発達障害 夏 暑さ|ASD・ADHDの特徴と今日からできる暑さ対策
「夏になるといつも以上に疲れてしまう」
「暑いだけでイライラしたり、集中できなくなったりする」
「エアコンが効いていても、なんとなく落ち着かない」
このような経験はありませんか?
特にASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)の特性がある方の中には、「夏はいつも以上に過ごしづらい」と感じる方もいます。
もちろん、暑さが苦手なのは発達障害のある方だけではありません。しかし近年の研究では、ASDのある方には感覚への反応の仕方に特徴があり、それが日常生活や心身の状態に影響することが報告されています。暑さや湿度、汗をかく感覚なども、人によっては大きな負担になる場合があります。
今回は最新の研究をもとに、発達障害と夏の暑さの関係、そして無理なく夏を乗り切るための工夫をご紹介します。
暑さを「人一倍つらい」と感じることがある理由
2026年に発表されたレビュー論文では、ASDのある方には感覚への反応にさまざまな特徴があり、その現れ方には大きな個人差があることがまとめられています。
例えば、
- 暑さが強い刺激として感じられる
- 汗で服が肌に張り付く感覚が苦手
- エアコンの風が痛いように感じる
- 湿度によるベタつきが気になって集中できない
など、人によって困りごとはさまざまです。
つまり、「暑さに弱い」というよりも、「暑さに関係するさまざまな刺激を負担として感じやすい人がいる」と考えた方が、現在の研究結果に近いと言えるでしょう。
感覚の違いは生活にも影響する
研究では、感覚への反応の違いは「暑い・寒い」と感じるだけではなく、日常生活やメンタルヘルス、生活の質(QOL)にも関係することが報告されています。
例えば、
- 集中力が続かない
- 疲れやすい
- イライラしやすい
- 不安が強くなる
- 外出がおっくうになる
といった変化につながることがあります。
夏になると「最近疲れやすい」「何となく調子が悪い」と感じる場合は、暑さそのものだけではなく、感覚への負担が積み重なっている可能性も考えられます。
自律神経も関係している可能性
レビューでは、ASDの感覚反応の背景として、自律神経の働きとの関連も示されています。
自律神経は、
- 体温調節
- 発汗
- 心拍数
- リラックスと緊張の切り替え
などを調整する役割があります。
暑さが続くと、誰でも体力を消耗しますが、自律神経への負担が大きくなることで、疲労感や集中力の低下を感じやすくなる人もいます。
もちろん、これはすべてのASDのある方に当てはまるわけではありません。しかし、「夏になると調子を崩しやすい」と感じる方は、自分の体のサインに早めに気づくことが大切です。
夏に起こりやすい困りごと
就労移行支援でも、夏になると次のような相談を受けることがあります。
- 通所するだけで疲れてしまう
- 作業に集中できない
- 寝苦しくて睡眠不足になる
- イライラしやすくなる
- 外出する気力が湧かない
こうした状態が続くと、「自分は頑張りが足りない」と考えてしまう方もいます。
しかし、体が暑さや感覚刺激に多くのエネルギーを使っている可能性もあります。
まずは、「今は夏だから疲れやすい時期なのかもしれない」と、自分の状態を客観的に見つめることも大切です。
今日からできる暑さ対策
① 暑さを我慢しすぎない
「これくらいなら大丈夫」と無理をすると、疲労が蓄積しやすくなります。
エアコンや扇風機、冷却グッズなどを上手に活用しましょう。
② 衣類を工夫する
汗で不快感が強くなる方は、
吸湿速乾素材
肌触りの良い素材
締め付けの少ない服
を選ぶだけでも快適さが変わることがあります。
③ 水分補給を習慣にする
喉が渇く前から、こまめに水分を補給することが大切です。
特に通勤や通所の前後は意識して水分を摂るようにしましょう。
④ 休憩を早めに取る
疲れてから休むのではなく、「少し疲れたかな」と感じた段階で休憩を取ることがポイントです。
無理をしないことが、結果として安定した生活につながります。
⑤ 自分の「夏のサイン」を知る
例えば、
- イライラが増える
- 集中力が落ちる
- 食欲がなくなる
- 朝起きるのがつらい
など、人によって体調が崩れるサインは異なります。
毎日の体調を簡単に記録しておくと、自分なりの傾向に気づきやすくなります。
就労移行支援でできること
就労移行支援では、就職活動だけではなく、
- 生活リズムを整える
- セルフケアを身につける
- 自分に合った環境を知る
- 体調管理の方法を考える
ことも大切にしています。
夏の暑さによる困りごとも、「気合いで乗り切る」のではなく、「どうすれば負担を減らせるか」を一緒に考えていくことができます。
自分に合った対策を知ることは、長く働き続けるためにも大切な力になります。
まとめ
最新の研究では、ASDのある方には感覚への反応にさまざまな特徴があり、それらは日常生活やメンタルヘルス、生活の質とも関係することが示されています。
そのため、夏の暑さや湿度、汗などの刺激を人一倍負担に感じる方もいます。
もちろん、感じ方には大きな個人差があります。
大切なのは、「周りと比べて我慢すること」ではなく、「自分に合った暑さ対策を知ること」です。
夏は体力も気力も消耗しやすい季節です。
だからこそ、自分の体調の変化に早めに気づき、無理をせず、休息や環境調整を取り入れながら過ごしていきましょう。
小さな工夫の積み重ねが、夏を元気に乗り切り、安定した就労や日々の生活につながっていきます。
参考
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42262640/
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