ナビゲーションブックとは?メリット・書き方・活用方法を解説|自分らしく働くための自己理解ツール
「ナビゲーションブックって何?」
「ナビゲーションブックには何を書けばいいの?」
「就職活動や障害者雇用で、どのように活用するの?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
ナビゲーションブックは、自分の得意なことや苦手なこと、仕事で困りやすい場面、対処方法、必要な配慮などを整理し、自分自身を理解して、周囲に分かりやすく伝えるためのツールです。
特に、障害特性や発達特性などによって「自分のことをうまく説明するのが難しい」と感じる方にとって、就職活動や就職後の職場生活を考えるうえで役立つツールの一つです。
この記事では、ナビゲーションブックとは何か、何を書くのか、作成するメリットや活用方法について、就労移行支援事業所の視点から分かりやすく解説します。

ナビゲーションブックとは?
ナビゲーションブックとは、自分自身の特徴や得意・苦手なこと、仕事をするうえで困りやすいこと、対処方法、必要な配慮などを整理したものです。
簡単にいうと、
「自分が働きやすくなるための案内書」
と考えることができます。
仕事では、同じ作業でも人によって「取り組みやすい方法」が異なります。
例えば、
- 口頭で説明してもらう方が理解しやすい人
- 文章や図で確認した方が理解しやすい人
- 一度に複数の指示を受けるより、一つずつ指示を受けた方が取り組みやすい人
- 静かな環境の方が集中しやすい人
- 分からないことを質問する時間を設けてもらうと安心して取り組める人
などです。
ナビゲーションブックでは、このような**「自分にとって働きやすい条件」**を整理していきます。
ナビゲーションブックは何のために作る?
ナビゲーションブックを作る目的は、単に「苦手なこと」を伝えることではありません。
大切なのは、
自分を知る
↓
困りごとを整理する
↓
対処方法を考える
↓
必要な配慮を整理する
↓
周囲に伝える
↓
自分の力を発揮しやすい環境をつくる
という流れです。
ナビゲーションブックには何を書く?
ナビゲーションブックに書く内容は、人によって異なります。
決まった項目をすべて埋めなければならないわけではなく、自分が働くうえで必要な情報を整理することが大切です。
代表的な項目として、次のようなものがあります。
1.自分の得意なこと・強み
まずは、自分の得意なことを整理します。
例えば、
- コツコツ作業を続けることが得意
- 決められた手順に沿って作業することが得意
- パソコン作業が得意
- 細かい違いに気づくことができる
- 一人で集中して作業することが得意
などです。
「自分には強みがない」と思っている場合でも、これまでの学校生活や仕事、日常生活を振り返ると、得意なことが見つかることがあります。
2.苦手なこと・困りやすいこと
次に、仕事で困りやすい場面を整理します。
例えば、
- 急な予定変更があると混乱しやすい
- 複数の指示を同時に受けると優先順位が分からなくなる
- 周囲の話し声が多いと集中しにくい
- 人に質問するタイミングが分からなくなる
- 曖昧な指示だと、何をすればよいのか判断しにくい
などがあります。
ここで重要なのは、単純に「○○が苦手」と書いて終わらせないことです。
**「どんな状況で」「どのような困りごとが起こるのか」**まで具体的にすると、自分自身の理解が深まります。
3.自分でできる対処方法
困りごとが分かったら、次に「自分でできる工夫」を考えます。
例えば、
| 困りごと | 自分でできる工夫 |
|---|---|
| 指示を忘れてしまう | メモを取る |
| 優先順位が分からなくなる | 「どちらを先に行えばよいですか?」と確認する |
| 周囲の音が気になる | 可能な範囲で静かな場所で作業する |
| 予定変更に戸惑う | 変更点を一つずつ確認する |
| 質問するタイミングが分からない | 質問したいことをメモしておく |
このように、**「苦手だからできない」ではなく、「どうすればできるようになるか」**を考えることがポイントです。

ナビゲーションブックを作成する3つのメリット
メリット① 自己理解が深まる
ナビゲーションブックを作成すると、これまでの経験を振り返ることになります。
「なぜあの場面ではうまくいかなかったのだろう?」
「逆に、どんな環境ならうまくできたのだろう?」
と考えることで、自分の特徴が少しずつ見えてきます。
これは、就職先や仕事を選ぶ際の判断材料にもなります。
メリット② 必要な配慮を具体的に考えられる
「配慮してほしい」と思っていても、具体的に何をお願いすればよいのか分からないことがあります。
例えば、
「コミュニケーションが苦手なので配慮してください」
だけでは、相手もどのように配慮すればよいのか分かりません。
そこで、
「口頭で複数の指示を受けると混乱しやすいため、可能であれば優先順位を明確にしていただけると取り組みやすくなります。」
と具体的に伝えることで、必要な配慮が伝わりやすくなります。
メリット③ 周囲に自分のことを伝えやすくなる
自分の特徴を毎回一から説明するのは大変です。
ナビゲーションブックを使って事前に整理しておくことで、**「自分はこういう特徴があります」「こうすると力を発揮しやすいです」**と伝える準備ができます。
就職活動だけでなく、就職後に上司や支援者と相談するときにも役立ちます。
ナビゲーションブックの書き方|ポイントは「具体的に書く」
ナビゲーションブックを作るときに意識したいのが、具体的に書くことです。
例えば、
NG例
コミュニケーションが苦手です。
これだけでは、どのような場面で困るのか分かりません。
OK例
複数人で話していると、話すタイミングをつかみにくいことがあります。発言したい内容をあらかじめメモしておくと、落ち着いて伝えることができます。
このように、
①どんな場面で困る?
↓
②何が起こる?
↓
③自分ではどう対処できる?
↓
④周囲にどんな配慮をお願いするとよい?
という順番で整理すると、ナビゲーションブックを書きやすくなります。
ナビゲーションブックと合理的配慮
障害者雇用では、障害のある人が働くうえで必要な合理的配慮について、本人と企業が相談しながら検討していくことがあります。
その際にも、自分自身の特徴や困りごと、必要な配慮を整理しておくことは重要です。
ただし、ナビゲーションブックに書いた内容が、そのまますべて職場で実施されるという意味ではありません。
実際の職場環境や業務内容、企業側の状況なども踏まえながら、本人と企業の双方で相談し、実現可能な方法を考えていくことが大切です。
だからこそ、まずは自分自身が、
「何に困っているのか」
「なぜ困るのか」
「どんな方法なら取り組みやすいのか」
を整理しておくことが役立ちます。

ナビゲーションブックは「自分の取扱説明書」
ナビゲーションブックを分かりやすく表現すると、**「自分の取扱説明書」**です。
ただし、「自分はこういう人間だから、周囲が合わせてください」というものではありません。
むしろ、
「自分はこういう特徴があります。こうすると力を発揮しやすくなります。一緒に働きやすい方法を考えていきましょう」
と伝えるためのツールと考えると分かりやすいでしょう。
自分の特徴を知り、必要な工夫を考え、周囲と共有する。
その積み重ねが、長く安定して働くための土台になります。
就労移行支援でナビゲーションブックを作る意味
就労移行支援では、就職することだけではなく、就職後も安定して働き続けることを見据えた支援を行います。
そのためには、
- 自分の障害特性や得意・苦手を理解する
- 仕事で困りやすい場面を知る
- 自分に合った対処方法を身につける
- 必要な配慮を整理する
- 周囲に分かりやすく伝える
といった準備が重要です。
ディーキャリアでは、こうした自己理解や仕事に必要なスキルを身につけるためのプログラムに取り組んでいます。
ナビゲーションブックも、訓練や日々の経験を振り返りながら、自分自身について理解を深めていくための一つの方法です。
ナビゲーションブックは就職したら終わり?
いいえ。
ナビゲーションブックは、就職後も必要に応じて見直していくことができます。
実際に働き始めると、
「この方法なら仕事がしやすい」
「思っていたより、この場面は困らなかった」
「新しい困りごとが分かった」
「別の方法を試したらうまくいった」
など、新しい気づきが出てくることがあります。
そのため、就職後の経験をもとに内容を更新することで、より自分に合った「働き方の案内書」になっていきます。

まとめ|ナビゲーションブックで「自分らしい働き方」を考えよう
今回は、ナビゲーションブックについてご紹介しました。
ナビゲーションブックは、単に苦手なことや障害特性を書くためのものではありません。
自分を知る
↓
困りごとを整理する
↓
対処方法を考える
↓
必要な配慮を整理する
↓
周囲に伝える
というプロセスを通して、自分が働きやすい環境や、自分の力を発揮できる働き方を考えるためのツールです。
「自分のことをうまく説明できない」
「自分に合った仕事が分からない」
「働くうえで必要な配慮を整理したい」
という方は、まずこれまでの経験を振り返り、
「どんなときに困った?」
「どんなときにうまくできた?」
「どうすればもっと働きやすくなる?」
という3つの質問から考えてみてはいかがでしょうか。
自分自身を知ることは、自分らしく働き続けるための第一歩です。
就労移行支援という選択肢
就労移行支援とは、働くことに不安や悩みがある方が、自分のペースで準備をしながら就職を目指せるサポート制度です。
・働くためのトレーニング
・自己理解のサポート
・就職活動支援
・就職後の定着支援
など、一貫して受けられる福祉サービスです。
詳しくはこちら!→就労移行支援とは

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