聴覚過敏とその対策をご紹介
今日は聴覚過敏の話と、実際に聴覚過敏のある人がどのような対策をしていけばいいのか、という話をしていきたいと思います。
聴覚過敏とは、発達障害のASDの特性の一つである感覚過敏の一つです。感覚過敏には他にも視覚、触覚、味覚、嗅覚などの過敏もありますし、逆に感覚が鈍い感覚鈍麻という特性も存在しています。
普段私たちは五感から受けている影響の大きさをあまり意識することはありませんが、外部からの情報のほとんどはこの五感から得ています。例えば「枕が変わると寝られない」というのもそうですね。枕の肌触り(触覚)、におい(嗅覚)、色や模様(視覚)と言ったものを五感で感じて、それぞれの人にとっての「心地よい枕」ができあがります。枕が変わったから寝られないわけではなく、枕から感じ取る「感覚」が変わるから、なかなか落ち着かず、結果として寝られないで疲れが取れない、ということになります。
他にも、カフェのような人のにぎわい、BGM、店員の接客の声などがあふれる場所では、集中して読書ができなかったり。意識している、していないに関わらず、五感は自身の周りの情報を収集し続け、身体はその影響を受け続けています。
私たちは普段の生活で自身の感覚の一つ一つを意識してしまうと、情報が多すぎて処理しきれず、疲れてしまいます。そのため私たちの五感は、自身の拾いたい情報を優先して拾い、それ以外の情報を受け取るのを抑えるように、脳で調整をしているのです。
例えば聴覚では、聞きたい音とそれ以外を分け、それ以外の音を抑え、聞きたい音を優先して聞き取ります。しかし、聴覚過敏のある方の場合、聞きたい音とそれ以外の音の区別や調整が難しかったり、逆に特定の音を極端に聞き取ってしまったり、ということが起きます。ある音がいつも極端に聞こえてしまうと、その音が苦手になってしまい、「黒板を引っ掻いた時の音を聞いているような不快感」に近い感覚を覚える、という方もいらっしゃいます。 では、実際に聴覚過敏のある方は、日常でどういったことに困るのかを紹介していきたいと思います。
今、私のいるオフィスでは、社員の話し声や行きかう足音、タイピング音、エアコンの音や室外機の音、ブラインドが揺れてぶつかる音、ビルの前の通りを車が走る音、電話の鳴る音などが聞こえます。これらは全て「日常的な音」です。そのような音にあふれたオフィスに「電話の鳴る音や救急車のサイレンなどの高い音が苦手」な聴覚過敏の方がいたとします。上司や同僚と仕事のやり取りをしている際に、電話が鳴る事は日常的にあります。電話ほどしょっちゅうではないですが、救急車や消防車のサイレンも聞こえることがあるでしょう。
それらの苦手な音が耳に入ると、聴覚過敏の方は、不快感から仕事のやり取りを続けるどころではなくなってしまいます。日常がそのような苦しみでいっぱいだったとすると、どうでしょう。ものすごく辛いことですよね。 聴覚過敏を周りの人が認知してくれていればとてもよいのですが、それでも聴覚過敏の辛さや不快感までは、他者に共感してもらうことが難しいことが多いのです。聴覚過敏である事を知らない人であれば、最悪の場合「大げさだ」と捉えられてしまうかもしれません。
そのため、自身の聴覚過敏を他者に伝えられるように言語化しておくことも大切ですし、物理的な対策も必要になってきます。 実際に私たちの事業所で、聴覚過敏への対策をしている方の実例をご紹介したいと思います。 代表的な対策は、音を遮断するイヤーマフの着用です。ある方は、事業所でイヤーマフを着用する際は、スタッフに「配慮依頼」として依頼を行い、着用しています。その上で、「聴覚対策中、耳栓しています。ご用のある方は前にまわり、お声かけください。」と書いたふせんを貼り、周囲の方への配慮も行ってくださっています。
私はこの工夫を見た時、とても素晴らしいと思いました。自身への配慮を依頼したら、その後の周囲への配慮も忘れない。こういった工夫は、相互理解や他者理解のハードルを低くするために、非常に大切なことです。
最近は感覚過敏マークというのが考案されていて、そのような活動がメディアでも取り上げられるようになってきました。今後さらに多くの人に情報が広がり、感覚過敏の方への理解も深まるとよいなと思います。 (感覚過敏研究所:https://kabin.life/archives/1527)
皆さんもディーキャリアで自身の特性に対する対策や、働きやすくなる、生活しやすくなる工夫を探してみませんか。体験や見学、相談、随時受け付けていますので、お気軽に下記連絡先もしくはお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
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