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卒業生インタビュー「就労移行支援を利用して良かったことは?」

ディーキャリア卒業生に「実際に就労移行支援を利用してみて良かったこと」をうかがいました。今の社会人生活に役立っていることなど、リアルな体験談をお伝えします。

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ディーキャリアの卒業生の方に、「就労移行支援(ディーキャリア)を利用して良かったこと・メリット」についてインタビューをおこないました。 今回インタビューに応じてくださったNさんは、4年前にディーキャリアをご卒業、現在は障害者雇用枠で事務のお仕事をされています。そんなNさんに、ディーキャリアで学んだこと・身につけたことで、実際に社会人生活で役立っているものがあるかについて聞いてみました。 インタビューの前半では、就労移行支援を利用したきっかけについてお伺いしました。 【こんなお悩み・疑問のある方にオススメ】□ 就職を目指しているものの、うまくいかない□ 発達障害の特性があり、働くことに自信がない□ 就労移行支援(ディーキャリア)で身につくスキルを知りたい□ 就労移行支援(ディーキャリア)で解決できる悩みを知りたい 就労移行支援に興味はあるものの、利用すべきか悩んでいる方に、お役立ていただける情報満載です。 ぜひ、最後までお読みください。 参考記事本記事は当事者同士の対談のため、発達障害に関する用語でお分かりになりづらい部分があるかもしれません。「大人の発達障害」について詳しく知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。 [toc] インタビューにこたえてくれた方Nさん ■所属オフィス:ディーキャリア柏オフィス(卒業)■在籍期間:2018年6月~2019年10月■診断名:ASD(自閉症スペクトラム障害)■障害による特徴(特性):・耳から入る情報の処理が苦手 (口頭での指示などが聞き取れない、聞き洩らしがある等)・複数の指示を同時にされると混乱してしまうことがある・過集中(過剰に集中しすぎる)がある・感覚過敏があり、周りの音が気になって集中できないことがある・約束や納期を忘れてしまうことがある■現在のお仕事:障害者雇用枠で人材派遣会社での事務職として勤務。現在は求人情報のデータ入力、Wチェックを担当。 Q.就労移行支援事業所をどのように知りましたか? 精神障害の診療で通っていたクリニックの先生に「就労移行支援」を勧められたのがきっかけです。就職について相談したかったことと、自分の障害特性への理解を深めたいと考えたことから、利用を検討しはじめました。 Q.次の就職に向けて、検討していたサービスはありましたか? 就労移行支援事業所以外は、とくににありませんでした。就労移行支援事業所は、ディーキャリアを含めて2~3か所、見学や体験に行きました。 Q. 就労移行支援事業所の利用を決めた理由について教えてください。 ■就職に関する相談ができる まず、就職についての相談をしたかったことが理由です。前職はクローズ就労(障害を開示しない勤務形態)だったのですが、次は障害者雇用枠にするのか、どんな仕事が向いているのか・向いていないのかについて相談したいと考えていました。「障害者雇用」に興味はあったものの、当時は不安のほうが大きかったので、実態などを聞いてみたかったですね。 ■障害特性の理解を深められる 自分の障害特性の理解を深めたいと考えていたことも大きな理由です。前職の仕事で失敗をした経験があったので、次の仕事では同じ過ちをしないように対策をしたいと考えていました。 Q.前職での困りごとを詳しく教えてください。 前職はシステムエンジニアの仕事をしていました。口頭での指示が苦手で、聞き洩らしをしまったり、同時にいくつもの指示がくると混乱してしまって、ミスをしてしまったりすることがありました。例えば、指示をされた仕事が10個あるとしたら、8個は覚えていられるのですが、2つ抜けてしまうという…。業務の抜け漏れによる失敗を何度も繰り返してしまって、3年ほどで退職しました。お客様先での常駐勤務であったことから、相談できる相手がいなかったことも退職理由です。 Q.ディーキャリアの利用を決めた理由について教えてください。 ディーキャリアのプログラムは、3つのステップになっていて、段階的に学んでいけるのですが、それが自分に合っていると思いました。見学にいったときのスタッフや利用者の方の様子も決め手のひとつです。相談や質問がしやすい雰囲気で、安心することができました。 Q.実際に「就労移行支援」や「ディーキャリア」を利用して良かったこと(メリット)について教えてください。 ■障害特性への理解を深めることができた 自分の障害特性の理解を深めることができたことです。診断がでたときにクリニックでも説明を受けていたので、自分の特性は「なんとなく」は理解していたのですが、自分の仕事上のミスがどの特性によって起こっているかは分かっていませんでした。実際にどの特性が仕事に影響しているかを明確にすることができました。 ■自分と同じ悩みのある人と交流ができた 自分と同じ障害のある利用者の方と一緒にプログラムに参加できたのも、良い経験でした。ライフスキルコースでは、座学形式で他の利用者の方とプログラムを受け、チームに分かれて共有をする機会があるのですが、他の方の意見を聞くことができたことが良かったです。例えば「ストレスコーピング」といってストレスの解消方法を学ぶプログラムでは、自分もやってみたいと思える対策を知ることができました。 ■就職活動のサポートを受けることができた 障害者雇用枠での就職活動をサポートしてもらえたことも、ありがたかったです。履歴書や職務経歴書だけではなく、ナビゲーションブックという自分の障害を説明する資料の添削をしてくれました。面接の練習もよかったです。自分の障害についてうまく伝えることに自信がなかったので、助かりました。ディーキャリアの利用前は、障害者雇用枠と一般雇用枠どちらで働くか悩んでいたのですが、スタッフの方と話し合ったり、いろんな会社の説明会に参加したりしたうえで、障害者雇用枠で就職することに決めました。障害への配慮や相談しやすい環境を重視したかったからです。気軽にいろんなことを相談できたので、とても助かりました。 ■通所へのモチベーションを保つことができた 毎週土曜日のイベントも気に入っていました。平日は真面目な雰囲気でプログラムを受けるのですが、土曜日はヨガやカードゲームなどのイベントに参加することができます。他の利用者の方と交流ができて、リフレッシュすることができたので、来週も頑張ろうとモチベーションを保つことができました。 Q.ディーキャリアで学んだことで、今の社会人生活で役立っていることについて教えてください。 ■障害特性による困りごとへの対処法 自分の障害特性への理解を深めて、どのようにすれば苦手なことに対処できるかを学んだのですが、今の仕事でも役立っています。 【現在の勤め先での合理的配慮と自己対処】 ・耳から入る情報の処理が苦手 ⇒業務指示や説明は「書面(チャットやメール等)」でおこなってもらう ・複数の指示を同時にされると混乱してしまうことがある ⇒タスクを一つずつ説明してもらう、メモを取る時間をもらう ・過集中(過剰に集中しすぎる)がある ⇒スマホアプリを活用し、適宜休憩をとるためにアラームを設定している ・約束や納期を忘れてしまうことがある ⇒カレンダーのアプリを活用し、アラームが鳴るように設定している このような対策をすることによって、以前感じていた働きづらさや、前職と同じようなミスが起こりづらくなりました。 ■コミュニケーションスキル ディーキャリアを利用する前は、コミュニケーションに苦手意識はなかったのですが、利用をする中で課題に気づいて、対策を学ぶことができました。例えば、「人の話を遮って話し始めてしまう」という癖があることです。相手の立場になって、会話をする方法を学びました。以前から仕事の話などはできたものの、自分から話題を振ることが少なかったのですが、日々の訓練の中でコミュニケーションを通じて、雑談がしやすくなりました。 Q.就労移行支援事業所を利用するか迷っている当事者の方に、何かアドバイスがあればお願いいたします。 発達障害のある方は、自分の特性について知ることがとても大切だと考えています。自分にどのような特性があるかを知って、どのように具体的に対策をすればよいかを知ることで、働きやすくなると思います。働くことに不安がある方は、まずは相談してみるのがおすすめです。 Q.最後に、ディーキャリアの利用満足度を10点評価してください。その理由も教えてください。 10点です。プログラムがとてもためになりました。例えば、「リフレーミング」というプログラムでは、自分自身のとらえ方を変えるだけで気分が楽になることを学びました。自分らしく就職が目指せたことも、高評価の理由です。無理して就職をするのではなく、体調を優先しつつ、自分のペースで進めることができました。障害者雇用枠での就職を決めることができたのも、ディーキャリアで、自分に合っている働き方を知れたことが理由です。 担当スタッフよりコメント 就労移行支援事業所ディーキャリアに通うメリットは、「仕事スキル」だけでなく、「社会スキル」を身につけられることだと考えています。働くうえでは、もちろん実務に必要な技術や知識も必要ですが、社会生活の中では、人との関わり方やストレスケアを身につけることも非常に重要です。 今回のNさんのインタビューでもあったように、発達障害の特性によって「働きづらさ」を感じている方は、特性の理解を深めることも必要です。 ディーキャリアでは、3つのコースを用意しており、それぞれ、①自分の発達障害の特性を知り、②自分の特性に応じた対策を実践・検証し、③自分に合った就職先を探す、ことを目的にしています。 特性による「働きづらさ」を感じている方、「働くこと」に自信がない方は、お気軽にご相談ください! ディーキャリア柏オフィス オフィス詳細▶問い合わせフォーム▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアについて 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスのひとつです。(厚生労働省の許認可事業)ディーキャリアでは、発達障害の特性による働きづらさをフォローするプログラムと自分の価値観や適職を見極めるカリキュラムで、「やりがいを感じられる仕事探し」×「あなたらしい働き方探し」を目指す支援を提供しています。 全国のディーキャリアで、無料相談・体験会を随時開催しています。障害特性による「生きづらさ」「働きづらさ」を感じている方は、お気軽にご相談ください。 お近くのディーキャリアを探したい方は こちら▶ディーキャリアを詳しく知りたい方は こちら▶ ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 全国共通お問い合わせフリーダイヤル(0120-802-146)はこちら▶お問い合わせフォームはこちら▶
利用者インタビュー「就労移行支援を利用したきっかけは?」

ディーキャリア利用者に「就労移行支援の利用を決めた理由」をうかがいました。自分に合っているか、どんなことが学べるか知りたい方に役立つ情報をお伝えします。

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ディーキャリアの利用者の方に、「就労移行支援を利用したきっかけ」についてインタビューをおこないました。 今回インタビューに応じてくださったYさんは、就労移行支援事業所を利用する前に、「職業訓練校」を利用した経験と一般企業で働いた経験があるそうです。なぜ、そんなYさんが「就労移行支援事業所ディーキャリア」を利用するに至ったのか、実際に通ってみてどうだったのかについて聞いてみました。 【こんなお悩み・疑問のある方にオススメ】□ 就労移行支援が自分に合うか分からない□ 就職を支援するサービスについて知りたい□ 自分に合う就労移行支援の選び方を知りたい□ 就労移行支援(ディーキャリア)で身につくスキルを知りたい 就労移行支援に興味はあるものの、利用すべきか悩んでいる方に、お役立ていただける情報満載です。ぜひ、最後までお読みください。 参考記事本記事は当事者同士の対談のため、発達障害に関する用語でお分かりになりづらい部分があるかもしれません。「大人の発達障害」について詳しく知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。 [toc] プロフィール インタビューにこたえてくれた方Yさん ■所属オフィス:ディーキャリアITエキスパート中野オフィス・芝浦オフィス■在籍期間:2020年5月~2023年5月 ※インタビュー時は在籍中■診断名:ADHD(注意欠如・多動性障害)、うつ病■障害による特徴(特性):・衝動性が高く、やらなくていいことをしたり、突発的に発言をしたりすることがある・話をまとめることが苦手で、要点をまとめることや必要な情報だけを伝えるのが苦手・聴覚過敏があり、周りの音や声が気になり、集中ができないことがある・思い込みによって、早合点してしまうことがある■就職先:金融事業をおこなう大手グループ会社で一般事務職(障害者雇用枠)として勤務。現在は、契約書の整理電子化、システムの運用を担当。 インタビューをした人藤森ユウワ 36歳のときにADHDと自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受ける。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 現在はベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 就労移行支援事業所を知ったきっかけは? 今回は「就労移行支援」をテーマにお話をお伺いできればと思います。最初に「就労移行支援」を知ったきっかけについて教えてください。 5年前くらいになるんですけど、発達障害がインターネット、テレビ、新聞などのメディアで多く取り上げられて、そのときに「就労移行支援」というサービスがあることを知りました。 なるほど。私も自分の障害に気づいた頃も、発達障害に関するメディアがあったんですけど、私は「就労移行支援」にまではたどり着けなくて、「発達障害とは何か」みたいな情報しか取れなかったですね。Yさんは、何か意図的に自分が利用できる障害福祉サービスや障害者雇用に関する情報を探していたんですか? そうですね、意図的に探していましたね。当時ちょうど、未経験からIT業界に転職をしようと考えていたので、職業訓練と就労移行支援のどっちが自分にとってメリットがあるかなと調べていました。当時は、ディーキャリアではなく別の就労移行支援事業所に行ってみたのですが、軽作業系が中心だったので、自分のやりたいことやスキルアップのためにはならないのではないかと考えて、職業訓練を選びました。職業訓練校の利用後は、IT系の会社を2社ほど経験したのですが、3年前に新型コロナウイルス流行の影響で、会社都合で退職をしなければならなくなって。就職活動が長期戦になりそうだなと思って、改めて自分の特性を見つめたうえで、ITスキルを学べるところを探していて、就労移行支援事業所ディーキャリアITエキスパートの利用に至りました。 最初の転職を考えていたときに、すでに就労移行支援がひとつの選択肢としてあったということなんですね。 発達障害の診断を受けたきっかけは? 先ほど「自分の特性」というキーワードが出てきましたが、ご自身の障害についてはいつ頃知りましたか?発達障害の診断を受ける(検査をする)ことになった、きっかけについて教えてください。 2010年代中頃に発達障害に関するニュースがあって、それを見ていた友人から「あなたもそういう病気(発達障害)じゃないか」と指摘をされたんですね。少し周りと違うということはなんとなく感じていたので、自分自身でもそう(発達障害がある)ではないかと思って、受診をしました。最初の転職活動を検討する頃には、発達障害の診断が出ていたので、発達障害の当事者であることを前提に転職活動をしていました。 なるほど。自分の障害特性に合った環境や仕事を探して転職活動をされていたということでしょうか? 正直に言うと、そのときは自分の障害に合う環境っていうのが分かりませんでした。発達障害の特性とITの仕事が合うという情報を見つけて、私自身もITに興味があったので、IT系の仕事を選んでみようかなと思いました。そこで、ITスキルを身につけるために職業訓練校に通って、IT業界の仕事に就いたという流れですね。 「就労移行支援」と「職業訓練」、どっちがいい? 就労移行支援と職業訓練と両方経験をされたうえで、どちらのほうが良いと思われますか? 就労労移行支援と職業訓練とでは、目的がほぼ違うと考えているので、比較は難しいですね。 Yさんとしては、それぞれにどのような目的があるとお考えですか? 就労移行支援の目的は「障害への対処法=ヒューマンスキル/ソーシャルスキルを学ぶこと」、一方で職業訓練は「職業スキルを学ぶこと」だと考えています。就労移行支援では、自分の障害特性や、発達障害のみならず精神疾患による課題に対して、自分で対処をするためのスキルを身につけて、課題の解決の糸口を探していくことができる。職業訓練では、業務で使う専門知識や技術面を身につけることができる、と考えています。 それぞれ良さがあり、目的に応じて使い分けるのがよさそうですね。
当事者対談企画「就労移行支援事業所ってどう?」

発達障害の当事者2名によるインタビュー対談です。「就労移行支援事業所」をテーマに、実際に通った立場/通わなかった立場から「当事者のリアル」をお伝えします。

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今回は、発達障害の当事者2名による対談をお届けします。 第3回となる今回は、障害のある方が働くための支援をおこなう障害福祉サービス、『就労移行支援事業所』の利用をテーマに対談をおこないました。 対談した2名のうち、1名は事業所を利用し、もう1名は利用せず現在に至ります。なぜ就労移行支援事業所を利用した/利用しなかったのか、実際に利用してみてどうだったのかなど、当事者のリアルな体験談が、何か皆さまのお役に立てれば幸いです。 参考記事 第1回・第2回の対談記事は、以下よりご覧いただけます。 本記事は当事者同士の対談のため、発達障害に関する用語でお分かりになりづらい部分があるかもしれません。「大人の発達障害」について詳しく知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。 [toc] 対談者紹介 とり(デザイナー 兼 イラストレーター) 24歳のときに注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)の診断を受ける。タイプは“不注意優勢型”。 注意の持続や切り替えに困難を感じる事が多く、「忘れ物や失くし物が多い」「周りの音が大きい状況だと話の内容をうまく聞き取れない」などの困りごとがある。 現在は、福祉系のベンチャー企業でデザイナー兼イラストレーターとして働く。 二次障害として“起立性低血圧”があるため、職場と合理的配慮の調整を行い、ほぼ在宅で勤務できるようにしてもらっている。特性対策として、デスクにパーテーションを設置したり、カフェイン成分の入った飴やコーヒーを摂取したりして、集中力をコントロールできるよう工夫している。 ※本記事の挿絵イラストは、とりさんが制作してくださったものです! 藤森ユウワ(ライター・編集) 36歳のときにADHDと自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受ける。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 現在はベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 就労移行支援事業所のことをどうやって知ったの? 私は、インターネットや書籍で発達障害についてかなり調べていたつもりだったのですが、『就労移行支援事業所』についてはまったく知らなくて。再就職活動をしていたときに偶然、就労移行支援事業所を運営している会社の求人を見つけて、「こんな障害福祉サービスがあるんだ!」と驚いたんです。とりさんは実際に就労移行支援事業所をご利用されたそうですが、最初に知ったきっかけは何でしたか? 私は診断を受けたあと、障害者手帳を取得したり仕事を休職したりするタイミングで、まず『障害者雇用』について知り、そこから広がって、就労移行支援事業所の情報にもたどりつきました。実は、診断を受ける前から「障害者専用のハローワークみたいな障害福祉サービスがあるらしい」ということを何となく知っていたのですが、自分が診断を受けるまでは、調べてみようとは思わなかったですね。 就労移行支援事業所を利用した/しなかった決め手は? 私が就労移行支援事業所の利用を決めたのは、「発達障害への配慮が受けられる会社へ再就職するために、準備をしたい」と思ったからです。私は、今の会社が3社目なのですが、1社目を退職したときは、退職後に生活リズムがどんどん崩れて、メンタルの調子も悪くなってしまいました。その後、なんとか再就職はしたものの、まだ自分の障害について理解が浅く配慮を受けながら働ける会社を探したわけではなかったので、2社目でも結局、体調を崩して休職することになってしまいました。1社目を退職したときの経験から、今度はちゃんと通院・服薬をし、自分の特性についても勉強していました。そして、「次は障害に対する配慮を受けながら働ける会社に再就職したい。休職期間を、そのための準備期間にしたい」と考えて、就労移行支援事業所を利用しようと思ったのです。 私が就労移行支援事業所を利用しなかったのは、「働きながら利用することはできない」というルールがあったからです。家族を養うためには、収入がない期間を作るわけにはいかなかったんですよね…。「通っている期間の生活費がまかなえないから、就労移行支援事業所を利用したくてもできない」というお悩みを、当事者の方からときどき耳にすることがあります。とりさんは通っている間、生活費をどのように工面されていましたか? 養うべき家族がいるのといないのとでは、状況はガラッと変わりますよね……。私はまだ20代前半で、ありがたいことに家賃は親に出してもらいました。家賃以外の生活費は自分で出していましたが、休職中で“傷病手当金※”を受給していたので、節約してどうにかしのぎました。私は職歴も浅く、ある意味、“失う物は何もない状態”だったと思うんです。だからこそ、「ここで一度立ち止まってもいいから、しっかりと自分に向き合い対策をして、その先のキャリアプランを整えよう」という判断ができたのだと思いますね。 ※補足:就労移行支援事業所を利用中の生活費を工面する方法としては、傷病手当金のほか、「障害者年金を受給する」という方法もあります。障害者年金については、以下の記事もご参照ください。 就労移行支援事業所の選び方は?どのように選んだの? とりさんは、いくつか就労移行支援事業所を比較・検討したうえで実際に通う事業所を決めたとうかがいました。どのように選んだのでしょうか? はい。見学したのは4か所で、選び方のポイントは大まかに以下の3つです。 ポイント1. 希望する職種の就職実績があるか 私は学生のころからイラストやマンガを描くのが趣味だったので、それを生かして、Webデザイナーとして再就職したいと思っていました。1つめの事業所は、就職先の実績が”事務系”や”作業系"だけで、自分が目指したい職種というよりは「障害があってもやれそうな仕事」をおすすめされている印象を受け、私の希望と合いませんでした。 ポイント2. 自分に合った訓練が受けられるか 私はすでに2社で働いた経験がありましたので、「社会人としてのビジネスの基礎的な訓練」よりも、もう少し技術的な訓練を受けたいと考えていました。2つめの事業所は、「働いたことがない/働いた経験が少ない人」を主な対象としていて、基本的なビジネスマナーや事務作業のスキルを身に付けるための訓練が中心ということで、私が受けたい訓練と合いませんでした。 ポイント3. 発達障害の特性への考え方が自分と合っているか 最終的にどちらにしようか迷った事業所が2つあったのですが、最後の決め手になったのは、「発達障害の特性への考え方」でした。3つめの事業所は、訓練で教わる技術のレベルも高く魅力的ではありました。ただ、「発達障害のある方々は、みんな特別な能力を持っているはずだ」という考え方に少し違和感がありました。私は、就労移行支援事業所への期待として、就職のための技術的な訓練だけじゃなくて、メンタルケアやセルフケア(自己対処)の方法も学びたかったんですよね。まずは基礎として自分の心と体、生活リズムを整えた上で、就職するための技術を学びたかったんです。なので、発達障害を“特殊能力”のように扱うよりも、何か、もっと“ありのままの姿”を基準にして、現実的な対策を教えてくれる方がいいなと感じたんです。4つめの事業所では、支援員の方が「障害者だからといって、何か特別な人、のような扱いはしません」とおっしゃっていたのがいいなと思って、『ディーキャリア』という就労移行支援事業所へに通うことを決めました。 とりさんの「選び方の3つのポイント」をお伺いして、自分に合った事業所を選ぶには、自分が就労移行支援事業所に何を求めるのか、最終的にどのような仕事をしたいのかという目的の設定が大切なのかな、と感じました。インターネットを見ていると「就労移行支援事業所に通ってみたけれど意味なかった」という意見を見かけることがあります。通う目的がハッキリせず、自分に合わない事業を選んでしまうと「通っても意味ない」と感じてしまうのかもしれませんね。 私のように「Webデザイナーになりたい」と明確な目的を持てていなくても、「配慮を受けながら障害者雇用で働きたい」とか「生活とメンタルを整えてから就職したい」というように、最初は大まかでもいいので、何かしらの“目的”を持っていた方がいいと思いますね。目的が何もない状態で手当たり次第に事業所を見学したとしても、自分に合う事業所はなかなか見つけられないんじゃないかなという気がします。 就労移行支援事業所に通って良かったこと/悪かったこと 私は、就労移行支援事業所に実際に通ってみて、結論としては「期待以上」だったかなと思っています。 おぉ、「期待どおり」を超えて「期待以上」だったのはどのような部分でしょう? まず1つめは「自分の考えを整理できたこと」ですね。支援員の方が定期的に面談してくれる中で、過去の出来事や自分の考えをいろいろ話すうちに、整理が進んでいった感じです。そして2つめは「セルフケアを学べたこと」です。特に印象的で、今もやっているセルフケアが“日記”です。体調や1日の過ごし方を記録するだけでなく、「頭の中で考えていることを、いったん頭の外に書き出す」というのがすごく良かったんですよ。私はモヤモヤした気持ちを自分の中にため込んでしまう傾向があって、それが原因で家族に当たってしまったり、ストレスを感じたりすることがありました。でも、心の中の見えないモヤモヤを、“言葉”という見える形にして日記に書き出すことで、すごくスッキリしたんです。ずっと頭の中を占領していたモヤモヤから解放されたような。注意欠如・多動性障害(ADHD)のある方は、脳の一時的な記憶の置き場である“ワーキングメモリ”に弱みがあると言われていますよね。モヤモヤを言語化し書き出すことで、このワーキングメモリを解放してラクにしてくれるような、そんな感覚がありますね。 逆に、「期待とちょっと違った」というような点は何かありましたか? 私の希望するWebデザイナーでは、実習を受け入れている企業の数や、障害者雇用の求人数が思ったよりも少なかったことですね。企業側も、クリエイティブ系の職種では“経験・実績あり”の人を求めているので、訓練を積んだだけで未経験で採用されるのはハードルが高いのかもしれません。企業の求める人材と、求職者の希望とのマッチングが難しい職種なのかもしれないですね。最近は「IT・Web系の職種専門の就労移行支援事業所」も増えてきましたが、当時はどちらかと言えばプログラミングの方が中心で、私の希望するWebデザインの実績がある事業所は、まだ少ない印象でしたね。 とりさんは、就労移行支援事業所に1年3か月ほど通っていらっしゃったと聞きました。周りには「先に就職が決まって退所していく方」もいらっしゃったと思いますが、“焦り”は感じませんでしたか? 私は感じなかったですね。学校と違って、入る時期も出る時期もみんなバラバラなので、誰かと競争するような雰囲気ではなかったからだと思います。もし、先に就職される方がいても、「話を聞かせてもらい参考にしよう」と思っていました。支援員の方も、特に就職をせかす感じではなかったので、自分のペースで通うことができたのだと思います。 第三者に助けてもらうことの大切さ 当時を思い返すと、私は就労移行支援事業所に限らず、“福祉”に対してまったく関心がなかった気がします。発達障害の特性や、どう対策するのか、どう働くのかといった情報ばかりを集めていて、「障害福祉サービスを利用する」という観点が抜けていたなと。 私も最初のころは「自分も障害福祉サービスを利用できる」なんて想像もしませんでした。でも、役所で障害者手帳の手続きをしたときに案内の紙をもらって、「自分が利用できる障害福祉サービスが、こんなにいくつもあるんだ」ということを初めて知ったんです。役所の方から「あなたも使っていいんですよ」と言ってくれているのなら、せっかくだからいつか利用してみようかな、と思うようになりましたね。 私は「自分が障害福祉サービスを利用すること」に対して、どこかネガティブな気持ちがあった気がします……。自分が障害の当事者であるということが受け入れられなくて。 たしかに、実際に自分がその立場になってみると、“障害者”という言葉の重さをとても感じますよね……。私も、いまだに悩むことがあります。・「障害福祉サービスを使っていいと言ってくれてるんだから、使わせてもらおう」という気持ち・「もっと苦労している人はたくさんいるから、障害者手帳を返納して、一般雇用枠で働いた方がいいんじゃないか」という気持ちこの2つの間で、気持ちがゆれ動くんです。「使わせてもらおう」という気持ちは、極限まで追い詰められないとなかなか持てないかもしれないですね。「生活するお金がもうない」とか「次の働き口がどうしても見つからない」とか。でも本当は、食うに困って命に関わるような状況に追い込まれる前の、「何とか生活はできているけれど、生きづらさを感じていて毎日が苦しい」という段階で、うまく障害福祉サービスを利用して生活を改善できる方がいいと思うんです。その方が、自分も周囲も楽になるというか。 たしかに、福祉に頼ることへ罪悪感を感じて、「まず身内に頼る」ことをしがちですよね。身内の中だけで悩みを抱え込み、周囲を巻き込んでどんどん苦しい方へ落ちて言ってしまうという……。 そう。なので、困ったときほど、身内を頼るんじゃなく制度とか障害福祉サービスとか、第三者を頼った方が、結果的には本人の自立にもつながるし、周囲の負担も減る。罪悪感を感じる必要なんてないんじゃないかと思います。そう思えるようになるのは、なかなか難しいですけどね。 終わりに:相談窓口のご紹介 筆者は就労移行支援事業所を利用しなかった立場ですが、「発達障害の診断を受け悩んでいたあの頃に、もっとうまく第三者を頼れていたら、何か変わっていたかもしれないな」と思うことがあります。 福祉サービスを利用するかどうかは人それぞれですが、生きづらさ・働きづらさを感じている皆さんが、次のステップへ進むための参考として、本記事がお役に立てれば幸いです。 本メディアは、今回の対談テーマでもあった就労移行支援事業所が運営しております。 「発達障害のある方が支援を受けられる窓口」の一つとして、就労移行支援事業所ディーキャリアをご紹介いたします。 就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 もちろん、今の時点でサービスを利用する目的をが決めていなくても大丈夫です。 「まだやりたいことが決まっていない、将来のビジョンが見えていない」「何を目的にサービス利用をすべきかイメージが湧かない」「自分に合っているか分からない」 …と悩んでいる方も安心してお問い合わせください。一人ひとりのご状況や困りごとをヒアリングしながら、ご提案をさせていてだきます。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 記事監修 北川 庄治(デコボコベース株式会社 プログラム開発責任者) 東京大学大学院教育学研究科 博士課程単位取得満期退学。通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導講師を経て現職。
発達障害ある方はストレスを感じやすい?~原因と対策を解説~

健康で長く働いていくためには、ストレスをうまくコントロールすることが欠かせません。今回は発達障害のある方がなぜストレスを感じやすいのか、その原因と対策を解説します。

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「この仕事、ちゃんと締め切りまでに終わらせられるかな…」「あの人ちょっと苦手だけど、仕事ではうまく付き合っていかなきゃ…」「また失敗して、上司から怒られたら嫌だな…」 社会に出ると誰しも何らかのストレスを抱えながら生きているものですが、特に発達障害のある方は、その特性からストレスを感じやすい傾向があると言われています。 健康で長く働いていくためには、ストレスをうまくコントロールすることが欠かせません。今回は発達障害のある方がなぜストレスを感じやすいのか、その原因と対策を解説します。 [toc] 1. 発達障害のある方がストレスを感じやすい原因 発達障害とは、先天的な脳機能の障害によって生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。 社会人として働き始めると、責任が増え人間関係も広くなるため、例えば以下のような場面で発達障害の特性による困難さがミスマッチを起こしてストレスを感じやすくなります。 ・人とのコミュニケーションが苦手 → 職場での人間関係づくりがストレスに ・忘れものなど不注意によるケアレスミスが多い → 上司から注意される回数が増えてストレスに ・感覚過敏によって目や耳からの刺激を苦痛に感じる → 通勤中やオフィスの環境は簡単に変えることができないためストレスに また発達障害のある方は、脳の中で抑うつや不安に関連する部分に特徴があり、生物学的にストレスへの耐性が弱いという研究結果*もあります。 *参考:就業経験のある発達障害者の 職業上のストレスに関する研究(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター、2018年4月) 発達障害は「社会性の障害」と言われており、周囲の環境によって困難が生じることがあります。発達障害の特性によって周囲とうまくいかず、ネガティブな経験が積み重なり日常的にストレスにさらされることで「二次障害*」を引き起こすこともあるので、注意が必要です。 *参考:【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は 次ページ:ストレスをうまくコントロールするための対策法とは?
ASDのある方に向いている仕事〜やりがいある仕事の探し方〜

ASD特性のある方に向けて「特性が活かせる職種」を「やりがいを持って、長く働ける仕事とは何か?」という観点で紹介します。向いている仕事選びのポイントを分かりやすく図解しました。

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「仕事がうまくいかなくて転職したいんだけど、良さそうな仕事が見つからなくて…」 自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受けた方や「自分はASDかもしれない」と感じている方の中には、そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。 書籍やインターネットの情報では「ASDのある方に向いている仕事」が紹介されていることがあります。しかし紹介されている仕事がいまいち魅力的に見えなかったり、「本当にできるかどうか心配だ」と感じたりしたことはないでしょうか。 今回は「ASDのある方が、充実した仕事人生を歩むためには、どんな仕事を選べばいいのか」について解説します。これから就職や転職を考えている方の参考としてご覧ください。 なお「ADHDのある方に向いている仕事」の解説は、以下の記事をご参照ください。 ADHDのある方に向いている仕事〜実践的な仕事の選び方〜 [toc] ASDの特性とは 向いている仕事を分析するために、まずはASDの特性が、実際の生活にどのように影響するのかを確認しておきましょう。 ASDとは、対人関係やコミュニケーションの難しさ、強いこだわりや興味の偏りなどを特徴とする障害であり、脳の特性として次の3つがあると言われています。 ・シングルフォーカス特性 : 一度に注意を向けられる範囲が狭くなる。興味関心の幅が狭くなりがち。 ・ハイコントラスト知覚 : 物事を「白か黒か」「全か無か」など極端な捉え方をしがち。曖昧な捉え方や、さまざまな物事を「微調整」することが難しくなる。 ・シングルレイヤー思考 : 一度に一つの情報しか処理しにくい。複雑な状況の理解が難しく、明記されていないルールを自然と読み取ったり、物事の「裏」を察したり、といったことが苦手になる。優先順位がつけにくくなる。 (引用元:自閉症スペクトラム障害(ASD)|大人の発達障害とは) ASDの特性による苦手 このようなASDの特性により、仕事をする上では以下のような「苦手」が見られることがあります。 ・場の雰囲気を読むことが苦手 ・あいまいな表現を理解できない ・こだわりが強く、融通がきかない ・想定外のことに対処することが苦手 ・フローやルールが変更されると混乱する ・複数の作業を同時並行でおこなうことが難しい これらの苦手があることから、ASDのある方は「人とのコミュニケーションに困難さを感じる」というケースが多くなります。 私たちの仕事や日常生活において、人とのコミュニケーションをなくすことは現実的にはなかなかできません。「特性による苦手なことが分かっているのに、生活する上で避けて通ることが難しい」というところに、ASDの特性による困難さの特徴が表れています。 ASDの特性による強み 一方で、ASDの脳の特性が仕事における強みとなって発揮されることもあります。 例えばイタリアの芸術家であるレオナルド・ダ・ヴィンチ。一説によると彼もまたASDだったそうですが、特定のものごとに異常に執着したり、没頭したりするような人物だったと言われています。彼が興味を抱き没頭する領域は芸術にとどまらず、医学・建築・天文などさまざまな分野へと向けられました。それが芸術にも生かされ、後世に残るさまざまな作品を生み出すことへとつながりました。 このように、ASDの脳の特性が長所となって、 ・正しい手順やルールを守ることができる ・細かな違いやミスに気づくことができる ・興味関心のあることに没頭できる ・論理的な思考を持っている ・独創性や発想力がある …といった強みへとつながるケースもあるのです。では、このような強みを活かせる職種とは、いったいどういうものなのでしょうか。 次ページ:ASDの特性の強みを活かせる職種とは?
ADHDのある方に向いている仕事〜実践的な仕事の選び方〜

ADHD特性のある方に向けて「特性が活かせる職種」を難易度ごとに紹介します。向いているポイントだけでなく、実際に目指せるのか?どうすればなれるのか?を分かりやすくまとめました。

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「仕事がうまくいかなくて辞めたい…」「他にもっと、向いている仕事があるんじゃないか…」 注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)の診断を受けた方や「自分はADHDかもしれない」と感じている方の中には、もっと働きやすい仕事への転職を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。 デザイナーやエンジニア、ジャーナリストなど、書籍やインターネットの情報では「ADHDのある方に向いている仕事」が紹介されていることがあります。しかし気をつけねばならないのは、これらの職業はあくまで「ADHDの特性が活かせる可能性がある」というだけで、「ADHDの特性があれば必ずこれらの職業になれる、というわけではない」という点です。 そこで今回は、ADHDのある方に向いている職業をご紹介したうえで、「それらの職業に就くには、実際にどのようにすれば良いのか」「現実的になれる可能性がどれくらいあるのか」を解説します。これから就職や転職を考えている方の参考としてご覧ください。 [toc] ADHDの特性とは 向いている仕事を分析するために、まずはADHDの特性が、実際の生活にどのように影響するのかを確認しておきましょう。 ADHDとは、不注意や多動、衝動性などを主な特徴とする障害であり、脳の特性として大きく2つに分けられます。 一つ目は「行動や思考を制御する機能の低下」です。行動や思考のブレーキが効きにくくなっている状態とも言えます。この特性と、その人が持つ本来の個性が掛け合わさることで、個々の症状が表れます。例えば「活発な人」の場合は衝動性が表れ、「好奇心が強い人」の場合は過集中が表れる、といった具合です。 二つ目は「ワーキングメモリーの弱み」です。脳の一時的な記憶の置き場であり、作業場でもあるワーキングメモリーの機能低下により、臨機応変な対応が難しくなったり、不注意が起こりやすくなったりします。 一つ目の「行動や思考を制御する機能の低下」の特性は、場合によっては長所にもなり得ます。例えば、衝動性がプラスに働きスピーディーな判断や行動につながる、過集中がプラスに働き興味関心があることに没頭できる、といった仕事における強みが生まれるケースも少なくありません。 一方で、二つ目の「ワーキングメモリーの弱み」の特性は、残念ながら実生活において長所になることがほとんどなく、大半が困りごととして表れてきます。 「ADHDの特性を活かした職業がある」とは言っても、大前提として特性に対する対策(セルフケア)をセットでおこなうことが必要不可欠であることに注意が必要です。 ADHDの特性による苦手 では、ADHDの特性によって苦手なこと(困りごと)に対して、具体的にどのような対策(セルフケア)をおこなえば良いのかを見ていきましょう。代表的な困りごととして以下のようなものが挙げられます。 ・ケアレスミスが多い ・忘れ物、失くし物が多い ・マルチタスク(複数の作業を同時進行すること)ができない ・集中力が続かない ・物事を先延ばしにしてしまいがちで、納期を守れない ・物事の優先順位をつけられない ・思いついたことをすぐに発言したり行動したりする 例えば「ケアレスミスが多い」という困りごとの場合、原因はワーキングメモリーの弱みにより、「一つのことを忘れないようにしながら他の作業をすることが難しい」という部分にあります。対策としては、 ・覚えていなければいけないことを頭の中だけで頑張って覚えておくのではなく、メモ帳やスマホのスケジュール機能、アラーム機能などを活用して、頭の外に記録しておく ・周囲の同僚や上司に、何かの作業中に指示を追加しないよう配慮をお願いする …といったことが有効です。上記以外の困りごとについても、以下のページで原因と対策をまとめていますのでご参照ください。 注意欠如・多動性障害(ADHD)|大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア ADHDの特性による強み 先ほどもご紹介したとおり、ADHDの「行動や思考を制御する機能の低下」という脳の特性が、以下のような強みとして表れるケースもあります。 ・フットワークが軽く、行動力がある ・スピーディーな判断ができる ・自分の意志を貫くことができる ・好奇心の幅が広い ・興味関心があることに没頭できる 例えば、「フットワークが軽く、行動力がある」のであれば、その強みを活かして営業職などのフィールドワーク(社外に出て現場で働くこと)が向いていそうです。「スピーディーな判断ができる」「自分の意志を貫くことができる」ことは、会社や事業を運営する上で重要なスキルですので、経営者に向いていると言えるかもしれません。 しかし「特性が営業職や経営者として向いている」ということと、「実際に営業職や経営者になれるかどうか」は別の問題です。特性が活かせる職業に実際に就くためには、どのようにすれば良いのでしょうか。 次ページ:ADHDの特性が活かせる職種ってなに?
発達障害は治る?治らない?〜治療法の 5 つの疑問について解説します〜

発達障害の診断を受けたあとはどのような治療を行うのか、症状は改善したり治ったりするものなのか。当事者の方や、サポートをされているご家族や同じ職場の方々にとっては、気になることではないでしょうか。今回の記事では発達障害の治療法に関する 5 つの疑問について解説します。

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発達障害の診断を受けたあとはいったいどのような治療を行うのか、症状は改善したり治ったりするものなのか。当事者の方や、サポートをされているご家族や同じ職場の方々にとっては、気になることではないでしょうか。 日本公衆衛生学会が行った調査 [*} によれば、「”発達障害”を聞いたことがある人」の割合は 91.5% なのに対し「どのような対応や支援を行えば良いか」を具体的に知っている割合は 26.5% だったという結果が報告されています。 * 出典:「発達障害に対する成人の認知および情報源に関する現状」日本公衆衛生雑誌/66 巻 (2019) 8 号 障害について知っておくことは、障害と向き合いながら日々の生活や仕事を行っていくために大切なことです。今回の記事では、診断を受けたあと実際にどのような治療を行うのか、発達障害の治療法に関する 5 つの疑問について解説します。 [toc] Q1. 発達障害は「病気」なの? 発達障害は、先天的な脳機能の障害と言われています。 大人になってから発達障害の診断を受けた場合でも、「本人も周囲も発達障害のことを知らず気が付かなかった」「子どものころは親や先生のケアがあって、生きづらさが表面化していなかった」ということがほとんどで、「大人になってから発達障害が(病気のように)発症した」というわけではありません。 発達障害について行政(厚生労働省、文部科学省など)が公開している情報では、発達障害が病気である旨の記載はされていません。 参考 ・発達障害|厚生労働省 ・発達障害について|文部科学省 ・発達障害って、なんだろう?|政府広報オンライン 一方で、発達障害の特性による困難さやストレスが原因となって「うつ病」など別の病気が二次障害として起こってしまうケースもあります。「二次障害」については、過去のコラム記事もご参照ください。 【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は 次ページ:発達障害は治るもの?どんな治療法があるの?
【大人の発達障害の就活HACK】応募の準備をしよう〜職歴がない場合の書き方編〜

社員としての職歴がない方の場合の「履歴書の職歴欄や職務経歴書の書き方」について解説します。

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前回の記事「応募の準備をしよう〜職務経歴書〜」と、前々回記事「応募の準備をしよう〜履歴書編〜」では、それぞれの書類の書き方の基礎をご紹介しましたが、社員としての職歴がない場合には、どのように書けば良いのでしょうか。 企業の求人には、さまざまな人たちが応募してきます。確かに、多くの応募者のなかで“職歴の有り・無し”だけで比較された場合、職歴がないと不利になってしまうことはあるかも知れません。しかし、職歴がないからと言って就職活動ができないわけでは決してありません。 前回の記事でも解説したように、大切なのは企業の求める人材と自分が持っているものがどのようにマッチするかを伝えることです。そこで今回の記事では、職歴がない方の場合の「履歴書の職歴欄や職務経歴書の書き方」について解説します。 「はじめて本格的な就職活動をしようしていて、職歴に書けるものがない…」 「日雇い派遣や短期のアルバイトは職歴になる…?」 「職業訓練校や、就労移行支援事業所に通っていた期間は、どう書けば良い…?」 というお悩みをお持ちの方は、ぜひご参考ください。 [toc] ケース1. 社員としての職歴はないが、アルバイトなどの勤務経験がある場合 これまで正社員や契約社員、派遣社員などで働いた経験がなくても、アルバイト・パートや、日雇い派遣などで勤務した経験がある場合は、その経験を職歴として記載できます。 書き方は、社員としての職歴を書く場合と同じですので、具体例は前回・前々回の記事をご参照ください。 ・応募の準備をしよう〜職務経歴書〜 ・応募の準備をしよう〜履歴書編〜 待遇や任せられる仕事の裁量で比べると、「正社員の方がアルバイトなどよりも立場が上」というイメージを抱いてしまうことがあります。親や学校の先生と話したり、ニュースなどを見聞きしていても、そのような語り口で言われることも多くあります。 しかし本来、就業形態によって身分やその人の価値に差があるわけではなく、単に仕事上の役割や、働き方のスタイルが違うだけのはずです。自分の能力や家庭の事情、健康状態などに応じて、さまざまな働き方の選択肢があるというのがあるべき姿ではないでしょうか。 特に職務経歴書において、相手に伝えるべきは過去の就業形態ではなく、その仕事でどのような業務を担当したか、そこからどのような経験やスキルを得たか、自分はどのような心構えで取り組んできたかということなのです。 次ページ:アルバイトなども含めて働いた経験がない場合は、どう書けば良い?
就労移行支援事業所のよくある質問集

就労移行支援に興味があるけど、問い合わせをする前に詳しいことを知りたい!といった方に向け、就労移行支援事業所ディーキャリアに多く寄せられるご質問をまとめました。

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メールやお電話での無料相談、そして、ディーキャリア各事業所で行っている無料相談会では、大人の発達障害がある方で、悩みを抱えている方から、多くのご相談をいただきます。 最近は「大人の発達障害」に対する社会的な認知度が高まり、テレビ番組や雑誌などでも取り上げられることが増えてきました。また、インターネットでも、専門的な情報から実際の当事者による体験談まで、さまざまな情報を手に入れることができるようになりました。 一方で、誰とも相談しないまま、「調べれば調べるほど、一人で悩んでしまう」という方も多くいらっしゃいます。「誰かに相談する」というのは、なかなかハードルが高いもの。最初の一歩を踏み出すには、勇気が必要です。 そこでこちらの記事では、私たちがご相談をいただくなかで、「就労移行支援事業所」についての、よくある質問をまとめました。「同じ困りごとを抱えている人が、どんなポイントで悩んでいるのか」を知ることで、ご自身の悩みを解決するための、ヒントを得られるかもしれません。 [toc] Q1.就労移行支援事業所の選び方のコツは? A1.「1. 訓練プログラムの内容」「2. 事業所の立地・雰囲気」「3. 利用者の属性(障害種別や年齢等)」「4. 就職実績」の4つの観点から選ぶことをおすすめしています。 いずれもWebサイトやパンフレットだけでは分からないところが多いので、見学や体験に行くことをおすすめします。それぞれの詳細を以下に解説します。 1. 訓練プログラムの内容 どの就労移行支援事業所でも、「一般就労を目指す」というゴールは同じですが、運営している法人・団体や事業所により、どのような内容に取り組む訓練プログラムになっているのかは異なります。まずは、自分にとって必要な知識やスキルを身に付けられる内容かどうかを確認しましょう。 これまでのお仕事のご経験やスキル、そして障害による困りごとの内容により、訓練を「簡単すぎてつまらない」と感じてしまう、逆に「難しすぎてついていけない」と感じてしまうことがあります。訓練プログラムのレベル感が自分に合っているかどうか、確認することが大切です。 近年は、障害の種別に合わせて強みを持つ事業所や、専門的なスキル(IT系など)を習得できる事業所が増えてきています。例えば、うつ病等の方の復職を支援する、在宅ワークができるようにIT系のスキルの習得を支援するといった事業所もあります。就労移行支援事業所ディーキャリアでは、主に「大人の発達障害の特性」のある方に向けて、 自分の障害特性を知り、特性による得意・不得意を理解すること 環境や業務内容など苦手なことへの対策・打ち手を考え、実践をすること 感情への向き合い方やストレスへの対処法を学ぶこと 対人関係やストレス対処・業務上で必要なコミュニケーション方法を身につけること ……など、発達障害ならではの課題に向き合う訓練プログラムをご用意しています。 また、ディーキャリアITエキスパートは、就労移行支援事業所であるとともにIT・Web 系専門職(プログラマーなど)を目指す「プログラミングスクール」としての機能を併せ持っており、実務スキルの習得だけなく、発達障害の特性理解や対応方法とを同時に学ぶことができます。 2. 事業所の立地・雰囲気 就労移行支援事業所は「通所型」(自宅でサービスを受けるのではなく、事業所へ自分で通うタイプ)のサービスですので、通い続けられるかどうかというのも大切なポイントです。自宅からの通所のしやすさもしっかりと確認しておきましょう。 事業所に通っている期間の中では、気分や体調がすぐれない時期もあるかも知れません。交通機関に乗っている時間はそれほど長くなかったとしても、例えば 乗り換えの便が悪い 混雑が激しい 遅延や運休があった場合に代替の路線がない ……といったことがあると、通うことが困難になってしまう可能性もあります。インターネットの「乗り換え案内」で調べるだけでなく、見学に行く際に、通所する場合の実際のルートを、自分で確認してみることも大切です。 事業所の雰囲気は、運営している法人が同じ=提供されている訓練プログラムが同じであっても、建物の内装やスタッフによって、だいぶ異なるように感じられることがあります。 通所している他の利用者の方や、スタッフとの相性も当然あります。また、事業所の建物によっては、例えば「窓が大きい建物で、視覚過敏のためまぶしくて集中ができない」ということもあるかも知れません。 見学や体験の際には、自分にとって居心地が悪くないか、大きな負担のかからない環境であるかを確認しておきましょう。 3. 利用者の属性(障害種別や年齢等) その事業所をすでに利用している他の利用者の方について、どの障害種別(身体・知的・精神)の方が多いのかは、自分に合った事業所を探すための大切なポイントの一つです。 自分と同じ困りごとを抱えている方が多ければ、その困りごとに合わせた訓練プログラムやサポートも手厚くなります。また、他の利用者の方と悩みや課題を共有することもできるかも知れません。 同様に、利用者の方の年齢層が自分と合っているかどうかも、通いやすさを左右するポイントになります。 4. 就職実績 事業所を比べる際に、数字でもっとも端的に比較しやすいのが就職実績です。以下の4つの項目を確認しておきましょう。特に注目すべきは「就職率」と「定着率」です。 「就職実績」として確認しておきたい4つの項目 1. 就職率 事業所を退所(※)した人のうち、一般就労等をした方の割合。その事業所が「仕事に必要な知識・スキルを含め、実際の就職にむけた支援を十分にできているか 」を測る指標となる。 2. 定着率 事業所の退所後に入社した企業等を、早期退職せずに継続して勤務している方の割合。その事業所が「長期的に継続した安定就労をするために、必要な支援が十分にできているか 」を測る指標となる。 3. 就職人数 その事業所を退所して就職した人の人数。「延べ人数」や「累計」の場合は、単純に開所からの年数が長いほど増えるので、「直近半年~1年の実績」を確認すると、最新の 事業所から一般就労への移行状況を比較しやすい 。 4. 就職実績のある業界・職種 その事業所を退所した人が就職した企業の業界や職種。「その事業所が、どの分野の就職に強みがあるのか」という特色が現れやすいため、希望する業界・職種がある場合はチェックすると良い。 ※ 就労移行支援事業所では、「訓練を終えて就職した人」「就職が決まらず途中で退所、または、利用期間が終了した人」も、いずれも「退所」と表記します。 新しく開所したばかりの事業所はまだ実績がない(あるいは、少ない)ため、数字を公表する準備ができていない(=数字が公表されていない)場合もあります。同じ法人が複数の事業所を運営している場合には、当該法人の別の事業所の数字を参考にすると良いでしょう。 なお、最近では、1社で長く働くだけでなく、複数の会社で働く「複業(副業)」や「個人事業主(フリーランス)」といった、多様な働き方が認知されるようになってきました。 そういった働き方を目指される方もいらっしゃるかと思いますが、「心身の健康が安定して、長く働き続けること」という観点はどのような働き方にも共通しますので、就職率・定着率などの数字はぜひ参考にしてみてください。 Q2. 就労移行支援事業所に通うことで具体的にどんなことが身に付くの? A2.「企業に求められる人物像」になるための基礎知識や能力を身に付けることができます。 「企業に求められる人物像」というと「何か特定の経験やスキルを持っていること」を思い浮かべがちですが、実際には下記のような条件が上位にランクインしています。 <障害者雇用枠における、企業が求める採用条件 TOP 5>※ディーキャリア調べ 生活リズムが整っており、勤怠が安定していること  障害への自己受容ができていること ストレスへの自己対処ができること  就労意欲・仕事への熱意があること 最低限のビジネスマナーがあること このように、業務経験や特定の資格・スキルよりも「働く上での基本的なこと」が重視されており、それだけ基本的なことの実践が難しいとも言えます。 障害の有り・無しにかかわらず、自分のことを理解し必要な対応をすることは、なかなか難しいものです。自分一人では難しいことでも、身につけていくことができるよう、専門の支援員によるサポートを受けることも一つの方法です。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、まずは「働く上での基本的なこと」を学び、習得することを目指します。その基礎の上に、その人その人の「強み」や「やりがい」を明確化し、それらを活かせる職場探しを支援します。 さらに、実務スキルを高めるための模擬職場を用意し、PCスキル(Word、Excel、PowerPointなどオフィスソフト)の向上を目指すための訓練プログラムをご提供しています。 Q3. 一日の利用時間は?毎日通わなければならないの? A3.「1日4~6時間」を訓練時間とする就労移行支援事業所が多いようです。 法律上は「1日の訓練時間」や「通所する日数」は特に定められていませんが、「一般企業への就職を目指す」という観点から、実際に働く際の時間や日数を想定して設定している事業所が多いようです。 なお、事業所によっては平日だけではなく、土日祝日も開所している場合があり、受給者証の契約支給量の範囲内であれば、週5日以上通所することもできます。 いずれにせよ、支援スタッフと相談しながら、スケジュールを組み立てると良いでしょう。 就労移行支援事業所「ディーキャリア」での事例 ディーキャリアでは、10:00~15:00が訓練時間です。(うち1時間休憩、15:00〜16:00までは任意で自習・面談可) 「毎日通所をしなければならない」というルールはありません。利用開始前の面談や、実際に契約を開始する際の契約時に希望する通所日数をお伝えいただくことができます。 また入所後は、月1回「タイムカード(通所の予定表)」をご自身で作成しており、その際に調整していただくことも可能です。もちろん、体調不良や忌引き等の場合には、ご連絡をいただいたうえで欠席することもできます。 「勤怠の安定を目指すために、カレンダー通りの土日祝日を除いた平日は毎日通所をする」という方もいれば、「まずは体調を安定させるために、月・水・金曜日のみ」という方もいます。ご自身の希望や体調や障害の状況により、調整をすることが可能です。
就労移行支援事業所とは?対象者・料金・サービス内容をまとめました。

障害のある方が「働く」ことへの不安やお悩みを抱える方をサポートする、障害福祉サービスの「就労移行支援事業所」。利用対象や利用料金、サービス内容などの基本情報を紹介しています。

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「障害者雇用での就職・転職を目指しているけれど、うまく働けるだろうか」「過去の失敗を繰り返さないように、自分だけで対処できるだろうか」 自分の障害と向き合いながら「働く」ことを考えたとき、このような不安な気持ちを抱いてしまうことありませんか。今回のコラムでは、障害者が「働く」うえでの上記のようなお悩みに対し支援を提供している「就労移行支援事業所」について紹介します。 [toc] 就労移行支援とは 就労移行支援とは、障害者総合支援法(正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)で定められた障害福祉サービスの一つで、障害のある方の「働く」を支援するサービスです。 サービスの具体的な内容としては、一般企業への就職を目指す65歳未満の障害のある方を対象として、下記のような支援を提供します。 ・働くうえで必要な知識・技能を身につけるための職業訓練 ・就職活動のサポート ・個人の適性や経験などに応じ、企業の求人を開拓 ・就職した後に、長期間・安定的に働くための支援(定着支援) 上記のサービスを原則として24カ月(2年)の間、利用することができます。 就労移行支援事業所とは 就労移行支援事業所とは、就労移行支援のサービスを提供する事業所のことです。障害福祉課などの自治体の支援窓口や、病院・クリニックなどで近隣の就労移行支援事業所の紹介を受けたり、パンフレットを見かけたりしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 国の調査によれば、就労移行支援事業所は2019年10月1日時点で全国に3,506か所あります。ボランティアのようなものではなく、国・自治体からの税金と利用する障害者からの利用料とで運営されており、自治体から指定を受けた民間企業や社会福祉法人、NPOが運営を行っています。 専門学校や塾などと同じように、事業所によって特徴はさまざまです。雰囲気や利用者層が異なるだけではなく、サービスとして提供される訓練や就職活動サポートの内容、そして、どの分野に強みがあるか(例:IT系企業への就職に強い)など、その特徴は多岐にわたります。 なお、私たちが運営している就労移行支援事業所ディーキャリアついては、下記のページをご参照ください。 ・ディーキャリアの特徴 ・ディーキャリアの就職支援 対象となる方 就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスであるため、利用には所定の要件があります。また、実際に利用する場合には、お住まいの自治体に利用を申請し、希望するサービスの利用を認定された障害福祉サービス受給者証(以下、受給者証)の発行を受ける必要があります。 就労移行支援の対象になる方は、以下のとおりです。 ・原則として18歳以上満65歳未満(※)の方 ※例外として「65歳に達する前の5年間に障害福祉サービスの支給決定を受けていた方で、65歳に達する前日において就労移行支援の支給決定を受けていた方は、当該サービスについて引き続き利用することが可能」と定められています。 ・身体障害、知的障害、精神障害(統合失調症やうつ病、双極性障害、適応障害、てんかんなど)、発達障害や、難病の方のある方 ・一般企業(※)への就職を目指しており、就労が可能と見込まれている方 ※「就労継続支援事業所(A型・B型)」のように、通常の事業所に雇用されることが困難な方に向けた、福祉支援のある事業所は対象となりません。 ・現在、就労していない方(※) ※申請を受け付ける自治体の判断により、休職中やアルバイトをされている方などの利用が例外的に認められる場合もあります。休職者については、所定の要件を満たす場合に利用が可能となります。 就労移行支援は、障害者手帳をお持ちでない方でも、医師の診断書や意見書など、障害や疾患により支援が必要であることが確認できる書類があれば、利用を申請することができます。 また、一般企業で働いていたが休職中の方や、在学中の大学生(4年制大学・大学院・短大・高専含む)の方についても、一定の条件を満たす場合には、ご利用いただけることがあります。 ディーキャリアでは、「復職する予定が決まっている休職中の方」や「大学4年生の方」が利用されている事例がありますが、その可否を判断するのはあくまで申請を受け付ける自治体です。