仕事はなんとかできている。でも、帰ると何もできない。
仕事には行けている。頼まれたことも、なんとかこなしている。
でも、家に帰ると動けない。
ご飯を作る気力がなくて、買ってきたもので済ませる。お風呂に入ろうと思いながら、ソファから立ち上がれない。洗濯物がたまっているのを見て、ため息が出る。
「みんな働きながら生活しているのに、どうして自分はできないんだろう」
そんなふうに、自分を責めてしまうことはありませんか。

仕事から帰ると何もできない状態を、すぐに「怠けている」と決めつける必要はありません。帰宅後のことを考える前に、仕事中にどれくらい負担がかかっているのか、振り返ってみてもよいかもしれません。
「仕事ができている」と「余裕がある」は、同じではない
周りからは、普通に働けているように見える。
でも本人は、ミスをしないように何度も確認したり、会話についていこうと集中したり、予定が変わるたびに頭の中で段取りを組み直したりしているかもしれません。
一つひとつは小さく見えても、それが一日続くと、負担になります。
例えば、こんな場面はないでしょうか。
- 周囲の話し声や電話の音が気になり、集中するのに力がいる
- 急な依頼が入ると、何から手をつけるか考え直している
- 雑談や相手の表情に気を配り、休憩中も気が抜けない
- 忘れ物やミスが心配で、何度も確認している
- 分からないことを聞けず、一人で考え続けている
仕事が終わっているからといって、余裕を持ってできているとは限りません。
「できたかどうか」に加えて、「どれくらい無理をしてできたか」にも目を向けてみましょう。
発達特性と、働く環境の組み合わせで考える
発達障害のある方の中には、音や光などの刺激に敏感な方がいます。
国立障害者リハビリテーションセンターは、感覚の問題として、特定の刺激が苦手なことに加え、複数の刺激が同時に入ると疲れたり、状況を把握しにくくなったりする場合があると紹介しています。
参考
国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害のある人の感覚の問題」
ただし、発達障害がある方すべてに、同じ困りごとがあるわけではありません。また、帰宅後に動けないことだけで、発達障害かどうかを判断することもできません。
大切なのは、「自分の特性だから仕方がない」で終わらせず、どんな環境や仕事の進め方で負担が増えているのかを見ることです。
例えば、静かな場所なら取り組みやすいのか。口頭の依頼より、文字で確認できたほうが安心なのか。
自分だけを変えようとする前に、環境との組み合わせを考える余地があります。
仕事から帰ると何もできない日に、家事の手順を減らす
疲れている日に、料理も掃除も洗濯も、全部きちんと終わらせる。それを毎日の基準にすると、苦しくなることがあります。
帰宅後の負担を減らす方法として、作業の手順を少なくする工夫を考えてみましょう。
ご飯は「作る」以外の選択肢も用意する
冷凍食品や総菜、すぐに食べられるものを用意しておく。
献立を考えるところから始めなくてもよいように、疲れた日に食べるものを、いくつか決めておく方法もあります。
買う、作る、片づける。その全部を毎回こなす前提を、少し緩めてみてもよいでしょう。
家事は、負担の少ない形に変える
洗濯物をたたむのが負担なら、ハンガーのまま収納する。掃除道具を出すのが面倒なら、よく使う場所に置いておく。
「やる気を出す方法」だけでなく、「やるまでの手間を減らす方法」も考えられます。
これらは治療法ではなく、暮らしを回しやすくするための工夫です。自分の家や生活に合いそうなものを、一つ選ぶくらいからで十分です。
休む時間を、予定に入れる
帰宅したら、すぐに家事を始めなくても構いません。
着替えて少し静かに過ごすなど、休む時間を先に確保する方法もあります。
ただ、「少し休むつもりが、毎日何時間も動けない」という場合は、休み方だけで解決しようとせず、日中の負担や体調も含めて考えてみてください。
家での工夫だけでなく、仕事中の負担も見直す
帰宅後の工夫をしても、仕事中に力を使い切っていれば、生活を回すのは難しいままかもしれません。
そこで、数日分だけでも「特に疲れた場面」をメモしてみましょう。
「今日は疲れた」から、もう一歩具体的にしてみます。
「午前中、急な依頼が重なって、優先順位を考えるのに疲れた」
「休憩室でも会話が続き、一人で落ち着く時間がなかった」
「口頭で聞いた内容を忘れないように、ずっと頭の中で繰り返していた」
こうした記録があると、職場で何を相談したいのか、整理しやすくなります。
相談の例としては、
- 複数の依頼があるときは、優先順位を確認する
- 指示や変更点を、文字でも残してもらう
- 静かに休める場所や時間を相談する
- 作業量や締め切りを、上司と一緒に確認する
といったことが考えられます。
実際に調整できることは職場によって違います。まずは「どの場面が負担なのか」を共有するところから始めてみましょう。
疲れが続くときは、体調の相談も
帰宅後に何もできない理由を、発達特性や頑張りすぎだけに決めつけないことも大切です。
休んでも疲れが取れない、眠れない、食欲が落ちている、以前は楽しめていたことが楽しめない。そんな変化が続いている場合は、医療機関で相談してください。
こころや体の不調に気づいたときには、早めに相談することが大切です。
参考
厚生労働省「ストレスとこころ」
受診時には、「疲れています」だけでなく、「帰宅後に食事の準備ができない」「休日も休むだけで終わる」など、生活への影響も伝えてみてください。
働き続けるために、暮らしのことも相談してよい
仕事に行けていると、「まだ相談するほどではない」と思ってしまうかもしれません。
でも、仕事を続けるために、食事や休息、自分の時間が毎日後回しになっているなら、それも相談してよい困りごとです。
「仕事はなんとかできています。でも、家に帰ると何もできません」
その言葉からで大丈夫です。
就労に関する相談では、仕事の出来不出来だけでなく、通勤や生活を含めて、無理なく続けられる働き方を考えることが大切です。
ディーキャリアびわこ第一オフィスでも、働くうえでの困りごとを伺いながら、負担になっている場面や、取り入れられそうな工夫を一緒に整理していきます。
うまく説明できなくても構いません。今、どんな毎日になっているのかを聞かせてください。
参考記事
仕事で質問できない|「何が分からないか分からない」ときの整理の仕方
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