発達障害とアンガーマネジメント——怒りを「我慢」しなくていい、「交通整理」する対策
〜「感情を無くす」のではなく「感情の主導権を自分が握る」ためのライフハック〜
「怒っちゃダメだ」と思いながら、ぐっと飲み込んで、でもあとからじわじわ体調が崩れる。あるいは逆に、我慢が限界を超えて突然爆発してしまい、「またやってしまった」と落ち込む——そんな繰り返しに疲れていませんか?

こんにちは!ディーキャリア立川オフィスのピアスタッフ、かまちです。
「怒りをコントロールする」と聞くと、「怒らないようにする」「感情を抑え込む」というイメージを持つ方が多いです。でも、それは間違ったコントロールです。感情を無理に閉じ込めるのは、いつか必ず限界が来ます。
この記事では、アンガーマネジメントの本当の意味を整理したうえで、発達障害のある方が職場でも日常でも使える、具体的な対策をお伝えします。
1. なぜ、「怒っちゃダメ」と思うほどうまくいかないのか?
怒りのコントロールが難しいのは、意志が弱いからでも、大人げないからでもありません。いくつかのごく自然なしくみが重なって起きています。
- 「我慢する」は、エネルギーを大量に消耗する作業だ。 怒りを感じながら「怒っちゃダメ」と抑え込むのは、アクセルを踏みながらブレーキをかけているようなものです。感情のエネルギーはどこにも行かず、体の中に溜まり続けます。これがストレスとなり、疲労・体調不良・突然の爆発につながります。「我慢するほど消耗する」という構造を、まずデータとして理解しておきましょう。
- 発達障害のある方は、感情のボリュームが急に最大になりやすい。 「少しイライラ→だんだん怒る→限界」という段階を踏まずに、ゼロから一気に感情が高ぶるケースが多いです。そのため「少しずつ我慢する」という方法がそもそも機能しにくく、気づいたときには爆発寸前、という状態になりやすいのです。
- 「怒り」そのものは、悪いものではない。 怒りは「自分にとって大切なことが脅かされたとき」に出るサインです。つまり怒りが湧くのは、あなたに大切にしているものがある証拠でもあります。問題は怒りが湧くことではなく、そのエネルギーをどこに流すかをコントロールできていないことです。
2. まず知っておく!「我慢」と「交通整理」はまったく別のことだ
アンガーマネジメントが目指すコントロールは、「我慢」ではありません。ここを整理しておくことが、一番大切な下ごしらえです。
間違ったコントロール(我慢) 「怒っちゃダメだ…」と、感情を心の中にギュッと閉じ込める。→ これはいつか爆発するか、ストレスで体調を崩します。
本当のコントロール(交通整理) 「あ、今自分はイライラしているな」と一歩引いて気づき、「じゃあ、どう動くのが一番自分にとって得(ラク)か?」を冷静に選ぶ。
つまり、湧き上がる「怒り」というエネルギーに振り回されて暴走するのではなく、自分が運転席に座って、そのエネルギーをどこにどう流すかを自分で決めること——それが本当のアンガーマネジメントです。
感情を無くす必要はありません。感情の主導権を、自分が握ればいいのです。
3. その場で試せる!具体的な対策
「交通整理」の感覚を、実際の場面で使うための道具を紹介します。
【対策①】「あ、今イライラしている」と自分に声をかける
怒りが湧いてきたとき、まず頭の中で「あ、今自分はイライラしているな」と自分に声をかけてみましょう。「怒っちゃダメ」と評価するのではなく、「今イライラしているというデータがある」と観察する感覚に切り替えます。この一歩引く動作だけで、感情と自分のあいだに小さなすき間が生まれ、衝動的に動き出すまでの時間が稼げます。
【対策②】「6秒やり過ごす」だけを目標にする
怒りのピークは、発生してからおよそ6秒で最大値に達し、その後は自然に落ち着いていきます。ハードルを地面まで下げて、やることは「6秒だけ動かない・しゃべらない」それだけです。頭の中で「1、2、3、4、5、6」と数えるあいだ、口も体も動かさない。6秒後に「どう動くのが自分にとって一番ラクか?」を選べば十分です。
【対策③】「どう動くのが自分にとって得(ラク)か?」を1つだけ選ぶ
6秒をやり過ごしたあと、次の3つの中から1つだけ選びます。
- その場を離れる:「少しトイレに行ってきます」と席を立つだけでOK
- 言葉にして伝える:「今少し混乱しているので、5分後にまた話せますか」
- メモに書き出して流す:言いたいことをメモに全部書く(送らなくていい)
「正しい対処をしなければ」と考える必要はありません。「自分がいちばんラクに次の一歩を踏み出せるのはどれか」だけを基準に選びましょう。
【対策④】爆発してしまったあとは、責めるより記録する
うまくやり過ごせなかった日は、「またダメだった」と自分を責めるのではなく、「今日は何がトリガーだったか」を1行だけメモしておきましょう。「急な予定変更のあとだった」「空腹だった」「睡眠が足りていなかった」——パターンが見えてくると、次の下ごしらえができるようになります。責めるより記録するほうが、ずっと建設的な道具になります。
怒りは「消す」ものじゃなく、「流す」もの
「怒っちゃダメだ」と一人で抱え込んでフリーズするのをやめて、「自分に声をかけて一歩引く」「6秒やり過ごす」「どう動くかを自分で選ぶ」という道具を使いながら、感情の主導権を自分が握りながらスマートに日常をこなしていこう。
アンガーマネジメントは、感情を無くすことではありません。自分が運転席に座って、怒りのエネルギーをどこに流すかを自分で決める練習です。
最後に:ディーキャリア立川オフィスで「感情の交通整理」を一緒に練習しよう
ディーキャリア立川オフィスでは、自分の特性を客観的に知り、感情とのつきあい方や職場でのコミュニケーションを一緒に整えていくプログラムに取り組んでいます。「怒りのコントロールが難しい」「衝動的に動いてしまう」「感情の波に振り回されやすい」という方も、ぜひ一度、見学や無料相談にいらしてください。同じ当事者として、かまちも一緒に考えます。
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリア立川・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリア立川オフィス、所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。
主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。
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