注意欠如・多動症(ADHD)の記事一覧

大人の発達障害が増えてるって本当?〜発達障害を正しく理解しよう〜

「大人の発達障害が増加しているって本当なの?」最近話題になっている疑問について解説します。適切なサポートを受けるためには、障害に対する適切な理解が大切です。

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大人の発達障害の人が増えている——そんな話を聞いたことはありませんか? 最近はインターネットだけでなく、テレビや新聞などの一般的なメディアでも発達障害について見聞きすることが増えてきました。著名人が自身の発達障害について告白する記事や動画を見かけることもあります。そうした情報を見て「もしかしたら、自分も発達障害かも…」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。 しかし「発達障害」という名前が知られるようになった一方で、具体的にどのような障害であるのか、どのようなサポートをすべきなのかという部分は、世間一般の理解がまだ追いついていないという側面があります。 今回の記事では、果たして本当に大人の発達障害は増えているのか、そしてなぜ発達障害を正しく理解することが必要なのかについて解説します。 なお大人の発達障害についての基礎知識は、以下のページにまとめていますのでご参照ください。 大人の発達障害とは [toc] なぜ発達障害の診断を受ける人が増えているのか? 診断数の公的な統計はまだない 実は発達障害の診断数について、国や地方自治体などの公的な機関がおこなっている統計は今のところありません。 日本の法律では「障害」を ①身体障害 ②知的障害 ③精神障害 の三つに分類していますが、発達障害は現在 ③精神障害 に含まれており単体での分類がありません。そのため発達障害単体での申請数や登録数は正確な数字が管理されていないのです。 また日本では2004年「発達障害者支援法」が制定されるまで、発達障害について法律上の明確な定義がありませんでした。他の障害と比べ発達障害の研究や支援の歴史は浅く、また発達障害を正確に診断できる医師も限られているため、診断数の統計が出しづらいのです。 実際の診断数は増えているのではないかと推測されている しかし2013年にアメリカ精神医学会の定める診断基準(DSM)が改訂され発達障害の診断がしやすくなったことや、インターネットなどを通じて発達障害そのものの認知度が高まってきたことから「これまで発達障害だと気付かなかった人/知らなかった人が病院を受診するようになったので、診断を受ける人も増えているのではないか」と推測されています。 実際、内閣府の発行する「障害者白書」によれば、発達障害を含む精神障害者の数は年々増加しています。 画像引用元:内閣府|令和4年版 障害者白書 全文|参考資料|218ページ また文部科学省が国公私立の小・中・高等学校と教育委員会に行った「特別支援教育に関する調査」によれば、支援を受けている発達障害の児童・生徒の数は右肩上がりで増え続けています。発達障害(注意欠陥・多動性障害・自閉症スペクトラム障害・限局性学習障害)が通級指導の対象となった2006年(H18)と比べると、当時は約7,000人だったものが2020年(R2)は約97,000人になっており、14年の間に10倍以上に増えていることが分かります。 画像引用元:文部科学省|令和2~3年度 特別支援教育に関する調査の結果について|3ページ このような数値から、大人の発達障害の診断数についても年々増えていることが推測されているのです。 なお一説には、私たちの生きる現代の生活環境は変化が激しく、高度で複雑な社会になってしまったことで「昔よりも生きづらさを感じる人たちが増え、結果として発達障害を疑い受診する人も増えているのではないか」とも言われています。 発達障害のある方への支援は広がってきている 近年は発達障害のある方を支援する体制の整備も進んでいます。2016年には支援の一層の充実を図るため、発達障害者支援法が改正されました。この改正では当事者本人への支援だけでなく、当事者を支える家族への支援や、自治体と企業・医療機関が連携して地域全体で支援をおこなう体制が強化されました。 画像引用元:厚生労働省|平成28年|社会保障審議会障害者部会(第80回)|参考資料5 発達障害者支援法の改正について また働きたいと思う障害者の方への支援も強化されており、「精神障害者雇用の義務化」なども追い風となって発達障害のある方の障害者雇用も進んできています。 障害者雇用については、以下の過去記事もご参照ください。 障害者雇用とは?オープン就労を目指す方に向け、基礎情報をまとめました。 障害者雇用と一般雇用とは?基本情報をまとめました。 【企業人事に聞いた】変わりつつある「障害者雇用」への考え方 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集 発達障害の「正しい理解」については、まだこれから 正しく理解している人はまだまだ少ない 発達障害という言葉は知っていても、その中身について正しく理解している人はまだまだ少ないのが現状です。 この記事の冒頭でも述べたように、最近はインターネットだけでなく、テレビや新聞などの一般的なメディアでも発達障害について見聞きすることが増えてきました。しかし日本公衆衛生学会がおこなった調査* によれば、「”発達障害”を聞いたことがある人」の割合は 91.5% なのに対し「どのような対応や支援をおこなえば良いか」を具体的に知っている割合は 26.5% だったという結果が報告されています。 * 出典:「発達障害に対する成人の認知および情報源に関する現状」日本公衆衛生雑誌/66 巻 (2019) 8 号 特にインターネットの場合、国や支援機関、病院や製薬会社、当事者個人やメディアなど、さまざまな団体や人が情報を発信しているため、その中から正しい情報を見つけ出すのは簡単ではありません。 自己診断で決めつけないように注意! インターネット上には発達障害の傾向があるかどうかを自分でチェックできるシートが公開されていることがあります。例えば「忘れ物が多い」「落ち着きがないと言われる」などの質問項目がいくつか用意されていて、自分が当てはまるものにチェックを付け、その数で発達障害の傾向の有無が分かる、というようなものです。 病院や製薬会社が公開しているチェックシートは、受診する際に自分の情報を医師に伝えるための「事前準備」として役立つ場合もあります。しかしこれらはあくまで簡易的なものであり、それだけで発達障害かどうかを診断することはできないので注意が必要です。 発達障害の診断は、医師により現在の状態・成育歴・行動観察・認知や知能等の心理検査の結果などを総合しておこなわれます。「なにかの機械で検査すれば、すぐに発達障害かどうか分かる」「病院を受診したら、すぐに診断がおりる」というものではありません。 かつては発達障害の情報そのものが少なく、原因も分からずに悩んでいた方々が多くいらっしゃったことを考えると、社会に広く情報が知れ渡るのはすばらしいことです。しかし簡単に手に入る情報を見て自分で決めつけず、病院や公的な支援機関に相談することが大切です。 なお「発達障害の診断」については、以下の過去記事もご参照ください。 【当事者が解説】大人の発達障害の診断は受けるべき?メリットや注意点を紹介 適切なサポートを受けるためには、適切な障害の理解が必要 「サポートを受けたい」という意思表示をすることが大切 2006年に国連で採択された「障害者権利条約」は、“Nothing about us without us”(私たち抜きに私たちのことを決めるな)を合い言葉に、その策定が進められました。 かつて、障害者は「一般社会から保護される無力な存在」とされ、自分の人生を自分で選択し、決めることが許されなかった時代がありました。国連で条約が採択された背景には、障害者はこのような「保護的支配」を受けるものではなく、普通の市民としての権利を持つ人間であることを強く訴えるメッセージがあったのです。 このような背景から、障害者がなにかのサポートを受けたい場合には、障害者の側から「サポートを受けたいという意思表示をすること」が大切だと考えられています。自分自身の障害について理解を深め、どのような困りごとがありどのようなサポートを受けたいのかを、自分で周囲に説明できることが大切です。 悩んでしまったら、一人で抱え込まず専門機関に相談を 「障害について理解する」ということは、自分が苦手なことや、過去の失敗についても向き合わねばならないということです。日々の生活や仕事で発達障害による困りごとを抱えている中で、自分のネガティブな部分を見つめ直すことは簡単ではありません。一人で抱え込まず、専門の支援窓口に相談することが大切です。 そんな方々のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業)「2-3. 特性に対するアプローチをトレーニングする」で解説したように、特性に対するアプローチ法を学ぶこともできます。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害ある方はストレスを感じやすい?~原因と対策を解説~

健康で長く働いていくためには、ストレスをうまくコントロールすることが欠かせません。今回は発達障害のある方がなぜストレスを感じやすいのか、その原因と対策を解説します。

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「この仕事、ちゃんと締め切りまでに終わらせられるかな…」「あの人ちょっと苦手だけど、仕事ではうまく付き合っていかなきゃ…」「また失敗して、上司から怒られたら嫌だな…」 社会に出ると誰しも何らかのストレスを抱えながら生きているものですが、特に発達障害のある方は、その特性からストレスを感じやすい傾向があると言われています。 健康で長く働いていくためには、ストレスをうまくコントロールすることが欠かせません。今回は発達障害のある方がなぜストレスを感じやすいのか、その原因と対策を解説します。 [toc] 1. 発達障害のある方がストレスを感じやすい原因 発達障害とは、先天的な脳機能の障害によって生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。 社会人として働き始めると、責任が増え人間関係も広くなるため、例えば以下のような場面で発達障害の特性による困難さがミスマッチを起こしてストレスを感じやすくなります。 人とのコミュニケーションが苦手 → 職場での人間関係づくりがストレスに 忘れものなど不注意によるケアレスミスが多い → 上司から注意される回数が増えてストレスに 感覚過敏によって目や耳からの刺激を苦痛に感じる → 通勤中やオフィスの環境は簡単に変えることができないためストレスに また発達障害のある方は、脳の中で抑うつや不安に関連する部分に特徴があり、生物学的にストレスへの耐性が弱いという研究結果*もあります。 *参考:就業経験のある発達障害者の 職業上のストレスに関する研究(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター、2018年4月) 発達障害は「社会性の障害」と言われており、周囲の環境によって困難が生じることがあります。発達障害の特性によって周囲とうまくいかず、ネガティブな経験が積み重なり日常的にストレスにさらされることで「二次障害*」を引き起こすこともあるので、注意が必要です。 *参考:【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は   2. 発達障害がある方のためのストレス対策 大人になり社会に出た後は、ストレスを感じやすい場面も多くなります。ストレスをうまくコントロールしながら長く働くためには、どのような対策を取れば良いのでしょうか。 2-1. 自分の特性を理解する 「発達障害」と一口に言っても、障害の特性や今おかれている環境は人それぞれです。発達障害にはどのような特性があるのか。今の環境の中でどのようなところに困難さがありストレスを感じやすいのか。まずは自分の障害について理解することが、ストレス対策の第一歩です。 自分の障害の特性を理解すれば、おこなうべきセルフケアや、周囲に求めるべき支援の内容も分かりやすくなります。以下のページで発達障害の特性について解説していますのでご参照ください。 大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア また国の運営する各種サイトでも、発達障害の特性理解に役立つ資料が公開されていますので併せてご参照ください。 発達障害の特性(代表例)|厚生労働省 発達障害って、なんだろう? | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン 特性の理解 - 発達障害情報のポータルサイト 「一生懸命がんばれば何とかできる」にも要注意 特性に対するセルフケア(自分で自分の面倒を見たりいたわったりして、自己管理すること)ができている方や、発達障害の診断を受けるまでには至っていない「グレーゾーン」の方であっても、ストレスのケアには注意が必要です。なぜなら周りの環境に合わせるために対策したり我慢したりすること自体が、ストレスの原因となっている場合があるからです。 筆者の事例をご紹介しましょう。 筆者はASDの診断を受けており、人とのコミュニケーションが苦手でいわゆる“空気が読めない”タイプです。しかし実際の仕事では「私は空気が読めませんので、みなさんヨロシク!」と宣言するわけにはいきません。空気が読めない分を他の情報で補うよう努めています。 周りの人の表情・声のトーン・ちょっとしたしぐさなどを注意深く観察する コミュニケーションがスムーズになるよう、誰かと話をするときは相手の目を見る、相づちを打つなどを意識する 直接の会話が苦手な分、メールやチャットでのテキスト・コミュニケーションでは気を配る 言ってみれば「空気を読む」というセンサーが働かない分、他のセンサーを代わりに使って何とかやりくりしている、という感じです。 自分の特性を理解し上記のような対策をするようになってから、人とのコミュニケーションで大きなトラブルはなくなりました。しかし人と長時間接すると、とても大きな疲れを感じます。特にミーティングや商談が連続してあった後などは、しばらく放心状態で動けなくなってしまうこともあります。 がんばって対策をしよう・周囲に合わせようとしている方の場合、「苦手や困難さはあるが、一生懸命がんばれば何とかできる」という状態がずっと続くことになります。 このような状態は周りから見ると大きな問題がないように見えても、当の本人は「周囲に合わせるために、実は他の人の何倍もエネルギーを使っている」ことになるため、ストレスをためすぎないよう注意が必要です。 筆者の場合は人と接するときの疲労対策として、「ミーティングの後は休憩時間もあらかじめ予定に入れておく」「社外の人との打ち合わせはより大きなストレスがかかるので、1日2回以上おこなわない」ようにしています。 2-2. 生活習慣を整える 基本的なストレス対策として「適度な運動をする」「三食しっかりとご飯を食べる」「十分な睡眠時間を取る」など、生活習慣を整えることはとても大切です。特に「睡眠」については、若くて健康な人であっても、睡眠不足がたった二日続いただけで体内のホルモン分泌や自律神経機能に大きな影響が出ると言われています*。 * 参考:睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット(厚生労働省) 「生活習慣を整えましょう」という話を見聞きしたことがある方は多いと思いますし、そんなことはよく分かっていると思われる方もいらっしゃるでしょう。 しかし発達障害のある方の場合、生活習慣の乱れが原因で仕事の勤怠が安定せず、結果として仕事が長続きしないというケースもあります。この後にもいくつか対策をご紹介しますが、すべての対策の基礎として、まずは「今の生活習慣が乱れていないか」「生活習慣を整えるためにできることはないか」を考えてみることが大切です。 参考例:睡眠時間を先に確保する 一例として、筆者が実際に生活習慣を整えるためにおこなっている対策をご紹介します。 筆者は1日の予定を立てる際、最初に睡眠時間から予定を確保してスケジュールを組み立てるようにしています。睡眠時間の目標は1日7時間なので、まずは夜23:00〜6:00までを睡眠時間としてGoogleカレンダーに入れ、そこから逆算して他の予定を入れていきます。 【ある日の予定の例】 23:00 就寝 22:30 ベッドに入る 22:00〜21:00 洗濯、明日の準備など 21:00〜20:00 子どもの宿題を見る 20:00〜19:00 夕食、食事の後片付け 19:00〜18:30 子どもを風呂に入れる 18:30〜18:00 仕事の片付け(※リモートワークのため通勤時間はなし) このように「23:00に寝る」ところから逆算していくと、18:00には仕事を終えなければならないことが分かります。 仕事が忙しかったりプライベートの時間が取れなかったりすると、つい睡眠時間を削ってしまいがちです。しかし寝る時間が短いと翌日の日中に眠くなってしまい、昼間に予定していた作業が遅れる → また睡眠時間を削る…という悪循環になりがちです。 もちろんいつもすべてが予定どおりに進むわけではありません。仕事が忙しく残業しなければならなかったり、突発的なトラブルで予定が狂ったりすることもあります。その場合でも睡眠時間を削るのは最終手段にして、他の部分でできる限り調整するようにしています。 2-3. 特性に対するアプローチをトレーニングする 発達障害の特性に対してアプローチする方法を学ぶことで、ストレスを軽減できる場合があります。 例えばASDのある方は、「シングルレイヤー特性」によってものごとの裏側の想像がしづらく、見たままに受け取ってしまうことがあります。これに対してリフレーミングというアプローチ法では、自分に起きた出来事を別の視点から捉え直すことで、出来事から受ける感じ方が変わり、前向きに考えることができるという効果があります。 別の例としてADHDのある方は、「衝動性(行動のブレーキの利かなさ)の特性」によって何か怒りを感じるような場面に遭遇した際、自分の怒りをそのまま相手にぶつけてしまうことがあります。これに対してアンガーマネジメントというアプローチ法では、「自分は今、怒りを感じている」という状態に気付くことからスタートし、怒りをコントロールしたり、怒りを増幅させるストレスをためこまないようにしたりする方法を学ぶことができます。 特性に対するアプローチ法があることを知っているのといないのとでは、大きな差が生まれます。トレーニングして少しずつ身に付けていくものもありますので、長期的に取り組んでいくことが大切です。 公的な障害福祉サービスである就労移行支援事業所では、特性に対するアプローチ法のトレーニングを受けられるところもありますので、利用を検討してみるのも良いでしょう。就労移行支援事業所について、詳しくは以下の記事もご参照ください。 就労移行支援事業所とは?対象者・料金・サービス内容をまとめました。 就労移行支援事業所のよくある質問集 2-4. 環境を調整する/合理的配慮を求める 発達障害は脳の特性と、生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。そもそもミスマッチの原因となっている環境を調整することも、健康的に長く働いていく上ではとても重要です。 例えば感覚過敏への対策として、席の場所や照明などを変えたりするのも環境の調整だと言えます。 ただこうした調整には周囲の理解が必要な場合も多いので、セルフケアだけでは限界もあります。周りからの支援が必要な場合には、会社に対して合理的配慮の相談をすることも検討しましょう。合理的配慮について、詳しくは以下の記事もご参照ください。 合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。 発達障害のある方の「合理的配慮」事例集 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介 合理的配慮のよくある質問集 より長期的には、自分の適性にあった仕事環境になるよう、社内での異動や別の会社へ転職することを検討する必要もあるかもしれません。 ただしやみくもに異動や転職すればいいというものではなく「自分にはどのような特性があり、どのような環境であれば生きづらさ・働きづらさが改善されるのか」「どのような目的を持って仕事をし、どんな将来像を描きたいのか」をしっかりと見定めてからおこなう必要があります。 自己分析や業界研究の方法など、就職・転職活動の始め方については以下の記事で解説していますので、併せてご参照ください。 大人の発達障害がある方の就職活動は「ウォーミングアップ」で成否が決まる! 【大人の発達障害の就活HACK】志望企業の探し方 〜①基本編〜 【大人の発達障害の就活HACK】志望企業の探し方 〜②障害者雇用編〜   3. 一人で解決することが難しいときには 「2-1. 自分の特性を理解する」でもご紹介したように、発達障害の特性による苦手や困りごとは十人十色ですので、まずは自分の障害のことを正しく理解することが重要です。 しかし客観的に自分を見ることは障害の有無にかかわらず難しいものですし、障害に対する深い知識も必要です。自分一人で悩むよりも専門家の手を借りた方が良いでしょう。 そんな方々のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業)「2-3. 特性に対するアプローチをトレーニングする」で解説したように、特性に対するアプローチ法を学ぶこともできます。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
ADHDの「集中できない・続かない」〜その原因と対策〜

ADHDの特性の代表例「集中できない・続かない」の原因や場面を解説しながら、ADHD当事者である筆者が実際に試して効果があった「集中力を高めるための方法」をご紹介します。

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  • #注意欠如・多動症(ADHD)
「仕事や勉強をやろうと思っても、なかなかやる気が起きない…」「集中力が少ししか続かず、気が付いたらいつの間にか別のことをやっていた…」 発達障害、特に注意欠如・多動性障害(ADHD)のある方の中には、このようなお悩みを抱えていらっしゃる方も多いかもしれません。ADHDはその脳の特性から集中をすることに苦手があり、仕事や勉強において困りごとを感じやすくなります。 いったいどうすれば集中力を高めることができるのでしょうか。今回は集中できない・続かないことの原因や場面を解説しながら、ADHD当事者である筆者が実際に試して効果があった「集中力を高めるための方法」をご紹介します。 [toc] ADHDのある方が「集中ができない・続かない」理由 対策を立てるために、まずは「なぜ集中ができない・続かないのかという原因」を知っておきましょう。 ADHDは、脳の中で判断や抑制をつかさどる部位の機能が低下することで、行動や思考のブレーキが効きにくくなるという特性があります。このブレーキの効きにくさ=衝動性により、思いついたことをすぐ行動に移してしまったり、他のものに注意が向いてしまうとそちらに意識を持っていかれたりしてしまうことで、集中しづらくなってしまうのです。 またもう一つの脳の特性であるワーキングメモリーの弱みも、集中しづらい原因となります。 「ワーキングメモリー」とは以下の二つの機能を持った脳の仕組みです。 ① 情報(聞いたことや考えたこと)を一時的にとどめておく、記憶の“置き場”としての機能 ② 情報を整理して実行に移す“作業場”としての機能 これらの機能に弱みがあるために、作業中に別の情報が入ってくると最初の作業のことを忘れてしまう、複数のことに同時に注意を払えず混乱してしまうといったことが起こり、一つの作業に集中しづらくなってしまうのです。 次ページ:そもそも私たちの「現代の生活環境」に問題がある?
当事者が5年間やってみた!〜リモートワークの理想と現実〜

ADHD/ASD当事者が試行錯誤した実体験をもとに「リモートワーク」のリアルなメリット/デメリットをご紹介します。発達障害がある方の場合、その特性によって向き不向きがあります。

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テレワーク、リモートワーク、在宅勤務——呼び方はさまざまですが、働く場所を会社に限定しない柔軟な働き方が、この数年で身近な存在になってきました。(以下、本記事では「リモートワーク」で統一します。)障害者雇用においてもリモートワークが活用される事例が増えています。 参考:都市部と地方をつなぐ 障害者テレワーク事例集(厚生労働省) 「対面でのコミュニケーションをせずに済む」「気を散らさずに自分の仕事に集中できる」などのメリットがあることから、発達障害のある方にも向いていると言われることもあるリモートワーク。しかし実際には個々の特性や仕事内容、自宅環境などによって向き・不向きが極端に別れるため、本当に自分に合っているかどうかをしっかりと見極める必要があります。 今回は注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)と自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の両方の診断を受け障害者手帳も取得している筆者が、当事者として実際にリモートワークをしてみた体験レポートをお届けします。 今回のレポートでお伝えするのは、以下の2点です。 ・5年間の長期に渡ってリモートワークしてきた経験 ・「出社がメインでたまにリモート」「リモートがメインでたまに出社」「完全(フル)リモート」とさまざまなパターンを試してみた経験 「レポートを作るためにちょっとやってみた」というわけではなく、長期に渡って筆者が試行錯誤した実体験をもとに、リアルなメリット/デメリットをご紹介します。読者の皆さまが「自分にはリモートワークが合っているかどうか」を考える際の参考となれれば幸いです。 [toc] リモートワークって意外と難しい いきなり否定的なことを書いてしまいますが、リモートワークには難しい部分があるということが、さまざまな調査から明らかになってきています。 大手不動産情報メディアが2020年におこなった調査 [*1] によれば、「オン・オフの切り替えがしづらい」「作業に適した設備が自宅に足りない」「集中できる環境の確保が難しい」など、リモートワークを経験した人の多くが何かしらの課題を感じています。 また総務省の2022年度の統計調査 [*2] によれば、以下のように、リモートワークをおこなえているかどうかは地域や業種による差が大きいことが報告されています。 ・リモートワークを実施している企業の割合は、もっとも高い関東では30%を越えるものの、それ以外の地域では10〜20%程度にとどまってる。 ・リモートワークを実施している企業の業種は、「情報通信業」がもっとも高く55.7%である一方で、もっとも低い「医療、介護、福祉」では4.3%、次いで低い「宿泊業、飲食サービス業」では11.1%しかない。 コロナ禍の影響もあり、以前と比べるとリモートワークは日本中で大きく広がりました。「リモートワークで働きたい」「リモートワークができない会社は遅れている」といった言葉もよく耳にします。 たしかに筆者も、リモートワークのおかげで助かっていることがたくさんあります。しかしリモートだから何でもかんでもすばらしい!ということではありません。「障害の有無に関係なく難しい面があること」や「住んでいる地域や働いている業界・業種によってできる/できないが大きく異なること」は、前提として押さえておいた方が良いでしょう。 参考文献 [*1] 「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査|リクルート住まいカンパニー [*2] 総務省|令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況 これらを踏まえたうえで、次のページからは筆者が実体験から感じたメリット・デメリットを、以下の3つのパターンでご紹介します。 パターン1. 出社がメインでたまにリモートワーク パターン2. リモートワークがメインでたまに出社 パターン3. 完全(フル)リモートワーク   パターン1. 出社がメインでたまにリモートワーク 出社することが原則だが、必要な場合(例えば、天候や交通事情により出社が難しい場合や、外出先が遠方で会社に立ち寄っている時間がない場合など)には上司の許可を得てリモートワークをしてもOK、という条件でした。 実際にリモートワークした頻度は「月に数回」程度。上司の許可がいるため、本当に必要なときのみおこなっていました。 1-1. メリット 「リモート」という選択肢があるだけでも楽になる 「必要な場合に許可を得ればリモートワークが可能」というだけでは、一見するとあまり意味がないように感じます。しかし完全なリモートワークでなくても「選択肢がある」というだけで、とても効率的になりました。 例えば「天候の影響で交通機関が大きく乱れている」という場合、出社が前提だとどんなに混雑していても、遠回りをしてでも会社に行かねばならず、それだけで時間も体力も浪費してしまいます。このようなときに「リモートワークしても良い」という選択肢があれば効率的に時間を使えます。 また「体調がすぐれず出社するのはしんどいが、仕事はなんとかできる」という場合にもリモートワークができれば柔軟に対応でき、休んでしまう罪悪感を軽減できます。「休む以外の選択肢が取れる」ということは効率的であるだけでなく、気持ちの面でも、とても楽になりました。 会社の体制にもよりますが、「リモートワークができる」ことは単に仕事の効率性の観点だけではなく、発達障害による「二次障害」などの理由で体調がすぐれないときや、定期的に通院しなければならないときに「柔軟な対応ができる」という観点でも、メリットだと言えるでしょう。 出社することでオン/オフの切り替えがしやすい 後にリモートワークがメインになってから気が付いたのですが、出社する方がメリットになることもありました。 リモートワークの場合、仕事とプライベートのオン/オフを自分で切り替える必要があります。しかし出社をすれば自動的に仕事モードになりますし、「勤務時間内に終わらせなければ」という気持ちも働きます。作業の内容によっては、会社で仕事をした方が集中しやすいものも数多くありました。 1-2. デメリット 出社時/リモート時の「作業の切り分け」が難しい 「たまに」リモートワークを行う場合は、作業の切り分けを事前にしておかないと、結局たいした仕事ができませんでした。 私は会社から支給されたノートPCを持ち運んで作業していましたが、社内からでないとアクセスできないデータや社外に持ち出せない資料などがあり、当然それらが必要な作業はリモートワークでは行えません。 また会社であれば外付けのディスプレイやキーボード、マウスなどが使えましたが、リモートワークではノートPCだけで作業せねばならず、複雑な作業をするには不向きだったので、結局「メールのチェックや簡単な作業しかできない」ということも多々ありました。 どの場所でどんな作業ができるかをあらかじめ想定して切り分けておかないと、せっかくのリモートワークをうまく活用できないと感じました。 事前の仕事の段取りや計画を立てなければならないという点では、ADHDの特性として「見通しを立てるのが苦手(計画を立てるのが苦手)」な方の場合、特に注意が必要です。   パターン2. リモートワークがメインでたまに出社 コロナ禍の影響で、会社が「出社せずとも済む場合には、なるべく出社しないように」という方針を打ち出し、リモートワークをメインとする体制になりました。出社の頻度は週1〜2日で、それ以外は基本的に自宅で作業するようになりました。 2-1. メリット 通勤の負荷が大幅に軽減された リモートワークのメリットを一番大きく感じたのは、通勤の負荷が軽減されたことです。 私はASDの特性として「感覚過敏」と「人の目を気にしすぎて疲れてしまう」というものがあり、人混みがとても苦手で、会社に辿り着くだけでも大きな疲労感がありました。出社が当たり前だったときには「まぁこんなもんか」と思っていたのですが、リモートワークがメインになったことで体力的にとても楽になり、気付かないうちに通勤が大きな負担になっていたことに気が付きました。 自分の仕事に集中しやすくなった 私はADHDの特性である「気が散りやすい」やASDの特性である「感覚過敏」によって、自分に話しかけられているわけではないのに誰かの話し声に気を取られてしまい、作業に集中できないことがよくありました。自宅であればこうした聴覚的な刺激を少なくできますし、集中したいときだけメールやチャットの通知を切っておくこともできます。入ってくる情報を少なくできることで、目の前の作業に集中しやすくなりました。 またリモートワークではチャットやメールなど「テキスト」でのコミュニケーションがメインになりますので、ADHDの特性として「口頭で指示を受けるのが苦手(耳から入る情報が記憶することが難しい)」という方の場合、仕事がしやすくなるメリットもあるでしょう。 2-2. デメリット 自分で自分をコントロールするのは難しい 「自分の仕事に集中しやすくなった」という一方で、自宅で作業することがメインになったことで「仕事以外にあれこれやりたくなってしまう衝動を抑えなければならない」というマイナス面も浮き彫りになりました。 例えばちょっと休憩しようと部屋に目をやったら、ホコリが気になって掃除を始めてしまったり、天気がいいから布団を干したくなってしまったりというように、自宅にいるせいで「出社していれば気にならなかったことが気になる」ようになったのです。 「衝動性の高さ」や「気が散りやすい」などのADHDの特性がある方は、仕事に集中ができる環境を整えるために、余計なものが視界に入らないよう机や部屋を片付けたりパーテーションを設置したりなどの工夫が必要でしょう。 逆に「仕事をし過ぎてしまう」という点でも苦労しました。会社でしか仕事ができなければプライベートの時間は仕事を忘れられます。しかしリモートワークでは意識的にオフにしないと四六時中仕事のことが気になってしまい、家族との時間をないがしろにしてしまうようなこともありました。 ADHD/ASDの特性である「過集中」によって、休憩や食事を忘れて作業を続けてしまったり仕事のことを考え続けてしまったりすることがあるので、注意が必要です。   パターン3. 完全(フル)リモートワーク 以前から副業でライターの仕事をしていたのですが、そちらが徐々に拡大していたことから、より柔軟に働けるよう本業も雇用契約から業務委託契約へと切り替えてもらうことになりました。ライターの仕事も本業でおこなっていたWebマーケティングの仕事もリモートワークと相性が良かったことから、フリーランスとなったことをきっかけに、完全(フル)リモートワークに移行しました。 3-1. メリット 自分のやりやすいように仕事環境を作れる 「出社しない」ことが前提になったため本格的に自宅の仕事環境を整えはじめたのですが、自分のやりやすいように環境を作れるというのは、とても大きなメリットでした。 私はASDの「感覚過敏」の特性があったため、目や耳からの刺激をなるべく少なくしたかったのですが、さすがに会社で他の社員がいる中では「自分の席だけ照明を調節」したり「自分だけイヤホンをして雑音を防ぐ」ようなことはできません。 その点、自宅であればどんな調節も自分の思い通りにできます。もちろんお金がかかってしまうこともありますが、お金をかけただけの効果は十分得られたのではないかと思っています。 3-2. デメリット 生活スタイルそのものをアップデートしなければならない 私はASDの特性上、人とコミュニケーションを取ることがあまり得意ではないので、リモートワークで対面のコミュニケーションを少なくできるのは大きなメリットでした。ところが完全リモートワークで仕事をするようになって、今度は家族とのコミュニケーションや距離感の取り方に難しさを感じるようになったのです。 もちろん家で仕事をすることに家族も納得してくれています。それでも人の感情としては「家にいるんだから、これくらいのことはやってよ」と思うのは当然のこと。私自身も、かつてフルタイムで出社して働いたころは、家族に対してまったく同じことを思っていました。 家族との距離感をすり合わせ、自分の中で納得できる形に落とし込むまでには2〜3年かかりました。 仕事の時間や場所が自由になるということは、プライベートの時間の使い方にも当然影響します。つまり、単に「今までより効率的に働ける」というだけではなく、「これまでの生活スタイルそのものが変わる」ということなのです。どのように働いて、どのようにプライベートを過ごすのか——時間のデザインを自分でしなければならないところに、難しさを感じました。 特にADHDの「見通しを立てるのが苦手(計画を立てるのが苦手)」という特性がある場合は、仕事とプライベートの両方の計画を立てなければならない完全リモートワークではより困難さを感じてしまうかもしれません。   リモートワークに欠かせないのは「セルフケア」 今回ご紹介したのはあくまで筆者個人の事例ですので、発達障害の特性や仕事の内容、自宅環境などによって、リモートワークに向いている/向いていないは大きく異なります。 リモートワークの場合、同僚や上司の目が届かないところで仕事をすることになりますので、特に障害者雇用では出社している場合と比べ、どうしても合理的配慮が受けづらくなります。 例えば「過集中によって長時間作業をし続けてしまう」という特性に対して、出社していれば「周りから声をかけてもらう」という合理的配慮が受けられますが、リモートワークでは自分自身で管理しなければなりません。また「計画を立てて進めるのが苦手」という特性に対しても、リモートワークでは周囲からの進捗確認や声がけがしづらくなるので、自分でスケジュールやタスクを管理する必要があります。 このように、自分で自分を管理する「セルフケア」がちゃんとできていることが、リモートワークには欠かせないのです。 もし一人ではセルフケアを身に付けることがたいへんだと感じたら、支援機関を利用することも一つの手です。セルフケアを始め、働く上で困りごとを感じている方のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
ADHDのある方に向いている仕事〜実践的な仕事の選び方〜

ADHD特性のある方に向けて「特性が活かせる職種」を難易度ごとに紹介します。向いているポイントだけでなく、実際に目指せるのか?どうすればなれるのか?を分かりやすくまとめました。

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  • #特例子会社
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  • #注意欠如・多動症(ADHD)
「仕事がうまくいかなくて辞めたい…」「他にもっと、向いている仕事があるんじゃないか…」 注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)の診断を受けた方や「自分はADHDかもしれない」と感じている方の中には、もっと働きやすい仕事への転職を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。 デザイナーやエンジニア、ジャーナリストなど、書籍やインターネットの情報では「ADHDのある方に向いている仕事」が紹介されていることがあります。しかし気をつけねばならないのは、これらの職業はあくまで「ADHDの特性が活かせる可能性がある」というだけで、「ADHDの特性があれば必ずこれらの職業になれる、というわけではない」という点です。 そこで今回は、ADHDのある方に向いている職業をご紹介したうえで、「それらの職業に就くには、実際にどのようにすれば良いのか」「現実的になれる可能性がどれくらいあるのか」を解説します。これから就職や転職を考えている方の参考としてご覧ください。 [toc] ADHDの特性とは 向いている仕事を分析するために、まずはADHDの特性が、実際の生活にどのように影響するのかを確認しておきましょう。 ADHDとは、不注意や多動、衝動性などを主な特徴とする障害であり、脳の特性として大きく2つに分けられます。 一つ目は「行動や思考を制御する機能の低下」です。行動や思考のブレーキが効きにくくなっている状態とも言えます。この特性と、その人が持つ本来の個性が掛け合わさることで、個々の症状が表れます。例えば「活発な人」の場合は衝動性が表れ、「好奇心が強い人」の場合は過集中が表れる、といった具合です。 二つ目は「ワーキングメモリーの弱み」です。脳の一時的な記憶の置き場であり、作業場でもあるワーキングメモリーの機能低下により、臨機応変な対応が難しくなったり、不注意が起こりやすくなったりします。 一つ目の「行動や思考を制御する機能の低下」の特性は、場合によっては長所にもなり得ます。例えば、衝動性がプラスに働きスピーディーな判断や行動につながる、過集中がプラスに働き興味関心があることに没頭できる、といった仕事における強みが生まれるケースも少なくありません。 一方で、二つ目の「ワーキングメモリーの弱み」の特性は、残念ながら実生活において長所になることがほとんどなく、大半が困りごととして表れてきます。 「ADHDの特性を活かした職業がある」とは言っても、大前提として特性に対する対策(セルフケア)をセットでおこなうことが必要不可欠であることに注意が必要です。 ADHDの特性による苦手 では、ADHDの特性によって苦手なこと(困りごと)に対して、具体的にどのような対策(セルフケア)をおこなえば良いのかを見ていきましょう。代表的な困りごととして以下のようなものが挙げられます。 ケアレスミスが多い 忘れ物、失くし物が多い マルチタスク(複数の作業を同時進行すること)ができない 集中力が続かない 物事を先延ばしにしてしまいがちで、納期を守れない 物事の優先順位をつけられない 思いついたことをすぐに発言したり行動したりする 例えば「ケアレスミスが多い」という困りごとの場合、原因はワーキングメモリーの弱みにより、「一つのことを忘れないようにしながら他の作業をすることが難しい」という部分にあります。対策としては、 覚えていなければいけないことを頭の中だけで頑張って覚えておくのではなく、メモ帳やスマホのスケジュール機能、アラーム機能などを活用して、頭の外に記録しておく 周囲の同僚や上司に、何かの作業中に指示を追加しないよう配慮をお願いする …といったことが有効です。上記以外の困りごとについても、以下のページで原因と対策をまとめていますのでご参照ください。 注意欠如・多動性障害(ADHD)|大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア ADHDの特性による強み 先ほどもご紹介したとおり、ADHDの「行動や思考を制御する機能の低下」という脳の特性が、以下のような強みとして表れるケースもあります。 フットワークが軽く、行動力がある スピーディーな判断ができる 自分の意志を貫くことができる 好奇心の幅が広い 興味関心があることに没頭できる 例えば、「フットワークが軽く、行動力がある」のであれば、その強みを活かして営業職などのフィールドワーク(社外に出て現場で働くこと)が向いていそうです。「スピーディーな判断ができる」「自分の意志を貫くことができる」ことは、会社や事業を運営する上で重要なスキルですので、経営者に向いていると言えるかもしれません。 しかし「特性が営業職や経営者として向いている」ということと、「実際に営業職や経営者になれるかどうか」は別の問題です。特性が活かせる職業に実際に就くためには、どのようにすれば良いのでしょうか。   ADHDの特性が活かせる職種 書籍やインターネット上の情報で「ADHDに向いている」と紹介されていることが多い職種を、難易度別に整理しました。「その職種を目指すためにどうすれば良いのか」も併せて解説します。 ※ここで言う「難易度」は、「ADHDに向いている」と言われる職業のなかでの、未経験からの転職のしやすさ」を表しています。「難易度が低いから仕事内容も簡単」というわけではありませんので、ご注意ください。 1. 難易度:低 (未経験からでもなれる可能性がある職業) 1-1. 営業職 ADHDの「フットワークが軽く、行動力がある」という特性を活かして活躍できる可能性があるのが営業職です。 営業の仕事には行動力が欠かせません。1件でも、1人でも多くのお客様と商談し、お客様のご要望を聞き商品の良さを知っていただくことが成果へとつながります。もちろん、ただ闇雲に行動するのでなく考えることも必要ですが、多くの場合営業の成果は行動した量と比例しますので、積極的に行動すればするほど成果が出しやすい職種だと言えるでしょう。 また、ADHDの「好奇心の幅が広い」という特性を活かしてお客様のニーズや最新の情報をリサーチすることで、営業の仕事に活かすこともできます。 営業職では「計画を立て、スケジュール通りに行動する」「約束を守る」「電話や対面でコミュニケーションをとる」ことが求められることが多いため、これらに問題がない、または、対策がしっかりできているのであれば、職業として向いている可能性が高まると言えるでしょう。 営業職を目指すのであれば、未経験可の求人も比較的多いので、実際に求人を検索しどのような経験やスキルが求められているのかを調べてみるのが近道です。 同じ営業職であっても、保険会社やカーディーラーのように「個人にモノ・サービスを売る場合」と、メーカーや商社のように「企業(法人)にモノ・サービスを売る場合」とでは、仕事内容や必要なスキルはかなり異なります。 また、扱っているモノ・サービスによっても、「日用品や食品のように価格が安いものを売る場合」と、「医療機器や大型の産業機械のように価格が高いものを売る場合」とでは、やはり大きな違いがあります。 例えば「より多くの人とコミュニケーションを取りたい」という方は個人向け営業を選ぶ、「より深い関係性を築きたい」という方は法人向け営業を選ぶ、というように性格や適性に応じた選び方もあります。 求人に書かれている具体的な仕事内容を見て、自分にはどのような営業の仕事をしたいのか、どのようなタイプなら自分に向いていそうかを検討しましょう。求人の研究や志望企業の探し方については、以下の記事もご参照ください。 【大人の発達障害の就活HACK】志望企業の探し方 〜①基本編〜|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 1-2. Webデザイナー ADHDの「興味関心があることに没頭できる」「好奇心の幅が広い」という特性を活かして、活躍できる可能性があるのがWebデザイナーです。 Webデザイナーの仕事とは、簡単に言うと「Webサイトの制作」です。Webの技術は日々進化していくので、興味関心や好奇心を持って新しい技術や知識を広く身につけることが欠かせません。また、Webサイトを作るときには「細かく正確な作業をする」「集中力を持続させる」ことが求められます。これらの要素と自分の特性がマッチすれば、活躍がしやすい職種だと言えるでしょう。 Webデザイナーを目指す際に注意したいのが、その役割です。Webサイトの制作では、以下のような役割があります。 お客様との調整や全体の進行管理をおこなう「ディレクション」 導線やコンテンツの配置など、サイト全体のデザインを設計する「UI/UXデザイン」 サイトに掲載する文章を制作する「ライティング」 画像やイラストを制作する「デザイン」 HTMLやCSSなどの言語を使い設計図に従って実際にサイトを組んでいく「コーディング」 Webデザイナーはその名前から「デザイン関係の仕事をしている」と思われがちですが、実際には上記のうち「コーディング」の担当を指している求人が多いです。 ただ、実際の現場ではWebデザイナーが複数の役割を兼任していることも多く、「コーディングから始めて他の役割へ仕事を拡げていく」ということはやりやすい職業です。多様な業務にチャレンジする機会が多いため、「飽きっぽい」特性がある方には向いている職種と言えるのではないでしょうか。将来的に自分がどんなWebデザイナーを目指したいのか、考えておくと良いでしょう。 Webデザイナーは、プログラミングスキル、もしくはIllustrator・Photoshopなどを用いたデザインスキルが必要となるため、実務は未経験可だったとしても基礎的な知識やスキルは求められることが多く、、事前に知識やスキルを身に付けた上での就職・転職活動が基本となります。 ただ、Webデザインを学べる専門学校は数多くあり、自宅からオンラインで学べるものもありますので、他の「専門スキルが必要な職種」と比べると比較的、未経験からでもチャレンジしやすいと言えるでしょう。 また「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はWebデザインを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付ける方法もあります。 就労移行支援事業所については、以下の記事もご参照ください。 就労移行支援事業所とは?対象者・料金・サービス内容をまとめました。 就労移行支援事業所のよくある質問集 2. 難易度:中 (未経験からの転職には長期的な取り組みが必要な職業) 2-1. デザイナー、イラストレーター Webデザイナーと同様、ADHDの「興味関心があることに没頭できる」「好奇心の幅が広い」という特性を活かして、活躍できる可能性があるのがデザイナーやイラストレーターです。 デザイナーやイラストレーターは「自分の美的センスをもとに、独自の世界を創作する仕事」と思われがちです。たしかに、制作物には作者の個性が表れますが、実際のビジネスの現場では自分の感性だけで好き勝手に創作しているわけではなく、「自分の持っている技術を使って、お客様のご要望に沿ったデザインやイラストを制作する仕事」であることがほとんどです。 つまり、実際の仕事の場面では「自分のやりたいものではないデザインをする」「締め切りを守る」などのADHD特性に向かないことも生じるため、自分の特性とマッチするか注意が必要です。著名なアーティストともなれば、独自の世界観を創作することで生計を立てることができますが、そのような例は特別だと考えた方が良いでしょう。 転職の際には、「デザインの技法や、デザインツール(Illustrator・Photoshopなど)の操作方法をどれだけ習得しているか」「過去にどんな仕事に携わってきたのか」が重要な判断ポイントになるため、未経験でいきなり転職することは難しく、デザインの専門学校などで学んだ上で、何らかの実務経験を積む必要があります。 実務経験の積み方として、卒業時に専門学校側から紹介してもらう、クラウドソーシング(雇用契約を結ばずに、Web上などで案件の受発注をする仕組み)等で経験を積むなどのほか、「趣味でデザインを学んでいた方が、社内でデザイン作業を頼まれたところ評判になり、少しずつ任せてもらえるデザインの仕事が増えていった」といったようなケースもあります。 いずれにせよ簡単にチャンスをつかめるものではありませんが、デザインやイラスト制作へのニーズは幅広くあり、ビジネスのなかで重宝される役割であることは間違いありません。 2-2. ITエンジニア ITエンジニアも「ADHDの方が向いている」として挙げられることが多い職業です。難易度は「2-1. デザイナー、イラストレーター」とほぼ同じです。 エンジニアというと「PCの黒い画面に向かって黙々とコードを打っている仕事」と思われがちです。しかし実際のビジネスの現場では「自分の持っている技術を使って、お客様のご要望をどう解決するか」が重要であり、一説には「コードを打っているよりも、解決策を探すために調べ物やミーティングをしていることの方が多い」と言われることもあります。「お客様の要望に応える」「コミュニケーションが頻発する」「納期や約束を守る必要がある」などの場面が多くなる可能性があるため、ご自身に合うかどうかを見極める必要があります。 転職の際には、「プログラミング言語をどれだけ習得しているか」「過去にどんな仕事に携わってきたのか」が重要な判断ポイントとなるため、経験やスキルなしでいきなり転職することは難しく、プログラミングの専門学校などで学んだ上で、実務に活かせる経験経験を積む必要があります。 近年はエンジニア人材の需要は非常に高まっており、基礎的なスキルが習得できていれば実務経験が少なくてもOKという求人もあるため、未経験から転職するチャンスは「2-1. デザイナー、イラストレーター」よりは比較的多くあるでしょう。 また、先ほどご紹介した「1-2. Webデザイナー」と同じく、「特性を活かせる可能性がある」「企業からの求人ニーズが大きい」という理由から、近年はプログラミングを専門的に学べる就労移行支援事業所も増えています。そうした福祉施設を利用して、一からスキルを身に付ける方法もあります。 3. 難易度:高 (未経験からなる/生計を立てることが難しい職業) 3-1. ユーチューバー、ゲーマー 「小学生がなりたい職業」でいつも上位にランクインするユーチューバーやゲーマー。動画などのコンテンツは更新頻度が重要となるので「フットワークが軽く、行動力がある」という特性を活かしたり、自分が発信する分野の深い知識が求められるので「興味関心があることに没頭できる」「好奇心の幅が広い」という特性を活かしたりして、活躍できる可能性がある職業です。 実力があれば、組織に属さずに個人で働くこともできるため、「自由な働き方ができること」がメリットになる方もいらっしゃるでしょう。 しかし「なる」ことはできても「生計を立てる」ことがなかなか難しいのが、この職業の特徴でもあります。 例えばユーチューバーの場合、マーケティング会社がおこなったアンケート調査によれば、平均月収で10万円以上稼いでいる人は全体の1割程度しかおらず、もっとも割合が大きかったのは「平均月収5,000円〜1万円未満」との結果が出ています。 最近は「発達障害系ユーチューバー」として発信している方も多く、自分の意見や情報を世の中に届けるツールとしてYouTubeはとても便利ですが、それだけで生計を立てて行くことはなかなか難しいと言えるでしょう。 ゲーマーの場合、専業でプロとして活動している人は「有名大会で好成績を収め、プロチームからスカウトされたり、スポンサーが付いたりする」ことでお金を稼いでいます。近年「eスポーツ」という言葉が広がっていますが、その名の通り、プロスポーツの世界とほぼ同じ、完全なる実力社会です。 ユーチューバー、ゲーマーのいずれもなかなか厳しい世界ですが、自分自身が主役になるのではなく「動画を制作する側として携わる」という方法もあります。 プロのユーチューバーは動画の制作作業を外注したり、所属する事務所に任せたりするケースが多くあります。またユーチューバーに限らず、近年動画はビジネスの幅広いシーンでニーズが高まっています。(プロゲーマーの場合も、併せてユーチューバーとして活動していることが多いので、やはり動画制作の需要はあります。) 動画制作者を目指す場合、専門学校などでスキルを身に付けた後に転職するのが一般的です。エンジニアと同じく需要が大きいことから、基礎的なスキルが習得できていれば実務経験が少なくてもOKという求人もあるため、転職できるチャンスは比較的あるでしょう。 動画制作からスタートし、アニメーションやCG制作などのスキルを伸ばしていけば、クリエイターとして将来的なキャリアアップが目指せる職業です。 3-2. 研究職 ADHDの「自分の意志を貫くことができる」「好奇心の幅が広い」「興味関心があることに没頭できる」などの特性が活かせる可能性があるのが研究職です。 仕事の幅が限定されていることが多くマルチタスクを避けることができる可能性があることや、研究対象をとことん追求する必要があるため「行動力がある」「興味関心があることに没頭できる」ことが、ADHDの特性にマッチするケースがあります。 求められる行動力について、例えば「ジャングルの奥地に新薬になり得る薬草がある」という研究があったときに、翌日にでも現地に飛ぶ、といった具合です。他にも求められる要素として「細かく正確な作業」や「高い集中力を持続させること」などがあり、これらの適性があるかも、研究職の大事なポイントです。 研究職になるためには、一般的に大学や専門学校等で専門分野の知識を身に付けた後に就職し、研究開発や製造部門に配属される、というルートを通ります。学生時代に学んでいない場合は、専門的な資格が取れる大学や専門学校に通うなど学び直しが必要となるため、未経験からの転職の難易度は高いと言えるでしょう。 「学生時代に専門的な学習を積んだり、資格を取ったりしたが、今はまったく別の仕事に就いていて働きづらさを感じている」という場合には、転職先の一つとして検討の余地があるかもしれません。 3-3. 経営者 マイクロソフト社の創業者であるビル・ゲイツ氏や、アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズ氏など、有名な企業の経営者にはADHDであると言われる人が数多くいます。このような事例をもとに、ADHDの特性を活かせる職業として紹介されることがある経営者ですが、それ自体は「職業」と言うよりも、会社事業を運営する上での「役割」と言った方が正確です。 「自分の意志を貫くことができる」「好奇心の幅が広い」「スピーディーな判断ができる」というADHDの特性は、いずれも経営者としての強みになります。 しかし、この特性だけで経営者になれるわけではありません。事業を運営する上では、さまざまな情報を総合して戦略を練り、誰よりも多く試行錯誤を繰り返し、厳しい状況にも耐えて打ち勝つ精神力が必要です。「ADHDだから経営者になれる」ということではなく、「経営者となった人の中には、ADHDの特性が活かせているケースがある」と考えた方が良いでしょう。 ただ、経営者の仕事のやり方から学べることもあります。 経営者の場合、自分の苦手な業務を部下に任せたり、勤務時間や場所を自由に働いたりできるので、特性による困りごとが起こりづらい環境を整えやすいということが言えます。 つまり、職場の環境や周囲からのサポートの有無によって、働きやすさは大きく変わるということです。転職の際には「ADHDの特性を活かした職業を探す」だけではなく、働きやすい環境を見つけるということも併せて考えるようにしましょう。   ADHDのある方が「働きやすい」条件とは では、ADHDのある方が働きやすい条件とは何なのでしょうか。 1. 自分が苦手とする作業を他の誰かに頼れる環境 人は誰しも得意・不得意があるものですが、発達障害の場合はその凸凹が大きいことが特徴です。苦手なことを自分でやらずに済むようになれば、困りごとが起こる機会を減らせることにつながります。 例えば「先延ばしにしやすい傾向があり、納期を守れない」のであれば、別の人にスケジュール管理をやってもらう、「集中力が続かない」のであれば、細かく集中力を要する作業は別の人に担当してもらう、などです。 小さな規模の会社の場合、分業が明確にされておらず「全員がお互いに察しながら、何でもやらねばならない」という状況が多くなります。タスクやスケジュールの管理も個々人に委ねられていることがほとんどのため、よっぽど専門性が高い職業でない場合は、ADHDのある方には向いていない可能性があります。 その点、規模の大きな企業は業務の担当がきっちり別れており、障害者雇用専門の部署があるなど、社内理解やサポート体制が充実している傾向があります。 「苦手なことを誰かに都度お願いする」というよりも「自分が得意なこと以外はやらなくて良い」という環境に移ることができないか、転職の際には考えてみると良いでしょう。 2. 比較的自由な環境 「フレックス」や「裁量労働制」を取り入れている会社は勤務時間の自由度が高いので、自分の体調に合わせて仕事をしやすくなります。また正社員ではなくフリーランスとして業務委託で仕事をすれば、委託された業務以外のこと=苦手な業務はやらなくても済みます。 ADHDの特性として「先延ばしにしやすい傾向があり、納期を守れない」「物事の優先順位をつけられない」といったものがあるため、基本的には会社組織に属して、それらの苦手なことを誰かに管理してもらう方が良いケースが多いです。 一方でADHD特性を無理にコントロールされることにより、逆にストレスがかかってしまうというケースもあります。管理されすぎることが負担になる、困りごとへのセルフケアがしっかりとできている、という場合には、「比較的自由な環境」で働くことで、働きやすさを高めることができるかもしれません。 セルフケアで対処ができることも! 企業で働くにせよ、独立してフリーランスなどで働くにせよ、自分に合った職業を探すだけでなく特性に対するセルフケアをおこなうことが欠かせません。ADHDの特性に対するセルフケアを過去の記事でご紹介していますので、こちらもぜひご参考ください。 アプリ活用で物忘れを防止 アプリ活用で遅刻対策 スムーズな朝の準備で遅刻対策 メモ活用で記憶力対策 「自分らしく働く」を実現しませんか? 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートをおこなっているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害のある人は料理が苦手?〜当事者が試して効果のあった料理術をご紹介!〜【ハタらくナビ・番外編】

発達障害の当事者の方のなかには、料理が苦手という方もいらっしゃるのでは。今回の記事では発達障害の当事者である筆者が、実際に試してみて効果があった料理術(特性対策)をご紹介します。

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  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
今ある食材を柔軟に組み合わせ、複数の献立を限られた時間の中で同時に作らなければならない —— 発達障害の当事者の方のなかには、料理が苦手という方もいらっしゃるかも知れません。 「同時並行でものごとを行うのが苦手」 「段取りがうまくできない」 「こだわり過ぎて時間がかかる」 このような発達障害の特性は、料理との相性が最悪に思えてしまいます。一人暮らしなら適当に済ませることもできるかも知れませんが、もしも「家族に料理を作ってあげねばならない立場」だとしたら、ちょっと気持ちが重くなってしまいますよね。 そこで今回の記事では、注意欠如・多動性障害(ADHD)と自閉症スペクトラム障害(ASD)の当事者である筆者が、実際に試してみて効果があった料理術をご紹介します。 [toc] 1. こだわりの強さを活かして基本を身に付ける 勉強でもスポーツでも、基本を身に付けることが第一歩です。まずは、初心者向けの基本的なレシピ本を一冊買ってきて、その本を教科書として使いましょう。 「いつも同じメニューだと飽きてしまいそう……」と思っても大丈夫。手の込んだ料理でなくとも、誰でも知っている料理だけでも充分なバリエーションがあります。また、基本的なレシピであれば、調理の時間も比較的短くて済みます。 初心者向けの基本的なレシピ本の例 がんばらなくてもできちゃう!基本のおかず100 お料理1年生の基本レシピBest121 ポイントは、レシピの分量や手順をしっかり守ることです。ここではむしろ発達障害の「こだわりの強さ」を存分に発揮して、基本に徹底的にこだわりましょう。 「短期記憶の弱さ」の特性を持つ方の場合は、料理の最中にレシピを忘れてしまうことも起こりがち。レシピ本がいつでも確認できるように、以下のグッズを使って見える位置に置いておきましょう。 レシピ本を見やすくするグッズ レシピスタンド 吊り下げ式レシピホルダー 歌舞伎や茶道などの日本の伝統芸能には「守破離(しゅ・は・り)」という言葉があります。最初の「守(しゅ)」とは、決められた型を守って繰り返し練習し、基本を身に付ける段階。続く「破(は)」とは、基本をベースに自分なりの工夫を加えて徐々に基本を破る段階。そして最後の「離(り)」とは、基本から離れてまったく新しい自分なりの型を生み出す段階です。 つまり、基本がしっかり身に付いているからこそ、自分なりのセンスが生まれ勘が働くようになるということです。これは料理にも通じるものがあります。段取りよく料理するためには、基本的な調理方法や味付けを身に付けることがまず大切なのです。   2. あいまいな表現は自分でルールを決める レシピでは調味料の分量が「少々」や「ひとつまみ」と書いてあったり、煮るお水の量が「ひたひた」「かぶるくらい」と書いてあったり、あいまいな表現になっていることがあります。発達障害の方の場合こういった「あいまいな表現が苦手」という声もよく聞きます。 これらの分量には基本ルールがありますので、まずは確認しておきましょう。 「ひとつまみ」 約 1 g。 塩や砂糖などの粉なら、親指・人差し指・中指の 3 本でつまんだ程度。 醤油やお酒などの液体なら、 小さじ 1/5 程度。 「少々」 約 0.5 g。 塩や砂糖などの粉なら、親指・人差し指の 2 本でつまんだ程度。 醤油やお酒などの液体なら、 小さじ 1/8 程度。 「ひたひた」 食材が水面顔を出すか出さないかくらいの量 「かぶるくらい」 食材が水に隠れるくらいの量 基本ルールを見ても「まだ、あいまいで納得できない」という場合には、自分でルールを決めてしまうのがおすすめです。 例えば調味料の場合、いろんなサイズがセットになった計量スプーンを用意しておき「ひとつまみのときはこれ」「少々のときはこれ」というように使うスプーンを決めておきます。デジタル式の軽量スプーンもあるので、基本ルールにそって重さを量っても良いでしょう。 参考▶ いろんなサイズの軽量スプーン▶ デジタル式の軽量スプーン 煮るお水の量の場合、「ひたひたなら、水面から 5 mm ほど出ている状態」「かぶるくらいなら、水面から 2 cm ほどしずんでいる状態」というように決めておきます。 料理は、同じ食材でも一つ一つの大きさが違いますし、産地や季節によって味も変化します。分量があいまいなのは、本来は「状況に応じて量を調節する」という意味ですが、逆に考えれば「料理が毎回、必ずしも同じ味にならないのは当たり前」だとも言えます。 料理に慣れてくれば、もしかしたら自分なりの感覚でうまく調整できるようになるかも知れません。でも、もし感覚的であいまいな調節が不得意だったとしても、あまり苦手意識を持たず自分なりのルールにこだわった方が、気持ちも楽に料理ができます。 3. 使い回せる食材を定番にして買い物ストレス減 スーパーに買い物に出かけると、旬の食材や特売品が目について、ついつい手を伸ばしてしまいがちです。無計画に気になったものを買ってしまったり、「何に使うか」がうまく想像できず、使い切れずに捨てることになってしまったり……そこには、「見通しを立てることや、計画どおりに進めることが苦手」という発達障害の特性が関係しています。 そんな困りごとへの対策として、いつも買う定番の食材を決めておき、そこから作れる料理でバリエーションを増やしていきましょう。例えば、以下のような食材がおすすめです。 野菜 にんじん・じゃがいも・タマネギ カレーから始まり肉じゃが、お味噌汁、ポテトサラダ……と幅広く使える万能野菜。比較的日持ちもするので、常に置いておくと便利。 キャベツ 生でも食べられるのでサラダにしたり、炒めてホイコーロー、ちょっとこだわってロールキャベツなど、幅広く使える。一年を通じて安く買えるのも良い。ドレッシングを何種類か買っておけば、サラダのバリエーションを簡単に増やせる。 お肉 鶏もも・豚こま・合い挽き 和洋中、焼く・煮る・揚げる、と何にでも使える定番のお肉。100 g ずつ測って小分けにし、ラップでくるんで冷凍しておけば、日持ちもするし使いやすい。豚肉は、もも・バラ・ロースなど様々な種類が売られており、レシピによって異なることが多いが、豚こまなら多くのレシピで代用できるので使い回しがしやすい。 その他 木綿豆腐 お味噌汁の定番具材。そのまま冷奴にしたり、つぶしてサラダに乗せたりしても使える。麻婆豆腐にすれば主菜にもなる。絹豆腐でも良いが、木綿豆腐の方が調理の際に煮崩れしにくい。   4. 最大の難関「段取り」には合わせ技で勝つ! 複数の献立を限られた時間の中で同時に作らなければならない料理には、段取りが欠かせません。「計画通りに物事を進めることが苦手」という発達障害の当事者にとっては最大の難関です。ここは三つの対策の「合わせ技」で乗り切りましょう。 技① 全部手作りしようとしない 毎食・全部の献立を手作りするのは、忙しい現代人にとってはとても難しいことです。時間がないときはすべてを手作りしようとせずに、以下の方法も組み合わせましょう。 ご飯はまとめて炊き、余った分は冷凍しておいて、レンチンですぐ食べられるようにする 付け合わせのおかずは、冷凍食品にする 手間のかかる魚料理は自分で作らず、お惣菜コーナーで買ってくる サラダはカット野菜を使う スープはレトルトにする 技② 「焼く」「炒める」のメニューを基本にする 「煮る」「揚げる」料理は下ごしらえの工程が複雑で時間もかかります。まずはフライパンだけでできる「焼く」「炒める」料理を自分の定番にし、煮物・揚げ物は時間が充分取れる日にチャレンジするようにしましょう。 技③ 自分なりの段取りルールを決める その場の状況に応じて柔軟に段取りするのが苦手であっても、あらかじめ自分なりの段取りルールを決めておけばスムーズにできる、という場合もあります。例えば以下のようなルールを決めておくと良いでしょう。 時間のかかる炊飯や解凍を真っ先に行う 食材はすべて先に切っておき、料理番組のように材料ごとタッパーに小分けして置いておく(小さめサイズのタッパーをまとめ買いしておくと便利。参考商品は▶ こちら) まな板を何度も洗わないよう、野菜用と肉用で二つ持っておく 火を使うものは、焦がさないよう同時に二つ以上やらない まとめ 筆者のパートナーは料理が得意で、レシピを見ずとも勘とセンスで料理を作ってしまいます。しかし「勘で作っちゃうから同じ味が二度と作れない」とよくぼやいていました。その点、筆者はいつも同じ味を安定して出すことができるので、レシピや段取りのルールにこだわっていることが功を奏しているとも言えます。 発達障害の当事者にとって料理は大変な家事ですが、食べてくれた人から「美味しい!」と言ってもらえるのは、料理でしか味わえない喜びでもあります。料理の困りごとが少しでもラクになるように、本記事がお役に立てましたら幸いです。 ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害は治る?治らない?〜治療法の 5 つの疑問について解説します〜

発達障害の診断を受けたあとはどのような治療を行うのか、症状は改善したり治ったりするものなのか。当事者の方や、サポートをされているご家族や同じ職場の方々にとっては、気になることではないでしょうか。今回の記事では発達障害の治療法に関する 5 つの疑問について解説します。

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  • #合理的配慮
  • #就労移行支援事業所
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
  • #限局性学習症(SLD)
発達障害の診断を受けたあとはいったいどのような治療を行うのか、症状は改善したり治ったりするものなのか。当事者の方や、サポートをされているご家族や同じ職場の方々にとっては、気になることではないでしょうか。 日本公衆衛生学会が行った調査 [*} によれば、「”発達障害”を聞いたことがある人」の割合は 91.5% なのに対し「どのような対応や支援を行えば良いか」を具体的に知っている割合は 26.5% だったという結果が報告されています。 * 出典:「発達障害に対する成人の認知および情報源に関する現状」日本公衆衛生雑誌/66 巻 (2019) 8 号 障害について知っておくことは、障害と向き合いながら日々の生活や仕事を行っていくために大切なことです。今回の記事では、診断を受けたあと実際にどのような治療を行うのか、発達障害の治療法に関する 5 つの疑問について解説します。 [toc] Q1. 発達障害は「病気」なの? 発達障害は、先天的な脳機能の障害と言われています。 大人になってから発達障害の診断を受けた場合でも、「本人も周囲も発達障害のことを知らず気が付かなかった」「子どものころは親や先生のケアがあって、生きづらさが表面化していなかった」ということがほとんどで、「大人になってから発達障害が(病気のように)発症した」というわけではありません。 発達障害について行政(厚生労働省、文部科学省など)が公開している情報では、発達障害が病気である旨の記載はされていません。 参考 ・発達障害|厚生労働省 ・発達障害について|文部科学省 ・発達障害って、なんだろう?|政府広報オンライン 一方で、発達障害の特性による困難さやストレスが原因となって「うつ病」など別の病気が二次障害として起こってしまうケースもあります。「二次障害」については、過去のコラム記事もご参照ください。 【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は   Q2. 発達障害は治るもの?どんな治療法があるの? 発達障害は脳や神経系の障害であるため、先天的な脳機能の特性など、障害そのものを治療することは現在の医学では困難です。 ただし、発達障害の特性に対してアプローチする治療方法として ①薬物療法 と ②心理社会的なサポート の二つがあります。これらの治療により、発達障害による生きづらさや困難さを軽減することができます。 Q3. 「薬物療法」とはなに? 注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)には、多動性・衝動性・不注意といった中核症状(障害の基本的な症状)への効果が認められている薬があります。自閉症スペクトラム障害(ASD)や限局性学習障害(SLD)の中核症状への治療薬は現在のところはまだありません ADHD の薬物療法で使われる薬は、どれも医師の診断のもと処方されますので、自分で薬の種類を選んだり薬局等で一般購入することはできません。また特別な登録を受けた医師・薬剤師でないと処方できない薬もあります。(一部の薬は、過去に不正使用事件があったことを受け、医師・薬剤師に加え、患者も登録を受けないと処方が受けられないものもあります。) 薬物療法は症状を根本から治すものではなく、一時的にやわらげるものであり、心理社会的なサポート(Q4. で解説)と併用していく必要があります。 なお「障害の特性による困難さ」によるストレスを和らげるために、心を落ち着けるための薬や、睡眠を補助するための薬などが処方される場合もあります。 Q4. 「心理社会的なサポート」とはなに? 「心理社会的なサポート」とは、気持ちなどの精神面や生活・仕事などの環境に関するサポートのことです。 Q3. で解説したとおり、発達障害そのものを治療することは困難です。そのため、自分の気持ちを楽にする・行動をコントロールするための方法を学んだり、困難さを軽減するために環境を調整したりすることが必要不可欠です。 まずは自分の障害について知る 発達障害は「見えにくく、分かりにくい障害」と言われており、同じ診断名がついていたとしても、その特性は一人ひとり異なります。そのため「自分の障害特性」を理解しないと、 ・特性による苦手への対策ができず同じ失敗を繰り返してしまう ・職場で上司や同僚に理解をしてもらうことができず適切な配慮を受けることができない …ということになってしまいます。まずは自分で自分の障害について知ることが第一歩です。 障害特性へのセルフケアを習得する 周囲に適切なサポートを求めるのと併せて、自分自身でセルフケアすることも大切です。例えば、「対人関係がうまくいかない」という場合はコミュニケーションの方法を学ぶ、「生活リズムが乱れがちで体調が安定しない」という場合は体調管理の方法を学ぶといったように、セルフケアの方法を習得することで特性による困難さを軽減することに繋がります。 またセルフケアを習得することは、次に解説する合理的配慮を受けるためにも必要です。 周囲から合理的配慮をもらって環境を調整する 合理的配慮とは障害によっておきる困難さを取り除いたり、周りの環境を整える支援などの提供を企業等の側に求めるものです。障害のあるなしに関わらず誰もが平等に生きることができる社会を実現するために、「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」などの法律で「合理的配慮」を提供することが定められています。 「障害者が企業に対して配慮を求めることができる」とは言っても、どのような要求でも通るわけではありません。名前に「合理的」と付いているように、提供する側にとっても負担が重すぎない範囲の配慮である必要があります。 合理的配慮がどの程度まで提供されるのかは、話し合いによって決められます。障害者の側もセルフケアをしたうえで、それでも対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能なものかどうかが、合理的配慮の範囲を決めるポイントになります。 過去のコラム記事では、自分の障害を受容することやセルフケア、合理的配慮について解説や事例を紹介していますので、併せてご参照ください。 ・合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。 ・発達障害のある方の「合理的配慮」事例集 ・「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介 ・合理的配慮のよくある質問集 ・発達障害当事者がオープン就労/クローズ就労の両方で働いてみて分かったこと   Q5. 心理社会的なサポートはどうやったら受けられるの? 先ほどもご紹介したように、発達障害の特性による苦手や困りごとは十人十色ですので、まずは自分の障害のことを正しく理解することが重要です。 しかし客観的に自分を見ることは障害の有無にかかわらず難しいものですし、障害に対する深い知識も必要です。自分一人で悩むよりも専門家の手を借りた方が良いでしょう。 そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は

二次障害が起こらないよう、予防するためにはどうすれば良いのか。もし起こってしまったら、どう対処すれば良いのか。今回の記事では、発達障害による二次障害の原因と、その対処法や予防法について解説します。

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  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
  • #限局性学習症(SLD)
「がんばらなきゃいけないのに、どうしてもやる気が起きない」「突然、悲しくなったり不安な気持ちになったりする」「自分の感情が抑えられず、周囲とうまくコミュニケーションできない」 もしこうした症状にお悩みの場合、それは発達障害による二次障害かも知れません。 二次障害とは、発達障害の特性より困難やストレスが生じることが原因となって、心や身体に下記のような不調・問題が起こり、日常生活に支障をきたしてしまうことです。 ・心(精神)の不調…うつ病などのストレスによる精神疾患など ・身体の不調…頭痛、めまい、不眠、食欲不振など ・行動面の問題…反抗、暴言・暴力、引きこもりなど 二次障害が起こらないよう、予防するためにはどうすれば良いのか。もし起こってしまったら、どう対処すれば良いのか。今回の記事では、発達障害による二次障害の原因と、その対処法や予防法について解説します。 [toc] 二次障害の原因とは? 二次障害への対処法や予防法を学ぶために、まずは「二次障害がなぜ起こってしまうのか」という原因を知っておきましょう。注意欠如・多動性障害(ADHD)である A さんと、自閉症スペクトラム障害(ASD)である B さんの、二人の事例をご紹介します。 ADHD の特性により「無くし物が多い」A さんの場合 営業事務として働く A さんは、ADHD(一次障害) の特性である「ワーキングメモリーの弱み」によって無くし物が多いという困りごとを抱えていました。 ある日、仕事の大切な書類をどこかに置き忘れてしまい、上司から注意を受けた A さん。「次からは気をつけよう」と思っていたのですが 1 週間後、今度は会社の倉庫の鍵をどこかに置き忘れて無くしてしまいました。 「A さん、こないだ無くし物の注意したばかりなのに、なんで同じ失敗をしてしまったの?」 上司から再び注意を受けたことによって、「また同じような失敗をして、上司を怒らせてしまったらどうしよう…」と、A さんのなかで不安な気持ちが生まれました。その後も、仕事で無くし物をするたびに上司から注意を受け続けた A さんは、次第に「自分は何をやってもうまくいかないんだ…」「また叱られる…」と常に不安な気持ちを感じるようになりました。 数ヶ月後、A さんは気分がひどく落ち込んだり、夜も眠れなくなったりするようになってしまいました。その結果、うつ病(二次障害)の診断を受けました。 ASD の特性により「光や音で強いストレスを感じる」B さんの場合 Web デザイナーとして働く B さんは、ASD(一次障害)の特性によって感覚が非常に過敏になり、強い光や周囲の音にストレスを感じやすいという困りごとを抱えていました。 ある日、職場で席がえがあり、B さんは窓際の席に移動することになりました。勤務先のオフィスは日当たりが良く、B さんの新しい席は、とくに日差しが強く差し込む場所でした。またちょうど隣のビルが工事を行っており、勤務中は工事の騒音が常に聞こえてくるような環境でした。 B さんはブラインドや窓を閉めて光と音を和らげようとしましたが、上司から「オフィスの雰囲気が暗くなってしまうから、ブラインドはなるべく開けておくように」「換気のために、常に窓は開けておくように」と言われてしまいました。 上司の指示に従い、ブラインドや窓を開けておかざるを得なかった B さん。これまでも「職場ではどうも集中しづらいな…」と感じていましたが、席がえの後は目や耳に極度の疲れや、ときに痛みを感じるようになってしまい、ストレスから夜、眠れない状態(二次障害)になってしまいました。 *** 発達障害は「社会性の障害」と言われており、周囲の環境によって困難が生じることがあります。上記の A さん・B さんの例のように、発達障害の特性によって周囲とうまくいかず、ネガティブな経験が積み重なってしまったり、日常的にストレスにさらされてしまったりすることが、二次障害の大きな原因となるのです。   二次障害にはどんな種類があるのか? 二次障害と一口に言っても、その症状や原因にはさまざまな種類があります。予防のためにも「どのような症状が、どのような原因で起こるのか」を知っておきましょう。ここでは、代表的なものを三つご紹介します。 ① 不安障害 たとえば「見通しがつかないことが苦手」「こだわりが強く、過去の失敗を引きずってしまう」という特性や、考えを切り替える難しさなどが原因となり、不安を過剰に感じたり、不安が続いたりする。ときには「このまま死んでしまったらどうしよう」というように、切迫した恐怖感を感じることもある。 思わぬ状況で不安が発作のように生じ、めまいや吐き気、過呼吸などの症状が出てしまう「パニック障害」や、人前で注目をあびることに恐怖感を覚え、震えたり逃げ出そうとしてしまう「社会不安(社交不安)障害」なども、不安障害の一種。 ②抑うつ/うつ病 発達障害の特性により、コミュニケーションや対人関係に難しさを感じることや、学校や職場などでの失敗経験から、「がんばっているのに、なぜうまくできないのか」「また失敗したらどうしよう」とネガティブな感情が積み重なってしまう。 その結果、「自分はダメな人間だ」「自分が悪いんだ」などと自分を責めるようになり、自己肯定感が下がったり、さらに自分を責めるようになってしまうことで、心や体に不調が表れてしまう。 「うつ」に関連する言葉には、うつ病・抑うつ・うつ状態などさまざまな言い方があるが、明確な基準は決まっていない。一般的には、現れている症状の数が少ない状態を「抑うつ」、症状の数が多くなった状態を「うつ病」と呼ぶことが多い。 心の不調の例 何をするにもおっくう・勉強や仕事に集中できない・人に会いたくない・自分を責めたくなる・同じことをグルグルと頭の中で考えてしまう、等 体の不調の例 眠れない・眠りすぎてしまう・食欲がない・頭痛・めまい・息苦しさ・月経不順(女性の場合)、等 ③反抗挑戦性障害/行為障害 発達障害の特性による失敗が続き、失敗に対する周囲からの理解も得られない状況が続くと、自己肯定感が下がり、「誰も自分のことを理解してくれない」という気持ちから周囲の人たちを信じられなくなってしまう。 その結果「怒りっぽくイライラしたり、かんしゃくを起こす」「挑発的な態度を取ったり、わざと口論を吹っかけたりする」「意地悪で執念深い」などの行動を周囲に対して取ってしまう。 *** 上記以外の二次障害については、以下のページもご参照ください。 二次障害|大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア   二次障害が起こってしまったら、どう対処すれば良いか? 二次障害が起こってしまった場合、対処法としては病院の心療内科・精神科や、メンタルクリニックなどの医療機関で治療を行うことが一般的です。治療では薬を服用したり、臨床心理士によるカウンセリングを受けたりします。 薬の服用に対しては「飲むのをやめられなくなってしまったらどうしよう…」という抵抗感を感じる方もいらっしゃいますが、飲んですぐに劇的な効果があったり、強い依存状態を引き起こすような薬が処方されることは、通常はありません。 薬を増やす場合、症状を確認しながら徐々に量を調節していくことになります。そして依存性や副反応が強い薬を処方できる医師・薬剤師は登録制になっており、適正な処方が行われるよう国により管理されています。 また薬を服用する以外にも、「認知行動療法」などの心理療法・精神療法により治療する方法もあります。 いずれにせよ、市販の薬や医療機関以外での何らかの施術で治るようなものではなく、医師による専門的な診断に基づいて治療を行うことが必要です。   二次障害を予防するために必要なことは? では二次障害が起こってしまう前に、予防する方法はなにかあるのでしょうか。 二次障害の大きな原因は、発達障害の特性によって周囲から怒られたり、人間関係がうまくいかなかったり、日常生活に支障をきたすほどのストレスを感じてしまったりすることです。「ストレスをうまく解消しよう」という話も間違いではありませんが、それだけでは根本的な予防にはなりません。 そもそものストレスの原因が発達障害の特性にあるのであれば、特性とのうまい付き合い方を習得する必要があります。そのためのトレーニングやサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【大人の発達障害の就活HACK】面接の準備をしよう|対策と流れ

大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。

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書類選考を通過すると、いよいよ次は面接です。初めて会う人と話すのは誰でも緊張するもの。ましてや、それで就職できるかどうか決まると思うと、いっそう緊張感は高まります。 大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。 スケジュールを立てることや見通しを立てることが苦手で、面接準備が間に合わない 遅刻をしてしまうことが多く、面接時間に間に合わない 考えを頭の中でまとめるのが苦手で、質問にうまく答えられない 面接官からの質問を忘れてしまったり理解ができなかったりすることで、かみ合わないことがある そもそもコミュニケーションが不得意で、話すことが苦手 など、特性による苦手によって “つまずき” を感じることがあります。 この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。 面接は職場の実際の様子を見たり、担当者と直接話をしたりできる貴重な機会でもあります。しっかりと準備をしていきましょう。 [toc] 1. 事前の準備が何よりも大切 発達障害のある方に特に多いのが、人前で話すのが苦手という悩みです。「人前で話すことが得意な人でないと、面接はうまく行かないんじゃないか…?」と心配に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、決してそんなことはありません。たとえ人前で話すことが苦手でも、事前の準備をしっかりすることで面接を乗り越えることができます。 マイクロソフト社で 10 年以上にわたりトップ・プレゼンターとして表彰され続けた澤 円(さわ・まどか)さん。人前で話すプロフェッショナルであり「プレゼンの神様」とまで呼ばれた澤さんは “プレゼンが成功するかどうかは、8 割が準備で決まる” と語っています。(澤さんご自身、発達障害の当事者でもいらっしゃいます。) 「私は人前で話すことが苦手だから、面接は自信がない…」という方ほど、準備にしっかりと時間をかけましょう。 1-1. しゃべる内容の台本を作る どんなに話し方がキレイなアナウンサーでも、名演技をする俳優でも、しゃべっていることには必ず台本があります。まずは、面接でしゃべる内容を紙に書き出して、台本を作りましょう。 「面接では何を聞かれるか分からないのに、台本が作れるの?」と思われるかも知れませんが、ほとんどの面接では、聞かれることは共通しています。たとえば以下のようなものです。 この会社へ応募しようと思ったのはなぜですか?(志望動機) あなたがこの会社へ入ったら、どのようなことで活躍できますか?(自己 PR) あなたの長所や短所を教えてください。(自己分析) あなたが、これまでの人生で体験した成功/失敗について教えてください。(自己分析) 特に “志望動機” や “自己 PR” は、応募書類(履歴書・職務経歴書)にも書いていますので、書類に書いたことと面接でしゃべることが食い違ってしまわないよう注意しましょう。食い違ってしまうと話がウソっぽくなり、マイナスの評価になってしまいますので、書類に書いた内容をもとに台本を作りましょう。 障害者雇用枠での採用面接の場合、以下のような “障害に関する質問” もされますので、こちらも台本を作っておきましょう。 あなたの障害特性について教えてください 必要な合理的配慮は何ですか? あなたが行っている「障害へのセルフケア」について教えてください なお、合理的配慮の考え方については以下の記事もぜひ参考にしてみてください。 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 手書きの書類を郵送で送る場合は、台本を作るために、発送前にコピーを取って手元に残しておくことをオススメします。もし、コピーを取らずすでに書類を送ってしまっている場合は、できる限り思い出して書いてください。 1-2. 実際に声に出して練習する 台本ができたら、実際にしゃべる練習をしましょう。声に出してみて、しゃべりづらい部分があれば台本を手直しします。台本を丸暗記する必要はありません。自分の言葉で、自然に話せることが大切です。 しゃべっている内容を誰かに聞いてもらっても良いでしょう。第三者の視点から、自分では気が付かないこともアドバイスしてもらえることがあります。「誰かに聞かれるのは恥ずかしい」「聞いてもらえる相手が近くにいない」という場合は、スマートフォンの “ボイスメモ” のアプリを使って自分の声を録音し、自分で聞いてみるだけでも新たな発見があります。 練習では、話すスピードや量を意識することが大切です。①早口になりすぎない ②話が長すぎない…の 2 つを意識して台本を作りましょう。例えば、自己紹介の場合は「文字数は300~500字」で台本を作り、ストップウォッチで時間を測りながら「2分以内」で話せるように練習をしてみましょう。 このあと「2. 面接当日の流れを知っておこう」で、実際の面接の流れについて解説しますが、それに沿って練習するのもオススメです。例えば、家族や友人に面接官役をやってもらい、自分は実際にスーツを着て、部屋に入るところから実際に受け答えするところまでを一通りシミュレーションしてみるのです。心の準備にもなり、当日の緊張を和らげることができます。 1-3. 当日の準備をする 面接の当日、実際に出かけるときの準備も、事前にしっかりと済ませておきましょう。準備のポイントは、以下の 2 点です。 ポイント 1. 身だしなみを整える 身だしなみはとても大切です。「人は外見よりも中身の方が大事だ」とよく言われますが、身だしなみは社会人としてのマナーの基本です。面接官からも見られるポイントになりますので、しっかりと準備をしておきましょう。 服装は基本的に、上下セットのスーツです。ワイシャツは体に合ったサイズを選び、シワがないようアイロンをかけます。革靴も磨いておきましょう。 「面接に着ていけるようなスーツをまだ持っていない」という方は、スーツ専門店で購入しましょう。店員さんに「就職活動の面接で着ていけるスーツが欲しいんですが……」と尋ねれば、最適なモノを見繕ってもらえます。自分の体型に合ったワイシャツや、ネクタイ・靴下・革靴までセットで揃えることができます。 身だしなみや面接に着ていく服に悩んでいる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】朝の準備をテンプレ化!ワーキングメモリーの弱み&衝動性対策で遅刻を防止 ポイント 2. 遅刻をしないようにする 面接でもっともやってはいけないことは、約束の時間に遅刻することです。身だしなみと同じく、「約束や時間を守ること」は社会人としての基本的なマナーです。履歴書がどんなに立派でも、面接でどんなに上手く自己 PR できたとしても、遅刻をしたらすべてが台無しになってしまうので、じゅうぶん注意しましょう。 「途中で交通機関が遅れたり、体調が悪くなったりしたら仕方がないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、「そうなったとしても、できるかぎり遅刻をしない」ように事前に準備しておくことが大切です。 交通機関が遅れるかも知れない → 約束の時間より1時間ほど早く到着できるよう、余裕を持って出発し、早めに着いたら、目的地周辺のレストランやカフェなどで時間まで待機する。 途中で体調が悪くなるかも知れない → 前日は早く寝て体調を整える。「緊張するとお腹が痛くなりやすい」など、特定の症状が出やすいことが分かっている場合は、胃腸薬などの薬を事前に用意して持って行く。 当日「やむを得ない事情」や「急用」で遅刻やキャンセルをする際には、必ず先方に電話で連絡を入れます。(メールだと、相手が気が付くまで時間がかかるため。)先方の連絡先をあらかじめ携帯電話やスマートフォンに登録しておき、すぐに連絡ができるよう準備しておきましょう。 「やむを得ない事情」や「急用」とは、以下のようなものです。 体調を整えることにじゅうぶん注意していたが、それでも体調を崩してしまった場合(例:持病が急に悪化してしまった、新型コロナやインフルエンザなどの感染症にかかってしまった、等) 地震などの突然の災害や大規模な事故などで、交通機関が2時間以上遅れたり、運休したりしているような場合 自分の親や子ども、一緒に住んでいる家族など「近しい親族」に、命に関わるようなことが起こった場合(例:交通事故に遭って病院に運ばれた、病気で入院していたが危篤状態になった、等) 自分自身が、何かの事件や事故に巻き込まれた場合 なお、遅刻をしないためのテクニックについて、以下の記事でスマートフォンアプリを活用した方法を解説しています。こちらもぜひご参考ください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】アプリ活用で予定通りに行動!原因を理解して、遅刻対策をしよう。   2. 面接当日の流れを知っておこう 「これまで面接を受けたことがない」という方でも、面接の当日どのような流れで何をするのか知っておくことで、緊張感をやわらげることができます。面接当日の流れは、どの会社でも概ね以下のように進みます。 2-1. 受付 面接先の会社に到着したら、まずは受付です。多くの場合、面接の連絡メールに受付方法も記載されているので、事前に確認しておきましょう。 相手から受付方法が特に指示されていない場合は、会社の受付で以下の項目を伝えましょう。(会社によっては受付がなく、入口に設置された内線電話で担当者を呼び出す場合もあります。) 自分の名前 来社の目的 相手の担当者の部署と名前 面接の約束時間 実際の言葉にすると、以下のようになります。 「お世話になっております。私、ヤマダタロウと申します。本日は採用面接のために参りました。人事部のスズキハナコ様と、14:00にお約束を頂戴しておりますが、おつなぎいただけますでしょうか。」 受付が済むと案内係の方が、待合室か面接を行う部屋まで案内してくれます。 2-2. 入室 面接を行う部屋に入るパターンは、以下の 2 つがあります。 パターン 1. 自分でドアを開けて入る場合 新卒採用など、同じ日に何人も面接試験を受けるような場合に多いパターンです。イメージとしては「病院の待合室で待っていて、名前を呼ばれたら診察室に入る」というような感じです。 自分の順番が回ってきて名前を呼ばれたら、まずはドアをノックします。中から「どうぞ」と返事があったら「失礼します」と言ってからドアを静かに開け、部屋に入ります。ドアの方を向いて静かにドアを閉めてから、面接官の方に向き直り、「ヤマダタロウです。よろしくお願いいたします」と大きな声で言いましょう。 面接官から「どうぞ、おかけください」と促されたら、「失礼いたします」と言ってから、イスに座ります。 パターン 2. 面接を行う部屋まで、直接案内される場合 中小企業の新卒採用や、中途採用など、自分一人だけが面接を受けるような場合は、案内係の方が面接を行う部屋まで直接連れて行ってくれるパターンもあります。 その場合、ドアは案内係の方が開けてくれます。「どうぞ」と促されたら、「失礼します」と言ってから部屋に入ります。 面接官がすでに部屋にいる場合は、パターン1と同じようにします。 面接官がまだ部屋に来ていない場合、案内係の方が「こちらにおかけになってお待ちください」と促してくれるので、「ありがとうございます」とお礼を言ってから座りましょう。しばらくして、面接官が部屋に入ってきたら、自分も一度、席を立って挨拶をします。面接官から「どうぞ、おかけください」とうながされるまで、座らないよう注意しましょう。 2-3. 面接〜退室 面接は誰でも緊張します。言葉につかえてしまったり、スムーズに話せなかったりしても慌てることはありません。面接官の質問をよく聞き、ゆっくりと・正確に答えることを意識しましょう。 先ほど「1-2. 実際に声に出して練習する」で解説したとおり、家族や友人に協力してもらい、質問に受け答えする練習をしておくと、緊張感をやわらげる効果があります。 面接が終わって退室する際にも、2 つのパターンがあります。 パターン 1. 自分でドアを開けて退室する場合 入室の際に自分でドアを開けて入った場合は、退室の際も自分でドアを開けて退室します。 面接が終わったら、まずは座ったまま「ありがとうございました」とお礼を述べ、席を立ちます。起立した状態でもう一度、一礼しながらお礼を述べたあと、ドアの前に向かいます。 面接官の方に向き直り、「失礼します」と述べながら一礼したあと、ドアを開けて退室し、静かにドアを閉めます。部屋を出たら、案内係の方の指示に従って帰りましょう。 パターン 2. 面接官と一緒に退室する場合 受付のあと、面接を行う部屋まで直接案内された場合は、面接官と一緒に退室する場合がほとんどです。 面接が終わり、まず座ったままお礼を述べる → 起立してもう一度お礼を述べるところまではパターン 1 と同じです。その後は、面接官の方が促してくれるのに従って退室します。 ほとんどの場合、退室したあとそのまま建物の入口やエレベーターまで面接官が案内してくれるので、付き従って帰りましょう。一緒に歩いているときに面接官の方から雑談など話しかけてくる場合もありますので、心の準備をしておきましょう。(相手が話しかけてこないときは、こちらから無理に話しかける必要はありません。)   3. 大人の発達障害がある方が面接でつまずきやすいポイントと対策 発達障害の特性によって、面接でつまずきやすいポイントについて、それぞれ解説します。 3-1. 「服装自由」の場合はスーツで行く たまに、面接の案内で「自由な服装でお越しください」と書かれていることがありますが、これは「本当に自由な格好(私服)で来てください」という意味ではありません。「スーツか、ビジネスカジュアル(オフィスカジュアル)で来てください」という意味なので、注意しましょう。 自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性として、「はっきりと文章で示されていないことを理解するのが苦手」「書いてある文字どおりに指示を受け取ってしまう」というものがあります。 この特性によって、どんな服装で参加するべきか分からず悩んでしまうことや、文字どおりに「自由な服装(カジュアルな服装や、面接にふさわしくない服装)でもいい」と受け取ってしまい、「面接の当日、会場に行ってみたら一人だけ場違いな服装で浮いてしまった」という失敗をしてしまう方は少なくありません。 ビジネスカジュアル(オフィスカジュアル)は、慣れていないと何を着たら問題ないのか判断するのが難しいため、あまりオススメしません。従い、「服装自由」の場合はスーツで行くのが無難です。 3-2. 一気に何社も応募しない 「早く就職先を決めたい」と焦ってしまう気持ちもあるかと思いますが、何社も一気に応募しないようにしましょう。 注意欠如・多動性障害(ADHD)の特性として、マルチタスクや計画的に物事を進めることが苦手なため、いくつもの会社を同時並行で進めると、準備時間が足りなくなってしまうことがあります。 できれば 1 社ずつか、多くても 2 社に留めておきましょう。また、面接日の当日だけでなく、「応募書類の作成」や「面接の練習」といった予定もカレンダーに書き込んで “見える化” し、計画的に進めることをオススメします。 3-3. 困難な点は、あらかじめ履歴書で相手に伝えておく 障害者雇用枠への応募の場合は、面接でも障害の特性へ配慮をしてくれます。面接にあたり、なにか特別に困難さを感じることがある場合には、あらかじめ履歴書に書き添えて相手に伝えておきましょう。 例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性として、面接官から複数の質問を一気にされた場合に、混乱して質問への回答がいくつか抜け落ちる・質問の意図と異なる回答をしてしまう、ということがあります。 その場合には「障害の特性により、口頭で複数の指示を一気にされると理解することに困難さがあるため、質問は一つずつしていただけますと幸いです」というように、履歴書に書き添えておくと良いでしょう。 例えば、発達障害の特性による苦手で、質疑応答の際に以下のような “つまずき” をしてしまうことがあります。 口頭での指示を聞き漏らすことがある 一度にたくさんの質問をされると混乱してしまう 言葉が出るのに時間がかかる 質問の意図を汲み取ることが苦手 このような “つまずき” への対策として、「面接官に留意してもらいたいポイント」を履歴書に書き、事前に伝えておくようにしましょう。書き方の例は、以下のとおりです。 「障害特性により、聴覚情報(口頭での質問)の処理に時間がかかることがあり、質問を聞き直すことがありますが、ご了承ください。」 「障害特性により、一度に複数の質問をされることと混乱してしまうため、ひとつずつ回答をさせていただけますと幸いです。」 4. もし、なかなか面接がうまく行かなかったら 発達障害のある方は、特性により「人とのコミュニケーション」に対して困難さを感じることが多いため、企業側の担当者と直接コミュニケーションしなければならない面接は、採用試験における大きな壁です。 障害の有無に関わらず、不採用となってしまったときのショックは大きいもの。面接でうまく自分をアピールすることができず、「どんどん自信がなくなってしまう」とお悩みの方は少なくありません。 そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 先ほどもご紹介したとおり、就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、 障害者雇用枠ならではの「障害特性の説明」に難しさを感じるので、もっと自分の障害について理解したい コミュニケーションスキルを身につけて、面接でスムーズに話せるようになりたい 自己 PR に書ける、自分の “強み” や “長所” を探したい これからどんな仕事をしていきたいか、ゼロから考え直したい …など、「就職活動に挑む前に準備をしたい」という発達障害のある方をサポートいたします。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 記事監修:清野 玲子(キャリアコンサルタント/社会福祉士) 人材会社でのキャリアアドバイザー等経験したのち、就労移行支援事業所ディーキャリアの立ち上げに参画。発達障害の特性による苦手や困りごとを抱える方の就労支援に携わる。 現在は、発達障害のある方の特性に応じた就労プログラム開発、支援スタッフ向け研修講師・スーパーバイザーなど幅広い業務を担当。
【当事者が解説】大人の発達障害の診断は受けるべき?メリットや注意点を紹介

発達障害当事者が、診断を受けるか悩んだ実体験をもとに「診断を受けるメリットやデメリット」「診断を受けるために必要な手順」「診断を受ける場合の注意点」「実際に診断を受けて何が変わったのか」を解説します。

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  • #障害年金
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  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
  • #限局性学習症(SLD)
「発達障害のことを調べていたら、思い当たることが多かった」「発達障害の診断チェックリストをやってみたら、多くの項目に当てはまった」 働きづらさや生きづらさを感じている方のなかには、こうしたきっかけで発達障害について知った、という方も多いのではないでしょうか。何を隠そう、筆者もその中の一人です。 私は「自分は発達障害なのかもしれない」と思ってから医師の診断を受けるまでに、さまざまな悩みごとを経験しました。今回の記事では、実際に当事者として悩んだ経験をもとに 診断を受けるメリットやデメリットはあるのか 診断を受けるためには、どういう手順が必要なのか 診断を受ける場合、何か注意すべきことはあるのか実際に、筆者が診断を受けてみて何が変わったのか …について解説します。 [toc] 1. 発達障害について最初に押さえておきたい 2 つのキーワード〜①生まれつき ②ミスマッチ〜 すでにインターネットなどで情報をご覧になり、発達障害が「先天的な脳機能の障害」であることや、いくつかの種類があることをご存知の方も多いかと思います。(自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)、等) 発達障害について理解するために、もう少し表現をかみ砕いてみましょう。 発達障害とは、生まれつきの “脳の発達の偏り” がきっかけとなり、生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。押さえておきたいキーワードは ①生まれつき ②ミスマッチ…の 2 つです。それぞれについて解説します。 なお、大人の発達障害について基礎知識について知りたい方は、以下のページもご参照ください。 大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア キーワード 1「生まれつき」〜発達障害とは、本人の努力不足や親の育て方の問題ではない〜 「生まれつき」ということは、つまり、自分が大人になるまでの間に努力をしてこなかったとか、親の育て方が悪かったとか、そのような問題ではないということです。 過去の自分を責める必要はありません。「発達障害というものの存在を知った、今、このときから何ができるのか」を考えることが大切です。 キーワード 2「ミスマッチ」〜発達障害の方の “生きづらさ” は、周囲の環境によって起こっている場合がある〜 「ミスマッチが起こることで生きづらさが生じる」ということは、逆に「ミスマッチがなければ、生きづらさは生じない」とも言えそうです。これは一体、どういうことなのでしょうか。 社会学では、障害とは「個人の特性」によって起こるのではなく「社会との関係」によって起こるのだという、障害社会学 [*3]という考え方があります。 例えば、近視で遠くがよく見えない人がいるとしましょう。 現代は、メガネやコンタクトレンズがあります。パイロットなどの特別な職業でない限り、多くの人はそれほど遠くまで見えなくても仕事や日常生活に困りません。必要なら双眼鏡などの道具を使うこともできます。近視だったとしても、「社会的な不利益」を受けることは少ないと言えるでしょう。 しかし、これが原始時代だったらどうでしょうか。 遠くがよく見えなければ、狩りで獲物を探したり、迫ってくる危険をいち早く見つけたりすることができません。そのため、同じ集落の仲間に迷惑を掛けてしまい、「お前は役立たずだ」と言われて集落から追い出されてしまうかも知れません。近視であることで、「社会的な不利益」を受けてしまうおそれがあるのです。 周りの環境や社会との関係によって不利益を受けることが障害なのであり、個人の特性(近視であること)が障害なのではないというのが、障害社会学の考え方です。 実際に筆者も、職業や働き方を変えたことで “働きづらさ” は大きく改善されました。今は、一緒に仕事をしていても、私に発達障害があることにまったく気が付かない人もたくさんいます。 発達障害そのものに対してなにか対策を行うだけではなく、自分の特性とミスマッチを起こしている環境もあわせて見直すことが、とても重要なのです。 [*3] 参考文献:テーマ別研究動向(障害の社会学)|J-STAGE   2. 発達障害の診断を受けるべきか〜3 つのパターン別に考える〜 では、「自分は発達障害なのかもしれない」と気が付いたあと、次のステップとして「医師による診断」を受けるべきなのでしょうか。3 つのパターンに分けて考えてみましょう。 パターン 1:「診断を受けた方が良い」と思われるケース 発達障害の特性(障害による特徴)による困りごとが原因で「学校や職場で人間関係がうまく行かない」「仕事が長続きせず転職を繰り返してしまっている」など、今、実際に働きづらさ・生きづらさを感じている方は、診断を受けた方が良いと考えられます。 診断を受ける最大のメリットは、公的な福祉の支援を受けられるということです。 例えば、障害に配慮した職場で働くことができる「障害者雇用枠」に応募するためには障害者手帳が必要ですが、診断を受ければ申請することができます。障害により生活に支障が出た場合に支給される障害年金なども、診断を受けることで申請が可能となります。 また、働く意欲を持った障害がある方の、職業訓練や就職活動を支援する就労移行支援のサービスを受けることもできます。 今、実際に働きづらさ・生きづらさを感じている方は、診断を受け専門家の支援を利用することで、改善に向けた第一歩が踏み出せるのではないかと思います。 パターン2:「必ずしも診断を受けなくても良い」と思われるケース 「自分は発達障害かも知れない」と思っても、もし現在の仕事や生活環境に大きな問題がなく過ごせているなら、診断を受ける必要はないと考えられます。 先ほど “ミスマッチ” のキーワードでご紹介したように、たとえ発達障害があったとしても、本人が周りの環境=社会との関係のなかで「不利益を受けている」と感じなければ、それは障害ではないと言えるからです。 また、現時点で大きな問題がなくても、将来的に環境が変わって生きづらさを感じてしまったときに診断を受け福祉の支援を活用する、ということももちろんできます。 気をつけたいポイント:本人ではなく、周囲の人が困りごとを感じている場合 当事者の身近な方(ご家族や、職場の同僚の方など)から「本人はあまり気にしていないが、周囲は本人の言動によって負担を感じている。発達障害だと思うがどうすれば良いか」というご相談を受けることがあります。 この場合、本人に「あなたは発達障害ではないか」と告げたり、いきなり診断してもらうことを促したりすのではなく、一度、本人ぬきで専門の窓口にご相談することをおすすめします。 発達障害と似た困りごとが別の原因で起こることもありますので、素人が判断して原因を特定することは困難です。仮に、本当に発達障害があったとしても、本人に直接告げることで人間関係が悪化してしまうおそれもあります。 もちろん、周囲が一方的に負担を感じている状態は健全ではありません。相談窓口には、以下のようなものがあります。第三者の力を借りて解決に取り組んでいくことが大切です。 自治体の障害福祉担当の窓口(障害福祉課、障害支援課など) ハローワークの障害者雇用担当窓口 就労移行支援事業所の無料相談窓口 パターン 3:「診断を受けるかどうか、状況に応じて検討した方が良い」と思われるケース 判断に迷うのは、「多少の働きづらさ・生きづらさを感じてはいるが、頑張れば何とかできなくもない」という場合です。 周りから見れば「少し要領が悪いだけ」のように見えても、ご本人は「人の何倍も努力を重ねて苦手なことをカバーしている」というケースも少なくありません。このような状態も “ミスマッチ” であると言えるでしょう。 「頑張ればできなくもないが、つらい」という場合には、診断を受けて公的な福祉の支援を活用することを検討してみても良いかも知れません。 仮に発達障害だと診断を受けたとしても、それを家族や会社に伝えるかどうか、実際に公的な福祉の支援を申請するかどうかは、自分で決めることができます。病院には守秘義務がありますので、自分から伝えない限り、診断を受けたことを誰かに知られてしまうことはありません。 それでも「いきなり病院へ行くのはちょっと…」という場合は、まず “相談窓口” を利用してみても良いでしょう。 相談窓口には公的なものから民間のものまで、さまざまな種類があります。インターネットで検索すると、無料のセミナーや当事者会なども見つかります。診断を受けなかったとしても、同じ悩みを持つ人たちと話をしたり、特性への対策法を学んだりすることで、つらさが改善できる場合があります。 以下の記事で相談先の一例をご紹介していますので、ご参照ください。 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集「Q12. 一般雇用で働いているけど、働きづらさ・生きづらさを感じている。会社には知られないようにどこかに相談したいが、どこか相談先はあるか?」   3. 診断を受けたい場合はどうすれば良い?〜病院の選び方や手順、診断までにかかる時間〜 「発達障害の特性による困りごとを解決するために、診断を受けたい」と思った場合、実際にどうすれば良いのかについて解説します。 3-1. どの診療科を受診する?〜大人の発達障害は “精神科” や “心療内科”〜 大人の発達障害に対応している診療科は、“精神科” や “心療内科” です。 ただ、発達障害の専門医は日本ではまだ多くないため、すべての精神科や心療内科が対応しているとは限りません。まずは病院・クリニックのホームページを見て、発達障害に対応しているかどうかを確認しましょう。 3-2. 病院を選ぶ際の 4 つのポイント〜①場所 ②予約方法 ③治療方針 ④支援機関とのつながり 「インターネットで検索したら、“発達障害対応” と書いてある病院の情報がいくつも出てきて、どこを選んだら良いのかよく分からない」という場合は、次のポイントをチェックしましょう。 ①通いやすい場所にあるか 病院を初めて受診してから診断を受けるまでには数ヶ月かかります。問診や検査などで何回か通院することになりますし、診断後もかかりつけ医として長くお付き合いすることになりますので、通いやすさは大切なポイントです。 人によっては「発達障害で通院していることを周囲に知られたくない」という方もいらっしゃるかと思います。その場合、自宅から少し離れた駅の病院や、職場への通勤途中にある病院を検討してみると良いでしょう。 ②予約が取りやすいか 予約が取りやすいかどうかも大切なポイントです。先ほどご紹介したように、日本ではまだ発達障害の専門医が少ないため、混雑している病院の場合「初診を受けるのに数ヶ月待ち」というケースもあります。 また、長く通院することを考えると “事前予約できない” “予約の変更が柔軟にできない” というような病院では、だんだんと通いづらくなってしまいます。病院のホームページを見て、“予約のしやすさ”  もチェックしておくと良いでしょう。 ③治療方針がホームページにしっかり書かれているか 発達障害の治療方針について、ホームページ上にどのような情報を載せているかチェックしましょう。 その先生が発達障害についてどのように考えているか、どれだけ診療の実績があるのか、どういう方針で治療を行っているのかを確認しておくことで、“先生とのミスマッチ” を防ぐことにもつながります。 ④地域の支援機関とのつながりがあるか もし、ご自分で調べてもどこが良いのか分からず悩んでしまうという場合には、先ほどもご紹介した以下の相談窓口に聞いてみる、という方法もあります。 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集「Q12. 一般雇用で働いているけど、働きづらさ・生きづらさを感じている。会社には知られないようにどこかに相談したいが、どこか相談先はあるか?」 こうした相談窓口は近隣の病院と連携して支援活動を行っていることが多いため、つながりのある病院を紹介してくれる場合があります。相談窓口とつながっている病院は、それだけ発達障害のある方の支援に積極的だとも言えますので、病院選びのポイントとしてチェックしてみてください。 3-3. 初診から診断までの手順と期間〜診断までには数ヶ月かかる〜 では、実際に初診を申し込んでから診断が出るまでのステップについて、具体的に見ていきましょう。病院によって細かな部分は異なりますので、ここでご紹介するステップは一例としてご参考ください。 ステップ 1. 問診 まずは医師による問診が行われます。皆さんも病院を受診する際に “問診票” を記入したご経験があるかと思いますが、発達障害の場合の問診票は項目がかなり多く「いつ頃からどんな困りごとが出ているのか」「どのような環境で育ってきたか」「勉強や学校生活での様子はどうだったか」など、さまざまな質問に答えます。 また、初診時に簡易的な心理テストを行う場合もあります。 ステップ 2. 観察 発達障害の診断は、医師により現在の状態・成育歴・行動観察・認知や知能等の心理検査の結果などを総合して行われますので「診察を受けたらすぐに診断が確定する」というものではありません。 発達障害であるかどうかを調べるため、何回か診察を行って症状を観察します。また、診断に必要な情報を知るための調査を行う場合もあります。 例えば ADHD の場合、「症状のいくつかが 12 歳までに存在していたかどうか」が診断基準の一つであるため、子どものころの状況をさらに詳しく知るために「学生時代の通知表で先生や親のコメントを確認する」「(可能な場合は)家族に当時の様子を聞いてそのメモを先生に提出する」といった調査を行うこともあります。 ステップ 3. 検査 診断基準の一つとして「WAIS-Ⅳ(ウェイス・フォー)」などの心理検査を実施します。 この検査では、思考力や作業力といった認知能力を測るテストを行い、“脳の発達の偏り” の程度を調べることで、発達障害の特性や傾向を読み取ります。 検査は臨床心理士により行われ、数時間かかります。担当できる臨床心理士の数が限られるため、検査の順番を数週間待たねばならないケースもあります。 ステップ 4. 診断 ここまでの問診・観察・検査を総合して、医師により診断が行われます。初診から診断が出るまでには数ヶ月かかります。 総合的な判断の結果「発達障害ではない」「発達障害の基準は満たさないが、傾向はある」といった診断がくだされる場合もあります。 その場合、発達障害の診断書が必要な公的な福祉サービスを受けることはできませんが、引き続き通院を続けることで、心を落ち着かせるための薬を処方してもらったり、カウンセリングや心理療法による治療を受けたりすることは可能です。   4. しくじり先生〜実際に診断を受けた当事者の失敗談〜 筆者も発達障害の当事者として診断を受け、「障害者手帳の取得」や「税金の障害者控除」などの支援を利用しています。しかし、実際に通院を始めてから診断を受け、現在に至るまでには、いくつもの失敗がありました。そんな筆者の経験を、しくじり先生形式で 2 つご紹介します。 しくじり①:病院の先生は「支援」もしてくれると思っていた 発達障害の診断を受けようと、メンタルクリニックの初診を申し込んだとき、私は「自分の悩みや、これからどうしたら良いのか相談に乗ってもらえる!」と、とても期待していました。 しかし、先生の診察を何回か受けるにつれて、違和感を覚えるようになりました。たしかに、毎回の診察で先生は「最近はいかがですか。困りごとに変化はありませんか。」と優しく聞いてくださいます。しかし、私が何をお話ししてもカルテに書き留めるだけで、何もアドバイスをくださらないのです。 私は、医師の診察とカウンセリングを同じものだと勘違いしていました。さらに、病院と障害者支援機関を同じものだと勘違いしていたのです。 先生がお話を聞いてくださるのは、症状の診断や薬の処方のための「診察」です。悩みごとを聞いて相談に乗ってくれるのは「カウンセリング」であり、まったく別でした。(同じ病院内でカウンセリングを行っている場合でも、料金や予約は診察とは別です。) また、お仕事や生活について支援してもらうためには、病院ではなく、障害者支援機関に相談することが必要だったのです。 先ほど相談窓口についてご紹介しましたが、私はそうした窓口に一度も相談することなく、インターネットで調べた知識だけでいきなり病院を受診してしまったため、仕組みがどうなっているのかまったく知りませんでした。 現代は、インターネットがあれば何でも調べられる「ような」気持ちになってしまいがちです。しかし、一度で良いから専門の窓口に相談していれば、こんなに一人で苦労せず何か支援してもらえたのではないかと、後悔してしまいました。 しくじり②:診断を受ければ「仕事ができなくても許される」と思っていた 発達障害の診断を受けた当時、私は社員が10名ほどの小さな会社で営業職として働いていました。営業ですので、アポイントを取るために電話をかけたり、商談で交渉したりもします。当然ノルマがあって、達成できるよう自分で計画を立てて営業活動をしていかねばなりません。 しかし、私は電話や交渉ごとがとても苦手で、さらに段取りよく仕事を進めることも不得意だったため、営業成績が悪く、上司からたびたび注意を受けていました。「なぜ、何度注意されても直すことができないのだろう」と落ち込み、自分の努力不足を責めていました。 “電話が苦手“ “段取りが悪い” というのは、発達障害の特性による困難さの例として、見たことがある方も多いことでしょう。私はインターネットで自分の困りごとの原因が発達障害だと分かったときに、「自分の努力が足りないせいではないのだ」と、とても気持ちがラクになったように感じました。 では、発達障害の診断を受けたことで「電話ができず、段取りが悪くて、営業成績が上がらないけど OK」と許してもらえるのでしょうか。 皆さんもお分かりになるかと思いますが、答えは「No」です。 企業には、障害がある方に対して配慮をする義務があります。しかし、それは「障害があれば、どんなことでも許してあげる」という意味ではなく、「障害者のある方が、自分の能力を活かして働けるように配慮する」という意味です。 私は、診断を受けたことで “仕事ができない自分” を許してもらえるような気になっていました。しかし、発達障害の特性で営業職が向いていないのであれば「営業の仕事以外で、自分が持っている能力で会社に対して貢献できること」をこちらも見つけなければなりません。 社会のなかで生きていくためには、障害の有無にかかわらず「自分は何ができるのか」を考えることがとても大切です。それになかなか気が付けず、結局、当時勤めていた会社とは折り合いが悪くなって、退職することになってしまいました。   5. 診断を受けるメリットやデメリットは何があるのか 状況にもよりますが、質問をいただくことが多いので、それぞれ整理してご紹介いたします。 5-1. 診断を受けるメリット 自分の障害について理解をすることができ、対策を講じることができる 職場に必要な配慮(合理的配慮)を申し立てることができる 公的な福祉サービスや支援(例えば、障害者手帳取得による税金の控除、障害年金の受給等)を受けることができる 障害者雇用枠求人の対象となることができ、障害に配慮を受けながら働くことができる。 5-2. 診断を受けるデメリット 障害があることを自己受容しなければならない 医療保険などの民間保険に加入できない場合がある(保険の種類による) 6. 診断を受けて良かったのか〜当事者としての体験談〜 筆者としては、診断を受けて良かったと思っています。 「子どもの頃から悩んできたことは自分の性格や努力不足のせいではなく、生まれ持っての障害が原因だった」と分かったときに、私は生まれて初めて、自分で自分を許せた気がしました。それほど、私の人生にとって診断を受けたことには大きな意味がありました。 先ほど “しくじり先生” として紹介したように、診断を受けた当時の私はまだ、障害を持ちながら社会のなかで生きていくためにどうすれば良いかが理解できず、勤めていた会社を退職することになってしまいました。 しかし、その後アルバイトの期間を経て障害者雇用枠で再就職することができ、配慮を受けながら働いて、生活の基盤を立て直すことができました。また、発達障害について勉強したことで、自分の特性や、それによる困りごとを防ぐための対処法も理解を深めることができました。 何よりも大きかったのは、「障害がある方を支援するための仕組み」が、実は身近にはいろいろ用意されていると知ったことです。自分一人で悩まなくても相談できる場所があると知ったことは、大きな心の支えになりました。 診断を受けるか受けないかは、人それぞれです。診断を受けなかったとしても、もしお一人で悩んでいてつらいことがあれば、ぜひ色々な相談窓口を利用してみてください。力になってくれる人が必ずいるはずです。 今回の記事が、働きづらさ・生きづらさを感じている方、そして、当事者のご家族や周りで支援されている方の「次の一歩を踏み出すためのきっかけ」となれれば幸いです。 お一人で悩んでしまったら、まずは相談を 診断を受ける・受けないに関わらず、自分が発達障害であることを受け止め、新しい一歩を踏み出すためには、大きなエネルギーが必要です。 「障害と向き合いながら、生計を立てて行くためにはどうしたら良いのか」 「家族や職場に、うまく相談するためには、どうすれば良いのか」 「自分にあった仕事に転職した方が良いのではないか」 ……と悩んでしまう方も少なくありません。そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職活動はものごとを段取りよく・計画的に進めて行く必要がありますが、発達障害の特性による「苦手」で上手く進まないという方もいらっしゃいます。 ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、就職活動の軸探しだけではなく、スケジュールを立てること、自己 PR(自分の強み・長所の発見)をすること、予定通りに行動をすることをサポートしています。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください。ご本人からだけではなく、「発達障害の疑いがある方が身近にいて、どのような対応をすればよいか分からない」と悩まれている方からのご相談も受け付けております。ご家族の方はもちろん、「職場に発達障害の疑いがある従業員がいる」という方も、ぜひ一度ご相談ください。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。