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ADHD 忘れ物|忘れ物が多い原因と仕事で役立つ対策を解説

「家を出てから財布を忘れたことに気づく。」

「会社に着いてから社員証を忘れたことが分かる。」

「提出期限を覚えていたはずなのに、気づいたら過ぎていた。」

このような経験はありませんか?

ADHD(注意欠如・多動症)のある方の中には、「忘れ物が多い」「約束を忘れてしまう」「やることを思い出せない」と悩まれる方が少なくありません。

そのため、「自分は注意力がない」「だらしない性格だから」と自分を責めてしまう方もいます。

しかし、近年の研究では、ADHDの忘れ物には「展望記憶(Prospective Memory)」という脳の働きが関係している可能性が報告されています。今回は、この研究をもとに、忘れ物が起こる理由と仕事で役立つ対策についてご紹介します。

「展望記憶」とは何でしょうか?

展望記憶とは、「未来にやる予定のことを、必要なタイミングで思い出す力」のことです。レビュー論文では、ADHDのある子どもを対象とした研究を整理し、特に時間をきっかけに思い出す課題(時間ベースの展望記憶)で困難がみられることが多いと報告されています。

例えば、

  • 朝、家を出る前に社員証を持つ
  • 14時になったら会議へ参加する
  • 帰宅途中に買い物をする
  • 薬を決まった時間に飲む

これらは「記憶力」だけではなく、「あとでやることを、ちょうど良いタイミングで思い出す力」が必要になります。

「覚えていたのに忘れた」はなぜ起こる?

「朝は覚えていたのに、家を出るときには忘れてしまった。」

このような経験は、ADHDのある方からよく聞かれます。

これは「知らなかった」「覚えられなかった」というよりも、行動するタイミングで思い出すことが難しかった可能性があります。

つまり、「忘れ物=やる気がない」「忘れ物=性格の問題」ではありません。

研究でも、展望記憶の困難を補うための工夫が重要であるとまとめられています。

仕事ではどのような場面で困りやすい?

職場では、展望記憶が関わる場面が数多くあります。

例えば、

  • 会議の時間を忘れてしまう
  • 提出期限を過ぎてしまう
  • 持参する書類を忘れる
  • メールの返信を後回しにして忘れる
  • 「あとで電話しよう」と思って忘れる

どれも「能力が低い」からではなく、「思い出す仕組み」が必要な場面と言えます。

だからこそ、仕事では「覚える」ことよりも、「忘れにくい環境を作る」ことが大切になります。

今日からできる忘れ物対策


① 持ち物を置く場所を決める

財布や鍵、社員証などは、毎日同じ場所に置くようにしましょう。

探す時間が減るだけでなく、持ち忘れにも気づきやすくなります。

② チェックリストを活用する

玄関や机の近くに、

  • 財布
  • スマートフォン
  • 社員証
  • 定期券

などを書いたチェックリストを貼っておく方法もおすすめです。

「覚えておく」のではなく、「見れば思い出せる環境」を作ることがポイントです。

③ スマートフォンのリマインダーを使う

「14時に会議」

「18時に薬を飲む」

「帰宅前に買い物」

など、時間で知らせてくれる機能を活用しましょう。

リマインダーは「忘れない人のための道具」ではなく、「思い出す仕組み」を作るためのサポートです。

④ 前日のうちに準備する

朝は時間に追われやすく、忘れ物が増えやすい時間帯です。

前日の夜にカバンへ必要な物を入れておくことで、忘れ物のリスクを減らすことができます。

⑤ 「思い出す工夫」を増やす

研究では、展望記憶の困難を補うための代償的な工夫が役立つ可能性が示されています。

例えば、

  • 玄関にメモを貼る
  • アラームを設定する
  • カレンダーアプリを活用する

など、「自分だけで覚えようとしない仕組み」を作ることが大切です。

就労移行支援でできること

就労移行支援では、就職活動だけではなく、

  • 自分の特性を理解すること
  • 忘れ物を減らす工夫を一緒に考えること
  • チェックリストやリマインダーを活用すること
  • 自分に合った仕事の進め方を見つけること

などにも取り組んでいます。

「忘れないように頑張る」のではなく、「忘れても困りにくい仕組みを作る」という考え方は、就職後も長く働き続けるために役立ちます。

まとめ

ADHDによる忘れ物は、「性格」や「やる気」の問題ではなく、展望記憶などの認知機能が関係している可能性があります。

もちろん、ADHDのあるすべての方に当てはまるわけではありません。しかし、「あとでやろう」を思い出しにくいと感じる方は、仕組みを工夫することで日常生活や仕事の負担を軽くできる可能性があります。

大切なのは、「忘れない人になること」ではなく、「忘れても困りにくい環境を作ること」です。

一人で頑張り続けるのではなく、自分に合ったツールや工夫を取り入れながら、安心して働き続けられる方法を少しずつ見つけていきましょう。




参考
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29065807/

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