【大人の発達障害の就活HACK】「求める人物像」をチェックしよう

ただし、求める人物像に無理に自分を合わせてはいけない

ここまでを読んで「働きたい会社に合わせて、自分の人物像を変えなければいけないの?」と思った方もいらっしゃるかも知れませんが、「求める人物像」に無理に自分を合わせてはいけません。

就職活動は、よくお見合いに例えられます。

「お見合いの席だけ」なら、相手の好みに合わせて演技したり、ごまかしたりすることができるかも知れません。しかし、それで結婚ができたとしても、パートナーと長く一緒に暮らすうちに自然と内面が見えて、ごまかしもいつかはバレてしまいます。

就職活動も同じです。面接でうまく演じて就職ができたとしても、長く働くうちにいつかは無理が生じます。何よりも「本来の自分を偽る」「ずっと相手の理想を演じ続ける」というのは、自分にとっても、とても辛いのではないでしょうか。

雇用条件が良い求人や、自分がやりたいと思っている仕事の求人を見つけたときには、「ぜひ、その会社で働きたい!」という想いがとても強くなります。その会社に就職するために、「少し無理をしてでも、相手の望みに合わせた自分を演じた方が良いのではないか」と考えるのは、ごく自然なことです。

しかし、就職活動とは、「お見合い」のようにお互いの相性を確かめるためのものです。長く働くためには「この会社は自分に合うのだろうか?」という視点を忘れずに「求める人物像」を見るようにしましょう。

でも、気をつけなければならないポイントが 2 つある

「求める人物像に、無理に自分を合わせてはいけない」と言われると、「そうか、現在のありのままの自分を、そのまま出せば良いんだ!」と思ってしまいがちですが、気をつけなければならないポイントが 2 つあります。

ポイント 1. 「相手を尊重する気持ち」を忘れないこと

障害の有無にかかわらず、私たちは誰もが「社会の一員」として生きています。社会の中で生きていく以上は、相手のことを尊重する気持ちが必要不可欠です。

先ほどと同じく「お見合い」を例に考えてみましょう。

お見合いの席なのに、例えば相手が「遅刻してくる」「服が汚れている」「態度が失礼」というようなことがあったら、どう思うでしょう。「せっかくのお見合いで、コチラはそれなりに準備をしてきたのに、相手は自分のことを何も考えてくれていないんだ」と、ガッカリするのではないでしょうか。

「約束の時間を守る」「身だしなみを整える」「礼儀をわきまえた態度を取る」というようなことは、社会人としての基本的なマナーです。そして、マナーを守ることは「相手を尊重する気持ち」を表すための、もっとも簡単な方法です。 「相手に自分を尊重してもらいたいなら、自分も相手を尊重する」という気持ちを、いつでも忘れないようにしましょう。

ポイント 2. 「自分を高めようとする努力」を怠らないこと

人間は誰しも得意なこと・苦手なことがありますが、自分を高めようとする努力を忘れてはいけません。とくに、職務経験を問わない「未経験者 OK」の求人では、多くの場合、「前向きに業務に取り組む姿勢」「積極的に学ぶ姿勢」が重視されます。

例えば、あなたが少年サッカー教室の先生だとしましょう。

試合に出るメンバーを選んでいて、最後の一人を決めようとしています。候補は A 君と B 君。二人とも実力は同じくらいです。

A 君は普段、練習にあまり熱心ではありません。「親から言われて、仕方がなくサッカー教室に通っている」ようです。一方、B 君は普段からがんばって練習に取り組み、みんなが帰った後も残って特訓している姿を、あなたはいつも見ています。

さて、A 君と B 君、どちらを試合に出したいと思うでしょう。二人の実力が同じくらいなら「応援の意味も込めて、がんばっている B 君を出場させたい」と思うのではないでしょうか。

「どうせなら、がんばっている人を応援したい」と思うのが、人の自然な感情です。これは、採用する企業も同じです。たとえ「苦手なこと」があったとしても、「何とかしようと努力している人を採用したい」と企業は思うはずです。

発達障害の特性による苦手を「なくす」ことは難しいかも知れません。しかし、がんばって対策を行うことはできます。次のページでは、障害者雇用枠における「求める人物像」から、どんな対策を行っておけば良いのかを解説します。

障害者雇用枠における「5つのポイント」とその対策方法は?

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