大人のASDと不安——なぜこんなに不安を感じやすいの? 原因と対処法を解説
おはようございます、ディーキャリア所沢オフィスです。
⚠️ 本記事はASD(自閉スペクトラム症)当事者の方への情報提供を目的としています。診断・治療については必ず医療機関にご相談ください。
「いつも漠然と不安がある」「小さなことが気になって頭から離れない」「また失敗するんじゃないかと考えると動けなくなる」——こうした悩みを抱えている方は、ASD(自閉スペクトラム症)のある方の中に多く見られます。
ASDのある方は「不安症(不安障害)」を併発しやすいことが、複数の研究で示されています。Hollocks et al.(2019年)のメタ分析では、ASDのある成人の約42%が不安障害を抱えているという結果が報告されています。これはASD特有の脳の特性と、日常生活での体験が深く関わっています。

(出典:Photo AC)
なぜASDのある方は不安を感じやすいの?
ASDのある方が不安を抱えやすい理由は、特性ごとに整理できます。
① 見通しを立てることの難しさ
「次に何が起こるか」を想像することが苦手なため、先の見えない状況が強いストレスになります。「もし〇〇だったら」という最悪のシナリオを繰り返し考えてしまうことがあります。
② 感覚過敏
音・光・においなど、日常にある感覚刺激が人一倍強く感じられます。通勤電車・オフィスの雑音・蛍光灯の明るさなど、周囲が気にしないような刺激が脳に過負荷をかけ続け、慢性的な疲弊と不安につながります。
③ コミュニケーションへの苦手意識
「正しく伝わったか」「相手を怒らせていないか」と毎回気になる。会話の後に「あの発言は大丈夫だったか」と繰り返し振り返る——これを**反芻思考(はんすうしこう)**といい、不安を長引かせる大きな原因になります。
④ こだわり・完璧主義
「完璧にできなければ失敗だ」という白黒思考が強いと、少しのミスでも深刻に落ち込み、次への挑戦が怖くなります。「また同じミスをするかも」という予期不安も生まれやすくなります。
⑤ 過去の失敗体験・叱責のフラッシュバック
特性が理解されない環境での失敗や叱責の経験が記憶に強く残り、似た状況になるたびに当時の感情が蘇ることがあります。これが「また怒られるかも」という不安の根本になっているケースは少なくありません。
なお、近年話題の「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」も、刺激への敏感さという点でASDの感覚過敏と共通する部分があります。HSPは医学的な診断名ではありませんが、ASDの特性との重なりを感じている方もいます。
「あるある」——こんな場面で不安になる
当事者の方から多く聞かれる場面をご紹介します。当てはまるものはありますか?
- 上司に短く返事をされただけで「嫌われた?」と思い込んでしまった
- 雑談の輪にどう入ればいいかわからず、気づいたらいつも一人だった
- 急なスケジュール変更や、想定外のタスクが発生するとパニックになる
- 口頭での指示を聞き洩らしてミスをし、「また同じことをしてしまうかも」と怖くなった
- メールを送ったあと、「失礼な言い方をしたのでは」と何度も読み返してしまう
どれも「気の持ちよう」ではなく、脳の特性からくる自然な反応です。自分を責める必要はありません。
ASD特性による不安への対処法
「気持ちをポジティブに切り替える」「深呼吸する」といった一般的なリフレッシュ法も有効ですが、ASDの不安には特性に応じた対策が重要です。
① 環境を整える・合理的配慮を活用する
感覚過敏があるなら、イヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンを使う。口頭指示が苦手なら、文字での指示を職場にお願いする。不安の根本にある「困りごと」を環境ごと変えることが、最も効果的な対策のひとつです。
② 「見通し」を自分でつくる
1日のスケジュールを紙やアプリに書き出す。イレギュラーが発生したときの「対応手順メモ」を事前につくっておく。先の見えない状況を減らすことが、不安の軽減に直結します。
③ マインドフルネス・認知行動療法(CBT)
ディーキャリア所沢オフィスでは、プログラムの中でマインドフルネスと認知行動療法(CBT)に取り組んでいます。
たとえば、「思い込みが強く、少しのミスで『自分はダメだ』と落ち込んでしまう」というAさんは、CBTを通じて「ミス=全否定ではなく、改善できるヒント」と捉え直す練習を重ねました。徐々に反芻思考の時間が短くなり、気持ちの切り替えができるようになったと話してくれています。
マインドフルネスは「今この瞬間に意識を向ける」練習です。「また怒られるかも」「どうせうまくいかない」という未来への不安から、意識を”今”に引き戻すのに役立ちます。
「不安」が日常に支障をきたしているなら
不安な気持ちがあること自体は、誰にでもあることです。しかし、眠れない・職場に行けない・気力がわかないといった状態が続くようであれば、うつ症状や睡眠障害が起きている可能性があります。その場合は、まず医療機関に相談することをおすすめします。
一方で、ASD由来の不安は薬だけで根本解決することは難しく、自分の特性を理解し、特性に合った対策を積み重ねることが長期的な安定につながります。
「不安が強くて、働けるか自信がない」「同じ失敗を繰り返してしまう」——そんな悩みも、ぜひ一人で抱え込まずにご相談ください。ディーキャリア所沢オフィスでは、特性の理解から環境調整・プログラムの活用まで、あなたに合ったサポートを一緒に考えます。個別相談会・体験会へのご参加をお待ちしています。
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリア立川オフィス・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリア立川オフィス、ディーキャリア所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。 凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹Tweet


