発達障害は治る?治らない?〜治療法の 5 つの疑問について解説します〜

発達障害の診断を受けたあとはいったいどのような治療を行うのか、症状は改善したり治ったりするものなのか。当事者の方や、サポートをされているご家族や同じ職場の方々にとっては、気になることではないでしょうか。

日本公衆衛生学会が行った調査 [*} によれば、「”発達障害”を聞いたことがある人」の割合は 91.5% なのに対し「どのような対応や支援を行えば良いか」を具体的に知っている割合は 26.5% だったという結果が報告されています。

* 出典:「発達障害に対する成人の認知および情報源に関する現状」日本公衆衛生雑誌/66 巻 (2019) 8 号

障害について知っておくことは、障害と向き合いながら日々の生活や仕事を行っていくために大切なことです。今回の記事では、診断を受けたあと実際にどのような治療を行うのか、発達障害の治療法に関する 5 つの疑問について解説します。

Q1. 発達障害は「病気」なの?

発達障害は、先天的な脳機能の障害と言われています。

大人になってから発達障害の診断を受けた場合でも、「本人も周囲も発達障害のことを知らず気が付かなかった」「子どものころは親や先生のケアがあって、生きづらさが表面化していなかった」ということがほとんどで、「大人になってから発達障害が(病気のように)発症した」というわけではありません。

発達障害について行政(厚生労働省、文部科学省など)が公開している情報では、発達障害が病気である旨の記載はされていません。

一方で、発達障害の特性による困難さやストレスが原因となって「うつ病」など別の病気が二次障害として起こってしまうケースもあります。「二次障害」については、過去のコラム記事もご参照ください。

【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は

 

Q2. 発達障害は治るもの?どんな治療法があるの?

発達障害は脳や神経系の障害であるため、先天的な脳機能の特性など、障害そのものを治療することは現在の医学では困難です。

ただし、発達障害の特性に対してアプローチする治療方法として ①薬物療法②心理社会的なサポート の二つがあります。これらの治療により、発達障害による生きづらさや困難さを軽減することができます。

Q3. 「薬物療法」とはなに?

注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)には、多動性・衝動性・不注意といった中核症状(障害の基本的な症状)への効果が認められている薬があります。自閉症スペクトラム障害(ASD)や限局性学習障害(SLD)の中核症状への治療薬は現在のところはまだありません

ADHD の薬物療法で使われる薬は、どれも医師の診断のもと処方されますので、自分で薬の種類を選んだり薬局等で一般購入することはできません。また特別な登録を受けた医師・薬剤師でないと処方できない薬もあります。(一部の薬は、過去に不正使用事件があったことを受け、医師・薬剤師に加え、患者も登録を受けないと処方が受けられないものもあります。)

薬物療法は症状を根本から治すものではなく、一時的にやわらげるものであり、心理社会的なサポート(Q4. で解説)と併用していく必要があります。

なお「障害の特性による困難さ」によるストレスを和らげるために、心を落ち着けるための薬や、睡眠を補助するための薬などが処方される場合もあります。

Q4. 「心理社会的なサポート」とはなに?

「心理社会的なサポート」とは、気持ちなどの精神面や生活・仕事などの環境に関するサポートのことです。

Q3. で解説したとおり、発達障害そのものを治療することは困難です。そのため、自分の気持ちを楽にする・行動をコントロールするための方法を学んだり、困難さを軽減するために環境を調整したりすることが必要不可欠です。

まずは自分の障害について知る

発達障害は「見えにくく、分かりにくい障害」と言われており、同じ診断名がついていたとしても、その特性は一人ひとり異なります。そのため「自分の障害特性」を理解しないと、

  • ・特性による苦手への対策ができず同じ失敗を繰り返してしまう
  • ・職場で上司や同僚に理解をしてもらうことができず適切な配慮を受けることができない

…ということになってしまいます。まずは自分で自分の障害について知ることが第一歩です。

障害特性へのセルフケアを習得する

周囲に適切なサポートを求めるのと併せて、自分自身でセルフケアすることも大切です。例えば、「対人関係がうまくいかない」という場合はコミュニケーションの方法を学ぶ、「生活リズムが乱れがちで体調が安定しない」という場合は体調管理の方法を学ぶといったように、セルフケアの方法を習得することで特性による困難さを軽減することに繋がります。

またセルフケアを習得することは、次に解説する合理的配慮を受けるためにも必要です。

周囲から合理的配慮をもらって環境を調整する

合理的配慮とは障害によっておきる困難さを取り除いたり、周りの環境を整える支援などの提供を企業等の側に求めるものです。障害のあるなしに関わらず誰もが平等に生きることができる社会を実現するために、「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」などの法律で「合理的配慮」を提供することが定められています。

「障害者が企業に対して配慮を求めることができる」とは言っても、どのような要求でも通るわけではありません。名前に「合理的」と付いているように、提供する側にとっても負担が重すぎない範囲の配慮である必要があります。

合理的配慮がどの程度まで提供されるのかは、話し合いによって決められます。障害者の側もセルフケアをしたうえで、それでも対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能なものかどうかが、合理的配慮の範囲を決めるポイントになります。

過去のコラム記事では、自分の障害を受容することやセルフケア、合理的配慮について解説や事例を紹介していますので、併せてご参照ください。

 

Q5. 心理社会的なサポートはどうやったら受けられるの?

先ほどもご紹介したように、発達障害の特性による苦手や困りごとは十人十色ですので、まずは自分の障害のことを正しく理解することが重要です。

しかし客観的に自分を見ることは障害の有無にかかわらず難しいものですし、障害に対する深い知識も必要です。自分一人で悩むよりも専門家の手を借りた方が良いでしょう。

そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。

就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業)

就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。

「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。

ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。

お電話(0120-802-146)はこちら▶

お問い合わせフォームはこちら▶

また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。

全国オフィス一覧はこちら▶

就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

執筆者

藤森ユウワ(ライター・編集)

ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。

これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。

子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。

36 歳で ADHD・ASD と診断される。

診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。

誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。

さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。

自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。

記事監修北川 庄治(デコボコベース株式会社 最高品質責任者)
  • 一般社団法人ファボラボ 代表理事
  • 特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会 評議員
  • 公認心理師
  • NESTA認定キッズコーディネーショントレーナー
  • 発達障害ラーニングサポーター エキスパート
  • 中学校教諭 専修免許状(社会科)
  • 高等学校教諭 専修免許状(地理歴史科)
東京大学大学院教育学研究科 博士課程単位取得満期退学。
通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導講師を経て現職。