発達障害のある方の合理的配慮事例|職場コミュニケーション編

合理的配慮とは、「障害による困りごとへの配慮を、企業や自治体、教育機関等の事業主(※)に求めることができる」という制度です(※以下、本文では「職場」と表記します)。合理的配慮について職場と調整をすることは、発達障害のある方が安定して長く働いていくために大切なポイントとなります。

では、具体的にどんな内容であれば、職場に合理的配慮を求めることができるでしょうか。

今回は、発達障害の特性がある方が抱えやすい「コミュニケーション」の苦手に対する配慮事例を紹介をします。

相談前に押さえておこう〜合理的配慮の前提となる自己対処〜

「合理的」と付いているのには理由がある。

「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」などの法律では、障害のある方に対し職場は合理的配慮の提供をおこなうことを義務づけています。

ただし、「障害者が求めたことは、どんな内容でも配慮してもらえる」というわけではありません。

法律では、職場が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で」と定められています。職場の側に配慮を求めるだけでなく、障害者の側も「自分でおこなえる対処」を提示して、互いに無理のない範囲をすり合わせることが必要です。

これが、単に「配慮」ではなく「合理的配慮」と書かれている理由です。

「合理的であるかどうか」を判断するポイントは、「障害が原因となる困難さのうち自己対処では対応しきれないことであり、かつ職場側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲かどうか」ですので、しっかりと押さえておきましょう。

なお、合理的配慮については以下の記事で詳しく解説しています。実際に職場と合理的配慮の相談をする前に、ぜひご一読ください。

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