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【アンガーマネジメント】怒りをなくすのではなく、うまく付き合う

こんにちは!ディーキャリア川崎オフィス、生活支援員の伊藤です。

「頭ではわかっているのに、ふとした瞬間にイラッとしてしまう」「一度気になったことが、ずっと頭から離れない」——そんな経験はありませんか。ルーティンが崩れたとき、周囲の人の行動に納得がいかないとき、あるいは会社の決まりに対して「なんで変えてくれないんだろう」と感じるとき。誰にでも起こりうることですが、発達障害・精神障害の特性によって、怒りやイライラの感情が強く出やすかったり、切り替えに時間がかかったりすることもあります。

先日、ディーキャリア川崎オフィスでは「アンガーマネジメント」をテーマにした訓練を行いました。今回は少人数だったこともあり、机を囲んで対話形式で進める、いつもとは少し違った雰囲気での実施となりました。今日はその訓練の様子と、そこで得られた気づきをご紹介します。

アンガーマネジメントで目指すのは「怒らないこと」ではない

まず訓練の冒頭でお伝えしたのは、アンガーマネジメントの目的についてです。これは「怒らなくなること」「イライラしなくなること」を目指すものではありません。自分が何に怒りを感じているのかを自覚したうえで、その感情を上手な形で外に出していく、あるいは折り合いをつけていく方法を身につけることが目的です。

怒りやモヤモヤをずっと自分の中に抱え込んでいると、メンタル面にも負担がかかります。だからこそ、

  • 周囲に発信することで変わる部分はどこまであるのか
  • 自分自身でできる対処は他にないか
  • これ以上働きかけても変わらないことであれば、どう手放していくか

という視点を持ちながら、状況を整理していくことが大切になります。

怒りをコントロールする3つのステップ

アンガーマネジメントの手法には、大きく分けて「衝動のコントロール」「思考のコントロール」「行動のコントロール」という3つの段階があります。まずカッとなった瞬間の衝動を落ち着け、次に頭の中で何が起きているのかを整理し、最後にどう行動するかを選んでいく、という流れです。

このプロセスを実践するためには、まず自分がどんなことに対して怒りを感じやすいのか、その根源を理解しておく必要があります。訓練の中では、スタッフ自身の体験も交えながら、次のような気づきの例を紹介しました。

スタッフの体験例
理由がはっきりしないままイライラしてしまう朝があった。深掘りしてみると、それは「体調が優れない朝」であることが多く、さらに掘り下げると「なぜ自分の体調を崩すような生活をしてしまったのか」と、自分自身を責める気持ちが根っこにあったことに気づいた。原因がわかったことで、気持ちを切り分けやすくなった。

参加者からも、日常の中で感じるイライラについて意見が出されました。話し合いの中でよく挙がったのは、次のような傾向です。

  • 決まったルーティンが崩れると、気持ちが落ち着かなくなる
  • 自分なりの対策や工夫をしていても、それが機能しなかったときに、自分自身に対してもイライラしてしまう
  • 普段頼りにしている習慣やツールが使えなくなったとき、その便利さに改めて気づくと同時に、動揺してしまう

「ふとイラッとした瞬間」を振り返ってみると、意外と共通点が見えてきます。まずは自分の怒りの傾向を知ることが、コントロールの第一歩です。

事例で考える「行動のコントロール」

訓練では、日常生活や職場でよくある困りごとを例に挙げながら、グループで一緒に考える時間を設けました。

典型例:共用スペースのマナーが守られていない

自宅の共用部分(駐輪場やゴミ置き場など)が、ルール通りに使われておらず、日常的にストレスを感じる、というのはよくある悩みです。このようなケースで大切なのが、「自分にとって重要かどうか」「自分の力で変えられることかどうか」という2つの軸で整理することです。

  • すぐに解決できる方法がないか(管理者や管理会社への連絡など)
  • 自分自身でできる工夫はあるか
  • 労力と得られる結果のバランスはどうか

「相手が悪い」で終わらせず、「自分の労力に見合った行動かどうか」で落とし所を探っていく——これが行動のコントロールの考え方です。

典型例:職場のルールが自分の状況と合わない

働き方や勤務条件について、自分の希望と会社の規則がすぐには合わない、という状況も就労の場面ではよく起こります。会社の規則や体制は、個人の力だけではすぐに変えることが難しいテーマです。

ここで話し合ったのは、次のような視点です。

  • 自分がどこに一番モヤモヤを感じているのかを整理する
  • 会社側にも、業務品質やチーム運営を保つ必要があるという事情がある
  • 希望の背景や必要性を整理し、丁寧にすり合わせをしていく方法もある

こうした話し合いの中で見えてきたのは、「怒りが生まれる背景には、コミュニケーション不足があることが多い」という気づきでした。話す時間や場所を確保するだけでも、状況が変わることがあります。これは職場に定着していくうえでも、とても大切な視点です。不満を溜め込んで突然爆発させてしまうのではなく、早い段階で「事実」を整理し、適切な相手・適切なタイミングで伝えていくことが、長く働き続けるための土台になります。

「事実」と「相手の感情」を切り分ける

思考のコントロールの中でも特に大切なポイントとして紹介したのが、「事実」と「相手からどう思われているか(感情・内心)」を切り分けて考えることです。何か指摘を受けたときや、相手の言動にイラッとしたとき、次のように整理してみます。

  • これは客観的な事実なのか、それとも相手の感じ方・解釈なのか
  • 自分のパーソナリティや考え方として変えられる部分はあるか
  • 変えられない・変える必要のない部分は、無理に受け止めすぎない

この切り分けができると、相手から何か言われたときに必要以上に傷つかずに済みます。訓練の中では、「一見すると対立して見える状況でも、対話を重ねることで、双方にとってより良い結果にたどり着けることがある」という考え方も紹介しました。表面的な要求だけでなく、その背景にある本当の目的を確認し合うことで、お互いが納得できる着地点が見つかることもある、という視点です。

スタッフからのポイント 特性による困りごとを、すべて自分一人で克服しようとする必要はありません。まずは自分でできる範囲を見極めて「自己管理の方法」として確立し、それでも難しい部分については、周囲や職場に「合理的配慮」を求めていくという選択肢があります。「自分でなんとかしなければ」と抱え込みすぎず、変えられるもの・変えられないものを切り分けたうえで、必要な配慮を伝えていくことも、立派な対処法のひとつです。
訓練を終えて

今回の訓練では、参加者から次のような感想が挙がりました。

  • 事例を通じて、自分の中の「思い込み」に近い認識が変わることに気づけた
  • 事実と感情を切り分けて考える柔軟な思考を、今後も意識していきたい

怒りやイライラを感じること自体は、決して悪いことではありません。大切なのは、その気持ちに気づいたときに、必要以上に自分を責めすぎず、事実と感情を切り分けながら、変えられる部分に目を向けていくことです。うまく気持ちを切り替えられなかった経験があっても、そこから立ち直っていく力(レジリエンス)を少しずつ育てていくことも、セルフケアの大切な一部です。

職場では、思わぬタイミングでイライラする出来事に出会うものです。そのときに衝動的に反応してしまうと、人間関係のトラブルにつながり、働き続けることが難しくなってしまうこともあります。逆に言えば、今回のようなアンガーマネジメントの視点を身につけておくことは、就職後の職場定着に直結するスキルでもあります。

ディーキャリア川崎オフィスでは、こうした対人スキルやセルフマネジメントに関する訓練を通じて、一人ひとりが自分に合った「困りごととの付き合い方」を見つけ、それを土台にした自己管理の方法や、職場に伝えるべき配慮の整理まで、就職後の定着を見据えてサポートしています。

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