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利用者インタビュー「就労移行支援を利用したきっかけは?」

ディーキャリア利用者に「就労移行支援の利用を決めた理由」をうかがいました。自分に合っているか、どんなことが学べるか知りたい方に役立つ情報をお伝えします。

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ディーキャリアの利用者の方に、「就労移行支援を利用したきっかけ」についてインタビューをおこないました。 今回インタビューに応じてくださったYさんは、就労移行支援事業所を利用する前に、「職業訓練校」を利用した経験と一般企業で働いた経験があるそうです。なぜ、そんなYさんが「就労移行支援事業所ディーキャリア」を利用するに至ったのか、実際に通ってみてどうだったのかについて聞いてみました。 【こんなお悩み・疑問のある方にオススメ】□ 就労移行支援が自分に合うか分からない□ 就職を支援するサービスについて知りたい□ 自分に合う就労移行支援の選び方を知りたい□ 就労移行支援(ディーキャリア)で身につくスキルを知りたい 就労移行支援に興味はあるものの、利用すべきか悩んでいる方に、お役立ていただける情報満載です。ぜひ、最後までお読みください。 参考記事本記事は当事者同士の対談のため、発達障害に関する用語でお分かりになりづらい部分があるかもしれません。「大人の発達障害」について詳しく知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。 [toc] プロフィール インタビューにこたえてくれた方Yさん ■所属オフィス:ディーキャリアITエキスパート中野オフィス・芝浦オフィス■在籍期間:2020年5月~2023年5月 ※インタビュー時は在籍中■診断名:ADHD(注意欠如・多動性障害)、うつ病■障害による特徴(特性):・衝動性が高く、やらなくていいことをしたり、突発的に発言をしたりすることがある・話をまとめることが苦手で、要点をまとめることや必要な情報だけを伝えるのが苦手・聴覚過敏があり、周りの音や声が気になり、集中ができないことがある・思い込みによって、早合点してしまうことがある■就職先:金融事業をおこなう大手グループ会社で一般事務職(障害者雇用枠)として勤務。現在は、契約書の整理電子化、システムの運用を担当。 インタビューをした人藤森ユウワ 36歳のときにADHDと自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受ける。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 現在はベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 就労移行支援事業所を知ったきっかけは? 今回は「就労移行支援」をテーマにお話をお伺いできればと思います。最初に「就労移行支援」を知ったきっかけについて教えてください。 5年前くらいになるんですけど、発達障害がインターネット、テレビ、新聞などのメディアで多く取り上げられて、そのときに「就労移行支援」というサービスがあることを知りました。 なるほど。私も自分の障害に気づいた頃も、発達障害に関するメディアがあったんですけど、私は「就労移行支援」にまではたどり着けなくて、「発達障害とは何か」みたいな情報しか取れなかったですね。Yさんは、何か意図的に自分が利用できる障害福祉サービスや障害者雇用に関する情報を探していたんですか? そうですね、意図的に探していましたね。当時ちょうど、未経験からIT業界に転職をしようと考えていたので、職業訓練と就労移行支援のどっちが自分にとってメリットがあるかなと調べていました。当時は、ディーキャリアではなく別の就労移行支援事業所に行ってみたのですが、軽作業系が中心だったので、自分のやりたいことやスキルアップのためにはならないのではないかと考えて、職業訓練を選びました。職業訓練校の利用後は、IT系の会社を2社ほど経験したのですが、3年前に新型コロナウイルス流行の影響で、会社都合で退職をしなければならなくなって。就職活動が長期戦になりそうだなと思って、改めて自分の特性を見つめたうえで、ITスキルを学べるところを探していて、就労移行支援事業所ディーキャリアITエキスパートの利用に至りました。 最初の転職を考えていたときに、すでに就労移行支援がひとつの選択肢としてあったということなんですね。 発達障害の診断を受けたきっかけは? 先ほど「自分の特性」というキーワードが出てきましたが、ご自身の障害についてはいつ頃知りましたか?発達障害の診断を受ける(検査をする)ことになった、きっかけについて教えてください。 2010年代中頃に発達障害に関するニュースがあって、それを見ていた友人から「あなたもそういう病気(発達障害)じゃないか」と指摘をされたんですね。少し周りと違うということはなんとなく感じていたので、自分自身でもそう(発達障害がある)ではないかと思って、受診をしました。最初の転職活動を検討する頃には、発達障害の診断が出ていたので、発達障害の当事者であることを前提に転職活動をしていました。 なるほど。自分の障害特性に合った環境や仕事を探して転職活動をされていたということでしょうか? 正直に言うと、そのときは自分の障害に合う環境っていうのが分かりませんでした。発達障害の特性とITの仕事が合うという情報を見つけて、私自身もITに興味があったので、IT系の仕事を選んでみようかなと思いました。そこで、ITスキルを身につけるために職業訓練校に通って、IT業界の仕事に就いたという流れですね。 「就労移行支援」と「職業訓練」、どっちがいい? 就労移行支援と職業訓練と両方経験をされたうえで、どちらのほうが良いと思われますか? 就労労移行支援と職業訓練とでは、目的がほぼ違うと考えているので、比較は難しいですね。 Yさんとしては、それぞれにどのような目的があるとお考えですか? 就労移行支援の目的は「障害への対処法=ヒューマンスキル/ソーシャルスキルを学ぶこと」、一方で職業訓練は「職業スキルを学ぶこと」だと考えています。就労移行支援では、自分の障害特性や、発達障害のみならず精神疾患による課題に対して、自分で対処をするためのスキルを身につけて、課題の解決の糸口を探していくことができる。職業訓練では、業務で使う専門知識や技術面を身につけることができる、と考えています。 それぞれ良さがあり、目的に応じて使い分けるのがよさそうですね。
【発達障害当事者が解説】無理なく働き続けるための特性理解と対策

長く健康的に働き続けるためにはどうすればいいのか。筆者の体験談を交えながら、なぜ発達障害のある方は仕事が長続きしない傾向にあるのか、その原因や対策などについてお伝えします。

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「仕事がうまくいかず長続きしない」「職場の環境と合わなくて、短期離職を繰り返してしまう」 令和2年に発表された厚生労働省の資料によると、精神障害のある方が1年間就労を継続できている割合は50%を切っており、定着が困難な方が多いと解説されています。 参考文献:障害者雇用の促進について関係資料|厚生労働省 発達障害の注意欠如・多動性障害(以下ADHDと表記)の当事者である筆者の就労経験からしても、最後に勤めた会社を除き、思ったほど長続きしなかった印象があります。障害者雇用枠で就労していた会社は4年強で休職し、一般雇用枠で就労していた会社は2年と持たずに休職してしまいました。実際は休職に至るまでかなり長い期間をかけて「就労環境とのミスマッチ」が生じていたので、適切な環境で就労できていた年数は、それよりもずっと短いという印象です。 今回の記事では、そんな筆者の体験談を交えながら、なぜ発達障害のある方は仕事が長続きしない傾向にあるのか、その原因や対策などについてお伝えします。皆さんが健康で長く働けるよう、この記事がお役に立つことを願っています。 [toc] 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 発達障害のある方が仕事が長続きしない原因とは 仕事が長続きしない原因は「①仕事内容とのミスマッチ」「②職場環境とのミスマッチ」の2つと考えられます。 仕事内容とのミスマッチ 曖昧な内容が理解できないことで空気が読めなかったり、衝動的に思いついたことをしゃべったりといった発達障害の傾向は、周囲の人たちとのコミュニケーションがうまくいかなくなることにつながりがちで、仕事内容とのミスマッチが発生する可能性があります。 例えば、接客業はお客様とのコミュニケーションありきの仕事なので、お客様とのやりとりがうまくいかなければ、そもそもその仕事にマッチしないということになります。 職場環境とのミスマッチ さらに、せっかく仕事内容とはマッチしていても、例えば遠隔地にあるオフィスに通うための長時間の満員電車の混雑に耐えられなかったり、騒がしいオフィス内で発達障害の特性による聴覚過敏から集中できなかったりといった、職場環境とのミスマッチを生んでしまうこともあります。 筆者の事例 筆者も発達障害の特性によるミスマッチに悩まされた一人です。 「先延ばしグセ」がもとで期日に厳しい公共機関へ提出する報告書に手を付けずクレームを受ける 「段取り下手」で社内イベントの準備がうまくできない 「マルチタスクが苦手」なあまり名刺発注業務と社内備品の発注と来客対応の優先順位がうまくつけられない 「抜け漏れ」でついさっき頼まれた仕事を忘れる 「自己関連付け」(何か良くないことが起こったとき自分に責任がないような場合でも自分のせいにしてしまう)で通常どおりに使用していたプリンターが壊れた際に自分が原因があると考えてしまう このようなことが多発し仕事がうまくいかなくなる→ストレスが溜まりその傾向に拍車がかかる→より仕事がうまくいかなくなる、という悪循環に陥りました。 また、仕事がうまくいかないことで、周囲の方々との関係も悪化し、あるいはそう自分が勝手に思い込んでしまい、居場所感のようなものがだんだんなくなっていき、「これ以上仕事を続けられない」という心理状態になっていきました。 この悪循環を断ち切るには、自らの特性に応じた対策を打つことが必要です。そのためには、自分にはどういった特性があるのかをまず知ることが大事です。 発達障害の特性を理解するメリット 前述したように、自らが持つ発達障害の特性を知ることはその対策を打つためにとても大事です。ここでは、自分の障害特性を知るメリットについてお伝えします。 「続かない」仕事を避け、「続けられる」仕事を選べる 自分の特性が分かると、その特性にあった職業を選ぶことができます。 例えば、「臨機応変に段取って仕事を進めるのが苦手」であれば、プロジェクトの進行管理をするWebディレクターや、複数の顧客とやり取りをする必要のある営業職などは難しいでしょう。また、ケアレスミスを多くしてしまう傾向があるのであれば、税理士や司法書士など正確な事務作業が要求されるような職業はあらかじめ候補から外しておくのが得策です。 逆に、細かい事務作業は苦手だけど人と接するのが得意という方は、飲食やサービス業などの接客業が向いている可能性が高いと言えます。細かいチェックなどの作業に集中できるのであれば、経理などの事務職が向いている可能性が高いと言えます。 このように、自分の特性を理解していれば、仕事を選ぶときに当たりをつけることができるようになります。 「できない」仕事について周囲がサポートしやすくなる ただし、どんな仕事でも「100%自分の得意なことだけやっていればいい」ということはほとんどありません。 例えば、接客業であっても出勤シフトを組んだり、一日の売上の計算をしたりするときには、どうしても事務作業が必要になります。また事務職であっても自分の業務のみ黙々とおこなうのは難しく、少なくとも仕事を協力し合う同僚とはコミュニケーションを取らなければなりません。 そこで「この仕事のこういう部分が苦手です/得意ではありません」といったことを把握し、自分から周囲に伝えておけば、「あの人は、事務処理が苦手だから手伝おう」「コミュニケーションが苦手だから、分かりやすく話してあげよう」とサポートしてもらえる可能性が高くなります。 「できる」仕事について能力を発揮し、自己肯定感を高められる 得意な仕事が分かっていれば、「それやります!」と率先して引き受けることができます。 得意なことなので当然その仕事はうまくいきやすく、成功体験を積むことができます。成功体験を積むと、自己肯定感が上がります。すると、もっと積極的に仕事に取り組むことができるようになります。 この好循環により、安定して仕事を続けられるようになります。 対策の具体的な手順と事例 自分の障害特性を知ればその対策を打つことができます。対策が打てれば、働きやすさは格段に上がります。ここでは、自分の障害特性を知り対策を打つところまでの筆者の具体的な経験をお伝えします。 自分の障害特性を知る 筆者は、2007年にADHDの診断を受けました。しかし、診断を受けただけで終わってしまいました。「自分はADHDである」ことを“知った”だけで、「では、自分にはどのような障害特性があるのか」までは考えようとしなかったのです。 その後、会社に就職して働き始めるのですが、具体的にどのような障害特性があるのかまで分かっていないので、当然仕事はうまくいきません。入社 → やみくもに頑張って仕事をするも次第に息切れ → 休職という流れがお決まりになってしまいました。 その流れを断ち切ったのは、2社目での休職からの復職後のことでした。 それまでの経緯を振り返り、自分の特性を知ろうと考えたのです。厳密に言うと「うすうす自分の特性には気づきながらも認められずにいたが、ついに意識せざるを得なくなった」といったところでしょうか。 このとき、「自分の障害特性を知ること」と同時にやったのは「諦めること」でした。 「忘れない自分になるのを諦める」「段取りよく仕事を進められる自分になるのを諦める」「先送りしない自分になるのを諦める」 諦めることで、特性ありきの自分を受け入れることができ、「そんな自分でもなんとかできるためにはどうすれば良いか」というスタート地点に立つことができたのです。診断を受けてから7年の月日が経っていました。 特性に対する対策を知る 自身の障害特性を知って受け入れた後は、その対策を立てることになります。復職直後は時間的余裕があったので、目の前にあるPCでExcelの練習も兼ねて、自分の特性をカバーするようなものを作ろうと考えました。 忘れっぽさに対しては、とにかく依頼を受けた仕事は全部Excelに書くことで対処していくことに決めました。 段取りが苦手なことや先送り癖に対しては、受けた仕事を細かい手順にあらかじめ分解して、その手順ごとに細かく締切を設定することで対処しようと考えました。 全部自分の責任だと考えてしまう「自己関連付け」という思考に対しては、それぞれの手順の担当者は誰かを追記することで、自分が進める段階か相手が進める段階かを明確にして、必要以上に自分が責任を背負い込み過ぎないような表示にしました。 マルチタスクになると気が散って集中できなくなってしまうのは、それぞれの仕事について「今やるべき手順」のみを表示させることで、「今自分が取り組むべきことはこれ!」と集中できるようにしました。 こうしてできたExcelの自分用仕事ツールによって、仕事の質・量が劇的に改善し、そして何より仕事をする自信を持つことができるようになりました。 余談ですが、このようなやり方をしている人が他にいないかと調べてみると、「タスク管理」という仕事術に非常に似ていることが分かり、その瞬間思わず感動して抑えきれず声が出たのを覚えています。 タスク管理に限らず、特性を受け容れて対策を打ち出すときに大切なことは、自分が頑張って「できるようになる」ではなく、他人や物に頼って「自分はできないけど、結果的になんとかする」という考え方です。このように考えると、無理なく仕事が続けられる、自分に合った対策を立てることができるようになります。 (自己対処できない場合)自分に必要な合理的配慮を知る 合理的配慮とは、「障害による困りごとへの配慮を、企業や自治体、教育機関等の事業主に求めることができる」という制度です。合理的配慮について職場と調整をすることは、発達障害のある方が安定して長く働いていくために大切なポイントとなります。 ※合理的配慮について、詳しくは関連記事をご参照ください 筆者はタスク管理でかなり状況が改善されましたが、それでも仕事上うまくいかないことはあります。筆者の場合は、否定的な態度でコミュニケーションをとられると、それだけで萎縮して頭が真っ白になってしまい、しばらくの間まともな判断ができなくなってしまいます。 復職後しばらくして別の会社に障害者雇用で転職した筆者は、社長面接で「ではあなたの求める合理的配慮を教えてください」と言われました。 そこで、「怒らないでください。仕事についてはタスク管理でカバーしてなんとかしますが、もし私に落ち度があって改善する必要があれば、普通のトーンで変更の提案をしてください」と伝えました。 実際、ほとんど怒られずに済み、精神的にも安定して長期間就労を継続することができました。 逆にタスク管理部分を配慮してもらって、「自分のメンタルは自分でなんとかします」でも良いと思います。実際、厚生労働省から出ている合理的配慮指針にこのような内容があります。 「業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順について図等を活用したマニュアルを作成する等の対応を行うこと」 出典:合理的配慮指針|厚生労働省 できる限り対策を考えてやってみて、それと同時並行で対処しきれないところについては合理的配慮を求めるという姿勢が大事なのではないかと考えています。 筆者の事例はあくまで個人的なものですが、「自分の特性を知り受け入れる」「その対策を立てる」「それでも必要な部分を合理的配慮として求める」ということは、どんな方にも共通する大事なことではないでしょうか。 ただ、筆者のように自分の特性を受け入れるまで何年もかけるのは現実的ではありません。また、その対処法についても、筆者は幸運なことにExcelを使ったタスク管理に出会ったわけですが、人それぞれ違うであろう対処法を自分だけで探し当てるのは難しいかもしれません。 そんなときには、自分一人で悩むよりも専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 もちろん、今の時点でサービスを利用する目的をが決めていなくても大丈夫です。 「まだやりたいことが決まっていない、将来のビジョンが見えていない」「何を目的にサービス利用をすべきかイメージが湧かない」「自分に合っているか分からない」 …と悩んでいる方も安心してお問い合わせください。一人ひとりのご状況や困りごとをヒアリングしながら、ご提案をさせていてだきます。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 編集担当 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【発達障害当事者が実践】職場の対人関係を円滑にするビジネスマナー3選

ASDのある方が困りごとを感じやすい「職場でのコミュニケーション」。筆者の体験談を交えながら、職場を安心できる居場所とするためのコツをお伝えします。

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「普通に振る舞っているつもりなのに、周囲の人たちとの壁を感じることがある」「日頃の行動について注意されたが、どうしたら良いか分からない」 多かれ少なかれ、どんな人でも職場に溶け込むための悩みはあるものでしょう。ただ、周囲の様子や反応から、職場における適切な振る舞いを学ぶのは、発達障害、特に自閉症スペクトラム障害(以下、ASDと表記)の特性がある方にとって苦手なことではないでしょうか。 筆者は、診断として受けているのは注意欠如・多動性障害(以下、ADHDと表記)のみですが、発達障害はスペクトラム(連続性)のあるものであり、ASDに由来する(と思われる)困りごとも体験してきました。 今回の記事では、そんな筆者の体験談を交えながら、職場を安心できる居場所とするためのコミュニケーションのコツを3つお伝えします。 今回は「職場のコミュニケーション」のなかでも社会人として問われる機会の多い「ビジネスマナー」に絞ってお届けします。 皆さんが少しでも働きやすくなるように、この記事がお役に立つことを願っています。 [toc] 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 ASDのある方が、ビジネスマナーが苦手な原因とは ASDの特性がある方は、場の空気を読むなどして暗黙のルールを認識することが苦手とされています。 参考文献:発達障害者の就労上の困難性と具体的対策 ─ASD 者を中心に|独立行政法人労働政策研究・研修機構 なぜ、ASDの特性がある方は、暗黙のルールを認識するのが苦手なのでしょうか。 一般に、発達障害の特性がない定型発達の方は、「①理解できていない」状態から「②なんとなく分かる」という段階を経て「③理由が説明できて分かる」という順番で理解が進みます。 しかし、ASDの特性がある方は、「②なんとなく分かる」というプロセスがないことが研究で分かっています。つまり、「①理解できていない」の次が「③理由が説明できて分かる」なのです。 これは、言葉で分かるようにならないと理解ができないということと、一度理解したことを「なんとなく」変更する柔軟な対応が難しい(マイルールへのこだわりがある)ことを意味します。 参考文献:他者理解の発達再考―直感的他者理解をめぐるASD(自閉症スペクトラム)研究を通して―|東洋大学 どの職場でも「これは言わなくても守って当たり前」と思う「暗黙のルール」は存在します。そして、色々な職場に共通する暗黙のルールが「ビジネスマナー」としてまとめられ、明文化されないまま社会全体に広まっていったと考えて良いでしょう。これは、言葉以外の意味合いを重要視する日本ならではの文化かもしれません。 ただし、ASDの特性がある方がこのような文化の中でうまくコミュニケーションをとっていくのは、上記の内容から分かる通り、難しいと言わざるを得ません。 そんな発達障害の、特にASDの特性がある方が、職場でのコミュニケーションを円滑にするためにはどうすればいいのでしょうか。具体的な対策としてのビジネスマナーを、筆者の失敗事例を通してお伝えしていきます。 対策①報連相ができない→ひと言テンプレートを用意 筆者の体験談 「報告」「連絡」「相談」をまとめて「報連相」といいます。職場でのコミュニケーションの第一歩でありビジネスマナーの基本ですが、筆者が一番最初にぶちあたった壁でもありました。 働き始めた当初、私にはそもそも報告や連絡、相談などをするという考え自体がありませんでした。しかし、当時の上司や先輩社員にとっては、仕事をする上で報連相をすることは当たり前であり「教えるまでもないこと」だったのです。 その結果、「ある程度進んでいるのなら、きちんと報告して欲しい」「分からないことがあるなら、相談するように」と言われるまで、一人でウンウンうなって何も仕事が進まない、進まない状況すら上司などに共有しないという状況になってしまいました。 さらに、「報連相をしなければいけない」と分かっても、どのように報告や連絡、相談をすれば良いかが分からないという問題が出てきました。 「実は、名刺を作っているんですけど、昨日営業部のAさんが、名刺作成依頼の申請を上げてきて、それで...」 と、思いつくまま話し始めると、 「で、いったい小鳥遊くんは何を言いたいの?」 と上司に怒られてしまう。それで心を折られて「すみません、出直してきます」と自席へ戻り、なかなか話すきっかけがつかめない。そんな場面がしょっちゅうありました。 対策 「喋りだしの一言テンプレート」を準備しておきましょう。 報連相をするためには、まずどう喋りだすかが重要です。いきなり本題に入るのではなく、「報告」なのか「連絡」なのか「相談」なのかを最初に明確にすれば、聞く方も聞きやすくなります。 「●●の件について、『報告』or『連絡』or『相談』なのですが、今よろしいでしょうか?」 こういった「喋りだしの一言テンプレート」を最初に言うだけで、相手の反応が違ってきます。仮に、それに続く内容があまり要領を得ないものであっても、「小鳥遊くんが今いっているのは、相談だったよな。であれば、話の内容から自分が何かしら返答する必要があるはず。まずはじっくり聞いてみよう」などと、相手側から歩み寄ってくれます。 私はこれで「何を言っているか分からない」と言われてすごすごと退散することはなくなり、安心して報連相ができるようになりました。 対策②雑談が苦手→共通の話題を選ぶ&避けた方がよい話題もあり 筆者の体験談 誰も教えてくれないビジネスマナーの中に「適切な話題を選んで雑談する」というものがあります。 筆者はクラシック音楽が趣味なのですが、正直言って「誰でも知っている」という話題ではありません。しかし、会話の中でちょっとでもクラシックの話が出てくると「これは自分の出番!」とばかりに、その話に熱中して話し続けてしまっていたのです。 会話をしていた相手にとっては、あまりよく知らない話題について延々と話されて、さぞ閉口したことと思います。 対策 雑談は、共通する話題を選び、タブーの話題を控えましょう。 雑談の目的の一つは、相手との共通点を見いだし、距離を縮めて関係性を良くするところにあります。したがって、自分が好きな話題を繰り出して一方的に話すのではなく、多少興味は薄くてもお互いが分かる共通の話題をピックアップすることが大切です。 同時に、以下のような一般的にタブーとされている話題は控えましょう。個人の思想や信条にダイレクトに関わることであったり、あまり人に言いたくない話であったりする可能性が高いからです。 政治 宗教 収入 学歴 家庭や家族の問題 対策③暗黙のルールが理解できない→自分の考えをいったん脇に置く 筆者の体験談 ある日、私は直属の上司である副部長から指示を受けて仕事をしていました。それを見ていた係長が猛然と「そんなことを今していてはダメだ!もっと他にやるべきことがあるだろう!」と筆者に指導をしはじめました。 当然、係長よりも副部長の方が上なので、「いや、でも副部長の指示なので...」と答えたところ、「上の人が言うからといって、そのまま鵜呑みにしてはダメだ!」となお一層怒られてしまいました。 後で先輩社員がこっそり教えてくれたのですが、その係長は、会社が何度もお願いをして社員になってもらったので、職位は係長でも発言力はとても大きい例外的な方だったのです。「いや、副部長が...」と返答したことは、そういった事情から考えると、取ってはいけない行動だったのでしょう。 対策 あれ?と思ったら、自分の考えをいったん脇に置きましょう。 副部長の指示に係長が反対の意見を言ってくる時点で「あれ?」と思うタイミングがあったはずです。そこで自分の考えを優先せず、周囲に「副部長からの指示とまったく逆のことを係長から言われて迷っているんですが...」と素直に聞いていれば、「ああ、それはね...」と内情を話してくれたかもしれません。 このように、一般的な常識とは異なる、その職場だけの「暗黙のルール」があることは珍しくありません。本を読んだり、過去の経験から学んだことが通用せず、「実際にその職場の人に聞いてみないと分からないこと」はどうしても存在するのです。 そのような場合、自分の中の「こうあるべき」はいったん脇に置き、周囲の人たちの行動を観察してその真似をしたり、以前に同様の仕事をした人に「どう進めたか」を聞いたりしてみましょう。そうすることで職場に溶け込んでいくことができます。 なぜビジネスマナーが必要なのか 仕事仲間とはいえ、良い関係を構築する「努力」が必要 どれだけ同じ場にいて一緒の時間を過ごしている「仲間」であっても、あくまで上司は上司、部下は部下、同僚は同僚です。一緒にいれば勝手に良い関係が構築されたり、いったん構築された良い関係が自動的に継続できたりするとは限りません。むしろ、意図的に「良好な人間関係」を築き、それを継続させるための努力が必要と言えます。 その努力を集約したものが、例えば、「雑談をして、ある程度お互いのことを知ってサポートし合う」や「報連相を適切にして余計な人間関係の摩擦をなくす」といったビジネスマナーなのです。 一般的には無意識に実践されているこの「ビジネスマナー」ですが、これを意識的に身に付けるようにすれば、職場での円滑なコミュニケーションに大いに寄与するのではないでしょうか。 努力するのと同時に、合理的配慮でより良い関係性を ただし、どれだけ職場で周囲とうまくやっていけるよう努力しても、自分一人では限界があるかもしれません。そのような場合には、会社と「合理的配慮」を相談することも検討しましょう。 例えば、報連相の喋り出しをテンプレート化しながら、仕事上のコミュニケーションをより円滑にするために「言葉になっていない意図は、汲み取ることが難しいので、できるだけ言葉や文章にして伝えてください」といった配慮を求めることができれば、より仕事がやりやすくなることでしょう。 ビジネスマナーを実践しながら、職場との合理的配慮を調整することで、より健康で安定的に働き続けることが可能になります。 しかし、自身の特性を過不足なく把握し、必要な合理的配慮を伝えられるようになるのには、また別の大変さがともないます。そんなときには、自分一人で悩むよりも専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 もちろん、今の時点でサービスを利用する目的をが決めていなくても大丈夫です。 「まだやりたいことが決まっていない、将来のビジョンが見えていない」「何を目的にサービス利用をすべきかイメージが湧かない」「自分に合っているか分からない」 …と悩んでいる方も安心してお問い合わせください。一人ひとりのご状況や困りごとをヒアリングしながら、ご提案をさせていてだきます。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 編集担当 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
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「自分に合った職場を選びたい」発達障害のある方が就職・転職時に求人検索をするときのチェックポイントを、当事者の体験談を交えてご紹介します。

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「転職しようと思っているけど、自分に合った職場をどうやって見つければいいんだろう」 誰にとっても、自分に合った職場を見つけるのは難しいもの。特に発達障害のある方の場合、仕事の経験やスキルだけでなく、自分の障害の特性も考慮して選ばないと、転職先で働きづらさを感じる原因となってしまいます。 実際に、筆者も転職の際に自分とは合わない職場を選んでしまったことで二次障害になり、1年もたたない間に離職することになってしまった経験があります。 そこで今回は、発達障害のある方が就職・転職活動で求人を検索する際に、調べておいた方がいいポイントをご紹介します。皆さんが自分にあった働きやすい職場を見つけるために、この記事がお役に立てれば幸いです。 [toc] 自分に合わない職場を選んでしまうとどうなる? もしも、自分に合わない職場を選んでしまったら、どのような困りごとが起こるのでしょうか。まずは失敗例として、筆者の体験談をご紹介します。 私は、注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)と自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受けています。失敗経験をしたのは、35歳で2度目の転職をしたときでした。 職場の環境が合わなかった 転職前はオフィスが比較的広く、デスクが一人ひとりパーテーションで区切られていました。黙々と作業するタイプの業務をおこなっている企業でしたので、職場は比較的静かで、電話が鳴ることもあまりありませんでした。 しかし、転職後は小さな会社だったので、一つの部屋で10名弱の社員全員が働いており、個人のスペースはほとんどありませんでした。誰かが話していれば耳に入りますし、電話もしょっちゅう鳴っていました。 私はADHDの特性から、周囲の様子がとても気になってしまい、自分の作業にうまく集中することができませんでした。 仕事の進め方が合わなかった 転職前の職場は人数が多く、チームで仕事を進めることが多かったため、困ったときにも相談しやすく、自分からヘルプを出さなくてもサポートを受けやすい環境でした。 しかし、転職後の職場は人数が少なく、個人で仕事を進めることが多かったため、誰かの協力が必要な場合には周囲に対して自分から積極的にコミュニケーションを取り、巻き込んでいく必要がありました。 私はASDの特性から、コミュニケーションを取ることが苦手だったため、周囲を巻き込めずに一人で問題を抱え込んでしまい、うまく仕事を進めることができませんでした。 社内制度(福利厚生)が合わなかった 転職前の職場は社員が50名以上でしたので、産業医を設置する義務があり、いつでも相談できました。また、従業員へ定期的なアンケートをおこなったり相談窓口が置かれたりしており、従業員の健康を管理する制度が整っていました。 しかし、転職後の職場は人数が少なかったため産業医の設置義務がなく、また、設立から数年の若い会社だったため、社内制度(福利厚生)がまだ十分に整備されていませんでした。 一概には言えませんが、一般的には会社規模が大きくなるほど社内制度(福利厚生)は手厚くなると言われています。そのため、小さな会社ではメンタルヘルスケアや障害者雇用に詳しい担当者がいないこともあるのです。 ※もちろん、会社規模が小さくても社内制度(福利厚生)が整っている会社もたくさんあります。 当時の上司は親身に相談に乗ってくれたのですが、特別に専門知識があるわけではありませんでした。私も、当時はまだ自分の障害について理解が浅かったため、合理的配慮の調整がうまくできず、お互いにとって負担だけが大きい状態に陥ってしまいました。結果的に、私は仕事を辞めることになってしまったのです。 自分に合った職場を選ぶ大切さ 就職・転職活動において、自分の持っているスキルや経験に合った職場を見つけることはもちろん大切です。それに加えて、発達障害のある方の場合は「自分の特性に合っているか」という観点がとても重要です。 筆者の場合、転職前も後も営業職で、同じ職種での転職でした。しかし、転職前はどうにか仕事ができていたのに、転職後に困りごとが表面化しました。つまり、同じ職種であったとしても、職場の環境が変わるだけで大きな影響があるのです。 自己分析を行って自分の特性を理解したうえで、どのような職場であれば自分に合うのかを考え、求人を検索することが大切です。 なお、発達障害のある方向けの自己分析や、企業研究については、以下の記事もご参照ください。 就活HACK|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 発達障害のある方向け「求人検索のポイント」 それでは、実際に求人を検索する際のポイントを4つご紹介します。 今回は、「実際に求人へ応募する前に、企業ホームページや求人サイトを見て情報を集める段階」を想定しています。 本当は、インターネットなどで情報を集めるだけでなく、面接や実習など「実際に企業の担当者と話せる場面」で聞いてみることも大切ですが、応募する前の段階では、実際に話を聞くことはなかなかできません。 ですが、インターネット上の情報でも、ポイントを押さえればある程度の見通しを立てることは可能です。 特に、“障害者雇用枠”ではなく“一般雇用枠”で働くことを希望する場合には、障害者雇用に関する情報が書かれていない可能性もありますので、いくつかの情報から総合的に考え、自分に合いそうな職場かどうかを判断するとよいでしょう。 1. 障害者雇用の実績がどれだけあるか まずは直接的に、障害者雇用の実績が公開されていないかを確認しましょう。大企業の場合は、CSRやSDGsの取り組みをPRするために、障害者雇用の実績やどのような取り組みをしているかを公開していることが多いです。 障害者の“採用人数”が多ければ、受け入れ体制が整っていると考えられます。“平均勤続年数”が長ければ、障害のある方にとっても働きやすい環境であると言えるでしょう。 また、従業員に対して“ダイバーシティ教育”を実施していれば、障害に対する周囲からの理解も得やすいだろうと予想できます。 なお、一般雇用枠ではなく障害者雇用枠での採用に応募する場合は、求人に以下の情報が書いてあるかどうかをチェックすると良いでしょう。 障害者雇用の過去の実績(採用人数、定着率、雇用者の障害種別など) 実際に提供している合理的配慮の事例 障害者の支援体制(専門部署や相談窓口の設置状況など) 発達障害(ADHD、ASD、SLD)の採用実績 2. 福利厚生が充実しているか 福利厚生が充実していれば、それだけ企業が社員を大切にしていると考えられます。以下のような制度があるかどうかを確認すると良いでしょう。 健康保険・厚生年金の加入(特に、有期雇用契約や短時間勤務の場合) 退職金制度の有無 健康診断のオプション(人間ドックなど)の実施、カウンセラーの設置 産休・育児休暇制度 フレックスタイム制度や時短勤務制度の有無 テレワーク・在宅勤務の実施 各種手当(通勤手当、住宅手当、家族手当など)の有無 慶弔見舞金制度の有無 特別休暇制度(生理休暇、リフレッシュ休暇など)の有無 食事に対する補助(社員食堂、食事手当など)の有無 スポーツクラブや習い事、自主学習への補助(資格取得支援制度など) 3. ハラスメント防止の取り組みがおこなわれているか ハラスメント防止の取り組みがある企業は、社員が働きやすい環境を整備しているという点で、発達障害のある方にとっても働きやすい職場だろうと予想できます。 ハラスメントを防ぐためには、社員に対して適切な教育や研修を行い、労働環境を整備することが必要です。また、被害者が安心して相談できるよう、相談窓口やホットラインなども設置しなければなりません。 これらの取り組みがある企業なら、実際に働いてから何か困りごとがあった場合にも相談しやすい環境であると言えるでしょう。 なお、法律では、障害者差別解消法や障害者雇用促進法などで、企業が障害のある方に対し「合理的配慮を提供すること」や「障害を理由に、仕事内容や昇格・昇給などの待遇面で不当な扱いをしないこと」を定めています。 ただ、すべての企業が、上記の法律にそった社内制度や相談体制を整備できているわけではなく、追いついていない企業も少なくありません。そういった面からも、「なにか困りごとがあったときに、対応してもらいやすいかどうか」は、チェックしておきたいポイントです。 4. 働き方改革に取り組んでいるか 近年、企業の「働き方改革」は大きな注目を集めています。働き方改革に熱心な企業であれば、従業員の“ワークライフバランス”を重視していると言えますので、発達障害のある方にとっても働きやすい職場である可能性が高いと考えられます。 例えば、“フレックスタイム”や“テレワーク”の制度があれば、時間や場所を柔軟に調整できることで、障害の特性にも対応しやすくなります。 “テレワーク”は、コロナ禍によって実施している会社は増えていますが、以下のような取り組みがあるかを確認することで、その企業が「どれだけ本気でテレワークを推進しているか」を予想することができます。 ノートPCやルーターなど、テレワークに必要な備品の貸与がある Google WorkspaceやSlack、Microsoft Teamsなど、場所を問わず業務がスムーズにおこなえるようクラウドサービスを活用している 在宅勤務時に、自宅の電気代やインターネット通信料への補助がある テレワーク時に、カフェやコワーキングスペースなどの利用への補助がある 会社がコワーキングスペースなどをレンタルして、「サテライト・オフィス」を用意している 自己分析を行って、自分に合った職場を選ぶことが大 発達障害のある方にとって働きやすい、自分に合った職場を選ぶためには、まず自分をよく知ることが大切です。 どのような業務が得意/不得意か どのような環境が働きやすい/働きづらいと感じるか 自分で対処(セルフケア)できる/周囲にサポートしてもらいたいことは、どのようなことか これらを理解できていれば、どんな職場を選べばよいかも少しずつ見えてきます。 しかし、障害の有無にかかわらず、客観的に自分を分析するのはとても難しいことです。 「考えれば考えるほど、頭がグルグルしてしまって答えにたどり着けない」 「一人だと途中で投げ出してしまう」 「結局、自分に合う働き方がよく分からない」 ……と悩んでしまう方も、少なくありません。そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 もちろん、今の時点でサービスを利用する目的をが決めていなくても大丈夫です。 「まだやりたいことが決まっていない、将来のビジョンが見えていない」「何を目的にサービス利用をすべきかイメージが湧かない」「自分に合っているか分からない」 …と悩んでいる方も安心してお問い合わせください。一人ひとりのご状況や困りごとをヒアリングしながら、ご提案をさせていてだきます。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害のある方の合理的配慮事例|職場コミュニケーション編

発達障害の特性により「職場でのコミュニケーションが苦手」という方に向け、実際に提供されている合理的配慮事項と自己対処法をセットで紹介します。

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合理的配慮とは、「障害による困りごとへの配慮を、企業や自治体、教育機関等の事業主(※)に求めることができる」という制度です(※以下、本文では「職場」と表記します)。合理的配慮について職場と調整をすることは、発達障害のある方が安定して長く働いていくために大切なポイントとなります。 では、具体的にどんな内容であれば、職場に合理的配慮を求めることができるでしょうか。 今回は、発達障害の特性がある方が抱えやすい「コミュニケーション」の苦手に対する配慮事例を紹介をします。 [toc] 相談前に押さえておこう〜合理的配慮の前提となる自己対処〜 「合理的」と付いているのには理由がある。 「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」などの法律では、障害のある方に対し職場は合理的配慮の提供をおこなうことを義務づけています。 ただし、「障害者が求めたことは、どんな内容でも配慮してもらえる」というわけではありません。 法律では、職場が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で」と定められています。職場の側に配慮を求めるだけでなく、障害者の側も「自分でおこなえる対処」を提示して、互いに無理のない範囲をすり合わせることが必要です。 これが、単に「配慮」ではなく「合理的配慮」と書かれている理由です。 「合理的であるかどうか」を判断するポイントは、「障害が原因となる困難さのうち自己対処では対応しきれないことであり、かつ職場側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲かどうか」ですので、しっかりと押さえておきましょう。 なお、合理的配慮については以下の記事で詳しく解説しています。実際に職場と合理的配慮の相談をする前に、ぜひご一読ください。 参考 合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介 合理的配慮のよくある質問集 困りごと・原因・自己対処の例・合理的配慮の例 合理的配慮の例を、職場で起こりやすいコミュニケーションの困りごと別に整理しました。実際に提供されている配慮事例とセットで、「原因はなにか」「自己対処として何ができるか」の例もまとめています。困りごとの原因は一人ひとりの特性によって異なるため、自己対処と合理的配慮の内容は「自分に合ったもの」にする必要があります。また、職場や職務内容によっては、以下の配慮の提供が難しいケースもあります。今回ご紹介するものは、あくまでも参考としてお読みください。 上司へ声掛けをするタイミングが分からず、報連相(報告・連絡・相談)ができない 原因の例 シングルレイヤー思考により、文脈や言外の意味理解が難しく、上司に話しかけてよいタイミングや場の空気が読めない 自己対処の例 「毎朝」「毎週月曜日」など頻度を定め、上司にメールで現在の状況を送る 日報を書いて上司に提出する 合理的配慮の例 「毎朝10分」「毎週1時間」など、頻度と時間を定めて、定時報告する時間を上司に予定してもらう 上司の方から定期的に状況を確認してもらう 曖昧な表現(なるべく早く、いい感じに、など)が理解できない 原因の例 ハイコントラスト知覚により、抽象的に表現された内容の要点を捉えることが難しく、具体的な数字や判断基準のない表現が受け入れにくくなる。など 自己対処の例 あいまいな指示を受けた際、そのまま引き受けてしまわずに「具体的な日時を決めてよいでしょうか?」「もう少し具体的に、どの程度の品質が必要でしょうか?」と確認をおこなう 合理的配慮の例 指示に具体的な期限や判断基準を入れてもらうようお願いする 締切の指示:×「なるべく早く」→ ○「△日の□時までに」 品質の指示:×「いい感じに」→ ○「社内検討用なので手書きのラフでOK」 話を聞きながらメモをとることが苦手 原因の例 シングルレイヤー特性により、聞いた内容を処理しながら、同時にメモを取ることが難しくなる。話の内容全体を把握しながら、要点を捉えることが苦手。など 自己対処の例 「ゆっくり話してもらう」「一つメモを取り終わったら、次の話をしてもらう」など、その場で相手にお願いする。 紙にペンでメモするだけでなく、「ボイスレコーダーを使う」などの方法も検討する 話の全部をメモしようとするのではなく、要点だけ(日付、人物、方法など)をキーワードでメモするようにする。電話であれば、電話メモのテンプレートを用意しておく 合理的配慮の例 メモが必要な口頭ではなく、なるべくメールやチャット等の文章で指示を出してもらうようにする 説明をするのが苦手 原因の例 衝動性(行動のブレーキの利かなさ)により、話そうとすることを整理する前に思いついたまま話し始めてしまう。頭の中だけで考えを整理することが苦手。など 自己対処の例 説明することをあらかじめ紙などに書き出し、5W1Hで整理してから話す。 その場で説明を始めず、少し待ってもらい、状況や考えを整理してから改めて説明する 口頭で説明せず、メールやチャット等、文章で回答する 合理的配慮の例 何か説明を求めるときには、口頭ではなくメールやチャット等で事前に依頼してもらうようにする 会議で説明を求めるときには、事前に通知して、考えを整理し準備する時間をもらうようにする 話を聞き続けるのが苦手 原因の例 衝動性(抑制の効かなさ)により、他のものに注意が向いてしまうと、そちらに意識を持っていかれてしまう。ワーキングメモリーの弱みにより、記憶にとどめておける情報量が少ないので、聞き続けると情報が処理しきれなくなる。など 自己対処の例 睡眠不足などにより集中力そのものが下がっていることがあるので、生活リズムを整える 話を聞くときにはPCの画面を消す・手元の資料を閉じるなど、他のものに注意が行かないよう工夫する 合理的配慮の例 一度に多すぎる情報を与えないよう、小出しにしてもらう。その上で、少し待ってメモや整理する時間をもらう 思ったことをそのまま口に出してしまう 原因の例 衝動性(行動のブレーキの効かなさ)により、思った瞬間には、すでに口に出てしまっている。(「口に出してはいけないな」と判断が終わる前に、すでに行動してしまっている)など 自己対処の例 思わず口に出してしまったことを、無理に取り繕おうとせず謝る。そのうえで、本来言おうとしていたことを言い直すように習慣づけする。 合理的配慮の例 話している際にパニックになっている様子が見受けられたら、「落ち着くための時間を設けてよい(5分休憩など)」旨を伝えてもらう 失言があったときには、その場で注意してもらうようにする(失言を謝る、言い直す習慣づけのため) 合理的配慮の相談をするための3ステップ ここまでご紹介してきたように、職場と合理的配慮を相談する際には、前提として「自己対処(セルフケア)として何ができるか」を考える必要があり、そのためには「原因は何か」を知っておく必要があります。 つまり、以下の3ステップで考えることが大切です。 ステップ1:自分の特性について知る ステップ2:自己対処として何ができるかを考える ステップ3:自分の特性と合った合理的配慮を探す(相談する) 発達障害の特性や、それによる困りごとは人それぞれです。「どのような特性があり、それに対してどのような対策が取れるのか」を知っておくことが、自分に合う対策方法や合理的配慮を見つけることへとつながるのです。 ただ、目の前の仕事や生活で困りごとを抱えている状態で、正しい知識を独学で身に付けることはたいへんです。 「自分の特性にあった自己対処は何をすればいいの?」「どのような形・タイミングで職場と相談すればいいの?」など、悩んでしまうことがあるかも知れません。 そんなときには、自分一人で抱え込まずに、専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【2023年最新】発達障害者が押さえておきたい「法改正」

発達障害当事者が押さえておきたい法改正のポイントを紹介します。今回は「障害者雇用率」と「就労選択支援」について分かりやすく説明します。

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近年、発達障害がある方を支援するための、国の制度が強化されているのをご存じでしょうか。 2023年1月、厚生労働省は「障害者雇用率」の引き上げをおこなう方針を発表しました。また、2024年4月1日から施行される法律(改正 障害者総合支援法)では、「就労選択支援」という制度が新たに盛り込まれる予定です。 これらの制度は、「だまっていても自動的に助けてくれる」というものではありません。障害者の側も「どのような支援を・どうすれば受けられるのか」を知り、自分に必要な支援が受けられるよう、適切な窓口に相談することが必要になってきます。 今回は「障害者雇用率」と「就労選択支援」の2つの制度について、当事者として押さえておきたいポイントを解説します。 [toc] ポイント① 障害者雇用率が引き上げられます 障害者雇用率制度とは? 障害者雇用率制度とは、「障害者が能力を発揮し、適性に応じて働くことができる社会を目指す」ことを目的として、事業主に一定の割合で障害者の雇用を義務づける制度です。障害者雇用促進法という法律で定められています。 企業や公的機関など、すべての事業主は、常時雇用する従業員のうち、一定の割合以上の障害者を雇用することが法律で義務付けられています。この「法律で義務づけられた、障害者を雇用しなければならない割合」のことを法定雇用率と言います。 法定雇用率を満たしていない企業等は、国に納付金を納めなければなりません(満たしている企業には、国から調整金を支給)。厚生労働省の発表[*1] によると、2022年12月時点での法定雇用率達成企業の割合は48.3%でした。半数以上の事業主が法律上の義務を達成できず、納付金を支払っているのが現状です。 納付金の支払いだけでなく、実雇用率(実際に雇用されている障害者の割合)が低い企業に対しては指導が行われ、改善が見られない場合には企業名が公表されるという罰則もあります。 制度についてのより詳しい内容は、以下のコラムもご参照ください。 参考:障害者雇用とは?オープン就労を目指す方に向け、基礎情報をまとめました。 実績の数字だけを見ると、日本における障害者雇用の推進はまだ道半ばです。ただ、近年は「CSR(企業の社会的責任)」や「SDGs」の観点から、障害者雇用に力を入れる企業が増えています。毎年9月には「障害者雇用月間」に合わせて民間メディアから「『障害者雇用率が高い会社』ランキング TOP100社」が発行[*2] されるなど、社会的な注目度も高まり続けています。 参考[*1] 令和4年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省[*2] 「障害者雇用率が高い会社」ランキングTOP100社 | CSR企業総覧 | 東洋経済オンライン どう変わるの? 法定雇用率は、事業主の区分によって割合が定められています。例えば、民間企業(従業員45.5人以上)の法定雇用率の割合は、2.7%(現在より0.4ポイントアップ)に、以下の2段階で引き上げられることが予定されています。 現在は2.3%→ 2024年4月から2.5%に引き上げ(現在より0.2ポイントアップ)→ さらに、2026年度中に2.7%に引き上げ(現在より0.4ポイントアップ) これまで、法定雇用率の引き上げが発表された際の上げ幅は0.1または0.2ポイントずつでしたしかし、今回は合計0.4ポイントが引き上げられることが発表されており、国の障害者雇用率に対する姿勢が、より積極的になっている様子がうかがえます。 さらに、今回は法定雇用率の引き上げと合わせて「障害者を積極的に雇用する事業主」への新たな支援も発表されました。支援の概要は以下のとおりです。 障害者を雇用するための助成金を設立 中小企業などには助成金を上乗せ 短い労働時間(週10〜20時間)で働く障害者も、法定雇用率の計算に含めて良い 詳しい内容は、厚生労働省が公開している以下の資料で確認できます。 参考:令和5年度からの障害者雇用率の設定等について 発達障害の当事者にどんな影響があるの? 法定雇用率の引き上げにより、事業主には「法定雇用率を満たすために、今よりも多くの障害者を雇用しよう」というモチベーションが生まれます。これにより、発達障害のある方にとっても働く機会が増えることが期待されます。障害者を雇用したい事業主が増えることで競争が生まれ、雇用条件(給与や福利厚生など)がより良くなる可能性もあります。 また、中小企業に対する新たな支援がつくられることで、これまでは大企業中心だった障害者雇用が、今後は中小企業でも広がっていくことが期待できます。 ポイント② 「就労選択支援」の制度が新しく作られます 就労選択支援とは? 就労選択支援とは、障害のある方が就職先や働き方についてより良い選択ができるよう、就労アセスメントの手法を活用して本人の希望・能力・適性などに合った「仕事の選択」を支援する新たな制度のことです。障害者総合支援法という法律に、2024年の4月から新たに盛り込まれる予定です。 補足:就労アセスメントとは? 就労アセスメントとは、働くために必要な能力や適性を客観的に評価し、本人の強みや課題を明らかにして、働くために必要な支援や配慮を整理することです。アセスメント(assessment)は「評価する」という意味です。 就労アセスメントは、これまでも就労系障害福祉サービス(就労移行支援、就労継続支援B型)の利用を始める際におこなわれていました。障害のある方が本人の希望や仕事の能力、適性に合った仕事をするためにとても大切なものですが、以下のような課題もありました。 障害のある方が必ずしも就労系障害福祉サービスを利用するとは限らず、アセスメントを受ける機会がないまま、就職・転職活動をしてしまう せっかくアセスメントをおこなったのに、実際の就職・転職活動で十分に活用されず、結局、自分の能力や適性に合った仕事を選べていないケースがある 参考:改訂版・就労移行支援事業所による就労アセスメント実施マニュアル(厚生労働省) 制度ができるとどうなるの? 障害のある方が、「就労系障害福祉サービスの利用」や「ハローワークでの就職・転職活動」をする前に、就労選択支援サービスを利用できるようになります。イメージとしては以下の図のとおりです。 画像引用元:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要(https://www.mhlw.go.jp/content/001000995.pdf)5ページ「2-① 就労アセスメントの手法を活用した支援の制度化等」より このサービスでは、支援者と障害者本人が共同で、以下のような内容を評価・整理します。 どのような職種で働きたいか どのような雇用条件を望むか 仕事に対して、どのような能力・適性があるか 実際に働き始めたあと、どのような合理的配慮*が必要か(*合理的配慮について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください) これらを評価・整理して作成された就労アセスメントは、就労系障害福祉サービスの利用を希望する際に活用され、自治体の審査の参考資料として扱われます。福祉サービスを利用せず就職を目指す場合にも、就労アセスメントの内容がハローワークへ連携され、職業指導などをおこなう際に活用されます。 このように、就労アセスメントを活用することで、障害のある方がより自分の能力・適性に合った仕事を選べる可能性が高まります。 なお、これまでは就労系障害福祉サービスを利用できるのは「現在働くことができていない人」だけでした。この制度の開始に合わせて、現在働いている人が、一時的に就労系障害福祉サービスを利用できるようになります。一時的に利用できるのは、以下のような場合です。 働き始めに、最初は短い時間から始め、少しずつ勤務時間を増やしていく場合 働いている人が休職し、そこから復職を目指す場合 詳しい内容は、厚生労働省が公開している以下の資料で確認できます。 参考:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要 発達障害の当事者にどんな影響があるの? 発達障害のある方にとっては、自分の能力・適性だけではなく、障害による特性に合った仕事を選びやすくなることが期待されます。 大人の発達障害がある方の場合、障害による特性が原因で離職・転職されているケースもあるため、以下のように悩んでしまうケースが少なくありません。 特性や適性に合う仕事が見つかるか不安 自分の強みややりたいことが分からない 就職先にどんな「合理的配慮」を依頼すべきか分からない 皆さんの中には、学生時代に就職活動で「自己分析」をした方もいらっしゃると思いますが、障害の有無にかかわらず客観的に自分を見つめ直して分析するのは難しいもの。就労選択支援のサービスが利用できれば、支援者の力を借り、一人でやるよりも客観的に自己分析=就労アセスメントをすることができます。 一人で悩まず、専門の機関に相談を この記事の冒頭でも述べたように、今回ご紹介した制度は、「だまっていても自動的に助けてくれる」というものではありません。障害者の側も「どのような支援を・どうすれば受けられるのか」を知っておく必要があります。 しかし、現に今、仕事や生活で生きづらさ・働きづらさを感じている方にとっては、制度を調べるだけでもとても大変なものです。自分一人で悩むよりも専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
ASDのある方に向いている仕事〜やりがいある仕事の探し方〜

ASD特性のある方に向けて「特性が活かせる職種」を「やりがいを持って、長く働ける仕事とは何か?」という観点で紹介します。向いている仕事選びのポイントを分かりやすく図解しました。

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「仕事がうまくいかなくて転職したいんだけど、良さそうな仕事が見つからなくて…」 自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受けた方や「自分はASDかもしれない」と感じている方の中には、そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。 書籍やインターネットの情報では「ASDのある方に向いている仕事」が紹介されていることがあります。しかし紹介されている仕事がいまいち魅力的に見えなかったり、「本当にできるかどうか心配だ」と感じたりしたことはないでしょうか。 今回は「ASDのある方が、充実した仕事人生を歩むためには、どんな仕事を選べばいいのか」について解説します。これから就職や転職を考えている方の参考としてご覧ください。 なお「ADHDのある方に向いている仕事」の解説は、以下の記事をご参照ください。 ADHDのある方に向いている仕事〜実践的な仕事の選び方〜 [toc] ASDの特性とは 向いている仕事を分析するために、まずはASDの特性が、実際の生活にどのように影響するのかを確認しておきましょう。 ASDとは、対人関係やコミュニケーションの難しさ、強いこだわりや興味の偏りなどを特徴とする障害であり、脳の特性として次の3つがあると言われています。 シングルフォーカス特性 : 一度に注意を向けられる範囲が狭くなる。興味関心の幅が狭くなりがち。 ハイコントラスト知覚 : 物事を「白か黒か」「全か無か」など極端な捉え方をしがち。曖昧な捉え方や、さまざまな物事を「微調整」することが難しくなる。 シングルレイヤー思考 : 一度に一つの情報しか処理しにくい。複雑な状況の理解が難しく、明記されていないルールを自然と読み取ったり、物事の「裏」を察したり、といったことが苦手になる。優先順位がつけにくくなる。 (引用元:自閉症スペクトラム障害(ASD)|大人の発達障害とは) ASDの特性による苦手 このようなASDの特性により、仕事をする上では以下のような「苦手」が見られることがあります。 場の雰囲気を読むことが苦手 あいまいな表現を理解できない こだわりが強く、融通がきかない 想定外のことに対処することが苦手 フローやルールが変更されると混乱する 複数の作業を同時並行でおこなうことが難しい これらの苦手があることから、ASDのある方は「人とのコミュニケーションに困難さを感じる」というケースが多くなります。 私たちの仕事や日常生活において、人とのコミュニケーションをなくすことは現実的にはなかなかできません。「特性による苦手なことが分かっているのに、生活する上で避けて通ることが難しい」というところに、ASDの特性による困難さの特徴が表れています。 ASDの特性による強み 一方で、ASDの脳の特性が仕事における強みとなって発揮されることもあります。 例えばイタリアの芸術家であるレオナルド・ダ・ヴィンチ。一説によると彼もまたASDだったそうですが、特定のものごとに異常に執着したり、没頭したりするような人物だったと言われています。彼が興味を抱き没頭する領域は芸術にとどまらず、医学・建築・天文などさまざまな分野へと向けられました。それが芸術にも生かされ、後世に残るさまざまな作品を生み出すことへとつながりました。 このように、ASDの脳の特性が長所となって、 正しい手順やルールを守ることができる 細かな違いやミスに気づくことができる 興味関心のあることに没頭できる 論理的な思考を持っている 独創性や発想力がある …といった強みへとつながるケースもあるのです。では、このような強みを活かせる職種とは、いったいどういうものなのでしょうか。   ASDの特性が活かせる職種 「ASDに向いている職種」を探す難しさ 書籍やインターネット上の情報で「ASDに向いている」と紹介されている職種を見て、皆さんはこんなイメージを持たれることはないでしょうか。 マニュアルがあり、正しい手順やルールに従って作業する事務系や作業系の職種は、ASDに向いている お客様に合わせて臨機応変にコミュニケーションをし、その場で柔軟な対応が求められる営業系や販売系の職種は、ASDに向いていない これらのイメージを図にしてみると、このようになります。 しかし実際にその職種について調べてみると、会社の状況によって中身はかなり違います。例えば、ASDに向いている職種として挙げられることの多い事務職であっても、「業務がキッチリ分業されており、マニュアルも整備されている会社の事務職」と「一人で何役もこなさねばならず、マニュアルも整備されていない会社の事務職」では、まったく違うものになります。 自分が担当する業務の種類によっても状況は変わります。こちらも、ASDに向いている職種として挙げられることの多い財務・経理職を例に見てみましょう。 自分の担当が「会計ソフトへの記帳業務」だけであれば、マニュアルに従い周囲とあまりコミュニケーションを取らずとも行えるかもしれません。 しかし担当が「請求書の処理業務」や「経費の精算業務」などに広がっていった場合、書類の内容について社内外とやり取りしながら、状況に応じて処理を進めなければならないものも出てきます。 具体的に「経費の精算業務」について見てみましょう。この業務は社員から提出された書類(領収書、請求書など)を処理するものです。 一見すると「提出された書類を処理する」のであれば、問題なくマニュアル通りに進めることができそうに思えます。しかし現実には、期日が決まっているのになかなか書類を出してくれなかったり、期日を過ぎてから頼み込んで提出してきたりするようなケースもあります。 たとえ自分はルールを守っていたとしても、人が集まって仕事をする中では、ときに相手に合わせてつじつまを合わせなければならない—こうしたこともコミュニケーションの一種ではあり、ストレスだと感じてしまう場合があるのです。 長く仕事を続けていくなかでは、マニュアルがあったとしても必ずしもその通りには進まず、周囲とコミュニケーションを取りながら業務を進めねばならないケースも出てくるのです。 つまり同じ職種であっても、会社の状況や担当業務によって、業務の定型・非定型や、必要なコミュニケーションの量が変化してしまうということです。これがASDの特性を活かせる職種を探すときの難しさへとつながっています。 最初は定型的で自分一人で完結できる仕事の担当だったとしても、慣れてくれば少しずつ担当範囲が増えますし、誰かとコミュニケーションを取りながら状況に応じて対応しなければならない仕事も任されるようになります。 先ほども書いたように、私たちの仕事や日常生活において、人とのコミュニケーションをなくすことは現実的にはなかなかできません。「長く働く」「やりがいをもって働く」ためには、人とのコミュニケーションに対する困難さに、なにか対策をする必要があるのです。 「才能で突き抜ける」ことは現実的に可能? もしかしたら、先ほどご紹介したレオナルド・ダ・ヴィンチのように、ASDの特性を活かして「興味関心があり自分が没頭できる分野で圧倒的に突き抜ける」というのも、一つの方法かもしれません。 スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんの事例を見てみましょう。グレタさんは自身がASDであることを公表して活動していますが、当時16歳だった彼女がはじめた活動は、世界的なムーブメントを巻き起こし、最終的にノーベル平和賞にノミネートされるまでに至りました。(参照元:「アスペルガーは才能」ノーベル平和賞にノミネートされた発達障害の少女が投げかける。障がいとは何かを | ハフポスト WORLD) 彼女やレオナルド・ダ・ヴィンチのように、ASDの特性を活かし圧倒的に突き抜けた「何か」をもった人であれば、周囲から一目置かれる存在になれるのかもしれません。 しかし私たちの日常生活においては、それはなかなか難しいのではないでしょうか。 すでに自分の才能や技能がはっきり分かっていればいいのですが、現実には「それが見つかっていない」という方も多いのではないかと思います。仮に見つかっていたとしても、安定的にお金を稼いで生計を立てられるかどうか(=持っている才能や技能がお金を稼ぎやすいものかどうか)という課題もあります。 実際、グレタさんが行っている活動がどれだけ社会的意義のあるものだったとしても、それがお金を稼げる「仕事」になるかどうかは別問題です。彼女は「ASDであることは才能であり、スーパーパワーを与えてくれる」と述べており、それはとてもすばらしい考え方です。しかし現実的には、私たちはまず目の前の日々の生活を営んでいかねばなりません。 現代の日本において、現実的に生計を立てつつASDの才能を活かすためには、どのような仕事を探せばいいのでしょうか。 ASDのある方が長く、やりがいをもって働ける可能性がある職種3選 まだ見つからない何らかの才能が隠れているのだとしても、現実にはまず安定的に働いてお金を稼ぐことからはじめる必要があります。 そこで、定型的・コミュニケーションが少ない仕事から始められて、徐々に専門性で突き抜けられそうな職種を3つピックアップしました。もちろん、「今回ピックアップした3つの職種以外は、ASDのある方には向いていない」というわけではありません。あくまで就職や転職活動をおこなう際の、一つの参考例として、ご覧ください。 1. 財務・経理 企業活動におけるお金の流れを、正確かつ厳密に管理しなければならない財務・経理の仕事は、ASDの「正しい手順やルールを守ることができる」「細かな違いやミスに気づくことができる」という特性を活かして活躍できる可能性があります。 仕訳業務のように「細かな明細や数字を黙々と処理する」ような業務もあれば、会計データをもとに企業の経営分析をおこなうような業務もあり、自分に合わせてチャレンジの幅を広げていきやすい職種です。 また会計と合わせてITの知識を身に付けることで、より高度な分析をしたり、バックオフィス業務の全体を効率化したりするような業務の広げ方も考えられます。 資格も難易度が低いものから高いものまで幅広くチャレンジできます。例えば「簿記」であれば、3級は自学でも比較的取得がしやすい一方で、2級・1級は専門性が高く、ステップアップしてチャレンジするのにやりがいがある資格です。 他にも「給与計算検定」「ビジネス会計検定」といった民間資格もあります。そして、取得は困難ではありますが、会計系の最上位の資格として「税理士」や「会計士」などの国家資格もあります。 日々の業務ではExcelやWordなどのオフィス系ソフトを使う機会も多いため、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)のようなIT系の資格も相性が良いでしょう。Excelのスキルを高めていけば関数やマクロを使って業務を効率化できますし、汎用性が高いので幅広い仕事で応用できるスキルにもなります。 財務・経理の仕事はどの企業にも必要なものですので、大企業から中小企業、税理士事務所まで、幅広く求人があります。ただし中小企業や税理士事務所の場合、会計業務以外にもさまざまな事務作業を担当しているケースが多く、臨機応変な対応が求められる傾向があるため注意が必要です。 「マニュアルがしっかり整備されている」「分業がはっきりしていて担当が明確である」という点で、大企業や特例子会社への就職を目指す方が良いでしょう。 2. Webデザイナー 「細かな違いやミスに気づくことができる」「興味関心のあることに没頭できる」「独創性や発想力がある」というASDの特性を活かして活躍できる可能性があるのが、Webデザイナーです。 「Webデザイナー」と一口に言っても、以下のようにさまざまな業務があります。 お客様との調整や全体の進行管理をおこなう「ディレクション」 導線やコンテンツの配置など、サイト全体のデザインを設計する「UI/UXデザイン」 サイトに掲載する文章を制作する「ライティング」 画像やイラストを制作する「デザイン」 HTMLやCSSなどの言語を使い設計図に従って実際にサイトを組んでいく「コーディング」 上記のうち「コーディング」の業務は、細かな部分までミスなく処理することが必要なためASDの特性を活かせる可能性があり、また、専門学校などでHTMLやCSSといった言語を学べば未経験者でも比較的チャレンジがしやすい業務です。またデザインが得意な方であれば、「独創性や発想力がある」という特性を活かして、クリエイティブに特化した道という選択肢もあるでしょう。 コーディングを専門に担当する職種として「コーダー」を募集している求人もありますので、コーダーからはじめ、自分に合わせて徐々にチャレンジする領域を広げていくこともできるでしょう。 Webデザイナーの求人は、大きく分けて「事業会社」のものと「制作会社」のものとがあります。 事業会社のWebデザイナー:自分の会社のWebサイトを制作・保守する Web制作会社のWebデザイナー:お客様の会社のWebサイトを制作・保守する 「Webサイトを制作・保守する」という点はどちらも同じですが、Web制作会社の場合は社外のお客様あっての仕事ですので、仕様やスケジュールなどがお客様都合で変更になることもあります。その点は注意して選びましょう。 「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はWebデザインを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付けたり、就職先を探したりする方法もあります。 就労移行支援事業所については、以下の記事もご参照ください。 就労移行支援事業所とは?対象者・料金・サービス内容をまとめました。 就労移行支援事業所のよくある質問集 3. ITエンジニア Webデザイナーと同じく「細かな違いやミスに気づくことができる」「興味関心のあることに没頭できる」「論理的な思考を持っている」というASDの特性を活かして活躍できる可能性があるのが、ITエンジニアです。 基本的にはプログラミング言語の専門的な知識が必要であり、未経験からチャレンジすることは難しいですが、近年はITエンジニア人材の需要は非常に高まっており、基礎的なスキルが習得できていれば実務経験が少なくてもOKという求人もあります。 先ほどご紹介した「2. Webデザイナー」と同じく、「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はプログラミングを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付ける方法もあります。 ITエンジニアのなかには、ソフトウェアの動作テストを専門におこなう「テスター」や、プログラムの不具合を発見・修正を専門におこなう「デバッガー」という職種もあります。これらの職種では、ASDの「細かな違いやミスに気づくことができる」という特性が活かせる可能性も高まります。 またITエンジニアの中でも「(SE寄りの)要件定義など仕様を考える仕事」では、「何を・どうすれば・どのようなことができ・解決に至れるのか」をロジカルに考えることが求められるため、「論理的な思考を持っている」という特性を活かすことができるでしょう。 特定の分野で高度専門的な知識を身に付ければ、高い収入が期待できるのもエンジニアの特徴です。専門学校などで基礎知識を身に付けた上で、まずは「テスター」「デバッガー」からはじめ、徐々に専門領域へとチャレンジを広げていく、というキャリアステップが考えられるでしょう。 就職先としては、大企業の特例子会社など障害者雇用でテスター/デバッガーを積極的に募集している企業もあります。特例子会社については、以下の記事もご参照ください。 特例子会社とは?就職先としてのメリット・デメリットを紹介! ASDのある方が「働きやすい」条件とは ここまで解説した内容を整理すると、ASDのある方が働きやすい条件は下記のとおりです。 コミュニケーション力が求められない仕事(一人でできる仕事) 業務の手順やルールが明確な仕事 タスクが決まっており、臨機応変さや柔軟さを求められない仕事 自分が得意とすることができる仕事 これらをすべて満たすことができれば理想ですが、ここまでで述べたとおり、私たちの仕事や日常生活において人とのコミュニケーションをなくすことはなかなかできません。また長く仕事を続けていく間には「コミュニケーションを取りながら、状況に応じ対応しなければならない仕事」にもチャレンジする必要があるかもしれません。 定型的でコミュニケーションが少なくても済むような仕事からはじめ、生活を安定させつつスキルを積んでいき、自分の興味関心や仕事環境に応じてチャレンジの幅を広げていくのが良いのではないでしょうか。 セルフケアも大切に どんな仕事でも、自分に合った職種や仕事環境を探すのと併せて特性に対するセルフケアをおこなうことが欠かせません。ASDの特性に対するセルフケアのヒントを過去の記事でご紹介していますので、こちらもぜひご参考ください。 「通勤疲れ」は感覚過敏に工夫を!ASD の脳の特性による困りごと:疲れやすい コミュニケーションが苦手だとSNS依存になりやすい!?上手く付き合うためのHACK! 「自分らしく働く」を実現しませんか? 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
ADHDのある方に向いている仕事〜実践的な仕事の選び方〜

ADHD特性のある方に向けて「特性が活かせる職種」を難易度ごとに紹介します。向いているポイントだけでなく、実際に目指せるのか?どうすればなれるのか?を分かりやすくまとめました。

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  • #特例子会社
  • #就労移行支援事業所
  • #障害者雇用
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
「仕事がうまくいかなくて辞めたい…」「他にもっと、向いている仕事があるんじゃないか…」 注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)の診断を受けた方や「自分はADHDかもしれない」と感じている方の中には、もっと働きやすい仕事への転職を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。 デザイナーやエンジニア、ジャーナリストなど、書籍やインターネットの情報では「ADHDのある方に向いている仕事」が紹介されていることがあります。しかし気をつけねばならないのは、これらの職業はあくまで「ADHDの特性が活かせる可能性がある」というだけで、「ADHDの特性があれば必ずこれらの職業になれる、というわけではない」という点です。 そこで今回は、ADHDのある方に向いている職業をご紹介したうえで、「それらの職業に就くには、実際にどのようにすれば良いのか」「現実的になれる可能性がどれくらいあるのか」を解説します。これから就職や転職を考えている方の参考としてご覧ください。 [toc] ADHDの特性とは 向いている仕事を分析するために、まずはADHDの特性が、実際の生活にどのように影響するのかを確認しておきましょう。 ADHDとは、不注意や多動、衝動性などを主な特徴とする障害であり、脳の特性として大きく2つに分けられます。 一つ目は「行動や思考を制御する機能の低下」です。行動や思考のブレーキが効きにくくなっている状態とも言えます。この特性と、その人が持つ本来の個性が掛け合わさることで、個々の症状が表れます。例えば「活発な人」の場合は衝動性が表れ、「好奇心が強い人」の場合は過集中が表れる、といった具合です。 二つ目は「ワーキングメモリーの弱み」です。脳の一時的な記憶の置き場であり、作業場でもあるワーキングメモリーの機能低下により、臨機応変な対応が難しくなったり、不注意が起こりやすくなったりします。 一つ目の「行動や思考を制御する機能の低下」の特性は、場合によっては長所にもなり得ます。例えば、衝動性がプラスに働きスピーディーな判断や行動につながる、過集中がプラスに働き興味関心があることに没頭できる、といった仕事における強みが生まれるケースも少なくありません。 一方で、二つ目の「ワーキングメモリーの弱み」の特性は、残念ながら実生活において長所になることがほとんどなく、大半が困りごととして表れてきます。 「ADHDの特性を活かした職業がある」とは言っても、大前提として特性に対する対策(セルフケア)をセットでおこなうことが必要不可欠であることに注意が必要です。 ADHDの特性による苦手 では、ADHDの特性によって苦手なこと(困りごと)に対して、具体的にどのような対策(セルフケア)をおこなえば良いのかを見ていきましょう。代表的な困りごととして以下のようなものが挙げられます。 ケアレスミスが多い 忘れ物、失くし物が多い マルチタスク(複数の作業を同時進行すること)ができない 集中力が続かない 物事を先延ばしにしてしまいがちで、納期を守れない 物事の優先順位をつけられない 思いついたことをすぐに発言したり行動したりする 例えば「ケアレスミスが多い」という困りごとの場合、原因はワーキングメモリーの弱みにより、「一つのことを忘れないようにしながら他の作業をすることが難しい」という部分にあります。対策としては、 覚えていなければいけないことを頭の中だけで頑張って覚えておくのではなく、メモ帳やスマホのスケジュール機能、アラーム機能などを活用して、頭の外に記録しておく 周囲の同僚や上司に、何かの作業中に指示を追加しないよう配慮をお願いする …といったことが有効です。上記以外の困りごとについても、以下のページで原因と対策をまとめていますのでご参照ください。 注意欠如・多動性障害(ADHD)|大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア ADHDの特性による強み 先ほどもご紹介したとおり、ADHDの「行動や思考を制御する機能の低下」という脳の特性が、以下のような強みとして表れるケースもあります。 フットワークが軽く、行動力がある スピーディーな判断ができる 自分の意志を貫くことができる 好奇心の幅が広い 興味関心があることに没頭できる 例えば、「フットワークが軽く、行動力がある」のであれば、その強みを活かして営業職などのフィールドワーク(社外に出て現場で働くこと)が向いていそうです。「スピーディーな判断ができる」「自分の意志を貫くことができる」ことは、会社や事業を運営する上で重要なスキルですので、経営者に向いていると言えるかもしれません。 しかし「特性が営業職や経営者として向いている」ということと、「実際に営業職や経営者になれるかどうか」は別の問題です。特性が活かせる職業に実際に就くためには、どのようにすれば良いのでしょうか。   ADHDの特性が活かせる職種 書籍やインターネット上の情報で「ADHDに向いている」と紹介されていることが多い職種を、難易度別に整理しました。「その職種を目指すためにどうすれば良いのか」も併せて解説します。 ※ここで言う「難易度」は、「ADHDに向いている」と言われる職業のなかでの、未経験からの転職のしやすさ」を表しています。「難易度が低いから仕事内容も簡単」というわけではありませんので、ご注意ください。 1. 難易度:低 (未経験からでもなれる可能性がある職業) 1-1. 営業職 ADHDの「フットワークが軽く、行動力がある」という特性を活かして活躍できる可能性があるのが営業職です。 営業の仕事には行動力が欠かせません。1件でも、1人でも多くのお客様と商談し、お客様のご要望を聞き商品の良さを知っていただくことが成果へとつながります。もちろん、ただ闇雲に行動するのでなく考えることも必要ですが、多くの場合営業の成果は行動した量と比例しますので、積極的に行動すればするほど成果が出しやすい職種だと言えるでしょう。 また、ADHDの「好奇心の幅が広い」という特性を活かしてお客様のニーズや最新の情報をリサーチすることで、営業の仕事に活かすこともできます。 営業職では「計画を立て、スケジュール通りに行動する」「約束を守る」「電話や対面でコミュニケーションをとる」ことが求められることが多いため、これらに問題がない、または、対策がしっかりできているのであれば、職業として向いている可能性が高まると言えるでしょう。 営業職を目指すのであれば、未経験可の求人も比較的多いので、実際に求人を検索しどのような経験やスキルが求められているのかを調べてみるのが近道です。 同じ営業職であっても、保険会社やカーディーラーのように「個人にモノ・サービスを売る場合」と、メーカーや商社のように「企業(法人)にモノ・サービスを売る場合」とでは、仕事内容や必要なスキルはかなり異なります。 また、扱っているモノ・サービスによっても、「日用品や食品のように価格が安いものを売る場合」と、「医療機器や大型の産業機械のように価格が高いものを売る場合」とでは、やはり大きな違いがあります。 例えば「より多くの人とコミュニケーションを取りたい」という方は個人向け営業を選ぶ、「より深い関係性を築きたい」という方は法人向け営業を選ぶ、というように性格や適性に応じた選び方もあります。 求人に書かれている具体的な仕事内容を見て、自分にはどのような営業の仕事をしたいのか、どのようなタイプなら自分に向いていそうかを検討しましょう。求人の研究や志望企業の探し方については、以下の記事もご参照ください。 【大人の発達障害の就活HACK】志望企業の探し方 〜①基本編〜|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 1-2. Webデザイナー ADHDの「興味関心があることに没頭できる」「好奇心の幅が広い」という特性を活かして、活躍できる可能性があるのがWebデザイナーです。 Webデザイナーの仕事とは、簡単に言うと「Webサイトの制作」です。Webの技術は日々進化していくので、興味関心や好奇心を持って新しい技術や知識を広く身につけることが欠かせません。また、Webサイトを作るときには「細かく正確な作業をする」「集中力を持続させる」ことが求められます。これらの要素と自分の特性がマッチすれば、活躍がしやすい職種だと言えるでしょう。 Webデザイナーを目指す際に注意したいのが、その役割です。Webサイトの制作では、以下のような役割があります。 お客様との調整や全体の進行管理をおこなう「ディレクション」 導線やコンテンツの配置など、サイト全体のデザインを設計する「UI/UXデザイン」 サイトに掲載する文章を制作する「ライティング」 画像やイラストを制作する「デザイン」 HTMLやCSSなどの言語を使い設計図に従って実際にサイトを組んでいく「コーディング」 Webデザイナーはその名前から「デザイン関係の仕事をしている」と思われがちですが、実際には上記のうち「コーディング」の担当を指している求人が多いです。 ただ、実際の現場ではWebデザイナーが複数の役割を兼任していることも多く、「コーディングから始めて他の役割へ仕事を拡げていく」ということはやりやすい職業です。多様な業務にチャレンジする機会が多いため、「飽きっぽい」特性がある方には向いている職種と言えるのではないでしょうか。将来的に自分がどんなWebデザイナーを目指したいのか、考えておくと良いでしょう。 Webデザイナーは、プログラミングスキル、もしくはIllustrator・Photoshopなどを用いたデザインスキルが必要となるため、実務は未経験可だったとしても基礎的な知識やスキルは求められることが多く、、事前に知識やスキルを身に付けた上での就職・転職活動が基本となります。 ただ、Webデザインを学べる専門学校は数多くあり、自宅からオンラインで学べるものもありますので、他の「専門スキルが必要な職種」と比べると比較的、未経験からでもチャレンジしやすいと言えるでしょう。 また「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はWebデザインを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付ける方法もあります。 就労移行支援事業所については、以下の記事もご参照ください。 就労移行支援事業所とは?対象者・料金・サービス内容をまとめました。 就労移行支援事業所のよくある質問集 2. 難易度:中 (未経験からの転職には長期的な取り組みが必要な職業) 2-1. デザイナー、イラストレーター Webデザイナーと同様、ADHDの「興味関心があることに没頭できる」「好奇心の幅が広い」という特性を活かして、活躍できる可能性があるのがデザイナーやイラストレーターです。 デザイナーやイラストレーターは「自分の美的センスをもとに、独自の世界を創作する仕事」と思われがちです。たしかに、制作物には作者の個性が表れますが、実際のビジネスの現場では自分の感性だけで好き勝手に創作しているわけではなく、「自分の持っている技術を使って、お客様のご要望に沿ったデザインやイラストを制作する仕事」であることがほとんどです。 つまり、実際の仕事の場面では「自分のやりたいものではないデザインをする」「締め切りを守る」などのADHD特性に向かないことも生じるため、自分の特性とマッチするか注意が必要です。著名なアーティストともなれば、独自の世界観を創作することで生計を立てることができますが、そのような例は特別だと考えた方が良いでしょう。 転職の際には、「デザインの技法や、デザインツール(Illustrator・Photoshopなど)の操作方法をどれだけ習得しているか」「過去にどんな仕事に携わってきたのか」が重要な判断ポイントになるため、未経験でいきなり転職することは難しく、デザインの専門学校などで学んだ上で、何らかの実務経験を積む必要があります。 実務経験の積み方として、卒業時に専門学校側から紹介してもらう、クラウドソーシング(雇用契約を結ばずに、Web上などで案件の受発注をする仕組み)等で経験を積むなどのほか、「趣味でデザインを学んでいた方が、社内でデザイン作業を頼まれたところ評判になり、少しずつ任せてもらえるデザインの仕事が増えていった」といったようなケースもあります。 いずれにせよ簡単にチャンスをつかめるものではありませんが、デザインやイラスト制作へのニーズは幅広くあり、ビジネスのなかで重宝される役割であることは間違いありません。 2-2. ITエンジニア ITエンジニアも「ADHDの方が向いている」として挙げられることが多い職業です。難易度は「2-1. デザイナー、イラストレーター」とほぼ同じです。 エンジニアというと「PCの黒い画面に向かって黙々とコードを打っている仕事」と思われがちです。しかし実際のビジネスの現場では「自分の持っている技術を使って、お客様のご要望をどう解決するか」が重要であり、一説には「コードを打っているよりも、解決策を探すために調べ物やミーティングをしていることの方が多い」と言われることもあります。「お客様の要望に応える」「コミュニケーションが頻発する」「納期や約束を守る必要がある」などの場面が多くなる可能性があるため、ご自身に合うかどうかを見極める必要があります。 転職の際には、「プログラミング言語をどれだけ習得しているか」「過去にどんな仕事に携わってきたのか」が重要な判断ポイントとなるため、経験やスキルなしでいきなり転職することは難しく、プログラミングの専門学校などで学んだ上で、実務に活かせる経験経験を積む必要があります。 近年はエンジニア人材の需要は非常に高まっており、基礎的なスキルが習得できていれば実務経験が少なくてもOKという求人もあるため、未経験から転職するチャンスは「2-1. デザイナー、イラストレーター」よりは比較的多くあるでしょう。 また、先ほどご紹介した「1-2. Webデザイナー」と同じく、「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はプログラミングを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付ける方法もあります。 3. 難易度:高 (未経験からなる/生計を立てることが難しい職業) 3-1. ユーチューバー、ゲーマー 「小学生がなりたい職業」でいつも上位にランクインするユーチューバーやゲーマー。動画などのコンテンツは更新頻度が重要となるので「フットワークが軽く、行動力がある」という特性を活かしたり、自分が発信する分野の深い知識が求められるので「興味関心があることに没頭できる」「好奇心の幅が広い」という特性を活かしたりして、活躍できる可能性がある職業です。 実力があれば、組織に属さずに個人で働くこともできるため、「自由な働き方ができること」がメリットになる方もいらっしゃるでしょう。 しかし「なる」ことはできても「生計を立てる」ことがなかなか難しいのが、この職業の特徴でもあります。 例えばユーチューバーの場合、マーケティング会社がおこなったアンケート調査によれば、平均月収で10万円以上稼いでいる人は全体の1割程度しかおらず、もっとも割合が大きかったのは「平均月収5,000円〜1万円未満」との結果が出ています。 最近は「発達障害系ユーチューバー」として発信している方も多く、自分の意見や情報を世の中に届けるツールとしてYouTubeはとても便利ですが、それだけで生計を立てて行くことはなかなか難しいと言えるでしょう。 ゲーマーの場合、専業でプロとして活動している人は「有名大会で好成績を収め、プロチームからスカウトされたり、スポンサーが付いたりする」ことでお金を稼いでいます。近年「eスポーツ」という言葉が広がっていますが、その名の通り、プロスポーツの世界とほぼ同じ、完全なる実力社会です。 ユーチューバー、ゲーマーのいずれもなかなか厳しい世界ですが、自分自身が主役になるのではなく「動画を制作する側として携わる」という方法もあります。 プロのユーチューバーは動画の制作作業を外注したり、所属する事務所に任せたりするケースが多くあります。またユーチューバーに限らず、近年動画はビジネスの幅広いシーンでニーズが高まっています。(プロゲーマーの場合も、併せてユーチューバーとして活動していることが多いので、やはり動画制作の需要はあります。) 動画制作者を目指す場合、専門学校などでスキルを身に付けた後に転職するのが一般的です。エンジニアと同じく需要が大きいことから、基礎的なスキルが習得できていれば実務経験が少なくてもOKという求人もあるため、転職できるチャンスは比較的あるでしょう。 動画制作からスタートし、アニメーションやCG制作などのスキルを伸ばしていけば、クリエイターとして将来的なキャリアアップが目指せる職業です。 3-2. 研究職 ADHDの「自分の意志を貫くことができる」「好奇心の幅が広い」「興味関心があることに没頭できる」などの特性が活かせる可能性があるのが研究職です。 仕事の幅が限定されていることが多くマルチタスクを避けることができる可能性があることや、研究対象をとことん追求する必要があるため「行動力がある」「興味関心があることに没頭できる」ことが、ADHDの特性にマッチするケースがあります。 求められる行動力について、例えば「ジャングルの奥地に新薬になり得る薬草がある」という研究があったときに、翌日にでも現地に飛ぶ、といった具合です。他にも求められる要素として「細かく正確な作業」や「高い集中力を持続させること」などがあり、これらの適性があるかも、研究職の大事なポイントです。 研究職になるためには、一般的に大学や専門学校等で専門分野の知識を身に付けた後に就職し、研究開発や製造部門に配属される、というルートを通ります。学生時代に学んでいない場合は、専門的な資格が取れる大学や専門学校に通うなど学び直しが必要となるため、未経験からの転職の難易度は高いと言えるでしょう。 「学生時代に専門的な学習を積んだり、資格を取ったりしたが、今はまったく別の仕事に就いていて働きづらさを感じている」という場合には、転職先の一つとして検討の余地があるかもしれません。 3-3. 経営者 マイクロソフト社の創業者であるビル・ゲイツ氏や、アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズ氏など、有名な企業の経営者にはADHDであると言われる人が数多くいます。このような事例をもとに、ADHDの特性を活かせる職業として紹介されることがある経営者ですが、それ自体は「職業」と言うよりも、会社事業を運営する上での「役割」と言った方が正確です。 「自分の意志を貫くことができる」「好奇心の幅が広い」「スピーディーな判断ができる」というADHDの特性は、いずれも経営者としての強みになります。 しかし、この特性だけで経営者になれるわけではありません。事業を運営する上では、さまざまな情報を総合して戦略を練り、誰よりも多く試行錯誤を繰り返し、厳しい状況にも耐えて打ち勝つ精神力が必要です。「ADHDだから経営者になれる」ということではなく、「経営者となった人の中には、ADHDの特性が活かせているケースがある」と考えた方が良いでしょう。 ただ、経営者の仕事のやり方から学べることもあります。 経営者の場合、自分の苦手な業務を部下に任せたり、勤務時間や場所を自由に働いたりできるので、特性による困りごとが起こりづらい環境を整えやすいということが言えます。 つまり、職場の環境や周囲からのサポートの有無によって、働きやすさは大きく変わるということです。転職の際には「ADHDの特性を活かした職業を探す」だけではなく、働きやすい環境を見つけるということも併せて考えるようにしましょう。   ADHDのある方が「働きやすい」条件とは では、ADHDのある方が働きやすい条件とは何なのでしょうか。 1. 自分が苦手とする作業を他の誰かに頼れる環境 人は誰しも得意・不得意があるものですが、発達障害の場合はその凸凹が大きいことが特徴です。苦手なことを自分でやらずに済むようになれば、困りごとが起こる機会を減らせることにつながります。 例えば「先延ばしにしやすい傾向があり、納期を守れない」のであれば、別の人にスケジュール管理をやってもらう、「集中力が続かない」のであれば、細かく集中力を要する作業は別の人に担当してもらう、などです。 小さな規模の会社の場合、分業が明確にされておらず「全員がお互いに察しながら、何でもやらねばならない」という状況が多くなります。タスクやスケジュールの管理も個々人に委ねられていることがほとんどのため、よっぽど専門性が高い職業でない場合は、ADHDのある方には向いていない可能性があります。 その点、規模の大きな企業は業務の担当がきっちり別れており、障害者雇用専門の部署があるなど、社内理解やサポート体制が充実している傾向があります。 「苦手なことを誰かに都度お願いする」というよりも「自分が得意なこと以外はやらなくて良い」という環境に移ることができないか、転職の際には考えてみると良いでしょう。 2. 比較的自由な環境 「フレックス」や「裁量労働制」を取り入れている会社は勤務時間の自由度が高いので、自分の体調に合わせて仕事をしやすくなります。また正社員ではなくフリーランスとして業務委託で仕事をすれば、委託された業務以外のこと=苦手な業務はやらなくても済みます。 ADHDの特性として「先延ばしにしやすい傾向があり、納期を守れない」「物事の優先順位をつけられない」といったものがあるため、基本的には会社組織に属して、それらの苦手なことを誰かに管理してもらう方が良いケースが多いです。 一方でADHD特性を無理にコントロールされることにより、逆にストレスがかかってしまうというケースもあります。管理されすぎることが負担になる、困りごとへのセルフケアがしっかりとできている、という場合には、「比較的自由な環境」で働くことで、働きやすさを高めることができるかもしれません。 セルフケアで対処ができることも! 企業で働くにせよ、独立してフリーランスなどで働くにせよ、自分に合った職業を探すだけでなく特性に対するセルフケアをおこなうことが欠かせません。ADHDの特性に対するセルフケアを過去の記事でご紹介していますので、こちらもぜひご参考ください。 アプリ活用で物忘れを防止 アプリ活用で遅刻対策 スムーズな朝の準備で遅刻対策 メモ活用で記憶力対策 「自分らしく働く」を実現しませんか? 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害当事者がオープン就労/クローズ就労の両方で働いてみて分かったこと

発達障害当事者がオープン就労とクローズ就労のそれぞれで実際に働いてみて、どのようなことを感じたのか、実体験から得た学びをご紹介します。「障害をオープンにするかクローズにするか」で迷っている方のお悩みが解決するためのヒントとしてご覧ください。

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「仕事や人間関係がうまくいかず、悩んでいろいろと調べてみたら、どうやら原因は発達障害にあるらしい。病院を受診して発達障害の診断も受けた。では、その診断結果を会社に伝えるべきか——」 発達障害の診断を受けたことを会社に伝えるかどうかは、とても大きな問題です。 発達障害の特性が原因で、仕事や人間関係などに困りごとが現れている以上、何らかの形で支援してもらいたい・助けてもらいたいという気持ちは当然あります。 その一方で、「上司や同僚に理解されなかったらどうしよう」「待遇が下がったり辞めさせられたりすることはないだろうか」など、さまざまな不安も湧いてきます。筆者もまさに、発達障害の当事者としてこのような悩みを抱えていました。 30 代で自閉症スペクトラム障害(ASD)と注意欠如・多動性障害(ADHD)の診断を受けてから 5 年。その間に私はオープン(障害開示)就労とクローズ(障害非開示)就労の両方を経験しました。 今回の記事では、筆者がオープン就労とクローズ就労のそれぞれで実際に働いてみて、どのようなことを感じたのか、実体験から得た学びをご紹介します。「障害をオープンにするかクローズにするか」で迷っている方のお悩みが解決できるよう、何かのヒントとなれれば幸いです。 [toc] 1. オープン就労/クローズ就労の 3 つのパターン まず、オープン就労とクローズ就労のパターンを整理しておきましょう。「オープン就労=障害者雇用」「クローズ就労=一般雇用」と考えてしまいがちですが、実際には以下の 3 つのパターンがあります。 1-1. 障害者雇用枠で働く(オープン就労) 一般的にオープン就労としてイメージされることが多いのがこちらです。障害者雇用枠で働くためには当然ながら障害のことを会社に伝える必要があります。 ただし、会社側と相談のうえで「人事部門と直属の上司だけに伝える」というように、会社のなかで障害を開示する範囲を「業務の遂行や支援のために必要な範囲に限る」ことは可能です。 1-2. 一般雇用枠で障害を非開示にして働く(クローズ就労) 一般的にクローズ就労としてイメージされることが多いのがこちらです。発達障害があったとしても、「障害特性をセルフケア(自己対処)でカバーできている場合」や「障害特性による苦手や困難が、仕事をするうえで影響を及ぼさない、もしくは許容できる場合」には、障害を開示せず一般雇用で働いている方も数多くいらっしゃいます。 1-3. 一般雇用枠で障害を開示して働く(オープン就労) 一般雇用枠で障害を開示して働くことも可能です。障害者手帳の有無や雇用の形態を問わず、障害によって社会のなかで困難さを抱えている人であれば誰でも、会社に合理的配慮の提供を相談することができます。 「もともと一般雇用枠で働いていた人が、在職中に発達障害の診断を受け、障害者雇用枠に切り替えず一般雇用枠のまま合理的配慮を受けて働く」といったケースも多くあります。 *** 筆者は 3 つのパターンをすべて経験しましたので、この後の章ではそれぞれについて詳しく体験談をご紹介します。 なお、「障害者雇用/一般雇用」や「合理的配慮」については、過去のコラム記事で解説しています。この記事の最後にリンク集をまとめておりますので、詳しく知りたい方はそちらもぜひご参照ください。 2. オープン就労(一般雇用枠)で働いてみた 私が発達障害を疑って病院を受診し、診断を受けたのは、転職して 4 か月目のことでした。転職前の会社はマニュアルが整備されており、スケジュールや手順がキッチリと決まっている仕事が多かったため、苦手を感じつつもどうにか仕事になっていました。 ところが転職後の会社では、段取りをすべて自分で考えて仕事を進めなければならず、仕事がまったく回らなくなってしまったのです。仕事の優先順位やスケジュール、タスクの管理ができていないと上司からたびたび注意され、私は深く落ち込んでいました。 そんなとき、たまたまインターネットで見かけた記事に、発達障害のことが書かれていました。特性による困りごとが自分の状況にピタリと重なり、「もしかしたら……」と思って病院を受診したのです。 2-1. 良かった点 ①会社が相談に乗ってくれて、仕事を続けることができた 仕事で成果が出せていなかったこともあり、診断を受けたことを会社に伝え、そのまま退職するしかないと思っていました。しかし社長や当時の上司が親身に相談に乗ってくださり、「とりあえず働き続けながら、仕事内容を調整してみよう」ということになりました。 私は家族を養う立場でしたので、これは本当に幸運でした。もしそのまま退職していたら、きっと転職もままならず、家族の生活がどうなっていたか分かりません。 ②同じ会社のなかで新しい職種にチャレンジできた もし転職によって職種を変えようとしたら、30 代半ばという年齢的にも、未経験では到底再就職はできなかったでしょう。同じ会社で働き続けながら新しい職種にチャレンジできたのは、とてもありがたいことでした。 2-2. 反省点 ①職種を変えただけでは、うまくいくとは限らない 営業から Web 担当に職種を変えてもらったものの、未経験だったこともあり失敗続きで、なかなか成果を出すことができませんでした。 「こんなに配慮を受けているのに、それを裏切るようなことをしている」という後ろめたさがつのり、徐々に上司にも相談しづらくなって、結局 4 か月後に自分から退職を願い出ることになってしまいました。 「発達障害者は IT や Web 系の仕事が向いている」という話を見聞きしていたため、職種さえ変えれば何とかなるだろうと、私は心のどこかで淡い期待を抱いていました。 しかしどんな仕事でも、未経験であれば最初からうまく行くはずはありません。後から考えれば「そこで焦らずに会社ともじっくり相談して、長期的に取り組むべきだった」と思いました。 ②すべての会社が障害のある方のサポートに慣れているとは限らない よほどの大企業でもない限り、社内に障害者雇用の担当者や専門部署のある企業はほとんどありません。 今にして思えば、専門の部署や担当者がいない会社で配慮が受けられただけでもとても幸運だったのですが、当時の私はそれを理解できていませんでしたし、会社や上司と根気よくすり合わせを行うだけの知識も気力もありませんでした。 3. オープン就労(障害者雇用枠)で働いてみた 前職を退職して 1 か月後、「発達障害の診断を受けていることをオープンにする」ことを決めて転職活動に臨みました。その理由は、前職で仕事がうまく行かなかった経験からすっかり自信を失っており、「これまでと同じように(クローズ就労で)働くなどとてもできない」と思っていたからです。 ご縁があり、社会福祉事業を行っている企業に事務職のアルバイトとして採用いただき、障害者手帳が取得できた時点で障害者雇用枠へと切り替えました。 3-1. 良かった点 仕事でのストレスが大幅に軽減された 働く自信を無くしていた私にとって「障害があるのに雇っていただけた」ということ自体がとても大きな心の支えになりました。 会社自体が福祉事業をやっているため障害者に対する周囲の理解もあり、本当の自分を包み隠さなくても良いという安心感を得ることができて、仕事のストレスが大きく軽減されました。 3-2. 反省点 ①障害者雇用枠であっても、無条件に配慮を受けられるわけではない 企業が障害のある方に提供する「合理的配慮」とは、障害が原因となる困難さのうち、セルフケアをしても対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲のものとされています。 また法律では「障害者から何らかの助けを求める意思が伝えられた場合に、合理的配慮を提供する」と定められており、障害者の方から会社に対して申請が必要です。いくら障害者雇用されていると言っても、自動的にあれこれ配慮をしてもらえるわけではありません。 当時の私はこのこと理解できておらず、転職した当初は「障害者なんだから、配慮してもらって当然だろう」というような不遜な態度を取ってしまい、上司から注意を受けてしまったこともありました。(注意されたことがきっかけで気が付くことができたので、注意してくださった上司の方には今でもとても感謝しています。) ②障害を「自分の個性」と捉えることは、障害受容とは違った ある日、上司と面談をしていたときに、私はなんの悪気もなく「障害者ですが、一生懸命がんばります!」という言い方をしました。しかしそれを聞いた上司は私が思いもよらない言葉を返してきたのです。『厳しいことを言うが、キミは障害があることを「仕事ができない言い訳」にしているんじゃないか』と。 そんなつもりじゃないのに——最初はそう思いました。しかし後からじっくり振り返ってみると、確かに言い訳をしていたことに気が付きました。 私は発達障害だから、人より仕事ができなくても仕方がないんです。 発達障害だから、人より給料が稼げなくても仕方がないんです。 発達障害だから。発達障害だから…… 私はいつの間にか、何をするにも「発達障害だから」という言葉をくっつけ、そうではない人と比べてものごとを考えるようになっていたのです。 インターネットではよく「発達障害があるということも含めて、自分の個性だ」というように語られていることがあります。それはとても前向きな考え方ですし、私もそう考えることで新たな一歩を踏み出すことができました。「発達障害も自分の一部であり個性だ」と思うことが、障害受容なんだと思っていました。 しかしそれは、一歩間違えば「私は発達障害である」という枠に、自分を押し込めてしまうことになりかねません。 発達障害だから、仕事ができない人間でいなければならないのでしょうか? 発達障害だから、人並みの給料を稼いではいけないのでしょうか? 決して、そんなことはないはずです。 発達障害が「現代の日本社会」という環境において、多くの場合ハンディキャップとなることは残念ながら事実です。映画やドラマのように、発達障害と引き換えに何か特別な才能を得られるわけでもありません。 それでも生きていくしかないのであれば、自分で自分を不幸の枠に押し込めず、少しでも楽しく、充実した人生を歩む方法を探す方が、よっぽど大切ではないか ——「君は障害を言い訳にしているのではないか」という上司の言葉によって、私はそう思うようになったのです。 4. クローズ就労(一般雇用枠)で働いてみた 「君は障害を言い訳にしているのではないか」という上司の言葉がきっかけとなって、私は障害の有無にかかわらず、自分が価値を提供できる=お金を稼げる仕事とはなにかということを模索するようになりました。 このころから『私は性格上、発達障害のことをオープンにし過ぎると、また何でも「私は発達障害だから」という言い訳に使ってしまうかもしれない』と思うようになり、会社以外では発達障害のことを自分からオープンにしなくなっていました。 その後、ご縁があって再び転職することになりました。オープン就労かクローズ就労かで迷いましたが、前職で社会福祉事業に携わりながら障害特性の理解や対策について学んでいたこともあり、「自分でセルフケアしながら、一度クローズ就労にチャレンジしてみよう」と思い立ったのです。 4-1. 良かった点 価値が提供できれば、発達障害の有無は関係なく仕事をすることができる 私は前職で事務職のアルバイトとして働きながら、会社から副業の許可を得て、個人でライターとしても活動していました。そのご縁もあり、転職後はライター職で働いています。 職業柄、仕事の成果は「記事」という成果物で測られることになります。お客様にご満足いただける記事を書けていれば、書いているのが障害者かどうかはまったく関係がありません。人よりも人付き合いが苦手だったり忘れ物が多かったりしても、それで成果に悪影響がなければ問題にならないのです。 また、「記事」という成果物は比較的短い期間で作られますし形もハッキリとしているので、長期の見通しを立てて段取りよく取り組むことが苦手な私にとって、過去に経験した営業職や Web 担当職と比べると目標が立てやすく、自分の特性に合っていると感じました。 自分が価値を提供でき、自分の特性に合った環境の仕事を見つけることができれば、クローズ就労でもやっていけるのではないかと感じました。 4-2. 反省点 クローズ就労がうまくいくかどうかは、業界や職種、働き方など周囲の環境に大きな影響を受ける 発達障害の特性やそれによる困りごとは、人によってまったく違います。私のように「在宅勤務の方が向いている」という方もいれば、「毎日規則正しく通勤して、誰かと一緒に仕事をする方が向いている」という方もいらっしゃるでしょう。クローズ就労をする前に、どういう環境であれば自分の力が発揮できるのか特性をしっかり理解しておく必要があります。 また、自分の特性を理解できていたとしても、それに適した働き方が実現可能かどうかは、業界や職種に大きく影響されます。 「在宅勤務をしたい」と思っても、接客業で直接お客様の応対をする職種では、在宅勤務はどうしても難しくなります。また、在宅勤務が可能な業界・職種だったとしても、すべての会社が在宅勤務を許可しているわけではありません。 自分の特性と、自分が提供できる価値をふまえた上で、自分に合った働き方ができる環境を見つけ出さなければならないところに、クローズ就労の難しさを感じました。   5. 自分に合う仕事環境を、どのように見つければ良いのか? オープン就労で会社に合理的配慮を求めるにも、クローズ就労で自分に合った働き方や仕事環境を見つけるにも、自分の障害特性をよく理解し対処法を学んでおく必要があります。 そのうえで、自分が提供できる価値は何なのか、仕事を通じて自分は将来どうなりたいのかを考え、就職先を探さねばなりません。これを自分一人だけで行うのはとてもたいへんです。 そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職活動はものごとを段取りよく・計画的に進めて行く必要がありますが、発達障害の特性による「苦手」で上手く進まないという方もいらっしゃいます。 ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、就職活動の軸探しだけではなく、スケジュールを立てること、自己 PR(自分の強み・長所の発見)をすること、予定通りに行動をすることをサポートしています。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください。ご本人からだけではなく、「発達障害の疑いがある方が身近にいて、どのような対応をすればよいか分からない」と悩まれている方からのご相談も受け付けております。ご家族の方はもちろん、「職場に発達障害の疑いがある従業員がいる」という方も、ぜひ一度ご相談ください。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 6. 関連記事 本記事の「1. オープン就労/クローズ就労の 3 つのパターン」の章で触れた「障害者雇用/一般雇用」や「合理的配慮」については、過去のコラム記事で解説しています。詳しく知りたい方はぜひご参照ください。 6-1. 障害者雇用/一般雇用に関するコラム記事 障害者雇用と一般雇用とは?基本情報をまとめました。 支援の現場から見る 障害者雇用・一般雇用のメリットとデメリット 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集 【企業人事に聞いた】変わりつつある「障害者雇用」への考え方 障害者雇用とは?オープン就労を目指す方に向け、基礎情報をまとめました。|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 6-2. 合理的配慮に関するコラム記事 合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介 発達障害のある方の「合理的配慮」事例集 合理的配慮のよくある質問集 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【大人の発達障害の就活HACK】「求める人物像」をチェックしよう

「求める人物像」をチェックすることで、就職後のミスマッチを防ぎ、長く働くことができる可能性が高まります。 今回の記事では、「求める人物像」に書かれている内容の読み解き方について解説します。

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求人に応募しようとするとき、「この会社は本当に自分に合っているのか?」「長く働き続けられる環境なのか?」と不安に感じたことはありませんか? 求人情報にはさまざまな応募条件が書かれていますが、自分に合った会社かどうかを見定めるために、ぜひチェックしておきたいのが「求める人物像」という項目です。 私たちが「自分に合う会社で働きたい」と思うのと同じで、企業側も「この会社に合う人に働いて欲しい」と思っています。「求める人物像」をチェックすることで、就職後のミスマッチを防ぎ、長く働くことができる可能性が高まります。 今回の記事では、「求める人物像」に書かれている内容の読み解き方について解説します。 特に、障害者雇用枠求人の場合、企業が重視するポイントが決まっており、事前に知っておくことで就職活動への準備にもなります。自分に合った長く働ける会社を見つけるために、ぜひこの記事をご参考ください。 [toc] 求める人物像には「この会社に合う人」の条件が書いてある 企業が「求める人物像」を設定する理由は、入社後のミスマッチを防ぐためです。 皆さんは、企業の採用活動に「どれくらいのお金が掛かっているか」をご存知でしょうか。大手人材会社が行った調査 [*注] によると、新しい人材を採用するためには一人あたり平均で 100 万円前後のコストが掛かると言われています。これだけのお金を掛けるのですから、「良い人に就職してもらい、長く働いて欲しい」と企業が考えるのは当然だと言えるでしょう。 応募条件のうち「業務経験」や「資格」「学歴」といったものは、応募書類を見ればすぐに判断ができます。一方で、 応募者が、仕事に対しどれくらいの意欲を持っているか 応募者の興味・志向と、会社の社風・方針がどれだけマッチするか 応募者の行動タイプや適性(例:慎重派か行動派か、話し好きか物静かか、等)と、募集している仕事がどれだけマッチするか …という「長く働いてもらうために、確認しておきたいこと」は、書類だけではなかなか判断ができません。そこで、「求める人物像」を設定し、応募者に対して「私たちの会社には、こういう人が合いますよ」という条件を知らせようとしているのです。 [*注] 出典:株式会社リクルート 就職みらい研究所「就職白書2020」 求める人物像を見れば「その会社で長く働けているのはどんな人か」が分かる 「求める人物像」は、求人を出している部署や職種で「実際に活躍している人」「実際に長く働いている人」を元に作られています。よって「求める人物像」を見れば、どんな人ならその会社で活躍したり長く働いたりできるのかが分かります。 特に「その業界や職種が未経験でも OK」の求人では、資格や学歴よりも人物像を重視する傾向があります。もし、今まで経験がない仕事の求人に応募したい場合は、自分が持っている仕事への想いや、行動タイプや適性、価値観などが「求める人物像」とどれくらいマッチするのか、しっかりとチェックしておきましょう。 ただし、求める人物像に無理に自分を合わせてはいけない ここまでを読んで「働きたい会社に合わせて、自分の人物像を変えなければいけないの?」と思った方もいらっしゃるかも知れませんが、「求める人物像」に無理に自分を合わせてはいけません。 就職活動は、よくお見合いに例えられます。 「お見合いの席だけ」なら、相手の好みに合わせて演技したり、ごまかしたりすることができるかも知れません。しかし、それで結婚ができたとしても、パートナーと長く一緒に暮らすうちに自然と内面が見えて、ごまかしもいつかはバレてしまいます。 就職活動も同じです。面接でうまく演じて就職ができたとしても、長く働くうちにいつかは無理が生じます。何よりも「本来の自分を偽る」「ずっと相手の理想を演じ続ける」というのは、自分にとっても、とても辛いのではないでしょうか。 雇用条件が良い求人や、自分がやりたいと思っている仕事の求人を見つけたときには、「ぜひ、その会社で働きたい!」という想いがとても強くなります。その会社に就職するために、「少し無理をしてでも、相手の望みに合わせた自分を演じた方が良いのではないか」と考えるのは、ごく自然なことです。 しかし、就職活動とは、「お見合い」のようにお互いの相性を確かめるためのものです。長く働くためには「この会社は自分に合うのだろうか?」という視点を忘れずに「求める人物像」を見るようにしましょう。 でも、気をつけなければならないポイントが 2 つある 「求める人物像に、無理に自分を合わせてはいけない」と言われると、「そうか、現在のありのままの自分を、そのまま出せば良いんだ!」と思ってしまいがちですが、気をつけなければならないポイントが 2 つあります。 ポイント 1. 「相手を尊重する気持ち」を忘れないこと 障害の有無にかかわらず、私たちは誰もが「社会の一員」として生きています。社会の中で生きていく以上は、相手のことを尊重する気持ちが必要不可欠です。 先ほどと同じく「お見合い」を例に考えてみましょう。 お見合いの席なのに、例えば相手が「遅刻してくる」「服が汚れている」「態度が失礼」というようなことがあったら、どう思うでしょう。「せっかくのお見合いで、コチラはそれなりに準備をしてきたのに、相手は自分のことを何も考えてくれていないんだ」と、ガッカリするのではないでしょうか。 「約束の時間を守る」「身だしなみを整える」「礼儀をわきまえた態度を取る」というようなことは、社会人としての基本的なマナーです。そして、マナーを守ることは「相手を尊重する気持ち」を表すための、もっとも簡単な方法です。 「相手に自分を尊重してもらいたいなら、自分も相手を尊重する」という気持ちを、いつでも忘れないようにしましょう。 ポイント 2. 「自分を高めようとする努力」を怠らないこと 人間は誰しも得意なこと・苦手なことがありますが、自分を高めようとする努力を忘れてはいけません。とくに、職務経験を問わない「未経験者 OK」の求人では、多くの場合、「前向きに業務に取り組む姿勢」「積極的に学ぶ姿勢」が重視されます。 例えば、あなたが少年サッカー教室の先生だとしましょう。 試合に出るメンバーを選んでいて、最後の一人を決めようとしています。候補は A 君と B 君。二人とも実力は同じくらいです。 A 君は普段、練習にあまり熱心ではありません。「親から言われて、仕方がなくサッカー教室に通っている」ようです。一方、B 君は普段からがんばって練習に取り組み、みんなが帰った後も残って特訓している姿を、あなたはいつも見ています。 さて、A 君と B 君、どちらを試合に出したいと思うでしょう。二人の実力が同じくらいなら「応援の意味も込めて、がんばっている B 君を出場させたい」と思うのではないでしょうか。 「どうせなら、がんばっている人を応援したい」と思うのが、人の自然な感情です。これは、採用する企業も同じです。たとえ「苦手なこと」があったとしても、「何とかしようと努力している人を採用したい」と企業は思うはずです。 発達障害の特性による苦手を「なくす」ことは難しいかも知れません。しかし、がんばって対策を行うことはできます。次のページでは、障害者雇用枠における「求める人物像」から、どんな対策を行っておけば良いのかを解説します。 準備しよう!障害者雇用枠の「求める人物像」5 つのポイント 障害者雇用枠では、「業務経験」や「資格」「学歴」といった一般的な応募条件の他に、「障害がある方ならでは」の企業の判断ポイントがあります。 厚生労働省が所管する「高齢・障害・求職者雇用支援機構」という組織では、障害者を雇用しようとする企業に向けて、障害者の採用を判断する際のポイントを公開しています。 参考: Q 障害者の採用にあたり、何をポイントに採否を決めたらよいでしょうか?|独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 公開されている情報をもとに、障害者雇用で重視される 5 つのポイントと、それぞれの準備方法をまとめました。 ポイント 1. 勤怠の安定 「短い期間で仕事を辞めてしまう」人の傾向として、仕事にたびたび遅刻したり、突然休んでしまったりする人が多いことが分かっています。 どんなに仕事の能力が高くても、「通院・服薬の管理ができず、健康管理ができていない」「普段の生活リズムが乱れている」という人だと、少しずつ勤怠が乱れ、最後は離職につながってしまうのです。これを防ぐためには、 毎日、同じ時間に寝起きし、生活リズムを整える 食事は三食をしっかり取る カレンダーで通院日を管理する リマインダーアプリで服薬を忘れないよう管理する …など、まずは自分の健康や生活リズムを、しっかりと管理できるようにしましょう。 ポイント 2. 障害の自己受容 「自己受容」とは、「自分には障害があることを、ちゃんと自分自身で受け入れることができているかどうか」という意味です。もう少し具体的に見てみましょう。 病院で発達障害の診断を受けたり、障害者手帳を取得したりするだけでは「自己受容できている」とは言えません。自己受容できている状態になるためには、以下の準備が必要です。 「自分の障害にはどんな特性があるのか」を他人に説明できる 「障害の特性により、どんなことが苦手か」を他人に説明できる 「苦手なことをどのように管理し、対策を行えば良いか」を、自分で考え・実践している 「ストレスをどのように管理し、対策を行えば良いか」を、自分で考え・実践している 「障害の特性による困難さ」について、周囲とコミュニケーションを取り、助けを求められる(合理的配慮の申出ができる) 他人に説明したり、自分で対策したりするためには、上記の要素を自分で整理・まとめてナビゲーションブック(自分の取扱説明書)を作っておくことがおすすめです。 なお「合理的配慮」の考え方については、以下のコラム記事もご参照ください。 参考① 「合理的配慮」申請マニュアル 4つのステップと知っておくべきポイントをまとめました。 参考② 自分にとって必要な配慮は?を学ぶための、合理的配慮の事例集 ポイント 3. 就労意欲・仕事への熱意 「勤怠の安定」や「障害の自己受容」はとても重要なポイントですが、就職活動前に完璧に準備するのは難しいもの。そこで、足りない部分をカバーするために必要なのが「就労意欲・仕事への熱意」です。 「がんばって働きたい!」「この仕事をしたい!」という意欲や熱意があれば、完璧にできていない部分があっても後から身に付けていくことができますし、周囲からも「がんばっているから、サポートしてあげよう!」と思ってもらいやすくなります。 意欲や熱意を持つために、まずは自分が「何のために働くのか」「どんな仕事をしたいのか」という就職の軸を立てましょう。以下のコラム記事で、就職の軸の立て方を解説していますので、ご参照ください。 参考:大人の発達障害がある方の就職活動は「ウォーミングアップ」で成否が決まる!|発達障害のある方のためのお役立ちコラム ポイント 4. コミュニケーション力 障害の有無に関わらず、生きていくなかで起こるすべての課題を自分一人で解決することは困難です。「障害の自己受容」の項目でも書いたとおり、周囲に助けを求められる(合理的配慮の申出ができる)ことは大切なポイント。そのためには、コミュニケーション力を高めましょう。 コミュニケーション力とは、「話がうまい」とか「社交的である」ということではありません。 まずは「あいさつや、返事をちゃんとする」「仕事の報告・連絡・相談ができる」というところから始めましょう。「身だしなみを整える」「ルールやマナーを守る」ことも、周囲の人たちに良い印象を与えるという意味で大事なコミュニケーションの一つです。 会社に限ったことではありませんが、生きていれば必ず「あれ、ちょっとこの人は苦手だな」という人とも出会います。そのようなときにも、自分の感情をコントロールできるようにしましょう。苦手な人でもちゃんと挨拶する、注意されたときは素直に謝る、という気持ちも大切です。 自分にできることから、少しずつ始めていきましょう。 ポイント 5. 主体性・積極性・自発性 「主体性を持って、自分からも積極的・自発的に仕事に取り組んで欲しい」というのは、障害者雇用に限らず、よく言われることです。ただ、これはある程度仕事に慣れ、会社や業務の仕組みが分かってこないと難しいものですので、最初から「主体性や積極性、自発性を身に付けなければ…」と気負う必要はありません。 まず大切なのは、仕事への意欲や熱意を持つことです。そして、規則正しい生活をし、周囲の人のことも考えたコミュニケーションを心がけます。コミュニケーションを取る中では、自分が得意なこと・苦手なことを伝えることも大切ですので、自分の障害をちゃんと自己受容できるよう、自分を見つめ直しましょう。 そうして、仕事を続けていくうちに段々と業務にも慣れていき、 次の作業の準備を、言われる前に先にしておこう! 少し余裕があるから、何か手伝えることがないか聞いてみよう! もっとこうすれば効率が良くなるかも。提案してみよう! …というように、主体的に仕事に取り組めるようになります。つまり、これまでに書いてきたポイント 1〜4 をしっかりと準備することが大切なのです。 もし、一人ではうまく考えられず悩んでしまったら 今回ご紹介した「求める人物像」は、さまざまな企業・さまざまな「求める人物像」がある中での一例です。もしも「今の自分には当てはまらないな…」と感じても、落ち込む必要はまったくありません。 一方で、「障害の自己受容」や「コミュニケーション力を高める」ことは、障害と向き合いながら働いていく上では必要不可欠ですが、これらは発達障害の特性による苦手と重なる部分でもあり、できるようになるには、ある程度の訓練が必要です。 そんなときのサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。今回「障害の自己受容」の見出しでご紹介した “ナビゲーションブック” も、ディーキャリアで行っている支援プログラムのなかで、実際に作成を行っています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。