就労移行支援事業所のよくある質問集

Q4. 就労移行支援事業所と、就労継続支援(A型・B型)との違いは?

A4. 就労継続支援(A型・B型)とは、一般企業への就職を目指すことが現時点で難しい方に向けた「福祉的就労」をする施設です。

就労移行支援事業所と同じく、就労継続支援(A型・B型)も「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスであり、障害のある方が社会で働くための支援を行っている点では共通しています。

就労継続支援(A型・B型)は一般企業への就職を目指すことが現時点で難しい方が、支援を受けながら働く=福祉的就労をするための施設です。

就労移行支援が働くために必要な知識や能力を「身につける場」であるのに対して、就労継続支援(A型・B型)は「それ自体が働く場」であるというのが大きな違いです。

なお、就労継続支援の「A型」と「B型」との違いは、雇用契約を結び作業を行うか(A型)、雇用契約を結ばずに作業を行うか(B型)の違いです。

Q5. 現在働いている(就業中の)場合は、就労移行支援を利用できないの?

A5. 原則として、就労中の方は就労移行支援を利用できません。

就労移行支援事業所を利用できる条件として「就職を目指していること」というものがあるため、現在働いている方は基本的には就労移行支援を利用することができません。

なお、生活の面から働かざるを得ないという方や、「現在の仕事はそのまま続けたいが、障害による困難さを乗り越えるために利用したい」という方もいらっしゃるかと思います。

そのような場合には、障害者の支援を行っている団体や福祉事業所が、通えない方に向けたイベントや、グループによる定期的な活動を行っている場合がありますので、活用いただくのも一つの方法です。

Q6. 就労移行支援事業所に通所していたことが知られてしまう可能性はあるの?

A6. 自ら申告をしない限り、知られてしまうことはありません。

もし、障害のことを開示せずに一般雇用枠での就職を目指される場合など、就労移行支援事業所に通所していた期間のことを申し出なければならないという義務はありません。

ただし、通常は就労移行支援事業所の通所期間は数ヶ月〜最長2年ですので、職歴の空白期間のことを質問される可能性はあります。(空白期間について虚偽の説明をしてしまうと、入社後に虚偽であることが発覚した場合に「経歴詐称」として会社から処分を受けてしまう可能性があるので、注意が必要です。)

なお、障害のことを開示して就職活動を行う場合には、就労移行支援事業所を利用していたことがプラスに評価される方が多いようです。(訓練を受けることで、自己受容やセルフケアができるようになっていると評価される。また、就職後6ヵ月間は就労移行支援事業所による定着支援が受けられることが企業にとっては付加価値となる。)

Q7. 就労移行支援事業所のスタッフは、何らかの資格を持っているの?

A7. 必要な資格が定められているわけではありませんが、何らかの資格を持っているスタッフも多くいます。

就労移行支援事業所は「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスのため、法律によって「どのような人員を配置しなければならないか」というルールが定められています。その中で、特定の役割(サービス管理責任者)を担う人員については「福祉の現場で一定の実務経験があること」を必須の条件としています。資格については必須条件ではありませんが、特定の国家資格等を保有していると実務経験の必要年数が緩和されるため、多くの場合は、資格保有者がその役割に就いています。

上記のほかに、就労移行支援事業所のスタッフが保有している資格は、大きく分けると以下の3つに分類されます。

分類資格保有者の主な経歴強み保有資格の例
①福祉系就労移行支援事業所、あるいは医療機関や他の福祉施設など、もともと福祉業界で働いていた人
  • 実際に当事者の方を支援した経験がある
  • 障害や支援に関する知識を持っている
  • 社会福祉士
  • 介護福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 公認心理師
  • 作業療法士、など
②教育系学校や塾などの教師、講師、あるいはスタッフとして働いていた人
  • 知識や技能を人にわかりやすく伝える、体系的に教える等の経験がある
  • 個別の理解度や到達度に応じて、工夫した教え方をしていく等の経験がある
  • 教員免許、など
③人事系一般企業の人事部門・教育部門などで働いていた人
  • 企業側が求める人材・条件を理解している
  • 仕事におけるキャリア形成の知識が深い
  • 産業カウンセラー
  • 国家資格キャリアコンサルタント、など

就労移行支援事業所の大きな特徴は、「福祉事業所としての役割」と「就職・転職エージェントとしての役割」の2つを併せ持っている、という点です。言い換えれば、支援としての福祉と企業への就職を実現していく事業としてのビジネスの両方の視点を持った福祉事業所であるとも言えるでしょう。

障害への理解や専門的な知識はもちろん大切ですが、一般企業で働くことを目指す上では、「今の市場環境ではどのような人材が求められているのか」「企業が求めるのはどのようなスキルを持った人材か」という、ビジネスの知識も重要です。

例えばディーキャリアでは、それまで一般企業で営業マンとして働いていた人が、その経験を活かして就職先の開拓で活躍している例もあります。福祉業界は未経験でも、ご家族に発達障害の当事者の方がおり「自分にも何かできることはないか」と、異業種から転職してきたスタッフもいます。

資格を持っていることはもちろん大きな強みですが、資格がないからといって「就労移行支援事業所のスタッフとして不足がある」というわけではありません。見学や体験などで、その事業所で働いているスタッフの雰囲気や、支援に対する「熱意」も確かめてみてください。

Q8. 障害のある方が就職相談をする先って?

A8. 就労移行支援事業所以外にも、障害のある方が働くことを支援する機関はいくつかあります。

それぞれについて、以下に簡単に解説します。

1. 障害者職業センター

障害者雇用促進法(正式名称:障害者の雇用の促進等に関する法律)に基づき設置された機関です。職業リハビリテーションに関する研究活動のほか、「広域・地域障害者職業センター」の運営を行っています。

地域障害者職業センターは、ハローワーク(公共職業安定所)と協力して、就職に向けての相談や就職後の職場適応のための援助まで、障害のある方それぞれの状況に応じたサービスを提供しています。

参考:https://www.jeed.or.jp/disability/person/person03.html

2. 障害者就業・生活支援センター

各都道府県の労働局によって運営されており、各地域の福祉事業所や医療機関、ハローワーク、企業等と連携して「就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う、地域の総合窓口」としての役割を持つ機関です。

名称が長いため”ナカポツ”や”ナカポツセンター”と呼ばれることもあります。

参考:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000146183.pdf

3. ハローワーク(公共職業安定所)

雇用に関する総合窓口として、各都道府県の労働局によって運営されている公共機関です。名前を知っている、あるいは、利用したことがあるという方も多いと思いことでしょう。

ハローワークでは一般的な求人紹介だけでなく、求職中の障害者に対応する専門の相談窓口も設置されています。また、企業等の事業者に対しても、障害者雇用求人の受理や雇用率達成のための指導などを行うほか、各種助成金についての相談などを受け付ける窓口になっています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/hellowork.html

4. ハロートレーニング(障害者訓練)

ハローワークが管轄しており、働くための技能を身に付けることができる専門学校のような公共機関です。障害のある方の状況に配慮した、きめ細かい訓練を実施しています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/shougaisha.html

Q9. 今通っている就労移行支援事業所に不満があり、やめたいのだけど…

A9. 受給者証の支給決定期間であれば、現在通っている事業所を退所し、別の事業所に入所し直すこともできます。

「いったん通い始めたけれど、訓練プログラムの内容や事業所の雰囲気がどうしても合わない……」といった場合には、受給者証の支給決定期間の中であれば、別の事業所へ移ることは可能です。

その場合、現在利用している事業所と移りたいと考えている事業所の両方での手続きが必要ですので、まずは、現在通所中の事業所のスタッフに相談してみましょう。

もし「現在通所中の事業所のスタッフには相談しづらい」という場合には、ご自身が利用されている相談支援事業所の相談支援員の方や、移りたい事業所に、先に相談してみても構いません。

Q10. ディーキャリアの利用者はどんな方が多いの?

A10. 利用者の方の内訳は、年齢は20~30代が7割以上、男女比は男性7:女性3、診断名は自閉症スペクトラム障害(ASD)または注意欠如・多動性障害(ADHD)の方が6割以上を占めています。

入所された方が、入所時に感じていた課題やお悩みは、以下のとおりです。

障害特性による苦手が課題仕事や就職活動に不安がある
  • 職場での人間関係上手く築けない
  • 職場の人とコミュニケーションをどうやって取ったらよいか分からない
  • 仕事の優先順位が付けられない
  • 口頭指示、メモ取りが苦手
  • マルチタスクが苦手
  • ケアレスミスが多い
  • ストレスをため込んでしまう
  • 障害への配慮がある就職先選びをしたい
  • やりたい仕事が見つからない、向いている仕事がわからない
  • 職務経歴や資格がなく、就職活動がうまく進まない
  • 応募書類作成や面接がうまくいかない
  • 働くことへの自信がない

詳細は下記のページもご参照ください。

https://dd-career.com/about/feature/

Q11.学校の単位の代わりになるの?

A11.単位の代わりにはなりませんが、学校のキャリアサポートセンターなどと連携をとりながら通所いただくこともできます。

就労移行支援事業所は、在学中の大学生(4年制大学・大学院・短大・高専含む)の方については、一定の条件を満たす場合にご利用いただけることがあります。(実際に利用可能か否かは、お住まいの地域の自治体の判断になります。)

利用が可能となった場合、学校の授業の代わりとして単位を取得することはできませんが、学校側(キャリアサポートセンターなど)と就労移行支援事業所とが連携して、「卒業のための単位取得」をしながら「就職のための訓練」を行っている事例もあります。

Q12.一般雇用枠(クローズ就労)での就職を目指す人も利用できるの?

A12.利用可能です。

ディーキャリアでは、一般雇用枠を目指す方に向けたサポートもおこなっております。一般雇用枠の中にも、障害を開示する「オープン就労」と障害を開示しない「クローズ就労」がありますが、いずれの支援実績もあります。

障害のある方が一般雇用枠での就職を目指すということは、障害による苦手や困りごとをセルフケア(自己管理・自己対処)し、自分自身だけの力で解決をする必要があるということです。

とくに発達障害のある方においては、「障害を自己受容し、障害特性への理解を深めること」がポイントとなります。障害特性への理解が浅いままであると、過去と同様の失敗を繰り返し、短期離職や早期退職・休職となる可能性があります。
障害者雇用枠での就職をする方以上に、障害へ向き合う力・セルフケアする力を身につける必要があるため、これらを習得し、実践できるようになるためにも、就労移行支援事業所における訓練プログラムを受講することは有用であると言えます。

一人で悩まず、まずはディーキャリアに相談してみませんか?

仕組みや制度は分かったけど、自分が利用するべきなのかが分からない・自分に必要なサポートが分からない、という方も多くいらっしゃるかと思います。

就労移行支援事業所ディーキャリアでは、一人ひとりのお困りごとやお悩みをお伺いしたうえで、必要なプログラムをご提案しています。

障害の特性による働きづらさをフォローする「働き続けるためのプログラム」と自分の価値観や適職を見極める「やりがいを見つけるためのカリキュラム」を用意し、一人ひとりにあった「自分らしい働き方」を発見するサポートしています。

就労移行支援事業所がどのようなところか、ディーキャリアでは何を学べるのかを体験できる、無料プログラム体験会は各オフィスで随時開催しています。

ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。

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参考URL

厚生労働省|障害福祉サービス等
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/index_00001.html

厚生労働省|障害者の利用者負担
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/hutan1.html

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