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【発達障害×e-Sports】発達障害の特性がe-Sportsで活かされる!

世界中で愛されるe-Sportsは、近年、日本でも広く認知されるようになり、
世界大会やイベントが全国各地で開催されるようになりました。
そして、e-Sportsは、福祉や医療との親和性も確認され、多くの障害者の方々が
e-Sportsを楽しんでいるのです。

発達障害をお持ちの方にとってe-Sportsは、一般的な仕事での業務のように差別や配慮を気にせず、
競技中は間違いなく平等であり、自分の特性を強みとして発揮できる競技であることが多いといえます。

ここでは、発達障害の特性と、ますます注目を集める「e-Sports」との
関わりや未来についてみていきたいと思います。

 

e-Sportsとは

「e-Sports」とは、コンピューターゲームでの対戦をスポーツ競技ととらえる場合の名称で、
エレクトロニック・スポーツの略称。主に「eSports」、「e-Sports」、「電子競技」と表記されます。

e-Sportsの歴史はまだ新しく、コンピューターゲーム対戦(大会)は、70年代~80年代には、
「パックマン」や「ドンキーコング」といったクラシックアーケードゲームの大会がアメリカを中心とした世界各地で学生を対象に開催されていました。

90年代になるとオンラインゲームが登場し、対戦型格闘ゲーム「ストリートファイターII」のタイトルを皮切りにe-Sportsの世界大会が開催されていったのです。

現在では、「e-Sports」という名称も広く認知され、2022年9月に中国杭州で開催される
「第19回アジアオリンピック競技大会」で正式種目として認定。
2026年の第20回大会は、愛知県で開催されます。

 

第19回アジア競技大会(中国・杭州)における「e-Sports」の正式競技タイトルは、
以下の8タイトルとデモンストレーション競技の2タイトル。

 

<正式競技タイトル>第19回アジア大会・中国杭州「e-Sports」種目

・Arena of Valor Asian Games Version (伝説対決 -Arena of Valor-)

・Dota 2

・Dream Three Kingdoms 2

・EA SPORTS FIFA branded soccer games

・HearthStone (ハースストーン)

・League of Legends (リーグ・オブ・レジェンド)

・PUBG Mobile Asian Games Version

・Street Fighter V (ストリートファイターV)

<デモンストレーション競技タイトル>

・AESF Robot Masters-Powered by Migu

・AESF VR Sports-Powered by Migu

 

e-Sportsと発達障害の親和性

医療や福祉の視点からも注目される「e-sports」

近年では、福祉業界でも「e-Sports」は大変注目されています。年齢性別を問わず参加でき、
少しの操作でプレイできること。また、リハビリや社会参加への観点からも、医療や福祉業界にも浸透し始めているのです。

ゲームを通じて、社会に参加。コンピュータースキルの取得や向上というメリットも大きいといえます。

 

筋ジストロフィー患者でもあるパク・スンヒョン選手(韓国)に代表されるように、
障害を持ったe-Sportsのプロ選手が、世界各国から続々と誕生。
eSportsは、医療・福祉業界においても、ますます盛り上がりを見せているのです。

 

それにともない、重度障害者に対して「e-Sports」ができる環境を提供している団体・企業も増加。
「e-Sports」を実施できる環境やeSports専用の医療補助器具、システムが開発されています。

例えば、眼球の動きをAIが判断・処理をおこないゲームプレイ制御できる器具。
息を吹きかけて作動するボタン。少しの指圧でコントロールできる器具。口元や頬に当てて操作できるコントローラー、などです。

 

発達障害と相性の良いスポーツ競技とは?

近年、スポーツ界でも発達障害を公表・公言しているプロ選手も増えてきています。
ここでは、発達障害の特性とマッチするスポーツはどのような競技があるのかを見ていきましょう。

 

〇ASD(自閉症スペクトラム障害・アスペルガー症候群)

ASD特性のひとつとして挙げられるのが、自分の世界に没頭する(ゾーンに入る)です。
このことから、ひとりで集中できるスポーツは非常にマッチ度が高いといえます。

また、ルーティーンにこだわりを持つ特性もあるため、複数の動作を同時におこなうといった
マルチタスクが少ない競技が非常に相性が良いと言えるのです。

・「1対1の競技」・・・テニス・卓球・格闘技など

・「ひとりで極める競技」・・・水泳、体操、陸上など

・「その他として」・・・野球

(ポディションが決まっており、タスクやルーティーンも組めてこだわりを持てる)

〇ADHD(注意欠如・多動性障害)

ADHD特性では、強い刺激への欲求=プレイする機会が多い、スポーツとの相性が良いとされています。
また、ミスが大きな結果で精算できることも望まれるのです。

・プレイ機会が多い=フットサル、バスケ、テニス、卓球、水泳、陸上、武道など

・ミスが大きな結果で精算できる=サッカーのFW・攻撃的ポディション。バスケのFWなど。
(前半決定機を外してばかりだったけど、最後の最後で逆転ゴールを決めるといった事)

 

発達障害の特性が活きる「e-Sports」

 

 

ADHDやASD、SLD(限局性学習障害)といった発達障害の特性と「e-Sports」は
非常に相性が良いのです。ここからは、発達障害の特性がどのように
「e-Sports」に活きるのかを見ていきましょう。

 

〇「好きなこと」に対する集中力

発達障害の特性のひとつとして、興味を引かれたこと、好きなことへの集中力が
非常に高い傾向があります。集中力を発揮するまでの過程は特性によって
個人差があり異なりますが、ゲームスキルの向上やクリア目標達成に対して、
高い集中力を発揮するのです。

 

〇他者との難解なコミュニケーションが少ない

e-Sportsの選手は、競技以外の時でも「ゲーム」が仕事。スキルアップなどに多くの

時間を費やします。スポーツのアスリートでいうところの「トレーニング」です。
そのため、オフィスワークで必要な難解で複雑なコミュニケーションを
あまり必要としません。
このことは、発達障害の方にとって弱みが現れる場面が少なく、
とても良い環境といえるでしょう。

 

〇勝敗、スコア、など結果や成果がはっきりしている

e-Sportsは、ほとんどのタイトル(種目)は、その場で勝敗やスコアなど
成果が明確になるものばかり。オフィスワークや営業といった業務のように、
自分の仕事に対しての不安感が少なく、また、成果が明確になるため、
すぐに飽きてしまう特性でも続けられるという利点があります。

 

〇スキルアップへのこだわり / 地道な作業への集中(ASD特性)

ASDの特性のひとつとして挙げられるのが、「特定の事柄に対して非常に強いこだわり」を
持つことです。e-Sportsにおいても、技術向上や戦略・攻略のために、探求力や努力が必要であり、
ASD特性の強みが遺憾なく発揮されます。

また、バトルサバイバルゲームのような、展開によっては我慢強さを
求められる場面の多いタイトルや、パズルゲームのような緻密さを
求められるタイトルに対しても、ASDの特性は非常に高い集中力を発揮するので、
とても相性が良いといえるのです。

〇クエストやバトルを優位に進める独特な発想 (ADHD・SLD特性)

ADHDの特性では、クリエイティブな感性が強く、誰も考えつかない発想を生み出しやすいと言われています。この特性はe-Sportsでも大いに活かすことができ、相手の予測を上回る戦略で相手の隙を突いたり、想像を超えたスキルフルなプレイで戦いを有利に進めたりと、
能力を発揮する可能性が高いのです。

 

「発達障害 × e-Sports」注意点

現在e-Sportsはムーブメントとなり、誰でも参加できることから
注目を集めています。

発達障害を持つ方にも差別や配慮を気にせずに参加できることで、
得意のことや特性を活かせる場としても非常に相性の良いコンテンツです。

 

一方で、発達障害の方は特に注意すべき点もあります。

ここでは、発達障害を持つ方が「e-Sports」に関わる際の
注意点を見ていきましょう。

〇過集中と依存

発達障害を持つ方の特性として、「好き」「興味がある」ことに対し、
高い集中力を発揮することが挙げられます。この特性は、「e-Sports」
と非常にマッチすると述べましたが、逆に、過度に集中してしまうことも
あるため注意が必要。

食べたり、休んだり、眠る間を惜しんで取り組み、
気付けば数時間、数十時間が過ぎていたということも。

また、執着してしまう特性もあることから、近年では、
ゲーム依存に陥ってしまうケースも見られるのです。

 

〇休息を取り、体調管理・自己管理が必要

「e-Sports」にのめりこみ、過集中、ゲーム依存に陥り
体調や精神に支障をきたしてしまわないようにする必要があります。

アスリートにとっても、自己管理・体調管理は、必ず徹底して
おこなわなければなりません。これを怠ると、競技中の怪我や
パフォーマンスに大きく影響してしまうからです。

これは「e-Sprots」にもいえることです。意識的にオン/オフを切り替え、
程よくゲーム(e-Sports)から距離を取り、体調管理・自己管理を
おこなうようにしましょう。

 

「e-Sports」の未来

現在の日本は、まだまだ「e-Sports」後進国と言われています。
少し前の時代では、テレビゲームやインターネットに夢中になっていると、親から
「ゲームばかりしてないで勉強しなさい!」などと怒られた経験を持つ方も
少なくないのではないでしょうか。

その一方で、世界ではもうすでに「ゲーム」が仕事になっている現実が
あるのです。その代表例として挙がるのが「e-Sports」。

「e-Sports」は、スポーツ世界大会の正式種目に認定され、世界各国にプロ選手やプロチームが誕生し、
年を追うごとに注目度を高め発展しているコンテンツです。

「e-Sports」プロライセンス規約 / 一般社団法人日本eスポーツ連合 Japan esports Union (JeSU)

 

発達障害をはじめとした、障害を持つ方々にとっても、障害の有無、配慮や差別などを超えて、
性別、年齢、国籍、言語を問わず平等であることから、社会やコミュニティーへの参加を活性化できるスポーツといます。

また、プレイヤー(選手)としての参加はもちろん、ゲーム開発に関わるエンジニアやデザイナーといった
クリエイター職、運営や企画に関わる職種に関わるなど、「障害者×e-Sports」の未来への期待は大きいのではないでしょうか。

発達障害の方の「好き」や「得意」を活かせ、「やりがい」を感じて取り組める「e-Sports」は
その地位を着実に固め、世界のスタンダードなスポーツとして発展しているのです。

 

ディーキャリア一宮オフィス

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