自閉スペクトラム症(ASD)の記事一覧

男女で差がある?大人の発達障害、性別による違いとは

「発達障害の特性による困りごとが性別で違う?」そんな疑問について解説します。性別による「区別」ではなく「違い」を知ることで、特性理解が深まり対策が立てやすくなります。

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発達障害は男性の方が数が多い——そんな話を聞いたことはありませんか。例えば自閉スペクトラム症(ASD)の発生頻度は「男性が女性の約4倍」であると、多くの研究機関で報告されており、精神疾患の国際的な診断基準である「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)」にも記載があります。 一方で近年の研究によれば、女性はその社会的な役割や立場が原因で、男性と比べ“発達障害の特性による困難さ”が見えづらいだけであり、困りごとを抱えている人の数は男性と変わらないのではないか、とも言われています。 そこで今回の記事では、発達障害が性別によってどのような差があるのかを解説します。 発達障害に限らず、「性別により分けて考えることは平等ではない」と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし生き物としての“つくり”の違いや、生活における役割の違いは、私たちが人間社会で生きていくうえで避けては通れないものです。「区別する」のではなく「違いを知る」ことで、自分や相手の特性が理解できる、対策を立てやすくなる、といったメリットもあります。 この記事が「男性なんだから/女性なんだから、これくらいはガマンしなければ…」と感じている方の、お悩みを解決するヒントとなれれば幸いです。 補足:「大人の発達障害」という呼び方について 発達障害は生まれつきの障害ですので、「大人の発達障害」という名前の障害はありません。 ただ大人は「仕事や家庭などで、社会的な責任を背負わねばならない」「自立して生活しなければならない」などの理由で、子どものころと比べて、困りごとの現れ方や対策方法が大きく異なります。子どもの頃は困りごとを感じていなくても、大人になって働いたり一人で生活するようになったりして初めて困りごとが表面化した、という事例も少なくありません。 このことから、現代では「大人の発達障害」という表現が広く一般的に使われるようになってきましたが、これは「大人になってから発達障害になった」という意味ではありませんのでご注意ください。 [toc] 1. ADHDの男性と女性での違い それでは、まず注意欠如・多動性障害(ADHD)から男性と女性でどのような違いがあるのかを見ていきましょう。 1-1. ADHDの性別による違い:女性は「不注意優勢型」が多く、男性は「多動・衝動優勢型」が多い ADHDは、大きく分けて以下の3つのタイプがあると言われています。 ① 不注意優勢型:忘れ物が多い、締め切りに間に合わない、うっかりミスが多い、など ② 多動・衝動優勢型:じっとしていられない、落ち着かない、待つのが苦手、など ③ 混合型:①と②の両方の症状を持っている このうち女性は①不注意優勢型の人が多い傾向があり、男性は②多動・衝動優勢型の人が多い傾向があると言われています。そのため男性に比べ女性の方が、困りごとが表面化しづらいことが多いのです。 1-2. 女性は事務仕事や家事・育児で困りごとが起こりやすい 男女平等の観点から、性別による職業の差は少しずつなくなってきています。しかし「どの職業でも、男性と女性の割合がまったく同じ」というわけではなく、実際には性別による差があります。厚生労働省の令和2年の調査によると以下のような結果となっており、「女性のおおよそ3人に1人は事務職で働いている」ということになります。 女性でもっとも割合が高いのは、事務従事者(総務や経理などのバックオフィス業務や、営業事務、貿易事務など)で、29.1% 男性でもっとも割合が高いのは、専門的・技術的職業従事者(研究者、医者、農業/工業技術者など)で、17.3% ところが事務職と、女性に多いと言われるADHDの「不注意優勢型」のタイプは、あまり相性がいいとは言えません。 例えば“経理事務”は、会社のお財布を管理する大切な仕事ですので、1円でも金額が間違っていてはならず、取引先への支払いや、納税の期限もしっかり守らねばなりません。ADHDの不注意優勢型の「締め切りに間に合わない」「うっかりミスが多い」といった特性は、マイナスに現れるケースがどうしても多くなってしまいます。 また女性の場合、仕事以外でも困りごとが起こるシーンがあります。それが家事・育児です。 こちらも若い世代を中心に夫婦で平等に分担する意識が高まっていますが、内閣府の令和元年の調査によれば依然として多くの家事・育児で、分担は「妻がやる」「どちらかと言えば妻がやる」方が圧倒的に多くなっています。 画像引用元:I-特-18図 家事・家庭のマネジメントの分担(夫婦回答計) | 内閣府男女共同参画局 このように、現代においても家事・育児を担当する割合は女性の方が多いのですが、これもADHDの不注意優勢型の特性と相性があまりいいとは言えません。 「家事を段取りよくこなせない」「予定を詰め込みすぎてしまう」といった困りごとがあるだけでなく、それが「家庭」という外からは見えづらい環境で起こるため、大人の発達障害であることに気付きにくいという問題もあるのです。 1-3. 男性は職場での人間関係で困りごとが起こりやすい 一方で男性の方が多いと言われるADHDの多動・衝動優勢型のタイプでは、職場における人間関係で困りごとが起こりやすくなります。 例えば自分の担当ではない仕事に衝動的に首を突っ込んだり、遠慮なく自分の意見を押し通そうとしたりすることで周囲とのトラブルが起こりがちです。 このような活動的な特性は“営業職”のように「行動力が必要な職業」ではプラスに働く場合もありますが、一方で細かな点に注意せず勢いでものごとを進めてしまいがちなため、「資料を作るときにいつも印刷部数や製本を間違える」「見積書を作るときに金額を間違える」などのケアレスミスが起こりやすくなります。 ADHDの多動・衝動優勢型の「じっとしていられない」「落ち着かない」といった特性は、子ども時代は「男の子はそれくらい元気な方がいい」と思われて見過ごされてしまうケースがあり、子どもの頃から対策のトレーニングができない、という問題もあります。 2. ASDの男性と女性での違い 次に自閉症スペクトラム障害(ASD)について、男性と女性でどのような違いがあるのかを見ていきましょう。 2-1. ASDの性別による違い:「男性が多い」と言われているが、まだよく分かっていない 先ほどご紹介したとおり、ADHDは「女性は不注意優勢型が多く、男性は多動・衝動優勢型が多い」という傾向があると言われています。一方ASDの場合、性別による差があるのかどうかは、まだよく分かっていません。 冒頭にお伝えした通り、多くの研究機関で「ASDの発生頻度は、男性は女性の約4倍」と報告されていますが、この数字は「(女性の場合は)社会的困難の現れが目立たず、過小評価の可能性もある」と付け加えられています。 またお茶の水女子大学・助教の砂川芽衣氏の研究によれば、女性の脳のつくりや社会生活の中での関係性・役割が、女性のASDを分かりづらくしていると考察されています。 2-2. 女性はASDの困りごとが原因で二次障害になりやすい ASDの女性の場合、困りごとの原因が発達障害であると気付きにくく、過度に自分を責めてしまい二次障害になりやすい、という問題があります。(二次障害については、以下の記事もご参照ください。) 参考記事:【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は 2-2-1. ASDの脳の特性は事務職との相性が悪いケースも ASDの脳の特性には、以下の3つがあります。 シングルフォーカス特性:一度に注意を向けられる範囲が狭くなる。興味関心の幅が狭くなりがち。 ハイコントラスト知覚:物事を「白か黒か」「全か無か」など極端な捉え方をしがち。曖昧な捉え方や、さまざまな物事を「微調整」することが難しくなる。 シングルレイヤー思考:一度に一つの情報しか処理しにくい。複雑な状況の理解が難しく、明記されていないルールを自然と読み取ったり、物事の「裏」を察したり、といったことが苦手になる。優先順位がつけにくくなる。 先ほどもご紹介しましたが、女性が働くことの多い“事務職”では、ASDの特性がミスマッチを起こしやすくなります。 事務職は「決められた作業を一人で黙々と処理する仕事」と思われがちです。もちろんそうした仕事もないわけではありませんが、実際は「周囲とコミュニケーションを取りながら、臨機応変に対応する仕事」の方が多いのです。 例えば“経理事務”の場合、一人で黙々と処理するのは「会計ソフトへの仕訳の入力作業」くらいで、残りは書類の提出を社内で催促したり、取引先に書類の内容を確認したりといった、コミュニケーションを取りながらおこなう作業がほとんどです。 そのため「臨機応変な対応ができない」「複数の作業を同時に進めるのが苦手」「相手が言ったことの裏が読めずコミュニケーションでトラブルが起こる」といった困りごとが起こってしまうのです。 2-2-2. 女性は社会の中での立場から、原因が発達障害であると気付きにくい しかしこうした困りごとで仕事を辞め、職を転々とすることになっても、女性の場合は「原因が発達障害である」と気付きにくい背景があります。 男性の場合、社会や家庭の中で“働き手”の役割を担っていることが多いため、「在職期間が短かったり転職を繰り返したりしていることは問題がある」と、自分も周りも気付きやすくなります。 ところが女性の場合、出産や育児などのライフイベントで仕事を離れる、夫の仕事の都合で短期退職するといったことが起こりやすいため、男性と比べると「在職期間が短かったり転職を繰り返したりしていても仕方がない」と容認されやすくなります。そのため、自分も周りも問題の原因が発達障害である可能性に気付きづらくなってしまうのです。 結果として、発達障害である可能性に気づけないため「仕事がうまくいかないのは自分の努力が足りないせいだ」という考えに陥りやすく、それが二次障害を引き起こすことにも繋がってしまうのです。 2-3. 男性もASDの困りごとが原因で二次障害になりやすい 先ほども述べたように、ASDは男性と女性で差があるかどうかは、まだよく分かっていません。女性の場合と同じく、男性の場合も仕事で「臨機応変な対応ができない」「複数の作業を同時に進めるのが苦手」「相手が言ったことの裏が読めずコミュニケーションでトラブルが起こる」といった困りごとが起こりやすくなります。 先ほど解説したように「女性の方が、問題の原因が発達障害であることが分かりづらい」とは言うものの、ASDの困りごとは周りから「本人の努力不足や、性格の問題である」と見られてしまうケースは少なくありません。男性も女性と同様に、二次障害に陥らないよう注意が必要です。 3. 自己診断せず、悩んだら専門機関に相談を 発達障害は「見えにくく、分かりにくい障害」と言われており、周りからだけではなく、自分自身でも「苦手」が理解しづらいことがあります。 今回ご紹介したように、性別によっても差があり、また社会的な関係性や役割によっても状況が異なるため、発達障害かそうでないかを判断することは簡単ではありません。 最近は発達障害かどうかを調べる「チェックリスト」のようなものがインターネットで公開されていることがありますが、こういったもので自己診断をせず、悩んだら専門機関に相談することが大切です。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、無料の相談窓口を設置しています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害のカミングアウト、親しい人へする?しない?

発達障害の当事者の皆さんが「カミングアウト」を実際にどうしているのか、そして障害のことを理解してもらうためにどうすれば良いのかについて、当事者の方へのアンケートや、同じく当事者である筆者の体験談を交えてご紹介します。

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「障害のことを、誰に、どこまで伝えるべきだろう」—— 家族や友人、恋人など親しい人たちに自分の障害のことを伝えるかどうかは、とても悩ましい問題です。 病院や専門機関は、第三者なので相談してもいいかなと思えます。職場に伝えることは、合理的配慮や障害者雇用に関わることなので必要だと割り切ることもできます。 しかし親しい人たちに対して伝えるかどうかは、それらとは少し事情が異なります。親しいからこそ「もしも関係が悪くなったり、理解してもらえなかったりしたらどうしよう」と不安になるのではないでしょうか。 最近では、著名人が自分に発達障害があることをカミングアウトする記事や動画などを見かけることも増えてきました。そこで今回は、発達障害の当事者の皆さんが「カミングアウト」を実際にどうしているのか、そして障害のことを理解してもらうためにどうすれば良いのかについて、当事者の方へのアンケートや、同じく当事者である筆者の体験談を交えてご紹介します。発達障害のことを親しい人に伝えるかどうか、悩んでいる方のご参考となれれば幸いです。(※「カミングアウト」とは、公にしていなかったことを開示する=周囲に伝えることです。) なお今回のアンケートによる調査には、11名の当事者の方にご協力をいただきました。この場をお借りして御礼を申し上げます。 [toc] 1. 誰に・どの範囲までカミングアウトする? 1-1. 家族には基本的に伝える 今回アンケート調査をおこなったところ、家族に対しては11名すべてが発達障害のことを開示しているという結果になりました。 家族の場合、病院への通院や支援機関・職場への相談の際に協力してもらったり、家庭での日常生活のなかで配慮が必要だったりしますので、障害を開示することが基本になるのでしょう。「隠し続けるよりも、カミングアウトした方が精神的に楽だから」という理由は、一緒に過ごす時間が長いからこそではないでしょうか。 「家族」に障害を開示した理由(記事掲載用に回答内容を一部編集しています) ・自分の(障害の)ことを理解してもらいたいから ・配慮を求めたいから ・隠し続けるよりも、カミングアウトした方が精神的に楽だから ・自分以外にも、家族内に障害を持った人がいるから ・障害者雇用枠で就職することになり、家族への説明が必要だったから ・子どもの頃に診断を受けたので、そもそも家族が知っているから 筆者の場合、パートナーと、自分の親・兄弟に伝えています。 パートナーと親には、診断前は特に相談せず、診断をきっかけに会社を辞めることになったタイミングで話をしました。兄弟とはすでに別々に暮らしているため、診断から数か月たってから、会話のなかで自然に話した、という形です。 一方で親戚やパートナーの両親には伝えていません。 親戚とはあまり交流がなく、なにか支援をお願いするような関係ではないため、伝える必要がないと判断しました。逆にパートナーの親とは普段から交流がありますが、パートナーが伝えることを特に望まなかったため開示しませんでした。 1-2. 友人・恋人には、関わり方や親しさの度合いによって伝える範囲を決める 一方、友人や恋人に対しては11名中2名は障害を開示していないという結果になりました。また11名中5名は特定の相手にだけしているという回答でした。 必ずしもすべての人に伝えるのではなく、関わり方や親しさの度合いによって障害を開示する/しないを決めている方が多いようです。 「友人や恋人」に障害を開示した理由(記事掲載用に回答内容を一部編集しています) ・自分の(障害の)ことを理解してもらいたいから ・配慮を求めたいから ・隠し続けるよりも、カミングアウトした方が精神的に楽だから ・発達障害は遺伝する可能性があるので、結婚を考えている相手に判断材料として知っておいてもらいたかったから ・以前から相談に乗ってもらっていたので、その流れで自然に診断を受けたことも伝えたから ・当事者のコミュニティで知り合った友人なので、隠す必要がないから ・直接会う友人の場合は、隠す必要がないと思っているから 「友人や恋人」に障害を開示していない理由(記事掲載用に回答内容を一部編集しています) ・開示することに抵抗感があるから ・ネット上では(直接会わない=オフライン上での付き合いのある友人には)開示していない。ネット上でカミングアウトすると「自称しているだけ」のように思われてしまうリスクがあるから 筆者の場合、以前は友人・知人に対して発達障害のことをオープンに伝えており、SNSやブログ記事などでも公表していました。しかしある時期から「必要なとき以外は伝えない」という考えに変わりました。 理由は、自分は気にしなくても伝えた相手はどう感じるか分からないと思ったからです。 以前、発達障害のことをオープンに伝えていたときには「障害があることは別に恥じることではなく、私の一部だ」という思いがあり、伝えた相手からどう思われようと気にも留めていませんでした。 しかしあるとき、発達障害とは別の「自分が詳しく知らない障害」を持った知人から開示を受けた際に、私は悩んでしまったのです。 その障害はどれほど苦労があるものなのか、知識がないから分からない。 分からないから、今どんな気持ちで開示しているのかが想像できない。 なぐさめて欲しいのか、助けて欲しいのか、それともただ話を聞いて欲しいのか。何を望んでいるのかが分からない。 どうリアクションをすれば良いのか、とても悩みながら話を聞いたことを今でも鮮明に覚えています。 そして、ふと気が付いたのです。もしかしたら、私が発達障害であることを伝えた相手も、同じような思いをしていたのではないか、と。下手なことを言って傷つけたらいけないが、打ち明けてくれたことをスルーしてもいけない気がする。相手のことを気づかうからこそ、どう対応すればいいのか悩んでしまう。そんな思いを友人にさせていたのではないかと感じたのです。 それから私は、必要なとき(何か支援を求めたり、仕事で関わったりするようなとき)以外は、友人・知人に対して積極的に開示はしないようにしています。 2. カミングアウトして感じたメリット・デメリット 2-1. 家族とは「距離が近い」からこその難しさも 実際に発達障害のことを開示してみてどうだったのか、感じたメリット・デメリットについてもアンケートで伺いました。 まず家族に対して伝えるメリットとしては、伝える以前よりも安心感が増した、コミュニケーションが改善した、との回答が複数ありました。 発達障害の特性による困りごとは、本人はもちろん、身近に暮らす家族にとっても心配なもの。家族からすれば「何が原因で問題が起きているのかが分からない」よりも、「困りごとや悩みごとの原因は発達障害だ」とハッキリ分かる方が良いのかもしれません。 「家族」に障害を開示して感じたメリット(記事掲載用に回答内容を一部編集しています) ・理解を示してくれたことで安心できた ・以前よりも優しく接してくれるようになった ・ケンカすることが減った ・うまくコミュニケーションができなかったときに、「発達障害の特性によるものだ」と知ってもらえたことで、悪意があるわけではないと分かってもらえた 一方でデメリットとしては、発達障害のことを本当に理解をしてもらうまでに時間がかかった、うまく理解が得られなかったという回答も。 発達障害の特性は、障害について詳しくない人からすると「性格の問題」や「努力不足」のように見えてしまうケースもあります。特に大人になってから働きづらさ・生きづらさが表面化した場合、家族からは「子どもの頃は大きな問題がなかったのだから、障害ではないのではないか」というように見えてしまうのかもしれません。 「家族」に障害を開示して感じたデメリット(記事掲載用に回答内容を一部編集しています) ・親が以前よりも過保護になった ・受け入れてもらえるまでに時間がかかった ・一部の家族が受け入れてくれなかった ・家族がときどき、対応に疲れているような態度を取ることがあった 2-2. 友人とは変わらない付き合い、一方で恋人は「将来」に対する不安も 友人・恋人に対して障害を開示することのメリットとしては、自分を包み隠す必要がなくなり、以前よりも自然に付き合えるようになったとの回答がありました。 特徴的だったのは、友人に対して障害を開示したことのデメリットを挙げた人が一人もいなかったことです。友人は家族と比べると一定の距離感があり、また先ほど「1-2. 友人・恋人には、関わり方や親しさの度合いによって伝える範囲を決める」の章でもご紹介したように、そもそも信頼の置ける人にだけ伝えているので、カミングアウトした・しないによらず変わらない関係を保てているのかもしれません。 「友人・恋人」に障害をカミングアウトして感じたメリット(記事掲載用に一部編集しています) ・自然体でいられるようになった ・知ってもらうことで、コミュニケーションがスムーズになった ・信頼のおける友人にだけ話しているので、カミングアウトの前後で特に変わったことはなかった 一方「恋人」については、将来に対する不安をデメリットとして回答した方も。 注意欠如・多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム障害(ASD)は遺伝的な要因が複雑に関係している[*]とも言われています。そのため、パートナーが結婚に対して消極的になってしまうのではないか、との回答がありました。 ADHD・ASDについて詳しく知りたい方は「大人の発達障害(神経発達症)とは」をご覧ください。 「友人・恋人」に障害を開示して感じたデメリット(記事掲載用に一部編集しています) ・(恋人に対して)「いつか距離を置かれてしまうのではないか」「結婚や子どもを持つことを相手がどう思うか」と不安になることがある 2-3. 結論としてカミングアウトした方がいい?しない方がいい? 筆者の個人的な考えではありますが、ここまでのアンケートの結果と筆者の経験を総合して考えると、誰にも開示せず一人で悩み続けるよりも、適切な範囲で開示をした方が良いのではないかと思います。 筆者の場合、一人きりで情報を集め、病院を受診し、悩みを抱え込んでいたときには、どこか自分でも「私は障害者である」ということを受け止め切れていませんでした。しかしパートナーに障害のことを打ち明けたときに、初めて自分の障害とまっすぐに向き合えた感覚がありました。 「他人に開示する」ということは、「私は障害者である」と認めることになりますし、自分の弱い部分を外にさらけ出すことでもあります。しかしその行為が、自分自身が障害と向き合っていくための、一つの大切なステップであるような気がするのです。 ただアンケートの回答にもあったように、筆者の場合も一部の人はなかなか受け入れてくれませんでしたので、「伝え方をもう少し工夫すべきだったかな」という反省もあります。 開示する相手に少しでも発達障害のことを理解してもらうためには、どのように伝えれば良いのでしょうか。 3. 発達障害を理解してもらうための3つのポイント 先ほど「2. カミングアウトして感じたメリット・デメリット」の章でもご紹介したように、発達障害のことを伝えても、うまく相手に理解してもらえないというケースもあります。 実際に筆者も、親に伝えた当初は言葉や態度の様子から「まさか自分の子どもが障害者であるわけがない」という雰囲気を感じていました。 発達障害のことを他者に理解してもらうためには、いったいどうすれば良いのでしょうか。アンケートの回答と筆者の体験をもとに、ポイントを3つに整理してみました。 ポイント1. 理解してもらうのは時間がかかるので、伝え続ける努力をする 「発達障害」という、相手にとって今まで知らなかった障害について理解してもらうには、一度だけで理解してもらおうとするのではなく、時間をかけて伝え続けることが大切です。 アンケートでも、理解してもらうまで時間をかけて何度もくり返し伝えた、という回答がありました。 最初は「本当に発達障害なの?」という疑いの目を向けられましたが、障害のことを伝え続けることによって次第に理解を得られるようになりました。 「家族」は自分のことを理解してくれる唯一の理解者なので、「自分から心を開く」ことが大切だと思います。 自分でも障害のことを学んできちんと説明できるようにし、理解を得られるまで何度も何度も伝えることで、少しずつ家族も認めてくれるようになると思います。(※記事掲載用に一部編集しています) 先ほど筆者の体験談として『親に伝えた当初は、言葉や態度のはしばしから「まさか自分の子どもが障害者であるわけがない」という雰囲気を感じた』と述べました。しかし発達障害のことを自分でも勉強し、何度も繰り返し伝えることで、今では障害があることを含めて私のことを認めてくれていると感じられるようになりました。 ポイント2. 混乱や衝突は「必ず起こるもの」だと考える 自分にとっても周囲にとっても、発達障害のことを本当に理解するまでには時間が必要であり、その途中では混乱や衝突は「必ず起こるもの」と考えた方が、結果的にうまくいくのかもしれません。 ビジネスでは、チームでなにかプロジェクトをおこなうときの手法として「プロジェクトマネジメント」というものがあります。その中では「チーム」が作られていく段階として ①形成期 ②混乱期 ③統一期 ④機能期 という4つのステップがあるとされています。 注目したいのは②混乱期です。 プロジェクトマネジメントの概念は数十年前にアメリカ国防総省で生まれたと言われており、長年にわたり科学的な研究が行われてきた分野で、現在では日本でも国が定めるJIS規格(JIS Q 21500:2018)として登録されています。そのような分野で、人が集まると混乱や衝突が起こることが前提(当たり前)として考えられているのは、非常に興味深くありませんか。 同じように、発達障害のことを自分と周囲が理解していく際にも、混乱や衝突は「必ず起こるもの」なのではないかと、筆者は思うのです。 あくまで筆者の個人的な体験に基づいていますが、「プロジェクトマネジメントの4ステップ」になぞらえると、障害の理解には6つのステップがあるのではないかと考えています。 1. どん底期 働きづらさ・生きづらさがピークに達し、仕事や生活がうまくいっていない時期。インターネット等で発達障害の情報を見て「もしかしたら自分もそうではないか」と思い、発達障害のことを調べ始める。 2. 発見期 病院を受診したり、支援機関の窓口などに相談し始めたりする時期。発達障害の診断を受けることで「仕事や生活がうまくいかない根本的な原因は、自分の性格や努力不足の問題ではなく、発達障害のせいだったんだ」と分かり、気持ちが少し楽になる。 3. 混乱期 診断を受けて多少気持ちは楽になったが、困っている状態が解決したわけではないので「これからどうすればいいの?」と悩んでいる時期。 病院への通院や、公的な支援を受けるための手続きをおこなうなかで徐々に「自分は障害者なんだ」という実感が湧いてくるが、まだ完全には腹落ちできていない。腹落ちできないので、自分で自分の障害や特性のことを十分には理解できず、周囲にもうまく伝えられない。そのため、カミングアウトしてもなかなか理解してもらえない。 4. 衝突期 就労のための支援を受けたり、転職・再就職の活動を始めたりするが、働きづらさ・生きづらさが一気に改善するわけではないので、焦りを感じる時期。 その焦りやいらだちから「自分は障害があってもがんばっているのに、なぜ助けてくれないのか」という気持ちが生まれて、周囲と衝突を起こす。セルフケアや、合理的配慮の調整がまだうまくできない。理解して欲しいという強い気持ちから、自分の障害についてブログやSNS等で発信したりする。 5. 理解期 病院への通院や、障害者支援制度の利用を続けるうちに、「発達障害で困っている人を支援する制度は確かにあるが、誰かが“おんぶに抱っこ”で助けてくれるわけではなく、最終的には自分ががんばらないと解決しない」ことをうすうす感じ始める時期。 現実の厳しさを知って時折くじけそうになるが、自分の障害や特性についての理解が進み、セルフケアもできてくるので、周囲に対してただ「助けて欲しい」と訴えるだけでなく「ここまではがんばるから、ここからは助けて欲しい」という建設的な相談ができるようになってくる。 6. 安定期 転職や再就職が決まってからしばらく経ち、仕事や生活が安定してくる時期。気持ちに少し余裕が生まれてくる。発達障害を持ちながら生きていくことが、当たり前のものとして少しずつ自分の生活になじんでくる。障害の有無に関係なく自分が活躍できる方法を探し始める。 *** 先ほども申し上げたとおり、上記の6つのステップはあくまで筆者の個人的な体験に基づいており、後から振り返ってみて「このような時期があったな」というものです。 しかし「混乱や衝突は起こっても仕方がないもの」とあらかじめ心構えしておけば、実際にそうなったときにも多少、気持ちに余裕ができるのではないかと思うのです。 ポイント3. まず伝える側=自分の準備を整える 以上のように、発達障害の診断を受けてから現在までを振り返ってみると、発達障害のことを相手に理解してもらうためにもっとも大切なことは、まず伝える側=自分の準備を整えることではないかと思います。 筆者が親にカミングアウトした当時は、障害が原因で仕事を辞め、これからどうすればいいのかと悩んでいた時期でした。仕事も生活もうまくいかず「とにかく今すぐ、誰か助けて欲しい」と強く思っていました。 ところが「助けて欲しい」と思えば思うほど、相手がなかなか理解してくれないことにいらだち、攻撃的な口調になって対立が起こり、余計に相手が理解してくれない…という悪循環に陥っていきました。 しかしそんな悪循環が、再就職が決まったことをきっかけに変わり始めます。 徐々に安定して仕事ができるようになってくると、精神的にも少しずつ余裕が生まれ、次第に「時間がかかってもいいから、理解してもらえるまで根気よく伝え続けよう」と思えるようになっていったのです。 4. 自分の準備を整えるためには 今回はアンケートと筆者の体験談を交えてご紹介しましたが、発達障害によってどのような生きづらさを感じているのか、自分の周囲にどのような人間関係があるのかは人それぞれですので、「こうすれば正解」というものはなかなか見つけづらいかもしれません。 自分の障害や特性を理解することはなかなか難しいもの。自分一人で悩むよりも、専門機関の手を借りた方が良いでしょう。 そんな方々のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
大人の発達障害が増えてるって本当?〜発達障害を正しく理解しよう〜

「大人の発達障害が増加しているって本当なの?」最近話題になっている疑問について解説します。適切なサポートを受けるためには、障害に対する適切な理解が大切です。

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大人の発達障害の人が増えている——そんな話を聞いたことはありませんか? 最近はインターネットだけでなく、テレビや新聞などの一般的なメディアでも発達障害について見聞きすることが増えてきました。著名人が自身の発達障害について告白する記事や動画を見かけることもあります。そうした情報を見て「もしかしたら、自分も発達障害かも…」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。 しかし「発達障害」という名前が知られるようになった一方で、具体的にどのような障害であるのか、どのようなサポートをすべきなのかという部分は、世間一般の理解がまだ追いついていないという側面があります。 今回の記事では、果たして本当に大人の発達障害は増えているのか、そしてなぜ発達障害を正しく理解することが必要なのかについて解説します。 なお大人の発達障害についての基礎知識は、以下のページにまとめていますのでご参照ください。 大人の発達障害とは [toc] なぜ発達障害の診断を受ける人が増えているのか? 診断数の公的な統計はまだない 実は発達障害の診断数について、国や地方自治体などの公的な機関がおこなっている統計は今のところありません。 日本の法律では「障害」を ①身体障害 ②知的障害 ③精神障害 の三つに分類していますが、発達障害は現在 ③精神障害 に含まれており単体での分類がありません。そのため発達障害単体での申請数や登録数は正確な数字が管理されていないのです。 また日本では2004年「発達障害者支援法」が制定されるまで、発達障害について法律上の明確な定義がありませんでした。他の障害と比べ発達障害の研究や支援の歴史は浅く、また発達障害を正確に診断できる医師も限られているため、診断数の統計が出しづらいのです。 実際の診断数は増えているのではないかと推測されている しかし2013年にアメリカ精神医学会の定める診断基準(DSM)が改訂され発達障害の診断がしやすくなったことや、インターネットなどを通じて発達障害そのものの認知度が高まってきたことから「これまで発達障害だと気付かなかった人/知らなかった人が病院を受診するようになったので、診断を受ける人も増えているのではないか」と推測されています。 実際、内閣府の発行する「障害者白書」によれば、発達障害を含む精神障害者の数は年々増加しています。 画像引用元:内閣府|令和4年版 障害者白書 全文|参考資料|218ページ また文部科学省が国公私立の小・中・高等学校と教育委員会に行った「特別支援教育に関する調査」によれば、支援を受けている発達障害の児童・生徒の数は右肩上がりで増え続けています。発達障害(注意欠陥・多動性障害・自閉症スペクトラム障害・限局性学習障害)が通級指導の対象となった2006年(H18)と比べると、当時は約7,000人だったものが2020年(R2)は約97,000人になっており、14年の間に10倍以上に増えていることが分かります。 画像引用元:文部科学省|令和2~3年度 特別支援教育に関する調査の結果について|3ページ このような数値から、大人の発達障害の診断数についても年々増えていることが推測されているのです。 なお一説には、私たちの生きる現代の生活環境は変化が激しく、高度で複雑な社会になってしまったことで「昔よりも生きづらさを感じる人たちが増え、結果として発達障害を疑い受診する人も増えているのではないか」とも言われています。 発達障害のある方への支援は広がってきている 近年は発達障害のある方を支援する体制の整備も進んでいます。2016年には支援の一層の充実を図るため、発達障害者支援法が改正されました。この改正では当事者本人への支援だけでなく、当事者を支える家族への支援や、自治体と企業・医療機関が連携して地域全体で支援をおこなう体制が強化されました。 画像引用元:厚生労働省|平成28年|社会保障審議会障害者部会(第80回)|参考資料5 発達障害者支援法の改正について また働きたいと思う障害者の方への支援も強化されており、「精神障害者雇用の義務化」なども追い風となって発達障害のある方の障害者雇用も進んできています。 障害者雇用については、以下の過去記事もご参照ください。 障害者雇用とは?オープン就労を目指す方に向け、基礎情報をまとめました。 障害者雇用と一般雇用とは?基本情報をまとめました。 【企業人事に聞いた】変わりつつある「障害者雇用」への考え方 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集 発達障害の「正しい理解」については、まだこれから 正しく理解している人はまだまだ少ない 発達障害という言葉は知っていても、その中身について正しく理解している人はまだまだ少ないのが現状です。 この記事の冒頭でも述べたように、最近はインターネットだけでなく、テレビや新聞などの一般的なメディアでも発達障害について見聞きすることが増えてきました。しかし日本公衆衛生学会がおこなった調査* によれば、「”発達障害”を聞いたことがある人」の割合は 91.5% なのに対し「どのような対応や支援をおこなえば良いか」を具体的に知っている割合は 26.5% だったという結果が報告されています。 * 出典:「発達障害に対する成人の認知および情報源に関する現状」日本公衆衛生雑誌/66 巻 (2019) 8 号 特にインターネットの場合、国や支援機関、病院や製薬会社、当事者個人やメディアなど、さまざまな団体や人が情報を発信しているため、その中から正しい情報を見つけ出すのは簡単ではありません。 自己診断で決めつけないように注意! インターネット上には発達障害の傾向があるかどうかを自分でチェックできるシートが公開されていることがあります。例えば「忘れ物が多い」「落ち着きがないと言われる」などの質問項目がいくつか用意されていて、自分が当てはまるものにチェックを付け、その数で発達障害の傾向の有無が分かる、というようなものです。 病院や製薬会社が公開しているチェックシートは、受診する際に自分の情報を医師に伝えるための「事前準備」として役立つ場合もあります。しかしこれらはあくまで簡易的なものであり、それだけで発達障害かどうかを診断することはできないので注意が必要です。 発達障害の診断は、医師により現在の状態・成育歴・行動観察・認知や知能等の心理検査の結果などを総合しておこなわれます。「なにかの機械で検査すれば、すぐに発達障害かどうか分かる」「病院を受診したら、すぐに診断がおりる」というものではありません。 かつては発達障害の情報そのものが少なく、原因も分からずに悩んでいた方々が多くいらっしゃったことを考えると、社会に広く情報が知れ渡るのはすばらしいことです。しかし簡単に手に入る情報を見て自分で決めつけず、病院や公的な支援機関に相談することが大切です。 なお「発達障害の診断」については、以下の過去記事もご参照ください。 【当事者が解説】大人の発達障害の診断は受けるべき?メリットや注意点を紹介 適切なサポートを受けるためには、適切な障害の理解が必要 「サポートを受けたい」という意思表示をすることが大切 2006年に国連で採択された「障害者権利条約」は、“Nothing about us without us”(私たち抜きに私たちのことを決めるな)を合い言葉に、その策定が進められました。 かつて、障害者は「一般社会から保護される無力な存在」とされ、自分の人生を自分で選択し、決めることが許されなかった時代がありました。国連で条約が採択された背景には、障害者はこのような「保護的支配」を受けるものではなく、普通の市民としての権利を持つ人間であることを強く訴えるメッセージがあったのです。 このような背景から、障害者がなにかのサポートを受けたい場合には、障害者の側から「サポートを受けたいという意思表示をすること」が大切だと考えられています。自分自身の障害について理解を深め、どのような困りごとがありどのようなサポートを受けたいのかを、自分で周囲に説明できることが大切です。 悩んでしまったら、一人で抱え込まず専門機関に相談を 「障害について理解する」ということは、自分が苦手なことや、過去の失敗についても向き合わねばならないということです。日々の生活や仕事で発達障害による困りごとを抱えている中で、自分のネガティブな部分を見つめ直すことは簡単ではありません。一人で抱え込まず、専門の支援窓口に相談することが大切です。 そんな方々のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業)「2-3. 特性に対するアプローチをトレーニングする」で解説したように、特性に対するアプローチ法を学ぶこともできます。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害のある方はストレスを感じやすい?~原因と対策を解説~

健康で長く働いていくためには、ストレスをうまくコントロールすることが欠かせません。今回は発達障害のある方がなぜストレスを感じやすいのか、その原因と対策を解説します。

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  • #注意欠如・多動症(ADHD)
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「この仕事、ちゃんと締め切りまでに終わらせられるかな…」「あの人ちょっと苦手だけど、仕事ではうまく付き合っていかなきゃ…」「また失敗して、上司から怒られたら嫌だな…」 社会に出ると誰しも何らかのストレスを抱えながら生きているものですが、特に発達障害のある方は、その特性からストレスを感じやすい傾向があると言われています。 健康で長く働いていくためには、ストレスをうまくコントロールすることが欠かせません。今回は発達障害のある方がなぜストレスを感じやすいのか、その原因と対策を解説します。 [toc] 1. 発達障害のある方がストレスを感じやすい原因 発達障害とは、先天的な脳機能の障害によって生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。 社会人として働き始めると、責任が増え人間関係も広くなるため、例えば以下のような場面で発達障害の特性による困難さがミスマッチを起こしてストレスを感じやすくなります。 人とのコミュニケーションが苦手 → 職場での人間関係づくりがストレスに 忘れものなど不注意によるケアレスミスが多い → 上司から注意される回数が増えてストレスに 感覚過敏によって目や耳からの刺激を苦痛に感じる → 通勤中やオフィスの環境は簡単に変えることができないためストレスに また発達障害のある方は、脳の中で抑うつや不安に関連する部分に特徴があり、生物学的にストレスへの耐性が弱いという研究結果*もあります。 *参考:就業経験のある発達障害者の 職業上のストレスに関する研究(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター、2018年4月) 発達障害は「社会性の障害」と言われており、周囲の環境によって困難が生じることがあります。発達障害の特性によって周囲とうまくいかず、ネガティブな経験が積み重なり日常的にストレスにさらされることで「二次障害*」を引き起こすこともあるので、注意が必要です。 *参考:【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は   2. 発達障害がある方のためのストレス対策 大人になり社会に出た後は、ストレスを感じやすい場面も多くなります。ストレスをうまくコントロールしながら長く働くためには、どのような対策を取れば良いのでしょうか。 2-1. 自分の特性を理解する 「発達障害」と一口に言っても、障害の特性や今おかれている環境は人それぞれです。発達障害にはどのような特性があるのか。今の環境の中でどのようなところに困難さがありストレスを感じやすいのか。まずは自分の障害について理解することが、ストレス対策の第一歩です。 自分の障害の特性を理解すれば、おこなうべきセルフケアや、周囲に求めるべき支援の内容も分かりやすくなります。以下のページで発達障害の特性について解説していますのでご参照ください。 大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア また国の運営する各種サイトでも、発達障害の特性理解に役立つ資料が公開されていますので併せてご参照ください。 発達障害の特性(代表例)|厚生労働省 発達障害って、なんだろう? | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン 特性の理解 - 発達障害情報のポータルサイト 「一生懸命がんばれば何とかできる」にも要注意 特性に対するセルフケア(自分で自分の面倒を見たりいたわったりして、自己管理すること)ができている方や、発達障害の診断を受けるまでには至っていない「グレーゾーン」の方であっても、ストレスのケアには注意が必要です。なぜなら周りの環境に合わせるために対策したり我慢したりすること自体が、ストレスの原因となっている場合があるからです。 筆者の事例をご紹介しましょう。 筆者はASDの診断を受けており、人とのコミュニケーションが苦手でいわゆる“空気が読めない”タイプです。しかし実際の仕事では「私は空気が読めませんので、みなさんヨロシク!」と宣言するわけにはいきません。空気が読めない分を他の情報で補うよう努めています。 周りの人の表情・声のトーン・ちょっとしたしぐさなどを注意深く観察する コミュニケーションがスムーズになるよう、誰かと話をするときは相手の目を見る、相づちを打つなどを意識する 直接の会話が苦手な分、メールやチャットでのテキスト・コミュニケーションでは気を配る 言ってみれば「空気を読む」というセンサーが働かない分、他のセンサーを代わりに使って何とかやりくりしている、という感じです。 自分の特性を理解し上記のような対策をするようになってから、人とのコミュニケーションで大きなトラブルはなくなりました。しかし人と長時間接すると、とても大きな疲れを感じます。特にミーティングや商談が連続してあった後などは、しばらく放心状態で動けなくなってしまうこともあります。 がんばって対策をしよう・周囲に合わせようとしている方の場合、「苦手や困難さはあるが、一生懸命がんばれば何とかできる」という状態がずっと続くことになります。 このような状態は周りから見ると大きな問題がないように見えても、当の本人は「周囲に合わせるために、実は他の人の何倍もエネルギーを使っている」ことになるため、ストレスをためすぎないよう注意が必要です。 筆者の場合は人と接するときの疲労対策として、「ミーティングの後は休憩時間もあらかじめ予定に入れておく」「社外の人との打ち合わせはより大きなストレスがかかるので、1日2回以上おこなわない」ようにしています。 2-2. 生活習慣を整える 基本的なストレス対策として「適度な運動をする」「三食しっかりとご飯を食べる」「十分な睡眠時間を取る」など、生活習慣を整えることはとても大切です。特に「睡眠」については、若くて健康な人であっても、睡眠不足がたった二日続いただけで体内のホルモン分泌や自律神経機能に大きな影響が出ると言われています*。 * 参考:睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット(厚生労働省) 「生活習慣を整えましょう」という話を見聞きしたことがある方は多いと思いますし、そんなことはよく分かっていると思われる方もいらっしゃるでしょう。 しかし発達障害のある方の場合、生活習慣の乱れが原因で仕事の勤怠が安定せず、結果として仕事が長続きしないというケースもあります。この後にもいくつか対策をご紹介しますが、すべての対策の基礎として、まずは「今の生活習慣が乱れていないか」「生活習慣を整えるためにできることはないか」を考えてみることが大切です。 参考例:睡眠時間を先に確保する 一例として、筆者が実際に生活習慣を整えるためにおこなっている対策をご紹介します。 筆者は1日の予定を立てる際、最初に睡眠時間から予定を確保してスケジュールを組み立てるようにしています。睡眠時間の目標は1日7時間なので、まずは夜23:00〜6:00までを睡眠時間としてGoogleカレンダーに入れ、そこから逆算して他の予定を入れていきます。 【ある日の予定の例】 23:00 就寝 22:30 ベッドに入る 22:00〜21:00 洗濯、明日の準備など 21:00〜20:00 子どもの宿題を見る 20:00〜19:00 夕食、食事の後片付け 19:00〜18:30 子どもを風呂に入れる 18:30〜18:00 仕事の片付け(※リモートワークのため通勤時間はなし) このように「23:00に寝る」ところから逆算していくと、18:00には仕事を終えなければならないことが分かります。 仕事が忙しかったりプライベートの時間が取れなかったりすると、つい睡眠時間を削ってしまいがちです。しかし寝る時間が短いと翌日の日中に眠くなってしまい、昼間に予定していた作業が遅れる → また睡眠時間を削る…という悪循環になりがちです。 もちろんいつもすべてが予定どおりに進むわけではありません。仕事が忙しく残業しなければならなかったり、突発的なトラブルで予定が狂ったりすることもあります。その場合でも睡眠時間を削るのは最終手段にして、他の部分でできる限り調整するようにしています。 2-3. 特性に対するアプローチをトレーニングする 発達障害の特性に対してアプローチする方法を学ぶことで、ストレスを軽減できる場合があります。 例えばASDのある方は、「シングルレイヤー特性」によってものごとの裏側の想像がしづらく、見たままに受け取ってしまうことがあります。これに対してリフレーミングというアプローチ法では、自分に起きた出来事を別の視点から捉え直すことで、出来事から受ける感じ方が変わり、前向きに考えることができるという効果があります。 別の例としてADHDのある方は、「衝動性(行動のブレーキの利かなさ)の特性」によって何か怒りを感じるような場面に遭遇した際、自分の怒りをそのまま相手にぶつけてしまうことがあります。これに対してアンガーマネジメントというアプローチ法では、「自分は今、怒りを感じている」という状態に気付くことからスタートし、怒りをコントロールしたり、怒りを増幅させるストレスをためこまないようにしたりする方法を学ぶことができます。 特性に対するアプローチ法があることを知っているのといないのとでは、大きな差が生まれます。トレーニングして少しずつ身に付けていくものもありますので、長期的に取り組んでいくことが大切です。 公的な障害福祉サービスである就労移行支援事業所では、特性に対するアプローチ法のトレーニングを受けられるところもありますので、利用を検討してみるのも良いでしょう。就労移行支援事業所について、詳しくは以下の記事もご参照ください。 就労移行支援事業所とは?対象者・料金・サービス内容をまとめました。 就労移行支援事業所のよくある質問集 2-4. 環境を調整する/合理的配慮を求める 発達障害は脳の特性と、生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。そもそもミスマッチの原因となっている環境を調整することも、健康的に長く働いていく上ではとても重要です。 例えば感覚過敏への対策として、席の場所や照明などを変えたりするのも環境の調整だと言えます。 ただこうした調整には周囲の理解が必要な場合も多いので、セルフケアだけでは限界もあります。周りからの支援が必要な場合には、会社に対して合理的配慮の相談をすることも検討しましょう。合理的配慮について、詳しくは以下の記事もご参照ください。 合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。 発達障害のある方の「合理的配慮」事例集 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介 合理的配慮のよくある質問集 より長期的には、自分の適性にあった仕事環境になるよう、社内での異動や別の会社へ転職することを検討する必要もあるかもしれません。 ただしやみくもに異動や転職すればいいというものではなく「自分にはどのような特性があり、どのような環境であれば生きづらさ・働きづらさが改善されるのか」「どのような目的を持って仕事をし、どんな将来像を描きたいのか」をしっかりと見定めてからおこなう必要があります。 自己分析や業界研究の方法など、就職・転職活動の始め方については以下の記事で解説していますので、併せてご参照ください。 大人の発達障害がある方の就職活動は「ウォーミングアップ」で成否が決まる! 【大人の発達障害の就活HACK】志望企業の探し方 〜①基本編〜 【大人の発達障害の就活HACK】志望企業の探し方 〜②障害者雇用編〜   3. 一人で解決することが難しいときには 「2-1. 自分の特性を理解する」でもご紹介したように、発達障害の特性による苦手や困りごとは十人十色ですので、まずは自分の障害のことを正しく理解することが重要です。 しかし客観的に自分を見ることは障害の有無にかかわらず難しいものですし、障害に対する深い知識も必要です。自分一人で悩むよりも専門家の手を借りた方が良いでしょう。 そんな方々のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業)「2-3. 特性に対するアプローチをトレーニングする」で解説したように、特性に対するアプローチ法を学ぶこともできます。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
当事者が5年間やってみた!〜リモートワークの理想と現実〜

ADHD/ASD当事者が試行錯誤した実体験をもとに「リモートワーク」のリアルなメリット/デメリットをご紹介します。発達障害がある方の場合、その特性によって向き不向きがあります。

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  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
テレワーク、リモートワーク、在宅勤務——呼び方はさまざまですが、働く場所を会社に限定しない柔軟な働き方が、この数年で身近な存在になってきました。(以下、本記事では「リモートワーク」で統一します。)障害者雇用においてもリモートワークが活用される事例が増えています。 参考:都市部と地方をつなぐ 障害者テレワーク事例集(厚生労働省) 「対面でのコミュニケーションをせずに済む」「気を散らさずに自分の仕事に集中できる」などのメリットがあることから、発達障害のある方にも向いていると言われることもあるリモートワーク。しかし実際には個々の特性や仕事内容、自宅環境などによって向き・不向きが極端に別れるため、本当に自分に合っているかどうかをしっかりと見極める必要があります。 今回は注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)と自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の両方の診断を受け障害者手帳も取得している筆者が、当事者として実際にリモートワークをしてみた体験レポートをお届けします。 今回のレポートでお伝えするのは、以下の2点です。 5年間の長期に渡ってリモートワークしてきた経験 「出社がメインでたまにリモート」「リモートがメインでたまに出社」「完全(フル)リモート」とさまざまなパターンを試してみた経験 「レポートを作るためにちょっとやってみた」というわけではなく、長期に渡って筆者が試行錯誤した実体験をもとに、リアルなメリット/デメリットをご紹介します。読者の皆さまが「自分にはリモートワークが合っているかどうか」を考える際の参考となれれば幸いです。 [toc] リモートワークって意外と難しい いきなり否定的なことを書いてしまいますが、リモートワークには難しい部分があるということが、さまざまな調査から明らかになってきています。 大手不動産情報メディアが2020年におこなった調査 [*1] によれば、「オン・オフの切り替えがしづらい」「作業に適した設備が自宅に足りない」「集中できる環境の確保が難しい」など、リモートワークを経験した人の多くが何かしらの課題を感じています。 また総務省の2022年度の統計調査 [*2] によれば、以下のように、リモートワークをおこなえているかどうかは地域や業種による差が大きいことが報告されています。 リモートワークを実施している企業の割合は、もっとも高い関東では30%を越えるものの、それ以外の地域では10〜20%程度にとどまってる。 リモートワークを実施している企業の業種は、「情報通信業」がもっとも高く55.7%である一方で、もっとも低い「医療、介護、福祉」では4.3%、次いで低い「宿泊業、飲食サービス業」では11.1%しかない。 コロナ禍の影響もあり、以前と比べるとリモートワークは日本中で大きく広がりました。「リモートワークで働きたい」「リモートワークができない会社は遅れている」といった言葉もよく耳にします。 たしかに筆者も、リモートワークのおかげで助かっていることがたくさんあります。しかしリモートだから何でもかんでもすばらしい!ということではありません。「障害の有無に関係なく難しい面があること」や「住んでいる地域や働いている業界・業種によってできる/できないが大きく異なること」は、前提として押さえておいた方が良いでしょう。 参考文献[*1] 「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査|リクルート住まいカンパニー[*2] 総務省|令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況 これらを踏まえたうえで、次のページからは筆者が実体験から感じたメリット・デメリットを、以下の3つのパターンでご紹介します。 パターン1. 出社がメインでたまにリモートワーク パターン2. リモートワークがメインでたまに出社 パターン3. 完全(フル)リモートワーク パターン1. 出社がメインでたまにリモートワーク 出社することが原則だが、必要な場合(例えば、天候や交通事情により出社が難しい場合や、外出先が遠方で会社に立ち寄っている時間がない場合など)には上司の許可を得てリモートワークをしてもOK、という条件でした。 実際にリモートワークした頻度は「月に数回」程度。上司の許可がいるため、本当に必要なときのみおこなっていました。 1-1. メリット 「リモート」という選択肢があるだけでも楽になる 「必要な場合に許可を得ればリモートワークが可能」というだけでは、一見するとあまり意味がないように感じます。しかし完全なリモートワークでなくても「選択肢がある」というだけで、とても効率的になりました。 例えば「天候の影響で交通機関が大きく乱れている」という場合、出社が前提だとどんなに混雑していても、遠回りをしてでも会社に行かねばならず、それだけで時間も体力も浪費してしまいます。このようなときに「リモートワークしても良い」という選択肢があれば効率的に時間を使えます。 また「体調がすぐれず出社するのはしんどいが、仕事はなんとかできる」という場合にもリモートワークができれば柔軟に対応でき、休んでしまう罪悪感を軽減できます。「休む以外の選択肢が取れる」ということは効率的であるだけでなく、気持ちの面でも、とても楽になりました。 会社の体制にもよりますが、「リモートワークができる」ことは単に仕事の効率性の観点だけではなく、発達障害による「二次障害」などの理由で体調がすぐれないときや、定期的に通院しなければならないときに「柔軟な対応ができる」という観点でも、メリットだと言えるでしょう。 出社することでオン/オフの切り替えがしやすい 後にリモートワークがメインになってから気が付いたのですが、出社する方がメリットになることもありました。 リモートワークの場合、仕事とプライベートのオン/オフを自分で切り替える必要があります。しかし出社をすれば自動的に仕事モードになりますし、「勤務時間内に終わらせなければ」という気持ちも働きます。作業の内容によっては、会社で仕事をした方が集中しやすいものも数多くありました。 1-2. デメリット 出社時/リモート時の「作業の切り分け」が難しい 「たまに」リモートワークを行う場合は、作業の切り分けを事前にしておかないと、結局たいした仕事ができませんでした。 私は会社から支給されたノートPCを持ち運んで作業していましたが、社内からでないとアクセスできないデータや社外に持ち出せない資料などがあり、当然それらが必要な作業はリモートワークでは行えません。 また会社であれば外付けのディスプレイやキーボード、マウスなどが使えましたが、リモートワークではノートPCだけで作業せねばならず、複雑な作業をするには不向きだったので、結局「メールのチェックや簡単な作業しかできない」ということも多々ありました。 どの場所でどんな作業ができるかをあらかじめ想定して切り分けておかないと、せっかくのリモートワークをうまく活用できないと感じました。 事前の仕事の段取りや計画を立てなければならないという点では、ADHDの特性として「見通しを立てるのが苦手(計画を立てるのが苦手)」な方の場合、特に注意が必要です。 パターン2. リモートワークがメインでたまに出社 コロナ禍の影響で、会社が「出社せずとも済む場合には、なるべく出社しないように」という方針を打ち出し、リモートワークをメインとする体制になりました。出社の頻度は週1〜2日で、それ以外は基本的に自宅で作業するようになりました。 2-1. メリット 通勤の負荷が大幅に軽減された リモートワークのメリットを一番大きく感じたのは、通勤の負荷が軽減されたことです。 私はASDの特性として「感覚過敏」と「人の目を気にしすぎて疲れてしまう」というものがあり、人混みがとても苦手で、会社に辿り着くだけでも大きな疲労感がありました。出社が当たり前だったときには「まぁこんなもんか」と思っていたのですが、リモートワークがメインになったことで体力的にとても楽になり、気付かないうちに通勤が大きな負担になっていたことに気が付きました。 自分の仕事に集中しやすくなった 私はADHDの特性である「気が散りやすい」やASDの特性である「感覚過敏」によって、自分に話しかけられているわけではないのに誰かの話し声に気を取られてしまい、作業に集中できないことがよくありました。自宅であればこうした聴覚的な刺激を少なくできますし、集中したいときだけメールやチャットの通知を切っておくこともできます。入ってくる情報を少なくできることで、目の前の作業に集中しやすくなりました。 またリモートワークではチャットやメールなど「テキスト」でのコミュニケーションがメインになりますので、ADHDの特性として「口頭で指示を受けるのが苦手(耳から入る情報が記憶することが難しい)」という方の場合、仕事がしやすくなるメリットもあるでしょう。 2-2. デメリット 自分で自分をコントロールするのは難しい 「自分の仕事に集中しやすくなった」という一方で、自宅で作業することがメインになったことで「仕事以外にあれこれやりたくなってしまう衝動を抑えなければならない」というマイナス面も浮き彫りになりました。 例えばちょっと休憩しようと部屋に目をやったら、ホコリが気になって掃除を始めてしまったり、天気がいいから布団を干したくなってしまったりというように、自宅にいるせいで「出社していれば気にならなかったことが気になる」ようになったのです。 「衝動性の高さ」や「気が散りやすい」などのADHDの特性がある方は、仕事に集中ができる環境を整えるために、余計なものが視界に入らないよう机や部屋を片付けたりパーテーションを設置したりなどの工夫が必要でしょう。 逆に「仕事をし過ぎてしまう」という点でも苦労しました。会社でしか仕事ができなければプライベートの時間は仕事を忘れられます。しかしリモートワークでは意識的にオフにしないと四六時中仕事のことが気になってしまい、家族との時間をないがしろにしてしまうようなこともありました。 ADHD/ASDの特性である「過集中」によって、休憩や食事を忘れて作業を続けてしまったり仕事のことを考え続けてしまったりすることがあるので、注意が必要です。 パターン3. 完全(フル)リモートワーク 以前から副業でライターの仕事をしていたのですが、そちらが徐々に拡大していたことから、より柔軟に働けるよう本業も雇用契約から業務委託契約へと切り替えてもらうことになりました。ライターの仕事も本業でおこなっていたWebマーケティングの仕事もリモートワークと相性が良かったことから、フリーランスとなったことをきっかけに、完全(フル)リモートワークに移行しました。 3-1. メリット 自分のやりやすいように仕事環境を作れる 「出社しない」ことが前提になったため本格的に自宅の仕事環境を整えはじめたのですが、自分のやりやすいように環境を作れるというのは、とても大きなメリットでした。 私はASDの「感覚過敏」の特性があったため、目や耳からの刺激をなるべく少なくしたかったのですが、さすがに会社で他の社員がいる中では「自分の席だけ照明を調節」したり「自分だけイヤホンをして雑音を防ぐ」ようなことはできません。 その点、自宅であればどんな調節も自分の思い通りにできます。もちろんお金がかかってしまうこともありますが、お金をかけただけの効果は十分得られたのではないかと思っています。 3-2. デメリット 生活スタイルそのものをアップデートしなければならない 私はASDの特性上、人とコミュニケーションを取ることがあまり得意ではないので、リモートワークで対面のコミュニケーションを少なくできるのは大きなメリットでした。ところが完全リモートワークで仕事をするようになって、今度は家族とのコミュニケーションや距離感の取り方に難しさを感じるようになったのです。 もちろん家で仕事をすることに家族も納得してくれています。それでも人の感情としては「家にいるんだから、これくらいのことはやってよ」と思うのは当然のこと。私自身も、かつてフルタイムで出社して働いたころは、家族に対してまったく同じことを思っていました。 家族との距離感をすり合わせ、自分の中で納得できる形に落とし込むまでには2〜3年かかりました。 仕事の時間や場所が自由になるということは、プライベートの時間の使い方にも当然影響します。つまり、単に「今までより効率的に働ける」というだけではなく、「これまでの生活スタイルそのものが変わる」ということなのです。どのように働いて、どのようにプライベートを過ごすのか——時間のデザインを自分でしなければならないところに、難しさを感じました。 特にADHDの「見通しを立てるのが苦手(計画を立てるのが苦手)」という特性がある場合は、仕事とプライベートの両方の計画を立てなければならない完全リモートワークではより困難さを感じてしまうかもしれません。 リモートワークに欠かせないのは「セルフケア」 今回ご紹介したのはあくまで筆者個人の事例ですので、発達障害の特性や仕事の内容、自宅環境などによって、リモートワークに向いている/向いていないは大きく異なります。 リモートワークの場合、同僚や上司の目が届かないところで仕事をすることになりますので、特に障害者雇用では出社している場合と比べ、どうしても合理的配慮が受けづらくなります。 例えば「過集中によって長時間作業をし続けてしまう」という特性に対して、出社していれば「周りから声をかけてもらう」という合理的配慮が受けられますが、リモートワークでは自分自身で管理しなければなりません。また「計画を立てて進めるのが苦手」という特性に対しても、リモートワークでは周囲からの進捗確認や声がけがしづらくなるので、自分でスケジュールやタスクを管理する必要があります。 このように、自分で自分を管理する「セルフケア」がちゃんとできていることが、リモートワークには欠かせないのです。 もし一人ではセルフケアを身に付けることがたいへんだと感じたら、支援機関を利用することも一つの手です。セルフケアを始め、働く上で困りごとを感じている方のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
ASDのある方に向いている仕事〜やりがいある仕事の探し方〜

ASD特性のある方に向けて「特性が活かせる職種」を「やりがいを持って、長く働ける仕事とは何か?」という観点で紹介します。向いている仕事選びのポイントを分かりやすく図解しました。

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「仕事がうまくいかなくて転職したいんだけど、良さそうな仕事が見つからなくて…」 自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受けた方や「自分はASDかもしれない」と感じている方の中には、そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。 書籍やインターネットの情報では「ASDのある方に向いている仕事」が紹介されていることがあります。しかし紹介されている仕事がいまいち魅力的に見えなかったり、「本当にできるかどうか心配だ」と感じたりしたことはないでしょうか。 今回は「ASDのある方が、充実した仕事人生を歩むためには、どんな仕事を選べばいいのか」について解説します。これから就職や転職を考えている方の参考としてご覧ください。 なお「ADHDのある方に向いている仕事」の解説は、以下の記事をご参照ください。 ADHDのある方に向いている仕事〜実践的な仕事の選び方〜 [toc] ASDの特性とは 向いている仕事を分析するために、まずはASDの特性が、実際の生活にどのように影響するのかを確認しておきましょう。 ASDとは、対人関係やコミュニケーションの難しさ、強いこだわりや興味の偏りなどを特徴とする障害であり、脳の特性として次の3つがあると言われています。 シングルフォーカス特性 : 一度に注意を向けられる範囲が狭くなる。興味関心の幅が狭くなりがち。 ハイコントラスト知覚 : 物事を「白か黒か」「全か無か」など極端な捉え方をしがち。曖昧な捉え方や、さまざまな物事を「微調整」することが難しくなる。 シングルレイヤー思考 : 一度に一つの情報しか処理しにくい。複雑な状況の理解が難しく、明記されていないルールを自然と読み取ったり、物事の「裏」を察したり、といったことが苦手になる。優先順位がつけにくくなる。 (引用元:自閉症スペクトラム障害(ASD)|大人の発達障害とは) ASDの特性による苦手 このようなASDの特性により、仕事をする上では以下のような「苦手」が見られることがあります。 場の雰囲気を読むことが苦手 あいまいな表現を理解できない こだわりが強く、融通がきかない 想定外のことに対処することが苦手 フローやルールが変更されると混乱する 複数の作業を同時並行でおこなうことが難しい これらの苦手があることから、ASDのある方は「人とのコミュニケーションに困難さを感じる」というケースが多くなります。 私たちの仕事や日常生活において、人とのコミュニケーションをなくすことは現実的にはなかなかできません。「特性による苦手なことが分かっているのに、生活する上で避けて通ることが難しい」というところに、ASDの特性による困難さの特徴が表れています。 ASDの特性による強み 一方で、ASDの脳の特性が仕事における強みとなって発揮されることもあります。 例えばイタリアの芸術家であるレオナルド・ダ・ヴィンチ。一説によると彼もまたASDだったそうですが、特定のものごとに異常に執着したり、没頭したりするような人物だったと言われています。彼が興味を抱き没頭する領域は芸術にとどまらず、医学・建築・天文などさまざまな分野へと向けられました。それが芸術にも生かされ、後世に残るさまざまな作品を生み出すことへとつながりました。 このように、ASDの脳の特性が長所となって、 正しい手順やルールを守ることができる 細かな違いやミスに気づくことができる 興味関心のあることに没頭できる 論理的な思考を持っている 独創性や発想力がある …といった強みへとつながるケースもあるのです。では、このような強みを活かせる職種とは、いったいどういうものなのでしょうか。   ASDの特性が活かせる職種 「ASDに向いている職種」を探す難しさ 書籍やインターネット上の情報で「ASDに向いている」と紹介されている職種を見て、皆さんはこんなイメージを持たれることはないでしょうか。 マニュアルがあり、正しい手順やルールに従って作業する事務系や作業系の職種は、ASDに向いている お客様に合わせて臨機応変にコミュニケーションをし、その場で柔軟な対応が求められる営業系や販売系の職種は、ASDに向いていない これらのイメージを図にしてみると、このようになります。 しかし実際にその職種について調べてみると、会社の状況によって中身はかなり違います。例えば、ASDに向いている職種として挙げられることの多い事務職であっても、「業務がキッチリ分業されており、マニュアルも整備されている会社の事務職」と「一人で何役もこなさねばならず、マニュアルも整備されていない会社の事務職」では、まったく違うものになります。 自分が担当する業務の種類によっても状況は変わります。こちらも、ASDに向いている職種として挙げられることの多い財務・経理職を例に見てみましょう。 自分の担当が「会計ソフトへの記帳業務」だけであれば、マニュアルに従い周囲とあまりコミュニケーションを取らずとも行えるかもしれません。 しかし担当が「請求書の処理業務」や「経費の精算業務」などに広がっていった場合、書類の内容について社内外とやり取りしながら、状況に応じて処理を進めなければならないものも出てきます。 具体的に「経費の精算業務」について見てみましょう。この業務は社員から提出された書類(領収書、請求書など)を処理するものです。 一見すると「提出された書類を処理する」のであれば、問題なくマニュアル通りに進めることができそうに思えます。しかし現実には、期日が決まっているのになかなか書類を出してくれなかったり、期日を過ぎてから頼み込んで提出してきたりするようなケースもあります。 たとえ自分はルールを守っていたとしても、人が集まって仕事をする中では、ときに相手に合わせてつじつまを合わせなければならない—こうしたこともコミュニケーションの一種ではあり、ストレスだと感じてしまう場合があるのです。 長く仕事を続けていくなかでは、マニュアルがあったとしても必ずしもその通りには進まず、周囲とコミュニケーションを取りながら業務を進めねばならないケースも出てくるのです。 つまり同じ職種であっても、会社の状況や担当業務によって、業務の定型・非定型や、必要なコミュニケーションの量が変化してしまうということです。これがASDの特性を活かせる職種を探すときの難しさへとつながっています。 最初は定型的で自分一人で完結できる仕事の担当だったとしても、慣れてくれば少しずつ担当範囲が増えますし、誰かとコミュニケーションを取りながら状況に応じて対応しなければならない仕事も任されるようになります。 先ほども書いたように、私たちの仕事や日常生活において、人とのコミュニケーションをなくすことは現実的にはなかなかできません。「長く働く」「やりがいをもって働く」ためには、人とのコミュニケーションに対する困難さに、なにか対策をする必要があるのです。 「才能で突き抜ける」ことは現実的に可能? もしかしたら、先ほどご紹介したレオナルド・ダ・ヴィンチのように、ASDの特性を活かして「興味関心があり自分が没頭できる分野で圧倒的に突き抜ける」というのも、一つの方法かもしれません。 スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんの事例を見てみましょう。グレタさんは自身がASDであることを公表して活動していますが、当時16歳だった彼女がはじめた活動は、世界的なムーブメントを巻き起こし、最終的にノーベル平和賞にノミネートされるまでに至りました。(参照元:「アスペルガーは才能」ノーベル平和賞にノミネートされた発達障害の少女が投げかける。障がいとは何かを | ハフポスト WORLD) 彼女やレオナルド・ダ・ヴィンチのように、ASDの特性を活かし圧倒的に突き抜けた「何か」をもった人であれば、周囲から一目置かれる存在になれるのかもしれません。 しかし私たちの日常生活においては、それはなかなか難しいのではないでしょうか。 すでに自分の才能や技能がはっきり分かっていればいいのですが、現実には「それが見つかっていない」という方も多いのではないかと思います。仮に見つかっていたとしても、安定的にお金を稼いで生計を立てられるかどうか(=持っている才能や技能がお金を稼ぎやすいものかどうか)という課題もあります。 実際、グレタさんが行っている活動がどれだけ社会的意義のあるものだったとしても、それがお金を稼げる「仕事」になるかどうかは別問題です。彼女は「ASDであることは才能であり、スーパーパワーを与えてくれる」と述べており、それはとてもすばらしい考え方です。しかし現実的には、私たちはまず目の前の日々の生活を営んでいかねばなりません。 現代の日本において、現実的に生計を立てつつASDの才能を活かすためには、どのような仕事を探せばいいのでしょうか。 ASDのある方が長く、やりがいをもって働ける可能性がある職種3選 まだ見つからない何らかの才能が隠れているのだとしても、現実にはまず安定的に働いてお金を稼ぐことからはじめる必要があります。 そこで、定型的・コミュニケーションが少ない仕事から始められて、徐々に専門性で突き抜けられそうな職種を3つピックアップしました。もちろん、「今回ピックアップした3つの職種以外は、ASDのある方には向いていない」というわけではありません。あくまで就職や転職活動をおこなう際の、一つの参考例として、ご覧ください。 1. 財務・経理 企業活動におけるお金の流れを、正確かつ厳密に管理しなければならない財務・経理の仕事は、ASDの「正しい手順やルールを守ることができる」「細かな違いやミスに気づくことができる」という特性を活かして活躍できる可能性があります。 仕訳業務のように「細かな明細や数字を黙々と処理する」ような業務もあれば、会計データをもとに企業の経営分析をおこなうような業務もあり、自分に合わせてチャレンジの幅を広げていきやすい職種です。 また会計と合わせてITの知識を身に付けることで、より高度な分析をしたり、バックオフィス業務の全体を効率化したりするような業務の広げ方も考えられます。 資格も難易度が低いものから高いものまで幅広くチャレンジできます。例えば「簿記」であれば、3級は自学でも比較的取得がしやすい一方で、2級・1級は専門性が高く、ステップアップしてチャレンジするのにやりがいがある資格です。 他にも「給与計算検定」「ビジネス会計検定」といった民間資格もあります。そして、取得は困難ではありますが、会計系の最上位の資格として「税理士」や「会計士」などの国家資格もあります。 日々の業務ではExcelやWordなどのオフィス系ソフトを使う機会も多いため、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)のようなIT系の資格も相性が良いでしょう。Excelのスキルを高めていけば関数やマクロを使って業務を効率化できますし、汎用性が高いので幅広い仕事で応用できるスキルにもなります。 財務・経理の仕事はどの企業にも必要なものですので、大企業から中小企業、税理士事務所まで、幅広く求人があります。ただし中小企業や税理士事務所の場合、会計業務以外にもさまざまな事務作業を担当しているケースが多く、臨機応変な対応が求められる傾向があるため注意が必要です。 「マニュアルがしっかり整備されている」「分業がはっきりしていて担当が明確である」という点で、大企業や特例子会社への就職を目指す方が良いでしょう。 2. Webデザイナー 「細かな違いやミスに気づくことができる」「興味関心のあることに没頭できる」「独創性や発想力がある」というASDの特性を活かして活躍できる可能性があるのが、Webデザイナーです。 「Webデザイナー」と一口に言っても、以下のようにさまざまな業務があります。 お客様との調整や全体の進行管理をおこなう「ディレクション」 導線やコンテンツの配置など、サイト全体のデザインを設計する「UI/UXデザイン」 サイトに掲載する文章を制作する「ライティング」 画像やイラストを制作する「デザイン」 HTMLやCSSなどの言語を使い設計図に従って実際にサイトを組んでいく「コーディング」 上記のうち「コーディング」の業務は、細かな部分までミスなく処理することが必要なためASDの特性を活かせる可能性があり、また、専門学校などでHTMLやCSSといった言語を学べば未経験者でも比較的チャレンジがしやすい業務です。またデザインが得意な方であれば、「独創性や発想力がある」という特性を活かして、クリエイティブに特化した道という選択肢もあるでしょう。 コーディングを専門に担当する職種として「コーダー」を募集している求人もありますので、コーダーからはじめ、自分に合わせて徐々にチャレンジする領域を広げていくこともできるでしょう。 Webデザイナーの求人は、大きく分けて「事業会社」のものと「制作会社」のものとがあります。 事業会社のWebデザイナー:自分の会社のWebサイトを制作・保守する Web制作会社のWebデザイナー:お客様の会社のWebサイトを制作・保守する 「Webサイトを制作・保守する」という点はどちらも同じですが、Web制作会社の場合は社外のお客様あっての仕事ですので、仕様やスケジュールなどがお客様都合で変更になることもあります。その点は注意して選びましょう。 「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はWebデザインを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付けたり、就職先を探したりする方法もあります。 就労移行支援事業所については、以下の記事もご参照ください。 就労移行支援事業所とは?対象者・料金・サービス内容をまとめました。 就労移行支援事業所のよくある質問集 3. ITエンジニア Webデザイナーと同じく「細かな違いやミスに気づくことができる」「興味関心のあることに没頭できる」「論理的な思考を持っている」というASDの特性を活かして活躍できる可能性があるのが、ITエンジニアです。 基本的にはプログラミング言語の専門的な知識が必要であり、未経験からチャレンジすることは難しいですが、近年はITエンジニア人材の需要は非常に高まっており、基礎的なスキルが習得できていれば実務経験が少なくてもOKという求人もあります。 先ほどご紹介した「2. Webデザイナー」と同じく、「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はプログラミングを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付ける方法もあります。 ITエンジニアのなかには、ソフトウェアの動作テストを専門におこなう「テスター」や、プログラムの不具合を発見・修正を専門におこなう「デバッガー」という職種もあります。これらの職種では、ASDの「細かな違いやミスに気づくことができる」という特性が活かせる可能性も高まります。 またITエンジニアの中でも「(SE寄りの)要件定義など仕様を考える仕事」では、「何を・どうすれば・どのようなことができ・解決に至れるのか」をロジカルに考えることが求められるため、「論理的な思考を持っている」という特性を活かすことができるでしょう。 特定の分野で高度専門的な知識を身に付ければ、高い収入が期待できるのもエンジニアの特徴です。専門学校などで基礎知識を身に付けた上で、まずは「テスター」「デバッガー」からはじめ、徐々に専門領域へとチャレンジを広げていく、というキャリアステップが考えられるでしょう。 就職先としては、大企業の特例子会社など障害者雇用でテスター/デバッガーを積極的に募集している企業もあります。特例子会社については、以下の記事もご参照ください。 特例子会社とは?就職先としてのメリット・デメリットを紹介! ASDのある方が「働きやすい」条件とは ここまで解説した内容を整理すると、ASDのある方が働きやすい条件は下記のとおりです。 コミュニケーション力が求められない仕事(一人でできる仕事) 業務の手順やルールが明確な仕事 タスクが決まっており、臨機応変さや柔軟さを求められない仕事 自分が得意とすることができる仕事 これらをすべて満たすことができれば理想ですが、ここまでで述べたとおり、私たちの仕事や日常生活において人とのコミュニケーションをなくすことはなかなかできません。また長く仕事を続けていく間には「コミュニケーションを取りながら、状況に応じ対応しなければならない仕事」にもチャレンジする必要があるかもしれません。 定型的でコミュニケーションが少なくても済むような仕事からはじめ、生活を安定させつつスキルを積んでいき、自分の興味関心や仕事環境に応じてチャレンジの幅を広げていくのが良いのではないでしょうか。 セルフケアも大切に どんな仕事でも、自分に合った職種や仕事環境を探すのと併せて特性に対するセルフケアをおこなうことが欠かせません。ASDの特性に対するセルフケアのヒントを過去の記事でご紹介していますので、こちらもぜひご参考ください。 「通勤疲れ」は感覚過敏に工夫を!ASD の脳の特性による困りごと:疲れやすい コミュニケーションが苦手だとSNS依存になりやすい!?上手く付き合うためのHACK! 「自分らしく働く」を実現しませんか? 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【大人のASD特性対策】コミュニケーションが苦手だとSNS依存になりやすい!?上手く付き合うためのHACK!

「SNSをやっていると、つい没頭して何時間も見続けてしまう」「もしかして、SNS依存では…?」発達障害のある方は、その特性からSNSや動画などのインターネットのコンテンツに没頭してしまいやすいと言われています。ASD 当事者である筆者が試行錯誤してきた中から、効果があった 2 つの HACKS をご紹介します。

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  • #自閉スペクトラム症(ASD)
「SNS をやっていると、つい没頭して何時間も見続けてしまう」「もしかして、SNS 依存では…?」—— こんなお悩みをお持ちではありませんか? Twitter や Facebook、Instagram など、 SNS アプリは私たちにとても身近で便利な存在です。友だちとのコミュニケーションや情報収集など、普段から活用されている方も多いことでしょう。 しかし SNS との付き合い方を間違ってしまうと、便利などころか逆に「日常生活に悪影響を与えてしまう」ことにもなりかねません。 発達障害のある方は、その特性から SNS や動画などのインターネットのコンテンツに没頭してしまいやすいと言われており、特に自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)では以下のような傾向があるとされています。[*] 現実世界で対人関係やコミュニケーションが苦手なことから、ネット上での交流を求めやすい 興味関心が高いことに時間を忘れて没頭してしまうことから、ネット上での情報収集に多大な時間を費やしてしまいやすい ASD 当事者である筆者も、実際に長年 SNS との付き合い方に苦労してきました。そこで今回は、筆者が試行錯誤してきた中から、効果があった 2 つの HACKS をご紹介します。 [*参考文献:発達障害とインターネット依存の現状と対策|一般社団法人日本児童青年精神医学会 機関誌「児童青年精神医学とその近接領域」第60巻 第1号 2019年2月1日発行] [toc] ①アプリの通知を切る 「SNS をあまり見ないようにしよう」と思っていても、スマートフォンの通知が鳴ればついつい見てしまいますよね。これはガマンする/しないの問題ではなく、もはや人としてどうしようもないことではないでしょうか。 どうしようもないのであれば、そもそも通知が届かないように仕組みを作りましょう。 SNS の通知設定は、実はかなり細かく設定することができます。例えば Twitter の場合だと、リツイートやリプライ、DM などの機能ごとに通知のオン/オフを選べたり、特定のアカウントからの通知だけをオン/オフしたりすることも可能です。 筆者は SNS の通知をすべて「オフ」に設定しています。 実は、最初は「自分の投稿に返信(リプライ)してもらったときに、気が付かなかったらどうしよう…」と思って通知をオフにすることをためらっていました。でもよく考えてみれば、SNS の通知は「仕事の連絡」のようにすぐに返事をする必要はないわけです。後でまとめて確認・返信するのでも、まったく問題はありませんでした。 各 SNS の通知の設定方法は、以下の記事(外部サイト)をご参照ください。 多すぎる通知をスッキリさせたい!大事な情報を見逃さない「スマホ通知」の整理術|ソフトバンク ニュース 通知の設定(Android)|LINEみんなの使い方ガイド Xのモバイル通知をオンにする方法 | Xヘルプ ②SNS を見る時間を決める 子どもの頃に「テレビやゲームの時間を親から決められていた」という方も多いのではないでしょうか?これと同じように、SNS も時間を決めて利用するのが効果的です。 任天堂の Switch には「みまもり Switch」というアプリがあり、親がゲーム時間を管理することができますが、これと同じような機能が実はスマートフォンには最初から搭載されています。これをうまく活用しましょう。 iPhone では「スクリーンタイム」、Android では「Digital Wellbeing」という機能を使って、アプリ毎に見られる時間帯や、1日あたりの上限時間を設定できます。PC のブラウザから SNS を利用している場合は「BlockSite」などの拡張アプリをインストールすることで、似たような機能を使うことができます。 これらを設定しておけば、SNS を見ようとついスマホに手が伸びてしまったときに、踏みとどまることを助けてくれます。 ただし一つ問題があります。大人が自分で自分のスマートフォンを設定する場合、解除しようと思えばできてしまうので、完全にブロックすることができないのです。何を隠そう、筆者も「SNS を見たい」という欲望に負けて設定を自分で解除してしまうことがたびたびありました。 どうしてもガマンできない場合はどうすれば良いのか —— いろいろと試行錯誤した結果、筆者の場合は「スマートフォンから SNS アプリを消して、PC からのみ見るようにする」ことにしました。たしかに、スマートフォンでスキマ時間の暇つぶしに SNS を見られないのはちょっと不便に感じることもありますが、没頭し過ぎるよりはマシだろうと諦めることにしました。 スクリーンタイムなどの詳しい設定方法は、以下の記事(外部サイト)をご参照ください。 iPhone:人生は短い。SNS制限し余計な時間を見直して、集中する時間を作ろう | トリニティ Android:スクリーンタイム機能の使い方 - 見方・アプリごとの視聴制限方法を解説 - OTONA LIFE | オトナライフ - OTONA LIFE | オトナライフ PCのブラウザ:目的別:見たくないサイトをブロックできるChrome拡張機能5選:3分LifeHacking(1/3 ページ) - ITmedia エンタープライズ ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、大人の発達障害がある方からのご相談を承っております。(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援を行っている方からのご相談も受け付けております。) 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【大人のASD特性対策】「通勤疲れ」は感覚過敏に工夫を!ASD の脳の特性による困りごと:疲れやすい

ASDのある方で「会社に行っただけで疲れた」「満員電車が苦手」という悩みを抱える方は少なくありません。対策のコツは感覚過敏への対処をすることです。今回の記事では、困りごとが起きやすい通勤などの「移動時」の疲れを軽減するために、筆者が実際に試して効果のあったHACKを紹介します。

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  • #自閉スペクトラム症(ASD)
大人の発達障害、特に、自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の方の中には、「疲れやすい」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ASDの代表的な特性のひとつに「感覚過敏」があります。感覚過敏とは「光や音など特定の刺激に非常に敏感」であることです。脳の特性により、普通は受け取りすぎないように脳がフィルターをかけて抑えている刺激を過剰に受け取ってしまうことで、疲れや苦痛を感じてしまうのです。 この特性がある方は、外部からの刺激を受けやすいために疲労やストレスをためてしまいがちです。「会社に行っただけで疲れた」「満員電車が苦手」という悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。 感覚過敏への対策のコツは、外部からの情報を入りすぎないように防ぐことです。そこで、今回の記事では、困りごとが起きやすい通勤などの「移動時」の疲れを軽減するために、筆者が実際に試して効果のあったHACKを紹介します。 [toc] ポイント①:耳からの刺激を防ぐ 耳から入ってくる刺激を遮断するのにオススメなのは、ノイズキャンセル・ヘッドホン/イヤホンです。 筆者もいくつかノイズキャンセルの機器を試して、今はヘッドホンを使っています。ヘッドホンの方が耳の全体を覆ってくれるので遮音効果が高いですが、夏は暑い・髪型が崩れる・持ち運びでかさばるなどのデメリットもあります。その点、イヤホンの方が気軽に付けることができ、持ち運びにも便利です。イヤホンの場合は耳の穴に差し込む「耳栓型(カナル型)」のものであれば、遮音効果もそれなりにありました。 価格についてもいろいろな価格帯のものを試してみたところ、7,000 〜 13,000 円のものが価格と機能のバランスが良く、効果もしっかりと実感できました。 普通のイヤホンで周囲の音を防ごうとする場合、音量を大きくするしかないので音漏れなど周囲に迷惑を掛けてしまうことがあります。ノイズキャンセル・ヘッドホン/イヤホンなら、周囲から入ってくるノイズそのものを軽減してくれるので、音量をそれほど上げなくても音を防ぐことができます。 聴覚に敏感さがある方の場合は、雑音や騒音に対しても情報を拾ってしまうので、街を歩いているだけでも苦痛やストレスを感じてしまうことがあります。しゃべり声だけでなく、例えば他人の「せき払い」や「舌打ち」などの音も、自分に向けられたものではないのに気になって疲れてしまうこともあります。 自分に関係のない情報はそもそも受け取らないようにするのがポイントです。 ポイント②:目からの刺激を防ぐ 目から入ってくる刺激を遮断するのにもっとも効果があるのはサングラスです。しかし、筆者の場合は「視界が暗くなりすぎて、夕方や夜間、屋内では歩きづらい」「サングラスが似合わず見た目が気になる」という悩み事がありました。 サングラス以外の方法をいろいろ試したところ、意外にも効果があったのはブルーライトカット・メガネでした。 ブルーライトカット・メガネは、本来は PC などで作業する際に目の疲れを軽減するためのものです。紫外線カットのために薄く色が付いており「目立たないサングラス」として使うこともできます。 他にも、筆者が試して効果があったのは「関係ない人の顔を見ない」ことです。 経営コンサルタントの方が「仕事に集中するため、ムダに脳の体力を消耗しないよう、移動中は他人の顔を見ないように歩いている」と SNS でつぶやいていたのを見てマネしてみたところ、かなり効果がありました。(人の顔を見ずに、誰かにぶつかったりしないよう歩くのは少し練習が必要でしたが。) 「目は口ほどにものを言う」ということわざもありますが、「人の顔」はそれだけ多くの情報を発していると言えるのかも知れません。 まとめ:自分に関係ない情報は受け取らないようにする ASD には「感覚過敏」だけでなく、対人関係やコミュニケーションが苦手という特性もあります。その対処として周囲の人の声やしぐさ、表情などを注意深く読取ろうとしてしまうことで、人混みを移動する間ずっと頭がフル回転状態となり、「通勤・通学するだけで疲れてしまう」というケースもあります。 自分に直接関係のない情報にフィルターをかけることで移動中の疲れは軽減できますので、安全に注意して、今回の HACK をお試しください。 ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、大人の発達障害がある方からのご相談を承っております。(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援を行っている方からのご相談も受け付けております。) 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害のある人は料理が苦手?〜当事者が試して効果のあった料理術をご紹介!〜【ハタらくナビ・番外編】

発達障害の当事者の方のなかには、料理が苦手という方もいらっしゃるのでは。今回の記事では発達障害の当事者である筆者が、実際に試してみて効果があった料理術(特性対策)をご紹介します。

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  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
今ある食材を柔軟に組み合わせ、複数の献立を限られた時間の中で同時に作らなければならない —— 発達障害の当事者の方のなかには、料理が苦手という方もいらっしゃるかも知れません。 「同時並行でものごとを行うのが苦手」 「段取りがうまくできない」 「こだわり過ぎて時間がかかる」 このような発達障害の特性は、料理との相性が最悪に思えてしまいます。一人暮らしなら適当に済ませることもできるかも知れませんが、もしも「家族に料理を作ってあげねばならない立場」だとしたら、ちょっと気持ちが重くなってしまいますよね。 そこで今回の記事では、注意欠如・多動性障害(ADHD)と自閉症スペクトラム障害(ASD)の当事者である筆者が、実際に試してみて効果があった料理術をご紹介します。 [toc] 1. こだわりの強さを活かして基本を身に付ける 勉強でもスポーツでも、基本を身に付けることが第一歩です。まずは、初心者向けの基本的なレシピ本を一冊買ってきて、その本を教科書として使いましょう。 「いつも同じメニューだと飽きてしまいそう……」と思っても大丈夫。手の込んだ料理でなくとも、誰でも知っている料理だけでも充分なバリエーションがあります。また、基本的なレシピであれば、調理の時間も比較的短くて済みます。 初心者向けの基本的なレシピ本の例 がんばらなくてもできちゃう!基本のおかず100 お料理1年生の基本レシピBest121 ポイントは、レシピの分量や手順をしっかり守ることです。ここではむしろ発達障害の「こだわりの強さ」を存分に発揮して、基本に徹底的にこだわりましょう。 「短期記憶の弱さ」の特性を持つ方の場合は、料理の最中にレシピを忘れてしまうことも起こりがち。レシピ本がいつでも確認できるように、以下のグッズを使って見える位置に置いておきましょう。 レシピ本を見やすくするグッズ レシピスタンド 吊り下げ式レシピホルダー 歌舞伎や茶道などの日本の伝統芸能には「守破離(しゅ・は・り)」という言葉があります。最初の「守(しゅ)」とは、決められた型を守って繰り返し練習し、基本を身に付ける段階。続く「破(は)」とは、基本をベースに自分なりの工夫を加えて徐々に基本を破る段階。そして最後の「離(り)」とは、基本から離れてまったく新しい自分なりの型を生み出す段階です。 つまり、基本がしっかり身に付いているからこそ、自分なりのセンスが生まれ勘が働くようになるということです。これは料理にも通じるものがあります。段取りよく料理するためには、基本的な調理方法や味付けを身に付けることがまず大切なのです。   2. あいまいな表現は自分でルールを決める レシピでは調味料の分量が「少々」や「ひとつまみ」と書いてあったり、煮るお水の量が「ひたひた」「かぶるくらい」と書いてあったり、あいまいな表現になっていることがあります。発達障害の方の場合こういった「あいまいな表現が苦手」という声もよく聞きます。 これらの分量には基本ルールがありますので、まずは確認しておきましょう。 「ひとつまみ」 約 1 g。 塩や砂糖などの粉なら、親指・人差し指・中指の 3 本でつまんだ程度。 醤油やお酒などの液体なら、 小さじ 1/5 程度。 「少々」 約 0.5 g。 塩や砂糖などの粉なら、親指・人差し指の 2 本でつまんだ程度。 醤油やお酒などの液体なら、 小さじ 1/8 程度。 「ひたひた」 食材が水面顔を出すか出さないかくらいの量 「かぶるくらい」 食材が水に隠れるくらいの量 基本ルールを見ても「まだ、あいまいで納得できない」という場合には、自分でルールを決めてしまうのがおすすめです。 例えば調味料の場合、いろんなサイズがセットになった計量スプーンを用意しておき「ひとつまみのときはこれ」「少々のときはこれ」というように使うスプーンを決めておきます。デジタル式の軽量スプーンもあるので、基本ルールにそって重さを量っても良いでしょう。 参考▶ いろんなサイズの軽量スプーン▶ デジタル式の軽量スプーン 煮るお水の量の場合、「ひたひたなら、水面から 5 mm ほど出ている状態」「かぶるくらいなら、水面から 2 cm ほどしずんでいる状態」というように決めておきます。 料理は、同じ食材でも一つ一つの大きさが違いますし、産地や季節によって味も変化します。分量があいまいなのは、本来は「状況に応じて量を調節する」という意味ですが、逆に考えれば「料理が毎回、必ずしも同じ味にならないのは当たり前」だとも言えます。 料理に慣れてくれば、もしかしたら自分なりの感覚でうまく調整できるようになるかも知れません。でも、もし感覚的であいまいな調節が不得意だったとしても、あまり苦手意識を持たず自分なりのルールにこだわった方が、気持ちも楽に料理ができます。 3. 使い回せる食材を定番にして買い物ストレス減 スーパーに買い物に出かけると、旬の食材や特売品が目について、ついつい手を伸ばしてしまいがちです。無計画に気になったものを買ってしまったり、「何に使うか」がうまく想像できず、使い切れずに捨てることになってしまったり……そこには、「見通しを立てることや、計画どおりに進めることが苦手」という発達障害の特性が関係しています。 そんな困りごとへの対策として、いつも買う定番の食材を決めておき、そこから作れる料理でバリエーションを増やしていきましょう。例えば、以下のような食材がおすすめです。 野菜 にんじん・じゃがいも・タマネギ カレーから始まり肉じゃが、お味噌汁、ポテトサラダ……と幅広く使える万能野菜。比較的日持ちもするので、常に置いておくと便利。 キャベツ 生でも食べられるのでサラダにしたり、炒めてホイコーロー、ちょっとこだわってロールキャベツなど、幅広く使える。一年を通じて安く買えるのも良い。ドレッシングを何種類か買っておけば、サラダのバリエーションを簡単に増やせる。 お肉 鶏もも・豚こま・合い挽き 和洋中、焼く・煮る・揚げる、と何にでも使える定番のお肉。100 g ずつ測って小分けにし、ラップでくるんで冷凍しておけば、日持ちもするし使いやすい。豚肉は、もも・バラ・ロースなど様々な種類が売られており、レシピによって異なることが多いが、豚こまなら多くのレシピで代用できるので使い回しがしやすい。 その他 木綿豆腐 お味噌汁の定番具材。そのまま冷奴にしたり、つぶしてサラダに乗せたりしても使える。麻婆豆腐にすれば主菜にもなる。絹豆腐でも良いが、木綿豆腐の方が調理の際に煮崩れしにくい。   4. 最大の難関「段取り」には合わせ技で勝つ! 複数の献立を限られた時間の中で同時に作らなければならない料理には、段取りが欠かせません。「計画通りに物事を進めることが苦手」という発達障害の当事者にとっては最大の難関です。ここは三つの対策の「合わせ技」で乗り切りましょう。 技① 全部手作りしようとしない 毎食・全部の献立を手作りするのは、忙しい現代人にとってはとても難しいことです。時間がないときはすべてを手作りしようとせずに、以下の方法も組み合わせましょう。 ご飯はまとめて炊き、余った分は冷凍しておいて、レンチンですぐ食べられるようにする 付け合わせのおかずは、冷凍食品にする 手間のかかる魚料理は自分で作らず、お惣菜コーナーで買ってくる サラダはカット野菜を使う スープはレトルトにする 技② 「焼く」「炒める」のメニューを基本にする 「煮る」「揚げる」料理は下ごしらえの工程が複雑で時間もかかります。まずはフライパンだけでできる「焼く」「炒める」料理を自分の定番にし、煮物・揚げ物は時間が充分取れる日にチャレンジするようにしましょう。 技③ 自分なりの段取りルールを決める その場の状況に応じて柔軟に段取りするのが苦手であっても、あらかじめ自分なりの段取りルールを決めておけばスムーズにできる、という場合もあります。例えば以下のようなルールを決めておくと良いでしょう。 時間のかかる炊飯や解凍を真っ先に行う 食材はすべて先に切っておき、料理番組のように材料ごとタッパーに小分けして置いておく(小さめサイズのタッパーをまとめ買いしておくと便利。参考商品は▶ こちら) まな板を何度も洗わないよう、野菜用と肉用で二つ持っておく 火を使うものは、焦がさないよう同時に二つ以上やらない まとめ 筆者のパートナーは料理が得意で、レシピを見ずとも勘とセンスで料理を作ってしまいます。しかし「勘で作っちゃうから同じ味が二度と作れない」とよくぼやいていました。その点、筆者はいつも同じ味を安定して出すことができるので、レシピや段取りのルールにこだわっていることが功を奏しているとも言えます。 発達障害の当事者にとって料理は大変な家事ですが、食べてくれた人から「美味しい!」と言ってもらえるのは、料理でしか味わえない喜びでもあります。料理の困りごとが少しでもラクになるように、本記事がお役に立てましたら幸いです。 ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害は治る?治らない?〜治療法の 5 つの疑問について解説します〜

発達障害の診断を受けたあとはどのような治療を行うのか、症状は改善したり治ったりするものなのか。当事者の方や、サポートをされているご家族や同じ職場の方々にとっては、気になることではないでしょうか。今回の記事では発達障害の治療法に関する 5 つの疑問について解説します。

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  • #合理的配慮
  • #就労移行支援事業所
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
  • #限局性学習症(SLD)
発達障害の診断を受けたあとはいったいどのような治療を行うのか、症状は改善したり治ったりするものなのか。当事者の方や、サポートをされているご家族や同じ職場の方々にとっては、気になることではないでしょうか。 日本公衆衛生学会が行った調査 [*] によれば、「”発達障害”を聞いたことがある人」の割合は 91.5% なのに対し「どのような対応や支援を行えば良いか」を具体的に知っている割合は 26.5% だったという結果が報告されています。 * 出典:「発達障害に対する成人の認知および情報源に関する現状」日本公衆衛生雑誌/66 巻 (2019) 8 号 障害について知っておくことは、障害と向き合いながら日々の生活や仕事を行っていくために大切なことです。今回の記事では、診断を受けたあと実際にどのような治療を行うのか、発達障害の治療法に関する 5 つの疑問について解説します。 [toc] Q1. 発達障害は「病気」なの? 発達障害は、先天的な脳機能の障害と言われています。 大人になってから発達障害の診断を受けた場合でも、「本人も周囲も発達障害のことを知らず気が付かなかった」「子どものころは親や先生のケアがあって、生きづらさが表面化していなかった」ということがほとんどで、「大人になってから発達障害が(病気のように)発症した」というわけではありません。 発達障害について行政(厚生労働省、文部科学省など)が公開している情報では、発達障害が病気である旨の記載はされていません。 参考大人の発達障害(神経発達症)とは発達障害ナビポータル|国立障害者リハビリテーションセンター(発達障害情報・支援センター)、国立特別支援教育総合研究所(発達障害教育推進センター)発達障害について|文部科学省発達障害って、なんだろう?|政府広報オンライン 一方で、発達障害の特性による困難さやストレスが原因となって「うつ病」など別の病気が二次障害として起こってしまうケースもあります。「二次障害」については、過去のコラム記事もご参照ください。 【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は Q2. 発達障害は治るもの?どんな治療法があるの? 発達障害は脳や神経系の障害であるため、先天的な脳機能の特性など、障害そのものを治療することは現在の医学では困難です。 ただし、発達障害の特性に対してアプローチする治療方法として ①薬物療法 と ②心理社会的なサポート の二つがあります。これらの治療により、発達障害による生きづらさや困難さを軽減することができます。 Q3. 「薬物療法」とはなに? 注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)には、多動性・衝動性・不注意といった中核症状(障害の基本的な症状)への効果が認められている薬があります。自閉症スペクトラム障害(ASD)や限局性学習障害(SLD)の中核症状への治療薬は現在のところはまだありません ADHD の薬物療法で使われる薬は、どれも医師の診断のもと処方されますので、自分で薬の種類を選んだり薬局等で一般購入することはできません。また特別な登録を受けた医師・薬剤師でないと処方できない薬もあります。(一部の薬は、過去に不正使用事件があったことを受け、医師・薬剤師に加え、患者も登録を受けないと処方が受けられないものもあります。) 薬物療法は症状を根本から治すものではなく、一時的にやわらげるものであり、心理社会的なサポート(Q4. で解説)と併用していく必要があります。 なお「障害の特性による困難さ」によるストレスを和らげるために、心を落ち着けるための薬や、睡眠を補助するための薬などが処方される場合もあります。 Q4. 「心理社会的なサポート」とはなに? 「心理社会的なサポート」とは、気持ちなどの精神面や生活・仕事などの環境に関するサポートのことです。 Q3. で解説したとおり、発達障害そのものを治療することは困難です。そのため、自分の気持ちを楽にする・行動をコントロールするための方法を学んだり、困難さを軽減するために環境を調整したりすることが必要不可欠です。 まずは自分の障害について知る 発達障害は「見えにくく、分かりにくい障害」と言われており、同じ診断名がついていたとしても、その特性は一人ひとり異なります。そのため「自分の障害特性」を理解しないと、 特性による苦手への対策ができず同じ失敗を繰り返してしまう 職場で上司や同僚に理解をしてもらうことができず適切な配慮を受けることができない …ということになってしまいます。まずは自分で自分の障害について知ることが第一歩です。 障害特性へのセルフケアを習得する 周囲に適切なサポートを求めるのと併せて、自分自身でセルフケアすることも大切です。例えば、「対人関係がうまくいかない」という場合はコミュニケーションの方法を学ぶ、「生活リズムが乱れがちで体調が安定しない」という場合は体調管理の方法を学ぶといったように、セルフケアの方法を習得することで特性による困難さを軽減することに繋がります。 またセルフケアを習得することは、次に解説する合理的配慮を受けるためにも必要です。 周囲から合理的配慮をもらって環境を調整する 合理的配慮とは障害によっておきる困難さを取り除いたり、周りの環境を整える支援などの提供を企業等の側に求めるものです。障害のあるなしに関わらず誰もが平等に生きることができる社会を実現するために、「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」などの法律で「合理的配慮」を提供することが定められています。 「障害者が企業に対して配慮を求めることができる」とは言っても、どのような要求でも通るわけではありません。名前に「合理的」と付いているように、提供する側にとっても負担が重すぎない範囲の配慮である必要があります。 合理的配慮がどの程度まで提供されるのかは、話し合いによって決められます。障害者の側もセルフケアをしたうえで、それでも対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能なものかどうかが、合理的配慮の範囲を決めるポイントになります。 過去のコラム記事では、自分の障害を受容することやセルフケア、合理的配慮について解説や事例を紹介していますので、併せてご参照ください。 合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。 発達障害のある方の「合理的配慮」事例集 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介 合理的配慮のよくある質問集 発達障害当事者がオープン就労/クローズ就労の両方で働いてみて分かったこと Q5. 心理社会的なサポートはどうやったら受けられるの? 先ほどもご紹介したように、発達障害の特性による苦手や困りごとは十人十色ですので、まずは自分の障害のことを正しく理解することが重要です。 しかし客観的に自分を見ることは障害の有無にかかわらず難しいものですし、障害に対する深い知識も必要です。自分一人で悩むよりも専門家の手を借りた方が良いでしょう。 そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。