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【大人の発達障害の就活HACK】面接の準備をしよう|対策と流れ

大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。

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書類選考を通過すると、いよいよ次は面接です。初めて会う人と話すのは誰でも緊張するもの。ましてや、それで就職できるかどうか決まると思うと、いっそう緊張感は高まります。 大人の発達障害がある方で「面接が苦手だ…」という方は少なくありません。 スケジュールを立てることや見通しを立てることが苦手で、面接準備が間に合わない 遅刻をしてしまうことが多く、面接時間に間に合わない 考えを頭の中でまとめるのが苦手で、質問にうまく答えられない 面接官からの質問を忘れてしまったり理解ができなかったりすることで、かみ合わないことがある そもそもコミュニケーションが不得意で、話すことが苦手 など、特性による苦手によって “つまずき” を感じることがあります。 この記事では、“はじめて就職・転職活動をおこなう方” や、“転職活動が久しぶりの方” に向けて、発達障害の特性に応じた工夫とあわせて、必要な準備・面接の手順・練習方法などの基本についてご紹介します。 面接は職場の実際の様子を見たり、担当者と直接話をしたりできる貴重な機会でもあります。しっかりと準備をしていきましょう。 [toc] 1. 事前の準備が何よりも大切 発達障害のある方に特に多いのが、人前で話すのが苦手という悩みです。「人前で話すことが得意な人でないと、面接はうまく行かないんじゃないか…?」と心配に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、決してそんなことはありません。たとえ人前で話すことが苦手でも、事前の準備をしっかりすることで面接を乗り越えることができます。 マイクロソフト社で 10 年以上にわたりトップ・プレゼンターとして表彰され続けた澤 円(さわ・まどか)さん。人前で話すプロフェッショナルであり「プレゼンの神様」とまで呼ばれた澤さんは “プレゼンが成功するかどうかは、8 割が準備で決まる” と語っています。(澤さんご自身、発達障害の当事者でもいらっしゃいます。) 「私は人前で話すことが苦手だから、面接は自信がない…」という方ほど、準備にしっかりと時間をかけましょう。 1-1. しゃべる内容の台本を作る どんなに話し方がキレイなアナウンサーでも、名演技をする俳優でも、しゃべっていることには必ず台本があります。まずは、面接でしゃべる内容を紙に書き出して、台本を作りましょう。 「面接では何を聞かれるか分からないのに、台本が作れるの?」と思われるかも知れませんが、ほとんどの面接では、聞かれることは共通しています。たとえば以下のようなものです。 この会社へ応募しようと思ったのはなぜですか?(志望動機) あなたがこの会社へ入ったら、どのようなことで活躍できますか?(自己 PR) あなたの長所や短所を教えてください。(自己分析) あなたが、これまでの人生で体験した成功/失敗について教えてください。(自己分析) 特に “志望動機” や “自己 PR” は、応募書類(履歴書・職務経歴書)にも書いていますので、書類に書いたことと面接でしゃべることが食い違ってしまわないよう注意しましょう。食い違ってしまうと話がウソっぽくなり、マイナスの評価になってしまいますので、書類に書いた内容をもとに台本を作りましょう。 障害者雇用枠での採用面接の場合、以下のような “障害に関する質問” もされますので、こちらも台本を作っておきましょう。 あなたの障害特性について教えてください 必要な合理的配慮は何ですか? あなたが行っている「障害へのセルフケア」について教えてください なお、合理的配慮の考え方については以下の記事もぜひ参考にしてみてください。 「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介|発達障害のある方のためのお役立ちコラム 手書きの書類を郵送で送る場合は、台本を作るために、発送前にコピーを取って手元に残しておくことをオススメします。もし、コピーを取らずすでに書類を送ってしまっている場合は、できる限り思い出して書いてください。 1-2. 実際に声に出して練習する 台本ができたら、実際にしゃべる練習をしましょう。声に出してみて、しゃべりづらい部分があれば台本を手直しします。台本を丸暗記する必要はありません。自分の言葉で、自然に話せることが大切です。 しゃべっている内容を誰かに聞いてもらっても良いでしょう。第三者の視点から、自分では気が付かないこともアドバイスしてもらえることがあります。「誰かに聞かれるのは恥ずかしい」「聞いてもらえる相手が近くにいない」という場合は、スマートフォンの “ボイスメモ” のアプリを使って自分の声を録音し、自分で聞いてみるだけでも新たな発見があります。 練習では、話すスピードや量を意識することが大切です。①早口になりすぎない ②話が長すぎない…の 2 つを意識して台本を作りましょう。例えば、自己紹介の場合は「文字数は300~500字」で台本を作り、ストップウォッチで時間を測りながら「2分以内」で話せるように練習をしてみましょう。 このあと「2. 面接当日の流れを知っておこう」で、実際の面接の流れについて解説しますが、それに沿って練習するのもオススメです。例えば、家族や友人に面接官役をやってもらい、自分は実際にスーツを着て、部屋に入るところから実際に受け答えするところまでを一通りシミュレーションしてみるのです。心の準備にもなり、当日の緊張を和らげることができます。 1-3. 当日の準備をする 面接の当日、実際に出かけるときの準備も、事前にしっかりと済ませておきましょう。準備のポイントは、以下の 2 点です。 ポイント 1. 身だしなみを整える 身だしなみはとても大切です。「人は外見よりも中身の方が大事だ」とよく言われますが、身だしなみは社会人としてのマナーの基本です。面接官からも見られるポイントになりますので、しっかりと準備をしておきましょう。 服装は基本的に、上下セットのスーツです。ワイシャツは体に合ったサイズを選び、シワがないようアイロンをかけます。革靴も磨いておきましょう。 「面接に着ていけるようなスーツをまだ持っていない」という方は、スーツ専門店で購入しましょう。店員さんに「就職活動の面接で着ていけるスーツが欲しいんですが……」と尋ねれば、最適なモノを見繕ってもらえます。自分の体型に合ったワイシャツや、ネクタイ・靴下・革靴までセットで揃えることができます。 身だしなみや面接に着ていく服に悩んでいる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】朝の準備をテンプレ化!ワーキングメモリーの弱み&衝動性対策で遅刻を防止 ポイント 2. 遅刻をしないようにする 面接でもっともやってはいけないことは、約束の時間に遅刻することです。身だしなみと同じく、「約束や時間を守ること」は社会人としての基本的なマナーです。履歴書がどんなに立派でも、面接でどんなに上手く自己 PR できたとしても、遅刻をしたらすべてが台無しになってしまうので、じゅうぶん注意しましょう。 「途中で交通機関が遅れたり、体調が悪くなったりしたら仕方がないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、「そうなったとしても、できるかぎり遅刻をしない」ように事前に準備しておくことが大切です。 交通機関が遅れるかも知れない → 約束の時間より1時間ほど早く到着できるよう、余裕を持って出発し、早めに着いたら、目的地周辺のレストランやカフェなどで時間まで待機する。 途中で体調が悪くなるかも知れない → 前日は早く寝て体調を整える。「緊張するとお腹が痛くなりやすい」など、特定の症状が出やすいことが分かっている場合は、胃腸薬などの薬を事前に用意して持って行く。 当日「やむを得ない事情」や「急用」で遅刻やキャンセルをする際には、必ず先方に電話で連絡を入れます。(メールだと、相手が気が付くまで時間がかかるため。)先方の連絡先をあらかじめ携帯電話やスマートフォンに登録しておき、すぐに連絡ができるよう準備しておきましょう。 「やむを得ない事情」や「急用」とは、以下のようなものです。 体調を整えることにじゅうぶん注意していたが、それでも体調を崩してしまった場合(例:持病が急に悪化してしまった、新型コロナやインフルエンザなどの感染症にかかってしまった、等) 地震などの突然の災害や大規模な事故などで、交通機関が2時間以上遅れたり、運休したりしているような場合 自分の親や子ども、一緒に住んでいる家族など「近しい親族」に、命に関わるようなことが起こった場合(例:交通事故に遭って病院に運ばれた、病気で入院していたが危篤状態になった、等) 自分自身が、何かの事件や事故に巻き込まれた場合 なお、遅刻をしないためのテクニックについて、以下の記事でスマートフォンアプリを活用した方法を解説しています。こちらもぜひご参考ください。 【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】アプリ活用で予定通りに行動!原因を理解して、遅刻対策をしよう。 次ページ:実際の面接は、どのように進むの?
【当事者が解説】大人の発達障害の診断は受けるべき?メリットや注意点を紹介

発達障害当事者が、診断を受けるか悩んだ実体験をもとに「診断を受けるメリットやデメリット」「診断を受けるために必要な手順」「診断を受ける場合の注意点」「実際に診断を受けて何が変わったのか」を解説します。

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「発達障害のことを調べていたら、思い当たることが多かった」「発達障害の診断チェックリストをやってみたら、多くの項目に当てはまった」 働きづらさや生きづらさを感じている方のなかには、こうしたきっかけで発達障害について知った、という方も多いのではないでしょうか。何を隠そう、筆者もその中の一人です。 私は「自分は発達障害なのかもしれない」と思ってから医師の診断を受けるまでに、さまざまな悩みごとを経験しました。今回の記事では、実際に当事者として悩んだ経験をもとに 診断を受けるメリットやデメリットはあるのか 診断を受けるためには、どういう手順が必要なのか 診断を受ける場合、何か注意すべきことはあるのか実際に、筆者が診断を受けてみて何が変わったのか …について解説します。 [toc] 1. 発達障害について最初に押さえておきたい 2 つのキーワード〜①生まれつき ②ミスマッチ〜 すでにインターネットなどで情報をご覧になり、発達障害が「先天的な脳機能の障害」であることや、いくつかの種類があることをご存知の方も多いかと思います。(自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)、等) 発達障害について理解するために、もう少し表現をかみ砕いてみましょう。 発達障害とは、生まれつきの “脳の発達の偏り” がきっかけとなり、生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。押さえておきたいキーワードは ①生まれつき ②ミスマッチ…の 2 つです。それぞれについて解説します。 なお、大人の発達障害について基礎知識について知りたい方は、以下のページもご参照ください。 大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア キーワード 1「生まれつき」〜発達障害とは、本人の努力不足や親の育て方の問題ではない〜 「生まれつき」ということは、つまり、自分が大人になるまでの間に努力をしてこなかったとか、親の育て方が悪かったとか、そのような問題ではないということです。 過去の自分を責める必要はありません。「発達障害というものの存在を知った、今、このときから何ができるのか」を考えることが大切です。 キーワード 2「ミスマッチ」〜発達障害の方の “生きづらさ” は、周囲の環境によって起こっている場合がある〜 「ミスマッチが起こることで生きづらさが生じる」ということは、逆に「ミスマッチがなければ、生きづらさは生じない」とも言えそうです。これは一体、どういうことなのでしょうか。 社会学では、障害とは「個人の特性」によって起こるのではなく「社会との関係」によって起こるのだという、障害社会学 [*3]という考え方があります。 例えば、近視で遠くがよく見えない人がいるとしましょう。 現代は、メガネやコンタクトレンズがあります。パイロットなどの特別な職業でない限り、多くの人はそれほど遠くまで見えなくても仕事や日常生活に困りません。必要なら双眼鏡などの道具を使うこともできます。近視だったとしても、「社会的な不利益」を受けることは少ないと言えるでしょう。 しかし、これが原始時代だったらどうでしょうか。 遠くがよく見えなければ、狩りで獲物を探したり、迫ってくる危険をいち早く見つけたりすることができません。そのため、同じ集落の仲間に迷惑を掛けてしまい、「お前は役立たずだ」と言われて集落から追い出されてしまうかも知れません。近視であることで、「社会的な不利益」を受けてしまうおそれがあるのです。 周りの環境や社会との関係によって不利益を受けることが障害なのであり、個人の特性(近視であること)が障害なのではないというのが、障害社会学の考え方です。 実際に筆者も、職業や働き方を変えたことで “働きづらさ” は大きく改善されました。今は、一緒に仕事をしていても、私に発達障害があることにまったく気が付かない人もたくさんいます。 発達障害そのものに対してなにか対策を行うだけではなく、自分の特性とミスマッチを起こしている環境もあわせて見直すことが、とても重要なのです。 [*3] 参考文献:テーマ別研究動向(障害の社会学)|J-STAGE 次ページ:診断を受けた方が良いのは、どのような人?
発達障害のある方の「合理的配慮」事例集

働きづらさを感じている発達障害のある方に向け、実際に企業が提供している「合理的配慮」の事例をまとめました。 「仕事上の困難さ」に対する配慮内容をケースごとに紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

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合理的配慮の申請マニュアルの記事でもご紹介したとおり、企業や自治体、教育機関等の事業主(以下、本文では「企業等」と表記します)から合理的配慮の提供を受けるためには、以下の3つの条件を満たすことが前提となります。 障害が原因となる困難さ(障壁)であること障害者本人が、自己対処(セルフケア)をおこなっても、対処しきれないものであること企業等の側にとっても、重すぎる負担でなく、提供可能な範囲のものであること 特に 3. については、他の従業員に多大な影響が生じる場合や、かかる費用が企業等にとって過度な負担となる場合には「合理的ではない」と判断されます。 それでは、具体的にどんな内容であれば企業等に合理的配慮を求められるのでしょうか。この記事では、「発達障害」のある方に対し、実際に企業で提供されている、合理的配慮の事例をまとめました。この記事でご紹介しているのは、あくまでも「事例」ですので、同じものが・どの企業等からも提供されるわけではありませんが、ご自身の状態・状況に応じて、適切な合理的配慮の依頼をするために、参考にしてみてください。 [toc] 発達障害のある方の合理的配慮の事例1:作業への配慮 仕事上の困難さ提供されている合理的配慮急な予定の変更や、臨機応変な対応が苦手一日の業務スケジュールを立てた上で、その通りに業務を進めている。業務スケジュールに変更が生じる際には、管理者から本人へ、事前に説明をしている。指示を「口頭」でおこなった場合、一度で覚えきれずに、抜け漏れが発生してしまう指示の内容は社内のチャットツールを使い「文章」で伝えている。マニュアルや手順書等で、作業や指示内容を随時確認できるようにしている。作業の優先順位付けが苦手なため、複数の社員から指示をすると、混乱して効率よく作業が進められない指示系統を一本化し、指示をおこなう担当者を決めている。本人に何か指示をおこなう場合は、その担当者を通して指示をおこなう。担当者以外から本人に直接指示があった場合、本人から担当者に相談をして、どのように作業を進めるか決めるようにしている。マルチタスク(複数の作業を、同時に進める)が苦手一つの作業が終わってから、次の作業の指示を出している。「だいたい」「おおよそ」「なるべく」「できるだけ早く」などの曖昧な表現から、意図を想像して業務を調整することが難しい作業の期限日、必要な数量などを明確にし、具体的に説明するようにしている。 発達障害のある方の合理的配慮の事例2:仕事環境への配慮 仕事上の困難さ提供されている合理的配慮聴覚過敏で、周囲の話し声や電話の着信音、椅子を引く音などがあると、作業に集中できない集中が必要な作業の際には、耳栓の着用を許可している。視覚的な情報に反応しやすく、周囲が気になって、作業に集中することが難しい集中して作業ができるよう、席にパーテーションで仕切りを設けたり、人の動きや掲示物等が目に入りにくい座席配置にしたり、職場環境の調整をしている。 発達障害のある方の合理的配慮の事例3:コミュニケーションへの配慮 仕事上の困難さ提供されている合理的配慮周囲に迷惑をかけていないか気を遣いすぎることや、何をどう質問したらいいかわからないことから、自ら相談することが苦手毎日の朝礼と終礼の時間に、疑問点や不明点などを質問する時間を設けている。誰に相談をすれば良いのか分からないときに、相談ができないまま業務を進めてしまうことがある相談窓口となる社員を決めて、どのようなことでも、まずはその社員に相談をするようにしている。雑談が苦手、過集中で頑張りすぎてしまいがちである、疲労を自覚しながら業務のペース配分をすることが苦手であるなどの理由で、休憩時間に心が休まらず、十分な休憩が取れない休憩室として個室を別に設けている。人の少ない静かなエリアや、空いている会議室を休憩時間に使って良いことにしている。不安傾向が強く、業務を滞りなくおこなえているのか、常に不安を感じてしまう週に一度、その週の業務を振り返り、できている点や、もう少し頑張って欲しい点などを伝える時間を設けている。 発達障害のある方の合理的配慮の事例4:勤務条件への配慮 仕事上の困難さ提供されている合理的配慮体調不良の際に、満員電車など人が多い環境に長時間いると気分が悪くなってしまうことがある体調が優れない日は、事前に上司に連絡した上で、時差出勤を認めている。業務量や業務内容の調整をするなどの対応をするようにしている。毎月1回、通院のために休暇が必要予め、通院日のスケジュールを上司と共有しておき、通院日は優先的に休めるように調整している まとめ 「マルチタスクが苦手」「コミュニケーションが苦手」など、発達障害の「特性」と呼ばれるものは色々ありますが、それによって生じる困難さは、人それぞれに度合いが異なりますし、同じ特性であっても、周囲の環境によって困難さは変わってきます。 また、発達障害は「周囲から、障害の有無や困難さが目に見えづらい」ことから、企業等の側にとっても「どのような困難さを抱えているのかを伝えてもらわないと、どのような配慮をすべきかが分からない」ということがほとんどです。 そのため、合理的配慮については、自己理解を深め、業務遂行に必要な配慮を自ら申し出ることが必要となります。自分の特性について理解する方法や、必要な配慮の洗い出しについては、「合理的配慮」申請マニュアルの記事にてご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。 ただ、目の前の仕事や生活で困りごとを抱えている状態で、正しい知識を独学で身に付けることはたいへんです。 「自分の特性にあった自己対処は何をすればいいの?」「どのような形・タイミングで職場と相談すればいいの?」など、悩んでしまうことがあるかも知れません。 そんなときには、自分一人で抱え込まずに、専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 参考URL 内閣府|障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html 内閣府|合理的配慮等具体例データ集障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するhttps://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/ 厚生労働省|障害者雇用対策https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html 厚生労働省|障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関する Q&Ahttps://www.mhlw.go.jp/tenji/dl/file13-04.pdf
合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。

障害による困りごとへの配慮を雇用先に求めることのできる「合理的配慮」について紹介しています。そもそも合理的配慮とは?自分は対象となるのか?どんな制度なのか?といった疑問にお答えするための基礎情報をまとめました。

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皆さんは合理的配慮という言葉をご存知でしょうか。具体的な内容までは知らなくとも「何となく言葉として見聞きしたことはある」という方は多いのではないかと思います。 「障害による困りごとへの配慮を、企業や自治体、教育機関等の事業主(※以下、本文では「企業等」と表記します)に求めることができる」というような説明がされることの多い合理的配慮ですが、しかし、そこには当然ながら一定のルールがあり、「困ってさえいれば、いつでも、どのような配慮でも求めることができる」というわけではありません。 「合理的配慮」について企業側と調整をすることは、障害のある方が働くうえでの大切なポイントです。そこで今回は、企業側へ合理的配慮の提供を求める際に、まず押さえておきたい基礎知識をご紹介します。 [toc] そもそも、合理的配慮とは? 合理的配慮とは、国の定める「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」などの法律に登場するキーワードです。 障害者差別解消法は、「障害のあるなしに関わらず誰もが平等な人権を持ち、お互いを理解して皆が自分らしく共に生きる社会(共生社会)を実現すること」を目的として定められた法律です。その法律の中で、企業等に対して、「障害者から助けを求められた場合には、合理的配慮の提供をおこなう」ことが求められています。 障害者雇用促進法は、「働くことについて、障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な機会や待遇を得られること」を目的とした法律です。その法律の中で、企業等に対して、「障害者が自分の能力を発揮して仕事をスムーズに進められるよう、合理的配慮の提供をおこなう」ことが求められています。 つまり、障害のあるなしに関わらず誰もが平等に生きることができる社会を実現するために、障害によっておきる困難さを取り除いたり、周りの環境を整えたりするなどの支援などの合理的配慮の提供が、企業等の側には求められているのです。 「合理的配慮」で押さえておくべき3つのポイント それでは、合理的配慮を理解するために、押さえておきたいポイントを3つに分けてご紹介します。 1.企業等の側との話し合いの上で、提供されるかどうかが決まる 法律では、企業等が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で、対応に努めること」と定められています。この「負担が重すぎない範囲で」とは、いったいどういうことなのでしょうか。 例えば、足に障害があり車椅子を使っている方が働くときに、「エレベーターからの導線に配慮してデスクの位置を決めて欲しい」と求めた場合、企業等の側の負担は、そこまで重くはないと言えます。 しかし、「エレベーターで上下の階を行き来せずに済むよう、ビルの6階にあるオフィスを1階に移転して欲しい」と求めた場合はどうでしょう。移転に掛かる費用や、他の従業員への影響を考えると、企業等の側の負担が、あまりにも重すぎると言えるのではないでしょうか。 障害者差別解消法も、障害者雇用促進法も、法律のもともとの目的は「障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な社会の実現」です。つまり、障害者だけが困難を抱えて生きるのではなく、企業等の側だけが重い負担を強いられるのでもなく、お互いが理解し尊重し合い、共に生きていくという考え方が重要なのです。 この考え方にもとづき、障害者本人と企業等の側との話し合いの上で、合理的配慮が提供されるかどうかが決まります。「企業等の側が提供する配慮が、重すぎるか否か」は、以下の6つの要素と、対象となる障害者が抱える困難さとを総合的に検討して、判断されます。 1. 事業活動への影響の程度…合理的配慮の提供をおこなうことによって、企業等がおこなう生産活動や、サービスの提供に、どの程度影響が発生するか。2. 実現困難度…合理的配慮の提供をおこなうために、設備や人材を確保する難しさの度合い。3. 費用負担の程度…合理的配慮の提供のために、企業等の側が負担する費用の程度。4. 企業の規模…企業の規模による負担の程度の違い。(大企業の方が、社会的責任が大きいとされる。)5. 企業の財務状況…合理的配慮の提供を行っても問題がない、財務状況かどうか。6. 公的支援の有無…合理的配慮の提供をおこなうにあたり、公的な支援が利用できるかどうか。 「お互いを理解し、尊重し合う」ためには、企業等の側に求めるだけでなく、障害者の側も「自分で行える対処=セルフケア」を提示して、すり合わせをおこなうことが大切です。 よって、合理的配慮の提供がどこまでされるのかを話し合うときには、「障害が原因となる困難さのうち、セルフケアをしても対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲かどうか」がポイントとなります。 2.合理的配慮は障害者手帳がなくても求めることができる 合理的配慮の提供を受けることができる「障害者」とは、「障害者手帳を持っている人のこと」だけではありません。 手帳の有無や、障害の種別(身体・知的・精神)、雇用の形態(障害者雇用か一般雇用か)を問わず、障害の特性によって、社会のなかで困難さを抱えている人すべてが対象となります。(もちろん、発達障害の方も対象です。) なお、「医師の診断書」についても、法律上は、合理的配慮の提供を判断する基準として定められてはいません。しかし、実際に合理的配慮の提供を申請し、話し合いをおこなう際には、提供する配慮の内容について専門家からのアドバイスを受けたり、公的な支援の申請を行ったりするための資料の一つとして、医師の診断書や意見書の提出を求められるケースがほとんどです。 3.合理的配慮を求める場合は、障害者が自分から申請する 法律では、「障害者から何らかの助けを求める意思が伝えられた場合に、合理的配慮を提供する」と定められており、障害者の側から企業等の側に対しての申請が必要です。 一見すると、「困りごとを抱えている人がいるのなら、周りから気が付いて支援してあげるべきではないか」と考えてしまいますが、これには、障害者福祉に関する法律の整備に障害者自身が関わってきたという歴史的な背景の影響があります。 2006年に国連で採択された「障害者権利条約」は、“Nothing about us without us”(私たち抜きに私たちのことを決めるな)を合い言葉に、その策定が進められました。 かつて、障害者は「一般社会から保護される無力な存在」とされ、自分の人生を自分で選択し、決めることが許されなかったという時代が存在しました。国連で条約が採択された背景には、障害者はこのような「保護的支配」を受けるものではなく、普通の市民としての権利を持つ人間であることを強く訴えるメッセージがあったのです。 そのため、合理的配慮の提供においても、障害者の「当事者としての意思表示」が重要とされているのです。 一人ひとりの特性に応じた配慮事項を考えることが大事 合理的配慮について企業等の側と調整をすることは、障害者のある方が自分の能力を活かし、自分らしく働くうえでの大切なものです。 合理的配慮申請マニュアル、合理的配慮の事例集の記事では、実際にすり合わせをおこなう際の、具体的なポイントについて解説していますので、ぜひお読みください。 ただ、目の前の仕事や生活で困りごとを抱えている状態で、正しい知識を独学で身に付けることはたいへんです。 「自分の特性にあった自己対処は何をすればいいの?」「どのような形・タイミングで職場と相談すればいいの?」など、悩んでしまうことがあるかも知れません。 そんなときには、自分一人で抱え込まずに、専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 参考URL 内閣府|障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html 内閣府|合理的配慮等具体例データ集https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/ 厚生労働省|障害者雇用対策https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html 厚生労働省|障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関する Q&Ahttps://www.mhlw.go.jp/tenji/dl/file13-04.pdf