障がい者雇用の「正解」は一つじゃない 不安が強い方が就職活動で大切にしたい考え方

働きたい気持ちはあるのに、「障がい者雇用で働くのが正解なのかな」「一般の求人に挑戦したほうがいいのかな」と迷い続けて、なかなか一歩が踏み出せないことはありませんか。調べれば調べるほど情報が増えて、かえって何を選べばよいのかわからなくなってしまう方も少なくありません。
この記事では、発達障害や精神障害、うつ、不安などを抱えながら働くことを考えている方、そしてご家族や支援者の方に向けて、障がい者雇用の「正解探し」を少し楽にするための考え方と、日常でできる小さな工夫をお伝えします。結論から言うと、障がい者雇用は、思っているほど難しく考えなくても大丈夫です。
障がい者雇用とは?まずは基本をやさしく確認
障がい者雇用とは、障がいのある方を対象とした採用の枠組みのことです。企業には一定の割合で障がいのある方を雇用することが求められており、一般的には障害者手帳をお持ちの方が対象となります。
障がい者雇用の特徴は、働くうえで必要な配慮について、職場と相談しやすいことです。たとえば「勤務時間を短めにしたい」「指示はメモでもらえると助かる」といった希望を、あらかじめ伝えたうえで働き始めることができます。制度の詳しい内容は、厚生労働省の障害者雇用対策のページでも確認できます。
なぜ障がい者雇用の「正解探し」に疲れてしまうのか
では、なぜ多くの方が障がい者雇用について迷い、正解を探し続けてしまうのでしょうか。よくある理由を3つ見てみましょう。
情報が多すぎて、比べることに疲れてしまう
インターネットやSNSには、障がい者雇用に関する体験談やアドバイスがたくさんあります。そのため、「あの人はこうだった」「こっちのほうが得らしい」と比べているうちに、自分にとって何が大切なのかが見えにくくなってしまいます。
「失敗したくない」という気持ちが強い
これまでの仕事や学校でつらい経験をしてきた方ほど、「次こそは失敗したくない」という思いが強くなります。しかし、その気持ちが強いほど、最初から完璧な選択をしようとして動けなくなることがあります。
「障がい者雇用を選ぶ=あきらめ」と感じてしまう
「障がい者雇用を選ぶのは、負けのような気がする」と話される方もいます。つまり、制度そのものよりも、周りからどう見られるかという不安が、迷いを大きくしている場合もあるのです。
迷ってしまうのは、努力不足ではありません
ここで、まずお伝えしたいことがあります。障がい者雇用について迷い続けてしまうのは、あなたの努力や決断力が足りないからではありません。
働き方を真剣に考えれば考えるほど、迷うのは自然なことです。むしろ、自分の生活や将来を大切にしようとしているからこそ、簡単には決められないのだと思います。また、不安が強いときは、物事を「正解か不正解か」の二択で考えやすくなる傾向があります。それは性格の問題ではなく、心が疲れているときに誰にでも起こりうることです。
だからこそ、「決められない自分はダメだ」と責める必要はありません。
障がい者雇用を難しく考えすぎないための3つの視点
障がい者雇用の正解探しを少し楽にするために、考え方を少しだけ変えてみましょう。
1. 正解は「人の数だけある」と考える
障がい者雇用が合う人もいれば、一般の求人で働くほうが合う人もいます。どちらが上ということはありません。大切なのは、世の中の正解ではなく「今の自分に合っているかどうか」です。
2. 「一生の選択」ではなく「今の選択」と考える
働き方は、一度決めたら変えられないものではありません。たとえば、まずは障がい者雇用で体調を整えながら働き、慣れてきたら働き方を見直す方もいます。そう考えると、選ぶことへのプレッシャーが少し軽くなりませんか。
3. 「大切にしたい条件」を3つに絞る
すべての希望を満たす職場を探すと、正解探しは終わりません。一方で、「通勤時間」「勤務時間」「相談しやすさ」など、大切にしたい条件を3つほどに絞ると、選ぶ基準がぐっとシンプルになります。
日常でできる小さな工夫
考え方を整えたら、次は日常の中でできる小さな工夫を試してみましょう。全部やる必要はありません。気になるものを一つだけ選んでみてください。
- 「譲れないこと」と「譲れること」を書き出す:紙に二つの欄をつくって書くだけで、頭の中のモヤモヤが整理されやすくなります。
- 情報を調べる時間を決める:「1日15分だけ」と決めておくと、情報に振り回されすぎずにすみます。
- 気になった求人をメモしておく:応募するかどうかは決めなくて大丈夫です。「なぜ気になったのか」を書いておくと、自分の希望が見えてきます。
- 疲れのサインを知っておく:眠りが浅い、食欲が落ちるなど、自分の疲れのサインに気づけると、無理をする前に休みやすくなります。
- 一人で決めようとしない:家族や支援者に話すだけで、考えが整理されることがあります。
なお、障がい者雇用の求人や就職の相談は、お近くのハローワークでも受けることができます。また、職業についての相談や評価は地域障害者職業センターでも行われています。
就労移行支援でできるサポート
「障がい者雇用について、一人で考えるのは難しい」と感じたときは、就労移行支援という選択肢もあります。就労移行支援は、障がいや病気のある方が一般企業への就職を目指して、一定期間通いながら準備を進められる福祉サービスです。
ディーキャリアでは、たとえば次のようなサポートを行っています。
- 自分の得意・苦手や、働くうえで必要な配慮を一緒に整理する
- 障がい者雇用と一般の求人、それぞれの特徴を一緒に考える
- 生活リズムや体調の波と向き合いながら、通所のペースを調整する
- 職場に配慮を伝えるための練習や、応募書類・面接の準備をする
- 就職活動から就職後まで、継続して相談できる
大切なのは、「どちらが正解か」を急いで決めることではありません。自分に合う働き方を、スタッフと一緒に少しずつ見つけていくことができます。
介護福祉士監修の視点:支援の現場から
支援の現場では、「障がい者雇用を選んでいいのかわからない」と悩まれる方に多く出会います。その多くは、自分の将来を真剣に考えているからこそ迷っている方です。
大切なのは、正解を「外から探す」のではなく、「自分の中から見つけていく」ことです。たとえば、「午前中のほうが調子がよい」「急な予定変更が苦手」といった日々の小さな気づきが、自分に合う職場を選ぶ大切なヒントになります。障がい者雇用で働くかどうかも、こうした気づきを積み重ねる中で、自然と答えが見えてくることが多いと感じます。
また、迷っている時間も決して無駄ではありません。むしろ、自分にとって何が大切かを考える大事な時間です。支援者は、その迷いを否定せず、ご本人のペースに合わせて一緒に考えていく存在です。
まとめ:障がい者雇用の正解は、あなたの中にある
障がい者雇用について迷うのは、それだけ働くことや自分の生活を大切に考えている証拠です。正解は一つではなく、今すぐ決めなくても大丈夫です。
大切にしたい条件を書き出してみたり、気になった求人をメモしたり、ときには誰かに話してみたり。そうした小さな積み重ねの中で、あなたに合った障がい者雇用の形や働き方は、少しずつ見えてきます。今日できることを、一つだけ選んでみてください。
まずは見学・相談から始めてみませんか
働くことに不安がある方は、一人で抱え込まずに、まずは見学や相談から始めてみませんか。ディーキャリアワーク多摩センターオフィスでは、ご本人はもちろん、ご家族や支援者の方からのご相談も受け付けています。「障がい者雇用のことを少し聞いてみたい」「まだ利用するか決めていない」という段階でも大丈夫です。
あなたに合った働き方を、一緒にゆっくり考えていきましょう。
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※本記事は介護福祉士の監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。必要に応じて医療機関や専門機関へご相談ください。


