発達障害と「我慢が苦手」——衝動をゼロにしなくていい、やり過ごす対策
〜職場でも日常でも使える、感情と欲求をうまく流すライフハック〜
言わなくていいことを言ってしまった。買うつもりじゃなかったのに買ってしまった。怒るつもりじゃなかったのに、声を荒げてしまった——後から「またやってしまった」と落ち込んだ経験、ありませんか?

こんにちは!ディーキャリアITエキスパート立川オフィスのピアスタッフ、かまちです。
発達障害のある方から「我慢ができない自分が嫌だ」「衝動的に動いてしまって後悔する」という話を、本当によく聞きます。私自身も長い間、これに悩まされてきました。
ただ、ひとつ最初にお伝えしたいことがあります。「我慢が苦手」は、意志が弱いのではなく、脳の衝動を抑えるブレーキの効き方に特徴があるというだけの話です。 だとすれば、根性で「我慢しろ」と言い聞かせるより、ブレーキが効くまでの時間を仕組みで稼ぐほうがずっと現実的です。
この記事では、なぜ我慢が難しくなるのかを客観的に整理したうえで、職場でも日常でも今日からすぐ使える、ハードルを地面まで下げた具体的な対策をお伝えします。
1. なぜ、「我慢しよう」と思っているのにできないのか?
我慢できないのは、性格の問題でも、育ちの問題でもありません。いくつかのごく自然なしくみが重なって起きています。
- 衝動が浮かんでから行動に移るまでの時間が、人より短い。 人間の脳には「衝動が浮かんだとき、一瞬立ち止まって考える」という機能があります。発達障害のある方はこの「一瞬の間」が取りにくく、感じたこと・思ったことがそのまま言葉や行動に直結しやすい特徴があります。「考えてから動く」ではなく「動いてから考える」という順番になりやすいのです。
- 感情の振れ幅が大きく、ピークに達するのが早い。 「イライラ」「嬉しい」「不安」といった感情が、一般的な感じ方より強く・素早く立ち上がりやすい場合があります。感情のボリュームが急に最大になるため、「少し我慢してやり過ごす」という余裕が生まれる前に、感情が行動を引っ張ってしまいます。
- 疲れているとき・ストレスが溜まっているときは、さらにブレーキが効きにくくなる。 体や頭が消耗している状態では、衝動を抑える力がさらに落ちます。「今日はいつもより怒りっぽい」「疲れた日の夜に衝動買いをしてしまう」といったパターンに心当たりがある方は、消耗と衝動がセットで起きているデータとして把握しておくと対策が立てやすくなります。
2. あらかじめ仕込んでおく!衝動が来る前にできる「仕組みの準備」
衝動はいきなり来ます。そのときに考えようとしても間に合いません。平静なときに先回りして仕組みを作っておくことが、最も効果的な対策です。
① 自分の「衝動のトリガー」をリストアップしておく
「どんなときに衝動が出やすいか」を、落ち着いているときに書き出しておきましょう。たとえば「否定されたとき」「急な予定変更があったとき」「空腹のとき」「睡眠が足りていないとき」など、人によってパターンがあります。トリガーがわかれば、「今日は睡眠が足りていないから、衝動が出やすい日だ」と事前に自分にフラグを立てることができます。
② 「衝動が来たときの逃げ道」を1つだけ決めておく
その場で感情や欲求をゼロにしようとするのは、現実的ではありません。代わりに、「衝動が来たらとりあえずこれをする」という逃げ道を1つだけ決めておきましょう。
- 席を立ってトイレに行く
- 深呼吸を3回する
- スマホのメモに「今〇〇と言いたい」と打ち込む(実際には送らない)
逃げ道は「我慢する」ではなく「時間を稼ぐ」ための道具です。衝動のピークは、たいてい数分以内に過ぎ去ります。
③ 「衝動買い・衝動行動」が起きやすい環境を事前に遠ざける
欲しいものがあるとき、すぐに買えるアプリをホーム画面から消す。ストレスが溜まった帰り道にコンビニに寄らないルートを決めておく。「意志で抑える」のではなく、「そもそも誘惑に触れる機会を減らす」という発想で環境を整えることが、ライフハックとして非常に有効です。
3. その場で使える!ハードルを地面まで下げる具体的な対策
衝動がすでに来てしまった。感情が高ぶってきた。そのとき、その場で使える対策を紹介します。
【対策①】「6秒ルール」で衝動のピークをやり過ごす
衝動や怒りのピークは、発生してからおよそ6秒で最大値に達し、その後は自然に落ち着いていくと言われています。ハードルを地面まで下げて、やることは「6秒数えるだけ」です。頭の中で「1、2、3、4、5、6」と数えるあいだ、口を動かさない・動かない、それだけで十分です。
【対策②】「言いたいことをメモに書いてから、送るか決める」を習慣にする
職場のチャットやメールで、感情的な返信を送ってしまいそうになったとき。まず別のメモアプリに「言いたいこと」を全部書き出して、5分後に読み返してから送るかどうか決める、というルールを自分に課しておきましょう。書くこと自体で感情が整理され、「やっぱり送らなくていい」と気づけることが多いです。
【対策③】衝動が出たあとは、責めるより「記録する」に切り替える
衝動的に動いてしまったあと、「またやってしまった、自分はダメだ」と自己批判のループに入ると、かえってストレスが溜まり次の衝動につながりやすくなります。代わりに「今日は空腹のときに衝動が出た」「否定されたあとに声が大きくなった」とデータとして記録する習慣に切り替えましょう。責めるより記録するほうが、次の対策につながります。
■ まとめ:衝動をゼロにしなくていい。「時間を稼ぐ仕組み」で十分
「また我慢できなかった」と一人で抱え込んでフリーズするのをやめて、「トリガーを知る」「逃げ道を決めておく」「6秒やり過ごす」という道具を使いながら、自分の衝動とちょうどいい距離でスマートに日常をこなしていこう。
我慢は根性でするものではなく、仕組みで時間を稼ぐものです。衝動をゼロにする必要はありません。ピークをやり過ごす道具を持っているかどうか、それだけの話です。
最後に:ディーキャリアITエキスパート立川オフィスで「衝動とのつきあい方」を一緒に練習しよう
ディーキャリアITエキスパート立川オフィスでは、自分の特性を客観的に知り、職場で使える対処の仕組みを一緒に作っていくプログラムに取り組んでいます。「衝動的に動いてしまう」「感情のコントロールが難しい」「職場でのコミュニケーションに不安がある」という方も、ぜひ一度、見学や無料相談にいらしてください。
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリアITエキスパート立川・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリアITエキスパート立川オフィス、所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。
主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。
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