ビジョンビジュアライズとは?なりたい姿を”目に見える形”にする訓練を解説
こんにちは!ディーキャリア川崎オフィス、生活支援員の伊藤です。
「就職はしたいけど、自分がどうなりたいのか実はよく分かっていない」「なんとなく仕事を探しているけど、これで本当にいいのか自信が持てない」——そんなふうに感じたことはありませんか。
特に発達障害・精神障害のある方の場合、日々の困りごとへの対処に意識が向きやすく、「この先どうなりたいか」までじっくり考える余裕がないという声をよくお聞きします。実はこれ、とても自然なことです。ですが、なりたい姿がぼんやりしたままだと、就職活動や就職後の踏ん張りどころで「やっぱり自分には合わないかも」と気持ちがぐらつきやすくなってしまうこともあります。
今回は、ディーキャリア川崎オフィスで実施した訓練「ビジョンビジュアライズ」の様子をご紹介しながら、なりたい姿を目に見える形にすることの効果についてお伝えしていきます。
ビジョンビジュアライズとは、「人生ビジョンのビジュアライズ(可視化)」を組み合わせた言葉で、キャリアプランニング訓練の目的でもある「ご自身のなりたい姿を明確にする」ことを、より入り口の部分から、目で見える形にしていく訓練です。
過去分析シートや価値観の整理、なりたい姿を考えるワークなど、これまで取り組んできたさまざまなワークの延長線上にあるもの、とイメージしていただくと分かりやすいかと思います。
訓練ではまず、なりたい姿(ビジョン)を持つことがなぜ大切なのかを確認しました。理由はシンプルで、ビジョンを持っているかどうかで、同じ出来事に対する心の動きも、結果として起こることも変わってくるからです。
例えば、覚えることが多くて大変な仕事を任されたとき——
- ビジョンを持っている人:「将来のために必要なことだから頑張ろう」と前向きに捉えやすい
- ビジョンがなくなんとなく働いている人:「自分には合わないから辞めよう」と投げ出しやすい
これはあくまで極端な例ですが、なりたい姿が明確だと、判断の基準がはっきりし、行動の選択に迷いがなくなり、取り組んでいることに前向きな気持ちを持ちやすくなります。こうした積み重ねが、なりたい自分に近づく力を高めていくのです。
では、なぜわざわざ写真やイラストを使って目に見える形(ビジュアライズ)にする必要があるのでしょうか。訓練内では、参加者の皆さんからも「モチベーションにつながるから」「イメージが具体化できるから」といった意見が挙がりました。
これに加えて訓練で紹介されたのが、「潜在意識を味方につけられる」という理由です。
顕在意識と潜在意識
私たちが論理的に「これはこうだな」と考えているときの思考を顕在意識、感覚やイメージを無意識のうちに司っている部分を潜在意識と呼びます。研究では、顕在意識が担っているのは脳全体のわずか5〜10%程度で、残りの大部分は潜在意識が占めていると言われています。よく「氷山の一角」に例えられる通り、私たちが意識できているのはごく一部で、実際にはその何倍もの情報処理能力が水面下に眠っているのです。
この潜在意識を味方につけるためのポイントは、大きく2つあります。
- 繰り返すこと——同じイメージを繰り返し脳に与えることで、潜在意識に刻み込まれていきます
- 写真やイラストを使うこと——文字だけよりも、目に見える画像の方が潜在意識に働きかける力が強いとされています
なりたい姿を目に見える形にすることは、この2つの条件を満たす、理にかなった方法というわけです。
訓練では、より良いビジョンをつくるために大切な2つのポイントも紹介されました。
①心からワクワクするものにすること
「お金が欲しい」だけでは実はあまりワクワクしません。そのお金で何をしたいのか、誰とどう過ごしたいのかまで掘り下げることで、初めて心が動くイメージになります。逆に「安定していたい」「役割をきちんと果たしたい」といった義務的な側面ばかりに焦点を当てすぎると、それが重荷になってしまうこともあるため、堅実すぎず、大胆なくらいがちょうど良いとされています。
②できるだけ具体的にすること
「こうなりたい」で終わらせず、「いつ」「どんなふうに」なりたいのかまで書き出していくことで、初めて行動につながる具体性が生まれます。
ここからが訓練の中心となるワークです。ワークシートを使い、仕事・人間関係・プライベートの3つの領域について、それぞれ「どうありたいか」「どうなりたいか」を、最低3つずつ書き出していきます。
- 仕事の領域:職種、事業内容、専門分野、能力開発、年収など、シートに並んだヒントワードから連想を広げていきます
- 人間関係の領域:仕事に関わる人間関係と重なる部分もあるため、迷ったときはどちらに書いても構いません。旅行や近所付き合いなど、プライベートに近い関係性が中心になりやすい領域です
- プライベートの領域:住まいや財産、安心できるもの、健康、趣味、楽しみや習慣といったテーマで書き出していきます
領域を厳密に分ける必要はなく、キーワードもあくまでヒントなので、自分なりの言葉を自由に加えて構いません。「制約を考えすぎず、ワクワクできるように、楽しみながら」というのが、進める上での大切な姿勢です。
ワーク中の参加者の様子
- 最初は白紙を前に「何から書けばいいか」と手が止まる場面も
- ヒントワードを見ながら、少しずつ言葉を書き出していく様子
- 仕事だけでなく、プライベートの充実についても具体的な項目が挙がる
- 完成度にこだわらず、思いついたことから気軽に書き進める姿
スタッフからも、「いきなり完成品を出さなくて大丈夫」「抽象的だなと思ったら、一段掘り下げて答えを重ねていくとよい」という声かけがありました。悩みすぎて手が止まってしまうことが一番もったいないので、まずは簡単なところから少しずつ積み上げていくことが大切です。
ここまで「なりたい姿」を考えるワークをご紹介してきましたが、その過程では、特性による苦手さや困りごとに向き合う場面も出てきます。例えば「覚えることが多すぎて処理が追いつかない」「人間関係の距離感が難しい」といった悩みも、なりたい姿を考える中で自然と見えてくることがあります。
大切なのは、こうした困りごとをすべて自分の努力や工夫だけで克服しようとしなくてよい、ということです。業務量の調整をお願いしたり、指示の出し方や伝え方について配慮を求めたりすることは、決して特別なことではなく、働く上で誰もが持っている権利です。これを「合理的配慮」と呼びます。
ディーキャリアでは、なりたい姿を明確にする訓練とあわせて、ご自身の特性を整理し、「どんな配慮があれば力を発揮しやすいか」を言葉にしていく練習も行っています。なりたい姿に近づくための土台として、自分に合った働き方や必要な配慮を一緒に考えていきましょう。
なりたい姿を目に見える形にすることは、単なる気分転換のワークではなく、脳の仕組みに基づいた「潜在意識を味方につける」ための理にかなった方法です。仕事・人間関係・プライベートの3つの領域から、ワクワクできる具体的なビジョンを少しずつ書き出していくことで、判断に迷わなくなったり、日々の取り組みに前向きな気持ちを持てるようになったりします。
そして、そのビジョンに近づく過程で見えてくる困りごとは、一人で抱え込む必要はありません。合理的配慮を求めながら、自分らしく働ける道を一緒に探していきましょう。
ディーキャリア川崎オフィスでは、こうした訓練を通じて、お一人おひとりが「自分はどうなりたいのか」を具体的に描けるようサポートしています。ご興味を持たれた方は、ぜひ一度見学にお越しください。
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