「しつこい」と言われてしまうのはなぜ?ASDの特性とコミュニケーションの工夫
「何度も同じことを聞いてしまう」
「納得するまで確認したくなる」
「話を終わらせるタイミングが分からず、話し続けてしまう」
そんなことから、周囲に「しつこい」と言われた経験はありませんか?
本人としては、相手を困らせようとしているわけではありません。
「ちゃんと理解したい」
「間違えたくない」
「このままで大丈夫なのか不安」
そんな気持ちから、何度も確認してしまうことがあります。
ASDの特性がある方の中には、曖昧な状態を苦手としたり、相手の表情や反応から「もう十分」「ここで終わり」と判断することに難しさがあったりします。
そのため、本人にとっては必要な確認でも、相手から見ると「何度も聞かれる」「話が終わらない」と感じられてしまうことがあります。

なぜ、何度も確認してしまうの?
「しつこい」と言われてしまう背景には、いくつかの理由が考えられます。
例えば、
- 納得するまで確認したい
- 間違いや失敗への不安が強い
- 曖昧な状態のまま進めることが不安
- 相手が自分をどう思っているのか気になってしまう
- 相手の表情や反応から「もう大丈夫」を読み取ることが難しい
などです。
例えば仕事で、「分からないことがあったら聞いてください」と言われたとします。
すると、「どこまで聞けばいいのだろう」「この理解で本当に合っているだろうか」と不安になり、細かいところまで確認を重ねてしまうことがあります。
また、質問に答えてもらっても、自分の中でまだ納得できていなければ、さらに確認したくなることもあります。
これは「わざとしつこくしている」というより、本人の中では不安や疑問がまだ終わっていないという状態なのかもしれません。
「しつこいと言われたから、質問しない」は解決ではない
ここは、とても大切なポイントです。
一度「質問が多い」「何でも聞いてくる」と注意されると、
「また聞いたら怒られる」
「自分は質問しすぎるから、もう聞かないようにしよう」
と考えてしまうことがあります。
しかし、仕事では分からないことを確認することも大切です。
聞かないまま自己判断で進めてしまえば、ミスや手戻りにつながる可能性があります。
大切なのは、
「質問しないこと」ではなく、「必要な確認を、適切な方法ですること」
です。
では、どうすればよいのでしょうか。
「何度も聞いてしまう」を減らすための工夫
① すぐに質問せず、まず自分で確認する
疑問が出たら、すぐに質問するのではなく、
「まず5分考えてみる」
「資料やメモを確認してみる」
など、自分で確認する時間を決めてみます。
ただし、何時間も一人で悩む必要はありません。
「ここまでは自分で考える。それでも分からなければ聞く」
というルールを決めておくと、質問するタイミングを判断しやすくなります。
② 質問をメモして、まとめて聞く
疑問が出るたびに一つずつ質問するのではなく、いったんメモに書いておきます。
ある程度たまったところで、
「確認したいことが3つあります」
とまとめて聞く方法もあります。
質問が整理されることで、自分自身も「何が分からないのか」を把握しやすくなります。
③ 同じことを以前聞いていないか確認する
何度も同じことを確認してしまう場合には、質問した内容や回答をメモしておくことも有効です。
「これ、前にも聞いたかもしれない」
と気づけるだけでも、繰り返しを減らすきっかけになります。
もちろん、それでも不安になったときには、再確認すること自体が悪いわけではありません。
「以前こう教えていただいたと思うのですが、念のため確認させてください」
と伝えれば、単なる繰り返しではなく、自分が何を理解しているのかを伝えた上で確認することができます。
「相手の反応を読む」ことだけに頼らない
「相手の表情を見れば、もう質問をやめたほうがいいと分かる」
という人もいるかもしれません。
しかし、ASDの特性がある方の中には、表情や声のトーン、態度などから相手の意図を推測することに難しさがある場合があります。
そのため、
「相手が困った顔をしているから、そろそろ終わり」
といった判断を自分だけで身につけることは、簡単ではありません。
だからこそ、実際のコミュニケーションの中で、
「今の質問は確認してよかった」
「ここは一度自分で考えてから聞いてもよかった」
「このタイミングでは、いったん話を終えてよかった」
といった具体的なフィードバックを受けることが役立ちます。
すべてを「本人の問題」にしないことも大切
ここまで読むと、
「結局、自分が質問しすぎるのが悪いんだ」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、コミュニケーションの問題をすべて本人の特性だけで説明することも適切ではありません。
例えば、
- 指示が曖昧だった
- 何をどこまで確認すればよいのか分からなかった
- 質問するタイミングがなかった
- 周囲が忙しく、十分に説明できなかった
という状況も考えられます。
ASDのある人への職場での配慮としても、具体的で明確な指示、書面での情報提供、情報を小分けにすること、質問先を明確にすることなどが挙げられています。
つまり、
「本人が工夫すること」と「周囲が分かりやすく伝えること」の両方が必要
なのです。
「しつこい自分」を直すのではなく、自分の特徴を知る
「しつこいと言われる」という経験が続くと、自分のコミュニケーションそのものに自信をなくしてしまうことがあります。
でも、目指したいのは、
「もう質問しない自分」になることではありません。
大切なのは、
- どんな場面で確認が増えるのか
- 何が不安になっているのか
- どこまで確認すれば安心できるのか
- どんな聞き方なら相手にも伝わりやすいのか
を知ることです。
そして、知識として理解するだけでなく、実際の場面で試して、振り返り、必要に応じてやり方を変えていく。
それが、自分に合ったコミュニケーション方法を身につけることにつながります。
ディーキャリア新潟オフィスで取り組む「自己理解」とコミュニケーション
ディーキャリア新潟オフィスでは、コミュニケーションの知識を学ぶだけでなく、実際の訓練の中でコミュニケーションを練習し、スタッフからフィードバックを受けながら、自分の特徴や困りやすい場面を整理していきます。
「質問しすぎてしまう」
「相手との距離感が分からない」
「以前、職場でコミュニケーションについて注意されたことがある」
そんな方も、まずは「なぜそうなっているのか」を一緒に考えるところから始めてみませんか。
「しつこい」と言われないために、自分を否定する必要はありません。
なぜそうなってしまうのかを知り、自分も相手も負担になりにくいコミュニケーションの方法を身につける。
それも、働き続けるための「自己理解」の一つなのだと思います。
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