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ADHDの先延ばし癖は克服できる?当事者が実践する仕事の工夫・伝えたいメッセージ

はじめに:先延ばし癖で悩んでいるあなたへ

こんにちは! ディーキャリアITエキスパート札幌大通オフィスのブログ作成担当、スタッフMです。

皆さんは「やらなきゃいけないのに、なぜか始められない……」という経験はありませんか?
いわゆる、「先延ばし」をしてしまう状態ですね。

締め切りが迫っている仕事。返信しなければいけないLINE。予約変更の電話。部屋の片づけやお風呂に入ること……。
やるべきだと分かっている。やれば終わることも分かっている。
でも、なかなか行動に移せない!
私はADHDの当事者ですが、こうした先延ばし癖に長年悩まされ続けてきました。

最近だと、ショート動画を連続でずっと見続ける・SNSのタイムラインを何度も更新するなど、脳への強い刺激に慣れすぎて退屈に耐えられなくなってしまった人のことを表す「ドパガキ」というネットスラングも話題になっていますよね(※ADHD=全員が全員「ドパガキ」に当てはまるという訳ではないです!)。
目の前の不快感から逃れようとして、すぐに楽になれる行動を選んでしまう……。
そんな経験に心当たりがある方もいるのではないでしょうか?

もし、当ブログを見ているあなたも「先延ばし癖」に悩んでいるならば、
当ブログを通して伝えたいことがあります。

一人で悩みすぎないで!!

「先延ばし癖がある」=「怠けている」わけではありません。
ADHDの特性や、作業に取りかかるまでの心理的なハードル、環境など、さまざまな要因が関係している可能性があります。
今回は、就労移行支援に通う前から先延ばし癖に悩み、現在もその癖と付き合いながら働いている私の実体験を交えつつ、原因や対策についてお話しします!


  • ADHDと先延ばし癖には関連があり、不注意や実行機能、感情、動機づけなどが関係する可能性がある
  • 先延ばし対策として、最初の一歩を小さくすることや、締め切りを明確にすることが役立ったという実体験を紹介
  • 先延ばしを完全に克服できなくても、仕組みや環境、専門家からの支援を活用しながら働き方を模索する道もある

スタッフM
(ADHD当事者 / 元就労移行支援事業所利用者)

・大学時代にADHDの診断を受ける。「働くこと」に漠然とした不安を抱えた結果、就職先が決まらないまま大学を卒業。通院していたクリニックに置いてあったパンフレットから就労移行支援事業所」という福祉サービスを知り、就労移行支援事業所「ディーキャリア」に約8か月通所。

・その後、発達障害当事者の目線を持つスタッフとして、就労移行支援事業所の職業指導員として2年6か月勤務。
現在はその経験を基にブログ作成や当事者座談会の主催、福祉サービスの認知度や正しい理解を広める業務に従事。「精神・発達障害当事者はもちろん、福祉スタッフを支えるスタッフ」としてお仕事継続中。

・趣味はイラスト/デザイン制作。Webブログ運営、楽しい。


目次


ADHD当事者の私が、先延ばし癖で困っていた話

夏休みの宿題は、最後の1週間で本気を出す

まず、ADHD当事者であり当ブログ作成者である私、スタッフMが「先延ばし癖でどう悩んでいた?」というお話から。
私の先延ばし癖は、振り返ってみるとかなり昔からありました。
小学校から高校にかけて、夏休みの宿題や課題は最後の1週間で本気を出すタイプ。
「まだ時間があるし、あとでやればいいや!」
そんな感じで後回しにしていたのですが、高校1年生くらいから、だんだん学校から出された課題が締め切りに間に合わなくなってきました。
「いや、間に合わなくなってきたら早く始めればいいじゃん?」
私もそう思います。思うんですけど、なかなか行動に移せず。

大学生になってからも、生活面ではLINEを既読無視……どころか、未読無視。
仕事では、メールやチャットで「遅くなりすみません🙇‍♀️」という文字は、人より多く打ってきた自信があります。

先延ばしをすることで、他の人の予定を変える必要があったり、謝る必要がある場面に繰り返し直面すると、
「先延ばし癖がある自分、ダメだなぁ……」と、ネガティブな気持ちに囚われてしまうものですね。

つい最近も、電話を2週間先延ばしにしました

つい最近、通院先のクリニックに、受診予約を入れていた時間帯を変更するために電話をかける必要がありました。
ところが、これを約2週間放置。

なんで?電話かけるだけでしょ?と思った方へ。
ここで、先延ばし癖を発揮したスタッフMを観察してみましょう。

スタッフM、まずもともと電話が苦手です。
そして、意を決してスマホを手に取り、最初にクリニックに電話をかけたときは……定休日!
下調べの甘さから、出鼻をくじかれます。
頭の中には「クリニックに電話する」の未完了となったタスクが残り、もやもや。
「今かけようかな。でも今クリニックのお昼休憩だな。後でにしよう」を、繰り返すこと3日間。
重すぎる腰をあげ、ようやく電話をかけてみたら……

ものの1分で通話終了、無事に予約変更完了!
あれこれ考えていた時間は何だったんだ!!心配が徒労に終わった疲労感。

どうでしょう?
実際の作業にかかる時間は短いのに、取りかかるまでにあれこれ考えて、どんどん心理的なハードルが高くなってしまう。
私の場合、これが先延ばしの大きな問題になっています。

あるある!と共感できる方も、「そんなこと考えてるんだ、大変だねぇ」と思っていただける方も。
次のパートで、「ADHDと先延ばし癖って、そもそもどんな関係があるのか?」を見ていきましょう!



ADHDだと、なぜ先延ばしに悩むのか?

先延ばしは、単なる怠けではない

いち当事者の経験を共有するブログではありますが、研究によって明らかになりつつある情報もお伝えしていきます!
ADHDと先延ばしの関係については、こんな調査結果が報告されました。

2026年に発表された、11研究・計2,788人のデータが検討されたレビューにおいては、
ADHDの症状と先延ばしには一貫した関連があり、特に不注意との関連が強く示されました。
また、実行機能の課題だけでなく、感情の調整や動機づけなども関係している可能性が指摘されています。

参考:A systematic review on the association between ADHD and procrastination(2026年)

もちろん、ADHDのある人が全員同じように先延ばしをするわけではありません。
また、この研究から、ADHDが先延ばしの直接的な原因だと断定することもできません。
ただ、先延ばし癖を「努力が足りない」「意志が弱い」といった言葉だけで片づけるのは、少し違うのかもしれませんね。

「時間割引率」という考え方

また、先延ばしを考えるうえで興味深いのが「時間割引率」という考え方です。
簡単にいうと、将来得られる報酬を、今の時点でどれくらい低く評価するかという考え方です。

例えば…
「①10年後に10万円をゲットできる」と「②今日10万円をゲットできる」だと、②を選ぶ方が圧倒的多数だと思います。
ところが、「①10年後に【20万円】をゲットできる」と「②今日10万円をゲットできる」だと、票が割れそうです。

もっと言うと、
「①10年後に【15万円】をゲットできる」だったら?
「①10年後に【12万円】をゲットできる」だったら??
…と金額を低くしていくと、10年後まで待つ・今日ゲットしたくなる、の選択肢がどこかで入れ変わりそうですよね。

我々は、無意識のうちに「将来まで先延ばしにした時に、その行動にどれくらいの価値があるのか?」を図って生きているのが分かります。

時間割引率が高い=「せっかち・今を全力で生きている」、時間割引率が低い=「のんびり・将来まで待てる」とも言い換えられます。
時間割引率という言葉を使うと、「先延ばし癖」がある方は、「時間割引率が高い(将来のGoodより、今のGood!を求める)」傾向があると言えます。

そして、2023年に発表された研究では、大学生58人を対象に、時間割引と先延ばし、ADHD症状の関係が検討されました。
報酬を得る場面では、ADHD症状が高い人ほど、将来の報酬を低く評価する傾向と先延ばしとの関連が強くなる結果が示されています。

参考:Moderating effect of attention deficit hyperactivity disorder tendency on the relationship between delay discounting and procrastination in young adulthood(2023年)

※大学生58人を対象にした研究であり、ADHDの先延ばしがすべて時間割引率で説明できるわけではありません。


私の場合も、目の前の楽しさを優先するだけでなく、
作業への不安や、見通しを立てる難しさといった、平たく言うと「行動がダルくなる要因」が複数あることも大きく影響していると感じています。

就労移行支援に通って、先延ばし癖とどう向き合ったか?

「自分一人だけが悩んでいる訳じゃない」と気づけた

ここまで、先延ばし癖に悩んできたいち当事者の事例と「ADHDと先延ばし癖」に関する調査結果を見てきました。
では、「自分、先延ばし癖があるんだけど、どうしたら良いの?」を一緒に考えていきます。

私の場合は、福祉サービスである就労移行支援事業所に通って就職準備をする過程そのものが、先延ばし癖に向き合う時間となりました。
就労移行支援に通い始めて、まず「安心」したことがあります。
それは、先延ばし癖に悩んでいるのは自分だけではなかったということ。
同じ事業所で、「やりたくないことになかなか手を付けられない」と悩んでいる人を何人も見ました。
当時の私は、先延ばしをする自分はダメだし、変われないこともダメだと思っていました。
だからこそ、同じような悩みを抱えている人がいて、意見を交わすことができる環境があることに安心しました。

もちろん、悩んでいる人が他にもいるからといって、自分の困りごとがなくなるわけではありません。
それでも、自分を責めるだけではなく、「どうしたら改善できるかを考えてみよう!」そう思えるきっかけになったことは間違いないです。

最初の一歩を、とにかく小さくする

就労移行支援では、先延ばし対策を具体的なテクニックとして学びました。
そのひとつが、やることを細かく分けて、最初のステップを小さく設定することです。

例えば、

  • PC作業をしないといけない時に、とりあえずパソコンを開く
  • ↑でPCを開いたついでに、必要な情報をひとつだけ調べる
  • 読みたかったけど3か月放置していた本を、5分だけ読んでみる

こんな感じです。
先延ばしにしがちな作業は、最初のとっかかりのハードルが高くなっている場合があります。
最初から最後まで一気に終わらせようとせず、まずは着手するためのハードルを下げる。
これは、今でも覚えている工夫のひとつです。

現在の仕事で実践している、先延ばし対策

1.締め切りを明確にする+宣言する→「報連相」を頑張ってみる

現在、仕事で一番効果を感じているのは、締め切りを明確に設定することです。
仮に期限が明確に決まっていないことであっても、「いつまでに終わらせるのか」を明確にすると遂行できる可能性が上がったように感じます。
「いつでもやれる」は「いつもやらない」になりがちなんですよね……

そこに加えて、「人にタスクと締め切りを伝える」も行うと効果的という事が分かりました。
上司などチェックしてくれる人がいるなら、チェックしてもらう日をいったん決める。
また、内容のチェックが難しい・不要なタスクについては、「〇日までに、ここまで進めます!」と宣言して取り組む、といった具合です。
就労移行支援事業所を利用している時は、事業所スタッフに「ワークシート、明後日の退所時間までに提出します!」と宣言して取り組んでいました。

ちなみに、ここでやっている「締め切りを明確にする」+「人に伝えて共有する」を仕事場でやれると……
なんと「報連相が出来ている」と言われます!
仕事場での信頼も勝ち取れるとは、何ともお得ですね👍

2.「それでも、締め切り直前に慌てることはある」を受け入れる

ここまで対策を紹介してきましたが、私は今でもスケジュールを見誤ったり着手が遅れたりして、締め切り直前に慌てることがあります。

と思った方。
いち当事者個人として、そして発達障害のある方の支援を約2年半担当した者としては、
「元々あった先延ばし癖が完全に消えました!」というケースは極めてレアで、
たいていの人は多かれ少なかれ「先延ばし癖」と付き合って生きていくことが多いのかな、と感じています。

私も例に漏れず、特に体調が優れなかったり予定が多く入っていたりする時は「面倒だなぁ……明日でいいんじゃないかな…」と考える癖が残っています。
当ブログ冒頭でお伝えした「クリニックへの予約変更電話を先延ばしにした」が最たる例ですね。うーん。

それでも、以前のように「先延ばしをする自分はダメだ」と落ち込み続けるのではなく、
「何が原因だったんだろう?」「次はどうしたら改善できるだろう?」と、冷静に考える回数が増えました
。
「根本的な自分は変えられないけど、その時々の考え方は変えられるのかも?」と思うようになったことは、就労移行支援に通ってみての大きな変化だと感じています。

もちろん、「締め切りを宣言して、ちゃんと守れたときの爽快感」は、隙あらば味わいたいです!


おわりに

困ったときは、一人で悩むともったいない

先延ばし癖を改善するために、「まず自分で工夫する!」は大切です。
ただ、自分ひとりで「原因を探し・対策を考え・実行し続ける」ことは大変でもあります。
私自身、一人だったら「先延ばし癖について深く考えること」自体を先延ばしにしていた可能性が高いと思っています。
誰かに相談することは、単に解決策を教えてもらうことだけではありません。
自分では気づけない課題を見つけたり、行動を続けやすい仕組みを一緒に考えたりする機会にもなります。

そして、先延ばし癖を完全に克服できていなくても、工夫しながら働き続ける道はあります。
それでも、自分の傾向を理解し、締め切りを明確にし、周囲の人の力を借りながらなんとか仕事を続けています。

だから、先延ばしをしてしまう自分を責めすぎないでほしいです。
「自分はダメだ!!」と結論づける前に、「どうしたら行動しやすくなるだろう?」と考えてみる。ひとりで難しいときは、誰かに相談してみる。
その一歩は今は小さく見えるかもしれません、しかし二歩三歩と続けていくことで、働きやすさにつながるかもしれません。

一人で悩みすぎないで!!

先延ばし癖や働きづらさで悩んでいる方へ

ディーキャリアITエキスパート札幌大通オフィスでは、発達障害の特性による働きづらさを整理し、自分に合った対処方法を考えるための支援を行っています。

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当ブログで読んでいただいた通りに、先延ばし癖を「完全になくす」ことだけがゴールではありません。
自分の特性を理解し、行動しやすい仕組みを考え、必要に応じて周囲の支援を活用する。
そうした工夫を重ねながら、自分に合った働き方を目指していけることを願っています。

相談先に迷っている方は、ぜひディーキャリアITエキスパートにご相談ください。
あなたが自分らしく働ける道を、一緒に考えていけたら嬉しいです!

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