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障害者雇用と一般雇用どちらがいい?|2025年版|リアルな情報を発信

障害者雇用と一般雇用、どちらを選ぶべき?メリット・デメリットを徹底解説。筆者の実体験も交え、あなたに合った働き方を見つけるヒントをお届け。

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「障害者雇用って、配慮があるのはありがたいけど、給与面やキャリア的にはどうなんだろう…」「一般雇用で働いてるけど、実はしんどい。でも今さら障害をオープンにするのも怖いし…」 そんな悩みを抱えていませんか。 働き方には正解があるわけではなく、それぞれにメリットとデメリットがあります。大切なのは、「自分に合った働き方とは何か」を、自分自身で少しずつ見つけていくこと。 この記事では、障害者雇用と一般雇用、両方の求人枠で働いた経験のある筆者が、それぞれの違いやよくある質問を整理しながら、働く上での選択肢を広げるための視点をお届けします。あなたがこれからの職場で、無理なく、安心して働き続けていくためのヒントになれば幸いです。 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 [toc] 障害者雇用と一般雇用とは? 就職活動を始めるうえで、まず知っておきたいのが「障害者雇用」と「一般雇用」の違いです。ここでは、「オープン・クローズ」という考え方や、それぞれの雇用形態の特徴について解説します。 オープン就労とクローズ就労の違い 障害者雇用と一般雇用の違いを知るうえで、最初に押さえておきたいのが「オープン就労」と「クローズ就労」という考え方です。 オープン就労とは、障害があることを就職先に開示して働くこと。 クローズ就労とは、障害があることを就職先に伝えずに働くこと。 ※それぞれ「就労」をつけずに「オープン・クローズ」と呼ばれることも多いです。以降は「オープン・クローズ」と表記します。 「オープン=障害者雇用(障害者求人枠)」と思われがちですが、実際には一般求人枠であっても障害を開示して働くこともオープンに含まれます。つまり、オープンかクローズかは「雇用の枠」ではなく「開示の有無」によって区別されます。 筆者は、3社経験していますが、1社目は「オープンで障害者雇用」、2社目は「クローズで一般雇用」、3社目は「オープンで障害者雇用」から「オープンで一般雇用」に切り替わりました。 障害者雇用(障害者求人枠)とは? 日本では、障害のある人が働く機会を確保するために、企業に対して一定の割合で障害者を雇用する義務(法定雇用率)が定められています。2025年現在の民間企業の法定雇用率は2.5%、2026年7月には2.7%に引き上げ予定となっています。また、法定雇用率が適用される会社や法人の対象も拡大傾向にあり、2025年現在は従業員数40人以上、2026年7月からは37.5人以上となる予定です。 このルールに基づいて設けられているのが、障害者求人枠です。 障害者雇用で働くには、障害者手帳の取得が必須です。発達障害などで医師の診断があっても、手帳がなければこの枠に応募することはできないということです。 障害者雇用は、障害の特性や必要な配慮を事前に伝えたうえで働くことが前提となっており、職場から配慮を得られやすいのが大きな特徴です。 たとえば、勤務時間や業務内容の調整、通院配慮、職場内でのコミュニケーション支援など、状況に応じた「合理的配慮」を受けやすくなります。 一方で、障害やその特性によって業務内容や働き方に制限がある場合には、給与水準や昇進スピードが限定的になるケースもあります。また、業務内容が単純作業に偏るケースがあり、キャリアアップよりも「安定」や「安心」を重視する働き方が中心となる傾向もあります。 ただし最近では、障害の有無ではなくスキルと成果でフラットに評価される環境も広がっています。 筆者がはじめて就職した会社は、まさに「フラット」なIT企業でした。当時、障害者求人枠での求人票の中で、比較的給料が高く、面接でも「仕事を頑張れば役職だったり給料も高くなっていきますか?」と質問して「そうですよ」と答えてもらったことを覚えています。 さらに、障害者雇用ならではの働き方として、特有の仕組みが用意されていることもあります。 たとえば「特例子会社制度」は、障害のある方が安心して働けるよう、配慮された環境を備えた子会社を企業が設立し、その子会社での雇用を親会社の雇用率に算入できる仕組みです。障害特性への理解がある職場づくりが進んでいるケースも多く、はじめての就労先として選ばれることもあります。 また、「トライアル雇用制度」は、働くことに不安がある方に向けた“お試し雇用”の制度で、一定期間(通常3か月)働いてみたうえで、双方が合意すれば本採用に進む仕組みです。障害者専用の制度もあり、無理のない形で職場に慣れていけるステップとして活用されています。 一般雇用(一般求人枠)とは? 一般雇用とは、障害の有無にかかわらず、誰でも応募できる求人枠のことです。障害者手帳の有無は問われませんし、障害の開示も必須ではありません。 開示するかどうかは、本人の判断に委ねられています。ただし、開示しない(クローズ)場合は、そもそも障害があることを企業に伝えていないため、障害による困りごとがあったとしても配慮を求めることができません。 開示をする(オープン)場合は、障害の診断があり障害による業務への支障がみとめられたときに、必要な配慮を申し出ることができます。ただし、「合理的」であることが前提であるため、就業先にとって過重な負担と判断された場合は配慮を受けられないこともあります。 また、一般雇用では、他の社員と同様の成果や働き方を求められることが多くなります。 そのため、特性への自己理解や対処法を身につけていて、配慮がなくても働ける環境や仕事を選べる人には向いているといえます。 筆者は2社目で一般雇用・クローズで働きました。係長級の役職も付けていただいて入社し、それなりの水準の給料でした。そういったメリットがある反面、「その分しっかり働かないといけない」と考えて、自分にプレッシャーをかけてしまい、長くは続きませんでした。 障害者雇用・一般雇用のメリットとデメリット 「障害者雇用と一般雇用、どちらがいいのか?」と考えるとき、単純に比較できるものではありません。ここでは、自分に合った働き方を見極める手がかりとして、それぞれのメリット・デメリットを整理してみます。 この記事では、一般的に言われているそれぞれの雇用枠での働き方に沿って情報をお伝えします。実際には、企業によって募集要項や人事制度、受けられる配慮の程度はさまざまですので、参考としてお読みください。 障害者雇用で働くメリット・デメリット 障害者雇用のメリット ▷ 応募・選考のしやすさ 未経験OKの求人が多く、スキルや職歴が問われにくい傾向がある 競争倍率が比較的低めで、就職のハードルが下がる場合がある 書類選考や面接に加えて「職場実習」を設ける企業も多く、事前に職場との相性を確かめられる ▷ 障害への配慮を受けやすい 合理的配慮(業務調整、通院配慮、コミュニケーション支援など)を求めやすい 勤務時間や業務内容を、特性に応じて柔軟に調整してもらえる 周囲が障害を理解してくれている安心感がある ▷ 心身の安定につながりやすい 「障害を隠さなければいけない」という不安がない 体調の波や特性について、職場に相談できる環境がある ▷ 職場定着支援が受けられる 就労移行支援や定着支援事業を通じて、職場との間にサポーターが入ることができる 支援機関との面談は企業に知られずにおこなえるケースも多い(精神的安全の確保) 筆者は、障害者雇用で働き始めましたが、そのときは新卒の年齢から数年近く経っており、同年代の友人はすでにスキルや経験を積んで社会で活躍していました。そんな友人に引け目を感じていた筆者にとって、スキルや職歴が問われにくい障害者雇用は、「心機一転でスタートできる」という意味合いからも、スムーズに社会に出られた実感がありました。 また、最初に入った会社では、一緒に働いていた先輩社員が、事前に「精神障害のある人と働くためには」といった本を読んでくれていて、合理的配慮としてだけではなく、筆者個人の性格や得手不得手をよく観察して受け入れてくれて、とても働きやすい環境を作ってくれました。 障害者雇用で働くデメリット ▷ 求人の幅が狭い 一般雇用に比べ、選べる業種・職種に偏りがあることが多い。 実際の求人では、6割以上が事務職、2割が軽作業(ディーキャリア調べ)となっており、専門性のある職が少ない ▷ 待遇やキャリアパスに制限がある場合も 初期雇用が契約社員やパートスタートになることが多く、給与水準も低め 昇進やジョブローテーションなどの機会が少なく、「成長機会」を得にくい職場もある 一部企業では「障害者雇用枠と一般枠で評価制度が分かれている」ケースもある 筆者自身は、障害者雇用で入社した会社で、待遇やキャリアに関する大きな不満を感じたことはありませんでした。しかし、就職活動中に参加した合同面接会では、参加している企業の求人票を見る限り、「スキルを磨いて専門性を高めていくのは難しそうだ」という印象を強く受けました。 たとえば、事務職の求人に対しても「成長やキャリアアップの道筋が見えにくい」と感じることが多く、自分が目指していた働き方とはギャップがありました。そのとき、「障害者になった途端、自分のやりたい仕事への道が閉ざされてしまうのか」と、強い不安と悲しさを感じたのをよく覚えています。 一般雇用で働くメリット・デメリット 一般雇用のメリット ▷ 幅広い求人の中から選べる 求人数が多く、業界・職種・地域等の採用条件の選択肢が豊富 スキルや実務経験がある場合、より専門的な仕事に就けるチャンスが広がる ▷ キャリアアップの道が開ける 障害者雇用よりも、昇格・昇給・異動・新規プロジェクトへの参加など、キャリアパスの選択肢が多い 裁量のある仕事や責任あるポジションを任されやすく、やりがいを感じやすい オープンであれクローズであれ、会社の許す限り「やりたい」といったことをやれる自由は、非常に魅力的でした。こうした自由度の高い環境のなかで、筆者は3社目の途中から副業を開始しました。 発達障害のある方々に、自分が発達障害傾向をカバーして働けるようになったことを講演会や執筆活動を通してお伝えするという副業がわずかながら収益化できたことで、その収益を会社が受け取ることと引き換えに、会社の業務の一環として行うことを提案し、毎週金曜日会社外で働くことができるようになりました。それが現在筆者がフリーランスとして働いている活動の礎になりました。 一般雇用のデメリット ▷ 応募・選考の難易度が高い 実習のない企業が多く、実際に働いてみないと相性が分かりづらい スキルや職歴、適応力などが厳しく見られる場合がある ▷ 障害への配慮が得られにくい クローズの場合、合理的配慮を求めることが難しい オープンの場合も、企業側の理解や制度が整っていないと、通院・服薬・特性への配慮をしてもらえないことも 定着支援など障害福祉サービスからの支援が受けられず、トラブルが起きた際も基本は「自己解決」 ▷ 精神的な不安・疲労感が蓄積しやすい 「いつか障害がバレるのでは?」という不安を抱えながら働くことになる 長時間労働や急な残業が発生しやすく、生活リズムが崩れることも 一般雇用では、良い意味でも悪い意味でも障害者雇用より自由です。筆者自身、一般雇用で働いた際には、苦手な作業への対応に苦慮した経験があります。筆者のADHDの不注意傾向のせいか、仕事を自分一人でミスなくこなすことが非常に難しかったです。 クローズで働いていると、そういったことを苦手だというのは当然ながら理解されづらいですし、自分から言うことも難しいです。そのため、苦手なことも自分だけで克服しようと頑張りすぎて、深夜や早朝まで残業したり、それでもうっかりミスなどがあって注意を受けたりすることで、不安や疲労が蓄積したのは実際あったなと感じています。 このように、障害者雇用にも、一般雇用にも、それぞれにメリットとデメリットがあります。 大事なのは、「どちらが自分に合っているか」を、働きやすさ・安心感・将来像の観点から冷静に見極めることです。 最近では、障害の有無にかかわらず、スキルや成果で評価する企業も増えています。「障害者雇用=安定」「一般雇用=挑戦」といった枠にとらわれず、自分にとって何を大切にしたいのかという視点で選ぶことが、納得のいく働き方につながります。 筆者自身も、発達障害の特性である「興味の偏り」が強く、関心の持てない仕事にはどうしても集中できませんでした。興味のある分野である程度の収益が見込めるようになったことをきっかけに、「このままでは会社に迷惑をかけてしまう」と判断して退職。現在はフリーランスとして働いています。結果として、自分が何を大切にしたいかという軸で選んだ道だったと感じています。
発達障害がある方の話し方の特徴|よくある困りごと&対策

発達障害(ADHD/ASD)がある方の話し方の特徴、特性との関係性について解説 。発達障害当事者の実体験をもとにした対処法を紹介します。

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  • #就労移行支援事業所
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「つい話しすぎてしまって、後で一人反省会をする」「不用意な発言をしまって、相手を傷つけた」 そんな悩みを抱えていませんか。 発達障害であるADHDやASDがある人は、特性によって独特な話し方をすることがあるとされています。たとえば、話が一方的になったり、冗談が通じなかったり、思いつくままに話してしまったり。こういった話し方は、ときに相手に誤解や不快感を与えてしまうこともあります。 そのため、コミュニケーションにおける失敗経験があり、人と話すことに苦手意識を持っている方は少なくありません。 この記事では、ADHDやASDがある人の話し方の特徴と、そこに隠れている特性、そして発達障害(ADHD強め、ASDも若干あり)の筆者の経験から得た具体的な対処法をご紹介します。対処法を知ることで、今の職場や、これからの職場での就労をよりスムーズに続けていくためのヒントになれば幸いです。 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 [toc] ADHD、ASDの特性 今回の記事では、発達障害の中でもADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)に関する情報をお伝えします。どちらの障害も、その特性によってコミュニケーションのスタイルに独特な傾向をもたらすことがあります。 まずは、それぞれの代表的な特性について簡単に説明していきます。特性は一人ひとり異なるため、参考としてお読みください。 ADHDの特性 会話をする際に影響を大きく与えると考えられるADHDの主な特性は以下の3つです。 衝動性の高さ思いついたことをすぐに口に出したり、行動に移したりしてしまう 注意力の欠如相手の話を聞き続けることが難しかったり、集中が途切れて気がそれたりする 脳内多動(注意の転導)頭の中に次々とアイデアや思考が浮かび、話が飛びやすくなる ASDの特性 会話をする際に影響を大きく与えると考えられるASDの主な特性は以下の4つです。 こだわりの強さ特定のテーマについて非常に深くこだわり、話題が広がりにくくなる 興味の偏り自分の興味のある話題には夢中になるが、興味のない話題には関心を持ちにくい 他者視点の低さ相手の気持ちや考えを想像することが難しく、自分本位な話し方になることがある 想像力の低さ比喩やたとえ話を文字通りに受け取り、ニュアンスや空気感を読み取りにくい これらの特性が、日常の会話の中でどのように表れるのか、発達障害当事者である筆者の実際の体験をもとにした具体例をもとに見ていきましょう。 ADHDの話し方の代表例とその対処法 話しだすと止まらない、マシンガントーク 筆者はクラシック音楽が大好きなのですが、誰でも興味が湧くようなジャンルではありません。そうだと理解しているものの、「それってなんですか?」などと質問されると、つい嬉しくなって「ベートーベンは交響曲を9つ書いていて、1番は......」と、順々に曲目解説を始めてしまったことがあります。相手が時計を気にしていたりしてもお構いなしで、気が付いたら2,30分経っていたこともあります。 対処法 「ベートーベンは交響曲を9曲書いているんだけど、最後の9番がね......」と、伝えたい内容を絞り込み、話しすぎないように気を付けるようにしています。相手から「他の曲は?」と聞かれたら、またもう1曲、という具合に、「聞かれれば答える」ということに気を付けています。 話にまとまりがない、話が噛み合わない、会話が飛びやすい 先週末に観たYouTubeの話をしていたのに、ふとその後に観たテレビ番組のことを思い出し、さらにそのテレビ番組の出演者のやっていたラジオの話を脈絡なく話し出してしまい、「で、何の話だっけ?」と相手に言われてしまったことが筆者にはありました。 対処法 話を始める前に「まず何について話すか」を心の中で整理してから話すように気を付けています。YouTubeの話をしていたら、いったんそれで話し終えて、相手の反応を見ます。相手が別の話題を出して来たらそれに乗っかります。相手が別の話題を出してこなくても、「そういえば、YouTubeの後に観たテレビがまた面白くてさ......」と、橋渡しになる言葉を挟んでから次の話題に行くようにしています。 早口になる 自分が好きなお笑い芸人の話になり、その魅力を分かってもらいたくて熱を込めて話をしていたら、「もっとゆっくり話して」と言われてしまったことがありました。そこで初めて、自分が早口だったことに気づきました。 対処法 伝えたい内容が頭の中に膨大な量思い浮かぶと、それをできるだけ早く伝えたいと思って早口になりやすくなります。そんなときは、「ゆっくり」を5割増しで意識して話してみるようにしています。また、語尾を丁寧に言うことも効果的です。 話に集中できない(聞き続けられない) オンラインミーティングで相手が一生懸命にしゃべっているのに、相手の部屋の壁に貼ってあるポスターが気になって、「あれはもしかしたら自分が好きな画家の絵のレプリカじゃないか。そういえば、その画家の展覧会が近々あったな......」などと余計なことを考えていて気づいたら話が終わっていた、ということがありました。 対処法 覚えておく必要がなくても、キーワードをメモしながら話を聞くと、集中しやすくなります。手を動かして話の内容を書いていると、他に思考が飛びにくくなるのか、比較的相手の話が頭に入りやすくなる印象があります。 早とちりして話の内容を解釈する ある原稿を執筆する仕事について、その仕事を依頼してきた人と電話をしていて、「ということで、明日までには原稿を......」と聞き、「え、明日までには書くのはちょっと難しいんですけど」と即答しました。すると、「いえ、明日までには原稿を仕上げるのは難しいと思うので、締切を1週間延ばそうかと思っていまして......」と話を続けられ、気まずい思いをしました。 対処法 「最後まで聞いてから意見を言う」をできるだけやるようにしています。それでも反射的に口から言葉が出てきてしまうことがありますが、それに気が付いた時点ですぐに止めて、「うん、いや、続けて」と相手の話を聞くようにしています。 思いついたまま話をする 独身の友人から、「今やっているドラマでお勧めはある?」と聞かれ、家事や育児がテーマの人気ドラマの話をしてしまい、「そんなに人気なら私も観てみようかな。それって私も共感できそう?」と言われて、言葉に困ったことがありました。 対処法 まず「今この話題を言うべき?」と心の中でワンクッション置いてから話そうと心がけています。それでも気を抜いたら言ってしまいますが、気を付けるに越したことはありません。 相手の話に割り込む(会話泥棒)、話を被せる 相手が話し始めた瞬間、「それ私も!」と話をかぶせてしまうことがあります。最近出版された話題の本が面白いと相手が話し出したときに、「それね!でも、それって私が表紙を見た感じは、最初は確かにすごいインパクトがあったんだけど、私はあまり面白いと思えなくて......」と、話の主導権を奪って、なおかつ相手の主張の逆方向に話を持っていってしまったことがありました。 対処法 いったん相手が話を一段落させてから、相手との共通点をまずは探して話し出すようにしています。相手と自分の意見が違う場合は、いきなり話し出さずに、いったん「そうだよね」と相手の意見を尊重するクッション言葉を入れてから、「一方で、こんな考えもあるかなと思って......」と、自分の話をするようにしています。 ASDの話し方の代表例とその対処法 一方的に話しを続ける 子供の保育園の謝恩会で、思い出の写真を音楽と共に紹介するムービーを作った際、そのムービーを作ったときにどれだけ大変だったか、写真を出すタイミングと音楽との調整にどれだけ試行錯誤をしたかなどを熱く語りすぎて、気が付いたら相手が反応に困っていたことがありました。 対処法 途中でいったん話を区切って、相手の反応を見るタイミングを作ろうと心がけています。そのため、一気に話を続けるのではなく、まるでYouTubeのチャプター分けのように、「まずは写真を選ぶときに気を付けたことを話そう」「次にどんな音楽を付けようか迷ったときのことを少し話そう」などと、ちょっとずつ分けて考えて話すようにしています。 冗談が通じない 同じく発達障害のある人に、合理的配慮を考えたいと言われたときの話です。「まずは会社にやって欲しいことを10個挙げてみようか」と伝えたら、「まずは、こちらから言わなくても察して欲しい、とか配慮して欲しいかな(笑)」と言われて、「いや、それ言ったら始まらないでしょう」と答えてしまい、「冗談だよ!」と言われたことがありました。 対処法 相手の言葉だけでなく、相手の表情、口調やイントネーションもよく観察して反応するようにしたいと思っています。 相手や場面に応じた話し方や内容の調整ができない プライベートの飲み会で、友人が家庭の愚痴を言ってきたときに、「洗濯が大変?なら、やってもらえるように交渉しようよ」とか「掃除が面倒くさいなら、もしかしたら掃除機を変えたらやりやすくなって、できるようになるかもね」と、求められてもいないアドバイスをしてしまったことがありました。 対処法 ただたんに会話をしたいだけの場なのか、真剣に解決策を求められている場なのかなど、どのようなことが求められている場なのかを自分なりに決めてからその場に臨むようにしています。 興味のない会話に一切入らない 同僚とランチに行ったときに、みんなが昨日のプロ野球の話をしていて、正直興味ないと思って静観していたら、「小鳥遊くん、目が死んでる(笑)」と言われてしまいました。 対処法 興味が無いのはしょうがないので、せめて「話している人に目を合わせて相づちを打つ」ことだけはしようと考えています。 筆者の発達障害の傾向から、ADHD多め、ASD少なめですが、経験にもとづいた「生きた」対策をぜひ参考にしていただければと思います。 なお、上記も含めた、発達障害によくある話し方の特徴について、分かりやすく解説した動画もご紹介します。 ▶ 発達障害の話し方5選(あるある形式でわかりやすく紹介) https://www.tiktok.com/@decobocobase/video/7333158353604037895?is_from_webapp=1&sender_device=pc&web_id=7476382824065697288 ▶ 発達障害の話し方の特徴(よくあるすれ違い事例を解説) https://www.tiktok.com/@decobocobase/video/7407774275383463176?is_from_webapp=1&sender_device=pc&web_id=7476382824065697288 ▶ 発達障害の話し方(具体的な会話例から解説) https://www.tiktok.com/@decobocobase/video/7457141775568833813?is_from_webapp=1&sender_device=pc&web_id=7476382824065697288 ディーキャリアのコミュニケーションプログラム ディーキャリアでは、発達障害の特性に応じたコミュニケーションプログラムを用意しています。代表的なプログラム2つを紹介いたします。 「傾聴スキル」プログラム 相手の話をうなずきながら聞く 共感を示しながら聞く こまめに質問をいれる などのコミュニケーションの技術を身につけることで、相手の話を「しっかり聞いている」という印象を与えることができ、一方的に話すことを防ぐことができるようになります。 「アサーティブコミュニケーション」プログラム 自分の意見を言う際に、攻撃的になったり逆に消極的になりすぎないように適切な主張の仕方を学ぶ訓練です。 自分の意見だけ伝えるだけではなく、相手の意見を聞き、双方を尊重しながらコミュニケーションをとっていきます。 代表例2つをあげましたが、これ以外にも日々の訓練の中で「人前で話すこと・プレゼン」や「意見交換・ディスカッション」、休み時間中の「雑談」などの場でコミュニケーションスキルを高める機会を設けています。 今回ご紹介をした「話し方」に当てはまる方・コミュニケーションに苦手意識のある方は、ぜひ一度ディーキャリアのプログラム体験会にご参加ください。 特性に合った、自分らしい働き方を見つけるために これまで、ADHDやASDの人がしやすい話し方とその対処法についてお伝えしてきました。その前提となるのは「自己理解」であると筆者は身にしみて感じています。場に合った・相手に合った話し方をしているかを客観的な視点から知る機会が得られると、調整することができるでしょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっており、発達障害のある方が、自己理解を深められる実践的なプログラムを提供し、また規則正しい生活が送れるトレーニングをおこなっています。 発達障害のある方の特性を理解したうえで、個別に最適なトレーニングを提供することが特徴です。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
発達障害×夜型生活 | 「リベンジ夜更かし」の原因と対策

やめたくてもやめられない「リベンジ夜更かし」は、発達障害の特性が関係してる?当事者の経験に基づき、原因と対処法を分かりやすく解説します。

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  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
「翌日も仕事なのに、夜中のゲームがやめられない」「疲れて眠いのに、ただひたすらSNSをスクロールし続けてしまう」「昼間だらだらしたから、まだ寝たくないと考えてしまう」 睡眠よりも「楽しい時間」を優先してしまい、結果的に睡眠不足が続いてしまう…そんな悩みを抱えていませんか。 日中の活動がうまくいかず、漠然と満たされない思いを抱えてしまう。それを埋めるかのように、ゲームや映画などの趣味・娯楽に没頭して気が付いたら朝方になっている。昼間に何もできず、今日という一日を有意義に過ごすために「何かしなければいけない」と思い、夜になっても寝てしまってはいけないと感じる。しかし、その「何か」が出てこず、ひたすらお菓子を食べたり、動画コンテンツやSNSなどを見たりして過ごしてしまう。 このように就寝時間の先延ばしをすることを「リベンジ夜更かし」と言い、発達障害の特性がある人は特になりやすいとされています。 この記事は「リベンジ夜更かし」が常習化していた発達障害当事者が、自身の経験を交えながら、リベンジ夜更かしとは何か・なぜ発達障害のある人が陥りやすいのか、その原因や対策について紹介しています。 夜更かししてしまうのは、意思が弱いからではなく、発達障害の特性が影響しているケースがあります。つい夜更かしをしてしまう理由やその対処法を理解し、自分に合った対策などを見つけることで、現在または将来の職場での就労をスムーズに継続できる一助になればと願っております。 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 [toc] リベンジ夜更かしとは リベンジ夜更かしとは、「報復性夜更かし」とも言われ、日中に充実感や満足がないため、睡眠を削ってでもなんとかして満足感を得ようとする行為のことをいいます。 筆者は、以前会社員をしているときに、このリベンジ夜更かしを常習していました。残業続きでほぼ毎日終電で帰っており、「帰ってそのまま寝たら、毎日何のために生きているのか分からなくなる!」という感覚がありました。 そのため、自宅最寄り駅の隣にあるコンビニに寄っては、ジャンキーでカロリーの高そうなコンビニ弁当を選んでは帰宅して、弁当を食べつつ特に見たいわけではない深夜のバラエティ番組をボーッと眺め、寝るまでの時間を引き延ばしている自分がいました。そのせいか、体重はうなぎのぼりになってしまいました。 その時の自分は、朝から晩まで仕事に追われ、「充実した余暇」を過ごせず、満たされない思いがありました。その満たされない部分を埋めるために、「カロリーの高いコンビニ弁当」「深夜のバラエティ番組」で夜更かしをしていたと言えます。本当は早く寝たほうがいいと分かっていても、どうしても「自分の時間が欲しい」という気持ちが勝ってしまうのです。 発達障害のある人がリベンジ夜更かししがちな原因 「リベンジ夜更かし」がやめられない原因に発達障害が関係していることがあります。実際に昼夜逆転生活や睡眠不足に悩んでいる発達障害当事者の方は少なくありません。 同じ発達障害でもADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの障害種別、さらに一人ひとり特性が異なるため、原因はそれぞれです。今回は代表的なものを4つ紹介します。 ①ストレスを感じやすい 発達障害のある方は、特性による困難によってストレスを抱えやすかったり、生物学的にストレス耐性が弱かったりすることがあります。詳しくは、以下の参考記事もご覧ください。 さらに、リベンジ夜更かしが癖になっている人は、日中にストレスを受けるなどして「マイナス」なことがあった結果、自分にとって「プラス」になるような体験をしなければと考える傾向にあります。日中に仕事でミスをして「マイナス」、それを埋め合わせるように帰宅してから夜中にゲームや動画視聴をし過ぎてしまう、といったことが典型です。この「マイナス」が大きければ大きいほど、その反動としての「プラス」を大きくしなければなりません。 日中にミスをしたとして、それが「まぁ、しょうがないか」とある程度流せるようであれば、夜中に埋め合わせのゲームや動画は少なくて済みます。しかし、私たち発達障害者は、感情の抑制に課題を抱えていることが多く、「マイナス」をより大きく感じてしまうことがあります。そうなると、より強く大きなリベンジをしないと釣り合いません。感情の抑制がうまくいかずストレスを感じやすい私たちは、リベンジが大きくなってしまいがちなのです。 ②行動の切り替えが苦手 また、発達障害のある人は、行動の切り替えが苦手な傾向もあるとされています。いったん始めたゲームや動画視聴などを止められず、長時間になってしまいがちなのです。筆者もこの傾向にあると実感しています。 筆者の頭の中では何が起こっているのかというと、「せっかく楽しいゲームをしているんだから、ゲームを止めて(ゲームより楽しくはない)他のことをするなんて嫌だ」という気持ちです。切り替えが上手い人は、この「ゲームを止めるのは嫌だ」という感情を抑えて、翌日のために寝るという行動に素早く切り替えることができます。ここでも、感情の抑制が難しいという傾向が関わっています。 また、筆者が特に顕著に感じている、もう一つの傾向があります。それは、「自分の興味のあることには極端に集中してしまう」というものです。興味のある対象にはすぐ動けるのに、興味が薄いものにはやる気がまったく湧きません。ゲームをしている最中はゲームにしか興味がなくなり、「寝なければいけない」と分かりつつも、ゲームから離れられなくなってしまうのです。 ③優先順位が付けられない 知り合いの発達障害のある人の話で、やはり夜中にネットゲームをして睡眠が十分にとれないという悩みがありました。その人が言うには、「一緒にチームを組んでやっている仲間が、どうしても夜中にしか時間が取れない」という理由で、深夜にゲームをせざるを得ないとのことでした。 冷静になって考えれば、「そうではない人とチームを組まないと、いずれ睡眠が不規則になって健康を損なってしまう」ということは分かりそうなものです。しかし、「自分にとって何を優先すべきか」という判断が正しくできない、「あれもやりたい」「これもしたい」となってしまった結果、毎日のように深夜にネットゲームをしてしまっていました。 ④睡眠障害になりやすい 一般に、発達障害のある人は、睡眠と覚醒を調節する中枢神経系の機能不全を抱えていることが多いとされています。具体的には、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が遅れるなど、体内時計が後ろにずれやすいのです。その影響で、夜中に覚醒、つまり目が覚めてしまって睡眠にうまく入れないことが多く、ベッドに入っても寝られずに朝を迎えてしまった、という人も少なからずいます。どうせ寝られないなら、好きなことやって夜更かししてしまおう、と考えるのも無理はないのではないでしょうか。 以上が、発達障害のある人がリベンジ夜更かしをしてしまいがちな理由の代表的なものです。 リベンジ夜更かしの悪影響 リベンジ夜更かしによって引き起こされる悪影響のうち、代表的なものを3つ挙げます。 ①日中の眠気、集中力の欠如 夜更かしをすれば、十分な睡眠が取れなくなったり、生活サイクルが不規則になったりします。その結果、日中に強い眠気を感じて集中するのが難しくなります。日中の活動中に注意力が散漫になると、仕事でミスなどをしがちになります。 発達障害のADHDがある筆者には、不注意傾向がありました。それに加えて夜更かしが常態化してしまい、ただでさえ不注意によるミスなどをしがちな上に、頭がボーッとしてしまっていました。その影響もあってか、仕事の負荷が強まると、それに耐えきれず休職を余儀なくされました。 さらに、筆者は元来の不注意特性から日中の活動に充実感が得られず、リベンジ夜更かしをしてしまいがちな状況でした。そして、夜更かしをした結果、はっきりしない頭で翌日業務をおこない、さらに満足のいかない日中を過ごし、さらにリベンジ夜更かしをしたくなる、という悪循環に陥っていたのです。 ②気分の落ち込みやイライラ リベンジ夜更かしをすると、十分な睡眠が取れず、次第に心身ともに健康を害していきます。「体」だけでなく「心」の方も気分が落ち込んだり、イライラしたりと影響が出るのです。そうなると、取るに足らないことで大きな精神的ダメージを受けてしまうようになります。 寝不足によるいらつきで、ネガティブな心理状況に陥りやすくなるだけでなく、十分に考えずに早まった決断をしてしまうことにもつながりかねません。 筆者は、休職直前のあるとき、株主からの電話を受けていました。株主がなかなか電話を切らせてくれず、長時間の電話対応となったのですが、目の前にいた同僚の社員から「早く電話を切り上げて!」といったジェスチャーをされました。 電話が終わった瞬間、「もっと早く簡単に電話終わらせられないの?他にもやることあるんだから」と言われ、「自分だって好きで電話を長引かせているわけじゃない」といつもより強い憤りを感じました。このことは、「もう、自分は働き続けられないな」と休職を決断する原因の1つになりました。 ③不安障害 不安障害とは、不安や恐怖を過剰に感じて、日常生活に支障をきたす精神疾患のことです。睡眠不足は、ストレスホルモンの分泌を増加させるため、不安障害やうつなどの精神疾患の原因になることがあります。 筆者は、自身の発達障害(ADHD)の影響と、毎日終電帰りでリベンジ夜更かしをしていた影響、それと会社の業績が伸びずにリストラが増え自分の業務負荷が増大したという背景もあり、次第に会社に行くのが怖くなってしまいました。 別に、理由があるわけではなく、なんとなく「自分は必ず仕事で失敗して叱責を受ける」という確信にも似た気持ちで毎日通勤するようになったのです。 少しでも日常業務でイレギュラーな出来事があると、それを筆者は「事件」と大げさに認識して焦ってしまっていました。たとえば、名刺作成業務で、役員から「至急で対応して欲しい」と言われようものなら、それは立派な「事件」だったのです。 「いつもなら翌々日に納品なのに、至急で明日の朝までに渡さなければいけない......これは事件だ!」と、不安や恐怖が頭の中をグルグル回りはじめます。やることは、名刺印刷会社の担当者に納期を早める依頼をかけるだけなのですが、いつもとちょっと違うだけで、もはやそれは不安を引き起こすのに十分な「事件」でした。 発達障害の傾向とこのような悪影響の相乗効果により、筆者は仕事を続けられず休職という選択を取らざるを得ませんでした。 不安障害について詳しく知りたい方は、以下の参考記事もぜひご覧ください。 このような状況に陥れば、誰しも心身に支障が出て当然です。では、どうすればこの状況から抜け出せるのでしょうか。次はその対処法をお伝えします。 リベンジ夜更かしの対処法 ここでは、リベンジ夜更かしへの対処法を3つお伝えしたいと思います。 ①規則正しい生活 当たり前過ぎる話かもしれませんが、毎日規則正しく起きて寝るのを習慣化することが、リベンジ夜更かしの対処法としては最大最強のものと言って良いでしょう。 特に、休職中にリベンジ夜更かしに陥り、社会復帰が難航するケースが少なくありません。 筆者が休職したときはまだ実家に住んでいたのですが、その際の両親の対応に感謝していることがあります。それは、「日中は何をやってもいい、『朝起きて、夜寝る』ことだけは守ろう」と提案してくれたことです。筆者が休職したのは10年程度前のことで、当時は今ほどYouTubeなどの手軽にみられる無料動画コンテンツはありませんでしたが、それでもレンタルビデオやネット上のテキストコンテンツなどはふんだんにありました。 夜更かししようと思えばいくらでもでき、その点では夜更かしする危険性は十分にあったのです。両親はそれを見越していたのかもしれません。規則正しい生活を最優先としてくれたおかげで、昼夜逆転生活や睡眠障害になることなく、復職をすることができました。今振り返ると、両親からの助言には感謝してもしきれません。 ②日中にきちんと疲れる 「規則正しい生活」にも通じますが、夜更かしをしないためには、まずは日中の活動でしっかり「疲れる」ことが大切です。 そのために大事な考え方をご紹介します。生活リズムを整えるためには、「早寝早起き」が大事だとよく言われます。実は順序が逆で、「早起き早寝」なのです。眠かろうが疲労が残っていようが、とにかく起きる。そして、就寝するまでは寝ない。起きている間に十分疲れておけば、リベンジ夜更かしをしたくても、体がそれを許してくれません。半強制的に夜寝ることができるのです。 日中にできるだけ用事を入れ、クタクタに疲れて倒れ込むように寝る。その結果翌日はすっきり起きられる。このサイクルに持ち込むことができればこっちのものです。また、適度に疲労を感じて「ああ、やっと寝られる」と布団に入る時の気持ち良さも味わうこともできます。日中の用事は、「疲れる」ことさえできれば、好きなこと、ストレス解消になることであっても構いません。 ③環境調整 さらに「リベンジ夜更かし」への対処法として有効なのが、環境調整です。たとえば、寝室へスマートフォンを持ち込まない、寝るときは薄暗い照明にする、ゆっくりぬるめのお風呂に浸かる、などです。 もちろん個人差はありますが、自分が寝入りやすい環境を作ることが大事です。筆者の知り合いの発達障害のある人に、寝入る際にアロマを焚いているという人がいました。室内を無音にして座って瞑想をする、という人もいました。 以上、3つほど対処法を挙げました。全部する必要はありません。「やってみようかな」というものから実践していただければと思います。 特性に合った、自分らしい働き方を見つけるために これまで、リベンジ夜更かしについての話をしてきましたが、その前提となるのは「自己理解」であると筆者は身にしみて感じています。そもそも自己理解がされていないと、自身がリベンジ夜更かしをしやすいことを自覚しづらいものです。むしろ、「ハードな生活をしている自分」に酔っていたりします。自分のおこなっている行動が「リベンジ夜更かし」であることに気が付くことすら難しいかもしれません。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、発達障害のある方が自己理解を深められる実践的なプログラムを提供し、また規則正しい生活が送れるトレーニングもおこなっています。 発達障害のある方の特性を理解したうえで、個別に最適なトレーニングを提供することが特徴です。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
大人の発達障害×職場のコミュニケーション|対策と練習法

「職場でのコミュニケーション課題」について特性に応じた対策や練習法を紹介。ストレスを軽減し、自信を持って働くためのヒントをお伝えします。

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  • #合理的配慮
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
「職場での人間関係がうまくいかない…」「話すのが苦手で、うまく意思疎通ができない…」「指示を理解できないことがあり、ミスが多い…」 そんな悩みを抱えていませんか? 職場では、業務スキルだけでなく「コミュニケーションスキル」が求められるものです。しかし、発達障害の特性によって、雑談が苦手だったり、自分の考えを相手に伝えることや相手の意図を読み取るのが難しかったりすることで、仕事に必要なコミュニケーションが円滑にいかないことがあります。 「報告がうまくできない」「会話がかみ合わない」「言いたいことがうまく伝わらない」といった困りごとが続くと、職場での評価に影響が出たり、周囲との関係にストレスを感じたりすることもあるでしょう。その結果、仕事に自信が持てず、強い不安やストレスを感じてしまうことも少なくありません。 本記事では、発達障害のある方が職場で直面しがちなコミュニケーションの課題を整理し、特性に合わせた対策を紹介します。また、コミュニケーションスキルを向上させるための具体的なトレーニング方法や、職場での合理的配慮の活用についても解説していきます。 発達障害の特性を理解し、自分に合った対策やトレーニング方法を見つけることで、職場でのストレスを減らし、自信を持って働けるようになるきっかけになれば幸いです。 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 [toc] ビジネスにおけるコミュニケーションスキルの必要性 職場におけるコミュニケーションの役割 どの職場でも多かれ少なかれ、社内外でのコミュニケーションが発生します。特に、報告・連絡・相談という、それぞれ最初の一文字を取って「報連相(ホウレンソウ)」と呼ばれるスキルは、ほとんどの仕事において必要と言えるでしょう。 例えば事務職の場合、いくらExcelで複雑な表を作成できたり、PowerPointですぐに資料を作ることができたとしても、上司や同僚と内容をすり合わせたり、完成後に報告をしなければ、仕事の評価を得ることは難しいでしょう。 どんな仕事であっても、組織の一員として働くためには最低限のコミュニケーションスキルは必要不可欠です。実際、今も昔も、多くの企業の人事担当が採用時に重視するポイントのひとつに「円滑なコミュニケーションがとれること」があげられています。 職場でよくあるコミュニケーションの課題 その一方で、職場でのコミュニケーションの苦手に悩む方は少なくありません。特に、発達障害のある方は以下のような課題を抱えがちではないでしょうか。 指示を正しく理解できず、誤った作業をしてしまう 相談をすることが苦手で、トラブルを抱えこむことがある 意見を伝えたり説明したりするのが苦手 相手の話に集中することができず、聞き洩らしが多い 相手や場面に応じたコミュニケーションが取れない 考えがまとまるまで報告を先送りする こうしたコミュニケーションの問題は、仕事の質に直接影響を与えるだけでなく、職場の人間関係にも悪影響を及ぼします。 コミュニケーションがうまくいかないと起こるリスク コミュニケーションがうまくいかないと、次のようなリスクが発生します。 ミスの発生:指示を正しく理解できなかったり、確認不足が原因で業務ミスが発生しやすくなる。 チームワークの低下:仕事の進め方や認識がずれてしまい、チーム全体の業務が滞る。 信頼関係の損失:必要な報告や相談がなされず、「頼りない」「協力的でない」と思われる可能性がある。 いずれも、どの職場でも必要とされる「チームで仕事をやっていくための土台」が揺らいでしまう原因となります。もしこれらのリスクがあると判断されれば、いくら業務スキルを頑張って磨いたとしても、なかなか評価されにくいというのが現実ではないでしょうか。 発達障害のある方がコミュニケーションが苦手な理由 ASD(自閉スペクトラム症)の特徴と課題 ASDの特性のある人の中には、「曖昧な表現が理解できない」「相手の気持ちを察することが苦手」「空気を読めない」といった特徴がある人が多く、職場でのコミュニケーションに影響を与えかねません。 筆者はADHDの診断を受けていますが、日々のコミュニケーションを通じて、ASDの傾向もあるのではないかと感じています。そんな筆者が実感するコミュニケーション上の特性としては、以下の3点が挙げられます。 言葉を文字通りに受け取ってしまう 「いい感じに資料をまとめておいて」と言われても、「いい感じって、具体的にどういうこと?」と疑問に思ってしまいます。「いい感じ」という曖昧な言葉を言われても、それが具体的なイメージとして理解できなければ動けないのです。仮に「A4の紙1枚に、要点を3つに絞って箇条書きで書いて欲しい」などと言ってもらえればスムーズに動けます。これは、言葉を文字通りに受け取るという傾向の表れではないかと自分を分析しています。 「いい感じに」や「なるべく早く」など曖昧で抽象的な表現を理解するのが苦手というのはASDあるあるです。 雑談や社交的な会話が苦手 筆者は、野球やサッカーなど自分が興味のない話題になると、とたんに仏頂面になってしまうのだそうです。「だそうです」と伝聞系で書いたのは、自覚していないからです。普通に会話の場に溶け込んでいると思っているのに、「あ、今興味ないでしょ?」と言われて「なんでばれたのだろう」と思うことが多々ありました。これは、雑談や社交的な会話が苦手だと認識していない分、より問題は深いと考えています。 ASD特性のひとつに「興味の幅が狭い(限定されている)」というものがありますが、悪気なくそれが態度に出てしまっているのかもしれません。 相手の表情や空気を読み取るのが難しい 相手が冗談で言ったことを本気だと思い真剣に受け止めてしまう傾向も、筆者にはあります。社交辞令で「今度飲みに行きましょう」と言われたとしても、それを本気に受け取って「じゃあ、いつにします?」とスマホでスケジュールアプリを開いて検討に入ってしまい、「いや、その、まぁまた近いうちに......」とやんわりはぐらかされた経験が多々あります。 「空気が読めない・冗談が通じない」もASD特性の代表的な特徴です。 ADHD(注意欠如・多動症)の特徴と課題 ADHDの特性のある人の中には、「注意の持続が難しい」「衝動的に発言してしまう」といった特徴がある人が多く、これもまた職場でのやりとりに影響を与えます。 筆者はADHDの診断を受けており、以下のようなことがよくあります。 話を最後まで聞かずに反応してしまう 相手の話が終わる前に相手の言いたいことがおよそ予測でき、自分の話をしたい気持ちが抑えられずに、相手の話にかぶせて自分の話を始めてしまう癖が筆者にはあります。よくないことだと分かっているのですが、その場ではうまく制御できないことが多く、あとから反省することしきりです。 ADHD特性の衝動性によって、早合点をしたり、相手の話を遮ってしまったりして失敗をした経験がある方も多いのではないでしょうか。 集中が続かず、指示を聞き逃す 口頭での指示を受けている最中であっても、たとえば周囲の会話に耳が持っていかれてしまうことがよくあります。せっかく上司が説明をしてくれていて、自分でもその説明を理解しようと思っているのに、瞬間的に周囲で話されている会話の方に注意がいってしまうことがよくあります。 「注意力が散漫」はADHDの代表的な特性のひとつです。メモをとっているのに聞き洩らしをしてしまう、とったメモを失くしてしまうというのもあるあるです。 思いついたことをすぐに口に出してしまう 筆者は以前の職場で取引先へ配信する職員インタビューのメルマガを書いていました。そのインタビューをしている際に、「前職では仕事が多くて過労で倒れる寸前にまでなってしまって......」という体験談を話してもらっているときに、「分かる!自分もそういった経験がある!」と共感してしまい、「ええ、自分も同じような体験がありましてね......」と、それから延々と自分語りを始めてしまい、インタビューの流れを止めてしまったことがありました。 つい場面にそぐわない発言をしてしまったり、一方的に話し続けてしまったりした場合でも、ADHD特性によって自分の言動をコントロールできないことがあります。 コミュニケーションのトレーニング方法 コミュニケーションが苦手だと感じる人の中には、そもそも「どのようにしたら円滑なコミュニケーションがとれるのか」が分からない方も多いかもしれません。一方で、コミュニケーションもスキルの一つであり、体系的に学ぶことが可能です。 特に、「何をどう伝えればいいのか分からない」「相手の気持ちを察するのが苦手」「言葉の意図を誤解しやすい」といった悩みを持つ場合、コミュニケーションの基本を知識として学ぶことが有効です。 知識として学ぶ コミュニケーションを学ぶ方法の一つとして、書籍やセミナーを活用することが挙げられます。たとえば、以下のようなジャンルの本を読むことで、基礎を理解しやすくなります。 ビジネスコミュニケーションの本→ 職場での報告・連絡・相談の方法や、上司・同僚との適切な関わり方を学べる。 傾聴スキルの本→ 相手の話を上手に聞く技術を学び、信頼関係を築く力を養える。 会話のロジックを学ぶ本→ 話がまとまらない、伝えたいことが伝わらないといった悩みを解決するヒントが得られる。 大きな書店だと、「ビジネス」「コミュニケーション」といった棚があると思います。お勧めの選び方としては、自分が読みやすそうだと感じる本を選ぶことです。ネットで調べて評判の高い、有名な著者の本を選ぶのも良いですが、まずは自分が取っつきやすいと感じる本から始めるのが良いと思います。 また、書籍だけでなく、コミュニケーションスキルを学べるセミナーも有効です。セミナーでは、講師の解説を直接聞けるだけでなく、ロールプレイやワークショップを通じて実践的に学ぶことができるため、実際の場面に活かしやすくなります。 このような学びを通して、ビジネスマナーや会話の典型的な流れ、よくあるNG行動などを知り、適切な対応を知ることができます。本やセミナーで教わった内容をすべていっぺんにやろうとはせず、できることから1つずつやっていくのが、最短のスキルアップにつながります。 実践的な対策 コミュニケーションスキルを向上させるためには、知識を学ぶだけでなく、実際に練習しながら身につけることも重要です。代表的な対策として、ミラーリング、アクティブリスニングといった手法があります。 ミラーリング ミラーリング(Mirroring)は、相手の言葉や仕草をさりげなく真似ることで、親しみやすさや共感を生む手法です。例えば、 相手:「最近、忙しくて疲れてるんですよね」 自分:「そうなんですね、忙しくて大変なんですね」 このように、相手の言葉を繰り返すだけでも、「話をしっかり聞いてくれている」という安心感を与えることができます。また、相手の姿勢やジェスチャー、話すスピードを自然に合わせることで、無意識に「この人は自分と波長が合う」と感じてもらえる効果もあります。ただし、やりすぎると不自然に感じられるため、さりげなく取り入れるのがポイントです。 アクティブリスニング アクティブリスニング(Active Listening)は、ただ相手の話を聞くだけでなく、適切な相槌や質問を交えて、積極的に会話に関与する方法です。 具体的には、 相手の話を遮らずに最後まで聞く 「それは大変でしたね」「なるほど、面白いですね」といった共感の言葉を入れる 「それって具体的にはどういうことですか?」と質問して話を広げる といった工夫をすることで、相手は「しっかり話を聞いてもらえている」「この人とは話しやすい」と感じるようになります。アクティブリスニングを身につけることで、より円滑なコミュニケーションが可能になり、信頼関係の構築にも役立ちます。 筆者は、特に感情面で共感することが多いので、それを強く打ち出すことが多いです。「それは大変でしたね」という言葉を入れ、「自分も同じような○○ということがあったので、自分なりにですが、分かります」と寄り添う形でコミュニケーションを取ることがよくあります。 特性に合った、自分らしい働き方を見つけるために ここまでコミュニケーションスキルを上げるための方法などをご紹介しましたが、特に発達障害のある方の場合は、そもそも「特性」としてコミュニケーションが苦手であることが多く、いずれも単に知識を得るだけでは足りず、実際の場面で活かすのが難しいことが多いです。 そこで、実践的な方法が必要となります。代表的なものとしては、SST(Social Skills Training)というトレーニングがあります。適切な言葉の選び方や、表情・態度・ジェスチャーを意識しながら会話の練習を行うことで、社会的スキルを上げ、実際の場面での対応力を高めるものです。 例えば、 上司への報告の仕方 初対面の人とのスムーズな会話の進め方 断るときの伝え方 といったテーマごとに、ロールプレイを通じて練習しながら学ぶことができます。「頭では分かっているけど、実際にやるのは難しい」と感じる人にとって、SSTは実践力を養うのに最適なトレーニングです。 このように実際の職場の状況を想定してロールプレイを行い、その結果のフィードバックを受けながら、練習を重ねることで、自分の特性による「苦手」への理解を深めながら、より実践的に活用できるコミュニケーションスキルを身につけられます。 また、それでも克服が難しい場合は、「合理的配慮」として職場に伝える選択肢もあります。障害者雇用枠ではない一般雇用枠でも、診断がある場合には企業に相談をすることができます。 合理的配慮とは、就職先の企業が、障害による業務上の困難を改善・軽減するために必要なサポートを提供することです。 例えば「具体的な指示が欲しい」「周囲の音が気になるので、耳栓の使用を許可して欲しい」「メモを取る時間を与えて欲しい」といった、業務指示の仕方や職場環境の調整などです。どうすれば仕事が円滑に進められるかを企業側と一緒にすり合わせていく必要があります。 その際には、以下のポイントを説明すると、スムーズに交渉が進みます。 障害の特性や症状 特性による業務上の困難や苦手な業務内容 自分自身で取り組む工夫や対策 企業に依頼をしたい配慮内容 企業に「合理的」だとみなされない場合にはサポートを受けられないケースもあるため、どれだけ困っているか・どうすれば解決できるのかを具体的に説明することはもちろん、自分自身で取り組む対策や配慮を受けることでできるようになることを伝えることも大切です。 詳しくは「発達障害のある方の合理的配慮事例|職場コミュニケーション編」でお伝えしています。 特性によって、一人ひとりに合う対策法は異なります。また、性格や働き方の好みによっても、どのような工夫が効果を発揮するかは変わってきます。そのため、自分自身に合った方法を見つけることが重要です。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
仕事の不安が軽くなる!発達障害がある方のうつの乗り越え方

ADHD当事者で抑うつ状態を経験した筆者が、特性による「働きづらさ」と二次障害である「うつ」を乗り越えるためのヒントを紹介します。

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  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
  • #限局性学習症(SLD)
「頑張っているのになぜか仕事がうまくいかない」「ミスや失敗ばかりで、職場に行くのが怖い」 発達障害の特性による困難や苦手のある人で、「どれだけ頑張ってもうまくいかない」「人一倍、努力しているのに成果がでない」という悩みを抱える方は少なくありません。このような状況が続くと、仕事への不安や自己肯定感の低下によって、うつなどの精神障害につながることもあります。 実は、発達障害とうつの間に密接な関係性がある場合が多いのです。一般に、発達障害のASDやADHDの特性があることを「一次障害」、そして一次障害が原因で引き起こされる「うつ」などを「二次障害」といいます。 筆者は、一次障害として主にADHDと診断され、二次障害として抑うつ状態と診断されました。この記事では、そんな筆者の執筆した書籍『「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方』の内容を引用しつつ、障害による困りごとに向き合い、乗り越えるためのヒントをお届けします。日常の工夫や考え方を見直すことで、新たな一歩を踏み出すきっかけになることを願っています。 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 [toc] 発達障害がうつを招く理由 発達障害(この記事ではASDとADHDのことを指して「発達障害」と書きます)とうつは、密接なつながりがあります。この項では、発達障害の説明と二次障害の説明をすることで、両者は密接なつながりがあることをお伝えします。 ASDとADHDの特徴と主な症状 ASD(自閉スペクトラム症)は、対人関係やコミュニケーションが苦手で、特定の興味や感覚の敏感さが特徴的な発達障害です。具体的には以下のような症状がみられます。 他人の気持ちや状況を理解するのが苦手 特定の物事への強い関心やこだわり 感覚過敏(音や匂いなど)がある 臨機応変な対応や複数作業の同時進行が苦手 ADHD(注意欠如・多動症)は、集中力の維持が難しく衝動的な行動をとりやすい特性を持つ発達障害です。具体的には以下のような症状がみられます。 注意が散漫でミスが多い 落ち着きがなく衝動的な行動をする 整理整頓、スケジュール管理、約束を守ることが苦手 筆者は、ADHDの診断を受けており、以下のような症状があります。 私は、発達障害の当事者です。ADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けました。 ■不注意によるミス・抜けもれがひどい■先送りグセがなおらず、締め切りが守れない■ミスを必要以上に深刻に受け止めてしまう■他人のミスも自分のせいかもと考えてしまう■仕事の段取りがつけられない■マルチタスクに思考停止してしまう■思考やものの整理ができない これらは、私の特性による「傾向」をまとめたものです。このうちのいくつかは、自分にも当てはまるという人がいるのではないでしょうか。 筆者の著書『「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方』より引用。以降、引用は同書からのものとなります。 二次障害とは 二次障害とは、発達障害の特性による困難やストレスが原因で、心や身体、行動に不調や問題が現れる状態を指します。これにより日常生活に支障をきたすことが少なくありません。主な例として、うつ病や不安障害といった精神的な不調、頭痛や不眠などの身体的な不調、さらには暴言や引きこもりといった行動面の問題が挙げられます。 二次障害については、こちらの記事でより詳細に説明しています。あわせてご覧ください。 筆者は、下記のような経緯をたどって「抑うつ状態」の診断を受けて休職を余儀なくされ、最終的に退職することになりました。 しかし、与えられた仕事は忘れる、締め切りも守れない、つい先送りをして怒られる…。その連続で自信をなくしていき、大きな不安に苛まれるようになり、それに耐え切れず休職、退職。現実は、仕事の充実どころの話ではありませんでした。 友人が仕事でどんどん活躍していくのを横目に、いつしか、「どうせ、これが自分の限界なんだ」「仕事の充実? 自分がそんなことを考えてはいけない」と思うようになっていきました。 むしろ、自分が思う「人並みの生活」すらも、自分にはできないのだと、完全に自信を失ってしまいました。 「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方 発達障害がうつにつながってしまう3つ理由 発達障害の特性が二次障害であるうつや不安障害などの精神疾患につながる主な理由として、「生きづらさ」「自己肯定感の低下」「不安やストレス」などの要因が挙げられます。それぞれの要因を詳しく解説します。 特性による「生きづらさ」や「働きづらさ」 発達障害のある人は、その特性による困難や苦手によって社会で生きづらさを感じることがあります。 たとえば、筆者は「ミスをしたときには上長に報告をする」というビジネスマナーは知っていたものの、「お金など重要なものに関するミスは、早急に報告をする」「重要な問題にならなかったときであっても、ミスは必ず報告する」という考えに至らないことがありました。 あるとき、アルバイト先で、お客様のお金を届けるという依頼を受けた際に、お金を忘れて出かけたことがありました。すぐに同僚から連絡をもらって、最終的には事なきを得たため、そのことを上長に報告しませんでした。ミスを隠すつもりはなかったものの、信頼を失うことに繋がってしまい、解雇を言い渡されてしまいました。 ビジネスマナーなどの「暗黙の了解」の苦手はASD特性がある方に多いケースで、仕事上のコミュニケーションで失敗につながることがあります。 特性による失敗は、気を付けようとしてもなかなか回避できないことが多いです。その結果、「なぜ自分はこんなこともできないのか」と自己否定に陥ったり、他者から否定的な反応をされたりすることで精神的な不調を抱えたりするなど、社会での生きづらさを感じる要因になります。 過去の失敗体験の積み重ねによる自己肯定感の低下 先述した通り、発達障害のある方は特性による困難や苦手によって失敗体験をすることがあります。さらに、特性への自己対処や周囲への配慮(サポート)依頼をしない限り、その失敗を繰り返してしまいがちです。 仕事における失敗は一人ひとりさまざまで、たとえば、コミュニケーションがうまくいかない、ケアレスミスや遅刻が多いなどがあります。そういった失敗が積み重なると、自己肯定感が低下し、「自分はダメな人間だ」「誰からも理解されない」と感じることが増えます。 筆者は、全国に営業所のある企業の総務で社用車の管理をしていたことがあります。全国から社用車に関する相談事や報告への対処を一手に引き受けていました。前任者はその対応をそつなく臨機応変にこなしていましたが、私はそういった要領があまり良くありませんでした。そのため、営業所の担当の方とのコミュニケーションがうまくいかないことがあり、あまりに目に余ったときには、電話口で強い調子で詰められたり、口汚くののしられたりしました。 そういった経験が重なると、いやおうなしに自己肯定感が低下します。そういったこともまた、うつ病などの精神疾患のリスクを高める要因の1つとなります。 不安やストレスを感じやすい 発達障害のある方は、不安やストレスを感じやすいと言われています。予測できない状況への不安や、他者の気持ちを汲み取れないことによる孤立感が、強いストレスとなることがあります。また、ミスや遅刻、計画の混乱による自己批判や焦りは、不安を引き起こしがちです。 筆者は、物事が予定通りに進まないだけで、すぐに焦って混乱してしまいがちでした。あるとき、人事担当者との面談で、「毎日何かしら『事件』があるのが辛くて......」と話したところ、「え?事件って何のこと?」とポカンとされた経験があります。他人にとっては日常の出来事の範囲内なのに、自分にとってはストレス・不安の源である、ということがよくありました。 こうした不安やストレスが慢性的に続くと、心の負担が大きくなり、自己肯定感の低下や無力感につながることがあります。その結果、うつ病や不安障害などの二次障害につながってしまうのです。 「不安な気持ち」は、発達障害のある方にとっては、切っても切れないテーマです。その原因と対処法については、以下の記事に詳しく書いてあります。ぜひこちらもあわせてご覧ください。 大人になり社会に出てから、発達障害の特性による失敗や困難が増え、うつや不安障害などの二次障害になるケースは少なくありません。幼少期や学生時代には「性格」などとして見過ごされていた特性が、就職活動や職業生活の中で「困りごと」として表出されることがあるためです。 最初は、仕事や対人関係の困難による不安感やうつのような症状を感じて通院する。しかし、実はその奥を探ってみると発達障害が判明する。そんな経緯で、これまでの生きづらさや困難の背景に発達障害があることを理解するようになる方も多いようです。 発達障害の特性との付き合い方について 自分の特性を知って工夫する 発達障害の特性は、予測できない状況に強い不安を感じたり、抜け漏れせず段取りよく仕事を進めるのが苦手で、遅延やミスを繰り返したりなど、一人ひとり異なります。そのため、まずはどのような場面で困難を感じるのかを把握し、それに合う自分なりの工夫をすることが大切です。 たとえば、筆者は、段取りよく仕事を進めるのが難しいときは、目の前の一手を明確にして、それを終わらせることだけ考えるようにしています。 対策:まずは最初にすることだけを書き出す 【1】まずは最初の手順「だけ」書き出す間違っていてもよし。まずは自分なりに思いつく、できるだけ簡単に、すぐできそうな「最初の一歩」となる作業を書き出す 【2】とにかく実行してみる自分なりに書き出した作業を、とにかく一つだけ実行してみる 【3】「一歩」をくり返すうまく行ったら次の一歩も書き出してみる。以後、「書き出し」→「実行」をくり返す どこから手をつければよいかわかりにくい仕事を目の前に、ただただ思考停止してしまう。また、そんなときほど一気に仕事を仕上げたくなり、結局何もできずに時間だけが経ってしまいます。 先走らず、まずは足元を見ましょう。最初の一歩ぐらいは想像できるはずです。そして、その次、その次と、一歩ずつ歩んでいけば、仕事の終わりが近づいてくるはずです。 「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方 さらに、抜け漏れが発生しがちな傾向については、このような対策をとっています。 対策:すぐに着手しようとする気持ちをいったん抑える 【まずはやるべき仕事を確認しよう】 抜けもれしてしまう人の特徴として「すぐに結果が出るものに飛びついてしまう」傾向があります。 言われたことをメモしたり、書き出したりせず、すぐに仕事に着手すれば、「より早く仕事が進む」という結果が得られるかもしれません。しかし、そうすると抜けもれしやすい傾向のある人は、「自分が抱えている仕事の把握」がおろそかになってしまい、はじめに指示されていた仕事を新たな指示によって忘れてしまうという事態につながることも。結局仕事の抜けもれにつながってしまうのです。 手っ取り早く終わらせてしまいたい気持ちをまずは我慢して、いまやるべき仕事を書き出して確認してみましょう。 「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方 もちろん、上記は筆者の一例に過ぎず、人によっては対策がなかなか打てない特性もあるかもしれません。ただ、困りごとの原因となる特性・特徴と向き合い、それをカバーすることができれば、結果的に障害と共存して毎日を送ることができるようになります。 障害の自己受容をし、他者にヘルプを頼む 発達障害の特性と向き合い「自己を受容する」第一歩は、できないことや苦手なことがあっても、それは努力不足ではないと考えるところから始まります。「完璧にこなさなければならない」というプレッシャーから解放されることで、心が少し楽になります。 それが進むと、周囲に助けを求めるハードルも下がります。周囲との協力は、特性を補いながら自分らしく生きる大きな助けとなります。 たとえば、筆者はこのようにして他者へ協力を求めやすくする工夫をしています。 対策:仕事の「ボール持ち」を設定する 【1】作業の手順を書き出す現在抱えている仕事の作業手順を書き出して一覧にする 【2】「自分のボール持ち」を明確にするほかの人の対応待ちの作業(相手のボール持ち)と、自分がボールを持っている(自分がやらなければいけない)作業とを区別する 仕事がうんざりするほど多くても、そのなかで自分が進められる仕事というのは、実はその一部であることが少なくありません。「自分のボール持ち」を書き込んで、「本当に自分が抱えるべき仕事」の量がわかれば、より前向きに仕事に取り組めるようになります。 もし、ほとんどの手順が「自分のボール持ち」だったら、それは自分が抱え込み過ぎる傾向があるということです。仕事の進め方を同僚や上司によく相談してください。 「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方 また、その上で、一人で抱え込みすぎないよう、自己開示するためのフレーズを決めています。 対策:魔法のフレーズ「困ッテイルンデス」を唱える 【仕事での悩みを開示して、ミスのショックをやわらげよう】 仕事では、できるだけ相談して「共犯者」をつくりましょう。一緒に仕事をする人であればだれでもよいです。相談するのが難しければ 、「(〇〇の)仕事で困っているんですが」という「話し出しの魔法のフレーズ」を唱えましょう。 相談することができれば、その仕事は自分とその相談相手が一緒に持つ「荷物」のようなものになり、荷物の重さを二分(にぶん)することができます。そして、ミスがあったとしてもそのショックを「はんぶんこ」することができます。そのために、自分の悩みを開示してみるのがおすすめです。 「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方 ストレスや不安との付き合い方を学ぶ 発達障害の特性を持つ人にとって、日常生活や仕事の中でストレスや不安を感じる場面は多いものです。ストレスと向き合い、上手に付き合う方法を身につけることはとても大切です。 対策:思い浮かぶたくさんのことを受け流す 【1】楽な姿勢で座る【2】意識的にゆっくり呼吸をする【3】目をつぶり思い浮かぶことを考える【4】そのまま3分間 【「全部やらなきゃ」脱却のカギ「マインドフルネス」】 やらなければいけないことが多いと、「全部いっぺんにやらないといけない!」と焦って、結局すべて中途半端になってしまいがちではないでしょうか。まずは、焦りをなくしていったん落ち着くことが大切です。ぜひ、呼吸法など、自分に合った「マインドフルネス」を試してみてください。 頭に思い浮かぶ雑念を無理に否定せず、ただ「ああ、こういうことがあるなぁ」「自分はこれに対して不安を感じているんだな」とありのままの「いま」を認めてそれに集中することで、リラックスすることができ、「焦り」からも解放されるかもしれません。 「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方 対策:自分を大きく肯定することばをわざとつけて話す 【「おれ/私ってすごいから~」と言ってから、本題に】 自己肯定感をキープしたりあげたりするために、「肯定的なことを口に出す」のは大切だと感じています。私はよく妻に、自分を肯定することばを最初に言って話し始めています。「おれってすごいから、今日締め切りの仕事を終わらせたよ」「おれってすごいから、階段だけを使って帰ってきたよ」という具合です。大してすごいことでなくてもよく、むしろ無理矢理な感じがあったほうが、より効果的です。 信頼できる家族や友人などに、ぜひ言ってみてください。くり返すと、ちょっとずつですが自信が湧いてくる気がします。 「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方 ストレスや不安を完全に取り除くことは難しくても、日常のちょっとした工夫から、ストレスとうまく付き合う術を身につけることで、日々を少しでも楽に過ごせるようになります。この方法はすべての人に当てはまるわけではありませんが、できることから少しずつ進めてみましょう。 特性に合った、自分らしい働き方を見つけるために 特性や性格によって、一人ひとりに合う対策法は異なります。また、性格や働き方の好みによっても、どのような工夫が効果を発揮するかは変わってきます。そのため、自分自身に合った方法を見つけることが重要です。 その参考として、筆者の執筆した書籍『「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方』は、なんらかの参考になることと思います。興味がありましたら、ぜひお手に取ってみてください。 「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方 ただ、就労には、本書でご紹介する仕事術などとあわせて、その他のトレーニングも必要です。独学でそのすべてを習得するのは、膨大な手間と時間がかかります。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
自己理解が必須!?障害者雇用の面接がうまくいくノウハウ

転職活動で合計250社から「お見送り」…ADHD当事者である筆者の経験をもとに、障害者雇用枠求人ならではの「面接対策」をご紹介!

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「就職活動に苦手意識がある」「面接でうまく話せない」「就活の進捗管理が難しい」「障害のことをどう伝えればいいか分からない」 ADHD当事者である筆者は、転職活動をしたとき、書類審査のみの会社も含めて合計250社、面接だけでも30社からお見送りをされました。最終的には、転職活動を始めてから約半年後に、ほぼ同時に3社から内定をいただき終了したのですが、どの方にお話しても、選考に通過しなかった数は驚かれます。 そんな筆者だからこそ分かったことや経験談、その他障害者雇用枠求人ならではの面接対策についてお伝えしていきます。 皆さんが自分らしいキャリアに向けた一歩を進むためのヒントになるよう、特に現在就職活動をしている方々が納得のいく就職ができるよう、この記事がお役に立つことを願っています。 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 [toc] 障害者雇用枠ならではの選考内容 一般雇用枠にはない障害者雇用枠ならではの選考内容として、代表的なものに「障害に関する資料の提出(面接にはその説明)」と「企業実習」があります。※「企業実習」はすべての企業で実施されているわけではありませんが、選考フローのひとつとして取り組む企業が増えてきています 自分の特性を理解してもらうための資料「障害について(ナビゲーションブック)」 通常、求人に応募しようとする会社へ提出する書類は、「履歴書」と「職務経歴書」の2つのみです。しかし、筆者は、障害を開示せずに働くクローズ就労だけでなく、障害を開示して働くオープン就労でも応募をしていたため、さらにもう1つの書類として、障害内容や障害に対してどのように配慮して欲しいかなどを書いた「障害について」という資料(=ナビゲーションブック※)をオープン就労用に用意していました。 ※「ナビゲーションブック」とは、障害のある方が就職活動をするときや職場定着を目指すときに活用できるツールで、①自身の障害のこと(障害の特徴=特性や症状)②仕事をするうえで困難なこと③職場に求める合理的配慮をまとめたものです。オープン就労の中でも、一般雇用枠の場合には提出は任意であることがほとんどですが、障害者雇用枠の場合には応募書類のひとつとして提出を求められることが多いです。 雇用主とのマッチングを見極める期間としての「職場体験実習・企業実習」 筆者が定期的に講師としてプログラムをおこなっている就労移行支援事業所のある東京都では、東京しごと財団が「職場体験実習」を実施しています。また、近年では多くの企業が選考時に同様の「企業実習(インターン)」を取り入れています。 企業等で働いた経験がない(少ない)、自分の適性が分からないなど、企業等で働くことに不安がある場合に、いきなり「就職」ではなく、仕事を「体験」できます。この職場体験実習により、企業等の現場を知ることができ、また、実習中の体験を通じて、自分の新たな課題を発見することもできます。 東京しごと財団HP「職場体験実習」 通常の就職活動は、書類選考と2,3回の面接のみで採用するのがほとんどです。しかし、それだと企業側と応募者がマッチするかどうか分かりません。特に、障害者雇用枠においては、職場環境とマッチする/しないの差が大きく、さらにマッチしなかったときの影響も大きくなりがちです。 そこで、あらかじめ実習期間を設けることで、企業側だけでなく、応募者である障害者からも、職場環境との相性などをじっくり判断する機会を設けています。 発達障害のある方が就職活動で苦手とすること ここでは発達障害のある方が就職活動をおこなう上で、苦手とすることを解説していきます。なお、あわせてこちらもお読みいただくと、より面接への対策をおこなうことができます。 面接でうまく話せない 話しすぎる まずは、特に多動性の特徴のある方に顕著ですが、面接で話しすぎてしまうというのがあります。ADHDである筆者も、その多動性からか、今考えればかなり話しすぎていたように思います。なお、そういった点も含めて面接での話し方で気をつけるべき点を後述の「面接中の対策」でご紹介します。 少なくとも「話しすぎない」ということを念頭においた途端、今まで面接でどこにも通らなかったのが、3社から立て続けに内定をいただけたという経験が、筆者にはあります。「過ぎたるは猶及ばざるが如し(やり過ぎることは、やり足りないことと同じように良くない)」という言葉がありますが、まさにその通りです。足りなければ面接官から聞いてきます。 質問と答えが噛み合わない さらにもう1つ、面接でうまく話せないということについて筆者がよく感じていたのが、「質問と答えが噛み合わない」ということでした。これもADHDの多動性がおそらく関係しているのだと考えているのですが、話し初めと話し終わりでテーマが変わってしまうことが多かったのです。 これは、話し初めはAという話題だったのに、話しているうちにどんどん話がそれていき、いつのまにか別の話題になってしまい、最終的にはBというテーマになってしまった、といったことです。もしかしたら、ADHDのある方は、日常会話でもこのようなことが身に覚えがあるかもしれません。 ASDで他者視点の欠如がある場合は、相手の質問の意図を読み取ることができず、的外れな回答をしてしまうケースがあります。 進捗管理が難しい ADHD/ASD共通の苦手なこととして「マルチタスク」があります。まさに、就職活動は同時並行のマルチタスク処理が要求されます。1社ずつ応募していけばマルチタスクにはなりませんが、そうなると時間が非常にかかってしまい、現実的ではありません。 筆者は、進捗管理をこのようなExcelの表にまとめていました。 ※右端の「障害」欄の「有」は、障害を開示する「オープン就労」の求人であることを示しています。 この進捗管理表を更新すること自体が楽しくなってきて、それが250社落ちても就職活動を続けられる原動力になったと言っても過言ではありません。 就職活動のマナーが分からない あまり胸張って言えるようなことではありませんが、筆者は暗黙のルール=ビジネスマナーを認識するのが非常に苦手です。特に服装には無頓着で、靴が汚れている、袖のボタンが1つ取れかかっている、ネクタイの色がふさわしくない、髪の毛がまとまっていない、などの身だしなみについて、完全に対策できたことはないに等しいです。 こういったことは、まさか面接をする相手企業に問い合わせることもできず、せめてマナー本などを見るくらいしか手立てがありませんでした。 面接の具体的な対策 面接における具体的な対策として、「事前準備」と「面接中の対策」をご紹介します。 事前準備 よく聞かれる質問に、まずは回答を文章であらかじめ書いておくと良いです。よく聞かれる質問の例は後述します。一度書いてまとめておくと、頭に入りやすくなります。 書き方としては、PREP法を用いると良いでしょう。PREP法とは、以下の順番で話をしていく手法です。 P=Point 「結論」 R=Reason 「理由」 E=Example 「事例」 P=Point 「結論を繰り返す」 たとえば、面接で「当社を志望した理由を教えてください」という質問に対しては、このようになります。 結論:御社のチャレンジし続ける企業風土です。 理由:というのも、私もまたチャレンジの連続をしてきたからです。 事例:私は去年はTOEIC、今年は簿記に挑戦しており、来年は宅建を受けてみようと思っています。 結論:ということで、御社のチャレンジし続ける企業風土に惹かれています。 面接中の対策 まずは結論から 事前準備のところでも書きましたが、面接中の口頭でのやり取りでも、PREP法を意識して話すと、混乱せずに伝えることができます。特に、発達障害の特性のある方は、話があちらこちらに飛びがちです。話をしている間に、自分でも何について話しているか分からなくなってしまうのです。それを防ぐためにも、PREP法は有効です。 一文でいったん区切る 思考があちらこちらに飛びがちだと、経験上一文を言い切ることが難しくなります。「~~だと思います」「~~です」と言い切ろうとしても、それに続くトピックが思い浮かび、言いたくなるのです。そこで、続けざまに話し出してしまいます。結果、「話が長く、要点がはっきりしない」という悪印象を与えてしまうことが、筆者にはよくありました。 語尾を伸ばさない 思考を続けながら話すと、それに引っ張られて語尾が伸びることが筆者にはよくありました(今もあります)。上記の「一文でいったん区切る」とあわせて活用すると、抑制の効いた、理解しやすい印象を相手に持ってもらうことができます。 分からなければ「~~ということでしょうか?」と聞く 面接中、面接官の言うことが分からなかったとき、筆者は「分かっていないことを悟られてはいけない」と考え、分かったふりをしてその後懸命に文脈から内容を類推する、ということをしていました。これは本当に意味がありません。分からなければ、正直に伝えるのをおすすめします。「分かりません」ではなく、「~~ということでしょうか?」と自分からの理解も精一杯していることが伝わるような言い方をするとなお良しです。 いずれにしても、「立て板に水のごとく(よどみなく、すらすらと話す様子)」うまく話そうと思わないことが、結果的に良い伝え方、伝わり方になることが多いです。 面接でよく聞かれること 面接では、履歴書の内容、職務経歴書の内容、志望動機などの他に、障害者雇用枠特有の「頻出質問」があります。その中からいくつかピックアップしてみます。 1. 自身の障害について 自身の障害のことについては、ほぼ自己紹介のようなものなので、ひととおり説明できるようにしておくと良いと思います。筆者の場合、面接ではありませんが、イベントなどで登壇したときの自己紹介をする際には、以下のように「診断名」「具体的な傾向(障害特性による困難や苦手なことなど)」をセットにしてお伝えするようにしています。 「私は、10数年前にADHDの診断を受けました」 「具体的には、主なものとして、抜け漏れ、先送り、過度の自責傾向、段取り苦手といった傾向があります」 2. 障害対策として取り組んでいること さらに、職場で本人が自ら働けるような自助努力をしているかは、面接官としても聞きたいところです。そこで、障害対策として取り組んでいることも、要点を押さえて伝えられるようにしておくと良いです。どのような要点の押さえ方をすれば良いかというと、上記の「自身の障害について」で挙げた「具体的な傾向」に対応する形で伝えれば良いです。筆者であれば、以下のようにお伝えしています。 「私は、タスク管理ツールに書き出すことで抜け漏れを防いでいます」 「また、仕事を細かい作業に分けることで、先送りや段取りが苦手なところをカバーしています」 「さらに、タスクのボールを自分が持っているかどうかを可視化して、自責傾向を抑えています」 3. 必要な合理的配慮について 自身の障害を説明し、できる限り対策を講じていることを伝えると、必要な配慮がグッと相手に入りやすくなります。同時に、「ここまで自分は頑張っているのだから、自分の希望をストレートに伝えても大丈夫」という余裕が出てきやすくなります。必要な配慮を依頼するときには、「特性による行動面の特徴」「具体的な配慮事項」をセットでお伝えしていました。筆者の実例は、このようなものでした。 「過度な自責傾向があるため、強い口調で指摘をされると、思考が止まってしまい業務が手につかないことがあります。」 「何か注意すべき点があるときには感情的に叱責するのではなく、冷静に対話していただけるとありがたいです。」 そのほかの合理的配慮の依頼例としては、以下のようなものがあります。 抜け漏れについては「重要な書類は、Wチェックをしていただきたい」 先送り、段取りが苦手については「週1回業務確認のミーティングを実施していただきたい」 上記3点は、どの企業の面接を受けるとしても、障害者雇用枠での選考であれば必要になります。ご自分なりの想定回答をご用意いただけると良いかと思います。そして、その大前提として、「自己理解」が必要となります。 自分にはどんな障害があり、具体的にどのような傾向でどのような困りごとが発生しているか それに対してどう対策しているか それでも対応し切れなくて配慮して欲しいことは何か これらの項目にスムーズに答えられるように自己理解をしておくと、面接に通る確率が上がることでしょう。 面接や就職活動の対策は、しかるべき人に頼ろう これまで、面接対策として、よくありがちな困りごとや苦手なこと等を中心にお伝えしてきました。筆者は、就労移行支援事業所等の存在を知らなかったため、自己理解から具体的な対策をするまでに年単位の時間がかかってしまい、それでも十分な対策ができたとは言えない状態でした。 面接のみならず、就職活動では、個々人の困りごとや特性などを総合的に判断し、原因にあわせた対策が必要になります。面接での細かな工夫なども含め、専門的な知見を持った人の協力を得て、自分にあった対処法を見つけて実践していくことが大切です。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。就労移行支援事業所ディーキャリアは、利用者様一人ひとりに合う金銭管理方法を見つけるサポートも行なっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。