていました。 また、医師とのやりとりに違和感を覚えたことがありました。ある診察時に「私は本当に発達障害なんでしょうか?」と質問したときに、少し強い調子で「だって、それでうまくいっていないんでしょう?!」と少々強く言われたのです。今考えれば、「仕事がうまくいかず社会生活に支障をきたす」という時点で自明なのですが、強く言われるほど変な質問をしていないのではないかと思いました。 【転院のきっかけ】 1社目の会社に就職後、自宅から遠かったこともあり、また「通い続けなくても自分は大丈夫」と思って次第にこの診療所から足が遠のいていきました。 2カ所目:都内某医院 【経緯】 1社目、障害者雇用で就職して一安心していましたが、人員整理や親会社との合併の影響でだんだんと業務負荷が高くなっていき、やがて仕事がうまくいかなくなり休職に至ります。休職するためには医師の診断書が必要なので、自宅の近場で手っ取り早く休職できる診断書を書いてくれる病院を探しました。その結果、自宅から自転車で10分程度のところにあるこの医院を見つけ、通院し始めました。 【所感】 経緯でも書いたとおり、「休職できる診断書をもらう」のが目的でした。「このまま働き続けることは難しい」という状況に陥ったときは、一刻も早く休養を取る必要があります。休職へとスムーズに移行するためには、医師の協力が不可欠となります。そういうときは、休職のための診断書を作成してくれる「装置」として「医師を使う」のも大いにありだと考えています。 この医院の医師は、ある意味機械的に、すぐに休職に必要な診断書を書いてくれました。このときの筆者にとってはとてもニーズにマッチした医院だったと考えています。 【転院のきっかけ】 通所していくうちに、最初はメリットとして感じた「機械的さ」に物足りなさを感じたことと、休職期間が終了してそのまま退職し、2社目に転職するバタバタから通院しなくなりました。そして、2社目でも仕事がうまくいかず休職を考えたときに、別の病院を探すようになります。 3カ所目:都内某クリニック(現在) 【経緯】 2社目でまた仕事がうまくいかず休職を考えたときに、ちょうど知り合いが行っているクリニックが良いと話を聞きました。そこで行ってみたところとても相性が良く、現在でも継続して通っています。 【所感】 2カ所目の医院で感じた物足りなさは、当初それが何なのかがはっきりとは分かっていませんでした。しかし、この3ヶ所目のクリニックの医師と会った瞬間に分かりました。ただ単に薬を出してもらうだけではなく(それも大事ですが)、自分の話をしっかり聞いてくれて、より生活や仕事を考慮して踏み込んだアドバイスをしてくれることを筆者は欲していたのです。また、とにかく声が明るく、ハキハキとしていつでも笑顔で話してくれることも、筆者としても安心感がありました。 このクリニックに通い続けて数年経ちますが、結果的に服薬内容は変わっておらず、月1回の通院の際には、今の生活や仕事の話をして、「頑張ってね」と言われて診察は終わり、ということもあります。「それは本当に良い医者なのか?」というような話ですが、それでも危ない傾向があるときはちゃんと言ってくれる、筆者にとっては良いバロメーターとして頼れる存在になっています。 転院する上で大事なこと 転院するのに大事なことは2つあると筆者は考えています。 まずは基本「家に近い」 どんなに名医でも、自宅から5時間かけて行くような場所にあったら、それは現実的な選択肢からは外れることでしょう。実際、筆者も2ヶ所目の医院を選ぶときには「自宅から近い」という基準で選びました。3ヶ所目も通院に比較的ストレスがない範囲内におさまっています。まずは、自宅から近い、少なくとも自宅から通うことが現実的な距離・時間であることが大切だと考えます。 意外に大事なのが「相性」 さらにもう一つ大事にしたいことが「相性」です。これは、人によってどんな医師が良いのかはケースバイケースですが、まず1回会ってみて「なんか違うな」と思ったら行かないのをお勧めします。 実は、3ヶ所目のクリニックに行く前に、もう1カ所自宅近くの医院へお試しで行ってみたのです。ただ、こちらはなんとなくウマが合わなさそうという印象で、1回で行くのを止めました。その結果、3ヶ所目のクリニックに行くことになり、「この医師とは合いそう」と思えて現在も通院しています。 障害年金や障害者手帳、後述する就労移行支援事業所に通うのに必要な受給者証の申請には「医師の診断書」が必要になります。これらの申請が通るか通らないかは、診断書に医師がどう書くかによります。 自身の障害や状況について、その困りごとを過不足なく適切に書いてもらわないと、障害特性によって生活面や仕事面で支障をきたしていたとしても、「診断書からはその必要はない」と判断されて公的なサポートが受けられなくなる可能性があるのです。 そこで、自分の現況や困りごとをしっかり聞いてくれる姿勢を持つ、自分が話しやすいと感じる関係性、つまり「相性」が大事になってくるのです。 把握しておきたい転院のデメリット 今までは転院ありきの話をしてきましたが、ここで転院のデメリットについてお伝えしたいと思います。 転院に際しては、今までお世話になっていた先生だからと医師に黙って転院するケースがあり得るのですが、転院元と転院先の病院で、自分の診療に関する記録が共有されないというデメリットがあります。 筆者の記憶では、1ヶ所目の診療所から2ヶ所目の医院には、紹介状などである程度の情報共有がなされていたと思います。ただ、2ヶ所目の医院から3ヶ所目のクリニックには、紹介状なしに黙って転院したため、症状や服薬状況などを自分で一から説明する必要がありました。 紹介状がないと、自分がこの記録の代わりに全部伝えなければなりません。この手間はかなり大きいものです。できれば、きちんと転院前の病院に転院する事情を説明して、紹介状を書いてもらうことをお勧めします。 また、筆者が転院で苦労したこととして、最初に発達障害の診断を受けた際に、その診断の根拠となった心理検査の結果の提出を求められたことでした。 筆者は発達障害の傾向のせいか物の整理整頓が非常に苦手です。心理検査の結果の書類を出してと言われて、「……あったはずだけど、どこにしまったのか」と冷や汗をかいたのを覚えています。奇跡的に過去の書類の中から見つけることができましたが、これでつまづく方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ただ、転院を考えるに至ったときは、「医師との相性が合わない」「ちゃんと診てくれない」といったそれなりの理由があるときだったと思います。通院や治療が大きなストレス源になっていたり、適切なサポートが得られない場合は、やはり転院が解決の手段になります。 働く上での医師との関わり ここでは、より「働く」ということに焦点をあててお伝えしたいと思います。 医師は大事な伴走者 発達障害のある私たちにとって、心身ともに健康に働くために医療的なサポートを受けることはとても重要です。筆者は最近、「仕事の間引き」を医師から提案されました。 ADHDの特性持ちである筆者は、興味の偏りという傾向があります。興味のないものには徹底的に見向きもしないが、興味のあるものに関しては楽しいのでとことんやってしまうのです。 筆者はフリーランスで働いていますが、自分の時間が会社員と比べて自由に使えることが多いので、仕事に力を入れようとすると自然と「ひとりブラック職場」になりがちです。筆者もその例に漏れず、むしろ「仕事をいただけている!」と嬉しくてスケジュールを詰め込みがちになってしまいました。 定期的に通院している医師が「仕事の間引き」を言ってきたのは、そんな筆者の様子を見てのことでしょう。医師は多くの精神疾患のある方の行動パターンを見てきています。「こういうことを言っている/こういう行動をしていると、次はきっとこうなる」という傾向が分かっていることが多いのです。 実際、筆者は「仕事が楽しいと言って軌道に乗ってきている人は、その後調子を崩しやすい」と言われました。多くの患者を診てきたその知見は、大いに活用した方が良いと考えます。「ちょっとペースが落ちているから上げてみましょう」「もうちょっとスピードを落としても大丈夫」といった、伴走者のような役割を医師に求めてみると良いでしょう。 「働く」ための社会資源も活用しよう ただ、そんな医師でも、どんなところでどう働くかまで面倒を見てくれるとは言えません。特性と向き合いながら長期的に働くためにはどのようにしたら良いかを相談するには、それ相応の社会資源(社会福祉上の支援をしてくれる人や機関)を利用することが大切です。自分一人で悩むよりも専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 もちろん、今の時点でサービスを利用する目的をが決めていなくても大丈夫です。 「まだやりたいことが決まっていない、将来のビジョンが見えていない」「何を目的にサービス利用をすべきかイメージが湧かない」「自分に合っているか分からない」 …と悩んでいる方も安心してお問い合わせください。一人ひとりのご状況や困りごとをヒアリングしながら、ご提案をさせていてだきます。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
【発達障害当事者が解説】「仕事がうまくいかない」対策と継続のコツ

「仕事がうまくいかない…」を乗り越えるための対策を筆者の実体験をまじえご紹介。対策を立てた後に『継続』するためのコツもお伝えします。

記事を読む
  • #合理的配慮
  • #障害者雇用
  • #クローズ就労
  • #オープン就労
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
「仕事がうまくいかない」「同じようなミスを繰り返してしまう」 発達障害の特性がある方にとって、「仕事がうまくいくかどうか」はかなり大きなテーマでしょう。注意欠如・多動性障害(ADHD)の当事者である筆者も、過去に仕事でミスや失敗をして落ち込み、不安感にさいなまれる経験をしてきました。 平成29年に発表された厚生労働省の発表によると、精神障害者の障害者雇用の離職理由について「仕事内容があわない」「作業、能率面で適応できなかった」という項目が上位にきています。また、日本国内の企業の99.7%を占める中小企業のうち、障害者雇用の定着の理由として「作業を遂行する能力」を挙げる企業が一番多いという調査結果も出ています。 参考文献:障害者雇用の現状等|厚生労働省 発達障害特性への対策は世にたくさん発信されています。一方で、発達障害のある方の離職率が劇的に低くなったという話は聞きません。つまり、対策を知ったとしても、それを実際の自分の業務に生かすことが難しいのではないでしょうか。 今回の記事では、発達障害のある方によくある失敗とその対策、そして、対策を継続し習慣化していった筆者の体験談をお伝えします。皆さんが少しでも職場で長く違和感なく働けるよう、この記事がお役に立つことを願っています。 [toc] 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 発達障害当事者によくある失敗 発達障害の特性があると、以下のような失敗をしがちです。それぞれについて、原因と対策を挙げてみます。今回ご紹介をする【原因】は、あくまでも一例です。特性は一人ひとり異なるため、あくまでも参考としてご覧ください。 ① ケアレスミスが多い 【原因】 一般に、「記憶の抜け漏れ・忘れ」はケアレスミスにつながりやすいと考えられます。発達障害の特性の有無と、「ワーキングメモリ」と呼ばれる作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力の間には関連性があることが指摘されています。 参考文献:「ワーキングメモリと実行機能の発達」|発達心理学研究 2019,第30巻,第4号,173-175 【対策】 ワーキングメモリの働きを自分でコントロールすることはなかなかできません。頭の中だけで覚えておこうとするのではなく、紙のノートやPCのメモ帳に書き出して保存することが、簡単ながら一番効果的な対策です。電話を受けたらメモをする、口頭で指示を受けたらToDoリストに書き出すなど、確実に残る記録としていつでも参照できるようにしておくことが大切です。 ② 納期を守れない 【原因】 発達障害の特性の1つとして、不安が強く心配性であるため、失敗・挫折への恐怖が強いという傾向があり、仕事(やるべきこと)の先延ばしをして納期を破ってしまいがちだとされています。 参考文献:ひきこもり支援者読本 第2章「ひきこもりと発達障害」|内閣府 【対策】 「できないかもしれない」と思ってしまう仕事は「失敗せずやれる」と思えるような細かい作業手順に分解することでその不安や恐怖を取り除きます。すると、とりあえず手を付けることができるようになります。その結果、先延ばしを避けて納期通りにやるべきことを終わらせることができます。 ③ 優先順位を間違える 【原因】 やるべきことが複数あり、そのどれから着手するかを決める、いわゆる「優先順位づけ」についてもまた、発達障害当事者は困難を抱えがちです。それは、目の前の作業に没頭するあまり、全体と部分の把握を適切に切り替えることが難しかったり、先々の展開を想像することが苦手だったりすることが原因といっても良いでしょう。 参考文献:注意欠陥/多動性障害児を対象とした課題解決場面におけるメタ認知を促すための支援方法に関する事例的研究|上越教育大学大学院 【対策】 「手を付けなければいけない順番」の指標として締切を意識します。締切を意識することで、早く終わらせなければいけないのはどれかが分かり、正しく優先順位づけをすることができます。 このように、それぞれ原因を知り対策を講じることで、よくある失敗を事前に避け、仕事の質を上げることができます。しかし、対策を講じたは良いが続かなかった、飽きて途中で辞めてしまったといった経験がある方も多いのではないでしょうか。 そこで、筆者の「挫折してしまった(継続できなかった)経験」と「うまく継続できた経験」を対比して、対策を習慣化するコツをお伝えします。 うまくいかなかった「ToDoリスト」 筆者は「タスク管理ツール」を使うことで仕事のクオリティーを上げて長く安定して働き続ける力をつけました。しかし、最初からうまくいったわけではありません。 はじめての会社で先輩や上司から言われたのが「ToDoリストを作りなさい」というものでした。それまで「自分のやるべきことを書いて管理する」ということを一切してこなかった筆者は、ただ「作りなさい」と言われ、見よう見まねでやらなきゃいけないと思うことをノートに列挙して仕事をするようになりました。 増殖し続けるリスト ToDoリストに自分の仕事を書き出すだけでうまくいく......わけではありませんでした。むしろ書き出せば書き出すほど仕事の悩みは大きくなりました。「書いても消えない」のです。 例えば、ある日に10個の仕事を書き出したとします。そのうち7個くらいこなしたとして、残りの3個の仕事は翌日のページに繰り越されます。翌日新しい仕事がまた10個発生したら、合計13個の仕事がリストに並びます。そんな調子で数日経過すると、書き出す気がなえるほど膨大な数の仕事を毎日リストに書くことになってしまいます。 なにから手を付ければ良いかが分からない また、ToDoリストに書き出した仕事の数々を眺めて、「あれ?これ何から手を付ければいいんだろう?」と手が止まることも頻繁に起こりました。ある仕事について手が止まると、別の仕事に目がいきます。ところが、別の仕事も同じく手が止まる。また別の仕事に目が向く。またどう着手すれば良いかが分からない。その繰り返しで、結局リスト上の仕事を減らすことが難しくなってしまい、リスト上の仕事が増えることに拍車をかけてしまいました。 優先順位が分からない さらに、目の前におびただしい数の仕事があるとどうしても目移りしてしまい、「あれもやらなければ」「これもやらなければ」と混乱してしまいました。その結果、本当なら最優先で取り組むべき仕事を後回しにしてしまったり、逆にすぐにやらなくてもいい仕事をなぜかすぐにやらないといけないと思い込んでしまったりと、優先順位をきちんとつけることができていませんでした。 ToDoリストによる管理が崩壊 そうしたことが重なり、ToDoリストを更新することが面倒くさくなって、仕事の基本である「自分がやるべきことを客観的に把握する」のをやめてしまいました。 なお、当時の筆者は上記のように細かく分析できていたわけではなく、「なぜか仕事がうまくいかない」という大雑把な認識しかありませんでした。したがって、「ToDoリストを使いやすくするように改善していこう」という考えが微塵もなく、ToDoリストを更新する作業が「仕事を邪魔する面倒くさいこと」としてしか認識できなかったのです。 こうして、筆者の「仕事をうまくこなす」ための作戦は完全に挫折して終わりました。 うまくいった「特性対策ツール」 ただやるべきことを列挙しただけのToDoリストだけでは仕事がうまく管理できなかった私に足りなかったもの。それは「ToDoリストを自分用に変えていこう」という考えでした。 ここに、対策を講じた後にやるべきことのヒントがあると筆者は考えています。それは、「実践」「検証」「改善」を繰り返すことです。以前のToDoリストでの失敗を糧にこの3つを繰り返すことで、ただのToDoリストを「自分ならではの特性対策ツール」へ変えることができ、仕事がうまく回るようになりました。 ①まずはToDoリストにやるべきことを書き出す 実は、ToDoリストを使うことには失敗だけでなく、良い部分もありました。それは、「書いたことは忘れない」という安心感です。むしろ、「書いたから安心して忘れることができる」と言っても良いかもしれません。やるべきことをToDoリストに書き出すことにより、少なくとも「覚えたはずなのに忘れる」「抜け漏れが発生する」といったことによるケアレスミスは減らすことができました。 しかし、以前にToDoリストを使ったときは、「書き出すだけ」で終わっていたのです。そのため「議事録の作成」や「企画の立案」といったざっくりした内容の項目が並ぶToDoリストを眺めては、「議事録を作るためには、何からとりかかればいいのだろうか」「どのような手順を踏めば企画書を作成できるのだろうか」と考えてしまい、いつまでたっても着手できずにいました。 ②仕事の手順を付け加える そこで、書き出したToDoリストに「より具体的で分かりやすい作業手順」を付け加えるようにしてみました。例えば「議事録の作成」の場合、まずは「議事録のフォーマットを先輩から手に入れる」ことが必要ですので、これが最初の作業手順となります。これをToDoリストに書き足しておけば、「まず最初に何をすれば良いか」が分かるので、作業に着手しやすくなります。 これにより、手が付けられず無駄に時間が過ぎていくことを予防でき、結果的に先延ばしを回避することができて納期を守りやすくなりました。ただ、いくら「着手しやすい手順」が目の前に並んでいても、「では、どの作業から着手しよう」というところで迷いが生じます。つまり「優先順位の問題」を考えなければならないのです。 ③自分が進めている仕事かどうかを付け加える 優先順位の問題の対策としてまず考えられるのは、「優先順位をつける対象の数を減らす」ことです。誰かが進めているのを待っているだけの仕事は、自分がすぐに手を付けられないので、そもそも「着手すべき仕事」の優先度を判断する対象から外すことができます。 さらに、「自分が進めている仕事」と、「誰かが進めていて自分はそれが終わるのを待っているだけの仕事」を区別できるように、ToDoリストに「自分」「相手」などと付け加えました。その結果、優先順位をつける対象を絞り込むことができ、どの作業から手を付けたらいいのかが分かりやすくなりました。 ただし、優先順位をつける対象をある程度絞り込めたとしても、最終的にはその中から「今、自分が進めるべき仕事」をどれか1つ選ばなければなりません。その選択基準がなければ、結局、優先順位がつけられていないのと同じことになってしまいます。 ④手順の締切を付け加える そこで、「今、自分が進めるべき仕事」を1つ選びやすくするために、その手順の締切を付け加えました。締切の日付があれば、「これは早めにやっておいた方が良さそうだ」「これは締切が随分あとだから、まだ寝かせていても大丈夫」ということが分かるので、「今、自分が進めるべき仕事」を選びやすくなります。 このようにして、「ケアレスミス」「納期を守れない」「優先順位がつけられない・間違える」という困りごとへの対策を、自分のものにすることができました。また、実践→検証→改善というサイクルを繰り返すことによる「手間暇かけた感」が、この特性対策ツールへの愛着を湧かせ、この仕事の管理方法を継続させる土台となりました。 対策を継続させるための仕組み ここまででも十分に仕事で活用できる管理ツールにはなったのですが、さらに継続させるための仕組みとして、「適切に自分に報酬を与える」ようにしました。 国立精神・神経医療研究センターの研究によると、ADHDのある方には「後で手に入る高額の報酬よりも、すぐに手に入る少額の報酬を選ぶ傾向がある」と言われています。 参考文献:報酬はヒトの行動抑制機能を高めるか?神経心理学的アプローチによる報酬効果の検討と展望|日本生理人類学会誌 Vol.27,  No.2  2022, 5 38 - 45 ここでいう「報酬」とは、仕事が進んだり、完了できたりすることによる「満足感」と考えていただければと思います。ADHDである筆者も例に漏れず、大きなプロジェクトを終わらせたときの満足感のような「後で手に入る高額の報酬」までは待てません。そこで、「すぐに手に入る少額の報酬」を自分で設定するようにしたのです。 完了数の表示 今までご説明した「特性対策ツール」を、私はExcelで作っています。そのExcel上で、「完了した仕事の数」を表示させるようにしました。ロールプレイングゲームでは、経験値が一定数たまるとレベルが上がります。現実の世界では数字がたまっても何も変わらないのですが、Excel上の数値が上がるだけでも「やった!」と満足感を覚えます。仕事を1つ1つ終わらせるごとに「仕事の経験値をためる」という感覚を自分に起こさせるようにしたのです。 毎日の仕事の発生数/完了数の表示 Excel上でその日発生した仕事の数と、完了させた仕事の数とを比較できるようにしました。例えば、ある日仕事が5つ発生して、4つ完了させていたとします。その時点で「1負け」です。そこで、なんとかすぐに完了できる仕事がないか探します。運よくすぐに終わる仕事が見つかると「引き分け」になります。さらにもう1つ仕事が完了できたら「1勝ち」となります。 「発生数/完了数の勝ち負け」の仕組みは最初はお遊び程度だったのですが、これもロールプレイングゲームのような満足感を味わうことができ、仕事を進めるよい燃料になりました。 仕事が画面から消える これはもう筆者の個人的な趣味のような領域になってしまうのですが、完了させた仕事は記録には残るものの、Excelの画面上では見えなくするようにしました。Excelの「フィルタ機能」を使うとことで、完了させたToDoがスッと消える(正確には、画面から見えなくなる)のです。 この瞬間がたまらなく好きになり、この消える際の「スッ」というExcel上の動きを見るだけで一種の快感のようなものを覚えるようになりました。 まずは自己理解から 以上、筆者の失敗事例とうまくいった事例から、「実践」→「検証」→「改善」というサイクルを回すことでより自分に合ったやり方を見つけることで継続できることをお伝えしました。 ただ、筆者とまったく同じことをしましょうと言うつもりはまったくありません。この事例からお伝えしたいことは、「実践・検証・改善を繰り返すことでより習慣化しやすくなる」「改善には、自己理解が助けになる」ということです。 特に、自己理解を深めておくことが大事だと筆者は考えています。抜け漏れしやすかったり、先延ばしぐせがあったり、優先順位がつけにくかったりする特性を認識していないと、そもそも対策を立てること自体ができないからです。 自己の障害特性を理解し、仮説レベルでもいいので対策を立てて実践し、その結果を検証し、自分の特性に照らして「特性のある自分でも対応できそうな」改善策を付け加え、それを実践して......という繰り返しをすることが、発達障害の特性を持つ私たちがより生きやすくなる道だと筆者は考えます。 ただ、正直なことをお話すると、何から何まで自分でやろうとするのは、とても時間と手間がかかります。筆者自身も特性を把握するまでには数年の時間がかかりました。今、この記事をお読みの方は「そこまで時間と手間をかけていられない」とお考えだと思います。 そんなときには、自分一人で悩むよりも専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 もちろん、今の時点でサービスを利用する目的をが決めていなくても大丈夫です。 「まだやりたいことが決まっていない、将来のビジョンが見えていない」「何を目的にサービス利用をすべきかイメージが湧かない」「自分に合っているか分からない」 …と悩んでいる方も安心してお問い合わせください。一人ひとりのご状況や困りごとをヒアリングしながら、ご提案をさせていてだきます。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 編集担当 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
卒業生インタビュー「就労移行支援を利用して良かったことは?」

ディーキャリア卒業生に「実際に就労移行支援を利用してみて良かったこと」をうかがいました。今の社会人生活に役立っていることなど、リアルな体験談をお伝えします。

記事を読む
  • #就労移行支援事業所
  • #障害者雇用
  • #オープン就労
ディーキャリアの卒業生の方に、「就労移行支援(ディーキャリア)を利用して良かったこと・メリット」についてインタビューをおこないました。 今回インタビューに応じてくださったNさんは、4年前にディーキャリアをご卒業、現在は障害者雇用枠で事務のお仕事をされています。そんなNさんに、ディーキャリアで学んだこと・身につけたことで、実際に社会人生活で役立っているものがあるかについて聞いてみました。 インタビューの前半では、就労移行支援を利用したきっかけについてお伺いしました。 【こんなお悩み・疑問のある方にオススメ】□ 就職を目指しているものの、うまくいかない□ 発達障害の特性があり、働くことに自信がない□ 就労移行支援(ディーキャリア)で身につくスキルを知りたい□ 就労移行支援(ディーキャリア)で解決できる悩みを知りたい 就労移行支援に興味はあるものの、利用すべきか悩んでいる方に、お役立ていただける情報満載です。 ぜひ、最後までお読みください。 参考記事本記事は当事者同士の対談のため、発達障害に関する用語でお分かりになりづらい部分があるかもしれません。「大人の発達障害」について詳しく知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。 [toc] インタビューにこたえてくれた方Nさん ■所属オフィス:ディーキャリア柏オフィス(卒業)■在籍期間:2018年6月~2019年10月■診断名:ASD(自閉症スペクトラム障害)■障害による特徴(特性):・耳から入る情報の処理が苦手 (口頭での指示などが聞き取れない、聞き洩らしがある等)・複数の指示を同時にされると混乱してしまうことがある・過集中(過剰に集中しすぎる)がある・感覚過敏があり、周りの音が気になって集中できないことがある・約束や納期を忘れてしまうことがある■現在のお仕事:障害者雇用枠で人材派遣会社での事務職として勤務。現在は求人情報のデータ入力、Wチェックを担当。 Q.就労移行支援事業所をどのように知りましたか? 精神障害の診療で通っていたクリニックの先生に「就労移行支援」を勧められたのがきっかけです。就職について相談したかったことと、自分の障害特性への理解を深めたいと考えたことから、利用を検討しはじめました。 Q.次の就職に向けて、検討していたサービスはありましたか? 就労移行支援事業所以外は、とくににありませんでした。就労移行支援事業所は、ディーキャリアを含めて2~3か所、見学や体験に行きました。 Q. 就労移行支援事業所の利用を決めた理由について教えてください。 ■就職に関する相談ができる まず、就職についての相談をしたかったことが理由です。前職はクローズ就労(障害を開示しない勤務形態)だったのですが、次は障害者雇用枠にするのか、どんな仕事が向いているのか・向いていないのかについて相談したいと考えていました。「障害者雇用」に興味はあったものの、当時は不安のほうが大きかったので、実態などを聞いてみたかったですね。 ■障害特性の理解を深められる 自分の障害特性の理解を深めたいと考えていたことも大きな理由です。前職の仕事で失敗をした経験があったので、次の仕事では同じ過ちをしないように対策をしたいと考えていました。 Q.前職での困りごとを詳しく教えてください。 前職はシステムエンジニアの仕事をしていました。口頭での指示が苦手で、聞き洩らしをしまったり、同時にいくつもの指示がくると混乱してしまって、ミスをしてしまったりすることがありました。例えば、指示をされた仕事が10個あるとしたら、8個は覚えていられるのですが、2つ抜けてしまうという…。業務の抜け漏れによる失敗を何度も繰り返してしまって、3年ほどで退職しました。お客様先での常駐勤務であったことから、相談できる相手がいなかったことも退職理由です。 Q.ディーキャリアの利用を決めた理由について教えてください。 ディーキャリアのプログラムは、3つのステップになっていて、段階的に学んでいけるのですが、それが自分に合っていると思いました。見学にいったときのスタッフや利用者の方の様子も決め手のひとつです。相談や質問がしやすい雰囲気で、安心することができました。 Q.実際に「就労移行支援」や「ディーキャリア」を利用して良かったこと(メリット)について教えてください。 ■障害特性への理解を深めることができた 自分の障害特性の理解を深めることができたことです。診断がでたときにクリニックでも説明を受けていたので、自分の特性は「なんとなく」は理解していたのですが、自分の仕事上のミスがどの特性によって起こっているかは分かっていませんでした。実際にどの特性が仕事に影響しているかを明確にすることができました。 ■自分と同じ悩みのある人と交流ができた 自分と同じ障害のある利用者の方と一緒にプログラムに参加できたのも、良い経験でした。ライフスキルコースでは、座学形式で他の利用者の方とプログラムを受け、チームに分かれて共有をする機会があるのですが、他の方の意見を聞くことができたことが良かったです。例えば「ストレスコーピング」といってストレスの解消方法を学ぶプログラムでは、自分もやってみたいと思える対策を知ることができました。 ■就職活動のサポートを受けることができた 障害者雇用枠での就職活動をサポートしてもらえたことも、ありがたかったです。履歴書や職務経歴書だけではなく、ナビゲーションブックという自分の障害を説明する資料の添削をしてくれました。面接の練習もよかったです。自分の障害についてうまく伝えることに自信がなかったので、助かりました。ディーキャリアの利用前は、障害者雇用枠と一般雇用枠どちらで働くか悩んでいたのですが、スタッフの方と話し合ったり、いろんな会社の説明会に参加したりしたうえで、障害者雇用枠で就職することに決めました。障害への配慮や相談しやすい環境を重視したかったからです。気軽にいろんなことを相談できたので、とても助かりました。 ■通所へのモチベーションを保つことができた 毎週土曜日のイベントも気に入っていました。平日は真面目な雰囲気でプログラムを受けるのですが、土曜日はヨガやカードゲームなどのイベントに参加することができます。他の利用者の方と交流ができて、リフレッシュすることができたので、来週も頑張ろうとモチベーションを保つことができました。 Q.ディーキャリアで学んだことで、今の社会人生活で役立っていることについて教えてください。 ■障害特性による困りごとへの対処法 自分の障害特性への理解を深めて、どのようにすれば苦手なことに対処できるかを学んだのですが、今の仕事でも役立っています。 【現在の勤め先での合理的配慮と自己対処】 ・耳から入る情報の処理が苦手 ⇒業務指示や説明は「書面(チャットやメール等)」でおこなってもらう ・複数の指示を同時にされると混乱してしまうことがある ⇒タスクを一つずつ説明してもらう、メモを取る時間をもらう ・過集中(過剰に集中しすぎる)がある ⇒スマホアプリを活用し、適宜休憩をとるためにアラームを設定している ・約束や納期を忘れてしまうことがある ⇒カレンダーのアプリを活用し、アラームが鳴るように設定している このような対策をすることによって、以前感じていた働きづらさや、前職と同じようなミスが起こりづらくなりました。 ■コミュニケーションスキル ディーキャリアを利用する前は、コミュニケーションに苦手意識はなかったのですが、利用をする中で課題に気づいて、対策を学ぶことができました。例えば、「人の話を遮って話し始めてしまう」という癖があることです。相手の立場になって、会話をする方法を学びました。以前から仕事の話などはできたものの、自分から話題を振ることが少なかったのですが、日々の訓練の中でコミュニケーションを通じて、雑談がしやすくなりました。 Q.就労移行支援事業所を利用するか迷っている当事者の方に、何かアドバイスがあればお願いいたします。 発達障害のある方は、自分の特性について知ることがとても大切だと考えています。自分にどのような特性があるかを知って、どのように具体的に対策をすればよいかを知ることで、働きやすくなると思います。働くことに不安がある方は、まずは相談してみるのがおすすめです。 Q.最後に、ディーキャリアの利用満足度を10点評価してください。その理由も教えてください。 10点です。プログラムがとてもためになりました。例えば、「リフレーミング」というプログラムでは、自分自身のとらえ方を変えるだけで気分が楽になることを学びました。自分らしく就職が目指せたことも、高評価の理由です。無理して就職をするのではなく、体調を優先しつつ、自分のペースで進めることができました。障害者雇用枠での就職を決めることができたのも、ディーキャリアで、自分に合っている働き方を知れたことが理由です。 担当スタッフよりコメント 就労移行支援事業所ディーキャリアに通うメリットは、「仕事スキル」だけでなく、「社会スキル」を身につけられることだと考えています。働くうえでは、もちろん実務に必要な技術や知識も必要ですが、社会生活の中では、人との関わり方やストレスケアを身につけることも非常に重要です。 今回のNさんのインタビューでもあったように、発達障害の特性によって「働きづらさ」を感じている方は、特性の理解を深めることも必要です。 ディーキャリアでは、3つのコースを用意しており、それぞれ、①自分の発達障害の特性を知り、②自分の特性に応じた対策を実践・検証し、③自分に合った就職先を探す、ことを目的にしています。 特性による「働きづらさ」を感じている方、「働くこと」に自信がない方は、お気軽にご相談ください! ディーキャリア柏オフィス オフィス詳細▶問い合わせフォーム▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアについて 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスのひとつです。(厚生労働省の許認可事業)ディーキャリアでは、発達障害の特性による働きづらさをフォローするプログラムと自分の価値観や適職を見極めるカリキュラムで、「やりがいを感じられる仕事探し」×「あなたらしい働き方探し」を目指す支援を提供しています。 全国のディーキャリアで、無料相談・体験会を随時開催しています。障害特性による「生きづらさ」「働きづらさ」を感じている方は、お気軽にご相談ください。 お近くのディーキャリアを探したい方は こちら▶ディーキャリアを詳しく知りたい方は こちら▶ ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 全国共通お問い合わせフリーダイヤル(0120-802-146)はこちら▶お問い合わせフォームはこちら▶