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【発達障害のキャリアプランニング】仕事術のポイント5選!

発達障害のある方にとって、障害特性の困り感をカバーするために心がけたほうがよい仕事術のポイントがあります。
仕事をする上で役に立つ情報ですので、いま一度、自分なりに整理をして取り入れてみてはいかがでしょうか?
自分の働く環境を良くすることで、長く働くことにつながり今よりもっと「なりたい自分」になることを目指していきましょう。
今回は発達障害のある方が仕事において取り入れたほうがよい仕事術についてみていきましょう。

 

 

大人の発達障害 仕事術のポイント5選

発達障害を持つ方が仕事をする上で取り入れるべき仕事術とはどんなことでしょうか?
ここでは5つのポイントに絞って解説していきます。

ポイント① ツールを活用する

メモ帳・手帳を活用してメモや記録を取る

メモ帳や手帳を持ち歩き、些細なことでも記録する習慣をつけることは非常に大事です。
発達障害の特性で、指示されたことや予定、言付けなどを忘れてしまうことが多いという点があります。
そういったことを防ぐためにも、できるだけメモ帳や手帳を持ち歩き書き込んで見返すという
習慣をつけると仕事の上でも非常に助けになるのです。是非、実践してみてください。
ひとつ注意点としては、発達障害のある方の中には「スマートフォンのアプリでメモをしている」という方も
いるのではないでしょうか?スマホのメモ機能やアプリで記録して見返すということが実践できて
習慣化できていれば良いのですが、時として相手に与える印象があまりよろしくない場合も。
さらに、スマホの操作に手間取った挙句に諦めてしまうということもあります。
そういったことを避ける意味でもメモ帳や手帳にしっかりと記す行動をとったほうが良いと言われているのです。

また、福祉施設に勤務する生活支援員や相談員、そして、発達障害の診察する精神科医の中には、
発達障害の特性を持つ人たちは往々にしてメモを取らないことが多いので、何か支持をする際や薬の
説明をするときには、文章をプリントアウトした紙を渡すという対応をするとのこと。
しかし、プリントを渡しても直ぐに捨ててしまうことが多いので、指示のマニュアルを動画にしてみせたり、
またその内容をLineやTwitterといったSNSやアプリを使って伝えるなど対策している方々もいるそうです。
それでも中にはメッセージを見てくれない方もいるので対策に悩んでいるという声もあるのです。

時計を身に着ける / カレンダーを身近に置く

発達障害の特性のひとつで、時間感覚が鈍いことがよく挙げられます。発達障害のある方は、
「いま何分すぎた」「ここから〇〇まで何分かかる」といったことを理解したり予測することが
苦手な場合が多いため、注意して気を遣っていても遅刻してしまうといったことがよくあるのです。
まめに時間を把握できる習慣をつける意味でも、腕時計を身に着けておくことはとても大事。
また、時間を正確に意識できることは生活リズムの安定にもつながるので、時間感覚を掴むのが苦手な場合は、
腕時計を身に着けることを意識しましょう。
また、時間感覚と同じく、曜日や日にちの感覚を掴むのが苦手というのも発達障害の特性としては
よく挙げられます。カレンダーを常にみられる場所に設置することも意識してみてはいかがでしょうか。

大きなカバンを持つようにする

忘れ物が多いのもよく挙げられる発達障害の特性のひとつ。
忘れ物を防ぐために、たくさんモノが入る大き目のカバン、
例えばリュックサックなどを持つのも有効な手段です。
その日に必要なモノだけをいれるのではなく、自分が必要なモノ、必要になるであろうモノを
常に入れておけるカバンが良いでしょう。コツとしては、月に1回は必ず使うモノも入れておくということ。
毎日毎日、その日使うモノをチェックして入れて、を繰り返していると余計に忘れ物が増えたり、
モノをなくしてしまったり、ということが起こるので、必要なモノをすべて入れられる
大きいカバンを持つようにしましょう。

ポイント② ものごとを構造化して考える

 

ひとつの場所でひとつの作業

「ものごとを構造化する」と聞くとかなり難しい風に聞こえるかも知れません。
そんなに難しく考える必要はないのです。
「同じような生活をする」と言い換えて考えてみるとどうでしょうか。

ここで重要となってくるのが、「1つの場所で1つのことしかしない」を心がけるということです。
例えば、ご飯を食べるならここ。仕事をするならこのデスク。
読書するならこのソファーといった具合で自分の中で決めてしまいましょう。

発達障害のある方で一番よくないのが、ベッドの上でスマホをいじって飲食して仕事をして、
といったように同じ場所で複数の作業をしてしまう環境にいることです。
よく「やる気が起きない」と言う発達障害のある方に、普段どこで過ごしているかを尋ねると、
「いつもベッドの上で過ごしています」など、同じ場所で複数の作業をされていると答える方が多くいます。

また、家にいると集中ができないというのであれば、喫茶店や図書館など
自分が落ち着いて集中できる場所を探すのも効果的。この作業をするときはこの店、
といったように決めてしまえば、より集中してものごとに取り組めるようになるでしょう。

同じスケジュールで生活する(習慣化する)

一般的にASDの方はこだわりが強い特性があるため、同じスケジュールで過ごしていると
言われることが多いですが、実際には、同じスケジュールで過ごしていない方も少なくありません。
その理由として、純正なASDの方はそれほど多くなく、ADHDと合併されている方が殆どで
あるということがひとつ。もうひとつの理由として、テクノロジーの進化があります。
決まったスケジュールで過ごさなくても生活に大きな支障をきたすことが少なくなって
きたということがあるのです。同じスケジュールで生活するメリットとしては、集中しやすく効率が
上がるということにあります。また、寝る時間と起きる時間を決めて習慣付けができれば、身体が
「寝るぞ」「起きるぞ」と分かってくるので、睡眠の質も高まるのです。
これは仕事や勉強にも言えることで、スイッチが入りやすくなります。
同じスケジュールで生活を習慣化することが大切です。

ポイント③ スマートフォン・アルコール・ギャンブルから離れる

発達障害をお持ちの方は、前述したようにADHD、ASD、SLD、知的障害などを
合併している方も多いといえます。そのため、衝動的にギャンブルに走ってしまったり、
スマホゲームなどに依存してしまうことで身を滅ぼしてしまう状況が多くあるといわれているのです。
「依存症」とまではいかなくとも、そのせいで生活リズムや身体の調子を崩してしまうことがよくあります。
現状で「仕事がうまくいっていない」「学校の成績が落ちている。単位を落としている」という
状況にある場合は、この「スマートフォン」「ギャンブル」「アルコール」から距離を置くことを考えましょう。

自分の状況が把握しにくい場合は、「自分が週にどれくらいお酒を飲むのか」、
「一日何時間くらいスマートフォンを見ているのか」、「一回でどのくらいギャンブルにお金をつぎ込んでいるのか」
など細かい部分まで紙に書き出して現状を理解してみるのも有効です。

ポイント④ 他人のことは気にしない、でも表情は読む

発達障害のある方は、コミュニケーションに関して非常に苦手意識がある方が多いと言われています。
話し方、会話の受け取り方、コミュニケーション時の態度、仕草、表情、などに特性が現れることで
「発達障害」と疑われ受け取られることがよくあるのです。
発達障害の方は一般的に「他人のことを気にしない」ことが多いと思われがちですが、
実はその逆で、発達障害の方は「他人が常に気になる。他人を気にしている」方のほうが多いと言われています。

仕事をする上では、「相手が自分をどう思っているか」「自分を嫌っているかもしれない」
などということはあまり気にしなくても良いでしょう。
なぜなら、仕事に相手への好き嫌いを持ち込むのは、一般的に良くないという風潮があるからです。
特に日本において仕事は成果を出したりタスクをこなすことで企業や社会に貢献することが
目標のひとつとして考えられています。そのことから、日本では、相手に対する好き嫌い、苦手、
といった感情で相手への接し方、仕事の方針や考えを変えるといことが、モラルや価値観、
倫理的な考え方としても良しとされないことがほとんどです。

一方で、他人のことは気にしないで仕事をしっかりこなす中、相手の表情はしっかりと読む必要があります。
その理由としては、相手の機嫌が悪い時に仕事をお願いしてしまったり、忙しくていっぱいいっぱいに
なっているのに無理なお願いをしてしまったりすることは、相手にとって大変な負担になってしまうからです。
その相手が自分を好意的に思っていても、相手が自分を嫌っていても、仕事がうまくいかない上に
関係性も悪くなってしまうことが考えられます。仕事を進めていくなかで、相手の表情を読むことは非常に
大事なコミュニケーションスキルと言えるのです。ただ、仕事から離れ帰宅してからは他人のことは気にせずに
自分の趣味やリラックスすることで心身の安定をはかりましょう。
「対峙して目の前にいる相手の表情は読む」ということを意識することは非常に大事です。

ポイント⑤ 具体的に「訊く」「伝える」「頼む」

仕事上のコミュニケーションの中では、どうしても曖昧な表現が飛び交うことがよくあります。
しかし、発達障害の特性を持つ方はそういった曖昧な表現の理解が難しいと言われているのです。
例えば、「この作業を早めにお願いします」、「このデザインをエモい感じで仕上げて」、
「この資料をいい感じでまとめておいてください」といった表現。こういった曖昧な表現をされた場合は、
相手に具体的な締め切りなどを訊くことが大切です。
また、相手に具体的な表現で指示してほしいと配慮を求めることも考えましょう。
とはいえ、定型発達の人にとっても具体的な表現をすることは自分にも相手にもわかりやすいということが言えるので、
自分が相手に何かお願いするときも、「〇月〇日〇時までにこの資料をここまでまとめてください」という風に
具体的な表現で伝えることを心がけることも円滑に仕事をしていくためにはとても重要なことであるといえます。

また、「自分が苦手なこと」「配慮が必要なこと」についても具体的に伝えるようにしましょう。
例えば、「自分は聴覚過敏があるので、仕事中にヘッドフォンを装着することを許可してください」などです。
苦手なことについては、自分で対処できるように努力して対処法を習慣化できれば良いですが、
どうしても難しいことはあると思います。そういった場合にはしっかりと具体的にどのような
配慮が必要なのかをしっかり伝えることが大切。自分で仕事環境を整えるということも考えていきましょう。

番外編 うまくいっている発達障害のある人を真似る

 

筆者は現在ドラマ脚本家としての顔を持っているのですが、「作家」と言われる職業に就いている人は
発達障害の特性を持っている方が多いと一部でいわれているのです。
これは正確なエビデンスやデータがあるわけではないのですが、発達障害の患者さんたちを診断している
精神科医の方々がよく言っていることでもあります。
小説の文脈から「発達障害の特性とされる事柄が多く読み取れて読者に教えてくれている」
なんて言われているのをよく耳にします。

せっかく教えてくれている人が存在するのだから、自分にとって良いと思う部分は
真似して取り入れるということも有効です。
発達障害のある方は「人を真似る」ということが苦手である、というよりも、
人を真似することが悪いことだと思われている方が多いのではないでしょうか。
決してそんなことはありません。自分にとって良いと思うことや参考になることは
どんどん真似してしまいましょう。これはさまざまなことでも言えること。
例えば、赤ちゃんは家族が話しかけるのを聴いて言葉やコミュニケーションを憶えていきます。
スポーツ選手は上手な人のテクニックを真似て練習して自分のモノにしていきます。
俳優は人間を観察して真似てリアルなお芝居を作り上げていきます。憧れの人の服装やメイク、
仕草を真似した経験は一度はあるのではないでしょうか。
もし、周りにうまくいっている発達障害のある人がいたら、いいところを真似して取り入れてみるのも
自分の仕事や生活の安定につながることが多いので、是非、実践してみてください。