【対策例つき】発達障害と予期不安|「また失敗するかも」にできる対策とは?

はじめに:こんな不安、心あたりはありませんか?
- 明日の出社を考えただけで動悸がして、眠りが浅くなる
- 「またミスをして迷惑をかけるかも」と考えだすとぐるぐる思考が止まらない
- 将来を考えると「仕事を続けられる気がしない」「自分はきっと心の病気になってしまう」とまで思ってしまう
発達障害(ASD、ADHD、学習障害など)のある人は、外見からは区別が着きにくいがゆえに、周りから見えにくい生きづらさやストレスを抱えやすいと言われています。
その積み重ねから「予期不安」が強くなることがあります。
ここでは、予期不安とは何か、発達障害との関係、そして「思考のクセ」に働きかける具体的な対処法や相談先について、ブログ作成者の体験談や、具体的な対策事例も交えながら整理していきます。
この記事の要点
- 予期不安とは「まだ起きていないネガティブなできごと」を繰り返し想像し、強い不安や恐怖を感じる状態
- 発達障害の特性と失敗体験の積み重ねにより、予期不安が強くなり、二次障害(うつ病、不安障害、適応障害など)につながることがある
- 「思考のクセ」を紙に書き出す、事実と解釈を分ける、言い換えフレーズを用意するなど、認知行動療法に近い工夫が不安の軽減に役立つ
- 生活リズム・環境調整、少しずつ行動してみることも、予期不安の悪循環を緩めるヒント
- 一人で抱え込まず、心療内科・精神科や就労支援、相談会など専門機関とつながる選択肢も持っておくと安心
📝当ブログ作成者の紹介
・ADHDの診断あり。「働くこと」に漠然とした不安を抱えた結果、就職先が決まらないまま大学を卒業。通院していたクリニックに置いてあったパンフレットから就労移行支援事業所という存在を知り、約8か月通所。
・その後、発達障害当事者の目線を持つスタッフとして、就労移行支援事業所の職業指導員として2年5か月勤務。現在はその経験を基にブログ作成や当事者座談会の主催、福祉サービスの認知度や正しい理解を広める業務に従事。「精神・発達障害当事者はもちろん、福祉スタッフを支えるスタッフ」としてお仕事継続中。
・趣味はイラスト/デザイン制作。Webブログ運営、楽しい。
目次
予期不安とは?不安障害・パニック障害との関係
医療の分野では、予期不安は不安障害やパニック障害でよくみられる状態として説明されています。
たとえば厚生労働省の情報でも、パニック障害の人が「また発作が起きたらどうしよう」と強い不安を感じ続けることを予期不安と呼んでいます。
もう少し日常のことばにすると、予期不安は次のような状態です。
- 実際にはまだ何も起きていない
- 「こうなったらどうしよう」「また発症するかもしれない」とネガティブな未来を繰り返し想像する
- その想像だけで動悸、息苦しさ、強い恐怖などの身体症状や感情が出てくる
不安障害やパニック障害では、
- 「電車の中でパニック発作を起こしたらどうしよう」
- 「人前で話して恥をかいたら取り返しがつかない」
といった予期不安から、特定の場所を避ける広場恐怖症や回避行動につながることもあります。
発達障害と予期不安の関係:二次障害としての不安
発達障害の特性と「また同じことになるかも」という思い
予期不安は、発達障害とも関連しています。下記のように、発達障害由来の特性から不安感が強くなることがあります。
- ASDの「こだわり」や感覚の過敏さから、予定外の変化や見通しの立たない状況が大きなストレスになる
- ADHDの不注意や衝動性から、仕事のミスや遅刻が続きやすい
- 学習障害(SLD・LD)による読み書き・計算の苦手さから、事務仕事で負担を感じやすい
このような特性と環境のミスマッチが続くと、
- 「また同じミスをするに違いない」
- 「自分はどこへ行っても仕事が続かない」
- 「人と話すと変な空気になるから、コミュニケーションの場は恐怖でしかない」
といった考え方が積み重なり、予期不安という形で表に出てくることがあります。
二次障害としてのうつ病・不安障害・適応障害
発達障害そのものにくわえて、長年のストレスや失敗体験から、不安障害、パニック障害、うつ病、適応障害などの精神疾患が併存するケースも少なくありません。
これは「心が弱いから」ではなく、
- 本人の特性
- 環境との相性
- 周囲の理解の不足
など、さまざまな要因が重なった結果として起こりうる二次障害です。
予期不安が日常生活・仕事に与える影響
よくある状況・行動パターン
発達障害のある人に聞かれる「予期不安あるある」をいくつか挙げてみます。
- 出社前の予期不安
- 前日にミスを指摘された
→ミスをしたことで、周りの人から嫌われたかもしれないと考えてしまう - 報告がうまくできなかった
→ 「明日も怒られるかも」「また迷惑をかけるかも」と考え続けて、朝になると動悸や腹痛が出る、電車に乗れない
- 前日にミスを指摘された
- 新しい場所・新しい人への恐怖
- 初めて行く場所での面談や面接
→時間・その場で起こることの見通しが立たない状態で、上手く対応できるか心配になる - 人数の多い飲み会や研修
→ 「道に迷って遅刻したらどうしよう」「その場の空気を読めない自分が浮いてしまうかも」と不安になってしまう。
(当日ぎりぎりになって「やっぱり行かないです……」とキャンセルしてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか…🤔)
- 初めて行く場所での面談や面接
- 過去の失敗が何度も頭に浮かぶ
- 大きなミスをした経験
→似たような状況に直面した時に、過去の記憶から「また上手くいかないかもしれない」と感じてしまう - 職場での注意や叱責
→ 「あのときのように、また評価が下がるに違いない」と、似た状況を避け続けてしまう
- 大きなミスをした経験
こうした行動の背景には、頭の中で「最悪のシナリオ」を何度も再生してしまう予期不安の存在があります。
心とからだの症状
予期不安が強くなると、感情だけでなく身体症状も出てきます。
- 強い動悸、息苦しさ、汗、震え
- 胃痛や吐き気、下痢などの体調不良
- 寝つきが悪い、途中で何度も目が覚める、早朝に目が覚めてしまうなどの睡眠の乱れ
- 集中しにくい、考えがまとまらない
これらの症状が続くと、脳内のセロトニンなどの神経伝達物質のバランスが乱れ、うつ病や不安症の発症・悪化に影響する可能性も指摘されています。
そして、ここまで当ブログを書いてきた私自身も「予期不安」という言葉には心当たりがあります。
■当ブログ制作者、「予期不安」感じやすいのかも?エピソード
・ADHDの診断を受ける前から、周りから「気にしすぎだよ」「もっと図太く生きてもいいんじゃない?」と、家族・友人から複数回言われ続ける。
しかし、自分では「そんなことない!もっと強く生きなくちゃ」と、なかなか納得がいかない様子。
・とはいえ、事あるごとにストレスを感じやすい体質は変わらず。
「失敗したら心臓バクバク・みぞおちがギュッと固くなるし、自分の発言で相手の表情が曇ったら気にしてしまうのは仕方ないよ……ここまで周りから「繊細」扱いされるのは、私の方がおかしいのかな……」と、悩み始める。
→そういった経験を経つつ、
「気にしすぎる・何に付けても不安になる自分が悪い」と自分を責め続けるよりも、
「特性と環境の問題が重なって、予期不安という状態になっているのかもしれない」と視点を少し変えてみるとちょっと楽になることに気づく。
完全に・根本的に自分が変わったというより、少しだけ考え方が変わると、ちょっと楽になった。
気になるものは、気になるよ。そりゃあ。
そうして、「自分は不安を抱えやすいんだな」と、受け止めると少し楽になりました。自分ってこうなんだ、を受け止める=「自己受容」なんて呼んだりしますね。
そんな「予期不安」、そして自分自身と向き合ってきた当ブログ作成者と、「予期不安とどう付き合っていくか?」一緒に見ていきましょう。
まずは「予期不安に気づく」ことから
こんなサインがあったら、予期不安かもしれない
次のような状態が続いているか、ざっくり振り返ってみてください。
- 「まだ起きていない未来」について、同じ心配ごとを何度も繰り返し考えてしまう
- その心配を考えるだけで、心臓がバクバクする、体が固まる感じがする
- 不安な状況を避けるために、行動範囲が少しずつ狭くなっている
- 不安で頭がいっぱいになり、日常生活に支障が出ている(出社できない、人と会えない・予定をキャンセルしてしまう など)
ここまで読むと「自分はやっぱりだめだ」「不安を感じやすい性格は、治らないのかな」と落ち込む人もいるかもしれません。
しかし、 「予期不安という名前がつく状態なんだ」と知るだけでも、少し客観的に見やすくなります。
「思考のクセ」に取り組む:認知行動療法をヒントに
予期不安へのアプローチのひとつとして、認知行動療法(CBT)と呼ばれる方法があります。
うつ病や不安症に対して、エビデンスが多く集まっている治療法のひとつです。
ここでは、専門家と行う治療そのものではなく、考え方のエッセンスを日常で試すイメージで紹介します。
ステップ1:不安を紙に書き出して「見える化」する
頭の中だけで考えていると、不安はどんどん大きくなります。まずは紙やメモアプリに次のように書き出してみましょう。
- 不安な状況:明日の朝礼での報告、初めての職場見学、面接 など
- 浮かんでくる考え:失敗するかもしれない、また同じことになる、迷惑をかけるかもしれない
- そのときの感情と体の反応:恐怖、不安、恥ずかしさ/動悸、呼吸が浅い、頭が真っ白
「書き出す」ことで、不安を自分の外に出し、客観視しやすくなります。
ステップ2:事実と「頭の中のストーリー」を分けてみる
次に、書き出した内容を見ながら、
- 実際に起きている事実
- 頭の中で想像しているストーリー(解釈・予測)
を分けてみます。
例:出社前に強い不安があるとき
- 事実
- 昨日、上司から報告の仕方について指摘があった
- 明日もいつも通り出社する予定
- 昨日、上司から報告の仕方について指摘があった
- 頭の中のストーリー
- きっとまた怒られる
- もう信用を失った
- 自分はどこへ行っても仕事が続かない
- きっとまた怒られる
頭の中のストーリーは「可能性のひとつ」であって、確定した未来ではありません。
ステップ3:「置き換えフレーズ」をあらかじめ用意しておく
不安なときにゼロから前向きな考えをひねり出すのは、とても大変です。
あらかじめ「こう言い換えてみよう」というフレーズを用意しておくと、少し試しやすくなります。
たとえば、こんな置き換え方があります。
- 失敗するかも…
→ 「失敗しても、立て直す方法はある」 - また同じことになるに違いない…
→ 「前回のミスの再発防止策は、少なくともひとつは講じている」 - 迷惑をかけるかも…
→ 「困ったら相談してよいと相手から言われている。ひとりで全部抱え込む必要はない」 - パニックになったら終わりだ…
→ 「もしパニックになっても、以前も時間がたてばおさまった。対処法を一緒に考えられる医師や支援者もいる」
ここで大事なのは、「ポジティブでいなければ」と無理に思い込むことではなく、
「極端な思い込みに、現実的な視点を少し足してみる」というイメージです。
ステップ4:誰かに話して、第三者の視点を借りる
紙に書いても整理が難しいときは、
- 信頼できる家族や友人
- カウンセラー
- 就労移行支援のスタッフ
- 心療内科・精神科の医師
などに話してみるのもひとつの方法です。
自分の頭の中だけでぐるぐるしていると「自分の考え=事実」のように感じやすくなりますが、
第三者の視点が入ることで「そういう見方もありそうだ」という別の可能性が見えてきます。
と、ノウハウをお伝えすることは出来ても「じゃあ、実際にはどうやるの?」と思う方もいるかと思うので……
👇 当ブログ作成者も、ステップ1~4を実際にやってみました。 👇

実際に自分でやってみると、何となく……スッキリしますね。
予期不安を感じている瞬間は辛いですが、紙に書き出す・他の人に伝えることで考えていること・感じたことを頭の外に出すと、辛さが軽減することもありますね。
また、心に余裕がある時に、「自分が辛いときに相談できる先(家族、友人、クリニックの先生、同僚、文章生成AI などなど…)を整理しておく」と、いざという時に行動しやすいです。
生活・行動面でできる予期不安への対処
1. からだの状態を整える(睡眠・食事・休息)
予期不安が強いとき、「心だけの問題」と考えがちですが、からだの状態も大きく関わります。
- 睡眠時間と起きる時間をなるべくそろえる
- カフェインやアルコールをとり過ぎない
- 仕事と休息のメリハリをつける
といった基本的な生活リズムの調整は、感情の波を少し穏やかにする土台になります。
2. 不安をゼロにしようとしない
「不安をなくさないと行動できない」と考えるほど、かえって不安が強くなることがあります。
- 不安があるままでも、できる範囲で何をするか
- 不安レベルを10→0にするのではなく、10→7くらいに下げられれば上出来と考える
といった「不安との付き合い方」を意識してみると、少し気持ちが楽になることがあります。
3. 小さく具体的なステップに分ける
たとえば「仕事に復帰する」という大きな目標を、次のように細かく分けてみます。
- 今日は家から一歩出て、近所のコンビニまで行く
- 明日は、通勤で使う駅まで行ってみる
- 平日に、職場の近くまで行ってみる
- 主治医や支援者と相談しながら、半日だけ出社してみる
仕事を始める・再開するときも、一気にフルタイム勤務を目指す・フルタイム勤務に戻そうとするよりも、「できそうな一歩」を積み重ねたほうが、予期不安の悪循環を緩めやすくなることもあります。
医療・支援機関に相談するという選択肢
心療内科・精神科で相談できること
予期不安やパニックによって日常生活に支障が出ている場合は、心療内科や精神科で相談することも選択肢に入ります。
医療機関では、
- 不安障害やパニック障害、うつ病、適応障害などの評価
- 二次障害を引き起こす原因として疑われる場合は、発達障害の検査・診断※
- 認知行動療法などの精神療法の紹介
- SSRIなどを中心とした薬物療法の検討
などがおこなわれます。
⚠️医療機関によって、専門・対応可能である内容は異なります。事前にクリニックのHPなどから情報収集した上で、必要時に受診をご検討ください。
⚠️薬を飲んで症状の緩和を図るかどうか(薬物治療)は、本人の希望や症状、生活状況によって医師と相談しながら決めていく形になります。
就労支援・相談会で話せること
「医療機関へ行くほどなのか分からないけれど、仕事や将来の不安が大きい」という場合、就労移行支援や相談会を利用する人もいます。
たとえば、発達障害に関する知識を持ったスタッフがいる就労移行支援では、
- 「仕事が続かない」「一般雇用で働くのがこわい」といった悩み
- どんな職場環境なら負担が少ないか
- 予期不安が強いときの行動・環境の整え方
を、障害のある人の支援に慣れているスタッフと一緒に整理していくことを目指します。
「相談したからといって、すぐ就職しなければならない」ということはなく、
まずは話をするだけでも、予期不安が少し和らぐ人もいます。
まとめ:予期不安は「弱さ」ではなく、これまでのがんばりのサイン
最後に、ポイントをもう一度整理します。
- 予期不安は、「まだ起きていないネガティブな未来」を繰り返し想像してしまう状態
- 発達障害の特性と、これまでの失敗体験・生きづらさが積み重なり、二次障害として強い不安や恐怖につながることがある
- 思考のクセ(「また同じことになる」「迷惑をかけるに違いない」など)を、紙に書き出し、事実と解釈を分け、現実的な言い換えフレーズを用意すると、不安を客観視しやすくなる
- 生活リズムや環境の工夫、小さなステップでの行動、信頼できる人や専門家への相談は、予期不安との付き合い方を整える助けになる
- 「自分が弱いから不安なのではなく、それだけ厳しい環境の中でがんばってきたサイン」と捉え直すことも大切
ここで紹介した予期不安対策を実践していただいて、少しでも楽になれた!と感じれば嬉しいです。
そして、もっと大事なことは、その不安をひとりで抱え続ける必要はありません。
クリニックの主治医、支援機関、相談会など、話せる場所を少しずつ増やしていくことが、未来の不安を少し軽くする一歩になります。
参考:外部サイト まとめ
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