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【大人の発達障害の就活HACK】面接の準備をしよう|対策と流れ

大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。

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書類選考を通過すると、いよいよ次は面接です。初めて会う人と話すのは誰でも緊張するもの。ましてや、それで就職できるかどうか決まると思うと、いっそう緊張感は高まります。 大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。 スケジュールを立てることや見通しを立てることが苦手で、面接準備が間に合わない 遅刻をしてしまうことが多く、面接時間に間に合わない 考えを頭の中でまとめるのが苦手で、質問にうまく答えられない 面接官からの質問を忘れてしまったり理解ができなかったりすることで、かみ合わないことがある そもそもコミュニケーションが不得意で、話すことが苦手 など、特性による苦手によって “つまずき” を感じることがあります。 この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。 面接は職場の実際の様子を見たり、担当者と直接話をしたりできる貴重な機会でもあります。しっかりと準備をしていきましょう。 [toc] 1. 事前の準備が何よりも大切 発達障害のある方に特に多いのが、人前で話すのが苦手という悩みです。「人前で話すことが得意な人でないと、面接はうまく行かないんじゃないか…?」と心配に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、決してそんなことはありません。たとえ人前で話すことが苦手でも、事前の準備をしっかりすることで面接を乗り越えることができます。 マイクロソフト社で 10 年以上にわたりトップ・プレゼンターとして表彰され続けた澤 円(さわ・まどか)さん。人前で話すプロフェッショナルであり「プレゼンの神様」とまで呼ばれた澤さんは “プレゼンが成功するかどうかは、8 割が準備で決まる” と語っています。(澤さんご自身、発達障害の当事者でもいらっしゃいます。) 「私は人前で話すことが苦手だから、面接は自信がない…」という方ほど、準備にしっかりと時間をかけましょう。 1-1. しゃべる内容の台本を作る どんなに話し方がキレイなアナウンサーでも、名演技をする俳優でも、しゃべっていることには必ず台本があります。まずは、面接でしゃべる内容を紙に書き出して、台本を作りましょう。 「面接では何を聞かれるか分からないのに、台本が作れるの?」と思われるかも知れませんが、ほとんどの面接では、聞かれることは共通しています。たとえば以下のようなものです。 この会社へ応募しようと思ったのはなぜですか?(志望動機) あなたがこの会社へ入ったら、どのようなことで活躍できますか?(自己 PR) あなたの長所や短所を教えてください。(自己分析) あなたが、これまでの人生で体験した成功/失敗について教えてください。(自己分析) 特に “志望動機” や “自己 PR” は、応募書類(履歴書・職務経歴書)にも書いていますので、書類に書いたことと面接でしゃべることが食い違ってしまわないよう注意しましょう。食い違ってしまうと話がウソっぽくなり、マイナスの評価になってしまいますので、書類に書いた内容をもとに台本を作りましょう。 障害者雇用枠での採用面接の場合、以下のような “障害に関する質問” もされますので、こちらも台本を作っておきましょう。 あなたの障害特性について教えてください 必要な合理的配慮は何ですか? あなたが行っている「障害へのセルフケア」について教えてください なお、合理的配慮の考え方については以下の記事もぜひ参考にしてみてください。 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 手書きの書類を郵送で送る場合は、台本を作るために、発送前にコピーを取って手元に残しておくことをオススメします。もし、コピーを取らずすでに書類を送ってしまっている場合は、できる限り思い出して書いてください。 1-2. 実際に声に出して練習する 台本ができたら、実際にしゃべる練習をしましょう。声に出してみて、しゃべりづらい部分があれば台本を手直しします。台本を丸暗記する必要はありません。自分の言葉で、自然に話せることが大切です。 しゃべっている内容を誰かに聞いてもらっても良いでしょう。第三者の視点から、自分では気が付かないこともアドバイスしてもらえることがあります。「誰かに聞かれるのは恥ずかしい」「聞いてもらえる相手が近くにいない」という場合は、スマートフォンの “ボイスメモ” のアプリを使って自分の声を録音し、自分で聞いてみるだけでも新たな発見があります。 練習では、話すスピードや量を意識することが大切です。①早口になりすぎない ②話が長すぎない…の 2 つを意識して台本を作りましょう。例えば、自己紹介の場合は「文字数は300~500字」で台本を作り、ストップウォッチで時間を測りながら「2分以内」で話せるように練習をしてみましょう。 このあと「2. 面接当日の流れを知っておこう」で、実際の面接の流れについて解説しますが、それに沿って練習するのもオススメです。例えば、家族や友人に面接官役をやってもらい、自分は実際にスーツを着て、部屋に入るところから実際に受け答えするところまでを一通りシミュレーションしてみるのです。心の準備にもなり、当日の緊張を和らげることができます。 1-3. 当日の準備をする 面接の当日、実際に出かけるときの準備も、事前にしっかりと済ませておきましょう。準備のポイントは、以下の 2 点です。 ポイント 1. 身だしなみを整える 身だしなみはとても大切です。「人は外見よりも中身の方が大事だ」とよく言われますが、身だしなみは社会人としてのマナーの基本です。面接官からも見られるポイントになりますので、しっかりと準備をしておきましょう。 服装は基本的に、上下セットのスーツです。ワイシャツは体に合ったサイズを選び、シワがないようアイロンをかけます。革靴も磨いておきましょう。 「面接に着ていけるようなスーツをまだ持っていない」という方は、スーツ専門店で購入しましょう。店員さんに「就職活動の面接で着ていけるスーツが欲しいんですが……」と尋ねれば、最適なモノを見繕ってもらえます。自分の体型に合ったワイシャツや、ネクタイ・靴下・革靴までセットで揃えることができます。 身だしなみや面接に着ていく服に悩んでいる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】朝の準備をテンプレ化!ワーキングメモリーの弱み&衝動性対策で遅刻を防止 ポイント 2. 遅刻をしないようにする 面接でもっともやってはいけないことは、約束の時間に遅刻することです。身だしなみと同じく、「約束や時間を守ること」は社会人としての基本的なマナーです。履歴書がどんなに立派でも、面接でどんなに上手く自己 PR できたとしても、遅刻をしたらすべてが台無しになってしまうので、じゅうぶん注意しましょう。 「途中で交通機関が遅れたり、体調が悪くなったりしたら仕方がないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、「そうなったとしても、できるかぎり遅刻をしない」ように事前に準備しておくことが大切です。 交通機関が遅れるかも知れない → 約束の時間より1時間ほど早く到着できるよう、余裕を持って出発し、早めに着いたら、目的地周辺のレストランやカフェなどで時間まで待機する。 途中で体調が悪くなるかも知れない → 前日は早く寝て体調を整える。「緊張するとお腹が痛くなりやすい」など、特定の症状が出やすいことが分かっている場合は、胃腸薬などの薬を事前に用意して持って行く。 当日「やむを得ない事情」や「急用」で遅刻やキャンセルをする際には、必ず先方に電話で連絡を入れます。(メールだと、相手が気が付くまで時間がかかるため。)先方の連絡先をあらかじめ携帯電話やスマートフォンに登録しておき、すぐに連絡ができるよう準備しておきましょう。 「やむを得ない事情」や「急用」とは、以下のようなものです。 体調を整えることにじゅうぶん注意していたが、それでも体調を崩してしまった場合(例:持病が急に悪化してしまった、新型コロナやインフルエンザなどの感染症にかかってしまった、等) 地震などの突然の災害や大規模な事故などで、交通機関が2時間以上遅れたり、運休したりしているような場合 自分の親や子ども、一緒に住んでいる家族など「近しい親族」に、命に関わるようなことが起こった場合(例:交通事故に遭って病院に運ばれた、病気で入院していたが危篤状態になった、等) 自分自身が、何かの事件や事故に巻き込まれた場合 なお、遅刻をしないためのテクニックについて、以下の記事でスマートフォンアプリを活用した方法を解説しています。こちらもぜひご参考ください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】アプリ活用で予定通りに行動!原因を理解して、遅刻対策をしよう。   2. 面接当日の流れを知っておこう 「これまで面接を受けたことがない」という方でも、面接の当日どのような流れで何をするのか知っておくことで、緊張感をやわらげることができます。面接当日の流れは、どの会社でも概ね以下のように進みます。 2-1. 受付 面接先の会社に到着したら、まずは受付です。多くの場合、面接の連絡メールに受付方法も記載されているので、事前に確認しておきましょう。 相手から受付方法が特に指示されていない場合は、会社の受付で以下の項目を伝えましょう。(会社によっては受付がなく、入口に設置された内線電話で担当者を呼び出す場合もあります。) 自分の名前 来社の目的 相手の担当者の部署と名前 面接の約束時間 実際の言葉にすると、以下のようになります。 「お世話になっております。私、ヤマダタロウと申します。本日は採用面接のために参りました。人事部のスズキハナコ様と、14:00にお約束を頂戴しておりますが、おつなぎいただけますでしょうか。」 受付が済むと案内係の方が、待合室か面接を行う部屋まで案内してくれます。 2-2. 入室 面接を行う部屋に入るパターンは、以下の 2 つがあります。 パターン 1. 自分でドアを開けて入る場合 新卒採用など、同じ日に何人も面接試験を受けるような場合に多いパターンです。イメージとしては「病院の待合室で待っていて、名前を呼ばれたら診察室に入る」というような感じです。 自分の順番が回ってきて名前を呼ばれたら、まずはドアをノックします。中から「どうぞ」と返事があったら「失礼します」と言ってからドアを静かに開け、部屋に入ります。ドアの方を向いて静かにドアを閉めてから、面接官の方に向き直り、「ヤマダタロウです。よろしくお願いいたします」と大きな声で言いましょう。 面接官から「どうぞ、おかけください」と促されたら、「失礼いたします」と言ってから、イスに座ります。 パターン 2. 面接を行う部屋まで、直接案内される場合 中小企業の新卒採用や、中途採用など、自分一人だけが面接を受けるような場合は、案内係の方が面接を行う部屋まで直接連れて行ってくれるパターンもあります。 その場合、ドアは案内係の方が開けてくれます。「どうぞ」と促されたら、「失礼します」と言ってから部屋に入ります。 面接官がすでに部屋にいる場合は、パターン1と同じようにします。 面接官がまだ部屋に来ていない場合、案内係の方が「こちらにおかけになってお待ちください」と促してくれるので、「ありがとうございます」とお礼を言ってから座りましょう。しばらくして、面接官が部屋に入ってきたら、自分も一度、席を立って挨拶をします。面接官から「どうぞ、おかけください」とうながされるまで、座らないよう注意しましょう。 2-3. 面接〜退室 面接は誰でも緊張します。言葉につかえてしまったり、スムーズに話せなかったりしても慌てることはありません。面接官の質問をよく聞き、ゆっくりと・正確に答えることを意識しましょう。 先ほど「1-2. 実際に声に出して練習する」で解説したとおり、家族や友人に協力してもらい、質問に受け答えする練習をしておくと、緊張感をやわらげる効果があります。 面接が終わって退室する際にも、2 つのパターンがあります。 パターン 1. 自分でドアを開けて退室する場合 入室の際に自分でドアを開けて入った場合は、退室の際も自分でドアを開けて退室します。 面接が終わったら、まずは座ったまま「ありがとうございました」とお礼を述べ、席を立ちます。起立した状態でもう一度、一礼しながらお礼を述べたあと、ドアの前に向かいます。 面接官の方に向き直り、「失礼します」と述べながら一礼したあと、ドアを開けて退室し、静かにドアを閉めます。部屋を出たら、案内係の方の指示に従って帰りましょう。 パターン 2. 面接官と一緒に退室する場合 受付のあと、面接を行う部屋まで直接案内された場合は、面接官と一緒に退室する場合がほとんどです。 面接が終わり、まず座ったままお礼を述べる → 起立してもう一度お礼を述べるところまではパターン 1 と同じです。その後は、面接官の方が促してくれるのに従って退室します。 ほとんどの場合、退室したあとそのまま建物の入口やエレベーターまで面接官が案内してくれるので、付き従って帰りましょう。一緒に歩いているときに面接官の方から雑談など話しかけてくる場合もありますので、心の準備をしておきましょう。(相手が話しかけてこないときは、こちらから無理に話しかける必要はありません。)   3. 大人の発達障害がある方が面接でつまずきやすいポイントと対策 発達障害の特性によって、面接でつまずきやすいポイントについて、それぞれ解説します。 3-1. 「服装自由」の場合はスーツで行く たまに、面接の案内で「自由な服装でお越しください」と書かれていることがありますが、これは「本当に自由な格好(私服)で来てください」という意味ではありません。「スーツか、ビジネスカジュアル(オフィスカジュアル)で来てください」という意味なので、注意しましょう。 自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性として、「はっきりと文章で示されていないことを理解するのが苦手」「書いてある文字どおりに指示を受け取ってしまう」というものがあります。 この特性によって、どんな服装で参加するべきか分からず悩んでしまうことや、文字どおりに「自由な服装(カジュアルな服装や、面接にふさわしくない服装)でもいい」と受け取ってしまい、「面接の当日、会場に行ってみたら一人だけ場違いな服装で浮いてしまった」という失敗をしてしまう方は少なくありません。 ビジネスカジュアル(オフィスカジュアル)は、慣れていないと何を着たら問題ないのか判断するのが難しいため、あまりオススメしません。従い、「服装自由」の場合はスーツで行くのが無難です。 3-2. 一気に何社も応募しない 「早く就職先を決めたい」と焦ってしまう気持ちもあるかと思いますが、何社も一気に応募しないようにしましょう。 注意欠如・多動性障害(ADHD)の特性として、マルチタスクや計画的に物事を進めることが苦手なため、いくつもの会社を同時並行で進めると、準備時間が足りなくなってしまうことがあります。 できれば 1 社ずつか、多くても 2 社に留めておきましょう。また、面接日の当日だけでなく、「応募書類の作成」や「面接の練習」といった予定もカレンダーに書き込んで “見える化” し、計画的に進めることをオススメします。 3-3. 困難な点は、あらかじめ履歴書で相手に伝えておく 障害者雇用枠への応募の場合は、面接でも障害の特性へ配慮をしてくれます。面接にあたり、なにか特別に困難さを感じることがある場合には、あらかじめ履歴書に書き添えて相手に伝えておきましょう。 例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性として、面接官から複数の質問を一気にされた場合に、混乱して質問への回答がいくつか抜け落ちる・質問の意図と異なる回答をしてしまう、ということがあります。 その場合には「障害の特性により、口頭で複数の指示を一気にされると理解することに困難さがあるため、質問は一つずつしていただけますと幸いです」というように、履歴書に書き添えておくと良いでしょう。 例えば、発達障害の特性による苦手で、質疑応答の際に以下のような “つまずき” をしてしまうことがあります。 口頭での指示を聞き漏らすことがある 一度にたくさんの質問をされると混乱してしまう 言葉が出るのに時間がかかる 質問の意図を汲み取ることが苦手 このような “つまずき” への対策として、「面接官に留意してもらいたいポイント」を履歴書に書き、事前に伝えておくようにしましょう。書き方の例は、以下のとおりです。 「障害特性により、聴覚情報(口頭での質問)の処理に時間がかかることがあり、質問を聞き直すことがありますが、ご了承ください。」 「障害特性により、一度に複数の質問をされることと混乱してしまうため、ひとつずつ回答をさせていただけますと幸いです。」 4. もし、なかなか面接がうまく行かなかったら 発達障害のある方は、特性により「人とのコミュニケーション」に対して困難さを感じることが多いため、企業側の担当者と直接コミュニケーションしなければならない面接は、採用試験における大きな壁です。 障害の有無に関わらず、不採用となってしまったときのショックは大きいもの。面接でうまく自分をアピールすることができず、「どんどん自信がなくなってしまう」とお悩みの方は少なくありません。 そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 先ほどもご紹介したとおり、就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、 障害者雇用枠ならではの「障害特性の説明」に難しさを感じるので、もっと自分の障害について理解したい コミュニケーションスキルを身につけて、面接でスムーズに話せるようになりたい 自己 PR に書ける、自分の “強み” や “長所” を探したい これからどんな仕事をしていきたいか、ゼロから考え直したい …など、「就職活動に挑む前に準備をしたい」という発達障害のある方をサポートいたします。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 記事監修:清野 玲子(キャリアコンサルタント/社会福祉士) 人材会社でのキャリアアドバイザー等経験したのち、就労移行支援事業所ディーキャリアの立ち上げに参画。発達障害の特性による苦手や困りごとを抱える方の就労支援に携わる。 現在は、発達障害のある方の特性に応じた就労プログラム開発、支援スタッフ向け研修講師・スーパーバイザーなど幅広い業務を担当。
【当事者が解説】大人の発達障害の診断は受けるべき?メリットや注意点を紹介

発達障害当事者が、診断を受けるか悩んだ実体験をもとに「診断を受けるメリットやデメリット」「診断を受けるために必要な手順」「診断を受ける場合の注意点」「実際に診断を受けて何が変わったのか」を解説します。

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「発達障害のことを調べていたら、思い当たることが多かった」「発達障害の診断チェックリストをやってみたら、多くの項目に当てはまった」 働きづらさや生きづらさを感じている方のなかには、こうしたきっかけで発達障害について知った、という方も多いのではないでしょうか。何を隠そう、筆者もその中の一人です。 私は「自分は発達障害なのかもしれない」と思ってから医師の診断を受けるまでに、さまざまな悩みごとを経験しました。今回の記事では、実際に当事者として悩んだ経験をもとに 診断を受けるメリットやデメリットはあるのか 診断を受けるためには、どういう手順が必要なのか 診断を受ける場合、何か注意すべきことはあるのか実際に、筆者が診断を受けてみて何が変わったのか …について解説します。 [toc] 1. 発達障害について最初に押さえておきたい 2 つのキーワード〜①生まれつき ②ミスマッチ〜 すでにインターネットなどで情報をご覧になり、発達障害が「先天的な脳機能の障害」であることや、いくつかの種類があることをご存知の方も多いかと思います。(自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)、等) 発達障害について理解するために、もう少し表現をかみ砕いてみましょう。 発達障害とは、生まれつきの “脳の発達の偏り” がきっかけとなり、生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。押さえておきたいキーワードは ①生まれつき ②ミスマッチ…の 2 つです。それぞれについて解説します。 なお、大人の発達障害について基礎知識について知りたい方は、以下のページもご参照ください。 大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア キーワード 1「生まれつき」〜発達障害とは、本人の努力不足や親の育て方の問題ではない〜 「生まれつき」ということは、つまり、自分が大人になるまでの間に努力をしてこなかったとか、親の育て方が悪かったとか、そのような問題ではないということです。 過去の自分を責める必要はありません。「発達障害というものの存在を知った、今、このときから何ができるのか」を考えることが大切です。 キーワード 2「ミスマッチ」〜発達障害の方の “生きづらさ” は、周囲の環境によって起こっている場合がある〜 「ミスマッチが起こることで生きづらさが生じる」ということは、逆に「ミスマッチがなければ、生きづらさは生じない」とも言えそうです。これは一体、どういうことなのでしょうか。 社会学では、障害とは「個人の特性」によって起こるのではなく「社会との関係」によって起こるのだという、障害社会学 [*3]という考え方があります。 例えば、近視で遠くがよく見えない人がいるとしましょう。 現代は、メガネやコンタクトレンズがあります。パイロットなどの特別な職業でない限り、多くの人はそれほど遠くまで見えなくても仕事や日常生活に困りません。必要なら双眼鏡などの道具を使うこともできます。近視だったとしても、「社会的な不利益」を受けることは少ないと言えるでしょう。 しかし、これが原始時代だったらどうでしょうか。 遠くがよく見えなければ、狩りで獲物を探したり、迫ってくる危険をいち早く見つけたりすることができません。そのため、同じ集落の仲間に迷惑を掛けてしまい、「お前は役立たずだ」と言われて集落から追い出されてしまうかも知れません。近視であることで、「社会的な不利益」を受けてしまうおそれがあるのです。 周りの環境や社会との関係によって不利益を受けることが障害なのであり、個人の特性(近視であること)が障害なのではないというのが、障害社会学の考え方です。 実際に筆者も、職業や働き方を変えたことで “働きづらさ” は大きく改善されました。今は、一緒に仕事をしていても、私に発達障害があることにまったく気が付かない人もたくさんいます。 発達障害そのものに対してなにか対策を行うだけではなく、自分の特性とミスマッチを起こしている環境もあわせて見直すことが、とても重要なのです。 [*3] 参考文献:テーマ別研究動向(障害の社会学)|J-STAGE   2. 発達障害の診断を受けるべきか〜3 つのパターン別に考える〜 では、「自分は発達障害なのかもしれない」と気が付いたあと、次のステップとして「医師による診断」を受けるべきなのでしょうか。3 つのパターンに分けて考えてみましょう。 パターン 1:「診断を受けた方が良い」と思われるケース 発達障害の特性(障害による特徴)による困りごとが原因で「学校や職場で人間関係がうまく行かない」「仕事が長続きせず転職を繰り返してしまっている」など、今、実際に働きづらさ・生きづらさを感じている方は、診断を受けた方が良いと考えられます。 診断を受ける最大のメリットは、公的な福祉の支援を受けられるということです。 例えば、障害に配慮した職場で働くことができる「障害者雇用枠」に応募するためには障害者手帳が必要ですが、診断を受ければ申請することができます。障害により生活に支障が出た場合に支給される障害年金なども、診断を受けることで申請が可能となります。 また、働く意欲を持った障害がある方の、職業訓練や就職活動を支援する就労移行支援のサービスを受けることもできます。 今、実際に働きづらさ・生きづらさを感じている方は、診断を受け専門家の支援を利用することで、改善に向けた第一歩が踏み出せるのではないかと思います。 パターン2:「必ずしも診断を受けなくても良い」と思われるケース 「自分は発達障害かも知れない」と思っても、もし現在の仕事や生活環境に大きな問題がなく過ごせているなら、診断を受ける必要はないと考えられます。 先ほど “ミスマッチ” のキーワードでご紹介したように、たとえ発達障害があったとしても、本人が周りの環境=社会との関係のなかで「不利益を受けている」と感じなければ、それは障害ではないと言えるからです。 また、現時点で大きな問題がなくても、将来的に環境が変わって生きづらさを感じてしまったときに診断を受け福祉の支援を活用する、ということももちろんできます。 気をつけたいポイント:本人ではなく、周囲の人が困りごとを感じている場合 当事者の身近な方(ご家族や、職場の同僚の方など)から「本人はあまり気にしていないが、周囲は本人の言動によって負担を感じている。発達障害だと思うがどうすれば良いか」というご相談を受けることがあります。 この場合、本人に「あなたは発達障害ではないか」と告げたり、いきなり診断してもらうことを促したりすのではなく、一度、本人ぬきで専門の窓口にご相談することをおすすめします。 発達障害と似た困りごとが別の原因で起こることもありますので、素人が判断して原因を特定することは困難です。仮に、本当に発達障害があったとしても、本人に直接告げることで人間関係が悪化してしまうおそれもあります。 もちろん、周囲が一方的に負担を感じている状態は健全ではありません。相談窓口には、以下のようなものがあります。第三者の力を借りて解決に取り組んでいくことが大切です。 自治体の障害福祉担当の窓口(障害福祉課、障害支援課など) ハローワークの障害者雇用担当窓口 就労移行支援事業所の無料相談窓口 パターン 3:「診断を受けるかどうか、状況に応じて検討した方が良い」と思われるケース 判断に迷うのは、「多少の働きづらさ・生きづらさを感じてはいるが、頑張れば何とかできなくもない」という場合です。 周りから見れば「少し要領が悪いだけ」のように見えても、ご本人は「人の何倍も努力を重ねて苦手なことをカバーしている」というケースも少なくありません。このような状態も “ミスマッチ” であると言えるでしょう。 「頑張ればできなくもないが、つらい」という場合には、診断を受けて公的な福祉の支援を活用することを検討してみても良いかも知れません。 仮に発達障害だと診断を受けたとしても、それを家族や会社に伝えるかどうか、実際に公的な福祉の支援を申請するかどうかは、自分で決めることができます。病院には守秘義務がありますので、自分から伝えない限り、診断を受けたことを誰かに知られてしまうことはありません。 それでも「いきなり病院へ行くのはちょっと…」という場合は、まず “相談窓口” を利用してみても良いでしょう。 相談窓口には公的なものから民間のものまで、さまざまな種類があります。インターネットで検索すると、無料のセミナーや当事者会なども見つかります。診断を受けなかったとしても、同じ悩みを持つ人たちと話をしたり、特性への対策法を学んだりすることで、つらさが改善できる場合があります。 以下の記事で相談先の一例をご紹介していますので、ご参照ください。 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集「Q12. 一般雇用で働いているけど、働きづらさ・生きづらさを感じている。会社には知られないようにどこかに相談したいが、どこか相談先はあるか?」   3. 診断を受けたい場合はどうすれば良い?〜病院の選び方や手順、診断までにかかる時間〜 「発達障害の特性による困りごとを解決するために、診断を受けたい」と思った場合、実際にどうすれば良いのかについて解説します。 3-1. どの診療科を受診する?〜大人の発達障害は “精神科” や “心療内科”〜 大人の発達障害に対応している診療科は、“精神科” や “心療内科” です。 ただ、発達障害の専門医は日本ではまだ多くないため、すべての精神科や心療内科が対応しているとは限りません。まずは病院・クリニックのホームページを見て、発達障害に対応しているかどうかを確認しましょう。 3-2. 病院を選ぶ際の 4 つのポイント〜①場所 ②予約方法 ③治療方針 ④支援機関とのつながり 「インターネットで検索したら、“発達障害対応” と書いてある病院の情報がいくつも出てきて、どこを選んだら良いのかよく分からない」という場合は、次のポイントをチェックしましょう。 ①通いやすい場所にあるか 病院を初めて受診してから診断を受けるまでには数ヶ月かかります。問診や検査などで何回か通院することになりますし、診断後もかかりつけ医として長くお付き合いすることになりますので、通いやすさは大切なポイントです。 人によっては「発達障害で通院していることを周囲に知られたくない」という方もいらっしゃるかと思います。その場合、自宅から少し離れた駅の病院や、職場への通勤途中にある病院を検討してみると良いでしょう。 ②予約が取りやすいか 予約が取りやすいかどうかも大切なポイントです。先ほどご紹介したように、日本ではまだ発達障害の専門医が少ないため、混雑している病院の場合「初診を受けるのに数ヶ月待ち」というケースもあります。 また、長く通院することを考えると “事前予約できない” “予約の変更が柔軟にできない” というような病院では、だんだんと通いづらくなってしまいます。病院のホームページを見て、“予約のしやすさ”  もチェックしておくと良いでしょう。 ③治療方針がホームページにしっかり書かれているか 発達障害の治療方針について、ホームページ上にどのような情報を載せているかチェックしましょう。 その先生が発達障害についてどのように考えているか、どれだけ診療の実績があるのか、どういう方針で治療を行っているのかを確認しておくことで、“先生とのミスマッチ” を防ぐことにもつながります。 ④地域の支援機関とのつながりがあるか もし、ご自分で調べてもどこが良いのか分からず悩んでしまうという場合には、先ほどもご紹介した以下の相談窓口に聞いてみる、という方法もあります。 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集「Q12. 一般雇用で働いているけど、働きづらさ・生きづらさを感じている。会社には知られないようにどこかに相談したいが、どこか相談先はあるか?」 こうした相談窓口は近隣の病院と連携して支援活動を行っていることが多いため、つながりのある病院を紹介してくれる場合があります。相談窓口とつながっている病院は、それだけ発達障害のある方の支援に積極的だとも言えますので、病院選びのポイントとしてチェックしてみてください。 3-3. 初診から診断までの手順と期間〜診断までには数ヶ月かかる〜 では、実際に初診を申し込んでから診断が出るまでのステップについて、具体的に見ていきましょう。病院によって細かな部分は異なりますので、ここでご紹介するステップは一例としてご参考ください。 ステップ 1. 問診 まずは医師による問診が行われます。皆さんも病院を受診する際に “問診票” を記入したご経験があるかと思いますが、発達障害の場合の問診票は項目がかなり多く「いつ頃からどんな困りごとが出ているのか」「どのような環境で育ってきたか」「勉強や学校生活での様子はどうだったか」など、さまざまな質問に答えます。 また、初診時に簡易的な心理テストを行う場合もあります。 ステップ 2. 観察 発達障害の診断は、医師により現在の状態・成育歴・行動観察・認知や知能等の心理検査の結果などを総合して行われますので「診察を受けたらすぐに診断が確定する」というものではありません。 発達障害であるかどうかを調べるため、何回か診察を行って症状を観察します。また、診断に必要な情報を知るための調査を行う場合もあります。 例えば ADHD の場合、「症状のいくつかが 12 歳までに存在していたかどうか」が診断基準の一つであるため、子どものころの状況をさらに詳しく知るために「学生時代の通知表で先生や親のコメントを確認する」「(可能な場合は)家族に当時の様子を聞いてそのメモを先生に提出する」といった調査を行うこともあります。 ステップ 3. 検査 診断基準の一つとして「WAIS-Ⅳ(ウェイス・フォー)」などの心理検査を実施します。 この検査では、思考力や作業力といった認知能力を測るテストを行い、“脳の発達の偏り” の程度を調べることで、発達障害の特性や傾向を読み取ります。 検査は臨床心理士により行われ、数時間かかります。担当できる臨床心理士の数が限られるため、検査の順番を数週間待たねばならないケースもあります。 ステップ 4. 診断 ここまでの問診・観察・検査を総合して、医師により診断が行われます。初診から診断が出るまでには数ヶ月かかります。 総合的な判断の結果「発達障害ではない」「発達障害の基準は満たさないが、傾向はある」といった診断がくだされる場合もあります。 その場合、発達障害の診断書が必要な公的な福祉サービスを受けることはできませんが、引き続き通院を続けることで、心を落ち着かせるための薬を処方してもらったり、カウンセリングや心理療法による治療を受けたりすることは可能です。   4. しくじり先生〜実際に診断を受けた当事者の失敗談〜 筆者も発達障害の当事者として診断を受け、「障害者手帳の取得」や「税金の障害者控除」などの支援を利用しています。しかし、実際に通院を始めてから診断を受け、現在に至るまでには、いくつもの失敗がありました。そんな筆者の経験を、しくじり先生形式で 2 つご紹介します。 しくじり①:病院の先生は「支援」もしてくれると思っていた 発達障害の診断を受けようと、メンタルクリニックの初診を申し込んだとき、私は「自分の悩みや、これからどうしたら良いのか相談に乗ってもらえる!」と、とても期待していました。 しかし、先生の診察を何回か受けるにつれて、違和感を覚えるようになりました。たしかに、毎回の診察で先生は「最近はいかがですか。困りごとに変化はありませんか。」と優しく聞いてくださいます。しかし、私が何をお話ししてもカルテに書き留めるだけで、何もアドバイスをくださらないのです。 私は、医師の診察とカウンセリングを同じものだと勘違いしていました。さらに、病院と障害者支援機関を同じものだと勘違いしていたのです。 先生がお話を聞いてくださるのは、症状の診断や薬の処方のための「診察」です。悩みごとを聞いて相談に乗ってくれるのは「カウンセリング」であり、まったく別でした。(同じ病院内でカウンセリングを行っている場合でも、料金や予約は診察とは別です。) また、お仕事や生活について支援してもらうためには、病院ではなく、障害者支援機関に相談することが必要だったのです。 先ほど相談窓口についてご紹介しましたが、私はそうした窓口に一度も相談することなく、インターネットで調べた知識だけでいきなり病院を受診してしまったため、仕組みがどうなっているのかまったく知りませんでした。 現代は、インターネットがあれば何でも調べられる「ような」気持ちになってしまいがちです。しかし、一度で良いから専門の窓口に相談していれば、こんなに一人で苦労せず何か支援してもらえたのではないかと、後悔してしまいました。 しくじり②:診断を受ければ「仕事ができなくても許される」と思っていた 発達障害の診断を受けた当時、私は社員が10名ほどの小さな会社で営業職として働いていました。営業ですので、アポイントを取るために電話をかけたり、商談で交渉したりもします。当然ノルマがあって、達成できるよう自分で計画を立てて営業活動をしていかねばなりません。 しかし、私は電話や交渉ごとがとても苦手で、さらに段取りよく仕事を進めることも不得意だったため、営業成績が悪く、上司からたびたび注意を受けていました。「なぜ、何度注意されても直すことができないのだろう」と落ち込み、自分の努力不足を責めていました。 “電話が苦手“ “段取りが悪い” というのは、発達障害の特性による困難さの例として、見たことがある方も多いことでしょう。私はインターネットで自分の困りごとの原因が発達障害だと分かったときに、「自分の努力が足りないせいではないのだ」と、とても気持ちがラクになったように感じました。 では、発達障害の診断を受けたことで「電話ができず、段取りが悪くて、営業成績が上がらないけど OK」と許してもらえるのでしょうか。 皆さんもお分かりになるかと思いますが、答えは「No」です。 企業には、障害がある方に対して配慮をする義務があります。しかし、それは「障害があれば、どんなことでも許してあげる」という意味ではなく、「障害者のある方が、自分の能力を活かして働けるように配慮する」という意味です。 私は、診断を受けたことで “仕事ができない自分” を許してもらえるような気になっていました。しかし、発達障害の特性で営業職が向いていないのであれば「営業の仕事以外で、自分が持っている能力で会社に対して貢献できること」をこちらも見つけなければなりません。 社会のなかで生きていくためには、障害の有無にかかわらず「自分は何ができるのか」を考えることがとても大切です。それになかなか気が付けず、結局、当時勤めていた会社とは折り合いが悪くなって、退職することになってしまいました。   5. 診断を受けるメリットやデメリットは何があるのか 状況にもよりますが、質問をいただくことが多いので、それぞれ整理してご紹介いたします。 5-1. 診断を受けるメリット 自分の障害について理解をすることができ、対策を講じることができる 職場に必要な配慮(合理的配慮)を申し立てることができる 公的な福祉サービスや支援(例えば、障害者手帳取得による税金の控除、障害年金の受給等)を受けることができる 障害者雇用枠求人の対象となることができ、障害に配慮を受けながら働くことができる。 5-2. 診断を受けるデメリット 障害があることを自己受容しなければならない 医療保険などの民間保険に加入できない場合がある(保険の種類による) 6. 診断を受けて良かったのか〜当事者としての体験談〜 筆者としては、診断を受けて良かったと思っています。 「子どもの頃から悩んできたことは自分の性格や努力不足のせいではなく、生まれ持っての障害が原因だった」と分かったときに、私は生まれて初めて、自分で自分を許せた気がしました。それほど、私の人生にとって診断を受けたことには大きな意味がありました。 先ほど “しくじり先生” として紹介したように、診断を受けた当時の私はまだ、障害を持ちながら社会のなかで生きていくためにどうすれば良いかが理解できず、勤めていた会社を退職することになってしまいました。 しかし、その後アルバイトの期間を経て障害者雇用枠で再就職することができ、配慮を受けながら働いて、生活の基盤を立て直すことができました。また、発達障害について勉強したことで、自分の特性や、それによる困りごとを防ぐための対処法も理解を深めることができました。 何よりも大きかったのは、「障害がある方を支援するための仕組み」が、実は身近にはいろいろ用意されていると知ったことです。自分一人で悩まなくても相談できる場所があると知ったことは、大きな心の支えになりました。 診断を受けるか受けないかは、人それぞれです。診断を受けなかったとしても、もしお一人で悩んでいてつらいことがあれば、ぜひ色々な相談窓口を利用してみてください。力になってくれる人が必ずいるはずです。 今回の記事が、働きづらさ・生きづらさを感じている方、そして、当事者のご家族や周りで支援されている方の「次の一歩を踏み出すためのきっかけ」となれれば幸いです。 お一人で悩んでしまったら、まずは相談を 診断を受ける・受けないに関わらず、自分が発達障害であることを受け止め、新しい一歩を踏み出すためには、大きなエネルギーが必要です。 「障害と向き合いながら、生計を立てて行くためにはどうしたら良いのか」 「家族や職場に、うまく相談するためには、どうすれば良いのか」 「自分にあった仕事に転職した方が良いのではないか」 ……と悩んでしまう方も少なくありません。そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職活動はものごとを段取りよく・計画的に進めて行く必要がありますが、発達障害の特性による「苦手」で上手く進まないという方もいらっしゃいます。 ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、就職活動の軸探しだけではなく、スケジュールを立てること、自己 PR(自分の強み・長所の発見)をすること、予定通りに行動をすることをサポートしています。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください。ご本人からだけではなく、「発達障害の疑いがある方が身近にいて、どのような対応をすればよいか分からない」と悩まれている方からのご相談も受け付けております。ご家族の方はもちろん、「職場に発達障害の疑いがある従業員がいる」という方も、ぜひ一度ご相談ください。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【大人の発達障害の就活HACK】応募の準備をしよう〜職歴がない場合の書き方編〜

社員としての職歴がない方の場合の「履歴書の職歴欄や職務経歴書の書き方」について解説します。

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前回の記事「応募の準備をしよう〜職務経歴書〜」と、前々回記事「応募の準備をしよう〜履歴書編〜」では、それぞれの書類の書き方の基礎をご紹介しましたが、社員としての職歴がない場合には、どのように書けば良いのでしょうか。 企業の求人には、さまざまな人たちが応募してきます。確かに、多くの応募者のなかで“職歴の有り・無し”だけで比較された場合、職歴がないと不利になってしまうことはあるかも知れません。しかし、職歴がないからと言って就職活動ができないわけでは決してありません。 前回の記事でも解説したように、大切なのは企業の求める人材と自分が持っているものがどのようにマッチするかを伝えることです。そこで今回の記事では、職歴がない方の場合の「履歴書の職歴欄や職務経歴書の書き方」について解説します。 「はじめて本格的な就職活動をしようしていて、職歴に書けるものがない…」 「日雇い派遣や短期のアルバイトは職歴になる…?」 「職業訓練校や、就労移行支援事業所に通っていた期間は、どう書けば良い…?」 というお悩みをお持ちの方は、ぜひご参考ください。 [toc] ケース1. 社員としての職歴はないが、アルバイトなどの勤務経験がある場合 これまで正社員や契約社員、派遣社員などで働いた経験がなくても、アルバイト・パートや、日雇い派遣などで勤務した経験がある場合は、その経験を職歴として記載できます。 書き方は、社員としての職歴を書く場合と同じですので、具体例は前回・前々回の記事をご参照ください。 ・応募の準備をしよう〜職務経歴書〜 ・応募の準備をしよう〜履歴書編〜 待遇や任せられる仕事の裁量で比べると、「正社員の方がアルバイトなどよりも立場が上」というイメージを抱いてしまうことがあります。親や学校の先生と話したり、ニュースなどを見聞きしていても、そのような語り口で言われることも多くあります。 しかし本来、就業形態によって身分やその人の価値に差があるわけではなく、単に仕事上の役割や、働き方のスタイルが違うだけのはずです。自分の能力や家庭の事情、健康状態などに応じて、さまざまな働き方の選択肢があるというのがあるべき姿ではないでしょうか。 特に職務経歴書において、相手に伝えるべきは過去の就業形態ではなく、その仕事でどのような業務を担当したか、そこからどのような経験やスキルを得たか、自分はどのような心構えで取り組んできたかということなのです。 次ページ:アルバイトなども含めて働いた経験がない場合は、どう書けば良い?
【大人の発達障害の就活HACK】応募の準備をしよう〜職務経歴書編〜

職務経歴書をはじめて書く方や、久しぶり書くという方に向けて、書き方の基礎を解説します。

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前回の就活 HACK では履歴書の書き方の基礎をご紹介しましたが、履歴書とともに就職・転職活動の基本となる書類が職務経歴書です。 職務経歴書は、履歴書の“職歴”の部分について「いつ・どんな仕事をして・どのような経験や実績を積んだか」という詳細を説明し、自分のことをアピールするための書類です。 今回の記事では、はじめて書く方や、久しぶり書くという方に向けて、職務経歴書の書き方の基礎を解説します。基本的な書類だからこそ、正しい書き方を身に付け、就職・転職活動にのぞみましょう。 履歴書の書き方については、前回の記事をご参照ください。 応募の準備をしよう〜履歴書編〜 [toc] 1. そもそも職務経歴書とは?履歴書の「職歴」欄と何が違う? 履歴書が「応募者の基本的な情報を確認するための書類」であるのに対し、職務経歴書は「応募者がこれまで携わってきた仕事の内容や実績の詳細な情報を確認するための書類」です。 仕事に直結する内容を書く書類ですので、就職・転職活動においては履歴書以上に重要な役割を持つ書類と言えるでしょう。 採用する企業側は、職務経歴書で以下のようなポイントをチェックします。 採用したいポジションに必要なスキルや経験を、応募者が持っているか 採用したいポジションで活かせる強みを、応募者が持っているか 採用したいポジション(あるいは、自社の企業文化)と、応募者の仕事に対する姿勢や心構えが合っているか つまり、重要なのは「企業が求める人材と応募者がどれだけマッチしているか」ということです。 よく、求人情報で「優秀な人材を求む!」というようなキャッチコピーを見かけますが、“優秀な”というのは、高学歴だったり難関資格を持っていたり、有名企業の職歴があることを指しているのではありません。 例えば、建築会社の大工職人の求人に「有名大学を卒業し、弁護士資格を持っていて、誰もが知っている大手企業で働いていた」という人が応募してきたとしたら、どうでしょうか。 たしかに、書類上の経歴はとても目立つものがあるかも知れません。しかし、これまでまったく大工職人としての経験がないとしたら、建築会社にとっては“採用してもまったく戦力にならない人材”ということになってしまいます。 自分の持っている経験やスキル、仕事に対する姿勢・心構えが、企業の求める人材とどのようにマッチしているかを伝えることが、職務経歴書を作るうえでもっとも大切なポイントなのです。 次ページ:職務経歴書は「手書きで書く」のと「PCで作る」のと、どちらがオススメ?
【大人の発達障害の就活HACK】応募の準備をしよう〜履歴書編〜

履歴書をはじめて書く方や、久しぶり書くという方に向けて、履歴書の書き方の基礎を解説します。基本的な書類だからこそ、正しい書き方を身に付け、就職・転職活動にのぞみましょう。

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就職・転職活動で、基本中の基本と言える書類が、履歴書です。 最近は、求人サイトや求人アプリの機能が進化しており、書類を作らなくても応募できるケースも出てきましたが、まだまだ多くの場合は、選考のいずれかのタイミングで履歴書を求められます。 本記事では、履歴書をはじめて書く方や、久しぶり書くという方に向けて、履歴書の書き方の基礎を解説します。基本的な書類だからこそ、正しい書き方を身に付け、就職・転職活動にのぞみましょう。 [toc] 1. そもそも履歴書とは?職務経歴書とは何が違う? 履歴書は、あなたという人物の“プロフィール”を応募先に伝えるための書類です。名前はもちろん、住んでいる場所や連絡先、学歴・職歴、趣味や特技など、自分に関する基本的な情報を記載します。 応募書類としては、“職務経歴書”とセットで扱われることが多いですが、職務経歴書は、履歴書の“職歴”の部分について「いつ・どんな仕事をして・どのような経験や実績を積んだか」という詳細を説明するためのものです。 転職活動では、ほとんどの場合、履歴書と職務経歴書の両方が必要です。 新卒での就職活動の場合は、そもそも職歴がないため職務経歴書は求められません。また、社会人の転職であっても、短期的なパート/アルバイトの場合は職務経歴書の提出が省略され、面接にて口頭で確認されるような場合もあります。 履歴書は、書かれている中身と同じくらい、その書き方も企業側からチェックされます。 例えば、書き方のルールが守られていなかったら、企業側からは「社会人として、基本的なルールを守ることができない」と見られてしまう可能性があります。書いた内容が誤っている、雑に書いてしまっている場合には「仕事にも丁寧に取り組めないのではないか」と思われてしまうかも知れません。 履歴書は、単に自分の情報を伝える書類というだけでなく、自分という人間のあり方を表現する書類だとも言えるでしょう。 2. 履歴書の書き方の基本的なルール 本当に大切なのは、あなたという人物の“中身”ですが、中身を見てもらうためにはまず“外見”をしっかりと整えねばなりません。基本的なルールを押さえた上で、履歴書を作っていきましょう。 2-1. 履歴書の書式〜手書きの場合と PC で作る場合〜 かつて、履歴書は紙・手書きで作成・郵送することが一般的でした。しかし、最近は PC で作成したデータをメール等で提出するケースも増えています。企業により提出方法が指定されている場合もあるので、まずは応募先の企業がどのような形式で提出を求めているのかを確認しましょう。 PC で作成する場合、MS Word や Excel で自作するよりも、履歴書作成サービスを使った方がキレイな書類を簡単に作成できます。履歴書作成サービスには以下のようなものがあります。 ・ブラウザでつくれる履歴書「yagish(ヤギッシュ)」 ・できる履歴書 - Wantedly Word や Excel で自作したい場合には、大手求人サイトが配布しているテンプレートを使うと、ゼロから作る必要がなく便利です。 なお、履歴書をデータで提出する場合は、必ず PDF に変換してから送るようにしましょう。Word や Excel のものをそのまま送ってしまうと、後から書き換えができてしまうため NG です。 また、受け取った相手が紙に印刷する場合があることを考え、A4 サイズで印刷されるように印刷サイズを調整しておく方がベターです。 さらに、誰の履歴書なのか受け取った相手が分かりやすいよう、ファイルの名前は「山田太郎_履歴書_2021年9月1日応募.pdf」などのように工夫して付けるようにしましょう。 現代は、ほとんどの職業で PC を使った作業が行われていますので、このようなデータの取り扱い方も企業がチェックするポイントになっています。丁寧に履歴書のデータを作りましょう。 手書きの場合、文具店や書店、コンビニなどで売っている履歴書を購入します。大きさは A4 のものと B5 のものがありますが、応募先の企業から指定がない限り、どちらを選んでも問題ありません。履歴書と封筒がセットになっているものもありますが、封筒を別に買う場合は、履歴書の用紙サイズと合ったものを選びましょう。サイズが合わない封筒に、書類を無理やり折り曲げて入れるのは NG です。 鉛筆/シャープペンは消して書き換えることができてしまうため、必ず黒のボールペンを使用します。ペンや紙の種類によっては、文字がにじんでしまう場合があるので注意しましょう。 もし、ボールペンで書いていて間違えてしまったら、修正液などで直さず、新しい用紙に最初から書き直した方がベターです。履歴書を買ったら何枚かコピーしておき、まずはコピーした紙で下書きを作ってから清書するのがおすすめです。 2-2. 日付 書類の一番最初に日付を書く欄がありますが、ここには“履歴書を発送する日”(郵送で送る場合)、または、“面接の日”(面接で直接手渡す場合)のどちらかを書きます。書類を書き始めた時点ではまだ日付は入れず、実際に提出する際に書いた方が良いでしょう。 日付を書く際の注意点は、書類の全体で和暦か西暦かのどちらかに統一して書くことです。 履歴書には、いくつか日付を書く場所があります。例えば、誕生日を「昭和●年…」と書いた場合は、学歴・職歴の欄も、資格を取得した日もすべて「昭和/平成/令和」の和暦で統一します。 誕生日は和暦で書いてあるのに学歴・職歴は西暦で書いてある…のように、1 枚の書類のなかで和暦と西暦が混ざらないように注意しましょう。 2-3. 写真 写真は、応募する日から 3 か月以内に撮影したものを使います。 履歴書の書式によって、貼り付ける写真のサイズが若干異なる場合がありますが、ほとんどの場合は、縦 4 cm×横 3 cm です。履歴書の枠にピッタリおさまるサイズを用意します。 背景はなしで、正面を向き、頭の上から胸までが移るように撮影します。服装は基本的にスーツです。 人物写真は光の当て具合などが難しく、スクリーンがないと背景もキレイにならないので、スマートフォンやデジタルカメラを使って自分で撮影する(あるいは、家族や友人に撮ってもらう)のはオススメしません。 駅などにある“証明写真機”は、画面に表示される案内に従ってその場で手軽に履歴書用の写真を撮影することができます。ただ、プリントされた写真を見たら思いがけず髪型や服装が乱れていたり、顔色が悪く映ってしまったりと、慣れていないとうまく撮れないこともあります。 証明写真機よりも多少、時間とお金はかかりますが、七五三などの記念写真を撮ってもらうような“カメラスタジオ”や“写真館”では、光の当たり具合や姿勢・髪型・服装をチェックしてくれた上でキレイに撮影してもらえます。最近では、撮影した写真をデータでもらえるような撮影プランもありますので、PC で履歴書を作るときにも便利です。インターネットで「●●(住んでいる場所)+証明写真」などと検索してみると良いでしょう。 履歴書のなかで、写真は唯一「自分を絵で見せることができる部分」になりますので、できる限りキレイなものを用意しましょう。 次ページ:履歴書の最重要部分〜職歴の書き方〜
【大人の発達障害の就活HACK】志望企業の探し方 〜②障害者雇用編〜

障害者雇用求人の探し方についてご紹介。 障害者雇用求人は一般雇用の求人とは少し異なる部分があるので、探し方のコツを知っておくことが大切ですので、ぜひポイントを押さえておきましょう。

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志望企業の探し方 〜①基本編〜では、就職・転職活動をはじめたときの志望企業の探し方について、基礎知識をご紹介しました。 この記事では、主に大人の発達障害による「働きづらさ」を感じている方に向け、障害者雇用での採用となる「障害者求人枠」の探し方についてご紹介します。 大人になってから診断を受けることの多い発達障害。これまでは「一般雇用(クローズ就労)」で働いてきたけど、障害への配慮を受けたい、職場に障害を理解してもらいたいなどの理由から「障害者雇用(オープン就労)」への転職を希望する方は少なくありません。 障害者雇用と一般雇用では、就職活動のフローや求人選びのポイントが異なる部分があるので、探し方のコツを知っておくことが大切です。はじめて障害者求人枠へ応募を検討している方は、ぜひポイントを押さえておきましょう。 [toc] 1. 障害者求人枠を探す 3 つの方法 障害者雇用の求人を探すための方法は、大きく分けて以下の 3 つです。 1-1. インターネットで探す 企業の採用ページでは一般求人枠と一緒に、障害者求人枠の情報が公開されている場合があります。採用ページでは業務内容や待遇だけでなく、「障害者雇用をどれくらい推進しているのか、どのような想いを持って行っているのか」というその企業にとっての障害者雇用の位置づけについても確認しておきましょう。 求人サイトでは、障害者求人枠のみを専門に扱っているものもあります。障害者雇用で働くうえでチェックしたいポイントがまとまっていたり、企業に独自の取材をして記事を掲載していたりするので、情報源としてうまく活用しましょう。 なお、大手企業の場合、自社ではなく特例子会社を通じて障害者雇用を行っている例もあります。その場合、会社名が異なりますので、検索する際には注意しましょう。 例:グリー株式会社 → 特例子会社はグリービジネスオペレーションズ株式会社 特例子会社については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご参照ください。 特例子会社とは?就職先としてのメリット・デメリットを紹介! 1-2. ハローワークで探す 各ハローワーク(職業安定所)には障害者雇用の担当窓口が置かれており、障害のある求職者(働きたい人)と、障害者雇用をおこなう企業の両方を支援する役割を担っています。 管轄する地域内の自治体や、支援施設と連携を取っている場合も多く、障害特性をうまく付き合いながら働くためのサポートをしてくれますので、求人を探すだけでなく、総合的な相談窓口としても活用できます。 1-3. 障害福祉サービスを利用して探す 障害がある方の「働く」を支援する障害福祉サービス、就労移行支援事業所へ相談する方法もあります。 この施設は、都道府県の指定を受けた事業者により運営されている障害福祉サービスであり、障害のある方に向けた職業訓練や、就職・転職活動を支援するサービスを提供しています。 周辺地域の行政や医療機関とつながりを持っていることも多く、「まだ病院にかかっていない」という場合に地域の専門医を紹介してくれたり、必要な役所での手続きを教えてもらえたりするほか、仕事についての悩みを相談することもできます。 就労移行支援事業所については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご参照ください。 就労移行支援事業所とは?利用できる人・料金・サービス内容をまとめました。 みんなの「お悩み」ポイントはどこ?就労移行支援事業所のよくある質問集 2. 障害者求人枠を探すときの 3 つのポイント 障害者求人枠には、一般求人枠と異なる“障害者雇用ならでは”の情報が掲載されています。とくに注目すべきポイントは、以下の 3つです。 2-1. 障害者雇用の採用実績 まずは、その企業がこれまでにどのくらい障害者雇用の採用実績があるのかを確認しましょう。雇用人数や平均年齢の他にも、定着率(入社後どのくらい勤務継続をしているか)や障害種別も注目すべきポイントです。 障害種別によって必要な配慮は異なり、企業により受け入れ体制はさまざまです。 例えば、知的障害のある方を中心に雇用している企業の場合、仕事内容は“ルーティン作業”や“軽作業”など「比較的、業務の負担が少ない仕事であるケース」が多くなります。 身体障害のある方を中心に雇用している企業の場合は、「職場の環境(バリアフリー等)の配慮はあるが、特性に応じた業務分担はおこなっていない」といった傾向があります。 発達障害のある方の採用実績が豊富な企業は、発達障害ならではの特性や配慮について理解がある可能性が高いと考えられます。発達障害のある方の働きやすさを知る指標のひとつとして、障害種別の雇用実績をチェックしておきましょう。 定着率は、障害者雇用をはじめてから年数が少ない企業の場合は情報がないこともあります。逆に、定着率が高い企業は「障害者雇用に慣れていて、定着させるためのノウハウを持っている(サポートが充実している)」と言えるでしょう。 2-2. 提供されている合理的配慮 実際にその企業で提供している合理的配慮の内容もチェックしましょう。例えば、以下のようなものです。 定期面談の実施 時差出勤・フレックス制度 通院のための休暇 休憩室・医務室の設置 パーテーションの設置、座席の配置調整(感覚過敏への配慮) イヤーマフ・サングラスの着用許可(感覚過敏への配慮) 電話対応なし 一人ひとりに合わせた業務調整 マニュアルの完備 求人情報に書かれていない配慮や、実際にはまだ提供実績がない配慮についても、相談にのってもらえることもありますので、面接の際などに確認してみると良いでしょう。 合理的配慮については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご参照ください。 合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。 発達障害のある方の合理的配慮の事例集 「合理的配慮」申請マニュアル 4つのステップとポイントをまとめました。 みんなの「お悩み」ポイントはどこ?合理的配慮のよくある質問集 2-3. 障害者雇用に対する考え方 障害者求人枠を探すときのポイントとして最も重要といえるのが、その企業の障害者雇用に対する考え方です。 近年、人材の多様性(ダイバーシティ)への取り組みとして、障害者雇用にも前向きに取り組む企業が増えています。しかしその中には、法令で定められた義務(障害者雇用率)の達成だけが目的にされている場合も、残念ながらごく一部であります。 「障害の有無にかかわらず、一人ひとりが活躍する場を提供しよう」といったように、前向きな考えを持った企業を選ぶことが大切です。 考え方については、求人情報からだけでは読み取れないことも多くあります。面接の場でも、しっかりと聞いてみることをおすすめします。 3. もし、探しても志望企業がうまく見つけられなかったら 障害者求人枠は一般求人枠とは就職活動のフローが異なる部分があり、特に大人になってから発達障害と診断された方にとっては、手続きや制度など馴染みのない部分も多くあります。 その仕組みを理解し、自分に合った求人を探すことはなかなか難しいことです。 「考えれば考えるほど、頭がグルグルしてしまって答えにたどり着けない」 「一人だと途中で投げ出してしまう」 「客観的に考えることが苦手」 ……と悩んでしまう方も、少なくありません。そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
大人の発達障害がある方の就職活動は「ウォーミングアップ」で成否が決まる!

就職活動の第一歩として欠かせない「ウォーミングアップ」を解説!その目的と具体的な方法をご紹介します。

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「障害と付き合いながら、安定して働いていくにはどうすれば良いのだろう?」そんな悩みを持つ大人の発達障害がある方へ、就活対策のヒントをお届けする就活HACK。 今回の記事では、就職活動の第一歩として欠かせないウォーミングアップの方法をご紹介します。 [toc] 1. 就職活動に必要不可欠な「ウォーミングアップ」 ウォーミングアップというと、運動前の準備運動をイメージされる方が多いと思いますが、就職活動においては以下の2つの準備のことを指します。 1. 就職活動の目的を決める2. 就職活動の道のりを知り、計画を立てる 具体的にはどういうことなのか、それぞれ見ていきましょう。 1-1. 就職活動の目的を決める 就職活動の目的とは、「どこかの会社に就職(内定)が決まること」ではありません。安定して長く働くことができるか、やりがいを感じて充実した社会人生活を送れるかは、就職した後どうなるのかに掛かっています。 つまり、就職活動の本当の目的は、就職活動の後にあると言えます。 本当の目的へ辿り着くためには、就職活動を始める前に、自分が求める仕事内容や条件、仕事を通じてなりたい姿を明確にすることが大切です。 これは、例えるなら登山へ出発する前に目的地を決めることと似ています。もしも、目的地も決めずに「とりあえず」で山へ入ってしまったら、方角を見失い、遭難して、最悪の場合は命を危険にさらすことになります。 この登山の例のように、目的を決めずに就職活動を始めてしまうと、 就職後になりたい姿が分からないので、どんな条件で求人を探せば良いのか分からない 求人が見つかっても、志望動機や自己PRが書けない 内定が出たのに「本当にここで良いのか」と迷ってしまう 入社した後に想像とのギャップを感じ「こんなはずじゃなかった」と後悔する ……といった事態におちいってしまう恐れがあります。 自分がどのような仕事に就きたいかによって、求人の探し方や応募書類の書き方には違いがあります。就職活動を始める前に目的を決めておくことで、自分が実現したいことの優先順位が決まり、会社の知名度や求人票上の待遇といったものに惑わされずに、就職活動をおこなうことができるのです。 次ページ:ウォーミングアップせずに就活を始めてしまったら、どうなる?
発達障害当事者による【障害者手帳ガイド】手続き方法、メリット/デメリット、実際に取得してみた体験談

障害者手帳とは?取得・更新の手続きの方法から、メリット/デメリット、よくあるご質問まで、情報をまとめました。実際に手帳を取得した当事者の体験談もご紹介します。

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大人の発達障害の当事者の方、ご家族など当事者をサポートする方々の中には「これから、どうやって生計を立てて行けば良いのか」という心配を感じられている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 障害を抱えながら働くことはできるのか。 生活を補助してくれるような支援は受けられないのか。 そのような疑問について調べるうちに、たどり着くのが障害者手帳に関する情報です。 手帳を取得すれば、障害への配慮を受けながら働くこと・公的な支援を受けることがしやすくなるメリットがあります。 ただ、大人になって診断を受けた方のなかには、名前は何となく聞いたことがあったとしても、「どういうものかよく分からない」という方が多いのではないかと思います。 どうすれば取得できるのか。 病院や役所での手続きに、手間がかかるのではないか。 取得したら、どんなメリットやデメリットがあるのか。 そもそも自分は対象となるのか。発達障害(ASD、ADHD、SLD)で手帳は取得できるのか。 調べれば調べるほどに、不安も募ります。そんな方に向けて、今回のコラムでは「30代半ばまで発達障害のことを知らずに生活してきた筆者が、診断を受けたあと手帳について調べたことや、実際に手帳を取得した体験談」をご紹介します。 障害者手帳とは一体どういうものか。取得・更新の手続きの方法から、メリット/デメリット、よくあるご質問まで、情報をまとめました。発達障害の診断を受けた方の不安を解消するために、本コラムがお役に立てましたら幸いです。 [toc] 1. 障害者手帳の基本情報 1-1. そもそも障害者手帳とはなにか? 障害者手帳とは「カラダやココロの機能に、一定の障害があることを認定するためのもの」であり、障害者の自立と社会参加を支援するための、国による制度です。 障害者手帳を取得することで、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスや、各自治体や民間事業者が提供する支援サービスを受けることが出来ます。 障害者手帳には以下の三種類があり、制度のもととなる法律がそれぞれ異なるため、申請や更新の方法に違いがあります。インターネット等で障害者手帳について調べていて、情報が混乱してしまう原因はこの違いにあります。 発達障害者が取得することができるのは(3)精神障害者福祉保健手帳ですので、自分で情報を調べるときには注意しましょう。 (1)身体障害者手帳 ・身体の機能に一定以上の障害があると認められた方に交付される手帳。 ・申請:①医師の診断書・意見書(都道府県知事、指定都市市長、または、中核市市長が指定する医師に限る) ②身体に障害のある方の写真 の2つを用意し、福祉事務所、または、市役所にて行う。 ・更新:原則なし。ただし、例えば「障害の状態が軽減される」などの変化が予想される場合には、手帳の交付から一定期間を置いたあとに、再認定を実施することがある。 (2)療育手帳 ・児童相談所、または、知的障害者更生相談所において、「知的障害がある」と判定された方に交付される手帳。 ・申請:お住まいの自治体によって、手続き方法や必要書類などが異なる。 ・更新:あり。お住まいの自治体によって、手続き方法や期間などが異なる。 (3)精神障害者保健福祉手帳 ・一定程度の精神障害の状態にあると認められた方に交付される手帳。 ・申請:市町村の担当窓口を経由して、都道府県知事、または指定都市市長に行う。 ・更新:あり(2年ごと)。お住まいの自治体によって、手続き方法や必要書類などが異なる。 【参考URL】 障害者手帳について|厚生労働省 精神障害者福祉手帳|治療や生活へのサポート|メンタルヘルス|厚生労働省 1-2. 発達障害者が取得できる、精神障害者福祉保健手帳とは? 精神障害者保健福祉手帳は、「一定程度の精神障害の状態にあること」を認定するものです。何らかの精神障害により、長期にわたり日常生活や社会生活へ制約を受けてしまっている方が対象です。例えば以下のような、精神障害のすべてが対象です。 統合失調症 うつ病、そううつ病などの気分障害 てんかん 薬物依存症 高次脳機能障害 発達障害(ASD、ADHD、SLD) 現在(2021年6月時点)の日本の法律では、発達障害は「精神障害」に分類されるため、精神障害者福祉保健手帳の対象となっています。 1-3. 精神障害者保健福祉手帳の申請方法は? 申請を受け付ける窓口は、お住まいの自治体の役所(市区役所・町村役場)にあります。「障害福祉課(障がい福祉課)」や「障害支援課(障がい支援課)」などの名前で窓口が設置されていますので、役所のホームページで調べてみましょう。 あるいは、役所の総合受付で「障害者手帳について相談したい」とたずねれば、担当窓口を案内してもらえます。 自治体によって手続きの内容に若干の違いがありますが、相談すれば丁寧に教えてもらえるので、まずは担当窓口を訪ねてみるのが良いでしょう。 申請には以下の書類が必要です。 (1)医師の診断書 精神科医、または、発達障害の専門医によって「発達障害である」と診断された証明書です。 この診断書は初診から6か月以上がたってからのものでなければなりません。理由は、精神障害は他の障害(身体・知的)とは異なり、時間の経過によって状態が変化する(※)ことがあるためです。 障害者手帳の交付が必要な「継続的な困難さがあるか」を判断するには、ある程度の期間、状態を観察することが必要と考えられているのです。 (※発達障害は生まれもっての先天的な障害のため、他の精神障害とは異なり「時間が経過しても、症状や困りごとに変化があるわけではない」として、区別するよう求める議論もなされています。) なお、病院で診断書を発行してもらう際、おおむね5,000円前後の作成料がかかります。自治体によっては、作成料を助成してくれる場合があるので、ホームページや窓口で確認してみると良いでしょう。 (2)精神障害による障害年金を受給している場合は、その証書等のコピー すでに障害年金を受給している場合は、(1)の診断書の代わりに申請書類として使うことができます。 (3)本人の写真 マイナンバーカードや免許証を作るときと同じように、証明写真が必要です。多くの場合は手帳に写真が掲載されます。 自治体によっては、宗教上や医療上で特別な事情がある場合に、頭を布で覆うことを認めている場合があります。 また、障害者手帳に写真を掲載しないことを選べる自治体もありますが、「手帳に写真を掲載しない場合、本人確認の観点から、受けられるサービスが限定される」などの制限が加わる場合があります。 窓口で申請してから、手帳が交付されるまでの期間は、平均で2か月〜3か月です。窓口となる自治体により、審査の内容や手順が異なるため、もっと短い場合もあれば長い場合もあります。 1-4. 取得した精神障害者保健福祉手帳は、更新手続きが必要か? 更新手続きは2年ごとに必要で、有効期限の3か月前より更新手続きが行えます。 更新の際にも医師の診断書が必要なため、診断書を書いてもらうための通院など、余裕をもったスケジュールを立てておきましょう。 なお、自治体によっては、更新に関する案内が特に送られてこず、自分で期限を管理しなければならない場合があります。 期限が切れてしまった場合、障害者手帳を元に受ける支援やサービス(例えば、障害者雇用枠での雇用や、税金の控除、公共交通機関の運賃の割引など)が受けられなくなってしまうため、忘れないように注意が必要です。 ここまでご紹介した、発達障害に関する基本情報をまとめてみましょう。 1-5. 発達障害に関する、障害者手帳の基本情報のまとめ 障害者手帳は三種類あり、そのうち、発達障害の方が取得できる手帳は精神障害者保健福祉手帳。 申請は自治体(市区役所・町村役場)の窓口で行う。 申請に必要な書類は、(1)医師の診断書、または(2)障害年金の受給証明書類と、(3)写真。(1)医師の診断書は、初診から6か月以上がたってからのものでなければならない。 申請から交付まで、平均で2〜3か月かかる。 ・2年ごとに更新手続きが必要で、手続きしないと手帳が失効してしまう。 障害者手帳について相談したい場合、下記のような窓口があります。「手帳の申請は初めて」という方がほとんどだと思いますので、分からないことや不安なことがある場合は、まず相談してみることをおすすめします。 (1)自治体の障害者手帳の申請窓口 「まだ病院を受診しておらず、どこにも相談したことがない」という場合には、お住まいの自治体の役所(市区役所、町村役場)にある「障害福祉課(障がい福祉課)」や「障害支援課(障がい支援課)」に相談してみることをおすすめします。 これらの窓口は、手帳の申請を受け付ける以外にも、障害に関する地域の総合的な相談窓口を担っています。 手帳の申請方法について教えてもらえるのはもちろんですが、「まだ診断を受けていない」「仕事や生活に不安がある」「どこに相談したら良いのか分からない」という場合にも丁寧に相談に乗ってもらえます。 自治体によっては、発達障害専門の相談機関や窓口がある場合があり、そういった場所を紹介してくれることもあります。 (2)ハローワークの障害者雇用担当窓口 各ハローワーク(職業安定所)には障害者雇用の担当窓口が置かれており、障害を持った求職者(働きたい人)と、障害者雇用を行う企業の両方を支援する役割を担っています。 管轄する地域内の自治体や、支援施設と連携を取っている場合も多く、障害を持ちながら働くためのサポートをしてくれます。 発達障害や、発達障害による二次障害が原因で休職・離職等をした場合、雇用保険に基づく傷病手当金を受けたり、失業給付を受けるための要件が緩和されたりする場合があります。 収入が減ったり職を失ったりしたときに金銭的な支援を受けられる制度ですので、利用ができそうな場合は相談してみましょう。 (3)就労移行支援事業所 「障害に配慮を受けた仕事への就職や転職をしたい」と具体的に考えている場合には、障害がある方の「働く」を支援する障害福祉サービス、就労移行支援事業所へ相談する方法もあります。 この施設は、都道府県の指定を受けた事業者により運営されている障害福祉サービスであり、障害のある方に向けた職業訓練や、就職・転職活動を支援するサービスを提供しています。 本記事の後半にて解説しますが、障害のある方が就職・転職を考える上で、障害者手帳を取得する/しないは重要な検討事項です。就労移行支援事業所は障害がある方の「働く」を支援する施設ですので、詳しく教えてもらうことができます。 また、周辺地域の行政や医療機関とつながりを持っていることも多く、「まだ病院にかかっていない」という場合に地域の専門医を紹介してくれたり、必要な役所での手続きを教えてもらえたりするほか、仕事についての悩みを相談することもできます。 就労移行支援事業所は民間企業や社会福祉法人などが運営しており、事業所によってサービスの内容に特色があります。インターネット検索で、例えば「○○市 就労移行支援」というように、住んでいる地域名と一緒に検索すると簡単に調べることができますので、近くにある施設がどのような支援を行っているのか、まずは検索してみましょう。 また、無料のセミナーや相談会を実施していることも多いので、「お役所の窓口は敷居が高い」「病院の先生に相談して良いことなのか分からない」と感じる場合に、まずはそういったイベントに参加してみても良いでしょう。 2. 障害者手帳を取得するメリットとデメリット 2-1. メリット:さまざまな支援やサービスを受けることができる 精神障害者保健福祉手帳を持っていると、以下のような支援やサービスが受けられます。 (1)障害者求人に応募できる 大人の発達障害がある方にとって、もっとも大きなメリットは、障害者雇用の求人に応募できるというものです。 障害者雇用は、障害を開示した上で企業等に採用されるため、障害への理解や配慮を得られやすい環境で働くことが可能です。障害者雇用についての詳しい解説は、下記のコラム記事もご参照ください。 【参考コラム記事】 障害者雇用とは?オープン就労を目指す方に向け、基礎情報をまとめました。 障害者雇用と一般雇用とは?どちらを選ぶか悩んでいる方に向け、基礎情報をまとめました。 実際の支援の現場から見えてきた 障害者雇用・一般雇用におけるメリットとデメリットを紹介! みんなの「お悩み」ポイントはどこ? 障害者雇用(障害者求人枠)と一般雇用(一般求人枠)のよくある質問集 【企業人事に聞いた】変わりつつある「障害者雇用」への考え方 (2)国や自治体から金銭面の支援を受けることができる また、もう一つの大きなメリットとして、お金の面でさまざまな支援を受けられるというものがあります。 例えば、所得税や住民税、自動車税などの税金には、障害者手帳を提示して申請することで支払う税金の額が減ったり、免除されたりする制度があります。 また、無利子や低利子でお金を借りることができる「福祉貸付」や、公営施設の利用料や公共料金の割引を行っている自治体もあります。 精神障害者保健福祉手帳には、障害の程度に応じて1級〜3級まであり、等級に応じて受けられる支援の内容や金額が異なります。 また、自治体によっても受けられる支援が異なりますので、詳しくは手帳の申請窓口へ問い合わせてみましょう。 なお、障害のある方が利用できる公的な金銭支援として、障害年金や生活保護がありますが、これは障害者手帳とは別の制度のため、手帳を持っていることと直接は関係しません。 (3)民間のサービスを受けられる 上記の他にも、「公共交通機関(鉄道、バスなど)の運賃の割引」や「携帯電話料金の割引」など、民間の事業者からサービスを受けられる場合があります。サービスの内容は事業者により異なりますので、詳しくは各事業者のホームページなどをご覧ください。 このように、さまざまなメリットがある障害者手帳ですが、一方で取得することのデメリットは何かあるのでしょうか。 2-2. デメリット 申請にかかる時間とお金(医師の診断書の発行手数料等)以外に、特にデメリットはありません。 手帳を持っていることは自分で話さない限り公にはなりませんし、手帳で利用できる支援やサービスを受ける/受けないは、あくまで本人の自由だからです。 会社や学校等へ報告する義務もありません。また、不要となった場合に手帳を返還したり、更新を行わないことも自由です。 例えば、「最初は障害者雇用で配慮を受けながら働き、仕事が安定して支援が不要となったら、一般雇用に挑戦する」という使い方も可能です。 しかし、「さまざまなメリットがある」とは分かっていても、大人の発達障害がある方にとっては「手帳を取得することで、自分が障害者として認定されてしまうことへの抵抗感や、不安感を感じる」という方がいらっしゃることも事実です。 精神障害者保健福祉手帳は、すべての発達障害のある方に必要なものとは限りません。 自分はどのような困りごとを抱えているのか。 自分には今、どのような支援が必要なのか。 これからどのように働き、どのような人生を送っていきたいのか。 これらをふまえ、手帳を取得する/しないを考えることが大切です。 3. 障害者手帳に関するよくあるご質問 Q1. 取得した場合は、勤務先に報告する必要がある? A1. 報告の義務はありません。 働いている方が障害者手帳を取得した場合、勤務先に報告する法律上の義務はありません。 一方、報告の必要性が生じるのは、自分が「障害への配慮を受けながら働きたい」というときです。 例えば、勤務先に障害者雇用の制度があり、一般雇用から切り替えたい場合には、手続きのためには手帳を勤務先に提示する必要があります。 また、住民税が軽減される「障害者控除」を利用したい場合は、勤務先で行う年末調整で申告する必要があるため、会社側へ報告するのと結果的には同じになります。 なお、障害があることを勤務先へ伝え、業務への合理的配慮について相談すること自体は、手帳を持っていなくても可能です。 「合理的配慮について相談したいが、手帳がないからできない」ということはありません。詳しくは下記のコラムもご参照ください。 【参考コラム記事】 合理的配慮ってなに?企業に依頼をする前に知っておくべき基礎知識をまとめました。 自分にとって必要な配慮は?を学ぶための、合理的配慮の事例集 「合理的配慮」申請マニュアル 4つのステップと知っておくべきポイントをまとめました。 Q2. 手帳を持っていることが周囲にバレることはある? A2. 基本的にバレることはありませんが、支援やサービスを受ける場合、間接的に知られてしまう可能性はあります。 「2. 障害者手帳を取得するメリットとデメリット」でも解説したとおり、手帳を取得したとしても使う/使わないは本人の自由ですので、自分で公にしない限り周囲に知られてしまうことは基本的にはありません。 しかし、手帳を使って実際に支援やサービスを受けようとする場合、間接的に周囲に知られてしまう可能性はあります。 例えば、先ほどQ1.で解説した「住民税の障害者控除」の制度ですが、会社に提出する年末調整ではなく、個人で行うことができる確定申告で申告する方法があります。 一見すると会社に知られないまま控除を受けられそうですが、住民税は会社の給与から天引きされますので、納税する金額や控除の内訳は、自治体から会社へ直接通知が送られる仕組みになっています。 そのため、住民税の通知で間接的に、会社に障害者手帳を持っていることが知られてしまうことになります。 Q3. 申請をしても、交付されないことはある? A3. 申請しても却下され、手帳が交付されない場合もあります。 障害者手帳の申請は、書類の内容をもとに自治体が審査を行い、交付する/しないを決定しますので、却下され、交付されない可能性もゼロではありません。 申請の却下や、交付される手帳の等級に対して不服がある場合には、自治体に対して申し立てを行うことができます。 まだ発達障害の社会的な認知度が低く、発達障害を支援する法律や制度が整っていなかった時代には、「発達障害単独では障害者手帳は取得できず、他の障害と組み合わせないと取得できない」という事例もあったそうです。 しかし、現在では支援法制度の整備や、社会的認知度の高まりにより、「発達障害単独だから、障害者手帳が交付されない」ということは少なくなっているようです。 Q4. 障害福祉サービスを利用するのに必要? A4. 手帳がなくても利用できるサービスがあります。 「1-5. 発達障害に関する、障害者手帳の基本情報のまとめ」でご紹介した、就労移行支援のような障害福祉サービスを利用したい場合は、障害福祉サービス受給者証が必要です。 この受給者証の申請手続きでは、書類として障害者手帳を求められることもありますが、医師の診断書や意見書で「支援が必要であること」を証明できる場合には、自治体の判断により、手帳がなくても受給者証が交付されるケースがあります。 Q5. どのように申請すればいい? A5. 下記の項目にて解説しています。 「1-3. 精神障害者保健福祉手帳の申請方法は?」にて、詳しくご紹介していますので、ご参照ください。 Q6. 更新は必要? A6. 下記の項目にて解説しています。 「1-4. 取得した精神障害者保健福祉手帳は、更新手続きが必要か?」にて、詳しくご紹介していますので、ご参照ください。 Q7. 障害年金をもらうためには、障害者手帳を先に取っておかなければならないの? A7. 障害年金と障害者手帳とは別の制度のため、直接的には関係ありません。 障害年金と障害者手帳は、元となる法律や制度が異なりますので、直接的な関係はありません。 申請手続きの際に、障害の状態を証明する書類としてお互いを利用できる場合がありますが、「障害者手帳がないと、障害年金が受けられない」「障害年金を受けていないと、障害者手帳が取れない」ということはありません。 筆者も発達障害の当事者として、精神障害者保健福祉手帳の3級を取得しています。しかし、実際に申請〜取得をしてみて、「もっと、こうしておけば良かった」と感じることがありました。 そんな失敗談や、筆者が感じたことを、しくじり先生形式でご紹介します。 4. 障害者手帳「しくじり先生」〜実際に障害者手帳を取得した当事者の体験談〜 しくじり①:「自分にとって必要なものか」をよく考えず、必要なときに持っていなかった 私は、障害者手帳を取得することに抵抗がありました。 大人になって発達障害のことを知るまで、「生きづらいのは、自分の努力が足りなかったり、生まれ持った性格のせいだ」と思っていました。そのため、障害者手帳を取得することで「あなたは、今日から障害者です」と言われるような、そんな抵抗感を感じたのです。 障害者手帳を申請できるだけの期間はたっていたものの、申請は行わないままでした。しかし、就職先を探していたときに、そのことを後悔するエピソードが起こります。 障害が原因で勤めていた会社を辞め、再就職先を探していた私に、友人が「うちの会社で障害者求人を行っているから、人事へ推薦してもいい」と声をかけてくれたのです。 友人が勤めていた会社は、歴史があり、経営も安定していました。そのような企業の障害者雇用で働くことができれば、「障害への配慮を受けながら、安定して働くことができる」という可能性がありました。 しかし、障害者手帳を持っていなければ、どんなに推薦してもらったとしても、障害者求人に応募することはできません。結局、手帳の取得は間に合わず、友人の厚意を受け取ることは叶いませんでした。 障害者であると同時に一人の社会人でもある以上、生活のために働くことは避けては通れません。障害と付き合いながら働いていくことの選択肢を増やすという意味では、障害者手帳をもっと早くに取得しておけば良かったと感じたエピソードでした。 しくじり②:情報を集めることはしたが、誰かに相談することはせず、一人でずっと悩んでいた 発達障害と診断されたあとも、私は誰にも、自分の将来のことを相談しませんでした。 診断後、図書館やインターネットで色々と調べました。自治体やハローワークの担当窓口にも話を聞きに行きました。 しかし、窓口では手続きの方法を聞いただけで、支援員の方に悩みを話したり、これからどうすれば良いのかアドバイスをお願いすることはしませんでした。 情報を集めることはとても一生懸命やっていたのに、自分がこれからどうすれば良いのか相談することは、誰にもしていなかったのです。 もちろん、通院していたクリニックの先生は話を聞いてくださいます。しかし、お医者様は治療の専門家ではあっても、仕事や生活のこと・将来のことを一緒に考えてくださる専門家ではありません。 受験する学校を選ぶ、就職・転職活動するといったときに、自分の進路や将来に悩んだ経験をお持ちの方も多いと思います。「自分の過去を振り返り、将来のことを考える」ということは、障害の有無にかかわらず難しいことです。 ましてや、思い出したくもない辛い過去を振り返り、さまざまな制度の中から自分に必要な支援を探すことは、自分一人ではどう考えても限界があります。 もしも、もっと早くどこかで相談していたら……しくじり①でご紹介したような「必要なときに手帳を持っていなかった」ということもなかったかも知れません。 しくじり③:更新を忘れて手帳が失効してしまった うっかり更新の手続きを忘れて手帳が失効してしまい、それまで受けていた支援制度を受けられなくなってしまいました。 「1-4. 取得した精神障害者保健福祉手帳は、更新手続きが必要か?」にてご紹介したとおり、精神障害者保健福祉手帳は2年ごとの更新手続きが必要です。 私が住んでいる自治体では、更新手続きの案内などは送られてきません。手帳を取得した際にも「更新の案内は送っていないので、手続きを忘れないように」と注意を受けていました。 しかし、2年という期間は、〆切を覚えているにはあまりに長すぎました。うっかり更新を忘れて手帳が失効してしまい、再発行の手続きを取ることになってしまったのです。 私は現在、個人事業主として働いているため、仕事に関する直接的な影響(障害者雇用等)はありませんでしたが、その年の確定申告で「税金の障害者控除手続き」が行えず、控除を受けることができなくなってしまいました。 もし障害者雇用で働いていて、手帳の更新を忘れてしまったら……勤務先にもいろいろと、手続きの面倒をかけてしまうことになります。 次回の更新を忘れないよう、現在はスマートフォンのリマインダーアプリと、カレンダーアプリに2年後の更新時期を登録して、忘れないように工夫しています。 まとめ:実際に障害者手帳を取得して 最初は、漠然とした不安感から手帳の取得をためらっていましたが、実際に取得してみて、私自身は「良かった」と思いました。 障害者雇用で配慮を受けながら働かせていただいたり(※)、税金の障害者控除などの支援は本当にありがたく、生計を立てるためにとても助かっています。(※現在は障害者雇用ではなく、個人事業主として仕事をしています。) 大人になってから発達障害であることが分かった当事者にとって、障害を受け入れることはとても大変です。仕事はどうするのか、家族はどうなるのか、不安の種は尽きません。一人で抱え込み、押しつぶされそうに感じることもあります。 しかし、困っているときに助けてくれる制度や相談できる窓口は、私たちの身近に意外とたくさんあります。 どう使うかは自分次第ですが、本当に困ったときには誰かを頼ることも必要なのではないかと思います。 ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 今回の記事を読んでいただき、障害者手帳の概要はわかったものの 「障害者手帳を取得すべきか誰かに相談したい」 「手帳を取得するときのメリット・デメリットをもっと詳しく知りたい」 など、誰かに相談をしたいという方もいらっしゃるかと思います。ぜひ、就労移行支援事業所ディーキャリアに相談してみませんか? 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) ディーキャリアでは「働いても長続きしない」「人間関係がうまくいかない」「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」というお悩みをお持ちの方や、「働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない」という方のサポートを行っています。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
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障害者雇用での就職・転職を検討する際には「どの企業が自分に合っているのか」をよく検討することが大切ですが、その選択肢として忘れずにチェックしておきたいのが特例子会社です。 障害者雇用枠の求人を検索しているとよく目にする、この特例子会社。一般的な会社とは何が違うのでしょうか。この記事では、特例子会社の基礎知識を解説します。 [toc] 特例子会社制度とは 特例子会社とは、「障害者の雇用の促進及び安定を図るために特別な配慮をした子会社」のことで、障害者雇用促進法(正式名称:障害者の雇用の促進等に関する法律)で定められた制度です。 制度は2009年4月に創設され、2020年6月時点で全国に544社の特例子会社があります。 参考:特例子会社一覧(令和2年6月1日現在)|厚生労働省 障害者雇用促進法で定める「障害者雇用率制度※」では、企業等のすべての事業主に対して、一定の割合の障害者を雇用することを義務づけていますが、企業が障害者の雇用の促進と安定を図るために事業主が障害者の雇用に特別に配慮した子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社で雇用されている障害者を親会社が雇用しているとみなすことができると定めています。 ※障害者雇用率制度について、詳しくは「障害者雇用とは?オープン就労を目指す方に向け、基礎情報をまとめました。」の記事をご参照ください。 配慮にもとづき職場環境の整備が求められるため、障害者側にとっては、サポート体制が充実しているというメリットがあります。 また企業側にとっても、親会社の就業規則等に縛られることなく、障害のある方に配慮した柔軟な規則や運用体制を作ることができるというメリットがあります。 特例子会社認定の要件 親会社の要件 親会社が、当該子会社の意思決定機関(株主総会等)を支配していること。 子会社の要件 ① 親会社との人的関係が緊密であること。(具体的には、親会社からの役員派遣等) ② 雇用される障害者が5人以上で、全従業員に占める割合が20%以上であること。また、雇用される障害者に占める重度身体障害者、知的障害者及び精神障害者の割合が30%以上であること。 ③ 障害者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有していること。(具体的には、障害者のための施設の改善、専任の指導員の配置等) ④ その他、障害者の雇用の促進及び安定が確実に達成されると認められること。 特例子会社で働くメリット・デメリット 今回ご紹介するメリット・デメリットは、あくまでも「傾向」であり、すべての特例子会社に当てはまるものではありません。 後項の「特例子会社の採用動向」で詳細をお伝えしますが、近年は、企業や求人内容によって、就業条件や業務内容が多岐に渡っています。 特例子会社で働くメリット メリット1:障害へ配慮のある職場環境が用意されている 特例子会社は、障害のある方に配慮した職場環境を整備しなければならないことが定められています。障害のある方にとって「働きやすい環境」を作るために特例子会社が実際に行っている配慮として、下記のような事例があります。 オフィス環境 ・設備のバリアフリー化 ・支援・指導スタッフやジョブコーチの在籍 ・休憩室の設置 働き方 ・柔軟な勤務形態(時短勤務やフレックスタイム制・時差出勤等) ・服薬・通院など医療に必要な時間確保のしやすさ 業務内容 ・障害特性に配慮した作業内 ・業務の進め方(業務マニュアルの用意や業務指示の出し方など)への工夫を行う 上記の他にも、例えば「定期的な面談・相談を実施する」など、障害のある方が働き続けられるための取り組みが積極的に行われています。 メリット2:障害のある人同士の交流をもつことができる 実際に特例子会社に就職した方からは、「同じ悩みを抱える人が職場内にいることで、同じ視点から相談に乗ってもらえる心強さがある」という声をよくお聞きします。当事者同士でないと分からない不安や悩みを共有しあえる環境があることで、安心感を得てより安定的に働ける効果が期待できます。 特例子会社で働くデメリット デメリット1:給与の相場が低いことがある 企業により異なりますが、最低賃金(参考:東京1,041円、大阪992円、福岡870円 ※2021年11月時点)からのスタートであることが多いようです。(ディーキャリア調べでは70~80%程度の特例子会社が最低賃金スタート)もちろん、入社後の評価により昇給がある企業も多くあります。 ここ最近では、PCなどの実務スキルやこれまでの業務経験を活かすことのできる特例子会社の求人も増えてきており、その場合には入社時の給与設定が最低賃金よりも高く設定されることがあります。 デメリット2:職種の選択肢が少ないことがある 障害に配慮し、精神面・体力面で大きな負荷がかかる業務や、専門的なスキルが求められる難易度の高い業務は、あまり課されない傾向があります。 特例子会社は、親会社やグループ会社から切り出された定型的な業務を請け負っていることが多く、業務内容が限定される傾向があるため、スキルアップを目指す方にとっては「もの足りなさ」を感じてしまうかもしれません。ただし、ルーティン業務が好きな方や、マルチタスクやスケジュール管理が苦手な方にとっては、働きやすい職場とも言えます。 なお、従来の特例子会社は、障害の種別(身体・知的・精神)や特性に関係なく一律に定型化された事務作業や軽作業を行っているケースがほとんどでしたが、近年では障害の特性や本人の能力に合わせて、より能力を発揮できる業務を行っている特例子会社も登場しています。 特例子会社の採用動向 2018年12月の株式会社野村総合研究所「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査結果」によれば、特例子会社の業務内容は下記のようになっています。 特例子会社における業務内容で多い職種(回答:特例子会社196社) 事務補助 79.1% 清掃・管理 50.0% 製造(機械、食品等) 23.5% 物流 20.4% 情報システム 15.8% 定型的な「事務補助」や、「製造工程のライン作業など」「物流倉庫での作業や運送」といった軽作業が多くの割合を占めていますが、近年は、日本全体でIT化やデジタル化を推進する動きが強まっていることもあり、情報システム系の割合が増えてきています。(前年の13.2%から2.6ポイント上昇。) また、平成30年4月1日の法改正で障害者雇用義務の対象として「身体障害者」「知的障害者」だけでなく「精神障害者」も加わったことにより、精神障害(発達障害を含む)のある方に向けた職種も増加傾向にあります。 実際に、2013年は特例子会社で働く精神障害(発達障害を含む)のある方は1,249人だったのに対し、2019年は5,949人と、6年で約4.8倍に増えています。 発達障害は得意と不得意に大きな差がある障害と言われていますが、得意を活かすことで障害の有無にかかわらず企業の戦力として捉え、やりがいある業務を任せるという採用例も増えてきています。 「特例子会社」と「一般企業の障害者雇用」とは何が違う? ここまで特例子会社の解説をしてきましたが、企業がわざわざ特例子会社を設立する意味はどこにあるのでしょうか。一般企業(特例子会社以外の企業)の障害者雇用の場合と、何が違うのでしょうか。 最大の理由は、障害のある方に配慮した柔軟な就業規則の設定や運用を行うことができるからです。 障害のある方を雇用するうえでは、「労働時間の調整」「勤務形態の多様化」「業務内容や働き方への配慮」や、それらに伴う「賃金形態の変更」などを考慮した就業規則を定める必要があります。 一般企業で障害者雇用をおこなう場合、ひとつの企業のなかで一般雇用と障害者雇用の社員が一緒に働くことになりますので、就業規則の変更や調整は決して簡単なものではありません。 例えば、『現在の就業規則では時短社員はすべて「パート採用で有期雇用」だが、障害者雇用の人材に長期的に働いてもらうため、例外的に「正社員で無期雇用」の採用をしたい』、といった場合に、一つの会社のなかで就業規則を調整することは困難です。 特例子会社という別会社を設立すれば、上記のようなケースにも対応した「新たな就業規則」が作ることが可能となります。 まとめ 自分の障害と向き合いながら、より安定的・長期的に働きたいという場合には、「一般企業での障害者雇用枠」以外にも、今回の記事でご紹介した「特例子会社での障害者雇用枠」という選択肢もあります。 それぞれのメリット・デメリットを踏まえたうえで、自分がどのような働き方を実現したいか、考えてみることが大切です。 悩んだら、ディーキャリアに相談してみませんか? 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、一人ひとりに寄り添った就職のサポートをおこなっています。 障害者雇用・一般雇用、特例子会社…さまざまな選択肢がある中で、自分に合うのはどれ?どのような働き方をすれば「働きやすく」なる?どうすれば長期的に働ける仕事を見つけられる?など、就職に関する悩みがつきない方も多いとおもいます。 ぜひ一度、障害のある方の就職支援実績の豊富なわたしたちディーキャリアに相談してみませんか? ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 参考URL 厚生労働省|平成 25 年 障害者雇用状況の集計結果 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11704000-Shokugyouanteikyokukoureishougaikoyoutaisakubu-shougaishakoyoutaisakuka/251119_syougaikoyoujoukyou.pdf 厚生労働省 令和元年 障害者雇用状況の集計結果 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08594.html 厚生労働省|「特例子会社」制度の概要 https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/dl/07.pdf 野村総合研究所|障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査調査結果 https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/report/cc/industry_policy/201812_handicap_06.pdf?la=ja-JP&hash=426C5AC2CE4646E6BAABD2A6031145BE55B4613C
障害者雇用とは?オープン就労を目指す方に向け、基礎情報をまとめました。

求人情報サイトなどで目にすることがある「障害者雇用枠」。そもそも「障害者雇用」とは何?障害のある人の「働く」を守る法律はあるの?といった疑問にお答えするための基礎情報をまとめました。

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国は「障害の有無にかかわらず、個人の希望や能力、適性に応じた職に就き、自立した生活を送ることができる社会」を目指して、障害のある方の雇用対策を推進しています。 厚生労働省の調査(令和元年度 障害者の職業紹介状況等)によれば、障害のある方々が「働きたい」と思う意欲は年々高まっており、ハローワークにおける障害のある方の就職件数は、この11年連続で増加しています。 また、平成30年4月1日より障害者雇用率(企業等の事業者に義務づけられた、障害者を雇用しなければならない人数の割合)が引き上げられ、企業や自治体、教育機関等の事業主が、障害のある方を積極的に雇用するよう後押ししています。 この記事では、障害者雇用枠での就職を目指す方に向けて、障害者雇用の基礎知識をまとめました。障害のある方の雇用をどのように国が推進しているのかを知ることで、障害者の権利や、権利が守られない場合の対処法について知識を深めましょう。 [toc] 障害者雇用促進法とは 障害者雇用促進法は、正式な名称を「障害者の雇用の促進等に関する法律」といいます。その目的は、大きく下記の3つです。 障害者の雇用の促進と安定障害者が職業に就くため、また就いてからの、職業リハビリテーションの推進障害者の自立の推進 つまり、誰もが自分の能力や適性を十分に発揮し活躍ができる雇用環境を整え、障害の有無に関わらず皆がともに働く社会を作るための法律が、障害者雇用促進法です。 障害者雇用促進法で定められている制度やルール それでは、障害者雇用促進法で定められている制度やルールについて、具体的にその内容を解説していきます。 1. 障害者雇用率制度 企業等のすべての事業主は、常時雇用(※)する従業員のうち、一定の割合=法定雇用率以上の障害者を雇用することが義務付けられています。 ※常時雇用…正社員・パート・アルバイトなどの名称にかかわらず、「期間の定めなく雇用されている者」「過去 1 年以上の期間について引き続き雇用されている者、または雇い入れ時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者」のこと。 法定雇用率は、事業主の区分によって割合が定められています。令和3年3月の法改正によって以下のように割合が引き上げられ、障害者雇用の推進が図られています。 民間企業(従業員45.5人以上)…2.2%→2.3%国、地方公共団体、特殊法人…2.5%→2.6%都道府県等の教育委員…2.4%→2.5% 令和3年3月の法改正では法定雇用率の引き上げとともに、民間企業の事業主の範囲が「従業員45.5人以上」から「従業員43.5人以上」へと拡大し、より多くの民間企業が対象となりました。なお、福祉先進国であるヨーロッパの国々では、法定雇用率は5%以上となっており、日本もそれにならう形で、今後さらに割合が引き上げられると予想されています。 2. 障害者雇用納付金制度 障害者雇用に伴う、事業主の間の経済的負担の差を調整したり、経済的な負担を軽減したりするための制度です。大きく分けて以下の2つがあります。 2-1. 納付金・調整金 先ほど「1. 障害者雇用率制度」でもご紹介したとおり、障害者雇用促進法では、すべての事業主に対して一定の割合での障害者の雇用を義務づけられています。しかし実際には、障害者雇用率を満たせている事業主も、満たせていない事業主も存在します。 障害者雇用のためには、施設の整備や介助者の配置など、事業主には少なからず経済的な負担が発生します。「障害者雇用を推進する企業だけが経済的な負担を背負い、推進できていない企業は負担を免れる」ということにならないように、法定雇用率を満たせていない企業からは納付金を徴収し、満たせている企業には調整金を支給する仕組みになっているのです。 なお、納付金を徴収する対象は、一定の規模以上(常時雇用される従業員が100名以上)の事業主となっており、100名未満の事業主からは徴収されません。これは、規模の大きな事業者ほどより大きな経済的利益を得ており、社会的な責任も大きいという考えに基づいています。 そのため、大企業の方が、中小企業と比べてより積極的な障害者雇用を求められていると言えるでしょう。 2-2. 各種助成金 事業主が障害のある方を雇用した際や、施設の整備、介助者の配置などを行った際に申請することで、事業主に一定の金額が支給される助成金制度が整備されています。事業主の経済的な負担を軽減し、障害者雇用を後押しするための制度です。 3. 障害者に対する差別の禁止 すべての事業主に対し、障害者であることを理由に不当な差別をすることを禁止するルールです。募集や採用を行う際、そして採用後の待遇(賃金・配置・昇進・教育訓練など)において、以下のような差別を禁止しています。 募集・採用時 ・「障害がある」ことを理由として、募集や採用の対象から外す ・障害のある方に対してのみ不利な待遇条件を提示する(例:賃金が低い、賞与・昇給がない、福利厚生がない、雇用形態が異なる、等) ・求める経験を持つ候補者が複数いた場合に、障害のない人を優先し採用する 採用後 ・教育訓練(研修、実習など)を受けさせない ・食堂、休憩室などの利用を制限する ・人事考課を行わない、昇進・昇格がない ・ジョブローテーション(社内における職種変更)を受けられない なお、このルールで禁止されているのは不当な差別です。障害の有無にかかわらず職業能力を適正に評価し、その結果として待遇が異なるということを説明できる場合には、ルール違反を問われることにはなりません。 4. 合理的配慮の提供義務 合理的配慮とは、障害のあるなしに関わらず誰もが平等に生きることができる社会を実現するために、障害によっておきる困難さを取り除いたり、周りの環境を整えたりするなどの支援のことです。 合理的配慮の提供を受けることができる「障害者」とは、「障害者手帳を持っている人のこと」だけではありません。 手帳の有無や、障害の種別(身体・知的・精神)、雇用の形態(障害者雇用か一般雇用か)を問わず、障害の特性によって、社会のなかで困難さを抱えている人すべてが対象となります。(もちろん、発達障害の方も対象です。) 合理的配慮については、以下のコラムで詳しく解説していますので、ご参照ください。 合理的配慮ってなに?企業に依頼をする前に知っておくべき基礎知識「合理的配慮」申請マニュアル 4つのステップと知っておくべきポイント自分にとって必要な配慮は?を学ぶための、合理的配慮の事例集みんなの「お悩み」ポイントはどこ?合理的配慮のよくある質問集 5. 苦情処理・紛争解決援助 障害者雇用促進法の制度やルールが守られていなかったり、実際には機能していなかったりするような場合に、相談する窓口や対応する体制を整えておくためのルールで、以下の措置を事業主に義務づけています。 相談窓口を従業員に周知すること相談者のプライバシーを守ること相談内容を理由に不利益な取り扱いをすることを禁止すること。また、従業員に対して「相談内容を理由に不利益な取り扱いはしない」ことを周知すること。 なお、障害のある従業員と事業主との「当事者同士」での解決が難しい場合には、各都道府県が運営する労働局(の職業安定部)に援助を求めることができます。 労働局に援助を求めた場合には、「労働局長による助言、指導または勧告」や「第三者による調停」が行われます。 障害者雇用の対象者 障害者雇用促進法では、事業主に対して雇用を義務づけている障害者(=障害者雇用率の人数としてカウントされる対象)を、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれかの交付を受けている人と定めています。 つまり、障害者雇用の求人に応募したい場合には、障害者手帳が必要ということになります。 参考:厚生労働省|障害者の雇用 申請先や申請方法は自治体や手帳の種類により異なりますが、まずは、各自治体の「障害福祉担当窓口」に相談してみるのが良いでしょう。手帳を取得することで、障害者雇用の求人に応募ができるほか、障害の種類や程度に応じ、さまざまな福祉サービスを受けることもできます。 障害者雇用と一般雇用のそれぞれの特徴や、メリット・デメリットについては、以下のコラムで詳しく解説していますので、ご参照ください。 障害者雇用と一般雇用とは?実際の支援の現場から見えてきた、障害者雇用・一般雇用におけるメリットとデメリットみんなの「お悩み」ポイントはどこ? 障害者雇用(障害者求人枠)と一般雇用(一般求人枠)のよくある質問集【企業人事に聞いた】変わりつつある「障害者雇用」への考え方 押さえておきたいポイント 少し分かりづらいのですが、「障害者雇用促進法の対象者」と「障害者雇用枠の対象者」は異なっていますので、注意が必要です。 障害者雇用促進法という法律そのものは、「障害のために、長期にわたって職業生活に相当の制限を受けている方、または、職業生活を営むことが著しく困難な方」を対象としており、障害者手帳の有無は問われていません。 一方で、先ほども述べたように、障害者雇用枠の対象者は障害者手帳を持っている方です。 法律の目的は「誰もが自分の能力や適性を十分に発揮し活躍ができる雇用環境を整え、障害の有無に関わらず皆がともに働く社会の実現」ですので手帳の有無は問われませんが、障害者雇用の制度を利用するためには、障害による困難を確認できるものとして障害者手帳が必要となるということを、ポイントとして押さえておきましょう。 障害者雇用の現状 私たちが生活する日本の社会のなかで、障害者雇用が実際にはどれくらい推進されているのでしょうか。現状は以下のようになっています。 雇用されている障害者の数(令和3年度) 民間企業(常時雇用する従業員数43.5人以上:法定雇用率2.3%)に雇用されている障害者の数は約59.8万人で、前年より3.3%(2万人)増加しました。障害ごとの内訳は以下のとおりです。 障害種別 雇用人数 前年度対比 身体障害 35.9万人 0.8%増 知的障害 14.0万人 4.0%増 精神障害(発達障害含む) 9.8万人 10.2%増 いずれも前年度より増加しており、特に、発達障害者を含む精神障害者の雇用が大きく伸びています。 実雇用率 2.20% 前年度対比で0.05ポイント増 実雇用率とは、実際に雇用されている障害のある人の割合のことで、10年連続で過去最高を更新しています。実雇用率は常時雇用、つまり、継続的に雇用されており労働時間も一定以上の障害者の人数をもとに計算されており、障害のある方が社会のなかで長期的・安定的に働けていることの指標となります。 障害者雇用率達成企業の割合 47.0% 前年度対比で1.6ポイント減 令和3年から事業主の範囲が「従業員45.5人以上」から「従業員43.5人以上」へと拡大し、これまで報告対象でなかった43.5人〜45.5人未満規模の企業の達成率が35.1%に留まっており、全体の割合を押し下げる要因となったようです。 なお、令和3年の法定雇用率未達成企業は全国で56,618社ありますが、そのうち「1人だけ不足している」という企業が63.9%でした。つまり、未達成だった企業でも、その過半数は達成まであと一歩のところまで来ている、ということが言えそうです。 特例子会社の状況 全国で562社 前年度対比で20社増 特例子会社とは、「障害者の雇用の促進及び安定を図るために特別な配慮をした子会社」のことで、配慮にもとづき職場環境の整備が求められるため、一般企業の障害者雇用枠と比べて、さらにサポート体制が充実しています。 特例子会社が雇用する障害者の内訳は、下記のようになっています。 障害種別 雇用人数 前年度対比 身体障害 1.2万人 2.5%増 知的障害 2.2万人 6.8%増 精神障害(発達障害含む) 0.8万人 13.5%増 ハローワークにおける障害者の職業紹介状況(令和2年度) 新規求職申込件数は211.926件で前年度より5.1%減少、就職件数は89,840件で前年度より12.9%減少しています。就職率(就職件数÷新規求職申込件数)は、前年より3.8ポイント下がり、42.4%でした。障害ごとの内訳は以下のとおりです。 障害種別 就職件数(前年度対比) 就職率 身体障害 20,025件(21.4%減) 34.7%(6.4ポイント減) 知的障害 19,801件(9.6%減) 57.7%(1.7ポイント減) 精神障害(発達障害含む) 40,624件(18.1%減) 42.6%(3.6ポイント減) その他の障害(手帳を所持しない発達障害者含む) 9,390件(52.2%増) 38.2%(1.6ポイント増) 新規求職申込件数は、平成11年度以来、21年ぶりの減少に転じています。新型コロナウイルス感染症の影響により「製造業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「卸売業,小売業」といった障害者が比較的応募しやすい業種の求人数が減少した影響と考えられます。 精神障害者雇用義務化 ここまで見てきたように、障害のある方の就職に関するさまざまな指標で、精神障害者(発達障害含む)の数値は近年、大きな伸びを示しています。 一方で、精神障害者の人数:389.1万人に対して、就業者数(実際に働いている人)は9.8万人しかおらず、わずか2.5%と非常に低い状況です。 平成30年4月1日の法改正では、法定雇用率が引き上げられたのと同時に、障害者雇用義務の対象として、「身体障害者」「知的障害者」だけでなく、「精神障害者」も加わりました。(この法律上の精神障害者には、発達障害も含まれています。) ここにいう雇用義務化とは、「事業主が必ず精神障害者を雇用しなければならない」ということではなく、「法定雇用率の算出に、精神障害者を対象にしてよい」という意味です。 精神障害者の雇用義務化により、企業等による精神障害や発達障害の方の雇用が進んでいくことが期待されています。 まとめ 法改正後、国や福祉サービスを提供する事業者が、企業等に対して精神・発達障害への理解を深めるためのセミナーを実施する例が増えてきました。精神・発達障害とはそもそもどのようなものなのか、企業等の側として受け入れるためにはどうすべきか、企業等の側も関心が高まっていることが伺えます。 また、今回ご紹介をした法律や制度以外にも、例えば、実雇用率が低い企業については行政処分の対象となったり、逆に雇用に積極的な企業は税金が優遇されたりするなど、障害者の雇用を支援するさまざま制度が整備されてきていますので、障害者の雇用がさらに推進されていくことが期待されています。 一人で悩まず、ディーキャリアに相談してみませんか? 障害者求人枠が自分に合うかが分からない…障害者雇用というものにまだ不安がある…というお悩みがある方も多いと思います。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 参考URL 厚生労働省 障害者雇用対策https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html 厚生労働省 障害者の雇用https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html 厚生労働省 令和3年 障害者雇用状況の集計結果https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23014.html 内閣府 令和3年版 障害者白書 参考資料 障害者の状況https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r03hakusho/zenbun/siryo_02.html 厚生労働省 令和2年度 障害者の職業紹介状況等https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19443.html