【発達障害】ASDの特性があると嘘をつくのが下手?理由と対策
こんにちは。ディーキャリア府中オフィスの支援員・宗形です。
当事業所には、発達障害の特性がある方が多く通所されていますが、素直で正直、まっすぐな方が多い印象を受けています。とても率直で素敵な性格をされていて、日々学ぶこともとても多いです。
その一方で、例えば面接場面で必要なオブラートに包んで表現することだったり、お世辞を言ったりすることが苦手な方も多いような気がします。
そこで、今回は、発達障害の特性がある方と「ウソをつくこと」の関係について書いていきたいと思います。
目次
1.「嘘を付けない」ASDの特性について
1-1.嘘をつけない理由は脳の特性にあるかも
発達障害の特性がある方は、その特性上、嘘をつくことが苦手な可能性があります。
「こだわり」や「正義感」が強く、嘘をつくのを極端に苦手とする場合や、「あいまいなことの理解」が難しく、お世辞の意味が分からないなどのパターンがあります。
特に、ASD(自閉症スペクトラム障害)の診断を受けている方やその傾向・特徴がある方が「嘘をつくのが苦手」な背景としては、一例として、こんなことが考えられます。
- 変わらないことへの欲求の強さから「ウソをつかない」信念を非常に大事にしている
- こだわりの強さから、正義感が強くて、ルールに反することや曲がったことが嫌い
- 昔ウソをついて叱られたことがあり、ウソをつこうとするとその経験を思い出す
- ウソが必要な場面とそうでない場面を見分けることが難しい
- ウソをつく自分はダメな人間なんだと白黒思考で思い込んでいる
今回は障害特性の観点からお話ししていますが、全員一律に脳の特性から「嘘をつく苦手さ」が来るわけではなく、その人の育ってきた家族環境や性格、知的能力や職場環境などが背景にある可能性もあります。大切なのは、一見すると変わった行動に見えても、背景にはその人なりの理由や原因があり、周囲の人はその背景に目を向けることで見方が変わっていくということです。
1-2.嘘を付けないのは良いところでもあるけど、困ることもある
嘘をつかずに一本気な方は「誠実」や「真面目」と他者から表現されることも多く、人から信頼されることも多いと思います。ですが、社会生活を送る上では、人を傷つけないために上手な嘘を使ったり、時にはお世辞を言ったりすることも必要になります。そういう場面では、「嘘を付けないこと」が障害として現れてくる可能性もありますね。
たとえば、会議で意見がまとまりかけていたとき…会社の方向性としては正しい意見だけど、自分としては「それは違う」と思っている。だから、自分の意見を通すために発言をするということがあると、周りとの調和を乱してしまうかもしれません。
また、Aさんが上司を立てるために「本当に○○さんが上司でうれしいです。いつも勉強になっています」と伝えた場面で、たまたまAさんが陰で上司の愚痴をこぼしていたことを知っていたあなたが「前にAさん、上司さんは指示出しが雑だって言ってましたよ」と伝えてしまったら…その場はピキーンと凍り付くと思います。
こんな風に、社会生活では上手に嘘をつくこともスキルの一つとして求められます。
素直に思ったことをストレートに伝えるのは、大きな長所でもありますが、置かれる環境によっては障害になり得るかもしれません。もし、嘘をつくことが苦手なあなたが、こういう調和が求められる環境で過ごしたい、過ごさなければと思っているのであれば、対策を取っていきましょう。
2.嘘をつく必要のある場面ではどうしたら良い?
2‐1.ついても良い嘘を決めることにする
みなさんは、どこまでの嘘であれば許せますか?
たとえば、「〇〇さんって退職するの?」と聞かれたとき、「本当は知っているけれど黙っている」
これは嘘に入ると思いますか?
次に、こちらはどうでしょうか。
「△△さんってミスが多くて本当困っちゃうよね」と同意を求められたとき、「ん~そうかもね~」
これは許せますか?
人それぞれ、感じ方が違うと思います。退職の話を言わないのは口が堅いからだと思う人もいれば、それでも嘘をついているんだから駄目だ!と思う人もいるでしょう。愚痴に同意を求められてあたりさわりのない返事をすることも、「誠実じゃない」と感じる人もいれば、「それはしょうがないよね」と思う人もいます。嘘だと思う範囲や、許せる嘘の種類って、人それぞれ違うんです。
だから、正義感が強くて全部の嘘がダメだ!と思っているのであれば、一度自分の「嘘だと思う範囲」を見つめなおしてみると許せる範囲が広がる可能性があります。そうすると、これまでの自分が嘘だと思っていたことも言えるようになるし、人の行動で気になるところも少なくなってくるかもしれません。
2‐2.仕事では、自分の気持ちと伝えるべきことを仕分けるクセをつける
まずは自分が許せる嘘の範囲を知ったところで…、
それでもやっぱり許せない嘘は残りますよね。(全部許せる!という方はすごいです!が、優しすぎてストレスをためないようにしましょうね!)嘘つきたくない、そんな感情が仕事中に出てくる人は、「自分の気持ち(感情)」と「伝えるべきこと」を仕分けるクセをつけてみてください。
たとえば、後輩のAさんから、「同僚のBさんの話し方がきつくてしんどくて仕事に来るのが辛い」と相談を受けたとします。自分はそう思っていないけど、CさんやDさんからも同じような相談を受けているとしたら、あなたはどうしますか?
立場上伝えなきゃいけないのは分かっている。「自分はそう思っていないんだけど、★★さんが言い方がきついって感じているみたいで」と全部正直に言いたいけど、そのまま伝えると同僚同士の仲に亀裂が入ってしまうかもしれない。それに、後輩が直してほしいと思っていることも伝わらないかもしれない。でも…と悩みますよね。こんな時は、気持ちと(仕事として)伝えるべきことを分けて考えてみましょう。
やってみます。
- 自分の気持ち:自分はそうは思っていないから伝えるのが嫌だな、オブラートに包まずストレートに伝えたいな
- 伝えるべきこと:話し方を柔らかくしてほしい
プライベートであれば、自分の気持ちを優先しても良いのですが、仕事となると伝えるべきことを優先しないといけないことも多いです。今回のケースだと、複数名から同じ内容の相談があり、先輩であるあなたはどうにかしないといけない立場です。この場合は、一旦自分の気持ちを端によけて置いて、伝えるべきことを優先して伝えるようにするのが得策です。(たまったストレスは家に帰ってからお風呂に入ったりエアーボクシングをして解消しましょう!)
こんな感じで、「自分の気持ち」と「伝えるべきこと」を分けて考えて、時には正直に伝えない(自分の気持ちに嘘をつく)ことも企業で働く上では必要になってきます。
3.まとめ
以上、発達障害の特性がある方と嘘をつくことの関係性について考えていきました。
発達障害の特性があると、社会生活で必要とされる嘘をつくのが難しい場合があります。
それは、「こだわり」の特性や「あいまいなことの理解が難しい」特性が背景にあると考えられます。
仕事をしていくと、どうしても必要な嘘(嘘というよりも、お世辞だったりオブラートに包んだりすることです)も出てきます。そんな時のために、まずは「自分が許せる嘘の範囲を知ること」をして、そのうえで、「自分の気持ちをコントロールできるようになる」練習を重ねることをおススメします。
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【発達障害】人と関わるのがしんどい理由と対策について
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