「〜しなければならない」で苦しい人へ|べき思考の原因と対処法
「迷惑をかけてはいけない」
「失敗してはいけない」
「ちゃんとできる人であるべき」
このような考え方で、自分を苦しめてしまうことはありませんか?
こうした思考パターンは心理学で 「べき思考」 と呼ばれています。
「べき思考」というのは、「~するべき」「~であるべき」と、 自分や他人に対して厳しいルールを設定してしまう思考パターンのことです。
なぜこの思考があると苦しむことになるか、例を挙げて考えてみましょう。

① 仕事のルールに関する例
- 「仕事は完璧にやるべきだ」
→ 少しでもミスがあると強い自己否定になる。 - 「頼まれた仕事は全部自分でやるべきだ」
→ 困っていても相談できない。
学業でも仕事でも、
100点でないと自分を責めてしまう。
しかし、
一生ミスをしない仕事というものは存在しません。
そのため、べき思考が強いと
どこかで自己否定につながりやすくなります。
他者からの良い評価を
素直に受け止められない性格もここからきていることがあります。
② 対人関係の例
- 「挨拶されたら必ず元気に返すべきだ」
→ 返してもらえないと強く気にする。 - 「同僚は助けてくれるべきだ」
→ 手伝ってもらえないと怒りや失望が強くなる。
相手に自分のべき(ルール)を押し付けてしまうことで、人間関係が悪化したり、相手への怒りにつながったりすることがあります。
③ 社会ルールに関する例
- 「ルールは絶対に守るべきだ」
→ 周囲が例外対応していると強い違和感を感じる。 - 「時間は絶対に守るべきだ」
→ 数分の遅れでも強く自分を責める。
社会のルールの中には
「絶対のルール」と「状況で変わるルール」があります。
べき思考が強いと、白か黒か(正しいか間違っているか)の二元論で物事を捉えやすく、状況によるといった曖昧さが許せなくなることがあります。
④ 自分へのべき思考
- 「迷惑をかけてはいけない」
- 「失敗してはいけない」
- 「ちゃんとできる人であるべき」
自分に対するべきが強くなることで、生活や仕事へのプレッシャーが強くなり、疲れやすくなります。
発達特性のある人の場合、以下の理由でべき思考が強く出ることがあります。
① ルールを重視する認知特性
発達特性(特にASD傾向)では、
曖昧な基準よりも明確なルールを好む傾向があります。
そのため、社会の暗黙のルールを
- 「こうするべき」
- 「こうしてはいけない」
と強い規則として捉えやすいことがあります。
② 柔軟な思考の切り替えが苦手
状況によってルールが変わることがありますが、
- 例外
- 状況判断
- グレーゾーン
を扱うことが難しい場合、
「例外がある」という発想に切り替えにくいことがあります。
③ ストレスや失敗体験から強化される
過去に
- 注意された
- 叱られた
- 失敗した
経験があると、
「もう失敗しないように絶対にこうするべき」
という思考が強まりやすくなります。
これら認知の特性と過去の経験が重なることで、大人になればなるほど「べき思考」が強くなり、自身を苦しめる認知特性となることがあります。
実際の場面で、どのような課題が出てくるのか見ていきましょう。
職場編
- 「上司に頼まれた仕事は断るべきではない」
→ 仕事量が多くても抱え込んでしまう。 - 「一度教えてもらったことは二度聞くべきではない」
→ わからなくても質問できない。 - 「仕事は完璧にやるべき」
→ 90%できていても「失敗した」と感じる。 - 「忙しそうな人に話しかけるべきではない」
→ 報告・相談が遅れる。
ディーキャリア新潟オフィスに通所されている方でも、べき思考により仕事を抱え込む、同僚や上司に頼れずパンクしてしまった経験がある方や、ミスの指摘や失敗に対して、強く自責してしまう方がいらっしゃいます。
また、仕事に対するべきの方向が他者に向いてしまう場合、パワーハラスメントにつながることもあるでしょう。
対人関係編
- 「挨拶は必ず笑顔でするべき」
→ うまくできないと落ち込む。 - 「人には迷惑をかけてはいけない」
→ 相談やお願いができない。 - 「相手の言葉には必ず正しく返事をするべき」
→ 会話で強く緊張する。
以上のように、コミュニケーションの苦手さが「べき思考」から来ていることもあります。
「普通に」「上手に」コミュニケーションを取らなくてはいけない、という気持ちが強いことで、恐怖心につながり、他者とのコミュニケーションを避けてしまう。
「相手の時間を奪っていけない」というべきから、報告や相談ができない。
といった事例がありました。
生活編
- 「時間は絶対に守るべき」
→ 数分遅れただけで強い自己否定。 - 「ルールは例外なく守るべき」
→ 周囲の柔軟な対応に混乱する。
社会の中では「電車やバスが数分遅れる」こともあれば、「仕事中に雑談する」人もいます。
本来であれば「公共交通機関は提示された時間通りに到着するべき」かもしれませんが、道路の状況や事故などのイレギュラーでやむを得ず遅れが発生することあるはずです。
仕事中は集中して業務に取り組むべきかもしれませんが、雑談から仕事につながることや職場でのコミュニケーションを円滑にするためには、多少の雑談も必要でしょう。
これらは「状況によって変化するルール」に当たると考えられます。
グレーゾーンのルールは多々存在しているため、それらに一々反応することは、適切とは言えません。
では、この「べき思考」にはどう対処すればよいのでしょうか?
べき思考への対処は、「ルールを弱めて柔軟にすること」が基本になります。
① 「べき」を見つける
まず、自分の中の「〜すべき」「〜してはいけない」という言葉に気づきます。
例
- 「失敗してはいけない」
- 「迷惑をかけるべきではない」
- 「ちゃんとできるべき」
気づくだけでも思考は少し緩みます。
② 言い換える
「べき」を柔らかい言葉に変えます。
例
- 「完璧にやるべき」
→ できる範囲でやればよい - 「迷惑をかけてはいけない」
→ 困ったときは頼ってもよい - 「絶対に遅れてはいけない」
→ 遅れないよう努力すればよい
ポイント
絶対 → できれば / 場合による
③ 例外を考える
「本当にいつでもそうか?」と考えます。
例
「仕事は一人でやるべき」
→
- 忙しいときは?
- チームの仕事なら?
- 上司が相談してと言っている場合は?
多くの場合、例外があることに気づきます。
④ 他人に当てはめてみる
自分に厳しいルールを、他人にも同じように求めるか考えます。
例
「ミスしてはいけない」
→ 同僚がミスしたら
「絶対ダメな人」と思うか?
多くの場合
自分だけに厳しくなっていることに気づきます。
⑤ 新しい考えを作る
現実的なルールに作り直します。
例
- ミスしてはいけない
→ ミスしたら修正すればよい - 人に迷惑をかけてはいけない
→ お互いに助け合うもの
ポイントは
「べき」を「できれば」に変える。
ということです。
自分で対処してみてうまくいかないときには、専門家に相談を
自分の「べき思考」に気付くこと、気づいて対処すること。
しかし自分の考え方を自分で理解することは、実はとても難しいです。
今回は原因と対処法を一例としてご紹介しましたが、もし「自分で対処してみたが、なかなかうまくいかない」という場合には、一人で抱え込まずに、専門家の手を借りることも検討してみましょう。
もし
・失敗が怖くて行動できない
・仕事を抱え込んでしまう
・人間関係で疲れてしまう
こうした悩みがある方は、
「べき思考」が影響しているかもしれません。
ディーキャリア新潟オフィスでは
「リフレーミング」という訓練を通して、
自分を苦しめる思考の癖への対処方法を学ぶことができます。
リフレーミングとは、
物事の見方(枠組み)を変えて、別の意味として捉え直すことです。
簡単に言うと
同じ出来事を、違う角度から見る(捉えなおす)こと。
この訓練では、自身の思考の癖に気付き、それに対する対処方法を学ぶことができます。
それはまさに「べき思考」に気付き、「べき」を「できれば」に捉えなおすプロセスの練習。
「自分を苦しめているのは”べき思考”かもしれない」と思った方。
ぜひ一度「リフレーミング」の訓練体験をしてみてください。
これまで「なんとなく生きづらい」と思っていた原因がわかるかもしれません。
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