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合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。

障害による困りごとへの配慮を雇用先に求めることのできる「合理的配慮」について紹介しています。そもそも合理的配慮とは?自分は対象となるのか?どんな制度なのか?といった疑問にお答えするための基礎情報をまとめました。

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皆さんは合理的配慮という言葉をご存知でしょうか。具体的な内容までは知らなくとも「何となく言葉として見聞きしたことはある」という方は多いのではないかと思います。 「障害による困りごとへの配慮を、企業や自治体、教育機関等の事業主(※以下、本文では「企業等」と表記します)に求めることができる」というような説明がされることの多い合理的配慮ですが、しかし、そこには当然ながら一定のルールがあり、「困ってさえいれば、いつでも、どのような配慮でも求めることができる」というわけではありません。 「合理的配慮」について企業側と調整をすることは、障害のある方が働くうえでの大切なポイントです。そこで今回は、企業側へ合理的配慮の提供を求める際に、まず押さえておきたい基礎知識をご紹介します。 [toc] そもそも、合理的配慮とは? 合理的配慮とは、国の定める「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」などの法律に登場するキーワードです。 障害者差別解消法は、「障害のあるなしに関わらず誰もが平等な人権を持ち、お互いを理解して皆が自分らしく共に生きる社会(共生社会)を実現すること」を目的として定められた法律です。その法律の中で、企業等に対して、「障害者から助けを求められた場合には、合理的配慮の提供をおこなう」ことが求められています。 障害者雇用促進法は、「働くことについて、障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な機会や待遇を得られること」を目的とした法律です。その法律の中で、企業等に対して、「障害者が自分の能力を発揮して仕事をスムーズに進められるよう、合理的配慮の提供をおこなう」ことが求められています。 つまり、障害のあるなしに関わらず誰もが平等に生きることができる社会を実現するために、障害によっておきる困難さを取り除いたり、周りの環境を整えたりするなどの支援などの合理的配慮の提供が、企業等の側には求められているのです。 「合理的配慮」で押さえておくべき3つのポイント それでは、合理的配慮を理解するために、押さえておきたいポイントを3つに分けてご紹介します。 1.企業等の側との話し合いの上で、提供されるかどうかが決まる 法律では、企業等が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で、対応に努めること」と定められています。この「負担が重すぎない範囲で」とは、いったいどういうことなのでしょうか。 例えば、足に障害があり車椅子を使っている方が働くときに、「エレベーターからの導線に配慮してデスクの位置を決めて欲しい」と求めた場合、企業等の側の負担は、そこまで重くはないと言えます。 しかし、「エレベーターで上下の階を行き来せずに済むよう、ビルの6階にあるオフィスを1階に移転して欲しい」と求めた場合はどうでしょう。移転に掛かる費用や、他の従業員への影響を考えると、企業等の側の負担が、あまりにも重すぎると言えるのではないでしょうか。 障害者差別解消法も、障害者雇用促進法も、法律のもともとの目的は「障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な社会の実現」です。つまり、障害者だけが困難を抱えて生きるのではなく、企業等の側だけが重い負担を強いられるのでもなく、お互いが理解し尊重し合い、共に生きていくという考え方が重要なのです。 この考え方にもとづき、障害者本人と企業等の側との話し合いの上で、合理的配慮が提供されるかどうかが決まります。「企業等の側が提供する配慮が、重すぎるか否か」は、以下の6つの要素と、対象となる障害者が抱える困難さとを総合的に検討して、判断されます。 1. 事業活動への影響の程度…合理的配慮の提供をおこなうことによって、企業等がおこなう生産活動や、サービスの提供に、どの程度影響が発生するか。2. 実現困難度…合理的配慮の提供をおこなうために、設備や人材を確保する難しさの度合い。3. 費用負担の程度…合理的配慮の提供のために、企業等の側が負担する費用の程度。4. 企業の規模…企業の規模による負担の程度の違い。(大企業の方が、社会的責任が大きいとされる。)5. 企業の財務状況…合理的配慮の提供を行っても問題がない、財務状況かどうか。6. 公的支援の有無…合理的配慮の提供をおこなうにあたり、公的な支援が利用できるかどうか。 「お互いを理解し、尊重し合う」ためには、企業等の側に求めるだけでなく、障害者の側も「自分で行える対処=セルフケア」を提示して、すり合わせをおこなうことが大切です。 よって、合理的配慮の提供がどこまでされるのかを話し合うときには、「障害が原因となる困難さのうち、セルフケアをしても対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲かどうか」がポイントとなります。 2.合理的配慮は障害者手帳がなくても求めることができる 合理的配慮の提供を受けることができる「障害者」とは、「障害者手帳を持っている人のこと」だけではありません。 手帳の有無や、障害の種別(身体・知的・精神)、雇用の形態(障害者雇用か一般雇用か)を問わず、障害の特性によって、社会のなかで困難さを抱えている人すべてが対象となります。(もちろん、発達障害の方も対象です。) なお、「医師の診断書」についても、法律上は、合理的配慮の提供を判断する基準として定められてはいません。しかし、実際に合理的配慮の提供を申請し、話し合いをおこなう際には、提供する配慮の内容について専門家からのアドバイスを受けたり、公的な支援の申請を行ったりするための資料の一つとして、医師の診断書や意見書の提出を求められるケースがほとんどです。 3.合理的配慮を求める場合は、障害者が自分から申請する 法律では、「障害者から何らかの助けを求める意思が伝えられた場合に、合理的配慮を提供する」と定められており、障害者の側から企業等の側に対しての申請が必要です。 一見すると、「困りごとを抱えている人がいるのなら、周りから気が付いて支援してあげるべきではないか」と考えてしまいますが、これには、障害者福祉に関する法律の整備に障害者自身が関わってきたという歴史的な背景の影響があります。 2006年に国連で採択された「障害者権利条約」は、“Nothing about us without us”(私たち抜きに私たちのことを決めるな)を合い言葉に、その策定が進められました。 かつて、障害者は「一般社会から保護される無力な存在」とされ、自分の人生を自分で選択し、決めることが許されなかったという時代が存在しました。国連で条約が採択された背景には、障害者はこのような「保護的支配」を受けるものではなく、普通の市民としての権利を持つ人間であることを強く訴えるメッセージがあったのです。 そのため、合理的配慮の提供においても、障害者の「当事者としての意思表示」が重要とされているのです。 一人ひとりの特性に応じた配慮事項を考えることが大事 合理的配慮について企業等の側と調整をすることは、障害者のある方が自分の能力を活かし、自分らしく働くうえでの大切なものです。 合理的配慮申請マニュアル、合理的配慮の事例集の記事では、実際にすり合わせをおこなう際の、具体的なポイントについて解説していますので、ぜひお読みください。 ただ、目の前の仕事や生活で困りごとを抱えている状態で、正しい知識を独学で身に付けることはたいへんです。 「自分の特性にあった自己対処は何をすればいいの?」「どのような形・タイミングで職場と相談すればいいの?」など、悩んでしまうことがあるかも知れません。 そんなときには、自分一人で抱え込まずに、専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 参考URL 内閣府|障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html 内閣府|合理的配慮等具体例データ集https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/ 厚生労働省|障害者雇用対策https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html 厚生労働省|障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関する Q&Ahttps://www.mhlw.go.jp/tenji/dl/file13-04.pdf
合理的配慮のよくある質問集

働きづらさを感じている発達障害のある方が知っておくべき「合理的配慮」について、よくあるご質問形式でまとめました。

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メールやお電話での無料相談、そして、ディーキャリア各事業所で行っている無料相談会では、大人の発達障害の特性に悩まれている方から、多くのご相談をいただきます。 最近は「大人の発達障害」に対する社会的な認知度が高まり、テレビ番組や雑誌などでも取り上げられることが増えてきました。また、インターネットでも、専門的な情報から実際の当事者による体験談まで、さまざまな情報を手に入れることができるようになりました。 一方で、誰とも相談しないまま、「調べれば調べるほど、一人で悩んでしまう」という方も多くいらっしゃいます。「誰かに相談する」というのは、なかなかハードルが高いもの。最初の一歩を踏み出すには、勇気が必要です。 そこでこちらの記事では、私たちがご相談をいただくなかで、「合理的配慮」についての、よくある質問をまとめました。「同じ困りごとを抱えている人が、どんなポイントで悩んでいるのか」を知ることで、ご自身の悩みを解決するための、ヒントを得られるかも知れません。 ※本記事では、「企業や自治体、教育機関等の事業主」を、便宜上「企業等」と表記しています。 [toc] Q1. 「合理的配慮」は、障害のある当事者からの申し出であれば、どんな内容でも対応してくれるの? A1. どんな内容でも対応してもらえるわけではありません。申し出の内容が「合理的であるか」が判断軸となります。 法律では、企業等が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で、対応に努めること」と定められています。また、企業等の側に配慮を求めるだけでなく、障害者の側も「自分で行える対処=セルフケア」を提示して、すり合わせをおこなうことが大切です。 つまり、「合理的であるかどうか」を判断するポイントは、「障害が原因となる困難さのうち、セルフケアをしても対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲かどうか」がポイントとなります Q2.障害のことを開示せずに「合理的配慮」を求めることはできるの? A2. 合理的配慮の提供を求めるためには、企業等の側に、障害のことを開示する必要があります。 合理的配慮は、「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」で定められています。法律の名前にあるとおり、いずれの法律も障害のある方に対する支援を目的としていますので、障害があることを開示しなければなりません。 なお、障害があることを証明するための書類については、Q5. をご参照ください。 Q3. 合理的配慮の対象は? A3. 合理的配慮の対象は、障害者手帳の有無や、所定労働時間によって限定されることはありません。 障害者雇用促進法の第2条・第1号では、「障害者」の定義を以下のように定めています。 身体障害、知的障害、発達障害を含む精神障害、その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者 従いまして、合理的配慮の提供を受けるための条件として、障害者手帳の有無や、所定労働時間を問われることはありません。なお、障害があることを証明するための書類については、Q5. をご参照ください。 Q4. 障害者手帳を持っていない場合、企業にどのようにして障害があることを証明したらいいの? A4. 障害者手帳以外で、障害を証明できる書類には、「受給者証」と「医師の診断書/意見書」があります。 障害者手帳以外で、障害があることを証明できる書類は大きく分けて2種類あります。1つ目は、障害のある方のみに発行される「受給者証」です。障害のある方に向けた、公的な医療サービスや福祉サービスを受ける際には、自治体から「受給者証」と呼ばれる証明書が発行されます。受給者証の有効期限内であれば、証明書類として利用することができます。 2つ目は、「医師の診断書または意見書」です。ただし、どのような診断書・意見書でも良いというわけではなく、「障害名が記載されていること」が必要です。発達障害のある方については、こちらを証明書類として用いることが多いようです。 なお、企業等の側の判断によっては、これらの証明書類の提出を求められない場合もあります。 Q5. 合理的配慮の提供を断られてしまった具体例を教えてほしい。 A5. 企業により基準はさまざまですので、あくまでも「一例」として捉えてください。 合理的配慮が提供されるかどうかは、障害者本人と、企業等の側との話し合いにより決定されます。話し合いによる決定ですので、「どの企業でも断られてしまう」というわけではありません。同じ配慮を受け入れてもらえる企業もあります。あくまでも一例としてご参照ください。 求めた配慮の内容断られた理由人が横を通るなど、視覚に刺激が入った際に集中力が途切れてしまうため、パーテーションを設置してほしい。集中力を継続するために、気分転換のための休憩室を設置してほしい。現在のオフィスでは設置をする場所が物理的になく、設置しようとするとオフィス全体のレイアウト変更が必要で、多大な費用がかかり、他の従業員の業務に支障を来してしまうため。人の目線が気になり、集中することが困難なため、壁際の席にしてほしい。(入社直後は配慮を受け入れてもらえたが)会社の組織変更に伴い、オフィス全体のレイアウト変更(席替え)が必要となり、壁際の席が用意できなくなってしまったため。不安傾向が強く、業務を滞りなくおこなえているのか常に不安を感じてしまうため、週に1度、相談のための面談を必ず行ってほしい。面談を行う人事担当者が、新卒採用などの繁忙期に必ず週1度の面談時間を確保することができなかったため。また、代わりの人員を確保できなかったため。 また、一度断られた場合でも、代替案を出すことにより、対応をしてもらえることもあります。例えば「休憩室の用意はできないが、○時間に1回5分休憩をとってもらうのはOK」「週1回の対面での面談は難しいが、メールであれば相談をいつでもOK」「パーテーションの用意や席の場所の調整は難しいが、業務用サングラスの着用はOK」などです。 求める配慮内容に工夫をすることや、自身の特性による苦手なことと企業の「できること・できないこと」とすり合わせをすることが大切です。 一人で悩まず、まずはディーキャリアに相談してみませんか? 「どのような形・どのようなタイミングで申請をおこなえば良いのか」「セルフケアとは、具体的にどのようなことを書けば良いのか」など、実際に合理的配慮の提供を企業等の側に求める際には、さまざまな部分を考慮する必要があり、お一人では難しいと悩んでしまうこともあるかも知れません。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、お電話とメールにて随時、ご相談を受け付けております。「発達障害の特性による働きづらさを感じている…」そんなお悩みのある方は、ぜひお気軽にご相談ください。 障害特性は十人十色。なぜ同じミスを繰り返すのか?なぜ困難さを感じるのか?なぜ他の人はできるのに自分はできないのか?…その理由は障害特性によるものかもしれません。 一人ひとりの特性を見極め、苦手なこと、その苦手に対する工夫を考えることが大切です。ディーキャリアでは「特性理解」のプログラムを提供しています。 プログラムの無料体験会も実施しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 参考URL 内閣府|障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html 内閣府|合理的配慮等具体例データ集障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するhttps://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/ 厚生労働省|障害者雇用対策https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html 厚生労働省|障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関する Q&Ahttps://www.mhlw.go.jp/tenji/dl/file13-04.pdf