なぜ?「臨機応変」という言葉に傷つく発達障害の私への工夫
なぜ私だけ動けないの?

ディーキャリア立川オフィスのピアスタッフ、発達障害当事者のかまちです。
「予定が変わったから、こっちを先にやって」 「ごめん、今日の会議は中止で」
周囲の人は、まるで飛んでくるボールを打ち返すように、軽やかに予定を組み替えます。でも、私は違います。決まっていたスケジュールが変わった瞬間、頭の中の時計の歯車が「ガリッ」と音を立てて止まり、真っ白になってフリーズしてしまうのです。
「なんでみんな、あんなに臨機応変にできるんだろう?」 「私は努力が足りない、わがままな人間なのだろうか?」
そんなふうに自分を責めてきたあなたへ。それは性格のせいではなく、私たちの脳の「OS(基本ソフト)」が、急な書き換えに慎重なだけなのです。
脳内でおこなわれている「パズル」
私たちの多くは、スケジュールを「一つひとつのピースが組み合わさった精密なパズル」のように捉えています。一箇所が変わるということは、パズル全体が崩れることを意味します。だから、もう一度最初から組み立て直す膨大なエネルギーが必要になり、フリーズしてしまうのです。
特にASD特性がある場合、一つのことに深く集中する「シングルフォーカス」という強みが、変化の時には「切り替えの難しさ」として現れます。これは、時速100kmで走る車に急ブレーキをかけ、即座にバックに入れろと言われるような衝撃を脳が受けている状態です。疲れるのは、当たり前のことなのです。
リスクの「優先順位ピラミッド」
「臨機応変」という曖昧な言葉に振り回されないために、自分のリスク状態をピラミッド状に整理(階層化)して、自分を助けるための優先順位をつけておきましょう。
自分専用:リスクの優先順位ピラミッド
下から上に向かって、リスク(パニック度)が高まっていくイメージです。
- 【安定期】(リスク低)
- 状態: 予定通り。多少の変更なら「(もし~なら、こうする)」で対応可能。
- 行動: そのまま継続。紙のカレンダー等で全体像を把握し、心の余裕を保つ。
- 【警戒期】(リスク中)
- 状態: 複数の予定変更が重なり、脳がフリーズし始める。
- 行動: 物理的なリセット。 「一度トイレに立ちます」と言って席を離れ、余計な視覚情報を断ち切る。
- 【混乱期】(リスク高)
- 状態: 思考が停止。時間設定(あと5分で戻りますなど)自体が重いプレッシャーになる。
- 行動: 「区切り」で交渉。 「今の作業を保存したら切り替えます」と、時間に縛られない伝え方をする。
- 【緊急避難期】(リスク最大:最優先事項)
- 状態: 完全にパニック。言葉が出ない、動悸がする、その場にいられない。
- 行動: 即座にダウンタイム。 「体調が優れないので中座させてください」と伝え、安全な場所へ避難する。
ピラミッドの「カタチ」は人それぞれ
この対策を難しくしているのは、ピラミッドのカタチ、いわゆる「許容範囲」が一人ひとり全く違うという点です。
- 安定期が広い人: 多少の変更ならどっしり構えていられるが、一度崩れると一気に頂点(パニック)まで駆け上がってしまう。
- ピラミッドが鋭い人: ほんの少しの予定変更で、すぐに中層(警戒期)に入ってしまうが、そこからの粘りが強い。
- その日の体調で変わる: 昨日は「安定期」だった揺れが、寝不足の今日は「混乱期」のトリガーになることもあります。
「この個別性が高いゆえに、私たちはこんなにも生きにくいのだろうか」。
ふとした瞬間に、そう思うことがあります。誰一人として同じカタチのピラミッドを持っていないから、誰かの「正解」が自分には当てはまらない。その絶望的なまでの「個別の違い」が、私たちを孤独にさせるのかもしれません。だからこそ、私たちは「自分自身のピラミッド」を正確に知る必要があるのです。
自分のピラミッドを「観測」するトレーニング
この「個別性」があるからこそ、私たちは自分自身の研究者になる必要があります。
ディーキャリア立川オフィスでは、あなたのピラミッドがどんなカタチをしているのかを、日々の活動を通じて一緒に分析していきます。
- あなたの「許容範囲」はどこまでか?(ピラミッドの幅の確認)
- どんな言葉や状況が、階層を押し上げるスイッチになるのか?
- 周囲に自分のピラミッドの状態(いま警戒期です、等)をどう伝えるか?
私たちは、あなたの代わりにスケジュールを固定することはできません。その代わり、あなたが「自分のピラミッドのカタチ」を理解し、どんなに激しい変化の中でも自分を安全な階層に保てることを
一緒に考えませんか?
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリア立川・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリア立川オフィス、所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。
主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。
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