「静かな退職」は悪いこと?——障害者雇用で働く発達障害の私が考えるメリットとデメリット
〜「定時で帰る」「残業しない」は、長く働くための賢いブレーキになり得る〜
「定時になったらすぐ帰る」「仕事以外の付き合いには参加しない」「頼まれても残業はしない」——こういった働き方を「静かな退職」と呼ぶことがあります。あなたはこれを聞いて、どう思いましたか?「それって、サボりじゃないの?」と感じた方もいるかもしれません。
こんにちは!ディーキャリアITエキスパート立川オフィスのピアスタッフ、かまちです。

発達障害のある方、特に障害者雇用で働いている方から「どこまで頑張ればいいのかわからない」「断ると申し訳ない気がして、ついつい無理をしてしまう」という話をよく聞きます。私自身も、どこに線を引けばいいのか迷ってきた一人です。
この記事では、「静かな退職」という働き方が障害者雇用においてどういう意味を持つのかを整理したうえで、長く安定して働き続けるために知っておきたい、メリットとデメリット、そして大切な視点をお伝えします。
1. そもそも「静かな退職」って何?悪いことなの?
「静かな退職」とは、実際に退職するわけではなく、「雇用契約で定められた範囲内の仕事だけをこなし、それ以上のことはしない」という働き方のスタンスのことです。
結論から言うと、契約上の義務を果たしている限り、決して悪いこと(悪影響を及ぼすサボり)ではありません。 現代の一般的な見方では、こう整理されています。
悪いことではない理由:
雇用契約で定められた時間内に、求められた業務をきっちりこなしていれば、労働者としての義務は果たしています。「定時で帰る」「時間外の連絡に出ない」は、心身の健康を守るための正当な権利です。
ただし、注意が必要な場合:
その背景が「会社への不満」や「どうせ言っても無駄だという諦め」から来ている場合は話が変わります。本人にとっては大きなストレスであり、企業にとっては貢献意欲の低下という損失になります。
つまり、同じ「静かな退職」でも、それが「セルフケア」なのか「諦め」なのかで、まったく意味が変わってきます。
2. まず知っておく!障害者雇用では「線引き」が生存戦略になることがある
「静かな退職=やる気がない」という思い込みを、まず手放しましょう。ここを整理しておくことが、一番大切な下ごしらえです。
障害者雇用において、自分のキャパシティを超えないように線引きをすることは、「長く安定して働くための生存戦略」として大きなメリットを生みます。
メリット① 燃え尽き(バーンアウト)の防止
真面目で責任感が強い方ほど、期待に応えようと無理をして体調を崩しがちです。業務を「必要最低限」にコントロールすることで、心身のエネルギー切れを防げます。発達障害のある方は特に、「頑張りすぎてある日突然動けなくなる」というパターンに陥りやすいため、意識的にブレーキを踏む習慣がとても大切です。
メリット② 安定就労・定着率の向上
障害者雇用で最も重視されるのは「毎日安定して出社し、長く働き続けること」です。過度な残業や突発的なタスクを断ることは、この安定を守るための最も有効なセルフケアになります。
メリット③ 合理的配慮の確実な履行
「体調に合わせて業務量を調整する」という会社との約束(合理的配慮)の範囲内で淡々と働くことは、制度を正しく機能させている状態です。これは権利を行使しているのであって、怠けているのではありません。
3. その場で試せる!具体的な対策
「静かな退職」のスタンスを、自分にとって健全な形で活かすための対策を紹介します。
【対策①】「自分の線引き」を言葉で決めておく
「どこまでやるか」が曖昧なまま働いていると、断れずに無理をしてしまいがちです。あらかじめ「残業は週〇時間まで」「休憩はきちんと取る」「体調が悪い日は無理して出社しない」という自分なりの線引きを言葉で決めておきましょう。線引きが明確になると、断ることへの罪悪感が減ります。
【対策②】「セルフケアの線引き」と「諦めの線引き」を区別する
自分の線引きが「体調を守るため」なのか「職場への諦め」から来ているのかを、定期的に確認しましょう。簡単なチェック方法として、「今の職場で、もし環境が改善されたら、もっと貢献したいと思えるか?」と自分に聞いてみてください。「YES」なら健全なセルフケア。「NO、どうせ何も変わらない」という気持ちが強いなら、諦めからきているサインかもしれません。
【対策③】デメリットにも正直に向き合っておく
「静かな退職」のスタンスには、注意すべきデメリットもあります。
- 「決められたこと以外は絶対にやらない」と固執しすぎると、新しいスキルの習得や昇給・正社員登用などのチャンスを逃しやすくなります。
- 「時間なので帰ります」「これは私の仕事ではありません」という態度が強すぎると、周囲との人間関係にヒビが入ることがあります。
- 「実は業務が辛い」「職場で孤立している」のに、相談することを諦めて心を閉ざしている場合、ある日突然、休職や本当の退職につながることがあります。
線引きは大切ですが、「対話の拒絶」にならないよう、信頼できるスタッフや支援者との定期的なやり取りは続けておきましょう。
【対策④】定期的に支援者と「今の状態」を確認し合う
理想的なのは、支援員やスタッフとの定期的な面談(1on1)で「今の線引きが自分に合っているか」を確かめ合える関係性を持つことです。「最近、無理していないか」「本当は困っていることがないか」——これを自分一人で抱え込まず、定期的に言葉にして渡す習慣が、長く安定して働き続けるための一番の道具になります。
■ まとめ:大切なのは「その線引きが、意図的なセルフケアかどうか」
「頑張らなきゃいけない」と一人で抱え込んで無理をし続けるのをやめて、「自分の線引きを言葉で決める」「セルフケアか諦めかを定期的に確認する」「支援者と状態を確かめ合う」という道具を使いながら、自分とちょうどいい距離でスマートに長く働き続けていこう。
「静かな退職」は、使い方次第で「体調を維持して長く働くための賢いブレーキ」になります。ただし、それが「職場への諦めや孤立」からきているなら、それはブレーキではなく「心が折れかけているサイン」です。自分の線引きが、どちらから来ているのかを、定期的に確かめてみてください。
最後に:ディーキャリアITエキスパート立川オフィスで「自分に合った働き方の線引き」を一緒に考えよう
ディーキャリアITエキスパート立川オフィスでは、障害者雇用で長く安定して働き続けるための「自分なりの線引き」を、支援者と一緒に整理していくプログラムに取り組んでいます。「どこまで頑張ればいいかわからない」「断ることへの罪悪感がある」「今の職場で本当に続けていけるか不安」という方も、ぜひ一度、見学や無料相談にいらしてください。
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリアITエキスパート立川・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリアITエキスパート立川オフィス、所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。
主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。
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