【大人の発達障害の就活HACK】志望企業の探し方 〜①基本編〜

就職・転職活動を始めて、求人サイトへ登録してみたものの、「どうやって探したら、自分に合う企業が見つかるんだろう…」「たくさんの求人の中から何を基準に探せばいいんだろう…」とお悩みではありませんか?

求人サイトに書かれている募集要項だけでは、その企業が本当に自分に合っているのかは分かりませんし、良さそうに思える企業に片っ端から応募していたら、いくら時間があっても足りません。

この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方”や、“転職活動が久しぶりの方”に向けて、志望企業の探し方の①基本編を解説します。

障害者雇用での就職をお考えの方は、②障害者雇用枠求人編の記事も併せてご覧ください。

1. 就職の軸を立てよう 〜社会人生活で何に重きを置くか?〜

就職・転職活動をはじめるときに、求人サイトでやみくもに求人を探し始めてはいけません。志望企業を見つけるためにもっとも大切なことは、志望企業を探しはじめる前にあります。

“ランチ”を例に考えてみましょう。

あなたが仕事のお昼休憩で「今日のランチは何を食べようか」と考えていたとします。職場の近くには、コンビニ・定食屋・ファストフードなどいくつかお店があります。この中から、ランチを食べに行く(または、買いに行く)お店をどうやって選ぶでしょうか。

「給料日前でおサイフがピンチだから、安く済ませよう」と、予算を基準に選ぶかも知れませんし、「混んでいて並ぶのは嫌だから、早く食べられるお見せにしよう」と、早さを基準に選ぶかも知れません。あるいは「今日は暑いから、サッパリしたものが食べたいな」と、料理のジャンルで選ぶこともあるでしょう。

このように、いくつか選択肢がある中から選ぶときには、何かの基準をもとに考えることが多いのではないでしょうか。

就職・転職活動も同じです。まずは求人を探し始める前に、仕事内容・給与・業界など、自分がどのような企業に入りたいのかの基準、つまり就職の軸を立てておきましょう。

就職の軸を立てるためには、自分がどのようなことを望んでいるのか、自己分析をしてみることが大切です。自己分析の始め方、それをもとにした就職の軸の立て方については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

大人の発達障害がある方の就職活動は「ウォーミングアップ」で成否が決まる!

2. 働く環境について知ろう 〜①業界研究〜

就職の軸は自己分析をもとに立てますので、言い換えれば、自分の“内側”について知ることだと言えます。それと同じくらい大切なのが、自分の“外側”について知る、つまり働く環境として実際にどんなものがあるのかを知ることです。

働く環境について知るための方法は、大きく分けて ①業界研究と ②職種研究の 2 つがあります。まずは ①業界研究について解説します。

2-1. 業界研究をおこなう意味

自分が働く環境として「どの業界を選ぶのか」ということは、これからの人生を左右することだと言っても過言ではありません。なぜなら、業界によって働く環境は大きく異なるからです。

例えば「在宅で、リモートワークできる仕事がしたい」と考えたとします。

Web 制作やソフトウェア開発などの“ソフトウェア・通信業界”では、PC とインターネット環境があればできる仕事もあるので、比較的リモートワークが実現しやすいと言えるでしょう。

一方、レストランなどの“飲食業界”では、実際の店舗でサービスを提供することが多いので、リモートワークを実現することは、なかなか難しいかも知れません。

このように、業界選びは自分が実現したい働き方だけでなく、収入にも影響します。

一般的には、市場が大きい業界(お客様の数が多い、モノ・サービスの単価が高い)であれば、それだけ会社の利益も大きいということですから、平均年収は上がります。

一方、市場が小さい業界(お客様の数が少ない、モノ・サービスの単価が低い)であれば、会社の利益も少なくなり、そのぶん平均年収も下がります。

また、現在は市場が大きかったとしても、これから市場が小さくなっていくことが見込まれる業界であれば、将来的な収入に影響が出るかも知れません。(例えば、少子高齢化の影響が大きい業界や、テクノロジーの発展により機械や AI で置き換えられてしまう仕事が多い業界など。)

もちろん、同じ業界であっても会社や職種によって待遇や労働環境は変わりますし、業界だけで選んでやりたくもない仕事に就いては意味がありません。しかし、“業界”という大きな枠組みでの傾向を知ったうえで自分が目指す方向性とすり合わせることが、将来を決める上では大切なのです。

2-2. 業界研究のポイント

多くの求人サイトでは、業界研究について解説されたページがあります。その業界の代表的な企業や市場の大きさ、平均年収などの情報がまとまっているので、まずは参考にしてみると良いでしょう。

また、書店では業界研究の専門書籍も販売されています。書籍は、インターネット上の無料の情報と比べて詳細な情報が整理してまとめられており、また、出版元独自の業界分析が載っていたりもしますので、業界研究の参考にしやすいでしょう。代表的な書籍には、以下のようなものがあります。

“業界”とひとくちに言っても、その切り口には様々な種類があって、統一された基準は特にありません。

例えば、Web制作会社を“ソフトウェア・通信業界”と表現している場合もあれば、“インターネット業界”と表現している場合もあります。同じ会社であっても、求人サイトや書籍によって呼び方や分類方法が異なる場合があるので、注意が必要です。

なお、厚生労働省が学生の“キャリア教育”のために公開している資料のなかに、業界研究の具体的な方法(どこで・どのように調べれば良いか)について書かれているものがあります。

下記リンク先の『平成28年度講習テキスト及び参考資料(大学等)講習テキストPart1(第4章) 』にて、「2 業界情報・企業情報へのアプローチ・検索」の章で解説がされていますので、ご参考ください。

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