何者でもない自分を、愛（め）でる

僕の社会人生活で一番苦しかった時期

こんにちは、橋本です！

年に一度のスタッフ面談がありました。

このお話は、僕が雇用してきた人たちの中で、特に若手の方々に、よくお伝えしていたことです。

僕がサラリーマン時代のときに大変お世話になった、敬愛する上司にこの言葉をかけられてとても気持ちが楽になったのを覚えています。

仕事が学業が、思った通りにバリバリ順調に進んでいる方にとっては、もしかしたら不要な話かもしれませんが、もし上手くいかずに悩んだり苦しんでいる方がいれば、この記事を読んでいただけると幸いです。

社会人になりたて～２０代の後半くらいまでは、どんな仕事に就いているにせよ、多かれ少なかれ理想と現実のギャップや、社会の理不尽さ、苦手な相手と一緒に仕事をする苦痛、そんな荒波に揉まれて良く言えば「成長の糧」として、悪く言うとストレスフルで我慢を強いられる経験を余儀なくされているのではないでしょうか。

この「余儀なくされている」というところがポイントで、社会人になって自立していると、なかなか弱音を吐く場所もありませんし、「休職」や「転職」というかたちで逃げ出そうものならキャリアや会社の居場所との天秤をかけるというリスクが付きまとうことになります。

かくいう僕も２０代のころはなかなか仕事が長続きせず、さまざまな職を転々としてきたものです。そのときそのとき、さまざまな自分にとっての辞めるに値する「正当な理由」がありました。

事業に失敗し借金を背負った後に就いた、完全能力給の仕事＝能力開発コンサルタントでは、もう後がない崖っぷちの状態でした。

早く成果を上げなければと焦るものの、最初の３か月は全く結果が出せなくて、先輩たちの風当たりもだんだん強くなってきました。

チームリーダーからも個別面談で「仕事は他にもあるんだからね」と、実質戦力外通告のようなこともささやかれ、いよいよ「クビ」が現実に迫ってきました。

最初の３か月は、休日も休憩時間も返上して顧客リストに電話をかけまくる日々だったのですが、努力が報われることはありませんでした。この頃が社会人生活の中で一番しんどかった時期だったかもしれません。

身も心も疲れ果て、月末が虚しく迫ってくる中、当時営業部をまとめていた部長が、僕に「しんどいのかい？」と聞いてきました。

そりゃあ、しんどいに、決まってるじゃないですか。

毎日朝から終電間際まで電話をかけまくって、ガチャ切りされたり厳しい言葉で拒絶され続けて、誰も話も聞いてくれないし、生活ができなくなるリミットは目の前に迫っているし、借金は相変わらず残っているし。

たしか僕はそのとき部長に、「でも、やるしかないので・・・」とか、そんな言葉を返したんじゃなかったかな。疲労困憊し過ぎていて、もうあまり覚えてませんが。笑

何者かになろうとするから。

でも、そのあと部長に言われた言葉は鮮明に覚えています。

「橋本君ってさぁ、そんなに『何者か』になりたいの？　何者かになろうとするから、そんな苦しそうなんじゃない？？　べつに一山いくらの自分だっていいじゃない。何者かになろうとするのを止めたら、お客さんの気持ちも少し分かるようになるかもよ」

そう言われて、僕の視界が開けてきたような心地になりました。

自分がこの世界で特別な人間だと、心のどこかで思ってきたから、置かれている状況や立場に不満だらけだったし、思い通りにならないことにイライラしたり不安になったりしていたんです。

この社会の９９％以上は、一山いくらの人たちで成り立っています。社会の成り立ちの９９％以上を否定し、蔑む生き方をしていたら、幸福になんてなれるわけがない。そのことに気付けたわけですね。

ちなみにそこからさらに１０数年が立ち、僕は「幸福」と「豊かさ」は物差しが異なることも学びました。当時はその２つを同じ尺度に考えて豊かであることは幸福だと、誤認していたわけですね。「幸福」と「豊かさ」の違いについては、長くなるのでまた別な機会で記事にしようと思います。

特に社会人経験がまだ浅く、仕事が上手くいかないな、大変だな、と思っている方に伝えたい。

何者かになろうとしてあがくのを、一度やめてみませんか？？

もしかしたらそうすることで、周りとの比較を忘れ、今目の前にあることや、今自分が根を張った場所、自分が咲かせられる花の色や形に満足、まではできないかもしれないけれど、折り合いをつけて生きていくこと＝何者でもない自分を愛（め）でることが、できるようになるかもしれません。

ではまた次回！！

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