3. 大人の発達障害がある方が面接でつまずきやすいポイントと対策

発達障害の特性によって、面接でつまずきやすいポイントについて、それぞれ解説します。

3-1. 「服装自由」の場合はスーツで行く

たまに、面接の案内で「自由な服装でお越しください」と書かれていることがありますが、これは「本当に自由な格好(私服)で来てください」という意味ではありません。「スーツか、ビジネスカジュアル(オフィスカジュアル)で来てください」という意味なので、注意しましょう。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性として、「はっきりと文章で示されていないことを理解するのが苦手」「書いてある文字どおりに指示を受け取ってしまう」というものがあります。

この特性によって、どんな服装で参加するべきか分からず悩んでしまうことや、文字どおりに「自由な服装(カジュアルな服装や、面接にふさわしくない服装)でもいい」と受け取ってしまい、「面接の当日、会場に行ってみたら一人だけ場違いな服装で浮いてしまった」という失敗をしてしまう方は少なくありません。

ビジネスカジュアル(オフィスカジュアル)は、慣れていないと何を着たら問題ないのか判断するのが難しいため、あまりオススメしません。従い、「服装自由」の場合はスーツで行くのが無難です。

3-2. 一気に何社も応募しない

「早く就職先を決めたい」と焦ってしまう気持ちもあるかと思いますが、何社も一気に応募しないようにしましょう。

注意欠如・多動性障害(ADHD)の特性として、マルチタスクや計画的に物事を進めることが苦手なため、いくつもの会社を同時並行で進めると、準備時間が足りなくなってしまうことがあります。

できれば 1 社ずつか、多くても 2 社に留めておきましょう。また、面接日の当日だけでなく、「応募書類の作成」や「面接の練習」といった予定もカレンダーに書き込んで “見える化” し、計画的に進めることをオススメします。

3-3. 困難な点は、あらかじめ履歴書で相手に伝えておく

障害者雇用枠への応募の場合は、面接でも障害の特性へ配慮をしてくれます。面接にあたり、なにか特別に困難さを感じることがある場合には、あらかじめ履歴書に書き添えて相手に伝えておきましょう。

例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性として、面接官から複数の質問を一気にされた場合に、混乱して質問への回答がいくつか抜け落ちる・質問の意図と異なる回答をしてしまう、ということがあります。

その場合には「障害の特性により、口頭で複数の指示を一気にされると理解することに困難さがあるため、質問は一つずつしていただけますと幸いです」というように、履歴書に書き添えておくと良いでしょう。

例えば、発達障害の特性による苦手で、質疑応答の際に以下のような “つまずき” をしてしまうことがあります。

  • ・口頭での指示を聞き漏らすことがある
  • ・一度にたくさんの質問をされると混乱してしまう
  • ・言葉が出るのに時間がかかる
  • ・質問の意図を汲み取ることが苦手

このような “つまずき” への対策として、「面接官に留意してもらいたいポイント」を履歴書に書き、事前に伝えておくようにしましょう。書き方の例は、以下のとおりです。

  • ・「障害特性により、聴覚情報(口頭での質問)の処理に時間がかかることがあり、質問を聞き直すことがありますが、ご了承ください。」
  • ・「障害特性により、一度に複数の質問をされることと混乱してしまうため、ひとつずつ回答をさせていただけますと幸いです。」

4. もし、なかなか面接がうまく行かなかったら

発達障害のある方は、特性により「人とのコミュニケーション」に対して困難さを感じることが多いため、企業側の担当者と直接コミュニケーションしなければならない面接は、採用試験における大きな壁です。

障害の有無に関わらず、不採用となってしまったときのショックは大きいもの。面接でうまく自分をアピールすることができず、「どんどん自信がなくなってしまう」とお悩みの方は少なくありません。

そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。

先ほどもご紹介したとおり、就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業)

ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、

  • ・障害者雇用枠ならではの「障害特性の説明」に難しさを感じるので、もっと自分の障害について理解したい
  • ・コミュニケーションスキルを身につけて、面接でスムーズに話せるようになりたい
  • ・自己 PR に書ける、自分の “強み” や “長所” を探したい
  • ・これからどんな仕事をしていきたいか、ゼロから考え直したい

…など、「就職活動に挑む前に準備をしたい」という発達障害のある方をサポートいたします。

就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。

「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。

ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。

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また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。

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就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

執筆者

藤森ユウワ(ライター・編集)

ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。

これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。

子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。

36 歳で ADHD・ASD と診断される。

診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。

誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。

さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。

自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。

記事監修

清野 玲子(キャリアコンサルタント/社会福祉士)

人材会社でのキャリアアドバイザー等経験したのち、就労移行支援事業所ディーキャリアの立ち上げに参画。発達障害の特性による苦手や困りごとを抱える方の就労支援に携わる。

現在は、発達障害のある方の特性に応じた就労プログラム開発、支援スタッフ向け研修講師・スーパーバイザーなど幅広い業務を担当。

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