発達障害のある人は考えすぎる? 反芻思考 との付き合い方
夜、一人でいるときに” 反芻思考 “により、
「昨日の会話を何度も思い出してしまう」
「失敗した場面が頭から離れない」
「気づいたら同じことを何時間も考えている」
そんな経験はありませんか?
発達障害のある方の中には、「考えすぎて疲れてしまう」という悩みを抱えている方が少なくありません。
もちろん、考えること自体は悪いことではありません。
問題なのは、「考えても答えが出ないこと」を繰り返し考え続けてしまい、自分を消耗させてしまうことです。
今回は、発達障害のある方に見られやすい「反芻思考(はんすうしこう)」について解説します。

反芻思考 とは?
反芻思考とは、過去の失敗や嫌だった出来事、不安なことについて繰り返し考え続けてしまう状態を指します。
例えば、
・あの時の発言は失礼だったのではないか
・相手を怒らせてしまったのではないか
・また同じ失敗をするのではないか
といった考えが何度も頭に浮かびます。
そして考えれば考えるほど気分が落ち込み、さらに考えてしまうというループに入ることがあります。
なぜ考えすぎてしまうのか
① 真面目で責任感が強い
発達障害のある方の中には、非常に真面目な方が多くいます。
「次は失敗しないようにしよう」
「相手に迷惑をかけたくない」
という思いが強いからこそ、過去を振り返り続けてしまいます。
しかし実際には、振り返りが反省ではなく、自分を責める時間になっていることも少なくありません。
② 不確実な状態が苦手
ASD傾向のある方によく見られますが、
「相手がどう思っているか分からない」
「正解が分からない」
という状態に強いストレスを感じることがあります。
そのため、答えの出ない問題を頭の中で解決しようとしてしまいます。
しかし、人の気持ちや未来の出来事には答えがありません。
答えがないからこそ、思考が終わらなくなってしまうのです。
③ 疲れている時ほど起こりやすい
意外かもしれませんが、反芻思考は疲労と深く関係しています。
実際に、
・夜になると考え込む
・休日に一人でいると考え込む
・体調が悪い時に増える
という方は少なくありません。
考えすぎることが原因というより、疲れているから考えすぎてしまう場合もあります。
なぜ同じことを考え続けてしまうのか
脳には、よく使う回路ほど強化される性質があります。
例えば、自転車の練習を繰り返すと自然に乗れるようになるのと同じように、思考のパターンも繰り返されることで定着していきます。
そのため、
・失敗を振り返る
・将来を心配する
・人間関係を分析する
という思考を何度も繰り返していると、その回路が使いやすくなっていきます。
結果として、疲れている時や一人でいる時に、自動的に同じ考えへ戻りやすくなります。
デフォルトモードネットワークとの関係
脳には「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれる仕組みがあります。
これは何かに集中していない時に活動しやすく、
・過去を振り返る
・未来を想像する
・自分について考える
といった働きに関わっています。
本来は自己理解や学習にも重要な機能です。
しかし、不安や落ち込みが強い時には、過去の失敗や心配事を繰り返し考える方向へ働いてしまうことがあります。
特に疲労やストレスが重なっている時には、この状態から抜け出しにくくなることがあります。
考えすぎること自体は悪くない
ここで大切なのは、
「考えすぎる自分はダメだ」
と思わないことです。
実際には、
・慎重に考えられる
・リスクを予測できる
・振り返りができる
という強みの裏返しでもあります。
問題なのは、役に立つ思考ではなく、苦しむための思考になってしまうことです。
(参考) 大人の発達障害|感情の波の原因と対処法【ADHD・ASD】
反芻思考 との付き合い方
① 「考えている」を自覚する
まずは、
「今、自分は考えているな」
と気づくことが大切です。
反芻思考の厄介なところは、考えること自体が目的になっている状態です。
気づくだけでも、一歩距離を取ることができます。
② 解決できることか確認する
次に、
「これは今解決できる問題だろうか?」
と考えてみてください。
例えば、
・謝罪が必要なら謝る
・確認が必要なら確認する
という行動につながるなら意味があります。
しかし、
「相手がどう思っているか」
のように確認できないことは、考え続けても答えが出ません。
③ 身体を動かして別の回路を使う
反芻思考を止めようとすると、かえって意識してしまうことがあります。
それよりも、
・散歩する
・運動する
・家事をする
・趣味に集中する
といった活動によって、別の脳の回路を使う方が現実的です。
「考えないようにする」のではなく、「別のことに集中する時間を増やす」。
その積み重ねが、新しい思考パターンを作ることにつながります。
④ 自分なりの切り替え言葉を持つ
「今は考えても答えが出ない」
「また明日考えよう」
「ひとまず保留」
など、自分なりの言葉を持っておくのも有効です。
実際にこうした言葉をスマートフォンのメモに残し、見返している方もいます。
まとめ
発達障害のある方の中には、真面目さや責任感の強さから考えすぎてしまう方が少なくありません。
しかし、考えることそのものが悪いわけではありません。
大切なのは、
「役に立つ思考」と「自分を苦しめる思考」
を区別することです。
また、「考えすぎる性格」なのではなく、「考えすぎる回路が強くなっている状態」と捉えることもできます。だからこそ、自分を責めるのではなく、新しい行動や新しい考え方を少しずつ増やしていくことが大切です。
考えすぎる自分を否定するのではなく、上手に付き合う方法を見つけていくことが、自分らしく働き続けるための一歩になるかもしれません。
こんな悩みはありませんか?
・失敗を何度も思い出してしまう
・人間関係のことを考え続けてしまう
・考えすぎて疲れてしまう
・自分の特性との付き合い方が分からない
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(参考)Marcus E. Raichle et al. (2001)
A Default Mode of Brain Function
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