合理的配慮

合理的配慮記事一覧

【大人の発達障害の就活HACK】「求める人物像」をチェックしよう

「求める人物像」をチェックすることで、就職後のミスマッチを防ぎ、長く働くことができる可能性が高まります。 今回の記事では、「求める人物像」に書かれている内容の読み解き方について解説します。

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求人に応募しようとするとき、「この会社は本当に自分に合っているのか?」「長く働き続けられる環境なのか?」と不安に感じたことはありませんか? 求人情報にはさまざまな応募条件が書かれていますが、自分に合った会社かどうかを見定めるために、ぜひチェックしておきたいのが「求める人物像」という項目です。 私たちが「自分に合う会社で働きたい」と思うのと同じで、企業側も「この会社に合う人に働いて欲しい」と思っています。「求める人物像」をチェックすることで、就職後のミスマッチを防ぎ、長く働くことができる可能性が高まります。 今回の記事では、「求める人物像」に書かれている内容の読み解き方について解説します。 特に、障害者雇用枠求人の場合、企業が重視するポイントが決まっており、事前に知っておくことで就職活動への準備にもなります。自分に合った長く働ける会社を見つけるために、ぜひこの記事をご参考ください。 [toc] 求める人物像には「この会社に合う人」の条件が書いてある 企業が「求める人物像」を設定する理由は、入社後のミスマッチを防ぐためです。 皆さんは、企業の採用活動に「どれくらいのお金が掛かっているか」をご存知でしょうか。大手人材会社が行った調査 [*注] によると、新しい人材を採用するためには一人あたり平均で 100 万円前後のコストが掛かると言われています。これだけのお金を掛けるのですから、「良い人に就職してもらい、長く働いて欲しい」と企業が考えるのは当然だと言えるでしょう。 応募条件のうち「業務経験」や「資格」「学歴」といったものは、応募書類を見ればすぐに判断ができます。一方で、 ・応募者が、仕事に対しどれくらいの意欲を持っているか ・応募者の興味・志向と、会社の社風・方針がどれだけマッチするか ・応募者の行動タイプや適性(例:慎重派か行動派か、話し好きか物静かか、等)と、募集している仕事がどれだけマッチするか …という「長く働いてもらうために、確認しておきたいこと」は、書類だけではなかなか判断ができません。そこで、「求める人物像」を設定し、応募者に対して「私たちの会社には、こういう人が合いますよ」という条件を知らせようとしているのです。 [*注] 出典:株式会社リクルート 就職みらい研究所「就職白書2020」 求める人物像を見れば「その会社で長く働けているのはどんな人か」が分かる 「求める人物像」は、求人を出している部署や職種で「実際に活躍している人」「実際に長く働いている人」を元に作られています。よって「求める人物像」を見れば、どんな人ならその会社で活躍したり長く働いたりできるのかが分かります。 特に「その業界や職種が未経験でも OK」の求人では、資格や学歴よりも人物像を重視する傾向があります。もし、今まで経験がない仕事の求人に応募したい場合は、自分が持っている仕事への想いや、行動タイプや適性、価値観などが「求める人物像」とどれくらいマッチするのか、しっかりとチェックしておきましょう。 次ページ:気をつけなければならない「落とし穴」とは?
【大人の発達障害の就活HACK】面接の準備をしよう|対策と流れ

大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。

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書類選考を通過すると、いよいよ次は面接です。初めて会う人と話すのは誰でも緊張するもの。ましてや、それで就職できるかどうか決まると思うと、いっそう緊張感は高まります。 大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。 ・スケジュールを立てることや見通しを立てることが苦手で、面接準備が間に合わない ・遅刻をしてしまうことが多く、面接時間に間に合わない ・考えを頭の中でまとめるのが苦手で、質問にうまく答えられない ・面接官からの質問を忘れてしまったり理解ができなかったりすることで、かみ合わないことがある ・そもそもコミュニケーションが不得意で、話すことが苦手 など、特性による苦手によって “つまずき” を感じることがあります。 この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。 面接は職場の実際の様子を見たり、担当者と直接話をしたりできる貴重な機会でもあります。しっかりと準備をしていきましょう。 [toc] 1. 事前の準備が何よりも大切 発達障害のある方に特に多いのが、人前で話すのが苦手という悩みです。「人前で話すことが得意な人でないと、面接はうまく行かないんじゃないか…?」と心配に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、決してそんなことはありません。たとえ人前で話すことが苦手でも、事前の準備をしっかりすることで面接を乗り越えることができます。 マイクロソフト社で 10 年以上にわたりトップ・プレゼンターとして表彰され続けた澤 円(さわ・まどか)さん。人前で話すプロフェッショナルであり「プレゼンの神様」とまで呼ばれた澤さんは “プレゼンが成功するかどうかは、8 割が準備で決まる” と語っています。(澤さんご自身、発達障害の当事者でもいらっしゃいます。) 「私は人前で話すことが苦手だから、面接は自信がない…」という方ほど、準備にしっかりと時間をかけましょう。 1-1. しゃべる内容の台本を作る どんなに話し方がキレイなアナウンサーでも、名演技をする俳優でも、しゃべっていることには必ず台本があります。まずは、面接でしゃべる内容を紙に書き出して、台本を作りましょう。 「面接では何を聞かれるか分からないのに、台本が作れるの?」と思われるかも知れませんが、ほとんどの面接では、聞かれることは共通しています。たとえば以下のようなものです。 ・この会社へ応募しようと思ったのはなぜですか?(志望動機) ・あなたがこの会社へ入ったら、どのようなことで活躍できますか?(自己 PR) ・あなたの長所や短所を教えてください。(自己分析) ・あなたが、これまでの人生で体験した成功/失敗について教えてください。(自己分析) 特に “志望動機” や “自己 PR” は、応募書類(履歴書・職務経歴書)にも書いていますので、書類に書いたことと面接でしゃべることが食い違ってしまわないよう注意しましょう。食い違ってしまうと話がウソっぽくなり、マイナスの評価になってしまいますので、書類に書いた内容をもとに台本を作りましょう。 障害者雇用枠での採用面接の場合、以下のような “障害に関する質問” もされますので、こちらも台本を作っておきましょう。 ・あなたの障害特性について教えてください ・必要な合理的配慮は何ですか? ・あなたが行っている「障害へのセルフケア」について教えてください なお、合理的配慮の考え方については以下の記事もぜひ参考にしてみてください。 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 手書きの書類を郵送で送る場合は、台本を作るために、発送前にコピーを取って手元に残しておくことをオススメします。もし、コピーを取らずすでに書類を送ってしまっている場合は、できる限り思い出して書いてください。 1-2. 実際に声に出して練習する 台本ができたら、実際にしゃべる練習をしましょう。声に出してみて、しゃべりづらい部分があれば台本を手直しします。台本を丸暗記する必要はありません。自分の言葉で、自然に話せることが大切です。 しゃべっている内容を誰かに聞いてもらっても良いでしょう。第三者の視点から、自分では気が付かないこともアドバイスしてもらえることがあります。「誰かに聞かれるのは恥ずかしい」「聞いてもらえる相手が近くにいない」という場合は、スマートフォンの “ボイスメモ” のアプリを使って自分の声を録音し、自分で聞いてみるだけでも新たな発見があります。 練習では、話すスピードや量を意識することが大切です。①早口になりすぎない ②話が長すぎない…の 2 つを意識して台本を作りましょう。例えば、自己紹介の場合は「文字数は300~500字」で台本を作り、ストップウォッチで時間を測りながら「2分以内」で話せるように練習をしてみましょう。 このあと「2. 面接当日の流れを知っておこう」で、実際の面接の流れについて解説しますが、それに沿って練習するのもオススメです。例えば、家族や友人に面接官役をやってもらい、自分は実際にスーツを着て、部屋に入るところから実際に受け答えするところまでを一通りシミュレーションしてみるのです。心の準備にもなり、当日の緊張を和らげることができます。 1-3. 当日の準備をする 面接の当日、実際に出かけるときの準備も、事前にしっかりと済ませておきましょう。準備のポイントは、以下の 2 点です。 ポイント 1. 身だしなみを整える 身だしなみはとても大切です。「人は外見よりも中身の方が大事だ」とよく言われますが、身だしなみは社会人としてのマナーの基本です。面接官からも見られるポイントになりますので、しっかりと準備をしておきましょう。 服装は基本的に、上下セットのスーツです。ワイシャツは体に合ったサイズを選び、シワがないようアイロンをかけます。革靴も磨いておきましょう。 「面接に着ていけるようなスーツをまだ持っていない」という方は、スーツ専門店で購入しましょう。店員さんに「就職活動の面接で着ていけるスーツが欲しいんですが……」と尋ねれば、最適なモノを見繕ってもらえます。自分の体型に合ったワイシャツや、ネクタイ・靴下・革靴までセットで揃えることができます。 身だしなみや面接に着ていく服に悩んでいる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】朝の準備をテンプレ化!ワーキングメモリーの弱み&衝動性対策で遅刻を防止 ポイント 2. 遅刻をしないようにする 面接でもっともやってはいけないことは、約束の時間に遅刻することです。身だしなみと同じく、「約束や時間を守ること」は社会人としての基本的なマナーです。履歴書がどんなに立派でも、面接でどんなに上手く自己 PR できたとしても、遅刻をしたらすべてが台無しになってしまうので、じゅうぶん注意しましょう。 「途中で交通機関が遅れたり、体調が悪くなったりしたら仕方がないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、「そうなったとしても、できるかぎり遅刻をしない」ように事前に準備しておくことが大切です。 ・交通機関が遅れるかも知れない → 約束の時間より1時間ほど早く到着できるよう、余裕を持って出発し、早めに着いたら、目的地周辺のレストランやカフェなどで時間まで待機する。 ・途中で体調が悪くなるかも知れない → 前日は早く寝て体調を整える。「緊張するとお腹が痛くなりやすい」など、特定の症状が出やすいことが分かっている場合は、胃腸薬などの薬を事前に用意して持って行く。 当日「やむを得ない事情」や「急用」で遅刻やキャンセルをする際には、必ず先方に電話で連絡を入れます。(メールだと、相手が気が付くまで時間がかかるため。)先方の連絡先をあらかじめ携帯電話やスマートフォンに登録しておき、すぐに連絡ができるよう準備しておきましょう。 「やむを得ない事情」や「急用」とは、以下のようなものです。 ・体調を整えることにじゅうぶん注意していたが、それでも体調を崩してしまった場合(例:持病が急に悪化してしまった、新型コロナやインフルエンザなどの感染症にかかってしまった、等) ・地震などの突然の災害や大規模な事故などで、交通機関が2時間以上遅れたり、運休したりしているような場合 ・自分の親や子ども、一緒に住んでいる家族など「近しい親族」に、命に関わるようなことが起こった場合(例:交通事故に遭って病院に運ばれた、病気で入院していたが危篤状態になった、等) ・自分自身が、何かの事件や事故に巻き込まれた場合 なお、遅刻をしないためのテクニックについて、以下の記事でスマートフォンアプリを活用した方法を解説しています。こちらもぜひご参考ください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】アプリ活用で予定通りに行動!原因を理解して、遅刻対策をしよう。 次ページ:実際の面接は、どのように進むの?
【当事者が解説】大人の発達障害の診断は受けるべき?メリットや注意点を紹介

発達障害当事者が、診断を受けるか悩んだ実体験をもとに「診断を受けるメリットやデメリット」「診断を受けるために必要な手順」「診断を受ける場合の注意点」「実際に診断を受けて何が変わったのか」を解説します。

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「発達障害のことを調べていたら、思い当たることが多かった」「発達障害の診断チェックリストをやってみたら、多くの項目に当てはまった」 働きづらさや生きづらさを感じている方のなかには、こうしたきっかけで発達障害について知った、という方も多いのではないでしょうか。何を隠そう、筆者もその中の一人です。 私は「自分は発達障害なのかもしれない」と思ってから医師の診断を受けるまでに、さまざまな悩みごとを経験しました。今回の記事では、実際に当事者として悩んだ経験をもとに ・診断を受けるメリットやデメリットはあるのか ・診断を受けるためには、どういう手順が必要なのか ・診断を受ける場合、何か注意すべきことはあるのか ・実際に、筆者が診断を受けてみて何が変わったのか …について解説します。 [toc] 1. 発達障害について最初に押さえておきたい 2 つのキーワード〜①生まれつき ②ミスマッチ〜 すでにインターネットなどで情報をご覧になり、発達障害が「先天的な脳機能の障害」であることや、いくつかの種類があることをご存知の方も多いかと思います。(自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)、等) 発達障害について理解するために、もう少し表現をかみ砕いてみましょう。 発達障害とは、生まれつきの “脳の発達の偏り” がきっかけとなり、生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。押さえておきたいキーワードは ①生まれつき ②ミスマッチ…の 2 つです。それぞれについて解説します。 なお、大人の発達障害について基礎知識について知りたい方は、以下のページもご参照ください。 大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア キーワード 1「生まれつき」〜発達障害とは、本人の努力不足や親の育て方の問題ではない〜 「生まれつき」ということは、つまり、自分が大人になるまでの間に努力をしてこなかったとか、親の育て方が悪かったとか、そのような問題ではないということです。 過去の自分を責める必要はありません。「発達障害というものの存在を知った、今、このときから何ができるのか」を考えることが大切です。 キーワード 2「ミスマッチ」〜発達障害の方の “生きづらさ” は、周囲の環境によって起こっている場合がある〜 「ミスマッチが起こることで生きづらさが生じる」ということは、逆に「ミスマッチがなければ、生きづらさは生じない」とも言えそうです。これは一体、どういうことなのでしょうか。 社会学では、障害とは「個人の特性」によって起こるのではなく「社会との関係」によって起こるのだという、障害社会学 [*3]という考え方があります。 例えば、近視で遠くがよく見えない人がいるとしましょう。 現代は、メガネやコンタクトレンズがあります。パイロットなどの特別な職業でない限り、多くの人はそれほど遠くまで見えなくても仕事や日常生活に困りません。必要なら双眼鏡などの道具を使うこともできます。近視だったとしても、「社会的な不利益」を受けることは少ないと言えるでしょう。 しかし、これが原始時代だったらどうでしょうか。 遠くがよく見えなければ、狩りで獲物を探したり、迫ってくる危険をいち早く見つけたりすることができません。そのため、同じ集落の仲間に迷惑を掛けてしまい、「お前は役立たずだ」と言われて集落から追い出されてしまうかも知れません。近視であることで、「社会的な不利益」を受けてしまうおそれがあるのです。 周りの環境や社会との関係によって不利益を受けることが障害なのであり、個人の特性(近視であること)が障害なのではないというのが、障害社会学の考え方です。 実際に筆者も、職業や働き方を変えたことで “働きづらさ” は大きく改善されました。今は、一緒に仕事をしていても、私に発達障害があることにまったく気が付かない人もたくさんいます。 発達障害そのものに対してなにか対策を行うだけではなく、自分の特性とミスマッチを起こしている環境もあわせて見直すことが、とても重要なのです。 [*3] 参考文献:テーマ別研究動向(障害の社会学)|J-STAGE 次ページ:診断を受けた方が良いのは、どのような人?
【大人の発達障害の就活HACK】応募の準備をしよう〜履歴書編〜

履歴書をはじめて書く方や、久しぶり書くという方に向けて、履歴書の書き方の基礎を解説します。基本的な書類だからこそ、正しい書き方を身に付け、就職・転職活動にのぞみましょう。

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就職・転職活動で、基本中の基本と言える書類が、履歴書です。 最近は、求人サイトや求人アプリの機能が進化しており、書類を作らなくても応募できるケースも出てきましたが、まだまだ多くの場合は、選考のいずれかのタイミングで履歴書を求められます。 本記事では、履歴書をはじめて書く方や、久しぶり書くという方に向けて、履歴書の書き方の基礎を解説します。基本的な書類だからこそ、正しい書き方を身に付け、就職・転職活動にのぞみましょう。 [toc] 1. そもそも履歴書とは?職務経歴書とは何が違う? 履歴書は、あなたという人物の“プロフィール”を応募先に伝えるための書類です。名前はもちろん、住んでいる場所や連絡先、学歴・職歴、趣味や特技など、自分に関する基本的な情報を記載します。 応募書類としては、“職務経歴書”とセットで扱われることが多いですが、職務経歴書は、履歴書の“職歴”の部分について「いつ・どんな仕事をして・どのような経験や実績を積んだか」という詳細を説明するためのものです。 転職活動では、ほとんどの場合、履歴書と職務経歴書の両方が必要です。 新卒での就職活動の場合は、そもそも職歴がないため職務経歴書は求められません。また、社会人の転職であっても、短期的なパート/アルバイトの場合は職務経歴書の提出が省略され、面接にて口頭で確認されるような場合もあります。 履歴書は、書かれている中身と同じくらい、その書き方も企業側からチェックされます。 例えば、書き方のルールが守られていなかったら、企業側からは「社会人として、基本的なルールを守ることができない」と見られてしまう可能性があります。書いた内容が誤っている、雑に書いてしまっている場合には「仕事にも丁寧に取り組めないのではないか」と思われてしまうかも知れません。 履歴書は、単に自分の情報を伝える書類というだけでなく、自分という人間のあり方を表現する書類だとも言えるでしょう。 2. 履歴書の書き方の基本的なルール 本当に大切なのは、あなたという人物の“中身”ですが、中身を見てもらうためにはまず“外見”をしっかりと整えねばなりません。基本的なルールを押さえた上で、履歴書を作っていきましょう。 2-1. 履歴書の書式〜手書きの場合と PC で作る場合〜 かつて、履歴書は紙・手書きで作成・郵送することが一般的でした。しかし、最近は PC で作成したデータをメール等で提出するケースも増えています。企業により提出方法が指定されている場合もあるので、まずは応募先の企業がどのような形式で提出を求めているのかを確認しましょう。 PC で作成する場合、MS Word や Excel で自作するよりも、履歴書作成サービスを使った方がキレイな書類を簡単に作成できます。履歴書作成サービスには以下のようなものがあります。 ・ブラウザでつくれる履歴書「yagish(ヤギッシュ)」 ・できる履歴書 - Wantedly Word や Excel で自作したい場合には、大手求人サイトが配布しているテンプレートを使うと、ゼロから作る必要がなく便利です。 なお、履歴書をデータで提出する場合は、必ず PDF に変換してから送るようにしましょう。Word や Excel のものをそのまま送ってしまうと、後から書き換えができてしまうため NG です。 また、受け取った相手が紙に印刷する場合があることを考え、A4 サイズで印刷されるように印刷サイズを調整しておく方がベターです。 さらに、誰の履歴書なのか受け取った相手が分かりやすいよう、ファイルの名前は「山田太郎_履歴書_2021年9月1日応募.pdf」などのように工夫して付けるようにしましょう。 現代は、ほとんどの職業で PC を使った作業が行われていますので、このようなデータの取り扱い方も企業がチェックするポイントになっています。丁寧に履歴書のデータを作りましょう。 手書きの場合、文具店や書店、コンビニなどで売っている履歴書を購入します。大きさは A4 のものと B5 のものがありますが、応募先の企業から指定がない限り、どちらを選んでも問題ありません。履歴書と封筒がセットになっているものもありますが、封筒を別に買う場合は、履歴書の用紙サイズと合ったものを選びましょう。サイズが合わない封筒に、書類を無理やり折り曲げて入れるのは NG です。 鉛筆/シャープペンは消して書き換えることができてしまうため、必ず黒のボールペンを使用します。ペンや紙の種類によっては、文字がにじんでしまう場合があるので注意しましょう。 もし、ボールペンで書いていて間違えてしまったら、修正液などで直さず、新しい用紙に最初から書き直した方がベターです。履歴書を買ったら何枚かコピーしておき、まずはコピーした紙で下書きを作ってから清書するのがおすすめです。 2-2. 日付 書類の一番最初に日付を書く欄がありますが、ここには“履歴書を発送する日”(郵送で送る場合)、または、“面接の日”(面接で直接手渡す場合)のどちらかを書きます。書類を書き始めた時点ではまだ日付は入れず、実際に提出する際に書いた方が良いでしょう。 日付を書く際の注意点は、書類の全体で和暦か西暦かのどちらかに統一して書くことです。 履歴書には、いくつか日付を書く場所があります。例えば、誕生日を「昭和●年…」と書いた場合は、学歴・職歴の欄も、資格を取得した日もすべて「昭和/平成/令和」の和暦で統一します。 誕生日は和暦で書いてあるのに学歴・職歴は西暦で書いてある…のように、1 枚の書類のなかで和暦と西暦が混ざらないように注意しましょう。 2-3. 写真 写真は、応募する日から 3 か月以内に撮影したものを使います。 履歴書の書式によって、貼り付ける写真のサイズが若干異なる場合がありますが、ほとんどの場合は、縦 4 cm×横 3 cm です。履歴書の枠にピッタリおさまるサイズを用意します。 背景はなしで、正面を向き、頭の上から胸までが移るように撮影します。服装は基本的にスーツです。 人物写真は光の当て具合などが難しく、スクリーンがないと背景もキレイにならないので、スマートフォンやデジタルカメラを使って自分で撮影する(あるいは、家族や友人に撮ってもらう)のはオススメしません。 駅などにある“証明写真機”は、画面に表示される案内に従ってその場で手軽に履歴書用の写真を撮影することができます。ただ、プリントされた写真を見たら思いがけず髪型や服装が乱れていたり、顔色が悪く映ってしまったりと、慣れていないとうまく撮れないこともあります。 証明写真機よりも多少、時間とお金はかかりますが、七五三などの記念写真を撮ってもらうような“カメラスタジオ”や“写真館”では、光の当たり具合や姿勢・髪型・服装をチェックしてくれた上でキレイに撮影してもらえます。最近では、撮影した写真をデータでもらえるような撮影プランもありますので、PC で履歴書を作るときにも便利です。インターネットで「●●(住んでいる場所)+証明写真」などと検索してみると良いでしょう。 履歴書のなかで、写真は唯一「自分を絵で見せることができる部分」になりますので、できる限りキレイなものを用意しましょう。 次ページ:履歴書の最重要部分〜職歴の書き方〜
合理的配慮のよくある質問集

「合理的配慮」に詳しく知りたい方に向け、よくあるご質問形式で補足情報をまとめました。

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メールやお電話での無料相談、そして、ディーキャリア各事業所で行っている無料相談会では、大人の発達障害の特性に悩まれている方から、多くのご相談をいただきます。 最近は「大人の発達障害」に対する社会的な認知度が高まり、テレビ番組や雑誌などでも取り上げられることが増えてきました。また、インターネットでも、専門的な情報から実際の当事者による体験談まで、さまざまな情報を手に入れることができるようになりました。 一方で、誰とも相談しないまま、「調べれば調べるほど、一人で悩んでしまう」という方も多くいらっしゃいます。「誰かに相談する」というのは、なかなかハードルが高いもの。最初の一歩を踏み出すには、勇気が必要です。 そこでこちらの記事では、私たちがご相談をいただくなかで、「合理的配慮」についての、よくある質問をまとめました。「同じ困りごとを抱えている人が、どんなポイントで悩んでいるのか」を知ることで、ご自身の悩みを解決するための、ヒントを得られるかも知れません。 ※本記事では、「企業や自治体、教育機関等の事業主」を、便宜上「企業等」と表記しています。 [toc] Q1. 「合理的配慮」は、障害のある当事者からの申し出であれば、どんな内容でも対応してくれるの? A1. どんな内容でも対応してもらえるわけではありません。申し出の内容が「合理的であるか」が判断軸となります。 法律では、企業等が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で、対応に努めること」と定められています。また、企業等の側に配慮を求めるだけでなく、障害者の側も「自分で行える対処=セルフケア」を提示して、すり合わせをおこなうことが大切です。 つまり、「合理的であるかどうか」を判断するポイントは、「障害が原因となる困難さのうち、セルフケアをしても対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲かどうか」がポイントとなります 参考記事:合理的配慮ってなに?−「合理的配慮」で押さえておくべき3つのポイント Q2.障害のことを開示せずに「合理的配慮」を求めることはできるの? A2. 合理的配慮の提供を求めるためには、企業等の側に、障害のことを開示する必要があります。 合理的配慮は、「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」で定められています。法律の名前にあるとおり、いずれの法律も障害のある方に対する支援を目的としていますので、障害があることを開示しなければなりません。 なお、障害があることを証明するための書類については、Q5. をご参照ください。
「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介

合理的配慮を依頼したいけど、どうやって勤務先に伝えればいいの?対応してもらるか不安… といった方に向け、4つのステップに分け、申請方法をまとめました。

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合理的配慮は、障害者のある方が自分の能力を活かし、自分らしく働くうえでの大切なものです。基礎知識についての記事でもご紹介したとおり、合理的配慮が提供されるか否かは、障害者本人と、企業や自治体、教育機関等の事業主(以下、本文では「企業等」と表記します)との話し合いによって決まります。 この記事では、企業等の側と話し合いをおこない、実際に合理的配慮の提供を受けて働くまでを4つのステップに分けて解説します。企業によって手続きの詳細が異なる場合もありますが、合理的配慮を申請する際の一例として、参考にしてみてください。 [toc] まず押さえておきたい前提条件 4つのステップの解説に入る前に、合理的配慮の提供を受けるための前提条件について振り返っておきましょう。合理的配慮の提供については、「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」で規定されていますが、これらの法律の目的は「障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な社会の実現」です。 つまり、障害者だけが困難を抱えて生きるのではなく、企業等の側だけが重い負担を強いられるのでもなく、お互いが理解し尊重し合い、共に生きていくという考え方が重要となります。この考え方にもとづき、前提条件として次の3つのポイントを押さえておくことが大切です。 ① 障害が原因となる困難さ(障壁)であること ② 障害者本人が、自己対処(セルフケア)を行っても、対処しきれないものであること ③ 企業等の側にとっても、重すぎる負担でなく、提供可能な範囲のものであること そして、合理的配慮の提供は「障害者本人が自分から申し出る」ことが必要です。厚生労働省の定める「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」にもとづき、企業等の側には障害者のプライバシー保護が求められているため、従業員に対して積極的に障害についての質問を行うことはできません。 特に、精神障害(発達障害を含む)については、「周囲から、障害の有無や困難さが目に見えづらい」ことから、企業等の側にとっても「どのような困難さを抱えているのかを伝えてもらわないと、どのような配慮をすべきかが分からない」ということがほとんどです。そのため、自らの申し出ることが必要なのです。 上記の前提条件を押さえたうえで、次の4つのステップで準備を進めていきましょう。 ステップ1:障害による「仕事上の困難さ」が何かを理解する 最初のステップでは、自分自身を理解することから始めます。具体的には、これまでの仕事の経験を振り返り、自分が困難さを感じた場面を、紙に書き出して整理していきます。(企業等での就業経験のない方は、アルバイトや、学校生活のなかで感じた困難さでも構いません。) <仕事上の困難さ> ・ケアレスミスや忘れ物・無くし物が多い ・曖昧な表現(だいたい、なるべく早くなど)が理解できない ・周囲の話し声や環境音に敏感で、集中が難しい 振り返る際のポイントは、困難さそのものに注目し、過去の自分を責めないことです。困難さを感じるのは「何かの失敗をしてしまった」場面であることが多く、上司から叱責を受けたり、同僚の前で恥ずかしい思いをしたりした記憶を思い出して、気持ちが辛くなってしまうことがあるかも知れません。 しかし、ここで振り返りを行う目的は、あくまで「自分自身を理解し、未来に向けた次の一歩を踏み出すこと」です。客観的に振り返るためにも、頭の中だけで考えるのではなく、紙に書き出してみることをおすすめします。もし、うまく整理できない場合には、「大人の発達障害とは」のページで発達障害の特性による困りごとの例をご紹介していますので、自分がそれらに「当てはまるか、当てはまらないか」で考えてみるのも良いでしょう。 ステップ2:困難さに対する「自己対処法(セルフケア)」を考える 次に、自分でできる対処=セルフケアがないかを検討します。ステップ1で洗い出した困難さの一つ一つについて、表形式にして考えてみると整理がしやすくなります。 仕事上の困難さ 自己対処法(セルフケア) ケアレスミスや忘れ物・無くし物が多い 仕事の手順や持ち物のチェックリストを作って確認する 曖昧な表現(だいたい、なるべく早くなど)が理解できない 何を・いつまでに・どのようにするのか、質問して確認する 周囲の話し声や環境音に敏感で、集中が難しい 集中が必要な作業を行う時間帯を決め、その時間は話しかけない、電話を取り次がないよう、周囲にお願いする 自己対処法の事例ついては、こちらの記事にて紹介していますので、参考にしてみてください。
発達障害のある方の「合理的配慮」事例集

実際に企業が提供している「合理的配慮」の事例をまとめました。 「仕事上の困難さ」に対する配慮内容をケースごとに紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

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合理的配慮の申請マニュアルの記事でもご紹介したとおり、企業や自治体、教育機関等の事業主(以下、本文では「企業等」と表記します)から合理的配慮の提供を受けるためには、以下の3つの条件を満たすことが前提となります。 ① 障害が原因となる困難さ(障壁)であること ② 障害者本人が、自己対処(セルフケア)をおこなっても、対処しきれないものであること ③ 企業等の側にとっても、重すぎる負担でなく、提供可能な範囲のものであること 特に③については、他の従業員に多大な影響が生じる場合や、かかる費用が企業等にとって過度な負担となる場合には「合理的ではない」と判断されます。 それでは、具体的にどんな内容であれば企業等に合理的配慮を求められるのでしょうか。この記事では、「発達障害」のある方に対し、実際に企業で提供されている、合理的配慮の事例をまとめました。この記事でご紹介しているのは、あくまでも「事例」ですので、同じものが・どの企業等からも提供されるわけではありませんが、ご自身の状態・状況に応じて、適切な合理的配慮の依頼をするために、参考にしてみてください。 [toc] 発達障害のある方の合理的配慮の事例1:作業への配慮 仕事上の困難さ 提供されている合理的配慮 急な予定の変更や、臨機応変な対応が苦手 一日の業務スケジュールを立てた上で、その通りに業務を進めている。業務スケジュールに変更が生じる際には、管理者から本人へ、事前に説明をしている。 指示を「口頭」でおこなった場合、一度で覚えきれずに、抜け漏れが発生してしまう 指示の内容は社内のチャットツールを使い「文章」で伝えている。マニュアルや手順書等で、作業や指示内容を随時確認できるようにしている。 作業の優先順位付けが苦手なため、複数の社員から指示をすると、混乱して効率よく作業が進められない 指示系統を一本化し、指示をおこなう担当者を決めている。本人に何か指示をおこなう場合は、その担当者を通して指示をおこなう。 担当者以外から本人に直接指示があった場合、本人から担当者に相談をして、どのように作業を進めるか決めるようにしている。 マルチタスク(複数の作業を、同時に進める)が苦手 一つの作業が終わってから、次の作業の指示を出している。 「だいたい」「おおよそ」「なるべく」「できるだけ早く」などの曖昧な表現から、意図を想像して業務を調整することが難しい 作業の期限日、必要な数量などを明確にし、具体的に説明するようにしている。
合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。

障害による困りごとへの配慮を雇用先に求めることのできる「合理的配慮」。 自分は対象となるのか?どんな制度なのか?といった疑問にお答えするための基礎情報をまとめました。

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皆さんは合理的配慮という言葉をご存知でしょうか。具体的な内容までは知らなくとも「何となく、言葉として見聞きしたことはある」という方は多いのではないかと想います。 「障害による困りごとへの配慮を、企業や自治体、教育機関等の事業主(※以下、本文では「企業等」と表記します)に求めることができる」というような説明がされることの多い合理的配慮ですが、しかし、そこには当然ながら一定のルールがあり、「困ってさえいれば、いつでも、どのような配慮でも求めることができる」というわけではありません。 「合理的配慮」について企業側と調整をすることは、障害のある方が働くうえでの大切なポイントです。そこで今回は、企業側へ合理的配慮の提供を求める際に、まず押さえておきたい基礎知識をご紹介します。 [toc] そもそも、合理的配慮とは? 合理的配慮とは、国の定める「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」などの法律に登場するキーワードです。 障害者差別解消法は、「障害のあるなしに関わらず誰もが平等な人権を持ち、お互いを理解して皆が自分らしく共に生きる社会(共生社会)を実現すること」を目的として定められた法律です。その法律の中で、企業等に対して、「障害者から助けを求められた場合には、合理的配慮の提供をおこなう」ことが求められています。 障害者雇用促進法は、「働くことについて、障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な機会や待遇を得られること」を目的とした法律です。その法律の中で、企業等に対して、「障害者が自分の能力を発揮して仕事をスムーズに進められるよう、合理的配慮の提供をおこなう」ことが求められています。 つまり、障害のあるなしに関わらず誰もが平等に生きることができる社会を実現するために、障害によっておきる困難さを取り除いたり、周りの環境を整えたりするなどの支援などの合理的配慮の提供が、企業等の側には求められているのです。 「合理的配慮」で押さえておくべき3つのポイント それでは、合理的配慮を理解するために、押さえておきたいポイントを3つに分けてご紹介します。 1.企業等の側との話し合いの上で、提供されるかどうかが決まる 法律では、企業等が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で、対応に努めること」と定められています。この「負担が重すぎない範囲で」とは、いったいどういうことなのでしょうか。 例えば、足に障害があり車椅子を使っている方が働くときに、「エレベーターからの導線に配慮してデスクの位置を決めて欲しい」と求めた場合、企業等の側の負担は、そこまで重くはないと言えます。 しかし、「エレベーターで上下の階を行き来せずに済むよう、ビルの6階にあるオフィスを1階に移転して欲しい」と求めた場合はどうでしょう。移転に掛かる費用や、他の従業員への影響を考えると、企業等の側の負担が、あまりにも重すぎると言えるのではないでしょうか。 障害者差別解消法も、障害者雇用促進法も、法律のもともとの目的は「障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な社会の実現」です。つまり、障害者だけが困難を抱えて生きるのではなく、企業等の側だけが重い負担を強いられるのでもなく、お互いが理解し尊重し合い、共に生きていくという考え方が重要なのです。 この考え方にもとづき、障害者本人と企業等の側との話し合いの上で、合理的配慮が提供されるかどうかが決まります。「企業等の側が提供する配慮が、重すぎるか否か」は、以下の6つの要素と、対象となる障害者が抱える困難さとを総合的に検討して、判断されます。 1. 事業活動への影響の程度…合理的配慮の提供をおこなうことによって、企業等がおこなう生産活動や、サービスの提供に、どの程度影響が発生するか。 2. 実現困難度…合理的配慮の提供をおこなうために、設備や人材を確保する難しさの度合い。 3. 費用負担の程度…合理的配慮の提供のために、企業等の側が負担する費用の程度。 4. 企業の規模…企業の規模による負担の程度の違い。(大企業の方が、社会的責任が大きいとされる。) 5. 企業の財務状況…合理的配慮の提供を行っても問題がない、財務状況かどうか。 6. 公的支援の有無…合理的配慮の提供をおこなうにあたり、公的な支援が利用できるかどうか。 「お互いを理解し、尊重し合う」ためには、企業等の側に求めるだけでなく、障害者の側も「自分で行える対処=セルフケア」を提示して、すり合わせをおこなうことが大切です。 よって、合理的配慮の提供がどこまでされるのかを話し合うときには、「障害が原因となる困難さのうち、セルフケアをしても対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲かどうか」がポイントとなります。 2.合理的配慮は障害者手帳がなくても求めることができる 合理的配慮の提供を受けることができる「障害者」とは、「障害者手帳を持っている人のこと」だけではありません。 手帳の有無や、障害の種別(身体・知的・精神)、雇用の形態(障害者雇用か一般雇用か)を問わず、障害の特性によって、社会のなかで困難さを抱えている人すべてが対象となります。(もちろん、発達障害の方も対象です。) なお、「医師の診断書」についても、法律上は、合理的配慮の提供を判断する基準として定められてはいません。しかし、実際に合理的配慮の提供を申請し、話し合いをおこなう際には、提供する配慮の内容について専門家からのアドバイスを受けたり、公的な支援の申請を行ったりするための資料の一つとして、医師の診断書や意見書の提出を求められるケースがほとんどです。