ADHDにいつ気付いた?大人になるまで分からないことも

障害に気付いて、どうしたか

筆者は、「自分はADHDである」と気付いてから比較的速やかに診断を受けることができました。しかし、診断を受けたからと言って、特性がなくなるわけではありません。むしろ、自分の障害に気が付き診断を受けたところがスタート地点だったと言っても過言ではありません。

そこで、障害に気が付いたあとに得た心構えとしての「障害とうまく付き合う考え方」、その考え方を生かして「筆者が実際におこなった対策」、その前提としての「特性との向き合い方」をお伝えします。

障害とうまく付き合う考え方「ニーバーの祈り」

障害とうまく付き合う、いわゆる「障害受容」をするために大事な考え方があります。ADHDとは直接関係ありませんが、「ニーバーの祈り」という話がそれを端的に表しているのでご紹介します。

神よ

変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。

変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。

そして、

変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。

学校法人聖学院:ラインホールド・ニーバーの祈りの言葉より

ADHDの特性は、基本的には変えられないものです。筆者が仕事をする上で特に感じた、困りごとに直結する特性は、「抜け漏れ・忘れ」「先送り癖がある」「なんでも背負い込みすぎる」「段取りをつけるのが苦手」でした。それを変えようとせず、まずは受け容れることが大事だと考えます。

しかし、締切を破ってもいい職場や、延々と先送っても問題が発生しない会社などありません。自分の特性と向き合い、その対策を練る必要があります。

筆者が実際におこなった対策

障害特性への対策は、「頑張る」「気をつける」といった精神論・根性論で解決できるものではないと考えます。具体的で現実的な、実行できる「やり方」に落とし込んではじめて対策と言えます。筆者の場合は、以下のように考えました。

抜け漏れ・忘れ

忘れても大丈夫なように、必要なことは書きだそう!

先送り癖がある

「できる」と思える手順に分解して、手を付けやすくしよう!

なんでも背負い込みすぎる

自分がすべき手順と他人にお願いできる手順とを分けて、自分がすべき作業に注目できるようにしよう!

段取りをつけるのが苦手

分解した手順それぞれに細かい締切をつけて、「締切を守るためにはいつまでにどの作業を終わらせていれば大丈夫か」が分かるようにしよう!

このように書きだすことで、自分の特性をカバーしてくれる表ができあがりました。もちろん、この表を作っただけですべてうまくいくわけではありませんが、少なくとも「締切までに過不足なく仕事を終えられる」ということができるようになりました。この表から生まれたツールは、仕事を遂行しやすくする秘書のような存在として、今も筆者の心強い味方となってくれています。

特性との向き合い方

自分の特性への対策として筆者の経験をお伝えしましたが、そこに至るには長い時間がかかり、そのほとんどを自分の特性と向き合うことに費やしました。

特性と向き合うには、具体的には「失敗事例を洗い出す」「洗い出した失敗事例から自分の特性を知る」という2つのことが必要です。さらに、失敗事例を洗い出すためには、失敗事例を多く経験しなければなりません。

筆者は、会社員として働く中で、多くのミスや失敗を重ねてきました。それが結果的に「失敗事例の洗い出し」につながりました。さらに、そういった仕事がうまくいかない状況から休職に至るという流れを2度続けて経験したこともあり、自然と自分の特性と向き合って把握することができました。

しかし、この形での特性との向き合い方は、あまりお勧めできません。時間もかかりますし、精神的負担も大きいです。筆者は10年近くかかり、2度の休職と抑うつの適応障害を起こしてしまいました。それよりは、障害に理解のある第三者の助けを借りて自分の特性を知る方が、より時間もかからず、精神的な負担も少なくなります。

就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。

就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業)

就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。

「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。

ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。

お電話(0120-802-146)はこちら▶

お問い合わせフォームはこちら▶

また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。

全国オフィス一覧はこちら▶

就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

記事監修

北川 庄治(デコボコベース株式会社 プログラム開発責任者)

東京大学大学院教育学研究科 博士課程単位取得満期退学。通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導講師を経て現職。

おすすめ関連コラム