「影響の輪」と「関心の輪」~自分でできることに目を向けて、ストレスを減らそう~
こんにちは!ディーキャリア川崎オフィス、生活支援員の伊藤です。
「曖昧な指示の意図が読み取れず、確認しようとしたら『何回も聞かないで』と言われてしまった……」
「予定通りに行動できず、焦ってさらに失敗してしまう……」
「オフィスの雑音や照明が気になって、なかなか集中できない……」
発達障害のある方から、このようなご相談をいただくことは少なくありません。
こうした困りごとのすべてを、自分の力だけで解決しなければならないわけではありません。後ほどお伝えする「合理的配慮」を周囲に相談することも、立派な解決方法のひとつです。そのうえで、自分でできる工夫を知っておくと、対処の選択肢がさらに広がります。
今回は、自分でできる工夫を見つけるための考え方として「影響の輪」「関心の輪」をご紹介します。
「影響の輪」と「関心の輪」とは?
「影響の輪」「関心の輪」は、スティーブン・R・コヴィー氏の著書『7つの習慣』で紹介されている考え方です。私たちが日々気にかけていることを、2つの輪に分けて整理します。
関心の輪
私たちが「気になること」全般を指します。
例:天気、他人の態度、社会の景気など。自分の力だけでは直接変えられない事柄が多く含まれます。
影響の輪
関心の輪の中でも、自分の行動や工夫によって変えられることを指します。
例:時間の使い方、生活習慣、コミュニケーションの工夫など。
ポイントは、影響の輪は関心の輪の中に含まれる、より小さな輪だということです。私たちが気にかけていること(関心の輪)の中には、「自分の努力で変えられること」と「自分では変えられないこと」が混ざっています。そのうち変えられる部分だけを取り出したものが「影響の輪」です。
なぜ「影響の輪」に注目するといいの?
影響の輪に意識を向けることには、次のようなメリットがあります。
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ストレスを抑えやすくなる
自分でコントロールできないことばかり考えていると、不安や無力感が強まりやすくなります。「できること」に意識を向けることで、気持ちが軽くなりやすくなります。 -
問題解決の行動につながりやすい
影響の輪に意識を向けると、「次にどう動けばいいか」という実行可能な行動を考えやすくなります。 -
小さな変化を積み重ねやすい
できることから取り組んでいくと、小さな成功体験が積み重なり、結果として影響の輪が少しずつ広がっていきます。
発達障害のある方が抱えやすい困りごとと、影響の輪での工夫
ここでは、よくある困りごとを「関心の輪」(気になるけれど直接は変えられない部分)と「影響の輪」(自分の工夫で対応できる部分)に分けてご紹介します。
例1:コミュニケーションの難しさ
関心の輪(気になること)
- 曖昧な指示が出されること
- 相手がどう感じるか
たとえば、上司から「だいたいで大丈夫」「適当にやっておいて」と言われたとき、その「だいたい」「適当」がどの程度を指すのか分からず、確認したいけれど聞きづらい――という場面は、多くの方が経験しやすい困りごとです。指示を出す相手の言葉の選び方や伝え方そのものは、自分の力で直接変えることはできません。
影響の輪(自分の工夫でできること)
- 聞き返す際の定型フレーズを準備しておく(例:「確認させてください。〇〇という理解で合っていますか?」)
- 指示を受けた直後にメモを取り、自分の理解を簡潔に伝えて確認する
- 誤解が生じた場合は、感情的にならず事実を整理して補足説明する
例2:スケジュール管理が苦手
関心の輪(気になること)
- 突然の予定変更や締め切りの前倒し
影響の輪(自分の工夫でできること)
- タイマーやリマインダーアプリを活用する
- タスクに優先順位をつけて取り組む
- 1日の終わりに振り返りをして、次の日の計画に反映する
例3:環境への過敏さ
関心の輪(気になること)
- オフィスの雑音や照明の明るさそのもの
音や光に対する感じ方は人によって大きく異なり、職場の環境そのものを自分一人の力で変えることは難しいものです。
影響の輪(自分の工夫でできること)
- ノイズキャンセリングイヤホンを使う
- 可能であれば、比較的静かな席を選ぶ
- 困りごとを整理した上で、職場に配慮をお願いする
ここで大切なのは、「環境を変えてほしい」と感じること自体は、何も悪いことではないという点です。すべてを自分一人の工夫だけで乗り越えなくてもよく、必要な配慮を周囲に求めることも、立派な選択肢のひとつです。次の章で詳しくご説明します。
自分で抱え込まなくていい。「合理的配慮」という選択肢
発達障害や精神障害のある方の困りごとは、影響の輪の中の工夫だけで解決できるとは限りません。本人の努力だけでは変えられない部分については、周囲に「合理的配慮」を求めることができます。
合理的配慮とは、障害のある方が働きやすくなるよう、職場や周囲が状況に応じて行う調整のことです。たとえば、指示を口頭だけでなく文書やチャットでも伝えてもらう、静かな席を用意してもらう、業務の優先順位を一緒に整理してもらうなど、内容は人によって異なります。
「自分の特性のせいだから」と一人で抱え込む必要はありません。どのような配慮が合っているかが分からない場合も、就労移行支援事業所のスタッフと一緒に整理していくことができます。私たちディーキャリア川崎オフィスでも、こうした相談を随時受け付けています。
影響の輪を広げるための3つのステップ
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気になることを書き出し、仕分けする
今、気になっていることをリストアップし、「自分の工夫で変えられるか」を考えながら、関心の輪と影響の輪に分けてみましょう。 -
影響の輪の中で、今日できることから始める
小さな行動からで構いません。一つひとつの小さな成功体験が、自信につながっていきます。 -
どうしても変えられないことは、手放す練習をする
関心の輪に入る事柄は、「仕方ない」と一度受け止めて、気分転換やセルフケアで気持ちを切り替えていきましょう。
まとめ
「影響の輪」と「関心の輪」を意識することで、次のような効果が期待できます。
- ストレスの軽減
- 自己管理力の向上
- 前向きな行動の積み重ね
発達障害のある方にとって、これは特に取り入れやすいセルフマネジメントの方法のひとつです。そして、自分の工夫だけで難しい部分は、合理的配慮という形で周囲に相談できることも、ぜひ覚えておいていただきたいポイントです。
ディーキャリア川崎オフィスでは、このような自己管理・ストレス対処法・就労準備に関するサポートをおこなっています。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
まずはお気軽にご相談ください
「自分に合った工夫の見つけ方を知りたい」「合理的配慮について相談したい」という方は、ぜひディーキャリア川崎オフィスにご相談ください。見学・個別相談も承っております。


