【大人の発達障害】AIはあなたに合わせた目標を立ててくれる?目標設定が怖い人のための、AIとの付き合い方【AI×IT就労移行支援・立川】
〜AIの目標は、誰のための目標? カスタマイズの鍵は「自分のデータ」〜
「AIを使えば、目標設定がしやすくなる」。そんな話を聞いたことはありませんか?
でも、ちょっと待ってください。AIは本当に、あなたに合わせた目標を立ててくれるのでしょうか?
こんにちは!ディーキャリアITエキスパート立川オフィス/立川オフィスのピアスタッフ、かまちです。
私は、目標設定が怖いと感じることがあります。結果はまだ分からないのに、「ダメな結果になるのではないか」と考えてしまう。そして、結果を評価されるのではないか、という不安が消えません。目標設定が怖くなる理由については、ディーキャリア立川オフィスのブログで詳しく書いています。
https://dd-career.com/office_blog/tachikawa/
この記事では、AIで目標設定をするときに知っておきたいことと、目標設定の怖さを減らすためのAIの使い方をお伝えします。
1. AIの目標は、「誰の目標」なのか?
AIの目標は、たくさんの人の「一般的なデータ」から作られている
「就職に向けた目標を立てて」とAIに頼むと、AIは「3か月で資格を取得」「毎日2時間学習」のような、それらしい目標をすぐに出してくれます。
でも、その目標は、どこから来たのでしょうか。AIは、たくさんの人の情報や、世の中によくある「目標の例」をもとに、答えを組み立てています。つまり、何も伝えずに出てきた目標は、**あなたの目標ではなく、「よくある誰かの目標」**なのです。
AIは、誰かの「完璧な計画」をまねして、体調を確認せずに提案してくる
私は、AIは誰かの完璧な計画をまねして、「これをやってください」と提案してくる、と感じています。しかも、私の体調を確認しないまま。その目標は、元気で、時間がたっぷりある誰かにとっては、ちょうどいい目標なのかもしれません。
立派な目標ほど、「達成できないかも」が大きくなる
目標設定が怖い人にとって、立派な目標は、そのまま「達成できなかったらどうしよう」という不安の大きさになります。AIに頼んだのに、かえって目標が怖くなってしまう。そんなことも起きてしまうのです。
2. カスタマイズの鍵は、「自分のデータ」を渡せるかどうか
では、AIに「あなたに合わせた目標」を立ててもらうには、どうすればいいのでしょうか。
鍵になるのは、AIに、自分のデータを渡せるかどうかです。AIは、あなたが教えたことしか、あなたについて知りません。自分の得意・苦手、体調の波、集中できる時間。こうした「自分のデータ」を渡せば渡すほど、AIの目標は「よくある誰かの目標」から、「あなたに合わせた目標」に近づいていきます。
「自分のデータ」の例
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 体調の波 | 午前中は調子が出にくい、週の後半に疲れがたまりやすい |
| 集中できる時間 | 1回30分くらい、1日合計で2時間くらい |
| 得意なこと | 図にすると覚えやすい、細かい確認が得意 |
| 苦手なこと | 口頭の指示は抜けやすい、長い文章は読み飛ばしやすい |
| これまでにできたこと | 週3回の通所は続けられた、1日10分の学習は続いた |
つまり、AIをうまく使う鍵は「自己理解」
ここで大切なことに気づきます。AIに渡せる「自分のデータ」を持っているのは、自分だけです。自分の得意・苦手や体調の波を知らなければ、AIに伝えることもできません。
つまり、AIで目標設定をうまく使えるかどうかは、自己理解にかかっているのです。AIは、自己理解の代わりにはなりません。でも、自己理解ができていれば、AIはその力を何倍にも活かしてくれる道具になります。
3. AIの「くせ」を知り、AIに「自分」を教える
AIには、それぞれ「くせ」がある
AIには、それぞれ「くせ」のようなものがあります。しかも、同じAIでも、そのときどきで答え方の特徴が変わることがあります。
ここで、私が2026年10月時点で実際に使ってみて感じた印象を紹介します。あくまで私の個人的な感想で、聞き方や時期によっても変わります。
| AI | 私が感じた印象 | 目標づくりで気をつけたいこと |
|---|---|---|
| Gemini、ChatGPT | こちらの考えを積極的にほめてくれる。話していて気分が上がる | ほめられたまま、無理のある大きな目標を立ててしまわないように |
| Claude | 慎重で、融通がきかないと感じることがある。こちらの言い分に、すぐには乗ってこない | そのぶん、無理のある点に気づかせてくれることもある。慎重さを、目標の見直しに活かせる |
ほめてくれるAIは、気持ちを前向きにしたいときに。慎重なAIは、立てた目標に無理がないか確かめたいときに。くせを知っておくと、場面に合わせて使い分けることができます。
時期によって、モデルも特徴も変わることに注意
ここで、ぜひ知っておいてほしいことがあります。AIは、時期によって中身の「モデル」が新しく入れ替わり、そのたびに特徴が変わることがある、ということです。
同じ名前のAIでも、数か月前と今とでは、答え方のくせがまったく違う、ということも珍しくありません。上の表の印象も、あくまで2026年10月時点のものです。
だからこそ、「このAIはこういうもの」と決めつけずに、ときどき答え方を確かめ直すことが大切です。アプリや画面に表示されているモデルの名前を見ておくと、「最近、答え方が変わったな」と感じたときに、モデルが変わったのかどうかを確かめる手がかりになります。
大切なのは、AIに「自分」を教えること
では、くせが変わっていくAIと、どう付き合えばいいのか。私が大切だと思っているのは、AIに「自分という人間」を教えることです。
「私は、こんな聞き方をする人です」「私には、こんな特徴があります」。そうやって自分の特徴を伝えていくと、AIの答えは、少しずつ自分に合ったものになっていきます。モデルが変わっても、自分の特徴を伝え直せば、また自分に合わせてもらうことができます。たとえば、次のように伝えてみましょう。
- 「私は質問が多くなりやすいので、要点を3つにまとめて答えてください」
- 「ほめるよりも、無理がありそうなところを率直に指摘してください」
- 「図にすると覚えやすいので、手順は番号付きで書いてください」
前の会話を覚えてくれる機能や、自分の情報をあらかじめ設定しておける機能があるAIなら、毎回伝え直す手間も減らせます。
「自分を教えること」と「個人情報を入れること」は違う
ここで大切なのは、自分を教えることは、個人情報を入れることとは違うということです。
| AIに教えていいこと(自分の特徴) | AIに入れないほうがいいこと(個人情報) |
|---|---|
| 質問が多くなりやすい | 名前、住所、電話番号 |
| 図にすると覚えやすい | 病名や診断名 |
| 午前中は調子が出にくい | 職場の名前や、社内の情報 |
| 率直に指摘してほしい | 同僚や家族など、他人の情報 |
自分の聞き方や考え方のくせ、得意・苦手は、個人を特定する情報ではありません。こうした「自分の特徴」を伝えることで、個人情報を守りながら、AIを自分に合った相棒に育てていけます。
※AIの機能や、入力した内容の扱いは、ツールやプラン、時期によって変わります。使う前に、それぞれの最新の情報を確認してください。
4. それでも、AIは目標設定の「いい相手」になる
自分を教えれば、AIは、目標設定が怖い人にとって、とても頼りになる相手になります。
AIは、結果を評価しない
AIは、目標を達成できたかどうかで、あなたを評価しません。下書きの目標を何度作り直しても、「また変えるの?」とは言いません。だからこそ、**人に見せる前の「練習相手」**として、安心して目標を考えられます。
「分からない結果」を、いくつかの形で見せてくれる
結果がまだ分からないから、悪いほうに想像がふくらむ。そんなとき、AIに「うまくいった場合」「少しうまくいかなかった場合」など、いくつかの可能性を出してもらうと、結果は「ダメ」の一つだけではないことが見えてきます。
5. 目標設定の怖さを減らす、5つのAIの使い方
※ここで紹介する使い方は、執筆時点で多くの生成AIツールで試せる一般的なものです。ツールによって、できることや使い方は異なります。
使い方① 「自分のデータ」を先に渡してから、目標を聞く
目標を考えてもらう前に、自分のデータと、答えてほしい形を伝えておきましょう。
「私について:午前中は調子が出にくい。集中できるのは1回30分くらい。図にすると覚えやすい。これまで、1日10分の学習は続けられました。この情報をもとに、今週無理なく達成できる目標を2つ提案してください。ほめるよりも、無理がありそうなところがあれば率直に指摘してください」
提案が返ってきたら、すぐに決めずに、一呼吸おいて「今の自分にできるか」を自分で確かめます。
使い方② 「結果の目標」を「行動の目標」に変えてもらう
結果の目標は、自分だけではコントロールできない部分があり、不安が大きくなりがちです。AIに、行動の目標に言い換えてもらいましょう。
「『3か月以内に就職する』という目標を、自分の行動だけで達成できる、今週の小さな目標に言い換えてください」
「就職する」が、「今週は求人を3件読む」のような、自分の力で達成できる目標に変わります。
使い方③ 不安をそのまま書き出して、整理してもらう
目標を立てるのが不安なときは、頭の中の不安をAIに書き出してみましょう。
「目標を立てるのが不安です。達成できなかったらどうしよう、評価されたらどうしよう、と考えてしまいます。この不安を整理してください」
不安を言葉にして整理すると、「何が怖いのか」が見えて、少し落ち着いて目標を考えられるようになります。
使い方④ 「うまくいかなかった場合の次の一手」を先に用意する
私は、何かがうまくいかなかったときのために、「違っていたら、こっちにする」という他の案を作っておくようにしています。目標も同じです。達成できなかったときの次の一手を、先にAIと考えておきましょう。
「この目標が達成できなかった場合に、次にできる小さな一手を2つ考えてください」
うまくいかなかったときの道が見えていると、「達成できなかったら終わり」という怖さが軽くなります。
使い方⑤ 人に伝える前の「目標の下書き」を一緒に作る
評価されるのが怖いときは、支援員や上司に目標を伝える前に、AIと下書きを作って練習しておきましょう。
「支援員に、今月の目標を伝えたいです。結果よりも取り組みの過程を一緒に振り返ってほしい、という気持ちも伝えたいので、短い文章にまとめてください」
6. AIを使うときに気をつけたいこと
AIの目標を「正解」にしない
AIが出した目標は、あくまで候補の一つです。最後に「この目標でいく」と決めるのは、自分です。
最後は、人とすり合わせる
AIは練習相手として便利ですが、目標は、支援員や職場の人など、実際に一緒に進める人とすり合わせることが大切です。AIで作った下書きを、人との相談のきっかけにしましょう。
渡すのは「自分の特徴」まで。個人情報は入れない
セクション3の表のとおり、自分の特徴は伝えても、病名や個人を特定できる情報、職場の情報までは入力しないように気をつけましょう。入力した内容がどう扱われるかは、AIによって違います。
目標を決めたあと、その目標に向けた「次の一手」をAIで決める方法は、こちらの記事でも紹介しています。
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まとめ:AIの目標を「あなたの目標」にする鍵は、自己理解
AIで目標設定がしやすくなる、と言われます。でも、何も伝えずにAIが出す目標は、たくさんの人の一般的なデータから作られた、「よくある誰かの目標」です。それを「あなたに合わせた目標」にできるかどうかの鍵は、自分のデータを、どれだけAIに渡せるかにあります。
そして、そのデータを持っているのは、自分だけです。自分の得意・苦手や体調の波を知る自己理解があってこそ、AIは本当に役に立つ道具になります。AIのくせを知り、時期によって特徴が変わることも心にとめておく。AIに自分の特徴を教え、結果の目標を行動の目標に変え、うまくいかなかったときの次の一手を用意する。AIを「評価しない練習相手」として使いながら、自分に合った、怖くない目標をつくっていきましょう。
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリアITエキスパート立川・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリアITエキスパート立川オフィス、所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。
主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。
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