障害のある方の はたらくをもっとらくにする 働きづらさを感じている発達障害のある方に向け 働くことをもっとラクに、働くことをもっとタノシクするための ちょっとしたコツや、知っておくべき知識を紹介しています。記事一覧発達障害や鬱で「就活がうまくいかない」苦手感の克服方法就活がうまくいかず250社落ちた経験のあるADHD当事者が、失敗から学んだ対策法について紹介します。特性理解がポイントです!タグ:合理的配慮クローズ就労オープン就労詳しく見る 「就職活動、お見送りの連絡ばかりでちっとも内定がもらえない」 「そもそも、選考に通る履歴書や職務経歴書の書き方のコツが分からない」 ADHDの診断を受けた筆者は、上記のような悩みを抱えて就職活動(就活)をおこない、250社落ちました。その経験から、どんな特性がありどんな困りごとがあったのか、その対策を講じるにはどうしたらいいかをお伝えします。 皆さんが少しでも安心した社会生活を送れるよう、この記事がお役に立つことを願っています。 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 [toc] 特性による就活困りごとエピソード ここでは、筆者にある特性や発達障害の特性がある人ならではの就活における困りごとエピソードをお伝えします。 衝動性 ADHDには衝動性という特性があります。筆者においては、「考えたことを口に出さないと気が済まない、思考がつい口をついて出てしまう」という形で表れました。その特性に関連した就活失敗事例をお伝えします。 ①話しすぎ シンプルに面接で話しすぎていました。筆者は1社目を退職した後、半年ほど就活をしました。その半年間に(障害者雇用と一般雇用の求人合わせて)250社近くお見送りをされ、3社から内定をもらいました。その3社の内定は、「あること」に気をつけた途端に連続して獲得することができました。 その「あること」とは、話しすぎないということです。具体的には、「いったん言い終わったら、『これも言った方がいいかも』という内容を付け足さず、ぐっとこらえて相手の反応を見る」というものです。おそらく、付け足しの言葉はかなりの確率で相手にとって無駄なことだったのでしょう。無駄が削ぎ落され、分かりやすく話せるという好印象を面接官に与えた結果、内定につながったのではないかと考えています。 ②思考がそのまま口に出てしまう 大学生のときの話です。ある金融機関に応募したところ、面接前日に面接官を名乗る人から携帯電話あてに着信がありました。出てみると、翌日の面接に成績証明書を持参して欲しいとのこと。前日にいきなりそんな指示をされて少々面食らった私は、「え!?今日の明日ですか!?いきなり言われても用意できないかもしれませんが、とりあえず頑張ってみます」と答えました。 翌日、成績証明書が手に入り「これでどうだ」とばかり面接に臨みました。すると、面接官の態度がとてもそっけなかったのです。結果はお見送りでした。結果の連絡があってから、「あのとき『はい!明日大学で取ってまいります!」と元気よく返事をしていたら、もしかしたらそっけない態度もされず、選考も先に進めたのではないかと思いました。 意に沿わないことを言われても、笑顔で対応することが求められていたのかもしれません。思考をそのまま口にしてしまう傾向がストレートに出てしまったことで、お見送りという結果につながったのではないかと考えています。 知識の偏り 筆者がADHDの診断を受けたとき、臨床心理士から心理検査の結果に関して「知識の偏りがある」と言われました。知識に偏りがあるということは、興味があることについては積極的に行動し知識と経験を蓄積していくのに対して、興味がないことに関しては行動も消極的になり、経験も積めず知識も蓄えられないということです。 大学生のときの話です。同級生は就活をしてある程度経つと何らかの企業から内定をもらうようになりました。一方、筆者は内定が出ずじまいでした。その違いとして筆者が感じたのは、「説得力のある志望動機が言えるかどうか」でした。 同級生は、仮にA社の事業内容について少ししか興味がないにもかかわらず、その自分の興味とA社の事業内容の重なる部分をクローズアップして、「ということで御社に興味を持ちまして......」と言えていたのです。対して筆者は、自己分析や業界研究をあまり深めていなかったこともあり、基本的に一般企業の事業内容に共感もできず興味も持てず、志望動機が言えなかったのです。 それでも無理矢理ひねり出したのですが、社会の荒波に揉まれ人生経験を積んだ面接官が「これは本気で思っていないな」と見抜くのはたやすかったことでしょう。 能力の凹凸の落差 これは厳密に言うと「発達障害の特性」とは違いますが、ある能力は秀でているのに、別のことについてはびっくりするぐらいできないのは、発達障害のある人によくあることです。 とある有名企業の特例子会社の最終面接で、会社の役員の人たちが数人並んでいる中、そのうちの一人から「君はここにくるべき人ではない」と言われてしまいました。筆者は、「物忘れ」「先送り」「自責傾向」「段取り下手」という、どちらかと言うと事務処理に関する能力に自信がなく、逆に人前で話すようなことは大の得意でした。面接ではその筆者の得意がいかんなく発揮されたのです。 普通の面接であれば、好印象を与えて「では合格!」という方向にいきそうなものです。しかし、おそらく逆に「こんなにちゃんとしているのに、なぜ特例子会社で障害者雇用に応募してくるのだろうか」と面接官の人たちは思ったのでしょう。そして出てきたのが、「君はここにくるべき人ではない」という、やんわりとしたお断りの言葉だったのではないかと筆者は思っています。 特性があることによる自信のなさ これも特性自体の話ではありませんが、仕事に支障が出るような特性があるという後ろめたさ・自信のなさを埋め合わせるように譲歩をしてしまっていました。 ①「合理的配慮いりません」 初めて会社というものに入社して(障害者雇用で)働き始めたときの話です。配慮事項を聞かれたとき、「こんな自分を採用してくれたんだから、余計な迷惑を会社にかけていられない」という気持ちから、「合理的配慮をしていただく必要はありません!足りないところがあれば、自分で頑張ってどうにかします!」といった返答をしてしまいました。 ②休みが求人票と違っても受け入れる 上記とは別の会社で、一般雇用で入社したときの話です。求人票では「土日祝日お休み」と書いてあったのですが、内定をもらってから説明を受けたときには、「休みは月9日のシフト休日」と言われたのです。筆者は休日は就職にあたって重要な事項と考えていたため、とても迷いました。しかし、一般雇用で役職つきであり比較的高めの給与であったこと、何より「これを逃したら、これ以上の条件で就職できないのではないか」という自信のなさから、その条件を受け入れてしまいました。 こういった特性をあらかじめ知った上で就活をしていれば、250社も落ちなかったんじゃないかと筆者は今になって思います。 特性を知る方法 ここでは、特性を知る方法について、筆者の経験談も交えてお伝えします。 就活サポートの事例から 就労移行支援事業所ディーキャリアの就職サポートの事例で、卒業生の方がこのように振り返っています。 発達障害のある方が長く働くためには、自分の特性について知ることがとても大切だと考えています。自分にどのような特性があるかを知って、どのように具体的に対策をすればよいかを知ることで、働きやすくなると思います。面接のときにも、自分の障害のこと・特性への自己対処法・企業に求める合理的配慮を自分で説明する必要があり、自己理解の度合いが採用の合否にも影響することもあるそうです。事業所によって支援実績のある障害種別が違うので、自分の障害にあった事業所で、自己理解とセルフケアを学ぶのがおすすめです。 筆者が特性を知った経緯 筆者が初めて就活をしたのは、今から10数年前、2007年のことです。その頃は就労移行支援というものを筆者は知らず、ひとりで就職活動をしていました。そもそも、障害者の就労を支援するいわゆる就労移行支援という制度は2006年に施行された「障害者自立支援法」に基づいたものなので、知らなくても無理はありません。 ひとりで障害者雇用の求人票を見てはハローワーク経由で連絡し、ひとりで履歴書などの書類を作って提出し、面接を受けるという流れを半年程繰り返して1社目で働き始めます。そのプロセスには、自分の特性を知る機会はほぼありませんでした。 それからどのようにして特性を知ったのかというと、「ただひたすら失敗やしくじりを繰り返して経験し、自分の特性や弱みを身をもって思い知った」というのが筆者が一番しっくりくる言い方です。 この「特性の知り方」は確実です。間違いなく、自分の特性を知ることができます。しかし、時間がかかります。筆者は、2007年に会社での勤務を開始してから、明らかに自分の特性を把握しているなと実感できるようになるまで7年かかりました。また、業務での失敗やそれが重なっての休職や退職という精神的にダメージを受けることを何度も繰り返すことになるので、リスキーでもあります。 早く安全に特性を知る方法 筆者の例よりも早く安全に特性を知る方法があります。それは、第三者からの意見に耳を傾けることです。自分の特性を知ることは、多くの場合自分の弱点や苦手なことを洗い出すことになります。そういった作業は、自分ひとりではなかなかできません。家族や友人など親しい人から聞きだすのもありかもしれません。 もちろん、特性を知る手がかりとして自己分析をおこなうのも大いにありえます。自己分析の方法は、こちらにくわしく説明してありますので、ご参照ください。 ただ、「①特性を知る」ことができたとしても、そのための「②自己対処法の習得や企業に求める合理的配慮などの洗い出し」をして、その上で「③応募書類の作成や面接対策」をすることが必要になってきます。 筆者は、上記で挙げた就活では、①と②はほぼできておらず、③を自治体などが提供する就労サービスを利用しておこなったのみでした。その結果が250社のお見送りだったり、せっかく就職しても辞めることになったりということになりました。もし①から③をワンストップでサポートを受けることができたら......と思わずにはいられません。 「自己対処法や合理的配慮の洗い出し」、それと「就活」について 以上のように、障害当事者として就職するには、「特性を知る」に加えて、「自己対処法や合理的配慮の洗い出し」「就活(応募書類の作成や面接練習など)」という2点も重要だと筆者は考えています。 自己対処法や合理的配慮の洗い出しについて ①自己対処法の洗い出し 仕事をする上で起こる困りごとに対して、自分ができることを考えて洗い出しをおこないます。その多くは、「忘れないように書きとめるメモ帳を常に持っておく」「仕事上の書類が行方不明になったり紛失しないように、スキャンしてデータ保存する」といった小さな工夫であることが多いです。 「なんだ、そんな些細なことか」と思うかもしれません。しかし、筆者の経験上、「そんな些細なこと」だから、習慣化するのが難しく、自己対処のハードルを上げてしまうのです。1つ1つ確実に実行していって、自分なりの対処法を身に付けていく姿勢が大事です。具体的にどのような自己対処法があるかについて、以下の記事も参考にしてください。 筆者のおこなった自己対処法については、以下の記事に詳しく書いてあるので、よろしければご覧ください。 ②合理的配慮の洗い出し 自己対処をするにも限界があります。それでも対処できないのであれば、企業側に配慮してもらうよう理解を求めることになります。それが「合理的配慮」です。合理的配慮の基礎知識は以下の記事にまとめられているのでご紹介します。 また、特性を知るところから、自己対処法の洗い出しを経て、企業へ求める合理的配慮を決めるところまでを分かりやすくまとめた記事もあります。こちらをお読みください。 筆者は、これまでに3社の就労経験があります。1社目と3社目が障害者雇用で、合理的配慮を申請しました。1社目は前述の通り「合理的配慮無しで良いです!」と伝えました。3社目については、特性も理解し、自己対処法も確立していたこともあり、1つに絞ってシンプルに伝えることができました。それは「怒らないでください」というものです。 自責傾向が強く、また度重なる失敗やミスにより自己肯定感が低くなっていた筆者は、とにかく叱責を受けることが何より精神的ダメージを受けるものでした。怒られ終わった後も、自分による自分へのダメ出しが続き、心理的に勝手に自分を追い込んでしまうのです。その結果、仕事が手につかず、また新たなミスを誘発してしまうことも多々ありました。 そういったことにならないよう、「一点だけお願いします。怒らないでください。改善すべき点があれば、冷静に指摘するという形にして欲しいです」と、社長面接で合理的配慮を聞かれた筆者は伝えました。 ただ、「怒らないで欲しい」とは、人によっては受け入れがたい話かもしれません。そこで筆者は、仕事の進め方(タスク管理)を活用して仕事についてはしっかり責任を持ってやるという自己対処法もセットで伝え、「自分でできる限りのことはやります。それでも対処が難しいところだけはお願いします」と伝えるようにしました。 「就活」について 志望企業を選んだり、面接対策や応募書類添削などをおこなう、いわゆる「就活」については、先にご紹介した就労移行支援事業所ディーキャリアの卒業生がこのように振り返っています。 自分の経歴は変えられない中で、どう書類でまとめればよいか・離職期間や転職の回数についてどう説明すればよいかをアドバイスしてもらえたことがよかったです。離職期間が長かったり、転職回数が多い方には、就労移行支援のフォローをもらうことがおすすめです。障害者雇用枠での就職活動は、自分の障害のことや必要な配慮事項を伝えなければなりません。自分の言葉で説明するのが難しかったので、応募書類の作成や面接練習などのサポートはありがたかったです。自分に合う求人を一緒に探してくれたり、面接に同席をしてくれたりしたことも心強かったです。 「就活」については、以下のページをお読みいただくと、より具体的にご理解いただけます。 必須とも言える第三者によるサポート 特性を知ることも、自己対処法や合理的配慮の洗い出しも、そして具体的に就活をおこなう際にも、いずれも第三者のサポートは必須ではないかと筆者は考えています。筆者はすべてをほぼ自分のみでやりましたが、せっかく就職してもうまくいかなかったり、そもそも特性の理解ができていなかったり、自己対処法や合理的配慮の洗い出しをするということすら考えが至りませんでした。 さらに、これら3点がすべて揃って就職までこぎつけるのに、数年の時間がかかりました。逆にサポートがあれば、そんなにかからなかっただろうと筆者は考えています。3点をまとめてサポートしてくれる上に、志望する企業へ就職するために必要なスキル習得の訓練もできるのが、就労移行支援事業所です。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ディーキャリアは、就労へ向けて以下4点においてサービスを提供しています。 「就労準備性」の向上就労するうえで必要な心身の健康管理(生活リズムの安定、通院・服薬等)、ビジネスマナーの習得、コミュニケーションスキル・実務スキルの習得等をおこないます。自分の障害特性への対処法の習得障害理解を深め、自己対処法の習得、必要な合理的配慮の洗い出しをおこないます。「自分らしい"働き方"」の探求業界職種はもちろん、一人ひとりに合った「働き方(障害者雇用or一般雇用、給与、職場環境、勤務時間等)」をスタッフに相談しながら決めることができます。就職サポート応募書類の添削や、面接練習、キャリア相談などを通して、就職に至るまでの「就活」をサポートします。具体的には以下をご参照ください。 具体的には以下をご参照ください。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 記事監修:北川 庄治(デコボコベース株式会社 プログラム開発責任者) 東京大学大学院教育学研究科 博士課程単位取得満期退学。通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導講師を経て現職。【発達障害当事者が解説】職場に発達障害を隠すとどうなる?障害者雇用と一般雇用の両方で就労経験がある筆者が、自身の体験談を交えながら、障害開示をするメリットとデメリットをお伝えします。タグ:合理的配慮障害者雇用クローズ就労オープン就労詳しく見る 「発達障害を隠して働いているが、問題ないのか」「診断がある場合は、障害者雇用枠で働かないといけないのか」「発達障害があることが、会社にバレてしまうことはあるのか」 発達障害があることを職場に言わずに働いている(以下表②)場合、「自分の障害のことが知られてしまうのではないか」「知られたら辞めさせられるのではないか」という不安がつきまとうのではないでしょうか。 <発達障害のある人の働き方> No雇用枠障害のオープン/クローズ①障害者雇用枠オープン(障害を開示)②一般雇用枠クローズ(障害を非開示)③一般雇用枠オープン(障害を開示) 発達障害のある人の働き方に関する基礎情報と体験談は以下のコラムでもお伝えしています。あわせてお読みください。 発達障害の1つであるADHDの特性のある筆者は、上記①②③いずれも経験があり、一般雇用枠でのクローズ就労のときは、自分の障害がバレてしまうのではないかと考えてヒヤッとしたことがあります。そんな経験談も交えながら、「発達障害の診断が出ているが、会社に言わないとどうなる?」と気になっている方々へ、一般雇用枠でのクローズ就労のメリットとデメリット・発達障害当事者としての働き方についての考えをお伝えします。 皆さんが少しでも安心した社会生活を送れるよう、この記事がお役に立つことを願っています。 [toc] 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 障害を伝えずに働くことは可能です! まず第一にお伝えしたいのは、「障害を伝えずに働くことは可能」だということです。障害があったら、それを必ず伝えなければいけないと考える必要はありません。また、こちらから言わなければ、原則的に会社は知ることはありません。 また、仮に自分の障害が会社に知られたとしても、「障害がある」という理由だけで解雇する権利は会社にはありません。障害者雇用促進法第35条では、障害者であることを理由に不当な差別的取り扱いをしてはならないと定められています。 障害者雇用促進法 第35条事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。 したがって、まずは「障害が知られても不当な扱いは受けないと制度的に保障されている」と安心していただければと思います。 障害を開示せず一般雇用枠で働くメリット そもそも、なぜ「一般雇用枠で」「障害を開示しない」クローズ就労で働くという選択肢があるのか考えてみたいと思います。 なお、冒頭でご案内したとおり、一般雇用枠でオープン就労をするという選択肢もあります。ただし、多くの場合は「一般雇用枠でクローズ就労」か「障害者雇用枠でオープン就労」のどちらかを選ぶことになるため、今回はこの2つを対比させながら考えていきたいと思います。 給料が高い 障害者雇用枠で障害を開示して働くオープン就労に比べて、一般雇用枠で障害を開示せず働くクローズ就労の方が、給料が高い傾向があります。 オープン/クローズの就労タイプ別に特徴などを図にまとめてみました。会社によって雇用条件や業務内容はさまざまですが、一般的にこのような傾向があると理解して良いと思います。 就労タイプ特徴筆者の経験事例給料障害者雇用枠オープン就労障害特性への配慮の面から、比較的負荷の低い業務が中心書類のPDF化郵便物の集配など低め一般雇用枠クローズ就労負荷が高く責任が重い業務も担う全国の社用車の配置案株主総会準備など高め キャリアパスが豊富 また、一般雇用枠のクローズ就労は、負荷の低い業務から負荷の高い業務まで幅広くこなすのが想定されるため、「将来どんな仕事をしたいか」について、より多くの選択肢があることが多いです。 それに対して、負荷の低い業務のみを担当することが多い障害者雇用枠のオープン就労では、より負荷の高い業務を行なうポジションにステップアップすることは難しいのではないでしょうか。 より多くの業務をこなせるようになるのは、将来的に自分の価値を高めることにつながります。その点で、一般雇用枠のクローズ就労にはメリットがあると考えられます。 このように、一般雇用枠でクローズ就労をするメリットとして、「給料が比較的高いこと」「キャリアパスが豊富であること」があると言えそうです。 障害者雇用枠では高い給与や豊富なキャリアパスは不可能? なお、近年では、これまでの実務スキルや知識を活かし、一般雇用枠と同様の業務を担当し同等の給与をもらえる障害者枠求人も増えてきました。また、スキルや知識がなくても、積極的に多くの仕事をしたいと伝えれば色々やらせてもらえる職場も、まれにですがあります。 筆者も、1社目の会社で、障害者雇用枠で採用されたものの、当初求人票に書かれていた業務以外の仕事を多くするようになった経験があります。しかし、その結果「あの人は普通に仕事を振っても大丈夫」と思われて、どんどん仕事が増えていつしかコントロールが効かなくなってしまい、負荷に耐えきれず筆者は休職することになってしまいました。 障害者雇用枠で働きながらも、一般雇用枠と同様の業務を担当し同等の給与をもらえるようになるためには、体調管理や業務量の管理、きちんと障害特性への配慮が受けられるような環境でいられるかなどについて相当気を付けなければならず、まだまだ課題があると言えます。【発達障害当事者が解説】「仕事がうまくいかない」対策と継続のコツ「仕事がうまくいかない…」を乗り越えるための対策を筆者の実体験をまじえご紹介。対策を立てた後に『継続』するためのコツもお伝えします。タグ:合理的配慮障害者雇用クローズ就労オープン就労自閉症スペクトラム障害(ASD)注意欠如・多動性障害(ADHD)詳しく見る 「仕事がうまくいかない」「同じようなミスを繰り返してしまう」 発達障害の特性がある方にとって、「仕事がうまくいくかどうか」はかなり大きなテーマでしょう。注意欠如・多動性障害(ADHD)の当事者である筆者も、過去に仕事でミスや失敗をして落ち込み、不安感にさいなまれる経験をしてきました。 平成29年に発表された厚生労働省の発表によると、精神障害者の障害者雇用の離職理由について「仕事内容があわない」「作業、能率面で適応できなかった」という項目が上位にきています。また、日本国内の企業の99.7%を占める中小企業のうち、障害者雇用の定着の理由として「作業を遂行する能力」を挙げる企業が一番多いという調査結果も出ています。 参考文献:障害者雇用の現状等|厚生労働省 発達障害特性への対策は世にたくさん発信されています。一方で、発達障害のある方の離職率が劇的に低くなったという話は聞きません。つまり、対策を知ったとしても、それを実際の自分の業務に生かすことが難しいのではないでしょうか。 今回の記事では、発達障害のある方によくある失敗とその対策、そして、対策を継続し習慣化していった筆者の体験談をお伝えします。皆さんが少しでも職場で長く違和感なく働けるよう、この記事がお役に立つことを願っています。 [toc] 執筆者紹介 小鳥遊(たかなし)さん 発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。 発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。 また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。 発達障害当事者によくある失敗 発達障害の特性があると、以下のような失敗をしがちです。それぞれについて、原因と対策を挙げてみます。今回ご紹介をする【原因】は、あくまでも一例です。特性は一人ひとり異なるため、あくまでも参考としてご覧ください。 ① ケアレスミスが多い 【原因】 一般に、「記憶の抜け漏れ・忘れ」はケアレスミスにつながりやすいと考えられます。発達障害の特性の有無と、「ワーキングメモリ」と呼ばれる作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力の間には関連性があることが指摘されています。 参考文献:「ワーキングメモリと実行機能の発達」|発達心理学研究 2019,第30巻,第4号,173-175 【対策】 ワーキングメモリの働きを自分でコントロールすることはなかなかできません。頭の中だけで覚えておこうとするのではなく、紙のノートやPCのメモ帳に書き出して保存することが、簡単ながら一番効果的な対策です。電話を受けたらメモをする、口頭で指示を受けたらToDoリストに書き出すなど、確実に残る記録としていつでも参照できるようにしておくことが大切です。 ② 納期を守れない 【原因】 発達障害の特性の1つとして、不安が強く心配性であるため、失敗・挫折への恐怖が強いという傾向があり、仕事(やるべきこと)の先延ばしをして納期を破ってしまいがちだとされています。 参考文献:ひきこもり支援者読本 第2章「ひきこもりと発達障害」|内閣府 【対策】 「できないかもしれない」と思ってしまう仕事は「失敗せずやれる」と思えるような細かい作業手順に分解することでその不安や恐怖を取り除きます。すると、とりあえず手を付けることができるようになります。その結果、先延ばしを避けて納期通りにやるべきことを終わらせることができます。 ③ 優先順位を間違える 【原因】 やるべきことが複数あり、そのどれから着手するかを決める、いわゆる「優先順位づけ」についてもまた、発達障害当事者は困難を抱えがちです。それは、目の前の作業に没頭するあまり、全体と部分の把握を適切に切り替えることが難しかったり、先々の展開を想像することが苦手だったりすることが原因といっても良いでしょう。 参考文献:注意欠陥/多動性障害児を対象とした課題解決場面におけるメタ認知を促すための支援方法に関する事例的研究|上越教育大学大学院 【対策】 「手を付けなければいけない順番」の指標として締切を意識します。締切を意識することで、早く終わらせなければいけないのはどれかが分かり、正しく優先順位づけをすることができます。 このように、それぞれ原因を知り対策を講じることで、よくある失敗を事前に避け、仕事の質を上げることができます。しかし、対策を講じたは良いが続かなかった、飽きて途中で辞めてしまったといった経験がある方も多いのではないでしょうか。 そこで、筆者の「挫折してしまった(継続できなかった)経験」と「うまく継続できた経験」を対比して、対策を習慣化するコツをお伝えします。卒業生インタビュー「就労移行支援を利用して良かったことは?」ディーキャリア卒業生に「実際に就労移行支援を利用してみて良かったこと」をうかがいました。今の社会人生活に役立っていることなど、リアルな体験談をお伝えします。タグ:就労移行支援事業所障害者雇用オープン就労詳しく見る ディーキャリアの卒業生の方に、「就労移行支援(ディーキャリア)を利用して良かったこと・メリット」についてインタビューをおこないました。 今回インタビューに応じてくださったNさんは、4年前にディーキャリアをご卒業、現在は障害者雇用枠で事務のお仕事をされています。そんなNさんに、ディーキャリアで学んだこと・身につけたことで、実際に社会人生活で役立っているものがあるかについて聞いてみました。 インタビューの前半では、就労移行支援を利用したきっかけについてお伺いしました。 【こんなお悩み・疑問のある方にオススメ】□ 就職を目指しているものの、うまくいかない□ 発達障害の特性があり、働くことに自信がない□ 就労移行支援(ディーキャリア)で身につくスキルを知りたい□ 就労移行支援(ディーキャリア)で解決できる悩みを知りたい 就労移行支援に興味はあるものの、利用すべきか悩んでいる方に、お役立ていただける情報満載です。 ぜひ、最後までお読みください。 参考記事本記事は当事者同士の対談のため、発達障害に関する用語でお分かりになりづらい部分があるかもしれません。「大人の発達障害」について詳しく知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。 [toc] インタビューにこたえてくれた方Nさん ■所属オフィス:ディーキャリア柏オフィス(卒業)■在籍期間:2018年6月~2019年10月■診断名:ASD(自閉症スペクトラム障害)■障害による特徴(特性):・耳から入る情報の処理が苦手 (口頭での指示などが聞き取れない、聞き洩らしがある等)・複数の指示を同時にされると混乱してしまうことがある・過集中(過剰に集中しすぎる)がある・感覚過敏があり、周りの音が気になって集中できないことがある・約束や納期を忘れてしまうことがある■現在のお仕事:障害者雇用枠で人材派遣会社での事務職として勤務。現在は求人情報のデータ入力、Wチェックを担当。 Q.就労移行支援事業所をどのように知りましたか? 精神障害の診療で通っていたクリニックの先生に「就労移行支援」を勧められたのがきっかけです。就職について相談したかったことと、自分の障害特性への理解を深めたいと考えたことから、利用を検討しはじめました。 Q.次の就職に向けて、検討していたサービスはありましたか? 就労移行支援事業所以外は、とくににありませんでした。就労移行支援事業所は、ディーキャリアを含めて2~3か所、見学や体験に行きました。 Q. 就労移行支援事業所の利用を決めた理由について教えてください。 ■就職に関する相談ができる まず、就職についての相談をしたかったことが理由です。前職はクローズ就労(障害を開示しない勤務形態)だったのですが、次は障害者雇用枠にするのか、どんな仕事が向いているのか・向いていないのかについて相談したいと考えていました。「障害者雇用」に興味はあったものの、当時は不安のほうが大きかったので、実態などを聞いてみたかったですね。 ■障害特性の理解を深められる 自分の障害特性の理解を深めたいと考えていたことも大きな理由です。前職の仕事で失敗をした経験があったので、次の仕事では同じ過ちをしないように対策をしたいと考えていました。 Q.前職での困りごとを詳しく教えてください。 前職はシステムエンジニアの仕事をしていました。口頭での指示が苦手で、聞き洩らしをしまったり、同時にいくつもの指示がくると混乱してしまって、ミスをしてしまったりすることがありました。例えば、指示をされた仕事が10個あるとしたら、8個は覚えていられるのですが、2つ抜けてしまうという…。業務の抜け漏れによる失敗を何度も繰り返してしまって、3年ほどで退職しました。お客様先での常駐勤務であったことから、相談できる相手がいなかったことも退職理由です。 Q.ディーキャリアの利用を決めた理由について教えてください。 ディーキャリアのプログラムは、3つのステップになっていて、段階的に学んでいけるのですが、それが自分に合っていると思いました。見学にいったときのスタッフや利用者の方の様子も決め手のひとつです。相談や質問がしやすい雰囲気で、安心することができました。 Q.実際に「就労移行支援」や「ディーキャリア」を利用して良かったこと(メリット)について教えてください。 ■障害特性への理解を深めることができた 自分の障害特性の理解を深めることができたことです。診断がでたときにクリニックでも説明を受けていたので、自分の特性は「なんとなく」は理解していたのですが、自分の仕事上のミスがどの特性によって起こっているかは分かっていませんでした。実際にどの特性が仕事に影響しているかを明確にすることができました。 ■自分と同じ悩みのある人と交流ができた 自分と同じ障害のある利用者の方と一緒にプログラムに参加できたのも、良い経験でした。ライフスキルコースでは、座学形式で他の利用者の方とプログラムを受け、チームに分かれて共有をする機会があるのですが、他の方の意見を聞くことができたことが良かったです。例えば「ストレスコーピング」といってストレスの解消方法を学ぶプログラムでは、自分もやってみたいと思える対策を知ることができました。 ■就職活動のサポートを受けることができた 障害者雇用枠での就職活動をサポートしてもらえたことも、ありがたかったです。履歴書や職務経歴書だけではなく、ナビゲーションブックという自分の障害を説明する資料の添削をしてくれました。面接の練習もよかったです。自分の障害についてうまく伝えることに自信がなかったので、助かりました。ディーキャリアの利用前は、障害者雇用枠と一般雇用枠どちらで働くか悩んでいたのですが、スタッフの方と話し合ったり、いろんな会社の説明会に参加したりしたうえで、障害者雇用枠で就職することに決めました。障害への配慮や相談しやすい環境を重視したかったからです。気軽にいろんなことを相談できたので、とても助かりました。 ■通所へのモチベーションを保つことができた 毎週土曜日のイベントも気に入っていました。平日は真面目な雰囲気でプログラムを受けるのですが、土曜日はヨガやカードゲームなどのイベントに参加することができます。他の利用者の方と交流ができて、リフレッシュすることができたので、来週も頑張ろうとモチベーションを保つことができました。 Q.ディーキャリアで学んだことで、今の社会人生活で役立っていることについて教えてください。 ■障害特性による困りごとへの対処法 自分の障害特性への理解を深めて、どのようにすれば苦手なことに対処できるかを学んだのですが、今の仕事でも役立っています。 【現在の勤め先での合理的配慮と自己対処】 ・耳から入る情報の処理が苦手 ⇒業務指示や説明は「書面(チャットやメール等)」でおこなってもらう ・複数の指示を同時にされると混乱してしまうことがある ⇒タスクを一つずつ説明してもらう、メモを取る時間をもらう ・過集中(過剰に集中しすぎる)がある ⇒スマホアプリを活用し、適宜休憩をとるためにアラームを設定している ・約束や納期を忘れてしまうことがある ⇒カレンダーのアプリを活用し、アラームが鳴るように設定している このような対策をすることによって、以前感じていた働きづらさや、前職と同じようなミスが起こりづらくなりました。 ■コミュニケーションスキル ディーキャリアを利用する前は、コミュニケーションに苦手意識はなかったのですが、利用をする中で課題に気づいて、対策を学ぶことができました。例えば、「人の話を遮って話し始めてしまう」という癖があることです。相手の立場になって、会話をする方法を学びました。以前から仕事の話などはできたものの、自分から話題を振ることが少なかったのですが、日々の訓練の中でコミュニケーションを通じて、雑談がしやすくなりました。 Q.就労移行支援事業所を利用するか迷っている当事者の方に、何かアドバイスがあればお願いいたします。 発達障害のある方は、自分の特性について知ることがとても大切だと考えています。自分にどのような特性があるかを知って、どのように具体的に対策をすればよいかを知ることで、働きやすくなると思います。働くことに不安がある方は、まずは相談してみるのがおすすめです。 Q.最後に、ディーキャリアの利用満足度を10点評価してください。その理由も教えてください。 10点です。プログラムがとてもためになりました。例えば、「リフレーミング」というプログラムでは、自分自身のとらえ方を変えるだけで気分が楽になることを学びました。自分らしく就職が目指せたことも、高評価の理由です。無理して就職をするのではなく、体調を優先しつつ、自分のペースで進めることができました。障害者雇用枠での就職を決めることができたのも、ディーキャリアで、自分に合っている働き方を知れたことが理由です。 担当スタッフよりコメント 就労移行支援事業所ディーキャリアに通うメリットは、「仕事スキル」だけでなく、「社会スキル」を身につけられることだと考えています。働くうえでは、もちろん実務に必要な技術や知識も必要ですが、社会生活の中では、人との関わり方やストレスケアを身につけることも非常に重要です。 今回のNさんのインタビューでもあったように、発達障害の特性によって「働きづらさ」を感じている方は、特性の理解を深めることも必要です。 ディーキャリアでは、3つのコースを用意しており、それぞれ、①自分の発達障害の特性を知り、②自分の特性に応じた対策を実践・検証し、③自分に合った就職先を探す、ことを目的にしています。 特性による「働きづらさ」を感じている方、「働くこと」に自信がない方は、お気軽にご相談ください! ディーキャリア柏オフィス オフィス詳細▶問い合わせフォーム▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアについて 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスのひとつです。(厚生労働省の許認可事業)ディーキャリアでは、発達障害の特性による働きづらさをフォローするプログラムと自分の価値観や適職を見極めるカリキュラムで、「やりがいを感じられる仕事探し」×「あなたらしい働き方探し」を目指す支援を提供しています。 全国のディーキャリアで、無料相談・体験会を随時開催しています。障害特性による「生きづらさ」「働きづらさ」を感じている方は、お気軽にご相談ください。 お近くのディーキャリアを探したい方は こちら▶ディーキャリアを詳しく知りたい方は こちら▶ ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 全国共通お問い合わせフリーダイヤル(0120-802-146)はこちら▶お問い合わせフォームはこちら▶働きやすい職場の探し方|発達障害のある方の「求人検索」ポイント「自分に合った職場を選びたい」発達障害のある方が就職・転職時に求人検索をするときのチェックポイントを、当事者の体験談を交えてご紹介します。タグ:障害者雇用クローズ就労オープン就労自閉症スペクトラム障害(ASD)注意欠如・多動性障害(ADHD)限局性学習障害(SLD)詳しく見る 「転職しようと思っているけど、自分に合った職場をどうやって見つければいいんだろう」 誰にとっても、自分に合った職場を見つけるのは難しいもの。特に発達障害のある方の場合、仕事の経験やスキルだけでなく、自分の障害の特性も考慮して選ばないと、転職先で働きづらさを感じる原因となってしまいます。 実際に、筆者も転職の際に自分とは合わない職場を選んでしまったことで二次障害になり、1年もたたない間に離職することになってしまった経験があります。 そこで今回は、発達障害のある方が就職・転職活動で求人を検索する際に、調べておいた方がいいポイントをご紹介します。皆さんが自分にあった働きやすい職場を見つけるために、この記事がお役に立てれば幸いです。 [toc] 自分に合わない職場を選んでしまうとどうなる? もしも、自分に合わない職場を選んでしまったら、どのような困りごとが起こるのでしょうか。まずは失敗例として、筆者の体験談をご紹介します。 私は、注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)と自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受けています。失敗経験をしたのは、35歳で2度目の転職をしたときでした。 職場の環境が合わなかった 転職前はオフィスが比較的広く、デスクが一人ひとりパーテーションで区切られていました。黙々と作業するタイプの業務をおこなっている企業でしたので、職場は比較的静かで、電話が鳴ることもあまりありませんでした。 しかし、転職後は小さな会社だったので、一つの部屋で10名弱の社員全員が働いており、個人のスペースはほとんどありませんでした。誰かが話していれば耳に入りますし、電話もしょっちゅう鳴っていました。 私はADHDの特性から、周囲の様子がとても気になってしまい、自分の作業にうまく集中することができませんでした。 仕事の進め方が合わなかった 転職前の職場は人数が多く、チームで仕事を進めることが多かったため、困ったときにも相談しやすく、自分からヘルプを出さなくてもサポートを受けやすい環境でした。 しかし、転職後の職場は人数が少なく、個人で仕事を進めることが多かったため、誰かの協力が必要な場合には周囲に対して自分から積極的にコミュニケーションを取り、巻き込んでいく必要がありました。 私はASDの特性から、コミュニケーションを取ることが苦手だったため、周囲を巻き込めずに一人で問題を抱え込んでしまい、うまく仕事を進めることができませんでした。 社内制度(福利厚生)が合わなかった 転職前の職場は社員が50名以上でしたので、産業医を設置する義務があり、いつでも相談できました。また、従業員へ定期的なアンケートをおこなったり相談窓口が置かれたりしており、従業員の健康を管理する制度が整っていました。 しかし、転職後の職場は人数が少なかったため産業医の設置義務がなく、また、設立から数年の若い会社だったため、社内制度(福利厚生)がまだ十分に整備されていませんでした。 一概には言えませんが、一般的には会社規模が大きくなるほど社内制度(福利厚生)は手厚くなると言われています。そのため、小さな会社ではメンタルヘルスケアや障害者雇用に詳しい担当者がいないこともあるのです。 ※もちろん、会社規模が小さくても社内制度(福利厚生)が整っている会社もたくさんあります。 当時の上司は親身に相談に乗ってくれたのですが、特別に専門知識があるわけではありませんでした。私も、当時はまだ自分の障害について理解が浅かったため、合理的配慮の調整がうまくできず、お互いにとって負担だけが大きい状態に陥ってしまいました。結果的に、私は仕事を辞めることになってしまったのです。 自分に合った職場を選ぶ大切さ 就職・転職活動において、自分の持っているスキルや経験に合った職場を見つけることはもちろん大切です。それに加えて、発達障害のある方の場合は「自分の特性に合っているか」という観点がとても重要です。 筆者の場合、転職前も後も営業職で、同じ職種での転職でした。しかし、転職前はどうにか仕事ができていたのに、転職後に困りごとが表面化しました。つまり、同じ職種であったとしても、職場の環境が変わるだけで大きな影響があるのです。 自己分析を行って自分の特性を理解したうえで、どのような職場であれば自分に合うのかを考え、求人を検索することが大切です。 なお、発達障害のある方向けの自己分析や、企業研究については、以下の記事もご参照ください。 就活HACK|発達障害のある方のためのお役立ちコラム発達障害のある方の合理的配慮事例|職場コミュニケーション編発達障害の特性により「職場でのコミュニケーションが苦手」という方に向け、実際に提供されている合理的配慮事項と自己対処法をセットで紹介します。タグ:合理的配慮障害者雇用オープン就労詳しく見る 合理的配慮とは、「障害による困りごとへの配慮を、企業や自治体、教育機関等の事業主(※)に求めることができる」という制度です(※以下、本文では「職場」と表記します)。合理的配慮について職場と調整をすることは、発達障害のある方が安定して長く働いていくために大切なポイントとなります。 では、具体的にどんな内容であれば、職場に合理的配慮を求めることができるでしょうか。 今回は、発達障害の特性がある方が抱えやすい「コミュニケーション」の苦手に対する配慮事例を紹介をします。 [toc] 相談前に押さえておこう〜合理的配慮の前提となる自己対処〜 「合理的」と付いているのには理由がある。 「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」などの法律では、障害のある方に対し職場は合理的配慮の提供をおこなうことを義務づけています。 ただし、「障害者が求めたことは、どんな内容でも配慮してもらえる」というわけではありません。 法律では、職場が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で」と定められています。職場の側に配慮を求めるだけでなく、障害者の側も「自分でおこなえる対処」を提示して、互いに無理のない範囲をすり合わせることが必要です。 これが、単に「配慮」ではなく「合理的配慮」と書かれている理由です。 「合理的であるかどうか」を判断するポイントは、「障害が原因となる困難さのうち自己対処では対応しきれないことであり、かつ職場側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲かどうか」ですので、しっかりと押さえておきましょう。 なお、合理的配慮については以下の記事で詳しく解説しています。実際に職場と合理的配慮の相談をする前に、ぜひご一読ください。 参考・合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。・「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介・合理的配慮のよくある質問集 次ページ:具体的にどのような相談をしたらいいの?発達障害当事者がオープン就労/クローズ就労の両方で働いてみて分かったこと発達障害当事者がオープン就労とクローズ就労のそれぞれで実際に働いてみて、どのようなことを感じたのか、実体験から得た学びをご紹介します。「障害をオープンにするかクローズにするか」で迷っている方のお悩みが解決するためのヒントとしてご覧ください。タグ:合理的配慮障害者雇用クローズ就労オープン就労はたラクHACK詳しく見る 「仕事や人間関係がうまくいかず、悩んでいろいろと調べてみたら、どうやら原因は発達障害にあるらしい。病院を受診して発達障害の診断も受けた。では、その診断結果を会社に伝えるべきか——」 発達障害の診断を受けたことを会社に伝えるかどうかは、とても大きな問題です。 発達障害の特性が原因で、仕事や人間関係などに困りごとが現れている以上、何らかの形で支援してもらいたい・助けてもらいたいという気持ちは当然あります。 その一方で、「上司や同僚に理解されなかったらどうしよう」「待遇が下がったり辞めさせられたりすることはないだろうか」など、さまざまな不安も湧いてきます。筆者もまさに、発達障害の当事者としてこのような悩みを抱えていました。 30 代で自閉症スペクトラム障害(ASD)と注意欠如・多動性障害(ADHD)の診断を受けてから 5 年。その間に私はオープン(障害開示)就労とクローズ(障害非開示)就労の両方を経験しました。 今回の記事では、筆者がオープン就労とクローズ就労のそれぞれで実際に働いてみて、どのようなことを感じたのか、実体験から得た学びをご紹介します。「障害をオープンにするかクローズにするか」で迷っている方のお悩みが解決できるよう、何かのヒントとなれれば幸いです。 [toc] 1. オープン就労/クローズ就労の 3 つのパターン まず、オープン就労とクローズ就労のパターンを整理しておきましょう。「オープン就労=障害者雇用」「クローズ就労=一般雇用」と考えてしまいがちですが、実際には以下の 3 つのパターンがあります。 1-1. 障害者雇用枠で働く(オープン就労) 一般的にオープン就労としてイメージされることが多いのがこちらです。障害者雇用枠で働くためには当然ながら障害のことを会社に伝える必要があります。 ただし、会社側と相談のうえで「人事部門と直属の上司だけに伝える」というように、会社のなかで障害を開示する範囲を「業務の遂行や支援のために必要な範囲に限る」ことは可能です。 1-2. 一般雇用枠で障害を非開示にして働く(クローズ就労) 一般的にクローズ就労としてイメージされることが多いのがこちらです。発達障害があったとしても、「障害特性をセルフケア(自己対処)でカバーできている場合」や「障害特性による苦手や困難が、仕事をするうえで影響を及ぼさない、もしくは許容できる場合」には、障害を開示せず一般雇用で働いている方も数多くいらっしゃいます。 1-3. 一般雇用枠で障害を開示して働く(オープン就労) 一般雇用枠で障害を開示して働くことも可能です。障害者手帳の有無や雇用の形態を問わず、障害によって社会のなかで困難さを抱えている人であれば誰でも、会社に合理的配慮の提供を相談することができます。 「もともと一般雇用枠で働いていた人が、在職中に発達障害の診断を受け、障害者雇用枠に切り替えず一般雇用枠のまま合理的配慮を受けて働く」といったケースも多くあります。 *** 筆者は 3 つのパターンをすべて経験しましたので、この後の章ではそれぞれについて詳しく体験談をご紹介します。 なお、「障害者雇用/一般雇用」や「合理的配慮」については、過去のコラム記事で解説しています。この記事の最後にリンク集をまとめておりますので、詳しく知りたい方はそちらもぜひご参照ください。 次ページ:オープン就労(一般雇用枠)で実際に働いてみて、どうだった?【大人の発達障害の就活HACK】面接の準備をしよう|対策と流れ大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。タグ:就活HACK合理的配慮障害者雇用オープン就労自閉症スペクトラム障害(ASD)注意欠如・多動性障害(ADHD)限局性学習障害(SLD)詳しく見る 書類選考を通過すると、いよいよ次は面接です。初めて会う人と話すのは誰でも緊張するもの。ましてや、それで就職できるかどうか決まると思うと、いっそう緊張感は高まります。 大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。 スケジュールを立てることや見通しを立てることが苦手で、面接準備が間に合わない 遅刻をしてしまうことが多く、面接時間に間に合わない 考えを頭の中でまとめるのが苦手で、質問にうまく答えられない 面接官からの質問を忘れてしまったり理解ができなかったりすることで、かみ合わないことがある そもそもコミュニケーションが不得意で、話すことが苦手 など、特性による苦手によって “つまずき” を感じることがあります。 この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。 面接は職場の実際の様子を見たり、担当者と直接話をしたりできる貴重な機会でもあります。しっかりと準備をしていきましょう。 [toc] 1. 事前の準備が何よりも大切 発達障害のある方に特に多いのが、人前で話すのが苦手という悩みです。「人前で話すことが得意な人でないと、面接はうまく行かないんじゃないか…?」と心配に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、決してそんなことはありません。たとえ人前で話すことが苦手でも、事前の準備をしっかりすることで面接を乗り越えることができます。 マイクロソフト社で 10 年以上にわたりトップ・プレゼンターとして表彰され続けた澤 円(さわ・まどか)さん。人前で話すプロフェッショナルであり「プレゼンの神様」とまで呼ばれた澤さんは “プレゼンが成功するかどうかは、8 割が準備で決まる” と語っています。(澤さんご自身、発達障害の当事者でもいらっしゃいます。) 「私は人前で話すことが苦手だから、面接は自信がない…」という方ほど、準備にしっかりと時間をかけましょう。 1-1. しゃべる内容の台本を作る どんなに話し方がキレイなアナウンサーでも、名演技をする俳優でも、しゃべっていることには必ず台本があります。まずは、面接でしゃべる内容を紙に書き出して、台本を作りましょう。 「面接では何を聞かれるか分からないのに、台本が作れるの?」と思われるかも知れませんが、ほとんどの面接では、聞かれることは共通しています。たとえば以下のようなものです。 この会社へ応募しようと思ったのはなぜですか?(志望動機) あなたがこの会社へ入ったら、どのようなことで活躍できますか?(自己 PR) あなたの長所や短所を教えてください。(自己分析) あなたが、これまでの人生で体験した成功/失敗について教えてください。(自己分析) 特に “志望動機” や “自己 PR” は、応募書類(履歴書・職務経歴書)にも書いていますので、書類に書いたことと面接でしゃべることが食い違ってしまわないよう注意しましょう。食い違ってしまうと話がウソっぽくなり、マイナスの評価になってしまいますので、書類に書いた内容をもとに台本を作りましょう。 障害者雇用枠での採用面接の場合、以下のような “障害に関する質問” もされますので、こちらも台本を作っておきましょう。 あなたの障害特性について教えてください 必要な合理的配慮は何ですか? あなたが行っている「障害へのセルフケア」について教えてください なお、合理的配慮の考え方については以下の記事もぜひ参考にしてみてください。 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 手書きの書類を郵送で送る場合は、台本を作るために、発送前にコピーを取って手元に残しておくことをオススメします。もし、コピーを取らずすでに書類を送ってしまっている場合は、できる限り思い出して書いてください。 1-2. 実際に声に出して練習する 台本ができたら、実際にしゃべる練習をしましょう。声に出してみて、しゃべりづらい部分があれば台本を手直しします。台本を丸暗記する必要はありません。自分の言葉で、自然に話せることが大切です。 しゃべっている内容を誰かに聞いてもらっても良いでしょう。第三者の視点から、自分では気が付かないこともアドバイスしてもらえることがあります。「誰かに聞かれるのは恥ずかしい」「聞いてもらえる相手が近くにいない」という場合は、スマートフォンの “ボイスメモ” のアプリを使って自分の声を録音し、自分で聞いてみるだけでも新たな発見があります。 練習では、話すスピードや量を意識することが大切です。①早口になりすぎない ②話が長すぎない…の 2 つを意識して台本を作りましょう。例えば、自己紹介の場合は「文字数は300~500字」で台本を作り、ストップウォッチで時間を測りながら「2分以内」で話せるように練習をしてみましょう。 このあと「2. 面接当日の流れを知っておこう」で、実際の面接の流れについて解説しますが、それに沿って練習するのもオススメです。例えば、家族や友人に面接官役をやってもらい、自分は実際にスーツを着て、部屋に入るところから実際に受け答えするところまでを一通りシミュレーションしてみるのです。心の準備にもなり、当日の緊張を和らげることができます。 1-3. 当日の準備をする 面接の当日、実際に出かけるときの準備も、事前にしっかりと済ませておきましょう。準備のポイントは、以下の 2 点です。 ポイント 1. 身だしなみを整える 身だしなみはとても大切です。「人は外見よりも中身の方が大事だ」とよく言われますが、身だしなみは社会人としてのマナーの基本です。面接官からも見られるポイントになりますので、しっかりと準備をしておきましょう。 服装は基本的に、上下セットのスーツです。ワイシャツは体に合ったサイズを選び、シワがないようアイロンをかけます。革靴も磨いておきましょう。 「面接に着ていけるようなスーツをまだ持っていない」という方は、スーツ専門店で購入しましょう。店員さんに「就職活動の面接で着ていけるスーツが欲しいんですが……」と尋ねれば、最適なモノを見繕ってもらえます。自分の体型に合ったワイシャツや、ネクタイ・靴下・革靴までセットで揃えることができます。 身だしなみや面接に着ていく服に悩んでいる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】朝の準備をテンプレ化!ワーキングメモリーの弱み&衝動性対策で遅刻を防止 ポイント 2. 遅刻をしないようにする 面接でもっともやってはいけないことは、約束の時間に遅刻することです。身だしなみと同じく、「約束や時間を守ること」は社会人としての基本的なマナーです。履歴書がどんなに立派でも、面接でどんなに上手く自己 PR できたとしても、遅刻をしたらすべてが台無しになってしまうので、じゅうぶん注意しましょう。 「途中で交通機関が遅れたり、体調が悪くなったりしたら仕方がないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、「そうなったとしても、できるかぎり遅刻をしない」ように事前に準備しておくことが大切です。 交通機関が遅れるかも知れない → 約束の時間より1時間ほど早く到着できるよう、余裕を持って出発し、早めに着いたら、目的地周辺のレストランやカフェなどで時間まで待機する。 途中で体調が悪くなるかも知れない → 前日は早く寝て体調を整える。「緊張するとお腹が痛くなりやすい」など、特定の症状が出やすいことが分かっている場合は、胃腸薬などの薬を事前に用意して持って行く。 当日「やむを得ない事情」や「急用」で遅刻やキャンセルをする際には、必ず先方に電話で連絡を入れます。(メールだと、相手が気が付くまで時間がかかるため。)先方の連絡先をあらかじめ携帯電話やスマートフォンに登録しておき、すぐに連絡ができるよう準備しておきましょう。 「やむを得ない事情」や「急用」とは、以下のようなものです。 体調を整えることにじゅうぶん注意していたが、それでも体調を崩してしまった場合(例:持病が急に悪化してしまった、新型コロナやインフルエンザなどの感染症にかかってしまった、等) 地震などの突然の災害や大規模な事故などで、交通機関が2時間以上遅れたり、運休したりしているような場合 自分の親や子ども、一緒に住んでいる家族など「近しい親族」に、命に関わるようなことが起こった場合(例:交通事故に遭って病院に運ばれた、病気で入院していたが危篤状態になった、等) 自分自身が、何かの事件や事故に巻き込まれた場合 なお、遅刻をしないためのテクニックについて、以下の記事でスマートフォンアプリを活用した方法を解説しています。こちらもぜひご参考ください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】アプリ活用で予定通りに行動!原因を理解して、遅刻対策をしよう。 次ページ:実際の面接は、どのように進むの?発達障害当事者による【障害者手帳ガイド】手続き方法、メリット/デメリット、実際に取得してみた体験談障害者手帳とは?取得・更新の手続きの方法から、メリット/デメリット、よくあるご質問まで、情報をまとめました。実際に手帳を取得した当事者の体験談もご紹介します。タグ:障害者雇用オープン就労はたラクHACK詳しく見る 大人の発達障害の当事者の方、ご家族など当事者をサポートする方々の中には「これから、どうやって生計を立てて行けば良いのか」という心配を感じられている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ・障害を抱えながら働くことはできるのか。 ・生活を補助してくれるような支援は受けられないのか。 そのような疑問について調べるうちに、たどり着くのが障害者手帳に関する情報です。 手帳を取得すれば、障害への配慮を受けながら働くこと・公的な支援を受けることがしやすくなるメリットがあります。 ただ、大人になって診断を受けた方のなかには、名前は何となく聞いたことがあったとしても、「どういうものかよく分からない」という方が多いのではないかと思います。 ・どうすれば取得できるのか。 ・病院や役所での手続きに、手間がかかるのではないか。 ・取得したら、どんなメリットやデメリットがあるのか。 ・そもそも自分は対象となるのか。発達障害(ASD、ADHD、SLD)で手帳は取得できるのか。 調べれば調べるほどに、不安も募ります。そんな方に向けて、今回のコラムでは「30代半ばまで発達障害のことを知らずに生活してきた筆者が、診断を受けたあと手帳について調べたことや、実際に手帳を取得した体験談」をご紹介します。 障害者手帳とは一体どういうものか。取得・更新の手続きの方法から、メリット/デメリット、よくあるご質問まで、情報をまとめました。発達障害の診断を受けた方の不安を解消するために、本コラムがお役に立てましたら幸いです。 [toc] 1. 障害者手帳の基本情報 1-1. そもそも障害者手帳とはなにか? 障害者手帳とは「カラダやココロの機能に、一定の障害があることを認定するためのもの」であり、障害者の自立と社会参加を支援するための、国による制度です。 障害者手帳を取得することで、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスや、各自治体や民間事業者が提供する支援サービスを受けることが出来ます。 障害者手帳には以下の三種類があり、制度のもととなる法律がそれぞれ異なるため、申請や更新の方法に違いがあります。インターネット等で障害者手帳について調べていて、情報が混乱してしまう原因はこの違いにあります。 発達障害者が取得することができるのは(3)精神障害者福祉保健手帳ですので、自分で情報を調べるときには注意しましょう。 (1)身体障害者手帳 ・身体の機能に一定以上の障害があると認められた方に交付される手帳。 ・申請:①医師の診断書・意見書(都道府県知事、指定都市市長、または、中核市市長が指定する医師に限る) ②身体に障害のある方の写真 の2つを用意し、福祉事務所、または、市役所にて行う。 ・更新:原則なし。ただし、例えば「障害の状態が軽減される」などの変化が予想される場合には、手帳の交付から一定期間を置いたあとに、再認定を実施することがある。 (2)療育手帳 ・児童相談所、または、知的障害者更生相談所において、「知的障害がある」と判定された方に交付される手帳。 ・申請:お住まいの自治体によって、手続き方法や必要書類などが異なる。 ・更新:あり。お住まいの自治体によって、手続き方法や期間などが異なる。 (3)精神障害者保健福祉手帳 ・一定程度の精神障害の状態にあると認められた方に交付される手帳。 ・申請:市町村の担当窓口を経由して、都道府県知事、または指定都市市長に行う。 ・更新:あり(2年ごと)。お住まいの自治体によって、手続き方法や必要書類などが異なる。 参考URL: ・障害者手帳について|厚生労働省 ・精神障害者福祉手帳|治療や生活へのサポート|メンタルヘルス|厚生労働省 1-2. 発達障害者が取得できる、精神障害者福祉保健手帳とは? 精神障害者保健福祉手帳は、「一定程度の精神障害の状態にあること」を認定するものです。何らかの精神障害により、長期にわたり日常生活や社会生活へ制約を受けてしまっている方が対象です。例えば以下のような、精神障害のすべてが対象です。 ・統合失調症 ・うつ病、そううつ病などの気分障害 ・てんかん ・薬物依存症 ・高次脳機能障害 ・発達障害(ASD、ADHD、SLD) 現在(2021年6月時点)の日本の法律では、発達障害は「精神障害」に分類されるため、精神障害者福祉保健手帳の対象となっています。 1-3. 精神障害者保健福祉手帳の申請方法は? 申請を受け付ける窓口は、お住まいの自治体の役所(市区役所・町村役場)にあります。「障害福祉課(障がい福祉課)」や「障害支援課(障がい支援課)」などの名前で窓口が設置されていますので、役所のホームページで調べてみましょう。 あるいは、役所の総合受付で「障害者手帳について相談したい」とたずねれば、担当窓口を案内してもらえます。 自治体によって手続きの内容に若干の違いがありますが、相談すれば丁寧に教えてもらえるので、まずは担当窓口を訪ねてみるのが良いでしょう。 申請には以下の書類が必要です。 (1)医師の診断書 精神科医、または、発達障害の専門医によって「発達障害である」と診断された証明書です。 この診断書は初診から6か月以上がたってからのものでなければなりません。理由は、精神障害は他の障害(身体・知的)とは異なり、時間の経過によって状態が変化する(※)ことがあるためです。 障害者手帳の交付が必要な「継続的な困難さがあるか」を判断するには、ある程度の期間、状態を観察することが必要と考えられているのです。 (※発達障害は生まれもっての先天的な障害のため、他の精神障害とは異なり「時間が経過しても、症状や困りごとに変化があるわけではない」として、区別するよう求める議論もなされています。) なお、病院で診断書を発行してもらう際、おおむね5,000円前後の作成料がかかります。自治体によっては、作成料を助成してくれる場合があるので、ホームページや窓口で確認してみると良いでしょう。 (2)精神障害による障害年金を受給している場合は、その証書等のコピー すでに障害年金を受給している場合は、(1)の診断書の代わりに申請書類として使うことができます。 (3)本人の写真 マイナンバーカードや免許証を作るときと同じように、証明写真が必要です。多くの場合は手帳に写真が掲載されます。 自治体によっては、宗教上や医療上で特別な事情がある場合に、頭を布で覆うことを認めている場合があります。 また、障害者手帳に写真を掲載しないことを選べる自治体もありますが、「手帳に写真を掲載しない場合、本人確認の観点から、受けられるサービスが限定される」などの制限が加わる場合があります。 窓口で申請してから、手帳が交付されるまでの期間は、平均で2か月〜3か月です。窓口となる自治体により、審査の内容や手順が異なるため、もっと短い場合もあれば長い場合もあります。 1-4. 取得した精神障害者保健福祉手帳は、更新手続きが必要か? 更新手続きは2年ごとに必要で、有効期限の3か月前より更新手続きが行えます。 更新の際にも医師の診断書が必要なため、診断書を書いてもらうための通院など、余裕をもったスケジュールを立てておきましょう。 なお、自治体によっては、更新に関する案内が特に送られてこず、自分で期限を管理しなければならない場合があります。 期限が切れてしまった場合、障害者手帳を元に受ける支援やサービス(例えば、障害者雇用枠での雇用や、税金の控除、公共交通機関の運賃の割引など)が受けられなくなってしまうため、忘れないように注意が必要です。 次ページ:障害者手帳について悩んだとき、相談できるところはある?障害者雇用とは?オープン就労を目指す方に向け、基礎情報をまとめました。求人情報サイトなどで目にすることがある「障害者雇用枠」。そもそも「障害者雇用」とは何?障害のある人の「働く」を守る法律はあるの?といった疑問にお答えするための基礎情報をまとめました。タグ:特例子会社障害者雇用オープン就労詳しく見る 国は「障害の有無にかかわらず、個人の希望や能力、適性に応じた職に就き、自立した生活を送ることができる社会」を目指して、障害のある方の雇用対策を推進しています。 厚生労働省の調査(令和元年度 障害者の職業紹介状況等)によれば、障害のある方々が「働きたい」と思う意欲は年々高まっており、ハローワークにおける障害のある方の就職件数は、この11年連続で増加しています。 また、平成30年4月1日より障害者雇用率(企業等の事業者に義務づけられた、障害者を雇用しなければならない人数の割合)が引き上げられ、企業や自治体、教育機関等の事業主が、障害のある方を積極的に雇用するよう後押ししています。 この記事では、障害者雇用枠での就職を目指す方に向けて、障害者雇用の基礎知識をまとめました。障害のある方の雇用をどのように国が推進しているのかを知ることで、障害者の権利や、権利が守られない場合の対処法について知識を深めましょう。 [toc] 障害者雇用促進法とは 障害者雇用促進法は、正式な名称を「障害者の雇用の促進等に関する法律」といいます。その目的は、大きく下記の3つです。 障害者の雇用の促進と安定障害者が職業に就くため、また就いてからの、職業リハビリテーションの推進障害者の自立の推進 つまり、誰もが自分の能力や適性を十分に発揮し活躍ができる雇用環境を整え、障害の有無に関わらず皆がともに働く社会を作るための法律が、障害者雇用促進法です。 障害者雇用促進法で定められている制度やルール それでは、障害者雇用促進法で定められている制度やルールについて、具体的にその内容を解説していきます。 1. 障害者雇用率制度 企業等のすべての事業主は、常時雇用(※)する従業員のうち、一定の割合=法定雇用率以上の障害者を雇用することが義務付けられています。 ※常時雇用…正社員・パート・アルバイトなどの名称にかかわらず、「期間の定めなく雇用されている者」「過去 1 年以上の期間について引き続き雇用されている者、または雇い入れ時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者」のこと。 法定雇用率は、事業主の区分によって割合が定められています。令和3年3月の法改正によって以下のように割合が引き上げられ、障害者雇用の推進が図られています。 民間企業(従業員45.5人以上)…2.2%→2.3%国、地方公共団体、特殊法人…2.5%→2.6%都道府県等の教育委員…2.4%→2.5% 令和3年3月の法改正では法定雇用率の引き上げとともに、民間企業の事業主の範囲が「従業員45.5人以上」から「従業員43.5人以上」へと拡大し、より多くの民間企業が対象となりました。なお、福祉先進国であるヨーロッパの国々では、法定雇用率は5%以上となっており、日本もそれにならう形で、今後さらに割合が引き上げられると予想されています。 2. 障害者雇用納付金制度 障害者雇用に伴う、事業主の間の経済的負担の差を調整したり、経済的な負担を軽減したりするための制度です。大きく分けて以下の2つがあります。 2-1. 納付金・調整金 先ほど「1. 障害者雇用率制度」でもご紹介したとおり、障害者雇用促進法では、すべての事業主に対して一定の割合での障害者の雇用を義務づけられています。しかし実際には、障害者雇用率を満たせている事業主も、満たせていない事業主も存在します。 障害者雇用のためには、施設の整備や介助者の配置など、事業主には少なからず経済的な負担が発生します。「障害者雇用を推進する企業だけが経済的な負担を背負い、推進できていない企業は負担を免れる」ということにならないように、法定雇用率を満たせていない企業からは納付金を徴収し、満たせている企業には調整金を支給する仕組みになっているのです。 なお、納付金を徴収する対象は、一定の規模以上(常時雇用される従業員が100名以上)の事業主となっており、100名未満の事業主からは徴収されません。これは、規模の大きな事業者ほどより大きな経済的利益を得ており、社会的な責任も大きいという考えに基づいています。 そのため、大企業の方が、中小企業と比べてより積極的な障害者雇用を求められていると言えるでしょう。 2-2. 各種助成金 事業主が障害のある方を雇用した際や、施設の整備、介助者の配置などを行った際に申請することで、事業主に一定の金額が支給される助成金制度が整備されています。事業主の経済的な負担を軽減し、障害者雇用を後押しするための制度です。 3. 障害者に対する差別の禁止 すべての事業主に対し、障害者であることを理由に不当な差別をすることを禁止するルールです。募集や採用を行う際、そして採用後の待遇(賃金・配置・昇進・教育訓練など)において、以下のような差別を禁止しています。 募集・採用時 ・「障害がある」ことを理由として、募集や採用の対象から外す ・障害のある方に対してのみ不利な待遇条件を提示する(例:賃金が低い、賞与・昇給がない、福利厚生がない、雇用形態が異なる、等) ・求める経験を持つ候補者が複数いた場合に、障害のない人を優先し採用する 採用後 ・教育訓練(研修、実習など)を受けさせない ・食堂、休憩室などの利用を制限する ・人事考課を行わない、昇進・昇格がない ・ジョブローテーション(社内における職種変更)を受けられない なお、このルールで禁止されているのは不当な差別です。障害の有無にかかわらず職業能力を適正に評価し、その結果として待遇が異なるということを説明できる場合には、ルール違反を問われることにはなりません。 4. 合理的配慮の提供義務 合理的配慮とは、障害のあるなしに関わらず誰もが平等に生きることができる社会を実現するために、障害によっておきる困難さを取り除いたり、周りの環境を整えたりするなどの支援のことです。 合理的配慮の提供を受けることができる「障害者」とは、「障害者手帳を持っている人のこと」だけではありません。 手帳の有無や、障害の種別(身体・知的・精神)、雇用の形態(障害者雇用か一般雇用か)を問わず、障害の特性によって、社会のなかで困難さを抱えている人すべてが対象となります。(もちろん、発達障害の方も対象です。) 合理的配慮については、以下のコラムで詳しく解説していますので、ご参照ください。 合理的配慮ってなに?企業に依頼をする前に知っておくべき基礎知識「合理的配慮」申請マニュアル 4つのステップと知っておくべきポイント自分にとって必要な配慮は?を学ぶための、合理的配慮の事例集みんなの「お悩み」ポイントはどこ?合理的配慮のよくある質問集 5. 苦情処理・紛争解決援助 障害者雇用促進法の制度やルールが守られていなかったり、実際には機能していなかったりするような場合に、相談する窓口や対応する体制を整えておくためのルールで、以下の措置を事業主に義務づけています。 相談窓口を従業員に周知すること相談者のプライバシーを守ること相談内容を理由に不利益な取り扱いをすることを禁止すること。また、従業員に対して「相談内容を理由に不利益な取り扱いはしない」ことを周知すること。 なお、障害のある従業員と事業主との「当事者同士」での解決が難しい場合には、各都道府県が運営する労働局(の職業安定部)に援助を求めることができます。 労働局に援助を求めた場合には、「労働局長による助言、指導または勧告」や「第三者による調停」が行われます。 障害者雇用の対象者 障害者雇用促進法では、事業主に対して雇用を義務づけている障害者(=障害者雇用率の人数としてカウントされる対象)を、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれかの交付を受けている人と定めています。 つまり、障害者雇用の求人に応募したい場合には、障害者手帳が必要ということになります。 参考:厚生労働省|障害者の雇用 申請先や申請方法は自治体や手帳の種類により異なりますが、まずは、各自治体の「障害福祉担当窓口」に相談してみるのが良いでしょう。手帳を取得することで、障害者雇用の求人に応募ができるほか、障害の種類や程度に応じ、さまざまな福祉サービスを受けることもできます。 障害者雇用と一般雇用のそれぞれの特徴や、メリット・デメリットについては、以下のコラムで詳しく解説していますので、ご参照ください。 障害者雇用と一般雇用とは?実際の支援の現場から見えてきた、障害者雇用・一般雇用におけるメリットとデメリットみんなの「お悩み」ポイントはどこ? 障害者雇用(障害者求人枠)と一般雇用(一般求人枠)のよくある質問集【企業人事に聞いた】変わりつつある「障害者雇用」への考え方 押さえておきたいポイント 少し分かりづらいのですが、「障害者雇用促進法の対象者」と「障害者雇用枠の対象者」は異なっていますので、注意が必要です。 障害者雇用促進法という法律そのものは、「障害のために、長期にわたって職業生活に相当の制限を受けている方、または、職業生活を営むことが著しく困難な方」を対象としており、障害者手帳の有無は問われていません。 一方で、先ほども述べたように、障害者雇用枠の対象者は障害者手帳を持っている方です。 法律の目的は「誰もが自分の能力や適性を十分に発揮し活躍ができる雇用環境を整え、障害の有無に関わらず皆がともに働く社会の実現」ですので手帳の有無は問われませんが、障害者雇用の制度を利用するためには、障害による困難を確認できるものとして障害者手帳が必要となるということを、ポイントとして押さえておきましょう。 障害者雇用の現状 私たちが生活する日本の社会のなかで、障害者雇用が実際にはどれくらい推進されているのでしょうか。現状は以下のようになっています。 雇用されている障害者の数(令和3年度) 民間企業(常時雇用する従業員数43.5人以上:法定雇用率2.3%)に雇用されている障害者の数は約59.8万人で、前年より3.3%(2万人)増加しました。障害ごとの内訳は以下のとおりです。 障害種別 雇用人数 前年度対比 身体障害 35.9万人 0.8%増 知的障害 14.0万人 4.0%増 精神障害(発達障害含む) 9.8万人 10.2%増 いずれも前年度より増加しており、特に、発達障害者を含む精神障害者の雇用が大きく伸びています。 実雇用率 2.20% 前年度対比で0.05ポイント増 実雇用率とは、実際に雇用されている障害のある人の割合のことで、10年連続で過去最高を更新しています。実雇用率は常時雇用、つまり、継続的に雇用されており労働時間も一定以上の障害者の人数をもとに計算されており、障害のある方が社会のなかで長期的・安定的に働けていることの指標となります。 障害者雇用率達成企業の割合 47.0% 前年度対比で1.6ポイント減 令和3年から事業主の範囲が「従業員45.5人以上」から「従業員43.5人以上」へと拡大し、これまで報告対象でなかった43.5人〜45.5人未満規模の企業の達成率が35.1%に留まっており、全体の割合を押し下げる要因となったようです。 なお、令和3年の法定雇用率未達成企業は全国で56,618社ありますが、そのうち「1人だけ不足している」という企業が63.9%でした。つまり、未達成だった企業でも、その過半数は達成まであと一歩のところまで来ている、ということが言えそうです。 特例子会社の状況 全国で562社 前年度対比で20社増 特例子会社とは、「障害者の雇用の促進及び安定を図るために特別な配慮をした子会社」のことで、配慮にもとづき職場環境の整備が求められるため、一般企業の障害者雇用枠と比べて、さらにサポート体制が充実しています。 特例子会社が雇用する障害者の内訳は、下記のようになっています。 障害種別 雇用人数 前年度対比 身体障害 1.2万人 2.5%増 知的障害 2.2万人 6.8%増 精神障害(発達障害含む) 0.8万人 13.5%増 ハローワークにおける障害者の職業紹介状況(令和2年度) 新規求職申込件数は211.926件で前年度より5.1%減少、就職件数は89,840件で前年度より12.9%減少しています。就職率(就職件数÷新規求職申込件数)は、前年より3.8ポイント下がり、42.4%でした。障害ごとの内訳は以下のとおりです。 障害種別 就職件数(前年度対比) 就職率 身体障害 20,025件(21.4%減) 34.7%(6.4ポイント減) 知的障害 19,801件(9.6%減) 57.7%(1.7ポイント減) 精神障害(発達障害含む) 40,624件(18.1%減) 42.6%(3.6ポイント減) その他の障害(手帳を所持しない発達障害者含む) 9,390件(52.2%増) 38.2%(1.6ポイント増) 新規求職申込件数は、平成11年度以来、21年ぶりの減少に転じています。新型コロナウイルス感染症の影響により「製造業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「卸売業,小売業」といった障害者が比較的応募しやすい業種の求人数が減少した影響と考えられます。 精神障害者雇用義務化 ここまで見てきたように、障害のある方の就職に関するさまざまな指標で、精神障害者(発達障害含む)の数値は近年、大きな伸びを示しています。 一方で、精神障害者の人数:389.1万人に対して、就業者数(実際に働いている人)は9.8万人しかおらず、わずか2.5%と非常に低い状況です。 平成30年4月1日の法改正では、法定雇用率が引き上げられたのと同時に、障害者雇用義務の対象として、「身体障害者」「知的障害者」だけでなく、「精神障害者」も加わりました。(この法律上の精神障害者には、発達障害も含まれています。) ここにいう雇用義務化とは、「事業主が必ず精神障害者を雇用しなければならない」ということではなく、「法定雇用率の算出に、精神障害者を対象にしてよい」という意味です。 精神障害者の雇用義務化により、企業等による精神障害や発達障害の方の雇用が進んでいくことが期待されています。 まとめ 法改正後、国や福祉サービスを提供する事業者が、企業等に対して精神・発達障害への理解を深めるためのセミナーを実施する例が増えてきました。精神・発達障害とはそもそもどのようなものなのか、企業等の側として受け入れるためにはどうすべきか、企業等の側も関心が高まっていることが伺えます。 また、今回ご紹介をした法律や制度以外にも、例えば、実雇用率が低い企業については行政処分の対象となったり、逆に雇用に積極的な企業は税金が優遇されたりするなど、障害者の雇用を支援するさまざま制度が整備されてきていますので、障害者の雇用がさらに推進されていくことが期待されています。 一人で悩まず、ディーキャリアに相談してみませんか? 障害者求人枠が自分に合うかが分からない…障害者雇用というものにまだ不安がある…というお悩みがある方も多いと思います。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 参考URL 厚生労働省 障害者雇用対策https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html 厚生労働省 障害者の雇用https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html 厚生労働省 令和3年 障害者雇用状況の集計結果https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23014.html 内閣府 令和3年版 障害者白書 参考資料 障害者の状況https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r03hakusho/zenbun/siryo_02.html 厚生労働省 令和2年度 障害者の職業紹介状況等https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19443.html12次へ