「しつこい」と言われ続けたASDの特性がある私が、実際にしている5つの工夫【就労移行支援・立川】
〜分かっているのに、やめられない。その理由と、私が実際にしている工夫〜
そんなつもりはないのに、「しつこいね」と言われてしまった。何度も質問したら、相手が困った顔をしていた。「もしかして、しつこいと思われているかも……」と不安になる。そんな経験はありませんか?
こんにちは!ディーキャリア立川オフィス/ITエキスパート立川オフィスのピアスタッフ、かまちです。
私には、ASD(自閉スペクトラム症)の特性があると思っています。そう感じる理由の一つが、子どもの頃によく言われた「しつこい」という言葉です。
まるでガムのように、しつこい。それは、自分でも分かっています。でも、分かっているのに、やめられないことがあるんです。
インターネットで「ASD しつこい」と調べると、子どもの行動に悩む保護者の方や、一緒に働く人に向けた記事がたくさん出てきます。でも、「しつこい」と言われる側の気持ちが語られることは、あまり多くありません。この記事では、子どもの頃から「しつこい」と言われてきた当事者として、私自身の気持ちや、実際にしている工夫も交えながらお伝えします。
※ASDの特性の現れ方は、一人ひとり違います。ここで紹介することが、すべての人に当てはまるわけではありません。
1. なぜ「しつこい」と思われてしまうのか?原因となる特性
納得できるまで、確かめずにはいられない(こだわりの特性)
自分が納得できないと気が済まず、「どうしてそうなるのか」が分かるまで質問を重ねてしまうことがあります。本人は「ちゃんと理解したい」という真剣な気持ちなのですが、相手からは「しつこい」と受け取られてしまうことがあります。
不安が強く、何度も確認してしまう(見通しの立てにくさ)
この先どうなるのか見通しを立てるのが苦手だと、不安が強くなります。「本当にこれで合っているかな」と心配になり、同じことを何度も確認してしまう。これは、不安を減らそうとする自然な行動です。
相手の「うんざり」のサインに気づきにくい(非言語コミュニケーションの苦手さ)
表情や声のトーン、ため息など、言葉以外のサインを読み取るのが苦手だと、相手が「そろそろ終わりにしたい」と思っていても気づけないことがあります。その結果、話や質問が続いてしまうのです。
周りがスルーすることが、気になって仕方ない(好奇心の強さ)
「なんで信号は三色なんだろう?」「なぜポストは赤いんだろう?」。多くの人が気にせずスルーすることが、私はどうしても気になってしまいます。自分では「ムダな好奇心」だと思うこともあります。
一度気になると、答えが分かるまで頭から離れません。仕事の場面でも、「どうしてこの手順なんですか?」「なぜこのやり方なんですか?」と理由を知りたくなって、質問が増えてしまうことがあります。
2. 「分かっているのに、やめられない」のはなぜ?
「しつこいと思われているかもしれない」と分かっている。それでも、聞かずにはいられない。私自身、そんな気持ちを何度も味わってきました。
これは、あなたの意志が弱いからではありません。納得したい気持ちや、不安を消したい気持ちが、それだけ強いということです。特性による「止まりにくさ」は、気合いや我慢だけではなかなか変えられません。
私の場合、大人になってから確認することが増えたのは、特性だけでなく、うつの影響もあったのではないかと感じています。心が疲れているときほど不安が大きくなり、「本当に大丈夫かな」と何度も確かめたくなってしまうのです。
ASDの特性がある人は、仕事への不全感や人と関わる緊張から、不安や憂うつを感じやすいとも言われています。
(参考:厚生労働省「こころの耳」 )
だからこそ大切なのは、自分を責めることではなく、止まりやすくなる仕組みや工夫を、あらかじめ用意しておくことです。
3. 「しつこい」と思われてしまいがちな場面
職場での質問攻め
あいまいなところを完璧に理解したい、1から10まで全部分かっておきたい。その気持ちから細かい質問を次々にしてしまい、相手の時間を長く使ってしまうことがあります。
チャットの連投
返事がないと不安になって、「見ていただけましたか?」「さっきの件ですが」と続けて送ってしまう。相手が会議中や別の作業中でも、すぐに返事がほしくなってしまいます。
雑談が切り上げられない
仕事の合間のちょっとした雑談のつもりが、好きな話になると止まらなくなる。相手が仕事に戻りたそうにしていても、気づけずに話し続けてしまうことがあります。
4. 「しつこい」と誤解されないための5つの工夫
特性そのものを無理に変える必要はありません。特性を知ったうえで、工夫でカバーしていきましょう。
工夫① 聞きたい気持ちを、「別の行動」で待つ(私が実際にしていること)
私は、自分がしつこくなりやすいことを知っています。だから、聞きたいことがあっても、すぐには聞かずに待つようにしています。
ただ、気合いだけで我慢しようとすると、聞きたい気持ちで頭がいっぱいになってしまいます。そこで私は、待っている間に、別の仕事を進めておくようにしています。手を動かしていると、聞きたい気持ちに振り回されにくくなるのです。
もう一つしているのが、他の案を作っておくことです。「もしこうだったら、こう進める」「違っていたら、こっちにする」と、いくつかの案を用意しておく。そうすると、答えを待つ間の不安が小さくなり、いざ聞くときにも短く質問できるようになります。
ただし、我慢しすぎて、必要な報告や相談まで遅れてしまうと、今度は「なぜ早く言わなかったの?」と言われてしまうこともあります。急ぎのことや、ミスにつながる大事なことは、待たずに早めに聞きましょう。待つのは、「今すぐでなくてもいい質問」だけで大丈夫です。
工夫② 相手のサインを「パターン」として覚える
表情から気持ちを読み取るのが苦手なら、「このサインが出たら、話を終えるタイミング」とパターンで覚えてしまいましょう。
- 時計やパソコンの画面をちらっと見る
- 返事が「うん」「そうなんだ」と短くなる
- 体の向きがそれる、手元の作業に戻ろうとする
こうしたサインに気づいたら、「お忙しいところありがとうございました」と切り上げる合図にします。
工夫③ コミュニケーションに「自分ルール」をつくる
ルールがあれば、「分かっているのに止まらない」ときも、それを止まるきっかけにできます。
- チャットは、決めた時間まで待つ:どれくらい待てばいいかは、職場によって違います。「返事がない場合は、どのくらい待ってから確認すればいいですか?」と事前に上司と決めておき、少なくともその時間は待つ。急ぎの場合は、最初のメッセージに「〇時までにお返事いただけると助かります」と書いておく。
- 質問はまとめてから聞く:思いついたらすぐ聞くのではなく、メモにためて、区切りのいいところでまとめて聞く。
- 雑談は短めにする:職場の雑談は短めにして、話したい気持ちは職場の外で出す(詳しくはセクション5で)。
工夫④ 質問するときは「自分の考え」を添える
「全部教えてください」ではなく、「ここまでは分かったのですが、この部分だけ確認させてください」と伝えると、やりとりが短く済みます。
さらに、「こういう形で進めようと思うのですが、方向性は合っていますか?」と自分なりの考えを添えて聞くと、相手も「ここまで考えてくれているんだ」と受け取りやすくなります。工夫①で用意しておいた案が、ここで役に立ちます。
工夫⑤ 「先に伝えておく」「配慮をお願いする」
「確認が多くなってしまうことがあるのですが、ミスを防ぎたいからなんです」と、先に一言伝えておくだけでも、相手の受け取り方は変わります。理由が分かっていれば、「しつこい」ではなく「丁寧な人」と受け取ってもらえることもあります。
不安がとても強い場合や、特性による苦手がある場合は、職場に配慮をお願いすることも大切です。たとえば、「指示は口頭だけでなく、チャットでも残していただけると助かります」とお願いしてみましょう。
私自身、チャットのように文字で残る情報は、とてもありがたいと感じています。相手にとっては一回の投稿で済み、私も相手を何度も呼び止めて確認しなくてすみます。分からない部分があっても、まずはAIに聞いて意味を推測してみることで、相手に質問する回数そのものを減らせるのです。
ただし、AIの推測が正しいとは限りません。大事なことや自信が持てないところは、「〇〇という意味で合っていますか?」と一度だけまとめて確認しましょう。職場の情報をAIに入力してよいかも、会社のルールを確認してからにしてください。AIを使ったチャットやコミュニケーションの工夫は、ITエキスパート立川オフィスのブログでも紹介しています。
こうした工夫や配慮のお願いの仕方を一人で考えるのが難しいときは、ディーキャリア立川オフィスの無料相談で、スタッフと一緒に考えることもできます。
5. 話したい気持ちは、職場の外で思いきり出す
最近は、職場の人とは仕事の話だけでいい、という職場も増えてきたと感じます。職場では雑談を短めにして、そのぶん、趣味を語り合える場所など、思いきり話せる「サードプレイス(家庭でも職場でもない、第三の居場所)」を持っておく。話したい気持ちを出せる場所が別にあると、職場で話しすぎてしまうことも減っていきます。
話したい気持ちを、職場でずっと抑えつけているだけだと、そのフタはいつか限界を迎えてしまいます。我慢が続いた結果、メンタルダウンしてしまうこともあるかもしれません。だからこそ、職場では抑えて、別の場所で思いきり出す。出せる場所があるから、職場では落ち着いていられるのです。
そう考えると、サードプレイスを見つけたり、そこに参加したりするために働く、というのも立派な働く理由の一つです。好きなことを語り合える場所に通うための時間やお金をつくる。そのために、自分に合った働き方を選ぶ。これも、その人その人に合ったキャリアプランニングの大切な考え方だと、私は思います。
6. 「しつこさ」は、場所が変われば「粘り強さ」になる
納得できるまで確かめる。細かいところまで確認する。こうした特性は、コミュニケーションの場面では「しつこい」と受け取られることがあります。でも、仕事の中身によっては、大きな強みにもなります。
たとえば、書類やデータの誤りを見つけるチェック作業、手順どおりに進んでいるかを確かめる品質管理、細かな点まで見直す校正などは、「納得するまで確かめる力」が活きる仕事です。また、周りがスルーすることに「なぜ?」と気づける好奇心も、仕事の改善点を見つけたり、物事の仕組みを深く理解したりするうえで、大きな力になります。「ムダな好奇心」は、決してムダではないのです。
「しつこさ」をなくそうとするのではなく、人とのやりとりでは工夫でカバーし、仕事の中では強みとして活かす。そう考えると、自分の特性との付き合い方が少し楽になります。
まとめ:「しつこい」の裏には、真剣さと不安、そして好奇心がある
「しつこい」と思われてしまう背景には、「ちゃんと理解したい」という真剣な気持ちや、「間違えたらどうしよう」という不安、「なぜだろう」という好奇心があることが多いのです。決して、相手を困らせたいわけではありません。
「分かっているのにやめられない」のは、あなたの意志が弱いからではありません。だからこそ、自分を責めるのではなく、工夫や仕組みに頼る。聞きたい気持ちを別の行動で待つ。話したい気持ちは、職場の外で思いきり出す。そして、しつこさの裏にある「粘り強さ」や「好奇心」を、仕事で活かしていく。そうすることで、安心して人と関われるようになっていきます。
もし、確認したい気持ちが以前より強くなっていたり、不安で眠れない日が続いたりする場合は、一人で抱えず、身近な人や支援機関、医療機関に相談してください。
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「そんなつもりはないのに、しつこいと言われてしまう」「分かっているのに、やめられない」「職場で気を張りすぎて疲れてしまう」。そんな方も、ぜひ一度、見学や無料相談にいらしてください。
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリア立川・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリア立川オフィス、所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。
主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。
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