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発達障害当事者の私の完璧主義が招く「知ったかぶり」の罠

おはようございます。ディーキャリア立川オフィスのピアスタッフ、発達障害当事者、かまちです。

「今の説明、理解できた?」「進捗は大丈夫?」 職場でそう聞かれたとき、あなたの心臓は少しだけ速く脈打ちませんか? 本当は、相手の指示の3割も理解できていない。専門用語の意味がわからない。どこから手をつければいいか、頭の中は真っ白。

それなのに、口をついて出るのは「あ、はい、大丈夫です」「わかりました」という言葉。

かつての私は、この「知ったかぶり」を繰り返すことで、自分自身を袋小路に追い込んでいました。後からミスが発覚し、上司に詰められ、さらに劣等感を募らせて、次の指示がもっと怖くなる……。

この記事では、ADHDやASDの特性を持つ私たちがなぜ「完璧主義」の罠にハマり、「知ったかぶり」をしてしまうのか。その心理的・脳科学的なメカニズムを解き明かし、私がディーキャリアでの訓練を通じて身につけた、精神論ではない「具体的な脱出策」を徹底的に解説します。

なぜ私たちは「わかりません」が言えないのか?

「知ったかぶり」をする人を、世間は「不誠実だ」とか「見栄っ張りだ」と切り捨てることがあります。しかし、発達障害の特性を持つ当事者にとって、それは決して楽をしようとしているわけではありません。むしろ、死に物狂いで「普通」に見せようともがいている結果なのです。

100点以外は0点という「白黒思考(ASD特性)」

ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ方に多いのが、物事を「完璧にできているか、全くできていないか」の二択で捉えてしまう傾向です。「半分わかった」という状態は、彼らにとっては「わかっていない」のと同じ屈辱であり、恥なのです。そのため、「わからない自分」を認めることが、アイデンティティの崩壊につながるほどの恐怖を感じさせます。

過去の失敗体験が作り出す「劣等感の壁」

ADHD(注意欠如・多動症)の方の多くは、幼少期から「なぜこんな簡単なことができないの?」「さっき言ったでしょ?」と叱責され続けてきました。その結果、心の中に「聞き返す=相手を怒らせる」「聞き返す=自分が無能であることを証明する」という強固な学習回路ができあがってしまいます。

ワーキングメモリの限界とパニック

指示を受けている最中、ADHDの脳内では情報の渋滞が起きています。相手の言葉を処理している間に、次の言葉が入ってくる。古い情報は押し出され、頭の中の「作業机(ワーキングメモリ)」は散らかり放題になります。このパニック状態で「わかった?」と聞かれると、脳は「この苦痛な時間から早く逃げたい」という防衛反応を優先し、反射的に「はい」を選んでしまうのです。

完璧主義が生む「3つの悲劇」

「わかったフリ」をしてその場を凌ぐことは、短期的には痛みを和らげますが、長期的には人生を破壊する毒となります。

  1. 信頼の破綻: 「返事はいいけれど、結果が伴わない人」というレッテルを貼られます。これは職場において、能力が低いことよりも致命的なダメージになります。
  2. 二次障害の加速: 「いつかバレるのではないか」という予期不安から、不眠やうつ状態、適応障害を引き起こします。
  3. 自己効力感の喪失: 「また嘘をついてしまった」「自分はなんてダメな人間なんだ」と自分を責め続けることで、新しいことに挑戦するエネルギーが枯渇します。

【実践】「聞き返す勇気」より先に手に入れるべき「仕組み」

ディーキャリア立川オフィスでは、「根性で直しましょう」とは言いません。特性を理解し、「仕組み」でカバーする方法を訓練します。

3-1. メモの取り方を「リデザイン」する

多くの人が「言われたことを一言一句書こう」として失敗します。ADHDの脳にそれは不可能です。

  • 「?」マーク専用エリアを作る: メモ帳の端に、わからない単語や引っかかる点があれば、内容を聞きながら「?」とだけ書いておきます。
  • 「確認の予約」を書き留める: メモの冒頭に「最後に3つ確認する」と大きく書きます。これが視覚的なキュー(合図)となり、反射的な「はい」を食い止めます。

3-2. 魔法のフレーズ「復唱」と「翻訳」

アサーティブ(自他を尊重する)なコミュニケーションの核心は、相手と同じ土俵に立つことです。

  • そのまま復唱: 「今の指示は、〇〇を〇〇する、ということで合っていますか?」
  • 自分の言葉で翻訳: 「私の方では、〇〇という手順で進めようと思いますが、イメージに相違ないでしょうか?」 この「翻訳」のプロセスを入れることで、自分の理解のズレが可視化されます。もし間違っていても、この段階なら「あ、そうじゃないよ」と軌道修正してもらえるのです。

リフレーミング――「知らない」は「プロ意識」の証

思考の癖を変える「リフレーミング」について深掘りしましょう。

私たちは、「聞き返すこと」を「恥ずべきこと」と捉えています。しかし、仕事のプロの世界ではどうでしょうか?例えば、医療現場の看護師さんや、飛行機のパイロットが、曖昧な指示に対して「たぶん大丈夫だろう」と知ったかぶりをしたら……。恐ろしいですよね。

彼らが何度も指差し確認をし、不明点を徹底的に潰すのは、「仕事を完遂するための責任感」があるからです。

  • Before: 聞き返すのは、私が無能で、相手をイライラさせる行為だ。
  • After: 聞き返すのは、私がこの仕事を確実にやり遂げようとしている「誠実さ」の証明だ。

この捉え直しができるようになると、「わかりません」という言葉は、自分を守り、相手との信頼を築くための「武器」に変わります。

完璧主義を「武器」に変える、これからのキャリア戦略

完璧主義を克服しようとするのではなく、そのエネルギーの「出口」を変えることが、私たちが職場で生き抜くための鍵となります。

「チェック」が価値になる仕事・役割を選ぶ

指示を疑い、細部まで確認する姿勢は、品質管理、校正、デバッグ、あるいは安全確認が最優先される現場では「慎重で信頼できる」と評価されます。100%を目指すエネルギーを「自分の能力の誇示」ではなく「アウトプットの正確性」に向けましょう。

心理的安全性を見極める

「わからない」と言えるのは、個人の努力だけでなく環境も重要です。ディーキャリア立川オフィスでは、就職活動において「質問しやすい社風か」「フィードバックの文化があるか」を一緒に見極める視点も養います。あなたが安心して「不完全な自分」を出せる場所は、必ず存在します。

自分を許すことが、最大の「効率化」である

結局のところ、一番の「仕事の無駄」は、知ったかぶりをして後から全てやり直すこと、そして自己嫌悪で動けなくなる時間です。「完璧にできない自分」を許し、早めに降参して確認を入れる。それが、皮肉なことに最短で「完璧に近い成果」を出すための唯一のルートなのです。

あなたは、あなたのままで「プロ」になれる

「完璧主義」も「こだわり」も、実はあなたの素晴らしい強みです。そのエネルギーは、適切な「仕組み」と出会うことで、「緻密な仕事」や「徹底したリスク管理」という圧倒的な長所に変わります。

「知ったかぶり」という出口のないトンネルの中にいるあなたへ。 どうか、自分を責めないでください。あなたはただ、一生懸命に生きようとしているだけなのです。

その一生懸命さを、自分を傷つけるためではなく、自分を輝かせるために使いませんか?

ディーキャリア立川オフィスでは、あなたが「自分のトリセツ(取扱説明書)」を手にし、自分らしく、胸を張って働ける日を全力でサポートします。一度、オフィスに遊びに来てみませんか?

あなたの「わからない」を、一緒に「安心」に変えていきましょう。

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■この記事を書いた人は?■

ディーキャリア立川・所沢オフィス編集部

普段は、ディーキャリア立川オフィス、所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。
主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。
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