発達障害の私が思う、疲れているのに気づけない理由——衝動性が疲労をスルーさせてしまうしくみと回復の対策
〜ワールドカップが始まったら寝られない、それと同じ話——疲れと上手につきあうライフハック〜
サッカーワールドカップが始まったら、深夜でも眠れない。疲れているのはわかってる。でも、テレビをつければ試合が見られる。手を伸ばせば手に入るのに、手を伸ばさないなんてできないよね?
これ、ADHDの衝動性・多動性がある方にとって、ごく自然な話です。
こんにちは!ディーキャリアITエキスパート立川オフィスのピアスタッフ、かまちです。
発達障害のある方から「疲れているのに、なぜか気づけない」「休んでもなかなか回復しない」「わかってはいるけど、目の前の楽しいに負けてしまう」という話をよく聞きます。私自身も、疲れのサインを見逃して突然動けなくなる経験を何度も繰り返してきました。
これは、怠けているからでも、根性が足りないからでもありません。脳の衝動性・多動性が、疲労のサインを上書きしてしまうという、ごく自然なしくみがあります。この記事では、疲労に気づきにくくなる理由と回復しづらい理由を整理したうえで、日常でも職場でも使える、疲れと上手につきあうための具体的な対策をお伝えします。
1. なぜ、疲れに気づきにくく、回復もしづらくなってしまうのか?
疲労の感知が難しいのは、鈍感だからでも、体が弱いからでもありません。いくつかのごく自然なしくみが重なっています。
- 衝動性・多動性が、疲労のサインを上書きしてしまう。
ADHDの衝動性・多動性を持つ方は、「今この瞬間の楽しい・面白い」が疲労のサインをそのまま飛び越えてしまいます。ワールドカップの試合が始まったら、「疲れているから寝よう」より先に「見たい」が動く。これは意志の問題ではなく、脳の仕組みの問題です。「目の前にあるものに手が伸びる」という衝動は、疲れていても止まりにくいのです。
- 体の内側のサインに気づくのが遅れやすい。
発達障害のある方は、外からの感覚(音・光・温度など)に敏感な一方で、体の内側から来る感覚——「疲れた」「眠い」「おなかがすいた」——に気づくのが遅れやすい傾向があります。作業や楽しいことに集中しているあいだ、体のサインが完全に後回しになってしまい、気づいたときにはすでに限界を超えていた、ということが起きやすいのです。
- 「脳の疲れ」が体の疲れより先に来ている。
発達障害のある方は、人間関係の読み取り・予定の管理・感覚刺激の処理など、脳が常にフル稼働している状態になりやすいです。体は動いているのに、脳はすでにかなり消耗している——この「体と脳の疲れのズレ」が、疲労に気づきにくくさせる大きな原因のひとつです。「休んだのに疲れが取れない」のは、体は休めても脳が休まっていないからかもしれません。
2. まず知っておく!疲労には「体の疲れ」と「脳の疲れ」の2種類がある
「疲れたら休めばいい」という考え方を、少し更新しておきましょう。ここを整理しておくことが、一番大切な下ごしらえです。
疲労には大きく2種類あります。
体の疲れ:筋肉や体力の消耗。横になって休む・しっかり寝ることで回復しやすい。
脳の疲れ:情報処理・感情の調整・感覚刺激への対応による消耗。横になるだけでは回復しにくく、「脳への刺激を減らす時間」が必要。
発達障害のある方が「寝ても疲れが取れない」と感じるとき、多くの場合は脳の疲れが回復しきれていません。ワールドカップを深夜まで見続けた翌日、体は寝ていても脳は興奮したまま——あの感じが、毎日少しずつ積み重なっているイメージです。脳を休めるためには、体を横にするだけでなく、
「脳に何も入れない時間」を意識的に作ることが必要です。
3. その場で試せる!具体的な対策
疲労に早めに気づき、上手に回復するための対策を紹介します。
【対策①】「疲れのサイン一覧」を自分で作っておく
「疲れた」という感覚に気づくのが遅れやすい方は、あらかじめ「自分が疲れているときに出やすいサイン」をリストアップしておきましょう。
- 些細なことでイライラしやすくなる
- 言葉が出てこなくなる
- 食欲がなくなる、または逆に食べ過ぎる
- 普段気にならない音や光が気になり始める
- 判断や選択に時間がかかるようになる
このリストを手帳やスマホにメモしておいて、「今日は当てはまるものが多いな」と気づいた日は、早めに休む判断をしましょう。ワールドカップ期間中なら「今日はサイン3つ出ているから、今夜は前半だけ見て寝る」という自分ルールにも使えます。
【対策②】「楽しい」の前に30秒だけ疲れ度を確認する
衝動性がある方に「楽しいを我慢しろ」は現実的ではありません。ハードルを地面まで下げて、「楽しいを始める前に30秒だけ今の疲れ度を確認する」だけにしましょう。10点満点で「今日は何点?」と自分に聞いてみる。7点以上なら「前半だけ」「1時間だけ」というルールを自分に課す。衝動をゼロにするのではなく、「少しだけ間を置く」だけで、翌日の消耗が大きく変わります。
【対策③】1日の中に「脳に何も入れない時間」を10分だけ作る
スマホを見る・試合を見る・音楽を聴く——これらはすべて、脳に情報を入れ続ける行動です。脳を休めるためには、「10分だけ何もしない時間」を意識的に作りましょう。
- 目を閉じてぼーっとする
- 窓の外をただながめる
- 何も考えずに横になる
「何もしない=サボり」ではありません。脳を回復させるための、正当な休息です。
【対策④】回復に「能動的な休息」と「受動的な休息」を使い分ける
休み方にも種類があります。
- 受動的な休息:寝る・横になる・何もしない→体と脳をシャットダウンする
- 能動的な休息:散歩する・軽いストレッチ・好きな音楽をぼーっと聴く→脳を穏やかに動かしながら回復する
「寝ても回復しない」という方は、能動的な休息を試してみましょう。逆に「動くとさらに疲れる」という方は、受動的な休息を優先する日を意識的に作りましょう。自分に合う回復の仕方を知っておくことが、長く動き続けるための一番の道具になります。
■ まとめ:疲れは「気合いで乗り越えるもの」じゃなく、「早めに気づいて上手に回復するもの」
「ワールドカップが見たい、でも明日も仕事がある」と一人で抱え込んでどちらも中途半端になるのをやめて、「疲れのサイン一覧を持っておく」「楽しいの前に30秒確認する」「脳に何も入れない時間を作る」という道具を使いながら、自分の疲れとちょうどいい距離でスマートに回復していこう。
疲れに気づきにくいのは、あなたの感覚がおかしいのではありません。衝動性・多動性がある脳は、楽しいことに全力で向かう力がある分、疲れのサインが後回しになりやすいのです。自分なりの「疲れの読み方」を持っておくことが、仕事や通所を長く安定して続けるための、一番の土台になります。
最後に:ディーキャリアITエキスパート立川オフィスで「疲れの管理と回復の仕組み」を一緒に整えよう
ディーキャリアITエキスパート立川オフィスでは、自分の疲労パターンを把握しながら、無理なく通所・就労を続けるためのセルフケアの仕組みを一緒に作っていくプログラムに取り組んでいます。「疲れているのに気づけずに突然動けなくなる」「休んでも回復した気がしない」「衝動的に動いてしまって翌日しんどい」という方も、ぜひ一度、見学や無料相談にいらしてください。
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリアITエキスパート立川・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリアITエキスパート立川オフィス、所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。
主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。
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