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【ADHDの仕事術】もう先延ばししない!スケジュール通りに仕事をするには(前編)

こんにちは、中野オフィスです!

やらないといけないことがあるのに、いつも「後でいいか」と先延ばしになってしまう。
気づけば締切がきてしまって、「なんでまだ終わっていないんだ」と上司から怒られる……。
そんな経験はありませんか?

多くのADHD(注意欠如・多動性障害)当事者を悩ませる「先延ばしグセ」
今回は障害特性を踏まえ、そのメカニズムと対処法を考えていきます!

ADHD当事者支援員の私井上と、
普段サービス管理責任者として利用者様の支援に関わる遠藤、
そして、支援力はディーキャリアいちと自負するマネージャーの大橋の3人で、
このテーマを話し合っていきたいと思います。

ディーキャリアは、なんと言っても発達障害の特性に応じたプログラムを提供する就労移行支援事業所!
発達障害の診断を受けているあなた、あるいは「発達障害かも?」と思っているあなた、

ぜひこの記事を読んでみてください!

 

◆わたしたちについて

井上:それではまず自己紹介からいきましょう!

大橋:中野オフィスのオフィスマネージャーの大橋です。
「ディーキャリア」というブランドの立ち上げから参画し、
入社から2年間は、おもに大人の発達障害の方の就職支援の中で、生活スキル、対人スキルを支援していました。
そのノウハウをもとに、1年半は研修と全国にある事業所のSVを担当。
その後、直営店舗の質向上に取り組み、現在は中野オフィスのマネージャーをしています。
プライベートでは、震災以降NPO法人にも属していて、そこの理事をしています!

遠藤:中野オフィスのサービス管理責任者の遠藤です。
4年半くらい高齢者介護を経験し、3年前弊社に入社。
二つの事業所の勤務を経て、中野オフィスの立ち上げから関わりました。
中野では、最古参になります(笑)
趣味はアイドル鑑賞です!

井上:中野オフィスの就労支援員の井上です。
この会社に入って1年と3か月になります。
自分自身がADHDの当事者であることを活かして、未熟ながら日々支援にあたっています。
趣味は寝ること、小説を書くことです!
外出とポストを開けることが何より嫌いなインドア派です。

井上:今日は、このメンバーで話していきます!

 

◆ADHDの先延ばしは、定型発達者となにが違う?

井上:ADHDの方だったら、一度は経験があると思うんですが、
先延ばしのことを相談したときに、「それはみんなあるよ~」って言われると思うんですよね。
たしかに、みんな程度の差はあれ先延ばしをすると思うんですが、
ADHDの方の先延ばしは、一般的な先延ばしとなにが違うんでしょうか。

大橋:原理は同じだよね。
程度の差は個人差があるけど、イメージでいくと、
「それ絶対食べちゃダメ」って言われているものを我慢できず食べてしまうみたいな、そのくらいの差はあるんじゃないかな。

遠藤:マシュマロテストっていう実験があって。
報酬系機能の実験なんですが、15分間マシュマロを食べるのを我慢していたら、マシュマロ2個あげる。
でも、15分の間に食べてしまったら、2個目はなしだよ、と被験者の子供に伝えて、我慢できるかどうかを見た実験なんですよ。
将来のより大きな報酬(長期的報酬)のために、すぐ得られる報酬(短期的報酬)を我慢できるかという実験だったんですが、
そこで、報酬系機能が弱い子供は我慢できず食べてしまうということがわかったんです。

大橋:報酬系機能とは、満足感、達成感をつかさどる神経系のことですね。
目の前の報酬に飛びつき、長期的な報酬を求めての行動ができないことが、ADHDの特性の一つです。
詳しくは、こちらのブログ(【ADHDの特性】実行機能と報酬系機能とは)をご覧ください!

遠藤:端的に言うと、「欲に弱い」ということですね。

大橋:先延ばしっていうのは、将来の成果よりも、今この時の「やりたくない」という感情を優先してしまった結果
そうなることが多いと思うので、報酬系機能が関係しているとよく言われますね。

井上:ありがとうございます。
ADHDの方は、定型発達の方より報酬系機能が弱いために、先延ばしが生じやすいということですね。

 

◆ADHD先延ばしの例

井上:程度の差についてはどうでしょうか。
例えば、よくあるADHDのケースとして、片付けが嫌で1か月ゴミを放置するとか、皿洗いを1か月しないとかがありますが、
定型発達の方だと、こんなに長く放置することはないんじゃないかなと思いますが。

大橋:たぶんそこの定型(発達)と定型(発達)じゃない人の差は、支障が出ているときに改善できるかできないかだね。
私もゴミを1か月片づけなかったりするけど、支障がないからそうしてるんだよね。
イメージだけど、悪臭がしているとか、虫がわいているにもかかわらず、それでも「後でいいや」になっちゃう、解消のための動きができない、ってなると、ADHDの特性上の困りごとになるんじゃないかな。

遠藤:生活上、あるいは社会上困りごとが出ているのに、どうしても動き出せないってことですよね。
そういえば井上さん、ゴミ放置して虫がわいたときに、もはや虫を処理する機械買ってましたね(笑)

井上:はい(笑)
ゴミを夏場に一か月くらい放置して、コバエがわいてしまって、その状況を招いてしまった自分へのふがいなさで落ち込んで、掃除する気力を失っていました。
コバエにおびやかされながら生活してたんですが、ゴミ袋の中がいちばんコバエいたので、触れなくて。
Amazonでコバエキラーを買ってから、ようやくコバエから解放されました。光でコバエを引き寄せて、電気で殺戮するっていう……。

遠藤:(笑)

 

◆先延ばしが生じるメカニズム

井上:先延ばしが起きる原因は、先程お話しした報酬系機能によるものもあると思いますが、
他のパターンもあると思います。
どんなパターンがあるでしょうか?

遠藤:一つ目は、ワーキングメモリの少なさにより、「あとでこれをしよう」と思っていても、
他の刺激により注意がそれて忘れてしまうというのがあるかなと。

井上:ありがとうございます。
ワーキングメモリというのは、脳のメモ帳みたいなイメージですね。
メモ帳が小さいために、情報をメモする前に別の情報で上書きされて、タスク自体を忘れてしまって、結果意図せず先延ばしになってしまうということですね。

大橋:その時に取り組むべき行動じゃない行動を優先してしまう、っていうのもあるんじゃないかな。
報酬系機能もそうだし、衝動性も関係してくるのかなと思うんだけど、
「やらなければならないこと」はわかっているのに、自分がやりたいタスクを衝動的に選択してしまうということもあると思う。

遠藤:状況に関わらず、自分の「やりたい」を優先してしまうということですね。
こちらは実行機能計画を立てたり、行動を遂行するための段取りを立てる能力)も関係していそうですね。

井上:ありがとうございます。
あとは、先程出ている報酬系機能の弱さによる先延ばしですね。
一時の「やりたくない」を我慢して将来に得られる成果よりも、その場を逃れることにより得られる短期的な報酬を優先してしまうことによる先延ばしです。

 

◆先延ばしの3パターン

井上:まとめると、先延ばしのパターンは3つあるということですね。

①ワーキングメモリの少なさにより他の刺激により注意が逸れ、タスクそのものを忘れ結果として先延ばしになってしまう場合。
②衝動性により自分のやりたいタスクを優先してしまう場合。
③報酬系機能の弱さにより長期的報酬よりも短期的報酬を優先してしまう場合。

それでは、この3つの先延ばしについてどのように対策できるか、次回は話していきたいと思います!
(次回に続く)

 

いかがでしたでしょうか?
今回は、「先延ばし」はなぜ生じるのか、というテーマについて、
ADHDの障害特性を踏まえて分析してみました。

ディーキャリアでは、「大人の発達障害」によって困難を抱えている方、
またそのような人を支える方、そのような人を理解したいという方などに向けて、
発達障害についてより深く理解をしていくための情報を紹介する「大人の発達障害とは」を公開しております。

発達障害に関する基礎知識だけではなく、
大人の発達障害のある方の支援実績をもとにそれぞれの障害特性による「よくある困りごと」とその対処方法を紹介しています。
こちらの記事も併せてお読みください▼
https://dd-career.com/disorders/

 

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