AIに相談するときは「反対意見の人」を用意しよう|AIは「究極のイエスマン」になりうる
こんにちは。ディーキャリア 川崎オフィスの職業指導員吉村です。
当事業所では、履歴書の作成や面接の練習といった就職活動だけでなく、動画制作やCanvaを使ったデザインなど、クリエイティブ系の訓練でもAIを日常的に活用しています。実際に役立っていて、AIは訓練や就活の心強い味方だと感じています。
最近は、利用者さんの中にも「悩みをAIに相談している」という方が増えました。夜中でも話を聞いてもらえて、否定されず、気持ちが軽くなる。いやはや、ありがたい存在ですよね。
ただ、AIを活用しているからこそ、お伝えしておきたいことがあります。
AIは「究極のイエスマン」になりやすい

AIは、話し相手の考えに寄り添って返す傾向があります。「会社が悪かったんです」と言えば、そうだそうだ!と共感し、「自分は向いていないかも」と言えば、思い切って転職しちゃえば?などと、それに沿った言葉が返ってきやすいのです。
つまりAIは、使い方によっては究極のイエスマンになってしまうことがあります。心地よい返事ばかりを受け取り続けると、「自分の考えは正しい」という確信だけが強まり、物事を客観的に見る力が少しずつ弱くなってしまいます。
■ なぜAIは、こちらに寄せてくるの?
AIに悪気や下心があるわけではありません。理由は主に3つあります。
① 「喜ばれる返事」を選ぶように育てられているから
多くのAIは、人が「この返事は良い」と評価した答えをもとに調整されています。人は、共感してくれる返事や賛成してくれる返事を高く評価しやすいものです。その結果、AIは相手が気持ちよくなる方向の返事を出しやすくなります。この傾向は「迎合性(げいごうせい)」と呼ばれ、AIを作る側でも改善に取り組んでいる課題です。
② あなたの話が「前提」になるから
AIは、あなたが話した内容をもとに答えを作ります。「上司がひどくて」と伝えれば、「上司はひどい」という前提で話が進みやすくなります。AIはあなたの職場を見ているわけでも、上司の話を聞いているわけでもありません。知っているのは、あなたの側の話だけです。
③ やりとりが長くなるほど、流れに乗りやすいから
同じ話題で会話を重ねるほど、AIはそれまでの流れに合わせた返事をしやすくなります。そのため、最初は中立的でも、だんだんあなたの考えに沿った返事ばかりになっていくことがあります。
とはいえ、AIが悪いわけではありません。仕組みを知って使い方を少し変えるだけで、AIはイエスマンから頼れる相談役に変わります。
■ こんなことが起こりがちです(※実際の事例ではなく、架空の例です)
AIに同じ悩みを何度も相談しているうちに、「やっぱり自分はこうなんだ」という考えが固まってしまう。そんなことがあります。AIは悪気なく寄り添っているだけですが、そこに「別の見方」が入る場面がなかったのです。
もし「自分のことかも」と感じても、大丈夫です。気づけた時点で、いつでも見直せます。
対策① AIに「反対役」をお願いする

質問の仕方を変えるだけで、返事は大きく変わります。
- 「あえて反対の立場から意見を言ってください」
- 「第三者の目線で、私の考えの弱いところを教えてください」
- 「この計画がうまくいかない理由を挙げてください」
さらに、一人のAIに複数の役を演じてもらい、討論させる方法もあります。
「次の3人の立場で、私の悩みについて討論してください。
①私の味方になってくれる友人
②現実的で厳しい意見を言う先輩
③冷静に両方を整理する第三者
最後に、それぞれの意見をまとめてください」
自分では思いつかなかった視点が出てくるので、ぜひ試してみてください。「家族」「採用担当者」「5年後の自分」などの役もおすすめです。
ただし、これもAIが想像で作った意見です。指示しても、話の流れで結局こちらに寄ってくることもあります。あくまで「考える材料」として使いましょう。
対策② 人間の「もう1人」を持つ

AIに反論を頼めるとはいえ、人の目はやはり大切です。あなたの状況や人柄を知っている人に、同じ相談をしてみてください。AIには見えない現実や、あなたの強みに気づいてくれるはずです。
ひとつコツがあります。身近な人は、あなたを思うあまり、同じ方向に頷いてくれることもあります。そこで、次のような人にも聞いてみてください。
- 比較的、客観的に事実を見てくれる人(支援員、主治医、キャリア相談の専門家など)
- その仕事や職場のことを実際に知っている人(経験者、先輩など)
- あなたの味方だけど、耳の痛いことも言ってくれる人
■ まとめ
AIは、考えを整理するための便利な道具です。でも、AIだけを相談相手にしていると、いつのまにか自分に同意してくれる存在だけに囲まれてしまいます。そうなると、客観性が失われたり、視野が狭くなってしまうなど、結局のところ、損をするのは自分なのです。
AIで整理して、人に相談して、最後は自分で決める。この流れを大切にしてほしいと思っています。
そして、つらい時や一人で抱えきれない時は、AIだけでなく、私たち支援員にもいつでも声をかけてください。
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